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【発明の名称】 移動車両の動力伝動装置
【発明者】 【氏名】榎 本 和 加 雄

【氏名】吉 木 晋 也

【氏名】岸 猛

【氏名】松 木 悟 志

【氏名】豊 川 光 夫

【氏名】岡 元 傑

【氏名】清 川 智 男

【氏名】戸 田 大 尊

【要約】 【課題】ミッドモーアを装着する移動車輌において、伝動ケースを走行時の他物接当破損から守り、刈り取った草を後方にシューターを介してスムースに排出しうる移動車輌の動力伝動装置を提供する。

【解決手段】機体の前後長手方向に、左右一対の主フレーム1,2を配設し、主フレーム前部に前車輪3用のフロントアクスル4を直交状に取り付け、主フレーム後部に後車輪5を外端部に備えるリヤアクスル6を直交方向に取り付け、リヤアクスル一側方で主フレームの一方内側に接近させて伝動ケース7を左右方向偏位状に取り付けたことを特徴とし、ブロアケース9を左右主フレーム中央に位置させると共に、ブロアケース前部にシュータ取付部10を設け、リヤアクスルの下方にシュータ11を配設する移動車両の動力伝動装置とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の前後長手方向に、左右一対の主フレーム1,2を配設し、主フレーム1,2前部に前車輪3,3用のフロントアクスル4を直交状に取り付け、主フレーム1,2後部に後車輪5,5を外端部に備えるリヤアクスル6を直交方向に取り付け、該リヤアクスル6一側方で主フレームの一方内側に接近させて伝動ケース7を左右方向偏位状に取り付けたことを特徴とする移動車両の動力伝動装置。
【請求項2】 後車輪5,5間後部にブロア8を内装するブロアケース9を配設するもので、ブロアケース9を左右主フレーム1,2左右間中央に位置させると共に、ブロアケース9前部にシュータ取付部10を設け、リヤアクスル6の下方にシュータ11を配設したことを特徴とする請求項1記載の移動車両の動力伝動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、移動車両の動力伝動装置に関する。この発明は、前後輪ホイルベース間腹下部に、昇降自在に取り付ける草刈機、所謂ミッドモーアを装着する移動車両において、機体後部の後車輪廻りに配置する伝動ケースを走行時の他物接当破損から守りながら、左右後車輪間の空間部を有効に利用してミッドモーアで刈り取った刈草を、移動車両の後方にシュータを介してスムースに排出しようとするものである。
【0002】
【従来の技術、及び、発明が解決しようとする課題】従来のミッドモーアを装着する移動車両で、後車輪駆動用の伝動ケースを機体の左右方向側方に偏位するものが、特開平9−51709号公報で示すように公知である。しかし、この公知の従来例では、第一実施例で示すものは、リヤアクスルを左右に二分割して対向部に幅の広い中央空間を設け、この中央空間部分に刈草搬送用の筒体であるシュータを位置させており、リヤアクスルが中央空間を有して二分割されているため強度面、耐久面から弱い機械構成となっている。第二実施例で示すものは、左右のリヤアクスルを中央部の伝動ケースを介して左右連結しているが、伝動ケースの前後方向中間部を大きくコ字状にえぐり取り、このコ字状空間部に刈草搬送用の筒体であるシュータを配設している。そして、このシュータは前端部をミッドモーアのデッキに取り付けているため、モーアが昇降操作されるとシュータも上下移動するから、コ字状空間部を広くしすぎると伝動ケースが弱くなり、コ字状空間部を広くしないで狭いままにしておくとシュータ通路が狭くなって、搬送している芝草が詰まりやすく掃除に時間がかかる欠点を有している。
【0003】
【課題を解決するための手段】この発明は、従来装置のこのような不具合を解消しようとするものであって、次のような技術的手段を講じた。即ち、機体の前後長手方向に、左右一対の主フレーム1,2を配設し、主フレーム1,2前部に前車輪3,3用のフロントアクスル4を直交状に取り付け、主フレーム1,2後部に後車輪5,5を外端部に備えるリヤアクスル6を直交方向に取り付け、該リヤアクスル6一側方で主フレームの一方内側に接近させて伝動ケース7を左右方向偏位状に取り付けたことを特徴とする移動車両の動力伝動装置とし、また、後車輪5,5間後部にブロア8を内装するブロアケース9を配設するもので、ブロアケース9を左右主フレーム1,2左右間中央に位置させると共に、ブロアケース9前部にシュータ取付部10を設け、リヤアクスル6の下方にシュータ11を配設する移動車両の動力伝動装置の構成とした。
【0004】
【発明の実施の形態】図は、この発明の実施例であり、トラクター等の移動車両13において、移動車両13のリヤアクスル6廻りにこの発明を折り込んだものであって、以下詳述する。芝や草類を地表から刈り取る草刈機12を、移動車両13腹下部に昇降自在に取り付けて、この作業機である草刈機12の刈草排出を、移動車両13の機体後部である後車輪側に搬送排出しようとするとき、後車輪5,5間のリヤアクスル6廻りの空間部を広くして、シュータ11の搬送排出能力を大きくすると共に設計の自由度を向上させる。
【0005】移動車両13は、図で示すように乗用四輪型のトラクターであり、機体下部前後方向に向けて、チャンネル材から成る左右の主フレーム1,2を一対配設している。主フレーム1,2は、前方側でその左右間隔を幅狭とした前部支枠1a,2aと、後方の後車輪5,5側で左右間隔を広げた後部支枠1b,2bから成っており、両者は溶接により前後方向重合して一体化されている。前部支枠1a,2aは、チャンネル材のコ字状開口部を互いに内方に向き合わせた状態として中間立壁面14,14を外方に位置させている。後部支枠1b,2bは逆にチャンネル材のコ字状開口部を互いに背中合わせ状態として中間立壁面14,14を内方に位置させている。15は補強板であって、前部支枠1a,2a後端部と後部支枠1b,2bの中間立壁面14,14間に溶接され、左右主フレーム1,2の強度メンバーである。
【0006】左右主フレーム1,2間前方部にはエンジン16が搭載されており、その下方には、フロントアクスル4をセンターピボット方式として左右揺動自在に取り付けている。また、フロントアクスル4の両端部には、キングピン17を介して前車輪3,3を操舵自在に取り付けている。18はステアリングハンドルであって、前車輪3,3を操舵する。
【0007】また、主フレーム1,2後部の後部支枠1b,2bには、図3正面断面図で示すように、進行方向に対し、右側一側方に伝動ケース7を取り付け左側他側方にリヤアクスル6を取り付けると共に左右外側方に突出した車軸19,19に夫れ夫れ後車輪2,2を取り付けた後車輪駆動ユニット20が取り付けられている。後車輪駆動ユニット20には主フレーム1,2が、上方から載置した状態でボルト,ナット等の締付具21,21..で取り付けられている。
【0008】主フレーム1,2である前部支枠1a,2aの前端部はサイドステー22で左右連結され、後部支枠1b,2b後端部には夫れ夫れ断面四角の支柱23,23が溶接やボルト止め等により上下方向直立状に配設されている。支柱23の上部は、前後方向夫れ夫れ長さの異なる左右の補強枠24,25により、後部支枠1b,2bとの間を迂回連結して強度アップと間隙確保による整備性を向上している。
【0009】エンジン16の外周はボンネット26やサイドカバー27等で覆われ、該ボンネット26後部に前述したステアリングハンドル18を上方に向けて突設している。そして、このサイドカバー27の側方から、左右後車輪5,5間上方に設けた座席28付きのフェンダー29の前縁部間の空間部に、主フレーム1,2に接近した状態に上面を覆って運転者の足を乗せるためのステップ30を取り付けている。
【0010】次に、動力伝動系について、図2を主体に簡単に説明する。エンジン16はクランク軸を後下がりの前後方向向きとしており、前方突出軸に駆動プーリー31と、後方に機体走行用の第一PTO軸32を突設している。また、フロントアクスル4の左右中間部を前後方向の軸として揺動支持するセンターピボット軸の軸心方向を、クランク軸と略平行状とし、センターピボット軸前端部に従動プーリー33を取り付け、センターピボット軸後端を作業機駆動用の第二PTO軸34として、後方に向けて突出している。駆動プーリー31と従動プーリー33間にはVベルトやチェーン等から成る回転動力伝達具が巻廻されており、図示しないクラッチを介して第二PTO軸34の回転を入,切操作可能としている。
【0011】前後車輪3,5ホイルベース間の腹下部に昇降自在に取り付けられた草刈機12は、三本の駆動軸35とその下端に取り付けた回転刈刃36と、回転刈刃36の回転軌跡外方と上方を覆うデッキ37を主要部材としており、左側から2番目と3番目の回転刈刃36,36間後方のデッキ37に刈草排出口38を設けている。この刈草排出口38は、デッキ37の天井部分と後立壁の一部とを側面視L字状の断面に切り欠いでおり、この切り欠いだ開口部に後述するデッキ後風路70を下部に有した天井のフランジ板部を取り付けている。また、デッキ37の左右方向中央上方に突設した伝動ケース39の入力軸40と、センターピボット軸後端を突出した作業機駆動用の第二PTO軸34の間は、自在継手を介して動力伝動を行なっている。草刈機12は、左右一対づつ機体に前端部を軸着した前後リンク41,42の後端部に、デッキ37の前後部を夫れ夫れ軸着しており、左の後リンク42を昇降操作するリフトアーム43とリフトリンク44により、草刈機12の昇降を行なう。45は昇降用アクチュエータであって、図例は油圧シリンダー構成としており、主フレーム1の前部支枠1aに一端を取り付けた油圧シリンダーを伸ばすと、軸46を支点にリフトアーム43の一端が動かされ、リフトアーム43他端がリフトリンク44を介して左の後リンク42を上方に動かし、他の前後リンク41,42により、草刈機12は略平行状に上昇する。草刈機12の前後には、下降時にデッキ37の高さを調節するゲージ車輪47,47..が首振り自在に左右一対取り付けられており、デッキ37の高さ調節に伴い地表面の芝草の刈り残し高さを長短調節する。
【0012】クランク軸後方に突出する第一PTO軸32は、後車輪5,5を駆動するためのものであり、以下詳述する。前述したように、後部支枠1b,2b下部に取り付けられた後車輪駆動ユニット20から後車輪5,5は左右に突出しており、右側後部支枠2b内方接近位置にオフセットして取り付けた走行用の伝動ケース7の上部前方に、ポンプ48とモータ49である静油圧動力駆動伝達装置である所謂H.S.T装置を内装したHSTケース50が取り付けられている。51は走行用入力軸であり、HSTケース50の上部で前方に向かって突出しており、エンジン16から後方に突出した第一PTO軸32との間に、走行用自在継手52を取り付けて駆動力を伝達している。この走行用入力軸51でポンプ48を駆動しており、図示しない斜板の調節によりモータ49を所要回転数に変速出力し、このモータ49の回転を走行用伝動ケース7内の各種歯車に伝達し、前進又は後進や、高速又は低速等副変速を変更して、後車輪5,5を駆動し走行する。
【0013】図例では、左右後車輪5,5上方から前方に亘って左右のフェンダー29,29で覆い、左右のフェンダー29,29間を壁面で連結したフロアカバー53とし、フロアカバー53上に座席28を設けている。このフロアカバー53は、図4で示すように平行リンク的にピン軸着支持した、左右一対の上下リンク54,55とダンパー56によって、上昇位置と下降位置に位置規制状に保持される。通常作業や走行時には、フロアカバー53は図2で示すように下降位置に保持されている。又、走行用伝動ケース7廻りや、後述するシュータ11廻り等の内部点検時には、図4で示すようにフロアカバー53を大きく持ち上げた位置で保持している。
【0014】左右支柱23の上端前方には支持金具57,57が溶接等で一体的に取り付けられており、支持金具57の上下に二個所開口した取付孔の夫れ夫れに、上リンク54の後端部は上の取付孔に、下リンク55の後端部は下の取付孔にと、夫れ夫れ上下揺動自在に取り付けている。また、左右支柱23,23間の後方には、ブロア8を内挿したブロアケース9が、ボルト,ナット等の締付具を介して一体に取り付けられている。また、ブロア8前方のブロアケース9前壁部には、開口であるシュータ取付部10が設けられている。そして、このシュータ取付部10から、後車輪駆動ユニット20の伝動ケース7とリヤアクスル6下方に向かって、前方開口した吸気口58を有する吸気筒59を斜め下方に突設し、ボルト,ナット等の締付具で基端部を取り付けている。吸気口58は正面視幅広の四角形状の開口としており、図4,図5で示すようにこの吸気口58内に、草刈り機12のデッキ37後部から後方突設する断面幅広の四角形状のシュータ11の後端部が入り込んでいる。このシュータ11は、デッキ37の昇降に伴いシュータ11も昇降して上下姿勢が変化するので、シュータ11前部は次のような構成としている。即ち、デッキ37の刈草排出口38を覆ってデッキ37に一体に取り付けたデッキ後風路70の天井フランジ板上に設けた横軸心のヒンジ60に、シュータ11の前端部を上下揺動自在に取り付けている。そして、シュータ11後端は前述した吸気口58の周縁部で支持している。
【0015】ブロアケース9上方には図2で示すように、搬送筒61が上方に向かって突出しており、搬送筒61の先端部は収納容器であるコレクタ62の上部に突入し開口している。また、ブロアケース9の後壁面には、ブロア8駆動用の伝動具を覆うカバーケース63が取り付けられる。カバーケース63内には、第一プーリ64と第二プーリ65が内装されている。そして、第一プーリ64は、右側の後壁面から前方に突出する第一軸66後部に取り付けられている。第一軸66は、走行用伝動ケース7の後上方に突出する駆動軸67との間を、駆動自在継手68を介して伝動している。第二プーリ65の取付軸前部にはブロア8が取り付けられ、Vベルトやチェーン等の回転動力伝達具69を介してブロア8を回転している。ブロア8の回転により吸気筒59内は負圧となり、デッキ37後部と吸気筒59間を連通連結するシュータ11内も負圧となり、デッキ37内の刈り取った芝草をブロア8によって吸引し、搬送筒61からコレクタ62へ搬送する。吸引された芝草は、コレクタ62に送りこまれ、満杯近くになると後半部の蓋体79を開け、所定の場所に排出する。
【0016】草刈機12は前述したように、下端に回転刈刃36を取り付けた3本の駆動軸35を、平面視中央前位の中央刈取部と、左右両側の側方刈取部の構成としており、図1に示す図例では、左の側方刈取部と中央刈取部は平面視で右回り回転とし、右の側方刈取部のみを左回り回転としている。そして、この正逆回転対向部をデッキ37後部右側方に偏位させ、この対向部後方に刈草排出口38を設けている。回転刈刃36はプロペラ状の平板であって、長手方向中央部を夫れ夫れの駆動軸35に取り付けており、突出平板の回転前方縁に芝草を切断する切刃を有し、回転後方縁に芝草を飛散排出する羽根板を有した二枚の切刃としている。また、図示しないが各駆動軸間は、同一の角速度で駆動するよう伝動連動具であるVベルト等で連動連結されており、組立て当初は各回転刈刃36,36..を夫れ夫れ90度の位相差で組付けている。しかし、使用に伴いベルト面のスリップや、図示しない回転刈刃衝撃逃げ機構等でのスリップによって、回転刈刃36,36..の刃先位置はバラバラな位置となる。
【0017】刈草排出口38には、背面視で横長四角形状の風路を有したデッキ後風路70が取り付けられており、草刈機12を地面側の芝草上に下降して、芝草を切断し後方に排出する作業時に、このデッキ後風路70から切断芝草を送り出す。デッキ後風路70の天井部左右には、前方ヒンジステーが設けられ、シュータ11前部上方対応位置に後方ヒンジステーが設けられており、前後のヒンジステーを軸着して、前述したヒンジ60を構成している。
【0018】シュータ11は横長四角形の入口縁部71を有しており、デッキ後風路70の突出後縁部を、ヒンジ60を介してこの入口縁部71内に重合内装している。これらにより、草刈機12を昇降用アクチュエータ45で昇降操作するとき、デッキ37が上下するが、デッキ37の上下に伴いシュータ11の前部も上下動する。シュータ11は横長四角形断面の通路を有し前後方向に長い筒体であって、筒体の出口縁部72を、吸気筒59の吸気口58内に重合内装している。このシュータ11内は、刈り取った芝草の搬送通路であり、通路内に芝草が詰まることがあるので、天井部に掃除用の開閉蓋73を設けている。また、図例ではシュータ11の横長四角形断面の通路を前後方向に亘り、略同幅程度の幅で長い筒体としているので、芝草が搬送途中に圧縮されず詰まることも少ない。
【0019】さらに、シュータ11を平面視で後部支枠1b,2b間に配設し、後車輪駆動ユニット20の伝動ケース7を右の後部支枠2b側に偏位して設け、シュータ11前部上方のHSTケース50を高位置に設けているので、前端部が上下動するシュータ11をデッキ37後部と吸気筒59間にダイレクトに短く配設することが可能となり、集草性のよいリヤディスチャージモーアを簡単に構成できた。また、シュータ11上方が、フロアカバー53とフェンダー29を上方に上げるだけで覗き込むことができ、左補強枠24を短くして邪魔ものを無くしているのでシュータ11内部の掃除も容易に行なえる。
【0020】ブロア8を内装するブロアケース9のレイアウトを、図1で示す状態からさらに左方に移動すると、後車輪駆動ユニット20の伝動ケース7後部上方から突設する駆動軸67と、第一プーリ64前部の第一軸66間を連動連結する駆動自在継手68の左右方向の位相差を少なくして、滑らかにブロア8を駆動することができる。
【0021】草刈機12は、前述したように、デッキ37の前後に取り付けた4個のゲージ車輪47,47..によって芝草の刈取高さを調節しているが、相対的に逆に述べるとゲージ車輪47は地面の凹凸に伴ってデッキ37を上下させて走行しており、地表面に凹凸の多い場所において左右に高さの差が生じると、デッキ37が移動車両13に対し左右に揺動する。デッキ37が移動車両13に対し左右に揺動すると、デッキ37のヒンジ60によりデッキ37と同姿勢で左右揺動するシュータ11は、その後端部が機体に固定された吸気筒59の吸気口58部で揺動を規制され、シュータ11後部やヒンジ60部等の弱い部分が変形し破損する恐れがある。図6,図7で示すものは、これらを解消しようとするための構成であり、以下説明する。
【0022】ブロアケース9前壁に設けたシュータ取付部10から、前方下方に向かって延出する吸気筒59aの前縁部の吸気口58aには、前下縁部に先端が上下方向に可動する下部受板75を取り付けている。下部受板75は横方向の軸心76を中心に上下し、引っ張りバネ77により吸気口58aを閉鎖する方向に荷重している。シュータ11が左右方向に揺動すると、この下部受板75が引っ張りバネ77に逆らって下方に開くから、シュータ11後部やヒンジ60部等の弱い部分を変形させない。
【0023】また、図示しないが、吸気筒59の上下間隔をシュータ11の出口の上下間隔に対し充分広くし、吸気口58先端上下から弾性材であるゴム板をくちばし状に前方に向かって先細状に突設して、ゴム板突設端上下でシュータ11の後部上下面を弾性挾持していても良い。このような構成にすると、シュータ11がデッキ37と共に地面の凹凸により、機体に対し左右方向に揺動した場合、シュータ11の突出先端部をゴム板の弾性力を介して吸気口58に支持しているから、ゴム板の変形によって左右揺動による不具合を解消する効果を生じる。
【0024】図8,図9で示すものは、シュータ11の前端部取り付けの別図例である。第一実施例のデッキ37には、先述したように、右側方後方上面と後立壁に刈草排出口38を切り欠いで開口し、この刈草排出口38にデッキ後風路70の天井フランジ板を取り付けると共に、天井フランジ板後端部に設けたヒンジ60にシュータ11の前端を取り付けていた。これに対し、この別図例のシュータ11aは、デッキ37a天井部の切り欠き開口を廃止し、デッキ37a天井の前方にヒンジ60aを設け、ヒンジ60a近傍にシュータ11a先端部の側方立壁が出入りする前後方向のスリット38a,38aを開口し、シュータ11a先端上部をヒンジ60aに取り付けたものである。このようにすると、シュータ11a先端部は草刈機12aのデッキ37a内に入り込んで上下揺動するので、シュータ11aを取り外した際にデッキ37aの後部廻りに邪魔ものが突出しない。
【0025】図10で示すものは、後部支枠の別実施例であり、第一実施例における走行用の伝動ケース7が、右側主フレーム2の後部支枠2bの内側部に主要部を寄せて取り付けているのに対し、この第二実施例の走行用の伝動ケース7aとHSTケース50aは、両ケースを後部支枠の一部として強度部材に組み込むものであり以下説明する。
【0026】HSTケース50aの前面に、右前方後部支枠2c後端をボルト,ナット等で取り付け、走行用の伝動ケース7a後面に、右後方後部支枠2d前端をボルト,ナット等で取り付けて一体化することにより、後部支枠の左右方向間隔が広くでき、シュータ11廻りの設計の自由度が向上する。また、シュータ11廻りの掃除がやりやすくなったり、走行用の伝動ケース7aが右側に少し移動することにより、ブロア8の駆動自在継手68も平面視でまっすぐな方向に移動することが可能になるから、最終的にはストレート軸80で駆動軸67と第1軸66間を連結することもでき、また、自在継手68を使っていても折れ角度を小さくできるから駆動回転時の振動や騒音を小さくできる。このような構成にすれば、ブロア8を更に前方のリヤアクスル6方向に寄せることが可能になる。ブロア8を前寄せすると、草刈機12のデッキ37とブロアケース9間の距離も小さくなり、コンパクトな構成となり、次のような構成も考えられる。即ち、吸気筒59の前後長を短くしてやり、さらに、ブロアケース9の後壁に回動軸78を設け、ブロア8付きの後壁79を開閉自在にすると、ブロアー8内に刈り取った芝草が詰まったとき、これを図示仮想線のように開いて簡単に掃除することができる。
【0027】また、全体斜視図で示す左右ステップ30,30間のフロア部に、同様のフロア開閉蓋74を設け、前述したシュータ11天井部の開閉蓋73を透明材としておくと、シュータ11通路内の芝草詰まりが運転席側から乗車したまま容易に点検できる。
【0028】
【発明の作用効果】この発明は前述したように、機体の前後長手方向に、左右一対の主フレームを配設し、主フレーム前部に前車輪用のフロントアクスルを直交状に取り付け、主フレーム後部に後車輪を外端部に備えるリヤアクスルを直交方向に取り付け、該リヤアクスル一側方で主フレームの一方内側に接近させて伝動ケースを左右方向偏位状に取り付けたことを特徴とする移動車両の動力伝動装置とし、また、後車輪間後部にブロアを内装するブロアケースを配設するもので、ブロアケースを左右主フレーム左右間中央に位置させると共に、ブロアケース前部にシュータ取付部を設け、リヤアクスルの下方にシュータを配設する移動車両の動力伝動装置の構成としたので、次のような、技術的効果を奏する。即ち、伝動ケースを左右主フレームの一側に偏位させ、左右主フレーム間に配置するブロアケースから前方にシュータ取付け部を設けたので、シュータ上方が広い空間部にでき、メンテナンスの容易な装置とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年10月2日(1998.10.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−106733(P2000−106733A)
【公開日】 平成12年4月18日(2000.4.18)
【出願番号】 特願平10−280895