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【発明の名称】 ハンドレバ―装置
【発明者】 【氏名】佐々木 一夫

【氏名】山田 成章

【要約】 【課題】高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらに、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にする。

【解決手段】メインレバー30と、任意の回動操作位置にて不動状態で保持されるサブレバー50と、該サブレバーにより回動せしめられる回動係止部材60と、を備え、被駆動部材CVを引っ張るためのケーブル類17、45が、概略クランク状乃至Z字状を呈するように、回動係止部材60に設けられた第一係止部65及び第二係止部66に順次架け回されるようにしてメインレバー30に連結されていて、メインレバー及びサブレバーを回動させることによって、ケーブル類をそれぞれ個別に引っ張るようにされてなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回動操作されるメインレバー(30)と、回動操作されるとともに、任意の回動操作位置にて不動状態で保持されるサブレバー(50)と、該サブレバー(50)により回動せしめられる回動係止部材(60)と、を備え、被駆動部材(CV)を引っ張るためのケーブル類(17、45)が、概略クランク状乃至Z字状を呈するように、前記回動係止部材(60)に設けられた第一係止部(65)及び第二係止部(66)に順次架け回されるようにして前記メインレバー(30)に連結されていて、前記メインレバー(30)及び前記サブレバー(50)を回動させることによって、前記ケーブル類(17、45)をそれぞれ個別に引っ張るようにされてなることを特徴とするハンドレバー装置。
【請求項2】 前記サブレバー(50)に前記回動係止部材(60)が直結されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドレバー装置。
【請求項3】 前記回動係止部材(60)は、有底円筒状とされていて、その周側部(63)に前記第一係止部及び第二係止部となる、厚み方向に丸みが付けられた第一係止穴(65)及び第二係止穴(66)が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンドレバー装置。
【請求項4】 前記第一係止部及び第二係止部は、ピン又はローラ(67、68)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハンドレバー装置。
【請求項5】 前記サブレバー(50)により前記回動係止部材(60)が歯車機構(70)を介して回動せしめられるようにされていることを特徴とする請求項1に記載のハンドレバー装置。
【請求項6】 前記歯車機構(70)は、少なくとも一組の楕円歯車列(71、72)、四角歯車列等の変形歯車列を含んで構成されていることを特徴とする請求項5に記載のハンドレバー装置。
【請求項7】 前記歯車機構(70)は、減速機構を構成していることを特徴とする請求項5又は6に記載のハンドレバー装置。
【請求項8】 前記被駆動部材が、内燃機関(2)のスロットル弁(CV)であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のハンドレバー装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のスロットル弁等の被駆動部材をケーブルを介して操作するためのハンドレバー装置に係り、特に、ヘッジトリマーや刈払機等の作業機におけるハンドルのグリップ部近傍に配設されてスロットルケーブルを通じて前記スロットル弁を開閉操作するのに好適なハンドレバー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、内燃機関により刈刃等の作業部を駆動するようにされているヘッジトリマーや刈払機等の作業機においては、前記内燃機関の出力を手元で調節するため、それに備えられているU形ハンドルやバーハンドル等のグリップ部近傍に、前記内燃機関のスロットル弁の開度を調節するハンドレバー装置が配設されている。
【0003】このハンドレバー装置は、通常、作業者の手指で操作されるスロットルトリガ(スロットルレバー)を備えており、このスロットルレバーを揺動操作することにより、スロットルケーブルを介して前記スロットル弁の開度を調節するようにされている。前記スロットル弁は、通常、常時最小開度(アイドル回転開度)方向に付勢されていて、非操作状態ではアイドル回転開度で保持され、前記スロットルケーブルが所定長以上引っ張られたときに遊びが無くされて、前記アイドル回転開度から高速回転側へ開き始めるようにされる。
【0004】このようなスロットル弁の開度調節用のハンドレバー装置としては、前記スロットルレバーを回動操作状態から解放したときに、該レバーを自動的に前記スロットル弁と共に元の位置(アイドル回転開度)に戻すようにした自動アイドル回転開度復帰タイプのものと、手指を離してもスロットルレバーを所望の回動操作位置にて常時不動状態で保持し得るようにした固定タイプのもの、とが知られている(実公昭57−19944号公報等を参照)。
【0005】前記自動復帰タイプのものは、スロットルレバーから指を離せば機関が自動的にアイドリング状態に戻り、機関回転駆動力を遠心クラッチを介して刈刃等からなる作業部に伝達するようにした作業機であれば、前記遠心クラッチが遮断状態となって作業部への動力伝達が自動的に断たれるので、不測の事態が生じた際には即座にスロットル弁をアイドル回転開度に戻して作業部を停止させることができ、安全性が高められるという利点が得られる反面、スロットルレバーを常時手指で保持して所望の回動操作位置に維持しなければならないので、中間開度が使いづらい、手指が疲れる、操作量(回転数)が一定しない、等の問題が生じる。
【0006】一般に、使い勝手を考慮すると、スロットルレバー等の、手指によって操作される回動操作レバーは、中間開度をとらせることなく解放位置とセット位置(握り位置)との二位置のみをとらせるようになすことが望ましく、スロットル弁を中間開度(パーシャル開度)にするときも全開(WOT)にするときも、同一の回動操作位置(セット位置)とする方が操作性に優れると考えられる。
【0007】一方、前記固定タイプのものは、前記自動アイドル回転開度復帰タイプの問題を解消し得、スロットルレバーを常時所望の回動操作位置に手離しでも不動状態に保持しておくことができるので、手指が自由になって作業を楽に行える等の利点は得られるものの、不測の事態が生じた際には、スロットルレバーの位置保持機能を解除する別操作が必要となり、即座に作業部を停止させることができないので、安全性の面では前記自動アイドル回転開度復帰タイプのものより劣るという問題があった。
【0008】また、前記したいずれのタイプも、スロットルレバーを一旦解放して作業を中断した後、作業を再開すべくスロットル弁を先の開度に戻す(刈払機等の作業機ではこのようなことが多い)には、スロットルレバーの回動操作位置を再調整しなければならず、操作が面倒である等、操作性の面でも改善の余地が残されていた。
【0009】前記のようなハンドレバー装置に関する従来の問題及び課題を解消ないし達成すべく、本発明の出願人は、先に、例えば、特開平8−303262号公報に所載のように、回動操作されるメインレバーとサブレバーとを有し、被駆動部材に連結されたケーブルをプーリ等の折返し部材を介して前記メインレバーで引っ張るようにされ、かつ、前記サブレバーにより前記折返し部材を移動させるようにしたハンドレバー装置を提案している。
【0010】かかるハンドレバー装置によれば、被駆動部材としてのスロットル弁等の開度をケーブルを介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にできる等、の利点が得られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記提案のハンドレバー装置においても、構成の簡素化、コンパクト化、軽量化、部品点数の削減及び低コスト化、組付け・組み立て性や操作性の向上等の改善すべき課題が残っていた。特に、被駆動部材が内燃機関のスロットル弁(通常は円板状)である場合、その特性上、サブレバーの回動操作初期及び終期、言い換えれば、スロットル弁がアイドル回転開度近く及び最大開度近くにあるときには、サブレバーの回動操作に対してスロットル弁の開口量の変化度合いが小さく、反応が鈍感であるのに対し、サブレバーの回動操作中期、言い換えれば、スロットル弁が中間開度(中心開度付近)にあるときには、サブレバーの回動操作に対してスロットル弁の開口量の変化度合いが極めて大きく、反応が鋭敏となるいう制御上及び操作(感度調節)上の問題があった。
【0012】本発明は、前記課題乃至問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、被駆動部材としてのスロットル弁等の開度をケーブルを介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらに、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にでき、しかも、構成の簡素化、コンパクト化、軽量化、部品点数の削減及び低コスト化、組付け・組み立て性の向上等を図り得ると同時に、制御特性及び操作性を向上させることができるようにされたハンドレバー装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成すべく、本発明に係るハンドレバー装置は、基本的には、回動操作されるメインレバーと、回動操作されるとともに、任意の回動操作位置にて不動状態で保持されるサブレバーと、該サブレバーにより回動せしめられる回動係止部材と、を備え、被駆動部材CVを引っ張るためのケーブル類が、概略クランク状乃至Z字状を呈するように、前記回動係止部材に設けられた第一係止部及び第二係止部に順次架け回されるようにして前記メインレバーに連結されていて、前記メインレバー及び前記サブレバーを回動させることによって、前記ケーブル類をそれぞれ個別に引っ張るようにされてなる。本発明の好ましい態様では、前記サブレバーに前記回動係止部材が直結される。
【0014】前記回動係止部材は、円盤状、棒状等、その形状は限定されないが、好ましい態様では、有底円筒状とされていて、その周側部に前記第一係止部及び第二係止部となる、厚み方向に丸みが付けられた第一摺動係止穴及び第二摺動係止穴が形成される。さらに他の好ましい態様では、前記第一係止部及び第二係止部は、ピン又はローラーとされる。本発明に係るハンドレバー装置の典型的な、しかし限定的ではない用途としては、内燃機関のスロットル弁の開度調節に使用する場合が挙げられる。
【0015】このような構成とされた本発明に係るハンドレバー装置の好ましい態様においては、レバー操作が円滑に行われるようにすべく、例えば、前記スロットルケーブルに柔軟性のある紐が繋着され、この紐が概略クランク状乃至Z字状を呈するように、前記回動係止部材の第一係止部及び第二係止部に架け回される。そして、前記メインレバーが開放位置からハンドルのグリップ部に近接するセット位置まで回動操作されると、このときは、前記サブレバー及び前記回動係止部材は初期位置で不動状態であるので、前記紐と前記スロットルケーブルとは、前記回動係止部材を介して所定長引っ張られて、前記遊びが無くされる。
【0016】次いで、前記メインレバーを前記セット位置に保持したまま、前記サブレバーを例えば後方側に向けて任意の回動操作角度だけ引くと、前記回動係止部材が前記回動操作角度に対応する角度分だけ回動せしめられ、これに伴い、前記紐が架け回されている前記第一係止部及び前記第二係止部の位置が変化して、前記紐は、例えば概略クランク状の状態からZ字を描く方向に変形移動せしめられ、これによって、前記スロットルケーブルが引っ張られて、前記スロットル弁が最小開度(アイドル回転開度)から開方向に移動せしめられてその開度が調節される。
【0017】ここで、前記サブレバーを解放しても、該サブレバーは、そのままそのときの操作位置にて不動状態で保持され、前記スロットル弁はその調節開度(設定開度)で保持される。これにより、手指の負担が軽減される。前記のようにしてスロットル弁の開度を調節した状態で、例えば不測の事態が生じる等して直ちに機関の回転数を大幅に低下させたいときには、前記メインレバーを解放する。それにより、前記スロットルケーブルは常時スロットル弁閉方向に付勢されているので、前記回動係止部材の前記第一係止部及び前記係止部上を滑動通過するので、前記紐及び前記スロットルケーブルが前記非操作状態に戻されて前記スロットル弁が前記アイドル回転開度に戻り、前記内燃機関はアイドリング状態となる。
【0018】ここで、機関回転駆動力を遠心クラッチを介して刈刃等からなる作業部に伝達するようにした作業機であれば、前記遠心クラッチが遮断状態となって前記作業部への動力伝達が断たれるので、刈刃等の作業部が直ちに停止せしめられる。このように一旦前記メインレバーを解放した後、再びそのメインレバーを前記グリップ部に近接するセット位置まで回動操作すると、前記スロットルケーブルの遊びが無くされ、前記サブレバーは先の操作位置に保持されたままなので、前記スロットル弁が前記メインレバーが解放される前の開度に再び戻され、前記サブレバーの再調節は不要となる。
【0019】このように、本発明に係るハンドレバー装置においては、被駆動部材としてのスロットル弁の開度をケーブルを介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にできる。また、従来装置における自動復帰タイプメインレバー及び固定タイプサブレバーの組み合わせに、第一係止部及び第二係止部が設けられた回動係止部材を付加するだけよいので、構成が簡素となり、コンパクト化、軽量化、部品点数の削減及び低コスト化を図ることができるとともに、組付け・組み立て性の向上等も図ることができる。
【0020】一方、本発明に係るハンドレバー装置の他の好ましい態様では、前記サブレバーにより前記回動係止部材が歯車機構を介して回動せしめられるようにされる。この場合、好ましくは、前記歯車機構は、少なくとも一組の楕円歯車列、四角歯車列等の変形歯車列を含んで構成される。さらに好ましくは、前記歯車機構は、減速機構を構成する。
【0021】前記のように、少なくとも一組の楕円歯車列、四角歯車列等の変形歯車列を含む歯車機構を介して前記サブレバーにより前記回動係止部材を回動させることによって、駆動側(サブレバー側)の楕円歯車に対する従動側(回動係止部材側)の楕円歯車の回転比(ギア比)を一定の角度範囲内において連続的に変化させることができるので、それらの歯車の噛合位置を適切に調節しておく、例えば、前記サブレバーが中間開度(中心開度)にある状態では、駆動側の楕円歯車の長径部に従動側の楕円歯車の短径部を噛合させておく等することで、前記サブレバーの回動操作初期及び終期、言い換えれば、前記スロットル弁がアイドル回転開度近く及び最大開度近くにあるときには、前記サブレバーの回動操作に対して前記スロットル弁の開口量の変化度合いが大きくなって、反応が鋭敏となり、前記サブレバーの回動操作中期、言い換えれば、前記スロットル弁が中間開度(中心開度付近)にあるときには、前記サブレバーの回動操作に対して前記スロットル弁の開口量の変化度合いが小さくなって、反応が鈍感となり、その結果、前記サブレバーの全操作領域において前記スロットル弁の開口量が均一化され、制御特性及び操作性(感度)を向上させることができる。また、前記歯車機構を減速機構として構成すれば、前記サブレバーの操作領域を広げることができ、さらに操作性の向上が図られる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係るハンドレバー装置の第一実施形態が採用された刈払機の一例を示している。図示例の刈払機1は、所定間隔をあけてグリップ部11,12が並設された筒状のバーハンドル(操作桿)7の先端側に刈刃13や安全カバー14等からなる作業部3が設けられ、後端側には、前記刈刃13を前記バーハンドル7に内挿されたドライブシャフト8(図3)を介して駆動する動力源としての、リコイルスターター6や燃料タンク4が付設された内燃機関(小型空冷2サイクルガソリンエンジン)2が配備されており、この内燃機関2に気化器スロットル弁CVや点火プラグ5が備えられている。
【0023】本実施形態では、前記スロットル弁CVが、常時最小(アイドル回転)開度方向に付勢されていて、それに接続されている後述のスロットル(インナー)ケーブル17(図2)が、非操作状態から所定長以上引っ張られたときに遊びが無くされて、前記最小開度から開き始めるようにされている。そして、前記グリップ11,12のうちの、通常は右手で握る後側のグリップ部11近傍に、前記スロットル弁CVの開度を調整すべく、本実施形態のハンドレバー装置10が取り付けられている。
【0024】前記ハンドレバー装置10は、前記バーハンドル7の前記後グリップ部11近傍に外嵌固定されたケース部材20を有し、該ケース部材20に、前記スロットル弁CVに連結されたボーデンケーブル15のアウターチューブ16に挿通された前記スロットルケーブル17を引っ張るメインレバー30が回動可能に保持されされている。前記ケース部材20は、合成樹脂製の右側カバーケース21及び左側カバーケース22からなる二分割構造となっている。
【0025】前記右側カバーケース21及び前記左側カバーケース22は、それぞれ概略角皿状の外観を有しており、それらに挿入螺合せしめられた4本のビス24により、前記バーハンドル7を挟むように外嵌固定されている。前記ケース部材20に回動自在に保持された前記メインレバー30は、合成樹脂製とされ、図2を参照すればよくわかるように、前記後グリップ部11の下面に近接するように手指で回動操作される直線状の操作部31、支軸35に緩く外嵌された回動基部32、及び該回動基部32から斜め上に伸びる回動レバー部33からなっている。
【0026】また、図3を参照すればよくわかるように、前記右側カバーケース21の外側にはサブレバー50が、また、その内側には有底の短円筒カップ状の回動係止部材60が配置されている。前記サブレバー50の基端部50aには、前記右側カバーケース21に設けられた軸受穴26に回動自在に支持された支軸部51の非円形断面の外端部51aが挿入されてビス55で締付固定され、前記支軸部51の内端部は前記回動係止部材60の底部60aに一体的に連結されている。
【0027】また、前記サブレバー50と前記右側カバーケース21との間には、前記支軸部51に外嵌された状態でバネワッシャ57が介装されており、前記ビス55を前記支軸部51側に強く締め付けることによって、前記サブレバー50、前記バネワッシャ57、前記右側カバーケース21、及び前記回動係止部材60間に摩擦力を生ぜしめ、これによって、適度の摩擦係止力を付与し、前記サブレバー50を任意の回動操作位置にて不動状態で保持するようになっている。一方、前記回動係止部材60の周側部63には、図2を参照すればよくわかるように、前記支軸部51の回動中心点を通る直線上に対称的に、厚み方向に丸みが付けられた砂時計状の第一係止穴65及び第二係止穴66が設けられている。
【0028】また、前記ボーデンケーブル15の前記アウターチューブ16の先端部は、前記カバーケース20の後端下隅部に設けられた係止部23で係止されており、前記スロットルケーブル17の先端部にはフック19が固着されている。そして、レバー操作が円滑に行われるようにすべく、前記フック19に、ナイロンコード等の適宜の柔軟性のある紐45の一端部45aが繋着され、前記紐45は、概略クランク状乃至Z字状を呈するように、前記回動係止部材60に設けられた前記第一係止穴65及び前記第二係止穴66に順次架け回されて、その他端部45bが、前記メインレバー30の前記回動レバー部33の上端部付近に繋着されている。
【0029】かかる構成とされた本実施形態のハンドレバー装置10においては、前記後グリップ部11を手指で握った状態で、前記メインレバー30が開放位置(図2の実線)から前記バーハンドル7の前記後グリップ部11に近接するセット位置(図2の仮想線)まで回動操作されると、このときは、前記サブレバー50及び前記回動係止部材60は初期位置にあって、かつ、不動状態であるので、前記紐45と前記スロットルケーブル17とは、前記回動係止部材60を介して所定長引っ張られて、前記遊びが無くされる。
【0030】次いで、前記メインレバー30を前記セット位置に保持したまま、図4に示される如くに、前記サブレバー50を後方側に向けて任意の回動操作角度だけ引くと、前記回動係止部材60が前記回動操作角度に対応する角度分だけ回動せしめられ、これに伴い、前記紐45が架け回されている前記第一係止穴65及び前記第二係止穴66の位置が変化して、前記紐45は、例えば概略クランク状の状態(図2の状態)からZ字を描く方向に変形移動せしめられ、これによって、前記スロットルケーブル17が更に引っ張られ、前記スロットル弁CVが最小開度(アイドル回転開度)から開方向に移動せしめられて、その開度が調節される。
【0031】ここで、前記サブレバー50から指を放しても、該サブレバー50は、そのままそのときの操作位置にて不動状態で保持され、前記スロットル弁CVはその時の調節開度(設定開度)で保持される。これにより、手指の負担が軽減される。前記のようにしてスロットル弁CVの開度を調節した状態で、例えば不測の事態が生じる等して直ちに前記内燃機関2の回転数を大幅に低下させたいときには、前記メインレバー30を解放する。それにより、前記スロットルケーブル17は常時スロットル弁閉方向に付勢されているので、前記紐45及び前記スロットルケーブル17が前記非操作状態に戻されて、前記スロットル弁CVが前記アイドル回転開度に戻り、前記内燃機関2はアイドリング状態となる。
【0032】ここで、機関回転駆動力を遠心クラッチを介して刈刃等からなる作業部に伝達するようにした作業機であれば、前記遠心クラッチが遮断状態となって前記作業部への動力伝達が断たれるので、刈刃等の作業部が直ちに停止せしめられる。このように、一旦前記メインレバー30を解放した後、再びそのメインレバー30を前記後グリップ部11に近接するセット位置まで回動操作すると、前記スロットルケーブル17の遊びが無くされ、前記サブレバー50は先の操作位置に保持されたままなので、前記スロットル弁CVが前記メインレバー30が解放される前の開度に再び戻され、前記サブレバー50の再調節は不要となる。
【0033】このように、本実施形態のハンドレバー装置10においては、被駆動部材としてのスロットル弁CVの開度をケーブル17を介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらには、スロットル弁CVをアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にできる。また、従来装置におけるメインレバー及びサブレバーを組み合わせた構成に、第一係止穴65及び第二係止穴66が設けられた回動係止部材60を付加するだけよいので、構成が簡素となり、コンパクト化、軽量化、部品点数の削減及び低コスト化を図ることができるとともに、組付け・組み立て性の向上等も図ることができる。なお、前記回動係止部材60は、それで係止する前記の紐45の材質に対して滑り摩擦抵抗が小さい、適宜のプラスチック材等で一体成形せしめたものを用いると、好適である。
【0034】図5〜図8は、本発明に係る第二実施形態のハンドレバー装置10’を示す。各図において、前述した第一実施形態のハンドレバー装置10の各部に対応する部分には同一の符号を付してそれらの重複説明を省略する。図示の第二実施形態のハンドレバー装置10’においては、前記サブレバー50により回動係止部材61が、一組の楕円歯車71、72列を含む歯車機構70を介して回動せしめられるようにされ、かつ、前記歯車機構70は、減速機構を構成するようになっている。
【0035】すなわち、図5及び図6を参照すればよくわかるように、前記サブレバー50の基端部5aには、前記右側カバーケース21に設けられた軸受穴26に回動自在に支持された鍔状部51b付き第一支軸部51の非円形断面外端部51aが挿入されてビス55で締付固定され、前記第一支軸51の中央部に設けられたセレーション軸部51cに前記第一楕円歯車71が外嵌固定されるとともに、その内端部51dに段付き円盤状の前記回動係止部材61が回動自在に外嵌支持されている。前記第一支軸51の内端部51d端面には、抜け止め板59がビス69により固定されている。前記回動係止部材61における前記第一楕円歯車71に対面する側には、大径円歯車74が刻設されている。
【0036】また、前記右側カバーケース21における前記第一支軸51より前方側には、第二支軸76が植立固定され、この第二支軸76に、前記第一楕円歯車71に噛合する、同一形状の第二楕円歯車72が回動自在に支持されている。ここでは、前記サブレバー50が中間開度(中心開度)にある状態では、図8(B)に示される如くに、駆動側の前記第一楕円歯車71の長径部に従動側の前記第二楕円歯車72の短径部が噛合するようにしておく。前記第二支軸76の先端部には、抜け止め板78が前記第二支軸76の頭部77により係止されている。前記第二楕円歯車72の上面には前記大径円歯車74に噛合する小径円歯車73が一体に連設されている。
【0037】かかる構成のもとで、前記サブレバー50を後方側に引くと、その回動力が前記第一楕円歯車71、前記第二楕円歯車72、前記小径円歯車73、前記大径円歯車74、前記回動係止部材61に順に伝達され、該回動係止部材61が図5において時計回りに変位角度が拡大されて回動せしめられる。また、前記サブレバー50と前記右側カバーケース21との間には、前記第一支軸51に外嵌された状態でバネワッシャ57が介装されており、前記ビス55を前記第一支軸51側に強く締め付けることによって、前記サブレバー50、前記バネワッシャ57、前記右側カバーケース21、及び前記鍔状部51b間に摩擦力を生ぜしめ、これによって、前記サブレバー50を任意の回動操作位置にて不動状態で保持するようになっている。
【0038】一方、前記回動係止部材61における前記大径円歯車74とは反対側には、対称的に、鍔付きの第一係止ローラ67及び第二係止ローラ68が設けられている。また、前記ボーデンケーブル15のアウターチューブ16の先端部は、前記カバーケース20の後端下隅部に設けられた係止部23で係止されており、前記スロットルケーブル17は、概略クランク状乃至Z字状を呈するように、前記回動係止部材61に設けられた前記第一係止ローラ67及び前記第二係止ローラ68に順次架け回されて、その端部に取り付けられた端金具18が、前記メインレバー30の前記回動レバー部33の上端部付近に嵌着されている。
【0039】前記のように、一組の前記楕円歯車列71、72を含む前記歯車機構70を介して前記サブレバー50により前記回動係止部材61を回動させることによって、駆動側(前記サブレバー50側)の前記第一楕円歯車71に対する従動側(前記回動係止部材61側)の前記第二楕円歯車72の回転角度比を一定の角度範囲内において連続的に変化させることができるので、それらの歯車71、72の噛合位置を前述した如くに、前記サブレバー50が中間開度(中心開度)にある状態では、前記第一楕円歯車71の長径部に前記第二楕円歯車72の短径部を噛合させておくことで、前記サブレバー50の回動操作初期[図8(A)の状態]及び終期[図8の(C)の状態]、言い換えれば、前記スロットル弁CVがアイドル回転開度近く及び最大開度近くにあるときには、前記サブレバー50の回動操作に対して前記スロットル弁CVの開口量の変化度合いが大きくなって、反応が鋭敏となり、前記サブレバー50の回動操作中期、言い換えれば、前記スロットル弁CVが中間開度(中心開度付近)にあるときには、前記サブレバー50の回動操作に対して前記スロットル弁CVの開口量の変化度合いが小さくなって、反応が鈍感となり、その結果、全開度領域において前記スロットル弁CVの開口量が均一化され、制御特性及び操作性(感度)を向上させることができる。
【0040】また、前記歯車機構(70)を減速機構として構成したことにより、前記サブレバー50の操作量が拡大されて前記回動係止部材61に伝達でき、さらに操作性の向上が図られる。以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の精神を逸脱しない範囲で、設計において、種々の変更ができるものである。例えば、前記楕円歯車71、72に代えて、オーバル歯車や四角歯車等の他の変形歯車を使用してもよい。
【0041】また、前記実施形態においては、ハンドレバー装置10を内燃機関2のスロットル弁CVの開度を調整するために使用しているが、本発明のハンドレバー装置は、スロットル弁CVの開度調整以外の用途にも利用できることはいうまでもない。さらに、ハンドレバー装置10は、前記バーハンドル7だけでなく、U形ハンドル等にもそのまま取り付けて使用することができる。
【0042】
【発明の効果】以上の説明から理解されるように、本発明のハンドレバー装置によれば、被駆動部材としてのスロットル弁等の開度をケーブルを介して調節できるとともに所望の開度に容易に保持させ得、かつ、即座に最小開度(アイドル回転開度)に戻すことができて高い安全性を確保できるとともに、手指を疲れ難くでき、さらに、スロットル弁をアイドル回転開度に戻す前の開度に設定したい場合には再調節を不要にでき、しかも、構成の簡素化、コンパクト化、軽量化、部品点数の削減及び低コスト化、組付け・組み立て性の向上等を図り得ると同時に、制御特性及び操作性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000141990
【氏名又は名称】株式会社共立
【出願日】 平成11年1月19日(1999.1.19)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
【公開番号】 特開2000−209927(P2000−209927A)
【公開日】 平成12年8月2日(2000.8.2)
【出願番号】 特願平11−10347