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【発明の名称】 多段刈り式剪枝装置
【発明者】 【氏名】福永 一弥

【氏名】山本 光二

【要約】 【課題】一度の茶畝の往復走行における刈り取り寸法を大きく設定することが可能であり、且つ刈り取られた一つ一つの茶樹枝は細かく切断できる新規な多段刈り式剪枝装置を提供する。

【解決手段】レール走行式の剪枝装置において、刈刃32は二基以上の刈刃32が多段に設けられるものであり、且つこれら刈刃32は進行方向に向かって後方に配置されるに従ってその作用高さが低くなるように設定されることを特徴とする。また進行方向先頭側の刈刃32を刈り位置を高く、後方側の刈刃32を低く切り換えるとともに、茶樹の刈り取り長さを調整するための刈刃32の高さ調節切換構造を有していることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茶畝側脇に設けられたレール上を走行し、刈刃によって茶樹の上部を刈り取り、茶樹の管理を行う装置において、前記刈刃は二基以上の刈刃が多段に設けられるものであり、且つこれら刈刃は進行方向に向かって後方に配置されるに従ってその作用高さが低くなるように設定されることを特徴とする多段刈り式剪枝装置。
【請求項2】 進行方向先頭側の刈刃を刈り位置を高く、後方側の刈刃を低く切り換えるとともに、茶樹の刈り取り長さを調整するための刈刃の高さ調節切換構造を有していることを特徴とする請求項1記載の多段刈り式剪枝装置。
【請求項3】 前記刈刃はバリカン式の刈刃であり、この刈刃は両刃タイプであることを特徴とする請求項1または2記載の多段刈り式剪枝装置。
【請求項4】 前記刈刃は二基のバリカン式の刈刃が二段に設けられることを特徴とする請求項1、2または3記載の多段刈り式剪枝装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は茶樹の刈りならしを行うための装置に関するものであり、特に茶樹の刈りならしを効率的に行うことのできる多段刈り式剪枝装置に関するものである。
【0002】
【発明の背景】茶樹の剪枝作業を効率的且つ正確に行うため、茶畝の側脇に設けられたレール上を往復走行して、安定した刈りならしを行えるレール走行式の剪枝装置が用いられている。そしてこのような剪枝作業で刈り取られる樹枝片はレール走行式の茶園管理作業においては、茶畝の側脇のレール上に落とすことができないため、そのまま茶樹の間を通して下に落下させる必要がある。そしてこのようにするためには、刈り取られる樹枝片が短くなければならないという茶樹の剪枝作業の前提的要件がある。
【0003】ところでこのような剪枝作業のうち中刈作業にあっては、他の剪枝作業、例えば茶畝最上面を刈る刈りならし作業に比べて刈り込み寸法が10数センチメートルから20数センチメートルと、大きいため、これを一挙に刈ったのでは長寸の状態で樹枝片が刈り取られてしまう。従ってこのような中刈り作業を図6(a)に示されるようなバリカン式の剪枝装置を用いて行う場合、カットされる樹枝片Aaの長さを短くするには、同一茶畝に対し複数回の往復走行を行って何段階かに分けて作業を行っていた。
【0004】ところでこの種の剪枝装置には前述したバリカン式のものに対し、ローター式の剪枝装置も知られており、このものは図6(b)に示されるように刃を外辺に具えたローター34が高速回転することにより茶樹をたたき切るような動作で剪枝作業を行うものである。このローター式の剪枝装置を用いた場合、ローラの先端側と中心下部とでは刃の高さ位置が異なるため、ローラに当接した茶樹枝は徐々に短く剪葉されていき、一度のレール往復走行で比較的長い茶樹枝を一挙に細かく刈り取ることができる。しかしながら、ローター式の剪枝装置を用いた場合には茶樹の刈り取り面が荒くなるため、最終的にはバリカン式の剪枝装置を用いて、仕上げとして平坦に綺麗に刈りならす必要があり、実質的にはバリカン式のものと比べてそれ程効率化が達成できているとも言いきれない。またこのようなローター式の剪枝装置は構造が複雑で重量が重いという欠点もあった。
【0005】
【開発を試みた技術的課題】本発明はこのような背景からなされたものであって、レール走行式の剪枝装置において、一度の茶畝の往復走行における刈り取り寸法を大きく設定することが可能であり、且つ刈り取られた一つ一つの茶樹枝は細かく切断できる新規な多段刈り式剪枝装置の開発を試みたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の多段刈り式剪枝装置は、茶畝側脇に設けられたレール上を走行し、刈刃によって茶樹の上部を刈り取り、茶樹の管理を行う装置において、前記刈刃は二基以上の刈刃が多段に設けられるものであり、且つこれら刈刃は進行方向に向かって後方に配置されるに従ってその作用高さが低くなるように設定されることを特徴として成るものである。
【0007】また請求項2記載の多段刈り式剪枝装置は、前記要件に加え、進行方向先頭側の刈刃を刈り位置を高く、後方側の刈刃を低く切り換えるとともに、茶樹の刈り取り長さを調整するための刈刃の高さ調節切換構造を有していることを特徴として成るものである。
【0008】更に請求項3記載の多段刈り式剪枝装置は、前記要件に加え、前記刈刃はバリカン式の刈刃であり、この刈刃は両刃タイプであることを特徴として成るものである。
【0009】更にまた請求項4記載の多段刈り式剪枝装置は、前記要件に加え、前記刈刃は二基のバリカン式の刈刃が二段に設けられることを特徴として成るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明を図示の実施の形態に基づき説明する。図1中符号1に示す装置が多段刈り式剪枝装置である。このものは茶畝Aの側脇に付設されるレールR上を走行する作業台車2と、この作業台車2に対し支持装置4により支持されて搭載される剪枝機ユニット3とから成る。なお作業台車2に搭載されるこの剪枝機ユニット3は、茶樹を5cm程の樹枝片Aaに刈り取る中刈機に相当するものであるが、中刈機の他、浅刈機(浅刈り用)、軽剪枝機(深刈り用)、裾刈機(裾刈り用)、刈込機(台刈り用)及び刈りならし機(刈りならし用)等を搭載することができる。
【0011】以下各部材について説明する。作業台車2について説明する。作業台車2は全体的には門状をなし、茶畝Aを跨いでレールR上を下部に設けられた四つの車輪22により走行する。なおこの作業台車2にはエンジン等で駆動される発電機23が設けられる。
【0012】次に剪枝機ユニット3について説明する。剪枝機ユニット3は、図2に示されるように第一剪枝機ユニット3Aと第二剪枝機ユニット3Bとから成る。第一剪枝機ユニット3A及び第二剪枝機ユニット3Bは、同一構成を採るものであり、原動機31とこれにより駆動される刈刃32とから成る。原動機31は例えば2サイクルエンジン等を適用するものであるが、もちろん他の電動機等、要は刈刃32が駆動できるようなものであれば、どのようなものであっても差し支えない。この原動機31はフレーム33に搭載されるとともに、その下方に駆動部31Aを具える。この駆動部31Aはいわゆるエキセントリックシャフトの機構を用いるものであり、原動機31の出力軸の回転運動を刈刃32の直線往復運動に変換する機構を具えるものである。
【0013】刈刃32について説明する。刈刃32はいわゆるバリカンタイプの刈刃を用いるものであり、本発明の特徴として前後に刃を有する両刃タイプのもので、それぞれを前刃部FCと後刃部BCと呼称する。刈刃32は具体的には、図3に示されるように前後に固定設置された外辺側のみに刃を有した固定刃32Aの上方に、前後両方に刃を有した摺動刃32Bが設けられて成る。もちろん固定刃32Aも往復摺動するような実施の形態を採ることもできるし、逆に摺動刃32Bの方を固定し、固定刃32Aの方を往復摺動するような実施の形態を採ることもできる。
【0014】次に支持装置4について説明する。支持装置4は図2に示されるように、高さ調節切換構造を具えて成るものであり、昇降スライダ41と、支持フレーム42と、全体シフトシリンダ44と、第一剪枝機ユニットシフトシリンダ45とから成る。以下具体的に説明すると、前記作業台車2の左右の脚柱フレーム21に対し、前記昇降スライダ41が昇降自在に係止される。そして左右のそれぞれの昇降スライダ41に対し、前記発電機23により駆動されるモータシリンダを適用した全体シフトシリンダ44が固定設置される。この全体シフトシリンダ44の摺動子44aに対し第一剪枝機ユニット3A及び第二剪枝機ユニット3Bを支持した支持フレーム42が固定支持される。
【0015】以上のような構成により剪枝機ユニット3は全体として昇降自在であるとともに、第一剪枝機ユニット3A及び第二剪枝機ユニット3Bをそれぞれ高さ調節することが可能である。なおこの第一剪枝機ユニット3A及び第二剪枝機ユニット3Bを高さ調節する構造としては、例えば全体シフトシリンダ44をなくし、第二剪枝機ユニット3Bを直接的にモータシリンダにより支持するように改変することも可能であるし、またその他ラックピニオンやボールネジ機構等により第一剪枝機ユニット3A及び第二剪枝機ユニット3Bを昇降させることも可能である。
【0016】前記左右の支持フレーム42は、それぞれ水平フレーム42Aと垂直フレーム42Bとを有し全体としてT字状をしている。水平フレーム42Aの前方先端には、前記発電機23により駆動されるモータシリンダを適用した第一剪枝機ユニットシフトシリンダ45が、下方に向けて固定して設けられ、その摺動子45aの先端に第一剪枝機ユニット3Aが設けられる。なお前記第一剪枝機ユニットシフトシリンダ45や全体シフトシリンダ44の駆動は、発電機23を用いる他、第一剪枝機ユニット3A及び第二剪枝機ユニット3Bの原動機31を用いて例えば発電し、駆動する形態も採れる。以上の構成により第一剪枝機ユニットシフトシリンダ45を駆動することにより第一剪枝機ユニット3Aの高さ位置の設定は行える。また垂直フレーム42Bの下端には、第二剪枝機ユニット3Bが固定して設けられる。更に第一剪枝機ユニットシフトシリンダ45と垂直フレーム42Bは二本の平行に位置する連結ロッド43A、43Bにより連結される。
【0017】本発明に係る多段刈り式剪枝装置1は以上のような具体的な形態を有するものであって、以下この作動態様について説明する。
(1)刈取準備まず剪枝機ユニット3の全体的な高さ位置を、中刈りを行う茶畝Aの高さに合わせて昇降スライダ41を昇降させることにより行う。このとき第一剪枝機ユニット3Aの刈刃32の高さは、茶畝Aの上端から例えば5cmほど低い高さ位置に設定する。一方第二剪枝機ユニット3Bの刈刃32の高さは、前記第一剪枝機ユニット3Aの高さより更に5cmほど低い高さ位置に設定する。
【0018】(2)往路以上のような刈取準備が整ったら多段刈り式剪枝装置1を作業者が押すことにより、図2中、右図に示されるように、レールRに沿って前進させ、原動機31により駆動された刈刃32における前刃部FCにて、茶樹の刈りならしを行う。具体的には摺動刃32Bと固定刃32Aとにより、茶畝Aの樹枝を剪断していく。第一剪枝機ユニット3Aで5cmほど刈られた茶畝Aは、更に第二剪枝機ユニット3Bにより5cmほど刈られる。この刈られた樹枝片Aaは5cmほどで短いため、茶畝Aにおける茶樹の間を通って落下し、レールR上には落下しない。
【0019】(3)切り換え茶畝Aの終端に到達した際には、次に図2中、左図に示されるように戻り走行するが、本発明の特徴としてこの戻り走行時(復路)にも中刈りを行うため、第一剪枝機ユニット3Aと、第二剪枝機ユニット3Bの設定高さの変更を行う。復路においては第二剪枝機ユニット3Bが進行方向に向かって前側になり、第一剪枝機ユニット3Aが後側になるため、第二剪枝機ユニット3Bを高く、第一剪枝機ユニット3Aを低くなるように切り換える。具体的には例えば全体シフトシリンダ44を駆動し、第一剪枝機ユニット3A及び第二剪枝機ユニット3Bの両方を5cmほど下降させる。これにより第二剪枝機ユニット3Bの高さは、茶畝Aの上面高さよりも5cm低く設定される。次に第一剪枝機ユニット3Aの高さ調整を行うが、第一剪枝機ユニットシフトシリンダ45を駆動して摺動子45aを伸張し、第一剪枝機ユニット3Aを10cm下降する。これにより第二剪枝機ユニット3Bの高さは、現在の茶畝Aの上面高さよりも10cm低く設定される。
【0020】(4)復路レールRに沿って後退し、本発明の特徴として今度は刈刃32の後刃部BCにおいて中刈りを行う。具体的には原動機31により駆動された摺動刃32Bと固定刃32Aとにより茶畝Aの樹枝を剪断していく。以上のように一度の往復走行で5cmずつの剪断が四回で総計20cm剪枝できるため、一つの茶畝に対し、一往復もしくは少ない往復で中刈り作業を終了できる。
【0021】
【他の実施の形態】本発明の基本的な実施の形態は以上のようであるが、その他種々の改変が行い得るものであり、例えば基本的な実施の形態では、前進及び後進の両方で剪枝が行える両刃タイプのものを用いたが、代わりに図4(a)に示すように片刃タイプのものを二基用い、それぞれ刈刃32の作用方向を前後に逆に向けて実施しても構わない。また更に図4(b)に示すように、前記図4(a)と同じく刈刃32の作用方向を前後に逆に向けたものを一基の原動機31で駆動するようにしてもよい。また原動機31は、作業台車2に搭載し、フレキシケーブルや油圧で複数の刈刃32を駆動するような実施の形態を採っても構わない。
【0022】また刈刃は必ずしもバリカン式のものでなくともよく、ローター式の刈刃を用いることも可能であり、図5(a)に示すものはローター34を二段に設けた実施の形態である。また図5(b)に示すものは、ローター34とバリカン式の刈刃32とを組み合わせた実施の形態であり、ローター34で一挙に深く剪枝した後、バリカン式の刈刃32により綺麗に刈り揃えるものである。またバリカン式もしくはローター式の刈刃は二段に設けるほか、三段や四段で実施することが可能である。
【0023】また剪枝機ユニット3は、全面刈りの他、片面刈りでもよい。また更に多段刈り式茶刈装置は、レール走行式のものの他、乗用式のもので実施することも可能である。
【0024】また第一剪枝機ユニット3A及び第二剪枝機ユニット3Bなどの刈刃32の高さ設定を自動的に行われるようにしてもよい。具体的には作業台車2の上部に赤外線センサや超音波センサなどの距離計測装置を設け、茶畝上面との距離を計測し、第一剪枝機ユニット3A及び第二剪枝機ユニット3Bを現在の茶の高さから所定の距離低く設定されるように昇降スライダ41を昇降させる駆動モータを駆動したり、全体シフトシリンダ44及び第一剪枝機ユニットシフトシリンダ45を駆動するようにすることができる。なおこのような自動的に刈刃32の設定高さを調節する機構を設けると同時に、作業台車2を例えば従来公知の特開平10−229702号に見られるような自動走行式のものとすることも可能である。
【0025】
【発明の効果】請求項1記載の多段刈り式剪枝装置によれば、レール走行式の剪枝装置において、二基以上のバリカン式の刈刃32が多段に設けられ、且つこれら刈刃32は進行方向に向かって後方に配置されるに従って低く高さ設定されるため、一度の装置の通過で二回の刈り取りが行える。従って中刈作業などで、茶樹を細かくカットして茶畝Aの茶樹の間を通して落下させる必要がある際に、何度も同じ茶畝Aを剪枝装置を走行させ、茶樹を少しずつ刈っていくような手間がなくなる。
【0026】請求項2記載の多段刈り式剪枝装置によれば、進行方向先頭側の刈刃32を刈り位置を高く、後方側の刈刃32を低く設定するとともに、茶樹の刈り取り長さを調整するための刈刃32の高さ調節構造を有しているため、刈刃32の高さ位置の設定が簡単に且つ正確に行えるようになる。
【0027】請求項3記載の多段刈り式剪枝装置によれば、刈刃32は両刃タイプであり、前部と後部の両方に刃が設けられているため、一度の往復走行で茶樹に対し四回の剪枝が行え、作業効率が従来タイプと比べ約4倍となる。
【0028】請求項4記載の多段刈り式剪枝装置によれば、刈刃32はバリカン式のものが二段であるため、刈り取りが綺麗に行われるとともに刈り寸法が正確であるため少しの刈りならしにも向いている。また重量も比較的軽く取り扱いも楽である。
【出願人】 【識別番号】000104386
【氏名又は名称】カワサキ技研株式会社
【出願日】 平成10年12月28日(1998.12.28)
【代理人】 【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
【公開番号】 特開2000−188929(P2000−188929A)
【公開日】 平成12年7月11日(2000.7.11)
【出願番号】 特願平10−374073