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【発明の名称】 多条刈りコンバイン
【発明者】 【氏名】前田 一郎

【氏名】岸本 貴史

【要約】 【課題】構成の簡素化並びに製造コストの低減化を図りながら、刈り取り搬送経路での穀稈詰まりなどの搬送トラブルの発生を抑制できるようにする。

【解決手段】3基以上の引起装置7を備えた多条刈りコンバインにおいて、カウンタ軸14に伝動連結される主伝動軸15を前下方に向けて延設し、その主伝動軸15の前部に左右向きの第1伝動軸16を伝動連結し、第1伝動軸16から各引起装置7に亘って縦向きの第2伝動軸17を架設し、左右両端に位置する第2伝動軸17に第2搬送装置10を連動連結し、第2搬送装置10に第1搬送装置9を連動連結し、第3搬送装置11を、後部支点P周りの揺動で扱深さ調節可能となるようにカウンタ軸14の一側部に連動連結し、左右の第2搬送装置10のうちの少なくとも一方に係止搬送機構10Bを上下2段に備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 3基以上の引起装置と、それらの引起装置で引き起こされた植立穀稈を刈り取る刈取装置と、刈取穀稈を後方に向けて掻き込み搬送する3基以上の第1搬送装置と、前記第1搬送装置からの刈取穀稈を左右中央に寄せ集め搬送する左右一対の第2搬送装置と、前記第2搬送装置からの刈取穀稈を脱穀装置に向けて供給搬送する第3搬送装置とを備えるとともに、それらに対する伝動を左右向きのカウンタ軸を介して行うように構成した多条刈りコンバインであって、前記カウンタ軸に伝動連結される主伝動軸を前下方に向けて延設するとともに、その主伝動軸の前部に左右向きの第1伝動軸を伝動連結し、前記第1伝動軸から各引起装置に亘って縦向きの第2伝動軸を架設するとともに、それら第2伝動軸のうちの左右両端に位置する第2伝動軸に前記第2搬送装置を連動連結し、かつ、前記第2搬送装置に前記第1搬送装置を連動連結し、前記第3搬送装置を、後部支点周りの揺動で扱深さ調節可能となるように前記カウンタ軸の一側部に連動連結するとともに、前記左右の第2搬送装置のうちの少なくとも一方に係止搬送機構を上下2段に備えてある多条刈りコンバイン。
【請求項2】 下段の係止搬送機構に対して上段の係止搬送機構を後方側に変位させてある請求項1記載の多条刈りコンバイン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3基以上の引起装置と、それらの引起装置で引き起こされた植立穀稈を刈り取る刈取装置と、刈取穀稈を後方に向けて掻き込み搬送する3基以上の第1搬送装置と、前記第1搬送装置からの刈取穀稈を左右中央に寄せ集め搬送する左右一対の第2搬送装置と、前記第2搬送装置からの刈取穀稈を脱穀装置に向けて供給搬送する第3搬送装置とを備えるとともに、それらに対する伝動を左右向きのカウンタ軸を介して行うように構成した多条刈りコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような多条刈りコンバインにおいて、3基以上備えられる各引起装置に対する伝動は、例えば、特開平10‐323111号公報などで開示されているように、エンジンからの動力が伝達される左右向きのカウンタ軸、カウンタ軸から前下方に向けて延設された主伝動軸、主伝動軸の前部に連結された左右向きの第1伝動軸、第1伝動軸の左右一側端からその一側端側の引起装置の上部に向けて立設された第2伝動軸、第2伝動軸の上部から左右他側端側に向けて各引起装置に伝動連結可能に延設された左右向きの動力分配軸、動力分配軸から各引起装置の上部に亘って垂下された複数の垂下軸、及び、それらを伝動連結するベベルギヤなどを介して行うように構成されていた。
【0003】又、左右の第1搬送装置及び第2搬送装置に対する伝動は、例えば、特開平7‐177814号公報などで開示されているように、刈り取り搬送経路内において、下方の前記第1伝動軸から左右の第1搬送装置及び第2搬送装置に向けて立設された左右の縦軸、並びに、第1伝動軸と左右の縦軸とを伝動連結するベベルギヤ又はウォームギヤなどを介して行うように構成されていた。
【0004】更に、左右の第2搬送装置の係止搬送機構は、例えば、特開平8‐37887号公報などで開示されているように、右側の第1搬送装置の後部上方まで延設された第3搬送装置の係止搬送機構における前部側部分と、その前部側部分の左側に並設されるとともに第3搬送装置に連動連結された補助係止搬送機構とから構成されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来技術によると、各引起装置の上部同士に亘って動力分配軸が掛け渡された状態になることから、それによって見栄えが悪くならないように動力分配軸を引起装置の背部に隠れる程度に低く配設した場合には、引起装置により引き起こされた植立穀稈の穂先側が動力分配軸を外囲する伝動ケースに引っ掛かるようになって、穂先側の搬送遅れや絡み付きなどに起因した搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルを招き易くなっていた。
【0006】又逆に、その搬送トラブルを回避するために動力分配軸を引起装置の上端よりも十分に高い位置に配設した場合には、動力分配軸や垂下軸などを外囲する伝動ケースが大きく露出して見栄えが悪くなることから、それらを隠すための化粧カバーを設ける必要が生じるようになる。又、それらの伝動ケースや化粧カバーによって引起装置直前箇所に対する操縦部からの見通しが悪くなり、それによって、刈り取り対象の植立穀稈に対してコンバインを正しく位置させる条合わせ作業などが行い難くなる不都合や、動力分配軸、垂下軸、及び、それらを外囲する伝動ケースなどが上部に配設されることによって重心位置が高くなって機体の重量バランスが悪くなる不都合を招くようになっていた。
【0007】しかも、上記の従来技術においては、左右の第1搬送装置及び第2搬送装置に対する伝動を、第1伝動軸から縦軸及びベベルギヤ又はウォームギヤを介しうことによって、伝動構造が複雑化するとともに製造コストが嵩むようになる。又、その複雑化により引っ掛かり易い部分が多くなる第1搬送装置及び第2搬送装置に対する伝動部が刈り取り搬送経路内の下部に配設されることによって、刈取穀稈とともに搬送される泥や雑草などの刈り取り搬送経路から下方への通過性が悪くなり、第1搬送装置及び第2搬送装置に対する伝動部に堆積する泥や雑草などに起因した刈取穀稈の搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルを招き易くなっていた。
【0008】その上、左右の第2搬送装置の係止搬送機構を、第3搬送装置の係止搬送機構における前部側部分と、その前部側部分の左側に並設された補助係止搬送機構とから構成することによって、各第1搬送装置から第3搬送装置に向けての刈取穀稈の寄せ集め搬送は好適に行えるものの、補助係止搬送機構を第3搬送装置に連動連結するようにしていることから、その伝動系を、第3搬送装置における係止搬送機構の前部側部分と補助係止搬送機構の間を通って搬送される刈取穀稈を避けるように迂回させた状態に構成する必要が生じることから、その伝動構造がかなり複雑化する不都合を招くようになっていた。
【0009】本発明の目的は、構成の簡素化並びに製造コストの低減化を図りながら、刈り取り搬送経路での穀稈詰まりなどの搬送トラブルの発生を抑制できるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、3基以上の引起装置と、それらの引起装置で引き起こされた植立穀稈を刈り取る刈取装置と、刈取穀稈を後方に向けて掻き込み搬送する3基以上の第1搬送装置と、前記第1搬送装置からの刈取穀稈を左右中央に寄せ集め搬送する左右一対の第2搬送装置と、前記第2搬送装置からの刈取穀稈を脱穀装置に向けて供給搬送する第3搬送装置とを備えるとともに、それらに対する伝動を左右向きのカウンタ軸を介して行うように構成した多条刈りコンバインにおいて、前記カウンタ軸に伝動連結される主伝動軸を前下方に向けて延設するとともに、その主伝動軸の前部に左右向きの第1伝動軸を伝動連結し、前記第1伝動軸から各引起装置に亘って縦向きの第2伝動軸を架設するとともに、それら第2伝動軸のうちの左右両端に位置する第2伝動軸に前記第2搬送装置を連動連結し、かつ、前記第2搬送装置に前記第1搬送装置を連動連結し、前記第3搬送装置を、後部支点周りの揺動で扱深さ調節可能となるように前記カウンタ軸の一側部に連動連結するとともに、前記左右の第2搬送装置のうちの少なくとも一方に係止搬送機構を上下2段に備えた。
【0011】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、各引起装置に対する伝動は、エンジンからの動力が伝達される左右向きのカウンタ軸、カウンタ軸から前下方に向けて延設された主伝動軸、主伝動軸の前部に連結された左右向きの第1伝動軸、第1伝動軸から各引起装置に亘って架設された第2伝動軸、及び、それらを伝動連結するベベルギヤなどを介して行われるようになる。一方、左右の第2搬送装置に対する伝動は、第1伝動軸から左右の引起装置へ伝動する第2伝動軸を利用して行われるようになり、又、第1搬送装置に対する伝動は第2搬送装置を利用して行われるようになる。
【0012】つまり、各引起装置の上部同士に掛け渡された状態となる動力分配軸や、その動力分配軸から各引起装置に亘る垂下軸、などを設けなくても各引起装置に伝動することができる上に、それらを外囲する伝動ケースを各引起装置の上部に設ける必要がなく、又、それによって、前記伝動ケースなどが引起装置の間や上方から露出して見栄えを悪くするということもないので、それらを隠すための化粧カバーを設ける必要もない。その結果、構成の簡素化、軽量化、並びに製造コストの低減化を図れる上に、重心位置を低く抑えることができて機体の重量バランスの安定化を図れるようになる。又、引起装置により引き起こされた植立穀稈の穂先側が前記伝動ケースや化粧カバーに引っ掛かることがないので、その引っ掛かりに起因した、穂先側の搬送遅れや絡み付きなどによる搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルの発生を未然に回避できるようになる。その上、各引起装置の上部同士の間が開放されて引起装置直前箇所に対する操縦部からの見通しが良くなることから、刈り取り対象の植立穀稈に対してコンバインを正しく位置させる条合わせ作業などが行い易くなる。
【0013】一方、第1伝動軸から各第1搬送装置及び左右の第2搬送装置に亘る縦軸や、第1伝動軸と縦軸とを伝動連結するベベルギヤ又はウォームギヤなどを設けて、第1搬送装置及び第2搬送装置に対する専用の伝動部を構成しなくても、第1搬送装置及び第2搬送装置に伝動することができるので、第1搬送装置及び第2搬送装置に対する伝動構造の簡素化、及び、製造コストの低減化を図れるようになる。又、第1搬送装置及び第2搬送装置に対する伝動構造の簡素化により、刈取穀稈とともに搬送される泥や雑草などの刈り取り搬送経路から下方への通過性を良くすることができるので、刈り取り搬送経路に泥や雑草などが堆積することに起因した刈取穀稈の搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルを効果的に招き難くすることができるようになる。
【0014】しかも、本来より第3搬送装置の後端近傍に位置するカウンタ軸の一側部に第3搬送装置を扱深さ調節可能に連動連結していることから、第3搬送装置に対する伝動構造の簡素化を図れるようになる。又、第3搬送装置に対する伝動構造としては、第3搬送装置の前端近傍に位置する第1伝動軸などに伝動軸を伝動連結し、その伝動軸に第3搬送装置を扱深さ調節可能に連動連結することも考えられるが、この構成においては、第3搬送装置に対する伝動部が第1伝動軸などと同様に刈り取り搬送経路の下方側に配設されることから、刈取穀稈とともに搬送される泥や雑草などの刈り取り搬送経路から下方への通過性を悪くする。これに対し、上記請求項1記載の発明では、泥や雑草などが搬送され難く、かつ、泥や雑草などの刈り取り搬送経路から下方への通過性に悪影響を及ぼし難い位置である第1伝動軸などよりも刈り取り搬送経路における後部上方箇所で、第3搬送装置に対する伝動を行うように構成していることから、第3搬送装置に対する伝動を、その前端近傍に位置する第1伝動軸などから行う場合に比較して、刈り取り搬送経路に泥や雑草などが堆積することに起因した刈取穀稈の搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルを招き難くすることができるようになる。
【0015】更に、第3搬送装置における係止搬送機構の前部側部分を左右いずれか一方の第2搬送装置の係止搬送機構として利用する場合には、左右いずれか他方の第2搬送装置に上下2段の係止搬送機構を備え、又、第3搬送装置における係止搬送機構の前部側部分を左右いずれか一方の第2搬送装置の係止搬送機構として利用しない場合には、左右の両第2搬送装置に上下2段の係止搬送機構を備えることによって、各第1搬送装置から第3搬送装置に向けての刈取穀稈の寄せ集め搬送を刈取穀稈の長さに関係なく好適に行えるようになる。又、それらの係止搬送機構に対する伝動が対応する第2搬送装置から行えるようになり、それによって、それらの係止搬送機構を第3搬送装置に連動連結する場合のように、係止搬送機構に対する伝動系を、第3搬送装置における係止搬送機構の前部側部分と補助係止搬送機構の間を通って搬送される刈取穀稈を避けるように迂回させる、といった構成を採用する必要がないので、それらの係止搬送機構に対する伝動構造の簡素化を大幅に図れるようになる。
【0016】〔効果〕従って、構成の簡素化及び製造コストの低減化を大幅に図りながらも、機体の重量バランスの安定性や条合わせ作業などにおける作業性の向上を図れる上に、刈り取り搬送経路における穀稈詰まりなどの搬送トラブルの発生を効果的に抑制できるようになった。
【0017】本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、下段の係止搬送機構に対して上段の係止搬送機構を後方側に変位させた。
【0018】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、下段の係止搬送機構に対して上段の係止搬送機構を後方側に変位させない場合に比較して、上下の各係止搬送機構を、本来より後ろ傾斜姿勢で立設される引起装置の背面に対して、その前端部を近接させた状態に配備することができるようになり、もって、引起装置により引き起こされた穀稈穂先側の引起装置から第2搬送装置への受け渡しを、穀稈長さに関係なくより一層円滑に行わせることができるようになる。
【0019】〔効果〕従って、刈り取り搬送経路における穀稈詰まりなどの搬送トラブルの発生をより一層効果的に抑制できるようになった。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】図1には自脱型コンバインの前半部側面が示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1Aを備えた走行機体1の前部に、3条分の植立穀稈を刈り取って左上後方に向けて搬送する刈取搬送部2を左右向きの軸芯P周りに上下揺動駆動可能に連結するとともに、走行機体1の左側には、刈取搬送部2から刈取穀稈を受け取って脱穀・選別処理を施す脱穀装置3を、又、走行機体1の右側には、脱穀装置3からの選別処理後の穀粒を貯留する穀粒タンク4、及び、作業者が搭乗する操縦部5、などを搭載装備することによって、多条刈りの一例である3条刈り用に構成されている。
【0022】図1〜4に示すように、刈取搬送部2は、植立穀稈の株元側に作用して分草する4基の分草具6、分草された植立穀稈を引き起こす3基の引起装置7、引き起こされた植立穀稈の株元側を切断するバリカン型の刈取装置8、その切断により刈り取られた植立穀稈(刈取穀稈)を後方に向けて掻き込み搬送する3基の第1搬送装置9、掻き込み搬送された刈取穀稈を左右中央に寄せ集めながら後方に向けて搬送する左右一対の第2搬送装置10、左右中央に寄せ集められた刈取穀稈を起立姿勢から横倒し姿勢に徐々に姿勢変更しながら後方の脱穀装置3に向けて供給搬送する第3搬送装置11、及び、それらを支持する刈取フレーム12、などで構成されている。
【0023】図3及び図4に示すように、各引起装置7は、後ろ傾斜姿勢で立設された引起ケース7a、引起ケース7aにおける植立穀稈引き起こし経路側(内側)の上部に配備された駆動スプロケット7b、引起ケース7aの下部に配備された従動スプロケット7c、それらのスプロケット7b,7cに亘って巻き掛けられた回動チェーン7d、回動チェーン7dに引き起こし姿勢と格納姿勢とに姿勢変更可能な状態で一定間隔ごとに取り付けられた複数の引起爪7e、及び、引起ケース7aにおける戻り経路側の上部に配備されたテンションスプロケット7f、などで構成されており、引き起こし姿勢で上昇する引起爪7eの係止引き上げ作用によって植立穀稈の引き起しを行うようになっている。
【0024】図1,図2,図4及び図5に示すように、各第1搬送装置9は、後方側に配備された駆動プーリ9a、前方側に配備された従動プーリ9b、及び、それらのプーリ9a,9bに亘って巻き掛けられた突起付き回動ベルト9c、などで構成された回動ベルト機構9Aと、各駆動プーリ9aの下方に配設されたパッカ9Bとを備えており、回動ベルト機構9Aとパッカ9Bの係止搬送作用によって刈取穀稈の掻き込み搬送を行うようになっている。
【0025】左側の第2搬送装置10は、左側端部に配備された駆動スプロケット10a、左右中央部に配備された第1従動スプロケット10b、左側の第1搬送装置9における駆動プーリ9aとパッカー9Bとの間に配備された第2従動スプロケット10c、及び、それらのスプロケット10a〜10cに亘って巻き掛けられた突起付き回動チェーン(搬送帯の一例)10d、などで構成された挾持搬送機構10Aと、左側の第1搬送装置9における駆動プーリ9aの上方に配備された第1駆動スプロケット10e、その後方に配備された第1従動スプロケット10f、それらのスプロケット10e,10fに亘って巻き掛けられた第1回動チェーン10g、第1回動チェーン10gに一定間隔ごとに取り付けられた複数の第1係止搬送爪10h、第1従動スプロケット10fの上方に配備された第2駆動スプロケット10j、その後方に配備された第2従動スプロケット10k、それらのスプロケット10j,10kに亘って巻き掛けられた第2回動チェーン10m、及び、第2回動チェーン10mに一定間隔ごとに取り付けられた複数の第2係止搬送爪10n、などで構成された上下2段の係止搬送機構10Bとを備えており、挾持搬送機構10Aの挾持搬送作用と各係止搬送機構10Bの係止搬送作用によって刈取穀稈の寄せ集め搬送を行うようになっている。又、以上の構成から、上下2段の係止搬送機構10Bは、下段の係止搬送機構10Bに対して上段の係止搬送機構10Bを後方側に変位させた状態で配備されており、これによって、上下の各係止搬送機構10Bの前端部が、後ろ傾斜姿勢で立設された左側の引起装置7の背面に近接するようになることから、左側の引起装置7により引き起こされた穀稈穂先側の左側の第2搬送装置10への受け渡しを、穀稈長さに関係なく円滑に行えるようになっている。
【0026】図2,図4及び図5に示すように、右側の第2搬送装置10は、右側端部に配備された駆動スプロケット10a、左右中央部に配備された第1従動スプロケット10b、右側の第1搬送装置9における駆動プーリ9aとパッカー9Bとの間に配備された第2従動スプロケット10c、及び、それらのスプロケット10a〜10cに亘って巻き掛けられた突起付き回動チェーン(搬送帯の一例)10d、などで構成された挾持搬送機構10Aのみを備えており、挾持搬送機構10Aの挾持搬送作用によって刈取穀稈の寄せ集め搬送を行うようになっている。
【0027】図1,図2及び図4に示すように、第3搬送装置11は、左側後部に配備された駆動スプロケット11a、その左側に配備された第1従動スプロケット11b、右側の第2搬送装置10における第1従動スプロケット10bの上方に配備された第2従動スプロケット11c、及び、それらのスプロケット11a〜11cに亘って巻き掛けられた突起付き回動チェーン11d、などで構成された挾持搬送機構11Aと、駆動スプロケット11aの上方に配備された駆動スプロケット11e、右側の第1搬送装置9の後部上方に配備された従動スプロケット11f、それらのスプロケット11e,11fに亘って巻き掛けられた回動チェーン11g、及び、回動チェーン11gに一定間隔ごとに取り付けられた複数の係止搬送爪11h、などで構成された係止搬送機構11Bとを備えており、挾持搬送機構11Aの挾持搬送作用と係止搬送機構11Bの係止搬送作用により刈取穀稈の供給搬送を行って、刈取穀稈の株元側を脱穀装置3のフィードチェーン3aに渡すとともに、刈取穀稈の穂先側を脱穀装置3内に導くようになっている。又、第3搬送装置11の係止搬送機構11Bは、右側の第1搬送装置9の後部上方から脱穀装置3のフィードチェーン3aに亘るように構成されていることから、その前部側部分が、右側の第2搬送装置10の係止搬送機構10Bとして機能して刈取穀稈の寄せ集め搬送を行うようになっている。
【0028】図1及び図4に示すように、刈取搬送部2の上下揺動支点である軸芯P上には、右端部に図外のエンジンからの動力が伝達される入力プーリ13を備えた左右向きのカウンタ軸14が配設されており、このカウンタ軸14を介して、引起装置7、刈取装置8、第1搬送装置9、第2搬送装置10、及び、第3搬送装置11に対する伝動を行うようにしている。
【0029】その伝動構造について詳述すると、図1,図2及び図4〜7に示すように、カウンタ軸14の左右中央部にはカウンタ軸14から前下方に向けて延出する主伝動軸15が、主伝動軸15の前端部には左右向きの第1伝動軸16の左右中央部が、第1伝動軸16の左右両端部と左右中央部には第1伝動軸16から対応する引起装置7に亘る縦向きの第2伝動軸17の下端部が、各第2伝動軸17の上端部には対応する引起装置7の駆動軸7gが、それぞれベベルギヤ18を介して伝動連結されている。つまり、各引起装置7には、カウンタ軸14に入力された動力を、主伝動軸15、第1伝動軸16、及び、第2伝動軸17を介して伝達するようにしている。
【0030】その結果、各引起装置7の上部に配備された駆動軸7gに亘って横架される動力分配軸などを設けなくても各引起装置7に対する伝動を行えるようになり、それによって、それらを外囲する伝動ケースや見栄えを良くするための化粧カバーなどを各引起装置7の上部に設ける必要がないので、その分、構成の簡素化並びに製造コストの低減化を図れるとともに、重心位置を低く抑えることができて機体の重量バランスの安定化を図れるようになる。又、各引起装置7により引き起こされた植立穀稈の穂先側が動力分配軸などを覆う伝動ケースや化粧カバーに引っ掛かることがないので、その引っ掛かりに起因した、穂先側の搬送遅れや絡み付きなどによる搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルの発生を未然に回避できるようになる。その上、図3に示すように、各引起装置7の上部同士の間が開放されて引起装置7の直前箇所にある分草具6などに対する操縦部5からの見通しが良くなることから、刈り取り対象の植立穀稈に対してコンバインを正しく位置させる条合わせ作業などが行い易くなっている。
【0031】図1,図2及び図4〜7に示すように、各第2伝動軸17は、ベベルギヤ17aを介して伝動連結される下部軸部分17bと上部軸部分17cからなる2分割構造に構成されている。各下部軸部分17bのうち、左右の下部軸部分17bは、対応する左右の引起装置7の上部に向かう状態で、又、中央の下部軸部分17bは、対応する中央の引起装置7の下部に向かう状態で、それぞれが第1伝動軸16に対して直角に設定されている。各上部軸部分17cのうち、左右の上部軸部分17cは、対応する左右の引起装置7の駆動軸7gに向けて中央側に傾倒する状態で、又、中央の上部軸部分17cは、対応する中央の引起装置7の駆動軸7gに向けて傾倒する状態で、それらが伝動連結される下部軸部分17bから引起装置7の駆動軸7gに亘るように姿勢設定されている。各下部軸部分17bのうち、左右の下部軸部分17bには、対応する第2搬送装置10の挾持搬送機構10Aの駆動スプロケット10aが一体回転するように外嵌装着されている。つまり、左右の第2伝動軸17の下部軸部分17bを第2搬送装置10の駆動軸に兼用した状態で、対応する左右の第2伝動軸17と第2搬送装置10とを連動連結している。
【0032】左側の第2搬送装置10においては、挾持搬送機構10Aの第2従動スプロケット10cと下段の係止搬送機構10Bの第1駆動スプロケット10eとが、左側のパッカ9Bと第1回転軸10pとを介して一体回転するように連結されている。又、下段の係止搬送機構10Bの第1従動スプロケット10fと上段の係止搬送機構10Bの第2駆動スプロケット10jとが第2回転軸10qを介して一体回転するように連結されている。つまり、左側の第2搬送装置10においては、第2伝動軸17からの動力を挾持搬送機構10Aを介して上下の係止搬送機構10Bに伝達するようにしている。
【0033】左右の各第1搬送装置9における駆動プーリ9aとパッカ9Bは、対応する左右の第2搬送装置10における挾持搬送機構10Aの第2従動スプロケット10cと一体回転するように連結されている。一方、中央の第1搬送装置9は、その駆動プーリ9aとパッカ9Bとが一体回転するように連結されるとともに、そのパッカ9Bが右側の第1搬送装置9のパッカ9Bに噛合されている。つまり、対応する左右の第2搬送装置10と第1搬送装置9とを連動連結するとともに、右側の第1搬送装置9に中央の第1搬送装置9を連動連結して、第2伝動軸17からの動力を第2搬送装置10を介して各第1搬送装置9に伝達するようにしている。
【0034】要するに、左右の引起装置7に伝動する左右の第2伝動軸17に左右の第2搬送装置10を連動連結するとともに、それら左右の第2搬送装置10を介して、左右の第2伝動軸17からの動力を各第1搬送装置9に伝達することにより、下方の第1伝動軸16から各第1搬送装置9及び第2搬送装置10に伝動する縦軸や、第1伝動軸16と縦軸とを伝動連結するベベルギヤ又はウォームギヤなどを設けて、第1搬送装置9及び第2搬送装置10に対する専用の伝動部を構成しなくても、第1搬送装置9及び第2搬送装置10に伝動することができるので、第1搬送装置9及び第2搬送装置10に対する伝動構造の簡素化、及び、製造コストの低減化を図れるとともに、その伝動構造の簡素化によって、刈取穀稈とともに搬送される泥や雑草などの刈り取り搬送経路から下方への通過性を良くすることができて、刈り取り搬送経路に泥や雑草などが堆積することに起因した刈取穀稈の搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルを効果的に招き難くすることができるようになっている。
【0035】又、左側の第2伝動軸17に連動連結される左側の第2搬送装置10には、係止搬送機構10Bを備えるとともに左側の第1搬送装置9を連動連結し、右側の第2伝動軸17に連動連結される右側の第2搬送装置10には、係止搬送機構10Bを備える代わりに右側の第1搬送装置9と中央の第1搬送装置9とを連動連結するようにしていることから、左右の第2伝動軸17にかかる伝動負荷の均衡化を図れるようになっている。
【0036】図4及び図6に示すように、刈取装置8は、その可動刃(図示せず)が、第1伝動軸16にベベルギヤ19を介して伝動連結されたクランク軸20に連係されている。つまり、刈取装置8には第1伝動軸16からの動力を伝達するようにしている。
【0037】図1,図2及び図4に示すように、第3搬送装置11は、カウンタ軸14の左端部にベベルギヤ21を介して伝動連結された第3伝動軸22に、挾持搬送機構11Aの駆動スプロケット11aと係止搬送機構11Bの駆動スプロケット11eが一体回転するように外嵌装着されている。つまり、第3搬送装置11には、カウンタ軸14からの動力を第3伝動軸22を介して伝達するようにしている。
【0038】又、第3搬送装置11は、図外の電動操作機構の作動で後部支点となるカウンタ軸14の軸芯P周りで揺動するように構成されている。この構成から、第3搬送装置11を軸芯P周りに揺動操作することによって、第1搬送装置9及び第2搬送装置10により搬送される刈取穀稈に対する第3搬送装置11の前端側の位置を刈取穀稈の稈長方向で調節することができ、これによって、刈取穀稈長さなどに応じた脱穀装置3に対する刈取穀稈穂先側の導入長さを調節できるようになっている。つまり、第3搬送装置11は、その後端部に設定された軸芯P周りでの揺動で脱穀装置3による刈取穀稈の扱深さを調節する扱深さ調節機構として機能するように構成されている。
【0039】これによって、第3搬送装置11を、その前端近傍に位置する第1伝動軸16などに伝動軸などを介して連動連結し、その伝動軸の軸芯周りに扱深さ調節揺動可能に構成した場合に生じる、刈取穀稈とともに搬送される泥や雑草などの刈り取り搬送経路から下方への通過性の悪化を回避でき、もって、それに起因した刈取穀稈の搬送不良や搬送詰まりなどの搬送トラブルを招き難くすることができるようになっている。
【0040】又、第3搬送装置11は、通常、刈取穀稈が短い場合には下降揺動操作され、逆に、刈取穀稈が長い場合には上昇揺動操作されることによって、刈取穀稈が短いことに起因した浅扱きの発生や、刈取穀稈が長いことに起因した深扱きの発生を防止するようになることから、第3搬送装置11の係止搬送機構11Bにおける前部側部分を係止搬送機構10Bに兼用する右側の第2搬送装置10においては、刈取穀稈の寄せ集め搬送を刈取穀稈の長さに関係なく好適に行えるようになり、又、これに対し、左側の第2搬送装置10においては、先述のように上下2段の係止搬送機構11Bを備えることから、刈取穀稈の寄せ集め搬送を刈取穀稈の長さに関係なく好適に行えるようになっている。
【0041】図1及び図5〜7に示すように、カウンタ軸14や主伝動軸15などの引起装置7、刈取装置8、第1搬送装置9、第2搬送装置10、及び、第3搬送装置11に対する各伝動系は刈取フレーム12に内装されている。つまり、刈取フレーム12は、それらの伝動系を外囲する伝動ケースに兼用可能に構成されている。そのため、刈取フレーム12において、左右の第2伝動軸17の下部軸部分17bを外囲する伝動ケースとなるフレーム部分12Aには、第2搬送装置10の突起付き回動チェーン10dの挿通を許容する開口12aを形成し、この開口12aから、下部軸部分17bに装着された駆動スプロケット10aに突起付き回動チェーン10dを巻き掛けるようにしている。
【0042】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ コンバインとしては、4条以上の刈り取り作業を行うように構成されたものであってもよい。
■ 左右の第2搬送装置10を左右対称形状にして、部品の共用化による部品管理の容易化や製造コストの低減化を図るようにしてもよい。
■ 開口12aからの異物の入り込みを確実に防止するシール部材を設けるようにしてもよい。
■ 右側の第2搬送装置10を、挾持搬送機構10Aによる挾持搬送作用と、上下2段の係止搬送機構10Bによる係止搬送作用とから刈取穀稈の寄せ集め搬送を行うように構成するとともに、第3搬送装置11の前部側が、右側の第2搬送装置10の係止搬送機構10Bとして機能しないように構成してもよい。
■ 左右の各第2搬送装置10に係止搬送機構10Bを備える構成においては、係止搬送機構10Bの第1回動チェーン10g又は第2回動チェーン10mを、第2搬送装置10の搬送帯として左右両端の第2伝動軸17に巻き掛けるようにしてもよい。
■ 左右両端の各第2伝動軸17に、それらから動力を取り出すための専用の出力軸を並設し、第2搬送装置10に対する伝動を、それらの出力軸などを介して間接的に行うように構成してもよい。
■ 左右両端の第2伝動軸17を、第1伝動軸16に対して直角に設けられる単一の伝動軸による非分割構造に構成してもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年2月5日(1999.2.5)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−224912(P2000−224912A)
【公開日】 平成12年8月15日(2000.8.15)
【出願番号】 特願平11−28291