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【発明の名称】 可動刃用制動装置を備えた携帯式刈取機
【発明者】 【氏名】原田 一男

【氏名】高野 利幸

【要約】 【課題】安全性を向上させた携帯式刈取機を提供すること。

【解決手段】内燃機関の動力を遠心クラッチを介して可動刃に伝達するとともに、内燃機関の出力を手動式のスロットルレバーを操作し、スロットルワイヤを介してスロットル弁の開度を調整する携帯式刈取機において、クラッチドラムと対面して配置された摩擦部材と、摩擦部材に連結され、摩擦部材をクラッチドラムに対して押圧する制動位置とクラッチドラムから離間させて制動を解除する非制動位置との間で移動する移動部材と、移動部材を制動位置から非制動位置に移動させる手動式解除手段と、手動式解除手段の作動を規制する解除規制手段とを有する。解除規制手段は、スロットルレバーの操作によるスロットルワイヤの移動と連動して揺動運動し、揺動運動によって、係止面に近づいたり遠ざかったりする爪部をもつフィンガ部材と、内燃機関の回転数が所定値以上の領域において爪部の係止面に対する係合状態を維持する保持手段を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関(6)の動力を遠心クラッチ(64)を介して可動刃(20)に伝達するとともに、前記内燃機関(6)の出力を手動式のスロットルレバー(30)を操作することによりスロットルワイヤ(32、76)を介してスロットル弁(28a)の開度を調整する携帯式刈取機(2)において、前記遠心クラッチ(64)のクラッチドラム(66)と対面して配置された摩擦部材(68)と、該摩擦部材(68)に連結され該摩擦部材(68)を前記クラッチドラム(66)に対して押圧する制動位置(A)と前記クラッチドラム(66)から離間させて制動を解除する非制動位置(B)との間で移動する移動部材(60)と、該移動部材(60)を前記制動位置(A)から前記非制動位置(B)に移動させる手動式解除手段(61)と、該手動式解除手段(61)の作動を規制する解除規制手段(78)と、を有し、該解除規制手段(78)は、前記スロットルレバー(30)の操作による前記スロットルワイヤ(32、76)の移動と連動して作動するとともに、前記内燃機関(6)の回転数が所定値(N)以上の領域において前記解除規制手段(78)による規制状態を維持する保持手段(86)を有する、ことを特徴とする携帯式刈取機。
【請求項2】 前記スロットルワイヤ(32、76)の中間に連結され該スロットルワイヤ(32、76)の移動によって揺動される揺動部材(72)を有し、該揺動部材(72)と前記解除規制手段(78)を構成するフィンガ部材(82)とが、同じ枢軸(74)を中心として相対回転可能に設けられ、前記フィンガ部材(82)の爪部(82a)が前記保持手段としてのばね(86)によって前記移動部材(60)に設けられた係止面(84a)に向かって付勢されており、更に、前記揺動部材(72)と前記フィンガ部材(82)との間には、前記フィンガ部材(82)が前記ばね(86)によって前記揺動部材(72)に対して所定角度以上に相対回転するのを阻止するための、解除可能な回り止め手段(82b、88)を有し、該回り止め手段(82b、88)は、前記所定値(N)以上で作動し、また、前記所定値(N)以下で解除される、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯式刈取機。
【請求項3】 前記摩擦部材(68)が前記クラッチドラム(66)に対して押圧された制動位置(A)にある状態で、前記スロットルレバー(30)の操作によって前記内燃機関(6)の回転数が前記所定値(N)以上の状態で所定時間以上経過した時には、自動的に前記内燃機関(6)の回転数を前記所定値(N)以下にする安全装置(100、100')を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯式刈取機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、肩掛け式の刈払機、ヘッジトリマなどの携帯式刈取機に関し、より詳細には、不用意な可動刃の作動を拘束するための制動装置を有する携帯式刈取機に関する。
【0002】
【従来技術】例えば、肩掛け式刈払機、背負式刈払機、ヘッジトリマなどの携帯式刈取機にあっては、一般的に、内燃機関の動力を遠心クラッチを介して可動刃に伝達する駆動機構が採用されている。このような携帯式刈取機において、例えば、特公昭52−12089号公報に見られるように、始動時の安全性の向上を図るべく、前記可動刃の空転を防止するために、例えば、ブレーキシュー、ブレーキバンド等の摩擦部材を、前記遠心クラッチのクラッチドラムに摺接させる制動装置を設けることが提案されている。これによれば、作業者がブレーキレバーを握ることにより、前記制動装置によって、前記クラッチドラムの回転が制動され、前記可動刃が不用意に回転してしまうのが防止される。また、作業者が前記ブレーキレバーを解放して前記制動装置を解除した後は、前記スロットルレバーを握って、スロットル弁の開度を調節することにより、前記内燃機関の出力を調整しながら前記クラッチドラムを介して前記可動刃を駆動し、刈取作業を行うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような刈取機によれば、前記スロットルレバーを握ったまま前記制動装置を解除してしまうと、周囲の安全確認を十分にしないうちに前記可動刃が突然高速回転して重大事故が発生しまう場合がある。そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、一層安全性を向上させた携帯式刈取機を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、内燃機関(6)の動力を遠心クラッチ(64)を介して可動刃(20)に伝達するとともに、前記内燃機関(6)の出力を手動式のスロットルレバー(30)を操作することによりスロットルワイヤ(32、76)を介してスロットル弁(28a)の開度を調整する携帯式刈取機(2)において、前記遠心クラッチ(64)のクラッチドラム(66)と対面して配置された摩擦部材(68)と、該摩擦部材(68)に連結され該摩擦部材(68)を前記クラッチドラム(66)に対して押圧する制動位置(A)と前記クラッチドラム(66)から離間させて制動を解除する非制動位置(B)との間で移動する移動部材(60)と、該移動部材(60)を前記制動位置(A)から前記非制動位置(B)に移動させる手動式解除手段(61)と、該手動式解除手段(61)の作動を規制する解除規制手段(78)と、を有し、前記スロットルレバー(30)の操作による前記スロットルワイヤ(32、76)の移動と連動して作動するとともに、前記内燃機関(6)の回転数が所定値(N)以上の領域において前記解除規制手段(78)による規制状態を維持する保持手段(86)を有する、ことを特徴とする携帯式刈取機によって達成することができる。
【0005】本発明においては、前記遠心クラッチ(64)が制動された状態では、前記移動部材(60)は前記制動位置(A)、すなわち、前記摩擦部材(68)が前記クラッチドラム(66)に対して押圧された状態にある。この状態で、作業者が前記スロットルレバー(30)を操作すると、前記スロットルワイヤ(32、76)の移動に連動して前記解除規制手段(78)が作動する。前記内燃機関(6)の回転数が前記所定値(N)以上の領域にあるときは、前記保持手段(86)が、前記解除規制手段(78)による規制状態を維持する。本発明によれば、前記内燃機関(6)の回転数が前記所定値(N)以上の領域においては、前記解除規制手段(78)によって前記手動式解除手段(61)の作動が規制されるので、作業者は前記手動式解除手段(61)を解除することはできず、前記可動刃(20)の制動状態が維持され、突然高速回転するのを防止することができ、安全性を向上することができる。また、既存の前記スロットルワイヤ(32,76)の移動を利用して、前記解除規制手段(78)を作動させるので、簡易かつコンパクトな構成により、前記スロットルレバー(30)の操作と連動して、前記手動式解除手段(61)の解除を規制することができる。
【0006】また、本実施の形態においては、更に、前記スロットルワイヤ(32、76)の中間に連結され該スロットルワイヤ(32、76)の移動によって揺動される揺動部材(72)を有し、該揺動部材(72)と解除規制手段(78)を構成するフィンガ部材(82)とが同じ枢軸(74)を中心として相対回転可能に設けられ、前記フィンガ部材(82)の爪部(82a)が前記保持手段としてのばね(86)によって前記移動部材(60)に設けられた係止面(84a)に向かって付勢されており、更に、前記揺動部材(72)と前記フィンガ部材(82)との間には、前記フィンガ部材(82)が前記ばね(86)によって前記揺動部材(72)に対して所定角度以上相対回転するのを阻止するための、解除可能な回り止め手段(82b、88)を有し、該回り止め手段(82b、88)は、前記所定値(N)以上で作動し、また、前記所定値(N)以下で解除される。
【0007】本実施の形態においては、前記回り止め手段(82b、88)は、前記揺動部材(72)が前記スロットルワイヤ(32、76)の移動に伴って高速回転側に揺動して前記所定値(N)以上の状態になれば解除され、前記フィンガ部材(82)が前記ばね(86)によって付勢されて、前記爪部(82a)が前記係止面(84a)に係合する。作業者が、前記スロットルレバー(30)を更に増速操作して、前記揺動部材(72)が前記スロットルワイヤ(32、76)によって更に引っ張られると、前記揺動部材(72)は、前記フィンガ部材(82)に対しては相対回転して、前記スロットルワイヤ(32、76)の移動を許容する。他方、前記回り止め手段(82b、88)は、前記揺動部材(72)が前記スロットルワイヤ(32、76)の移動に伴って低速回転側に揺動するとき、前記所定値(N)以下の状態になれば解放作動して、前記フィンガ部材(82)が前記揺動部材(72)と一体的に回転して、前記爪部(82a)が前記係止面(84a)から離間する。本実施の形態によれば、簡易な構成により、前記解除規制手段(78)によって、前記手動式解除手段(61)を、前記内燃機関(6)の出力回転数が前記所定値(N)以上においては操作不能にせしめ、また、前記所定値(N)以下においては操作可能にせしめて、前記クラッチドラム(66)の制動を手動解除することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好ましい実施の形態を添付の図面を参照しつつ説明する。なお、本実施の形態においては、携帯用刈取機として携帯式刈払機を例示として説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる携帯式刈取機の全体を示す斜視図である。図2は、図1に示すII− II 矢視断面図である。また、図3は、図2に示すIII −III 矢視断面図である。図1に示す携帯式刈払機2の基本的構成は周知であり、典型的には、ハウジング4に収容された空冷式の小型2サイクル内燃機関6を有する動力部8と、該動力部8から前方に真っ直ぐに延びる操作桿10と、該操作桿10の前端に設けられた回転式刈刃装置12と、を有する。前記内燃機関6のクランク軸14からの動力は、後述する遠心クラッチ64及び前記操作桿10内に収容された伝動軸18を介して前記回転式刈刃装置12に伝達され、該回転式刈刃装置12によって可動刃としての刈刃20が回転駆動される。前記操作桿10の中間部分には、ハンドルバー22が設けられており、該ハンドルバー22の左右両端にそれぞれ、右グリップ部分24と左グリップ部分26が設けられている。前記内燃機関6の気化器28のスロットル弁28aの開度調整操作を行うためのスロットルレバー30が、前記右グリップ部分24に隣接して設けられている。後に詳述するように、前記スロットルレバー30は、スロットルケーブル32を介して前記スロットル弁28aに連結されている。
【0009】図2を見て分かるように、前記ハウジング4の後部には、前記内燃機関6を始動するためのリコイルスタータ34が設けられている。該リコイルスタータ34自体の構成は周知のものであり、例えば、実開平5−92470号公報に開示されている。従って、ここでは、前記リコイルスタータ34の構成の詳細な説明は省略し、概略的に説明する。該リコイルスタータ34は、スタータカバー36と、リコイルロープ40の先端に取付けられたハンドル38を引くことにより回転されるリコイルドラム42と、前記スタータカバー36に設けられた軸受部44に軸支され、かつ、前記リコイルドラム42の回転にともなってベンディックスギア式に軸線方向前方に移動して、前記リコイルドラム42からのトルクを前記クランク軸14に伝達する回転伝達部材46と、を有する。
【0010】また、本実施の形態にかかる前記携帯式刈払機2の前記内燃機関6にはデコンプ装置48が設けられている。該デコンプ装置48の構成も、例えば、前記実開平5−92470号公報に開示されているデコンプ装置と同様に構成されており、それ自体公知であるので詳細な説明は省略するが、前記デコンプ装置48は、その下端部が前記回転伝達部材46に係合され、かつ、前記内燃機関6のシリンダ部分6aに取着されたデコンプ弁48aの配設位置まで上方に延びる押圧部材50を有する。該押圧部材50は、前記回転伝達部材46の前記軸方向前方への移動に伴って一体的に軸線方向前方に移動し、前記デコンプ弁48aを押して開弁させる。それにより、前記内燃機関6の燃焼室52の混合気が、図示しないデコンプ通路を通じて掃気ポートに導出され、ピストンの頂面に作用する圧力が低減され、前記リコイルスタータ34に大きな操作力を与えることを要せずに、容易に前記内燃機関6を始動させることができる。
【0011】また、前記ハウジング4内には、図3を見ても分かるように、一端54aが、前記押圧部材50に連結され、前記内燃機関6の前記シリンダ部分6aを迂回するようにして前記ハウジング4の前方壁4bまで水平方向に延びる、軸線方向移動部材54が設けられている。該軸線方向移動部材54の前端部54b近傍には、前記ハウジング4の前記前方壁4bの外面側に保持部材56が第三枢軸56aで枢着され、前記保持部材56は、前記ハウジング4の前記前方壁4bに隣接する保持位置(C)と、前記ハウジング4の前記前方壁4bから遠ざかる方向に回動した退避位置(D)と、の間で、回動可能に設けられている(図4も参照)。該保持部材56は、ばね部材58によって前記保持位置(C)に向けて付勢されている。前記保持部材56は、前記保持位置(C)において後述の第一揺動部材60の下方アーム部分60aと係合し(図4参照)、前記第一揺動部材60を非制動位置Bに保持せしめる。更に、前記ハウジング4の外面には、前記第一揺動部材60と同軸状に連結され、かつ、前記第一揺動部材60と一体的に回転する、手動式解除手段としてのリセット操作部61が設けられている。なお、前記回転伝達部材46の軸線方向前方への移動に伴って前記押圧部材50が前方移動し、それによって、前記軸線方向移動部材54も、前方に移動し、前記保持部材56は、前記保持位置(C)から前記退避位置(D)に移動されるようになっている。
【0012】図4〜図7は、図2に示すIV−IV断面矢視図であり、制動装置及び解除規制機構の作動を示す図である。まず、図4を参照しつつ、本実施の形態にかかる前記携帯式刈払機2の制動装置62及び解除規制機構78の構成を詳細に説明する。図4に示すように、本実施の形態にかかる前記携帯式刈払機2は、作業者が刈払作業を行っていない間、前記刈刃20の空転を防止するための制動装置62を有する。前記携帯式刈払機2は、前記内燃機関6の前記クランク軸14に作動上連結された遠心クラッチ64を有し、該遠心クラッチ64のクラッチドラム66の回転は、その回りに配設された摩擦部材としてのブレーキバンド68を前記クラッチドラム66の周面66aに対して前記ブレーキバンド68を締め付けたり、また、緩めたりする、前記制動装置62で制御される。該制動装置62による制動及び解除を行うための前記第一揺動部材60は、そのほぼ中間部分に配置された第一枢軸42を中心として左右揺動可能に、前記ハウジング4の前記前方壁4bに対して取付けられている。前記第一揺動部材60の下方アーム部分60aの下端は、前記ブレーキバンド68の一端68aに連結され、前記第一揺動部材60が前記第一枢軸42を中心として、前記ブレーキバンド68を前記クラッチドラム66の前記周面66aに対して押圧する押圧位置(J)に移動させる制動位置A(図5に示す)と、前記クラッチドラム66の前記周面66aから離間させる離間位置(I)に移動させる非制動位置B(図4に示す)と、の間で左右に揺動する。前記ブレーキバンド68は帯状のばね鋼材からなり、前記クラッチドラム66の前記周面66aに所定の力で拘着する様に曲げ成形されて配設され、他端68bは前記ハウジング4に係止されている。前記第一揺動部材60は、前記制動位置(A)に向けて(時計回りに)付勢されているが、常時は、前記保持部材56が前記保持位置(C)にあるので、前記非制動位置(B)に保持され、このとき、前記ブレーキバンド68は、前記クラッチドラム66の前記周面66aから離間している。
【0013】また、前記第一揺動部材の上端部60b は、上方に真っ直ぐに延びており、該上端部60b に隣接して、制動装置連動スイッチ(マイクロスイッチ)101が設けられている。該制動装置連動スイッチ101は、前記第一揺動部材60の揺動運動にともない、その可動接点子101aが前記上端部60bの擦過により上下動してON,OFFされ、前記第一揺動部材60が前記非制動位置(B)にあるときには、前記可動接点子101aが押されて通電され(ON)、また、前記第一揺動部材60が前記制動位置(A)にあるときには、前記可動接点子101aが解放されて通電が断たれる(OFF)。また、図1において前記刈刃20に向かってみるとき、前記ハウジング4の外面の左側に前記気化器28が配設されており、図4に示すように、該気化器28の内部にスロットル弁28aが図示しないばねによりアイドル回転開度側に付勢されて設けられている。また、前記前方壁4bに対して、略三角形の第二揺動部材72が、三つの角部うちの一つを第二枢軸74で枢支されて枢動可能に設けられている。前記第二揺動部材72の三角形の三つの角部のうち、上方に位置する残りの二つに、第一スロットルワイヤ部分32および第二スロットルワイヤ部分76の一端が、それぞれ連結されている。前記第一スロットルワイヤ部分32の他端は、前記スロットルレバー30に連結されている。また、前記第二スロットルワイヤ部分76の他端は、前記スロットル弁28a に連結されている。前記第一スロットルワイヤ部分32と前記第二スロットルワイヤ部分76は、前記第二揺動部材72を中心として屈曲する経路Rに沿って遊びのない状態で延びている。前記第二揺動部材72は、前記スロットルレバー30を解放している状態、すなわち、通常、3000r/min 以下である前記内燃機関6のアイドル状態では、図4に示す、アイドル位置(E)にある。また、前記スロットルレバー30を握ると、前記第一スロットルワイヤ部分32によって引っ張られて、反時計方向に揺動して、図6に示す高速回転位置(F)まで移動する。
【0014】なお、前記第一枢軸42は、図4において、前記第二枢軸74に対して、前記第二揺動部材72の揺動方向において前記高速回転位置(F)側、かつ、下方に配置されている。前記携帯式刈払機2には、前記リセット操作部61の操作による前記制御装置62の解除を規制する解除規制手段としての解除規制機構78が設けられている。該解除規制機構78は、前記第一揺動部材60に前記第一枢軸42と同軸状に一体的に回転可能に設けられた係止部材84と、一端に該係止部材84に向けて下方に突出する爪部82aを有するフィンガ部材82と、を有する。前記係止部材84は全体的に略円形であり、その上半部の円周部分には、上下方向に切り立った係止面84aと、該係止面84aに隣接して周方向に延びる曲面状の当接面84bが形成されている。
【0015】一方、前記フィンガ部材82は、他端が前記第二枢軸74に、前記第二揺動部材72に対して相対回転可能に取付けられている。前記フィンガ部材82は、前記爪部82aが前記係止面84aに向かう方向に、図4に示す保持手段としての捩りコイルばね86によって付勢されている。一方、前記フィンガ部材82の前記他端部には、前記第二揺動部材72に向けて突出する回り止めのための突起82bが形成されている。また、前記第二揺動部材72には、前記突起82bに隣接して、ピン88が設けられている。該ピン88は、図4に示すように、前記第二揺動部材72が前記アイドル位置(E)にあるとき、前記突起82bと係合して、前記フィンガ部材82の前記係止部材84に向かう回転を阻止して、前記フィンガ部材82の前記爪部82aを前記係止部材84と離間する位置に保持する。また、作業者が、前記スロットルレバー30を操作して、前記第二揺動部材72が、図6に示す高速回転位置(F)に向かって揺動するとき、それに伴って、前記ピン88は前記突起82bから遠ざかる方向に移動し、前記突起82bとの係合が解除されて、前記フィンガ部材82は、前記捩りコイルばね86の付勢力によって、前記係止部材84に向かって揺動する。
【0016】一方、前記係止部材84は、図4に示すように、前記第一揺動部材60が、前記非制動位置Bにあるとき、前記係止面84aと前記爪部82aとが互いに整列しない係合不能位置(G)にあり、前記爪部82aは前記当接面84bと対向する。また、前記第一揺動部材60が、前記非制動位置Bから前記制動位置Aに揺動(時計回りに回転)するとき、前記係止部材84が一体に前記第一枢軸42を中心として回転して、前記係止面84aは、前記爪部82aと整列する係合可能位置(H)まで回転移動する。次いで、図4から図7を参照しつつ、本実施の形態にかかる前記制動装置62及び前記解除規制機構78の作動について説明する。まず、前記第一揺動部材60は前記保持部材56によって、図4に示す前記非制動位置(B)に保持されており、また、前記制動装置62は解除されている。更に、第二揺動部材72は、前記前方壁4bに植設されたストッパーピン89に当接して前記アイドル位置(E)にある。また、前記制動装置連動スイッチ101の前記可動接点子101aは、前記第一揺動部材60の前記上端部60bによって押されて、スイッチOFF 状態にある。
【0017】次いで、作業者が、図2に示す前記リコイルスタータ34の前記ハンドル38を持って、前記リコイルロープ40を引っ張ると、前記回転伝達部材46及びそれに係合された前記押圧部材50が軸線方向前方に移動し、前記軸線方向移動部材54も軸線方向前方に移動する。該軸線方向移動部材54の移動によって、前記保持部材56は、図3に実線で示す前記保持位置(C)から仮想線で示す前記退避位置(D)へと枢動され、前記保持部材56と前記第一揺動部材60との係合が解除される。これにより、前記第一揺動部材60が、前記ブレーキバンド68自体の付勢力によって、図4に示す前記非制動位置Bから、図5に示す前記制動位置Aに移動され、前記ブレーキバンド68が、前記押圧位置(J)に移動されて、前記クラッチドラム66の前記周面66aの回りに締付けられる。これにより、前記クラッチドラム66の回転が自動的に制動され、前記刈刃20の回転が阻止される。前記第一揺動部材60の揺動に伴って、前記係止部材84は、前記係合不能位置(G)から前記係合可能位置(H)に回転し、前記係止面84aが前記爪部82aと整列する。また、前記制動装置連動スイッチ101の前記可動接点子101aは解放されて、スイッチON状態になる。
【0018】次いで、作業者はストラップ(図示せず)を肩に掛け、前記携帯式刈払機2を持つ。前記スロットルレバー30が解放状態、すなわち、前記内燃機関6がアイドル状態であれば、前記第二揺動部材72は揺動せず、図4及び図5に示す前記アイドル位置(E)のままである。従って、前記フィンガ部材82も前記係止部材84に向かって揺動せず、前記爪部82aと前記係止面84aは互いに係合しない。従って、作業者は、前記リセット操作部61を回転操作可能であり、作業者が、手で前記リセット操作部61を反時計方向に回すと、前記第一揺動部材60が、図5に示す前記制動位置(A)から図4に示す前記非制動位置(B)に揺動して、前記ブレーキバンド68が押し開かれ、前記クラッチドラム66の制御が解除される。これにより、前記保持部材56が、前記ばね部材58の付勢力によって前記退避位置(D)から前記保持位置(C)に移動され、前記第一揺動部材60の前記下端部60aと係合して、再び、図4に示す前記非制動位置Bに保持される。これにより、前記ブレーキバンド68による前記クラッチドラム66の制動は、解除状態に維持される。また、前記第一揺動部材60の揺動に伴って、前記係止部材84も回転し、前記係合可能位置(H)から前記係合不能位置(G)に戻り、前記フィンガ部材82の前記爪部82aは、前記当接面84bと対向する。
【0019】次いで、作業者が、前記スロットルレバー30を握ると、図6に示すように、前記第二揺動部材72が、前記第一スロットルワイヤ部分32によって引っ張られて、前記アイドル位置(E)から前記高速回転位置(F)へと揺動する。それに伴って、前記第二揺動部材72の前記ピン88と前記フィンガ部材82の前記突起82bとの係合(当接)が解除されて、前記フィンガ部材82は、前記第二枢軸74を中心として前記係止部材84に向かって揺動する。これにより、前記爪部82aは、前記捩りコイルばね86の付勢力によって、前記係止部材84の前記当接面84bに対して押圧され、前記係止面84aと前記爪部82aとは、互いに係合しない。一方、作業者が、前記内燃機関6をスタートさせた後、前記リセット操作部61を解除せず、すなわち、前記制動装置62が制動状態のままで前記スロットルレバー30を握った場合は、以下の通りに作動する。
【0020】前記リセット操作部61を解除していない状態では、前記第一揺動部材60は、図5に示すように、前記制動位置(A)にあり、従って、前記係止部材84は、係合可能位置(H)にある。なお、前記制動装置連動スイッチ101の前記可動接点子101aは解放されて、スイッチON状態にある。従って、この状態で、作業者が前記スロットルレバー30を握ると、前記第一スロットルワイヤ部分32によって引っ張られて、前記第二揺動部材72は、前記アイドル位置(E)から、図7に示す前記高速回転位置(F)に向かって揺動する。それに伴って、前記第二揺動部材72の前記ピン88と前記フィンガ部材82の前記突起82bとの係合が解除され、前記フィンガ部材82が、前記第二枢軸74を中心として、前記係止部材84に向かって揺動する。これにより、前記フィンガ部材82は、前記係止部材84に対して前記捩りコイルばね86の付勢力によって押圧され、作業者が、更に前記スロットルレバー30を握り、前記内燃機関6の回転数が、クラッチイン回転数(本実施の形態においては、3500r/min)以上の、第一の所定値N(例えば、3800r/min)まで上昇したとき、前記係止面84aと前記爪部82aとが互いに係合して、前記第一揺動部材60を前記制動位置(A)に保持する。作業者が、更に、前記スロットルレバー30を握ると、前記第二揺動部材72は更に回転するが、前記フィンガ部材82は、前記捩りコイルばね86aの付勢力に抗して、前記係止部材84に対して付勢された位置に保持される。この状態で、作業者が、手で前記リセット操作部61を回そうとしても、前記係止面84aと爪部82aが互いに係合し、前記第一揺動部材60の前記非制動位置(B)への揺動が阻止されるので、前記制動装置62が不用意に解除されることがない。
【0021】作業者が、前記制動装置62による前記クラッチドラム66の制動を解除するには、前記スロットルレバー30をいったん解放して、前記内燃機関6の回転数を前記第一の回転数以下に低下させなければならない。これにより、前記第二揺動部材72が、前記スロットル弁28aのアイドル回転開度への付勢力によって図5に示す前記アイドル位置(E)に自動的に戻る。これにより、前記ピン88が移動して前記突起82bと係合し、前記捩りコイルばね86の付勢力に抗して、前記フィンガ部材82を前記係止部材84から遠ざける方向に押し戻し、前記爪部82aと前記係止面84aとの係合が解除される。この状態で、作業者は、手で前記リセット操作部61を回すことができ、前記第一揺動部材60は、図4に示す前記非制動位置(B)に戻り、前記制動装置62が解除される。また、前記制動装置連動スイッチ101の前記可動接点子101aは、前記第一揺動部材60の前記上端部60bによって押されて、スイッチOFF 状態になる。
【0022】図8は、前記内燃機関6の作動を停止させる安全装置の第一の実施の形態を示すブロック図である。前記携帯式刈払機2は、前記スレットルレバー30を握り、前記内燃機関6の回転数が、前記クラッチイン回転数以上の第二の所定値とされ、この状態で、前記制動装置62が作動したままで放置されたときに、前記内燃機関6の作動を停止させるための安全装置100を有する。前記ブレーキバンド68が前記クラッチドラム66に押圧された状態で、前記クラッチイン回転数以上の第二所定回転数のままの状態にされると、前記クラッチドラム66と前記ブレーキバンド68等との間にスリップが生じ、各部材の早期損耗や、焦げ付きが生じる。前記安全装置100は、前記内燃機関6を自動的に停止させて、このような事態を防止するためのものである。
【0023】前記安全装置100は、前記第一揺動部材60の揺動運動により、前記制動装置62の作動と連動して、前記安全装置100に通電したり、通電を断ったりするための前記制動装置連動スイッチ101と、前記内燃機関6からの点火ノイズを検知するセンサ102と、該センサ102を介して検知されたエンジンからの点火ノイズによる信号をパルスに波形整形するための波形整形回路104と、該波形成形回路104から出力されるパルス数をカウントし、パルス数が所定時間当たり所定数以上であるときは出力信号を発し、また、パルス数が所定時間当たり所定パルス以下であるときは出力信号を発しないでリセットされる分周回路106と、前記所定時間ごとに信号を出力し、前記分周回路106をリセットするためのタイマー回路108と、前記分周回路106からの信号が連続して所定時間以上継続したときに後述の出力回路112に信号を送るためのタイマーカウンタ回路110と、該タイマーカウンタ110からの信号により、所定時間リレー114をONさせるための出力回路112と、を有する。前記安全装置100は、前記携帯式刈払機2に設けられた、点火プラグ7、イグニッションコイル9及び停止スイッチ11を含む前記内燃機関6の電気火花式点火回路に組み込まれている。
【0024】前記内燃機関6が作動され、前記第一揺動部材60が前記制動位置(A)に自動的に移動し、前記制動装置連動スイッチ101が解放されて通電されると、前記センサ102によって点火ノイズが検知され、その信号が前記波形整形回路104に送られる。前記信号は、前記波形整形回路に104によって波形整形され、前記分周回路106に送られる。該分周回路106は、整形された信号パルスをカウントし、前記タイマー回路108からの、例えば、一秒間毎に送られる信号に基づき、一秒以内で、信号数が、前記第二の所定回転数に対応するパルス数以上である場合には、前記タイマーカウンタ110に出力信号を発する。一方、一秒間にカウントされた信号数が、前記第二の所定回転数に対応するパルス数未満である場合には、前記タイマー回路108によってリセットされて、前記タイマーカウンタ回路110には信号を発しない。前記タイマーカウンタ回路110は、前記分周回路106からの信号が連続して、例えば、16秒経過すると、前記出力回路112に信号を送り、該出力回路112は、前記リレー114を所定時間ONさせる。これにより、前記イグニションコイル9により発生した電圧がアース側へ放電され、前記内燃機関6は自動的に停止される。
【0025】図9は、前記内燃機関を停止させる安全装置の第二の実施の形態を示すブロック図である。図9に示すように、第二の実施の形態にかかる安全装置100' は、前記制動装置62による制動中に前記内燃機関6を自動停止させる前記第一の実施の形態100の前記リレー114の代わりに、前記制動装置62の制動中に前記内燃機関6の回転速度を、前記遠心クラッチ64のクラッチイン回転速度以下の速度まで自動的に低下せしめるための、内燃機関回転速度制御回路118が設けられている点で、また、後述のように、出力回路116の作用が、前記第一の実施の形態にかかる安全装置100の前記出力回路112と異なる点以外は、前記第一の実施の形態100と同様に構成されている。従って、以下、前記内燃機関回転速度制御回路118についてだけ説明する。
【0026】図10は、図9に示す内燃機関回転速度制御回路118の一例の回路図である。図10において、121はエキサイタコイル、120は遅延回路部、122は点火時期制御部である。前記エキサイタコイル121の出力波形は、図11A で示す如く交流電圧を呈す。図上のトリガレベルについては後述する。前記遅延回路部120は、前記出力回路116に接続された遅延スイツチSW1と、前記遅延回路部120を構成するトランジスタQ1と、抵抗R1、R2と、コンデンサC1と、逆流阻止用のダイオードD1、D2、D3と、からなる。前記遅延スイツチSW1 は、前記制動装置連動スイッチ101がONになることにより前記出力回路116に通電されると、0Nとなり、また、前記制動装置連動スイッチ101がOFFになることにより前記出力回路116への通電が断たれると、前記遅延スイツチSW1 は0FF となる。前記点火時期制御部122は、前記イグニションコイル9ヘの通電及び遮断のための、コンデンサC2、サイリスタSCR 、ダイオードD4と、サイリスタのトリガレベル設定のための抵抗R3、ツエナダイオードZD1 と、逆流阻止用のダイオードD5、D6、D7と、により構成される。
【0027】図11は、前記遅延回路部120が不動作状態における各部の波形を示す図である。また、図12は、前記遅延回路部120が動作状態における各部の波形を示す図である。次に、前記内燃機関回転速度制御回路118の動作を、図10、図11及び図12を用いて説明する。まず、前記リコイルスタータ34による前記内燃機関6の始動と連動して、前記制動装置62が自動的に制動状態になり、前記制動装置連動スイッチ101もONになり、前記分周回路106に通電された場合について説明する。前記センサ102、前記波形整形回路104、前記分周回路106、前記タイマー回路108、及び、前記タイマーカウンタ回路110の作用は、前記第一の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0028】前記タイマーカウンタ回路110から信号を受取ると、出力回路116は、前記内燃機関回転速度制御回路118を通電状態にする。これにより、前記遅延スイツチSW1 は通電状態になる。前記エキサイタコイル121のプラス電圧は、前記ダイオードD4を通り、前記コンデンサC2を充電するとともに、前記遅延回路部120の前記ダイオードD1、前記抵抗R1を通り、前記コンデンサC1を充電する。該コンデンサC1の充電電圧は、前記抵抗R2、前記トランジスタQ1を通って放電するが、前記コンデンサC1の静電容量と前記抵抗R2の抵抗値によって定まる放電時定数で、一定期間、前記トランジスタQ1のべ一ス・エミッタを導通させる。前記トランジスタQ1の導通中に前記エキサイタコイル121でマイナス電圧が発生すると、該マイナス電流が前記遅延回路部120の前記トランジスタQ1のエミッタ、コレクタ、前記ダイオードD3、前記遅延スイツチSW1 を介してバイパスさせられる。このため、前記エキサイタコイル121のマイナスの電圧は降下させられる。そして、前記点火時期制御部122の前記サイリスタSCR のゲート−カソード間は、トリガレベルに達しない。
【0029】前記遅延回路部120の前記コンデンサC1、前記抵抗R2によって定まる放電時定数によって一定時間が経過すると、前記トランジスタQ1の導通はOFF となる。このため、バイパスされていた前記エキサイタコイル121のマイナス電圧は、前記サイリスタSCR のゲート−カソード間に供給され、トリガレベルに達すると、前記サイリスタSCR をONにする。なお、前記ツエナダイオードZD1 のツエナ電圧は、前記遅延回路部120の降下電圧を考慮して定められており、前記サイリスタSCR の動作の安定性を図っている。前記サイリスタSCR のONにより、前記点火時期制御部122の前記コンデンサC2は放電する。そして、前記遅延スイツチSW1 が0FF の時と同様に、前記イグニッションコイル9の二次側に高電圧を励起させて、前記点火プラグ7に火花放電を発生させる。
【0030】図12は、前記エキサイタコイル121の出力波形A 、前記コンデンサC2の充放電波形B 、前記コンデンサC1の充放電波形C 及び点火時期t1、t2を示しており、通常の点火時期t1(前記遅延スイッチSW1 がOFF の時) に比べて、前記点火遅延回路部120を動作させた時の点火時期t2 (前記遅延スイツチSW1 が0N) では、点火時期を遅角させていることが示されている。前記遅延回路部120で所定の遅角量をもたせることにより、前記内燃機関6の回転数を自動的に下げることができる。前記点火時期の遅角量は、前記スロットル弁28aが全開状態であっても、前記内燃機関6の回転数が、前記遠心クラッチ64のクラッチイン回転数より低くなるように選定すればよい。例えば、排気量が25mLから40mL程度の前記内燃機関6で、通常の点火時期が上死点前25°〜30° (BTDC25°〜30°) 位、クラッテイン回転数が3000〜3600r/min の場合には、前記遅延回路120により点火時期を遅らせて、上死点前後5 °(BTDC 5°〜ATDC 5°) 位に変更させ、前記内燃機関6の回転数を2000〜3000r/mim に下げると好適である。
【0031】次に、前記制動装置62が解除状態になり、前記制動装置連動スイッチ101がOFF になり、前記分周回路106への通電が断たれた場合(前記遅延スイツチSW1 はOFF)について説明する。前記エキサイタコイル121で発生した交流電圧のプラス電圧は、前記点火時期制御部122の前記ダイオードD4を介して前記コンデンサC2を充電する。前記エキサイタコイル121がプラス電圧の間は、前記サイリスタSCR のゲート、カソードは同電位となり、前記サイリスタSCR は遮断状態にある。次に、前記エキサイタコイル121が、プラス電圧からマイナス電圧に変わると、前記抵抗R3、前記ツェナダイオードZD1 、前記ダイオードD5は通電状態になり、前記サイリスタSCR のゲートと力ソードとの間に電位差が、図11A で示すトリガレベルを超えると、前記サイリスタSCR を導通状態にする。前記サイリスタSCR のアノードは、前記コンデンサC2によりプラス電圧に保たれている。
【0032】前記サイリスタSCR の導通により前記コンデンサC2の充電電圧は、前記サイリスタSCR 、前記ダイオードD7、前記イグニションコイル9の一次側を介して放電する。この際、前記イグニションコイル9の二次側に高電圧を励起させて、前記点火プラグ7に火花放電を発生させる。この火花放電が、前記内燃機関6の点火時期になる。この点火時期は、前記エキサイタコイル121のマイナス電圧、前記サイリスタSCR のゲートON電圧及び前記ツエナダイオードZD1 のツエナ電圧により決定される。図11は、前記エキサイタコイル121の出力波形A 及び前記コンデンサC2の電圧波形B 及び通常の点火時期t1を示したもので、前記内燃機関6の回転数に対してほぼ一定の点火時期となる。通常、この点火時期は、上死点前25°〜30° (BTDC 25 °〜30°) 位である。
【0033】本実施の形態によれば、作業者が前記スロットルレバー30を解放して、前記内燃機関6の出力回転数を前記第一の回転数以下まで低下させなければ、前記制動装置62による前記クラッチドラム66の制御を解除することができない。従って、作業者が、前記スロットルレバー30を握ったまま、すなわち、高出力状態で前記制動装置32を解除することにより、前記スロットルドラム66が突然高速回転して、前記刈刃20が高速で回転駆動されてしまう危険な事態の発生が、確実に防止される。また、本実施の形態によれば、前記解除規制機構78による係止及び解除が、前記第二揺動部材72を介して前記スロットルレバー30の操作と連動される。従って、前記解除規制機構78の作動を作業者の操作に依存することなく、前記スロットルレバー30の操作と連動して自動的に作動するので、前記刈刃20の不測の高速回転を確実に防止し、安全性を向上させることができる。
【0034】更に、図8に示す前記第一の安全装置100によれば、前記制動装置62を解除しないままで、前記内燃機関6を前記第二の所定回転数以上の領域にしたまま、所定時間(前記実施の形態においては、16秒間)、放置すると、前記内燃機関6を自動的に停止させることができるので、前記クラッチドラム66及び前記ブレーキバンド68等の早期損耗や焦げ付きを、確実に防止することができる。更に、図9に示す前記第二の安全装置100' によれば、前記制動装置62を解除しないで、前記内燃機関6を前記第二の所定回転数以上の領域にしたまま、所定時間(前記実施の形態においては、16秒間)、放置すると、前記内燃機関回転速度制御回路118によって、前記内燃機関6の回転速度を、自動的に前記遠心クラッチ64のクラッチインの回転数以下の速度にするので、前記クラッチドラム66が回転駆動されることはなく、前記クラッチドラム66及び前記ブレーキバンド68等の早期損耗や焦げ付きを防止することができる。
【0035】また、図9に示す前記第二の安全装置100' によれば、前記内燃機関6を完全に停止させず、回転速度を遅くするにすぎないので、作業者が前記制動装置62を制動状態にしたまま放置した後、前記制動装置62を解除して再び刈取り作業を行う場合でも、前記内燃機関6を改めて再始動させるわずらわしさがない。本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。例えば、前記実施の形態においては、前記第一枢軸42を中心とする前記第一揺動部材60の揺動運動によって、前記ブレーキバンド68を前記離間位置(I)と前記押圧位置(J)との間を移動させているが、前記第一揺動部材60は揺動可能に設けられている必要はなく、例えば、横方向に移動することにより、前記ブレーキバンド68を前記離間位置(I)と前記押圧位置(J)との間で移動させるようになっていてもよい。この場合、前記第一揺動部材60が前記制動位置(A)にあるとき、前記係止面84a が前記フィンガ部材82の前記爪部82a と整列するようにすればよい。
【0036】また、前記フィンガ部材82は、前記スロットルワイヤ32,76の移動によって揺動運動する前記第二揺動部材72を介して、揺動されるが、前記フィンガ部材82は、前記スロットルワイヤ32、76の移動に伴って揺動運動させることができる他の部材に連結されていてもよい。更に、図8及び図9に示す前記安全装置100及び100' は、前記スロットルレバー30を握り、前記内燃機関6の回転速度が前記第二の所定回転数以上になったままで、前記制動装置62が制動状態のままで放置された場合に、作動するようになっている。前記分周回路106によってカウントされるべきパルス数は、前記安全装置100及び100' が作動する前記第二の所定回転数に応じて適宜設定すればよい。また、前記タイマーカウンタ110によって計測される前記分周回路106からの信号の継続時間は、前記クラッチドラム66と前記ブレーキバンド68の材質等との関連で、前記クラッチドラム66及び前記ブレーキバンド68が早期損耗等することなく、前記制動装置62を制動状態に放置可能な時間内で適宜設定すればよい。
【0037】更に、前記解除規制機構78が作動する前記内燃機関6の前記第一の所定回転数は、作業者によって、前記制動装置66が解除されることにより、前記刈刃20が回転駆動されても安全が確保可能な回転数に設定すればよい。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、安全性を向上させた携帯式刈取機を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000141990
【氏名又は名称】株式会社共立
【出願日】 平成10年12月16日(1998.12.16)
【代理人】 【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔 (外6名)
【公開番号】 特開2000−175535(P2000−175535A)
【公開日】 平成12年6月27日(2000.6.27)
【出願番号】 特願平10−357209