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【発明の名称】 コンバインの吸塵装置
【発明者】 【氏名】瀬川 卓二

【氏名】柏野 信三

【氏名】仲谷 章一

【氏名】田中 祐二

【氏名】文野 裕一

【氏名】奥田 史郎

【氏名】福岡 義剛

【氏名】荒木 正義

【氏名】朝倉 定夫

【氏名】北川 仁

【要約】 【課題】フィーダ前端開口からの塵埃吹き出しを回避して、刈り跡や刈取装置付近が良く見えるとか、運転部に塵埃が及ばないように改善する。

【解決手段】刈取られた穀稈を左右方向に寄せ集めるオーガ10と、このオーガ10で寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダ11とを備え、フィーダ11を、穀稈搬送用の無端回動コンベア20を搬送ケース21内に設けて構成してあるコンバインの吸塵装置において、搬送ケース21内の塵埃を、その搬送ケース21上面に形成された吸出し口から空気と共に吸引する排塵ファン29を設け、これで吸引された塵埃を、搬送ケース21の左外側面に装備された伝動カバー30の内部を通して下方後方に排出させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刈取られた穀稈を左右方向に寄せ集めるオーガと、このオーガで寄せ集められた穀稈を脱穀装置に搬送するフィーダとを備え、前記フィーダを、穀稈搬送用の無端回動コンベアを搬送ケース内に設けて構成してあるコンバインの吸塵装置であって、前記搬送ケース内の空気を、該ケース上面に形成された吸出し口から吸引する排塵ファンを設けるとともに、前記排塵ファンで吸引された空気を、前記搬送ケースの左右方向で運転部と反対側の側面に装備される伝動カバーの内部を通して下方又は後方に排出するように構成してあるコンバインの吸塵装置。
【請求項2】 前記排塵ファンを前記伝動カバー上に配置し、前記吸出し口から出た空気を前記排塵ファンの吸引口に導くための導風カバーを設けるとともに、前記導風カバーの上面を、これの前記ケース上面からの高さが、左右方向で前記排塵ファンから遠ざかる程に低くなるテーパ面に形成してある請求項1に記載のコンバインの吸塵装置。
【請求項3】 前記吸出し口を、前記ケース上面に形成された多数の孔で構成してある請求項1又は2に記載のコンバインの吸塵装置。
【請求項4】 前記導風カバーの上面に、該導風カバーの内部が視認可能な覗き窓を設けてある請求項2又は3に記載のコンバインの吸塵装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として大豆、そば用のコンバインに係り、詳しくは、刈取茎稈を脱穀装置に搬送するフィーダの前部から塵埃が吹き出すことに起因した不都合を改善させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種コンバインは、特開平9‐131118号公報に示されたもののように、オーガで集められた刈取茎稈を、搬送チェーンの周方向所定間隔毎に搬送体を取付けて成る無端回動コンベヤと搬送ケース内側の底面との間に掻き込んでの協働による摺接搬送形態により、脱穀装置に向けて後方上方に搬送する構造を採っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】無端回動コンベヤを搬送ケース内で回動移動させる構造では、搬送ケース上部において無端回動コンベヤが後から前に移動しており、それによって前方に吹く風が生じているので、茎稈搬送によって搬送ケース内部で生じた塵埃は、搬送ケース内上部における前向きの風に乗って運ばれ、搬送ケース前端のフィーダ開口から吹き出る傾向にあった。
【0004】フィーダ開口から吹き出た塵埃は、刈り跡や刈取装置の周りに浮遊するので、運転者が刈り高さ調節を行うため等で刈り跡や刈取装置付近を観察する際に、それらが良く見えないことがあり、改善の余地があった。特に、乾燥状態で収穫作業を行う大豆やそば等の刈取りでは、フィーダ開口から吹き出る塵埃量が多く、前記不都合傾向が強まるとともに、場合によっては塵埃が運転部に及ぶおそれもあった。本発明の目的は、フィーダ開口からの塵埃前方吹き出し現象を回避して、適切な刈り高さ調節が行える等、運転者が刈り跡や刈取装置付近の状態を良く見えるように、或いは、運転部に塵埃が及ばないように改善する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕第1発明は、刈取られた穀稈を左右方向に寄せ集めるオーガと、このオーガで寄せ集められた穀稈を脱穀装置に搬送するフィーダとを備え、フィーダを、穀稈搬送用の無端回動コンベアを搬送ケース内に設けて構成してあるコンバインの吸塵装置において、搬送ケース内の空気を、ケース上面に形成された吸出し口から吸引する排塵ファンを設けるとともに、排塵ファンで吸引された空気を、搬送ケースの左右方向で運転部と反対側の側面に装備される伝動カバーの内部を通して下方又は後方に排出するように構成してあることを特徴とする。
【0006】第2発明は、第1発明において、排塵ファンを伝動カバー上に配置し、吸出し口から出た空気を排塵ファンの吸引口に導くための導風カバーを設けるとともに、導風カバーの上面を、これのケース上面からの高さが、左右方向で排塵ファンから遠ざかる程に低くなるテーパ面に形成してあることを特徴とする。
【0007】第3発明は、第1又は第2発明において、吸出し口を、ケース上面に形成された多数の孔で構成してあることを特徴とする。
【0008】第4発明は、第2又は第3発明において、導風カバーの上面に、導風カバーの内部が視認可能な覗き窓を設けてあることを特徴とする。
【0009】〔作用〕請求項1の構成によれば、搬送ケース内の塵埃を空気と共に排塵ファンで吸い出して、搬送ケースにおける運転部とは反対側の横側方から下方又は後方に排出させるようにしたから、搬送ケース内の塵埃がフィーダ開口から吹き出る塵埃量が減り、刈り跡や刈取り装置付近に浮遊する塵埃量が抑制又は解消されるようになる。それによって塵埃が運転部に及ぶことも抑制又は解消される。
【0010】排塵ファンの排風を、搬送ケースの横側面に装備される伝動カバー内を通すようにしたので、伝動カバーを排風経路の構成部品として利用することができ、専用の排出経路を設ける場合に比べて、部品点数やコストを抑えた状態で、かつ、排風の大気開放場所を極力下方の位置に設定して、運転部や刈取装置付近から遠ざけることができる。
【0011】又、搬送ケース内での塵埃は、後から前に移動する無端回動コンベヤと共に、すなわち、搬送ケース内の上部空間において前方移動する傾向があるから、搬送ケース上面に吸出し口を設けることにより、例えば搬送ケース側面から吸出す手段に比べて、効率良く塵埃を取出せるようになる。
【0012】請求項2の構成によれば、排塵ファンを伝動カバー上に配置したので、搬送ケース上面から吸い出した塵埃を運転部と反対側の搬送ケース側面側に排出する経路を最短距離的に設定でき、かつ、排塵ファンを吸出し口に極力近づけて配置できるので、効率の良い吸塵及び排出作用を得ることができる。そして、効率の点から伝動カバー上側の高い位置に排塵ファンを設けながら、排風の大気開放場所は極力下方の位置に設定することができる。
【0013】又、吸出し口から出た空気を排塵ファンの吸引口に導くための導風カバーの上面を、これのケース上面からの高さが、左右方向で排塵ファンから遠ざかる程に低くなるテーパ面に形成したので、排塵ファンから離れた吸出し口からも、近い吸出し口からも偏ることなく万遍なく吸引することができるようになる。
【0014】請求項3の構成によれば、吸出し口を、ケース上面に形成された多数の孔で構成したので、搬送ケースからの不測の茎稈や穂部の飛び出しを防止する篩作用を発揮できるようになり、排塵ファンが詰まる等の不具合が生じないようになる。しかも、その篩は搬送ケース上面で形成され、専用部品が不要である。
【0015】請求項4の構成によれば、導風カバーの内部が視認可能な覗き窓を導風カバーの上面に設けたので、塵埃の吸い出し具合や吸出し口の詰まりの有無等の点検を、導風カバーの着脱操作を伴うことなく行え、吸塵作用が不十分又は不能のままで刈取収穫作業が実行される不利が回避し易いようになる。
【0016】〔効果〕請求項1〜4のいずれに記載のコンバインでも、フィーダの機能と搬送ケース横側方配置の伝動カバーとを有効利用して、構造簡単で廉価に、しかも効率よくフィーダ開口からの塵埃吹き出しを防止して塵埃が浮遊することが抑制又は解消でき、刈り跡や刈取装置付近が良く見えるようになり、刈り高さ調節が適切に行えるとか、塵埃が運転部に及ぶことが回避されて作業環境改善が図れる等の優れた吸塵装置を提供できた。
【0017】請求項2に記載の吸塵装置では、導風カバー形状や排塵ファン位置の工夫により、搬送ケースからの塵埃吸出し効率がより優れ、かつ、塵埃排出場所を運転部や刈取装置から遠ざけた位置に設定し易い利点がある。
【0018】請求項3に記載の吸塵装置では、搬送ケースの上面を多孔状に形成するという既存部品の改造のみの経済的手段により、余分なもを吸い込んだり詰まったりすることがなく、フィーダ内の塵埃だけ有効に吸引除去できるものにできた。
【0019】請求項4に記載の吸塵装置では、覗き窓から見ることで、導風カバーの着脱操作なく簡単便利に排塵ファンや導風カバー内部の点検が行える利点がある。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に大豆、そば等の雑穀用のコンバインが示され、1は刈取部、2はクローラ走行装置、3は運転部、4は脱穀装置、5はグレンタンク、6はアンローダである。このコンバインは、左右軸心周りで回転する扱胴(図示せず)を備えた脱穀装置4に、刈取った穀稈を丸ごと投入する全稈投入型に構成されている。
【0021】刈取部1は、左右の支持アーム9,9で支承された状態で、植立穀稈を引起こしながら後方に掻込むリール7と、リール7で掻込まれた穀稈を刈取るバリカン型の刈取装置8と、刈取られた穀稈を左右方向の所定箇所(フィーダ11の始端部)に寄せ集めるオーガ10と、オーガ10で寄せ集められた穀稈を脱穀装置に向けて後方上方に搬送するフィーダ11とを備えて構成されている。
【0022】機体の右前部に配置される運転部3はキャビン12の内部に構成されており、その左側にフィーダ11が位置している。キャビン12は、図5,図6に示すように、防振して居住性を改善するために、キャビン底面と機体との間に前後左右の計4箇所の弾性支持具13を介装して搭載されている。そして、底面だけの支持ではキャビン12の横揺れが生じ易くなるので、キャビン12の上部と脱穀装置4とを防振支持具14を介して連結して、キャビン12の横揺れを抑制して周囲の構成部材との接当を防止してある。
【0023】防振支持具14は、図6に示すように、ゴム塊16を貫通したボルト17をコ字状のブラケット15の両辺部に亘って架設し、ゴム塊16を全周に亘る隙間を介して囲繞する筒状のボス18にL字状のステー19を溶着一体化して構成されている。そして、ブラケット15をキャビン12側面にボルト止めするとともに、ステー19を脱穀装置4側にボルト止めすることで両者12,4を架設連結してある。ゴム塊16とボス18との隙間により、キャビン12がある程度横揺れしてから初めて防振支持具14が機能するようにしてある。
【0024】図1,図4に示すように、フィーダ11は、搬送ケース21内に穀稈搬送用の無端回動コンベア20を設けて構成してある。搬送ケース21は、上下左右の面21a,21b,21c,21dを備えた断面四角形の箱状に構成され、その下面21bの下側に取り付けた枠体22の前部に、刈取部1の揺動昇降用の油圧シリンダ23を、かつ、後部に機体との連結箇所である左右向きの揺動支点Pを備えている。
【0025】無端回動コンベヤ20は、前後のスプロケット24,25に巻回される左右一対の搬送チェーン26,26に、周方向の所定間隔毎に搬送体27を取付けて構成され、前から後に向かって移動するチェーン下部と、ケース下面21bの内面との間に穀稈を挟んで強制移送させる構造である。
【0026】次に、フィーダ11に装備された吸塵装置Aについて説明する。図1〜図5に示すように、搬送ケース21内の空気を、ケース上面21aに形成された吸出し口28から吸引する排塵ファン29を設けるとともに、排塵ファン29で吸引された空気を、搬送ケースの左側面21cの外側に装備される伝動カバー30の内部を通して下方後方に排出するようにして、吸塵装置Aが構成されている。
【0027】伝動カバー30は、オーガ10や刈取装置8等を駆動するための伝動ベルト31を覆う正面視で断面コ字状の板金材等で構成されており、この伝動カバー30の上面に、ブロワ29aとこれの駆動用の電動モータ29bとで成る排塵ファン29を、その回転軸心が左右向きとなる姿勢で配置してある。
【0028】ケース上面21aの吸出し口28から出た空気を排塵ファン29の吸引口29cに導くための導風カバー32を設けるとともに、導風カバー32の上面32aを、これのケース上面21aからの高さが、左右方向で排塵ファン29から遠ざかる程、すなわち右側に行く程に低くなるテーパ面に形成してある。吸出し口28は、前後3列、かつ、左右15列でケース上面21aに形成された多数の前後に長い長孔34で構成してある。又、カバー上面32aには、吸出し口28等の導風カバー32内部を視認可能な覗き窓33が形成されている。
【0029】排塵ファン29からの排風は、ファンケース29dに接続される角筒状の排出通路35を、伝動カバー30を上下に貫通する状態でその側面30aの内側面に沿って配置してある。従って、吸塵装置Aを駆動すれば、フィーダ11内部の塵埃を空気と共に吸い出すとともに、排出通路35の下端開口から下方後方に排出するのである。
【0030】尚、塵埃を吸い出すには、換気扇等の回転羽根タイプよりも、本発明で用いたブロワタイプの方が吐出口は小さいが吸引力が強い(回転羽根タイプの約2倍)。又、ブロワータイプでは、排風方向と塵埃の排出方向とを一致させることができて効率が良い利点もある。
【0031】図1に示すように、穀粒排出用のアンローダ6は、グレンタンク5内の穀粒を揚送する縦スクリューコンベヤ36と、これを回転軸として旋回、及び起伏揺動自在な横送りスクリューコンベヤ37とで構成されている。そして、アンローダ6の駆動、停止、上昇揺動、下降揺動、右旋回、左旋回の各操作を行うリモコン装置38をキャビン12内に配置してある。
【0032】図6に示すように、リモコン装置38は、リード線39を介してキャビン12内部の右側天井部位から吊り下げ状態で配備されるとともに、板金製キャビン12の内面の適宜箇所にリモコン装置38を吸着保持可能とするために、磁石40をリモコン装置38の背面側に装備してある。又、従来のアンローダ6操作用の十字操作レバー41も運転席42の左側に配備してあり、アンローダ6の位置や旋回方向等を勘案して、作業者は十字操作レバー41かリモコン装置38かを適宜に使い分けることができる。
【0033】図7に示すように、導風カバー32の右端部とキャビン12左側面上部とを連通接続する蛇腹ダクト43を設けて、排塵ファン29を用いて運転者周りのホコリも吸い取れるように構成しても良い。又、運転部3にキャビンの無い場合には、図8に示すように、運転席42付近に蛇腹ダクト43端の吸塵口43aを位置させておくようにする。
【0034】〔別実施形態〕吸い出し口28を、ケース上面21aに多数の小さな円孔を形成して構成するとか、ケース上面21aに形成された大きな孔に、金網等の篩具を装着する構造としても良い。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年9月30日(1998.9.30)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−102315(P2000−102315A)
【公開日】 平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願番号】 特願平10−277054