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【発明の名称】 バリカン刈刃装置の角度調節構造
【発明者】 【氏名】松浦 卓司

【要約】 【課題】バリカン刈刃を保持する刈刃ケースを操作杆に対して傾けるに、広い角度範囲に亘って軽い力でできるようにする。

【解決手段】操作杆とバリカン刈刃を保持する刈刃ケースとを回動軸で結合し、刈刃ケースと操作杆とを回動軸を中心にバリカン刈刃の摺動面に直角な平面内で相対的に回動可能に構成したバリカン刈刃装置において、操作杆に摺動固定自在なリングを嵌合するとともに、リングと刈刃ケースをリンクで連結し、リングの位置を変えることで操作杆に対する刈刃ケースの角度を変更することを特徴とするバリカン刈刃装置の角度調節構造。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 操作杆とバリカン刈刃を保持する刈刃ケースとを回動軸で結合し、刈刃ケースと操作杆とを回動軸を中心にバリカン刈刃の摺動面に直角な平面内で相対的に回動可能に構成したバリカン刈刃装置において、操作杆に摺動固定自在なリングを嵌合するとともに、リングと刈刃ケースをリンクで連結し、リングの位置を変えることで操作杆に対する刈刃ケースの角度を変更することを特徴とするバリカン刈刃装置の角度調節構造。
【請求項2】 リングの摺動固定の切換えをリングに取り付けた締緩具の締緩操作で行なう請求項1に記載のバリカン刈刃装置の角度調節構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、草刈機やトリマーとして使用されるバリカン刈刃装置の角度調節構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】操作杆に、バリカン刈刃を保持する刈刃ケースを連結し、操作杆の後端に設けた原動機の動力によってバリカン刈刃を摺動させるバリカン刈刃装置は知られている。このようなバリカン刈刃装置では、刈り取る草、芝、樹木等の植生地形に応じて操作杆に対してバリカン刈刃を傾ける必要がある。このため、操作杆に対して刈刃ケースをバリカン刈刃の摺動面に対して直角な平面内で回動可能に構成し、バリカン刈刃の角度を調節できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この角度調節構造として、実開平6−34417号公報に示されるものがあるが、この先行例のものは、内歯歯車形状の係止溝体とこれに係止されるピンとからなるものであり、複雑な形状の部品を必要とするとともに、係止位置(調節位置)は有段にしか設定できない。又、操作杆の傍に大きな径を有する係止溝体が飛び出す構造となり、作業の邪魔になったりする。本発明は、このような課題を解決するものであり、簡単な構造でありながらも任意の角度(無段)に設定できるバリカン刈刃の角度調節構造を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上の課題の下、本発明は、操作杆とバリカン刈刃を保持する刈刃ケースとを回動軸で結合し、刈刃ケースと操作杆とを回動軸を中心にバリカン刈刃の摺動面に直角な平面内で相対的に回動可能に構成したバリカン刈刃装置において、操作杆に摺動固定自在なリングを嵌合するとともに、リングと刈刃ケースをリンクで連結し、リングの位置を変えることで操作杆に対する刈刃ケースの角度を変更することを特徴とするバリカン刈刃装置の角度調節構造を提供する。
【0005】以上の手段によれば、リングの固定を解いてバリカン刈刃を所望の角度にしたなら(このとき、リンクによってリングは操作杆上を摺動する)、リングを固定しすればよい。従って、任意の角度(無段階)に調節できる。又、リングの移動範囲を大きくすることで、角度調節範囲も広くとれる。
【0006】又、本発明は、以上の角度調節構造において、リングの摺動固定の切換えをリングに取り付けた締緩具の締緩操作で行なう手段を提供する。リングの摺動固定の切換えを締緩具の締緩操作で行なえば、操作が一層容易、且つ、迅速になる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一例を示すバリカン刈刃装置の一部断面平面図、図2は一部断面側面図であるが、バリカン刈刃装置は、作業者が手で持って操作する斜め下方に延びる操作杆10と、操作杆10の下端に略水平に連結される刈刃ケース12と、刈刃ケース12からこれと平行に突出する上刃14と下刃16からなるバリカン刈刃18等から構成される。
【0008】この上刃14と下刃16の両側面には、平面視山形のバリカン刃14a、16aが突設されており、上刃14と下刃16を摺動させることにより、バリカン刃14a、16aが交差して被切断物を切断する。尚、バリカン刃14a、16aのエッジは、上刃14は上面に、下刃16は下面に形成されており、合わせ面(摺動面)は真直になっている。
【0009】刈刃ケース12は、下方の本体部20と上方の蓋体22とが合わさってケース体を形成しており、又、蓋体22の基部側(操作杆10側)上部には、上部ケース24が取り付けられている。一方、操作杆10の先端には、操作杆ケース26が取り付けられており、操作杆ケース26と上部ケース24とが、バリカン刈刃18の摺動面に直角な平面内(垂直面内)で回動可能に結合されている。
【0010】具体的には、操作杆ケース26に対して上部ケース24を回動可能に嵌合するとともに、両ケース24、26を水平方向に貫通する回動軸28を設けて、この回動軸28の回りに両ケース24、26を回動可能に構成している。この場合、回動軸28をボルト構造にして操作杆ケース26側から挿入して上部ケース24に貫通させ、ナット30で締めて固定している。尚、回動軸28と操作杆ケース26との間に皿バネ32を介装し、両ケース24、26の回動にある程度の抵抗を持たせるようにして操作感の向上を図っている。又、両ケース24、26の摺動面には、ダストシール34を介装し、ゴミ等を浸入させないようにしている。
【0011】操作杆10の後端には、エンジン等の駆動原が取り付けられており(図示省略)、駆動原の動力は操作杆10の中に収容される駆動軸36を介して最終的にバリカン刈刃18に伝えられる。このため、操作杆ケース26に駆動軸36と連係するベベルギア38を設けるとともに、上部ケース24から刈刃ケース12にかけて縦設したギア軸40の上部にベベルギア42を取り付け、この両ベベルギア38、42に噛み合うダブルベベルギア44を回動軸28に取り付けている。これにより、原動機の動力は、両ケース24、26の回動角度如何にかかわらず、ギア軸40に伝えられる。
【0012】ギア軸40の下部には、ピニオン46が取り付けられており、ピニオン46は、刈刃ケース12の中程に縦設されるクランク軸48に嵌合されるクランクギア50と噛み合わされている。クランクギア50の表裏面には、偏心方向を正反対とする円板カム52、54が一体又は別体で装設されており、円板カム52、54には、それぞれクランクロッド56、58がニードルベアリング60等を介して嵌合されている。
【0013】クランクロッド56、58の他端は、上刃14と下刃16の基端にそれぞれピン62、64で枢着してある。これにより、ギア軸40に伝えられた動力は、上刃14と下刃16を互いに反対方向に摺動させるものとなる。尚、刈刃ケース12の本体部20の底面とバリカン刈刃18との間はある高さhが確保されており、本体部20の底面を接地させて刈取り作業を行なった場合、この高さhが刈高さとなる。
【0014】上刃14と下刃16は、重ね合わされた状態でその基端側が刈刃ケース12内に突入されており、刈刃ケース12にネジ等66で止め付けられる刃押えプレート68を上刃14の上に重ねている。上刃14と下刃16には、適当間隔をあけて長手方向にその摺動ストロークよりも長い長孔70、72が形成されており、取付ボルト74を下刃16の下面から長孔70、72の幅よりも大きな径を有する座金76を当てて両長孔70、72を通して刃押えプレート68の上面まで突出させ、ナット78で締結している。これにより、上刃14と下刃16とは、重ね合わされた状態での摺動が許容されるものとなる。
【0015】加えて、本例のものは、以上の刈刃ケース12の入口近くに、下刃16の下面二カ所にエッジ80を形成して弾性押圧するシールプレート82が設けてある。このシールプレート82は、ばね鋼等(弾性材)で構成される板ばねであり、刈刃ケース12の本体部20の入口近くの底部にリブ等で囲まれて形成される凹形ポケット84に装填してある。これにより、内側のエッジ80は、グリス等が刈刃ケース12から漏出するのを防ぎ、外側のエッジ80は、ゴミ等が刈刃ケース12に浸入するのを防ぐものとなる。
【0016】バリカン刈刃装置は、種々の場所に生えている雑草類の刈取り、芝生の刈込み、生垣の樹木のトリミング等に使用され、その場合、作業種類や地形に応じて操作杆10に対する刈刃ケース12の角度を調節する必要があるのは前述したとおりである。そこで、本発明は、この角度調節構造を以下のように構成している。
【0017】まず、操作杆10の外周にリング86を摺動(移動)可能に嵌合する。そして、このリング86にノブ、ダイアル、レバー等の締緩具88を取り付け、締緩具88の回動操作で固定、移動が可能なように構成しておく。図3はこれを示す操作杆10の断面図であるが、リング86にすり割溝86aを形成するとともに、溝86aを挟んだ一方に締緩具88のボルト部88aが螺入できるネジ86bを刻設しておくのである。これにより、締緩具88を一方に回せば、ボルト部88aがネジ86bに螺入し、リング86は操作杆10に固定され、他方に回せば、緩んで移動できるものとなる。
【0018】次に、刈刃ケース12の基部側適所に設定した連結点90とリング86をリンク92で連結するのである。具体的には、連結点90を上部ケース24の中程の上方、則ち、操作杆10の側方上方に設定し、これにネジ孔等を形成してリンク92の一端をこのネジ孔にボルト94で枢着するとともに、締緩具88のボルト部88aをリンク92の他端に通しておくのである。これにより、締緩具88を緩めておけば、操作杆10と刈刃ケース12の角度は変更できるから(このとき、リング86は操作杆10上を摺動する)、所望の角度になったときに締緩具88を締めることで、その角度に固定される。
【0019】この場合、回動軸28から固定点(締緩具88)までの長さRと、回動軸28から連結点90までの長さrの比を考慮し、リング86を動かしての刈刃ケース12の回動が小さな力でできるようにするとともに、締緩具88の締付力は小さくても強固に固定できるようにしておくのが望ましい。具体的には、R/r=5〜1程度が適する。又、刈刃ケース12を操作杆10の上方に回動すると、連結点90が操作杆10の先端延長上に来てリンク92も上部ケース24にオーバーラップするが、リンク92のこの部分を上部ケース24の外径よりも大きな径で半円形に抉っておくことで、この干渉が避けられる。
【0020】図4、図5は操作杆10に対する刈刃ケース12の角度調節状態を示す側面図であるが、刈刃ケース12は、雑草類の刈取りに際しては、操作杆10に対して±45°程度、生垣のトリムに際しては平行或いは上方90°といったように作業種類や被刈取り物の植生地形に応じて上方90°から下方45°位の範囲で変更できる必要があるが、これを上記した操作で行なうのである。この場合、図示は省略するが、操作杆ケース10と上部ケース24の接合個所に目盛と零線とを形成しておけば、回動角度が判って便利である。
【0021】
【発明の効果】以上、本発明によると、次のような効果が期待できる。
1)刈刃ケースの角度調節は、無段階にできるから、微調整も可能で、作業に最適な角度に設定できる。
2)刈刃ケースの角度調整は、リングを操作杆に摺動固定すればよいから、操作が簡単で楽にできる。
3)リングはリンクによって回動軸から離れた位置にあるから、リングを動かしての刈刃ケースの回動やリングの締付力は小さな力で足りる。
4)刈刃ケースが操作杆に干渉しない限り、リングの移動範囲を広げることで刈刃ケースをいくらでも回動できるから、広い角度調節範囲を取れる。
5)刈刃ケースの回動部にノッチ形成円板等を必要としないから、この部分に飛出部等は存在せず、作業の邪魔にならない。
6)リングとリンクを設ければよいのであるから、製造コストが安い。
【出願人】 【識別番号】000134981
【氏名又は名称】株式会社ニッカリ
【出願日】 平成10年12月4日(1998.12.4)
【代理人】 【識別番号】100088993
【弁理士】
【氏名又は名称】板野 嘉男
【公開番号】 特開2000−166347(P2000−166347A)
【公開日】 平成12年6月20日(2000.6.20)
【出願番号】 特願平10−345859