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【発明の名称】 刈取機の刈取部構造
【発明者】 【氏名】金井 芳秀

【氏名】南 照男

【氏名】前田 一郎

【氏名】岸本 貴史

【要約】 【課題】刈刃の左右往復駆動に伴う振動の発生をより一層抑制することのできる刈取機の刈取部構造を提供する。

【解決手段】複数の受刃12と刈刃13とをそれぞれ左右に並設するとともに、前記受刃12に対して前記刈刃13を摺接する状態で左右に往復駆動して切断作動するように構成し、該刈刃13を往復動するクランク機構16を設け、該クランク機構16のクランク軸18の回転向きとは逆向きに回転する状態でクランク軸18と連動されるカウンタ軸36を設け、該カウンタ軸36に刈刃横移動に対抗するバランスウエイト38を設けてある刈取機の刈取部構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の受刃と刈刃とをそれぞれ左右に並設するとともに、前記受刃に対して前記刈刃を摺接する状態で左右に往復駆動して切断作動するように構成し、該刈刃を往復動するクランク機構を設け、該クランク機構のクランク軸の回転向きとは逆向きに回転する状態でクランク軸と連動されるカウンタ軸を設け、該カウンタ軸に刈刃横移動に対抗するバランスウエイトを設けてある刈取機の刈取部構造。
【請求項2】 前記クランク軸及びカウンタ軸を前後方向に沿う軸芯周りで回転駆動するように構成してある請求項1に記載の刈取機の刈取部構造。
【請求項3】 前記クランク軸と前記カウンタ軸とをベベルギア機構を介して同芯状に配置してある請求項1又は2に記載の刈取機の刈取部構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばコンバインやバインダ等の刈取機の刈取部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の刈取機の刈取部構造では、例えば特開平10‐164952号公報に開示されているように、複数の受刃と刈刃とをそれぞれ左右に並設するとともに、前記受刃に対して前記刈刃を摺接する状態で左右に往復駆動して切断作動するように構成し、該刈刃を往復動するクランク機構を設け、このクランク機構のクランク軸に刈刃の往復動とは左右方向で逆向きの移動がなされるウエイトを設けるようにしたものが周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の刈取機の刈取部構造にあっては、左右方向での刈刃の移動方向における振動、及びこれに起因する騒音の抑制を図ることができるものの、この左右方向とクランク軸の軸芯方向と直交する方向でもウエイトの作用が働くので、例えばクランク軸の軸芯方向が前後方向に沿うものであれば、上下方向でもウエイトが往復動するものとなっていることで、そのウエイトの上下方向での作動によってクランク軸自身に作用する上下方向での力を相殺する構造を有していなかった。従って、そのウエイトによる上下方向の力がクランク軸に作用してクランク軸が振動する虞れがあり、それに起因して騒音が発生する虞れがあった。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、刈刃の駆動に伴う振動の発生をより一層抑制することのできる刈取機の刈取部構造の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】(構成) 本発明の請求項1にかかる刈取機の刈取部構造は、複数の受刃と刈刃とをそれぞれ左右に並設するとともに、前記受刃に対して前記刈刃を摺接する状態で左右に往復駆動して切断作動するように構成し、該刈刃を往復動するクランク機構を設け、該クランク機構のクランク軸の回転向きとは逆向きに回転する状態でクランク軸と連動されるカウンタ軸を設け、該カウンタ軸に刈刃横移動に対抗するバランスウエイトを設けてあることを特徴構成とする。
【0006】(作用) 本発明の請求項1にかかる構成によれば、刈刃を左右に往復駆動するためのクランク軸の回転向きとは逆向きに回転するカウンタ軸を設け、該カウンタ軸がクランク軸と連動する状態でそのカウンタ軸に刈刃横移動に対抗するバランスウエイトを設けているから、クランク軸の回転向きとは逆向きの位相でクランク軸に対してバランスウエイトの慣性力が作用することになり、図8(イ)に例示するように、クランク軸18側に設けられるウエイト24に対してバランスウエイト36は、上下方向において互いに逆向きに移動することで、クランク軸における上下方向での振動の発生を抑制するとともに、図8(ロ)に例示するように、左右方向での移動は、ウエイト24とバランスウエイト36とが同じであるので、刈刃9に対するカウンタウエイトとしての作用は単にウエイト24のみを設けている場合よりも倍増することになる。
【0007】(効果) 従って、本発明の請求項1にかかる構成によれば、刈刃の横移動と直交する方向、つまり上下方向或いは前後方向でのクランク軸に対して振動が発生しにくくなるよう、クランク軸に働くウエイト等からの力を相殺することになって、クランク軸での振動発生による騒音の発生を抑制でき、その耐久性も振動発生の抑制で高めることができる。また、刈刃を往復横移動させるときのカウンタウエイトとしての作用が増大することから、ウエイトの軽量化も図ることが可能となり、この点からもクランク軸に対する振動の発生の抑制を図ることができるものとなっている。
【0008】(構成) 本発明の請求項2にかかる刈取機の刈取部構造は、請求項1に記載のものにおいて、前記クランク軸及びカウンタ軸を前後方向に沿う軸芯周りで回転駆動するように構成してあることを特徴構成とする。
【0009】(作用) 本発明の請求項2にかかる構成によれば、クランク軸及びカウンタ軸を前後方向に沿う軸芯周りで回転駆動するように構成してあるから、バランスウエイトはクランク軸及びカウンタ軸に対して上下方向での振動の発生が抑制できるものとなって機能する。
【0010】(効果) 従って、本発明の請求項2にかかる構成によれば、前後軸芯周りで回転駆動されるクランク軸及びカウンタ軸における上下方向での振動の発生が抑制されることで、クランク軸及びカウンタ軸での不当な騒音の発生を抑制でき、その耐久性を高めるに至った。
【0011】(構成) 本発明の請求項3にかかる刈取機の刈取部構造は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記クランク軸と前記カウンタ軸とをベベルギア機構を介して同芯状に配置してあることを特徴構成とする。
【0012】(作用) 本発明の請求項3にかかる構成によれば、クランク軸とカウンタ軸とがベベルギア機構を介して同芯状に配置していることで、クランク軸と連動するカウンタ軸の配置をコンパクトにできる。
【0013】(効果) 従って、本発明の請求項3にかかる構成によれば、クランク軸及びカウンタ軸等の配置をコンパクトにできることで、クランク軸等への伝動構造も簡単なものにできる利点がある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、刈取機の一例としてのコンバインを示している。該コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1,1で支持される機体フレーム2の前端部に横軸芯P周りで上下揺動自在に刈取前処理装置3を装着するとともに、機体フレーム2に、脱穀装置4、搭乗運転部5、グレンタンク6等を搭載装備して構成している。
【0015】そして、刈取前処理装置3は、前記横軸芯P周りで揺動自在に機体フレーム2に支持される刈取部フレームFの前端に固定分草具7、固定分草具7で分草された穀稈を引起す引起し装置8、引起された穀稈の株元を切断して刈り取る刈取装置9、刈り取られた穀稈を合流させて後方の脱穀装置4へ搬送する搬送装置10等を備えて構成している。
【0016】図2乃至図4に示すように、刈取装置9は、刈取部フレームFにおける前記固定分草具7を取りつけるための前方に延出した支持フレームF1‥にわたって取り付けられた受刃台11に固定される受刃12と、これに対して左右に摺動自在な刈刃13と、これに取付ステー14を介して固定されるナイフヘッド15とで構成されている。ナイフヘッド15は、平面視で後向き開放のコの字状に折り曲げられた板材で構成され、クランク機構16に前後軸芯X周りで回動自在に支持されたベアリングローラ17を、その外径が丁度ナイフヘッド15に内嵌合するようにしている。クランク機構16は、クランク軸としての刈刃駆動軸18の先端に、刈刃クランク19を溶接して構成しており、その刈刃クランク19にベアリングローラ17を回転自在に支承している。
【0017】図2及び図3等に示すように、刈刃13と取付ステー14とは、受刃12の後端面に摺接するナイフバーとしてのスライダー20を伴ってリベット等で一体化され、刈刃13を抑えるナイフクリップ21と共に締め上げ固定されるすらし板22がスライダー20の後端面に摺接するようにして、刈刃13を前後上下に位置決めされて左右にのみ摺動移動するように構成している。
【0018】そして、受刃台11の後縁に、ナイフヘッド15が前方に入り込む凹部23を形成してあり、ベアリングローラ17すなわち刈刃クランク19がその凹部23に入り込む状態に配置構成されている。又、刈刃駆動軸18の軸芯Qがナイフヘッド15の上下のほぼ中央に位置させている。
【0019】又、刈刃クランク19は、回転軸芯Qに関してベアリングローラ17装着部の反対側に、軸芯方向に膨出したウエイト部24を備えた円盤状に形成されており、刈刃クランク19の回転に伴う振動を軽減するバランサーとして、かつ、回転に伴う負荷変動を円滑化するフライホイールとしても機能するようになっている。
【0020】次に、刈取装置9への伝動構造について説明する。図3に示すように、前記引起し装置8の上部側からの伝動軸25を前傾した伝動ケース26に内装し、該伝動軸25の下部を横向き伝動ケース27に軸受支持している。尚、刈取穀稈を後方に掻き込む掻き込み回転体10a等の支持を伝動ケース26で行っている。伝動軸25の横向き伝動ケース27内に臨む下端部には、小径ベベルギア28を一体に設けている。この小径ベベルギア28と歯合する第2小径ベベルギア29を前記刈刃駆動軸18に一体に設けている。従って、刈刃駆動軸18への動力は引起し装置8への伝動と連動する伝動軸25より伝達され、刈取装置9がそれによって往復駆動される。
【0021】そして、図2乃至図4に示すように、第2小径ベベルギア29より刈取装置9寄り位置に刈刃駆動軸18と一体回転する第1大径ベベルギア30が設けられている。図4に示すように、この第1大径ベベルギア30に歯合する第2大径ベベルギア31を、横向き伝動ケース27に支承される横向き伝動軸32に一体回転するように設けている。さらに、第2大径ベベルギア31に歯合する第3大径ベベルギア33を、前記刈刃駆動軸18と同軸芯で回転駆動されるカウンタ軸34と一体回転するように設けている。このカウンタ軸34は、一端側を刈刃駆動軸18の端部小径部に遊転自在に外嵌し、他端側を横向き伝動ケース27に外方に延出する状態で支承している。このカウンタ軸34の外方に延出された箇所には、カウンタバランス用のバランスウエイト35を一体回転可能に設けている。このバランスウエイト35は、刈刃駆動軸18の回転向きとは逆向きに回転するものとなっており、前記刈刃クランク19と同様に円盤状に形成されているとともに、カウンタ軸34に対して偏ったウエイト部36を設けている。さらに、図8(イ)に原理的に例示するように、バランスウエイト35におけるウエイト部36は、刈刃9が左右往復動の丁度中間となる状態のとき、刈刃クランク19のウエイト部24とは前記軸芯Qを中心とする上下での背反的な位置関係となるように設定しているとともに、ベアリングローラ17に対しては、ウエイト部36が逆回転ながらも上下方向で同じ位置側となるように設定している。そして、図8(ロ)に原理的に例示するように、刈刃9が左右往復動の端部に達している瞬間においては、刈刃クランク19のウエイト部24とバランスウエイト35のウエイト部36とがそれぞれ左右方向での同じ側に有って、互いに上下方向で逆向きに移動しているように設定しているとともに、ベアリングローラ17に対しては、左右方向で互いに逆に位置するように設定している。このようにバランスウエイト35のウエイト部36を設けることによって、ベアリングローラ17がナイフヘッド15に対して下方又は上方へ移動する際に刈刃クランク19のウエイト部24とは逆の上下方向に移動し、同じくバランスウエイト35のウエイト部36も上下方向の動きに関してベアリングローラ17と一致することになって、カウンタ軸34と同軸芯となる刈刃駆動軸18に対してバランスウエイト35は刈刃クランク19とは上下逆向きの回転力が作用するものとなっているからそのバランスウエイト35と刈刃クランク19のウエイト部24との刈刃駆動軸18に対して作用する上下方向での力が互いに相殺する状態となって、刈刃駆動軸18における振動の発生を抑制することになる。一方、左右方向でのバランスウエイト35と刈刃クランク19のウエイト部24の移動の向きは同じになっているので、バランスウエイト35と刈刃クランク19とによる回転に伴う左右方向での負荷変動を円滑化するフライホイールとしての機能は、刈刃クランク19のみが設けられている場合よりも刈刃9に対して倍増したものとして働く。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年2月5日(1999.2.5)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−224910(P2000−224910A)
【公開日】 平成12年8月15日(2000.8.15)
【出願番号】 特願平11−28290