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【発明の名称】 刈刃の駆動機構
【発明者】 【氏名】稲垣 晴三

【氏名】森山 浩二

【要約】 【課題】コンバインの刈刃の駆動は、車速の低速時においては速度が遅く、稈の切断性能が充分に確保できなかった。

【解決手段】刈刃74をベルト伝動機構により駆動するように構成したコンバインであって、駆動プーリ70aを固設部70D及び摺動部70Uとからなる割プーリで構成し、従動プーリ72aの回転速度を無段変速可能な構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刈刃の上部に従動プーリを配置し、該従動プーリよりクランク機構を介して刈刃を往復駆動可能とするとともに、前記従動プーリと刈取フレームの上に設けた駆動プーリとの間にベルトを巻回して、刈刃をベルト伝動機構により駆動するように構成したコンバインであって、該駆動プーリ又は従動プーリのいずれか一方又は両方を割プーリで構成して、割プーリ式無段変速機構を構成し、該無段変速機構により刈刃駆動速度を変更可能としたことを特徴とする刈刃の駆動機構。
【請求項2】 前記割プーリは、駆動軸に固設される固設部と、駆動軸の軸方向に摺動自在で駆動軸と一体的に回転する摺動部とで構成し、摺動部をカムにて摺動したことを特徴とする請求項1記載の刈刃の駆動機構。
【請求項3】 前記摺動部をアクチュエータで駆動し、該アクチュエータと車速センサーをコントローラと接続し、低速走行時に刈刃駆動速度を高めるように制御したことを特徴とする請求項2記載の刈刃の駆動機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの前部に配置し、穀稈を引起し、刈り取り、脱穀部へ搬送する刈取部の刈刃を駆動する構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からコンバインによる刈取作業は、機体前部に刈取部を配し、該刈取部の前部に配設された引起しケースのタインにより穀稈を引起し、引起しケース後方の下部に配設された刈刃により、穀稈の株元を切断し、切断された穀稈を、刈取部の後部に配置された搬送部により後上方へ搬送し、脱穀部のフィードチェーンへと引き渡すよう構成している。
【0003】そして、機体左右方向に配設された刈刃は左右方向に往復運動し、該刈刃の下部には同じく機体左右方向に受刃が配設されており、その上下の両方の刃で稲、麦等の株元を切断するように構成している。また該刈刃の駆動力は、刈取フレーム内に左右方向に配置された刈取伝動軸から順に、刈取クランク、ロッド、刈取アーム、ナイフヘッドへと伝達する構成をとっており、該ナイフヘッドの往復運動によりナイフヘッドの下部に固設された刈刃が往復運動するよう構成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術においては、刈刃、刈刃クランク、刈取アーム等のクランク運動が起振源となるため、高速作業時には振動が大きくなり適していなかった。そして高速作業を実現するために、刈刃を左右同時に逆方向に往復運動させるWアクション刈刃や、対向刈刃方式を採用して振動を打ち消すように駆動していたが、構造が複雑となって左右両側に駆動部を配設するためコストが高くなるといった問題が発生していた。そして刈刃の駆動は車速に同調するように構成されているため、低速時においては、刈刃の往復動の速度も遅くなり、稈の切断性能が充分でなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に課題を解決するための手段について説明する。即ち、刈刃の上部に従動プーリを配置し、該従動プーリよりクランク機構を介して刈刃を往復駆動可能とするとともに、前記従動プーリと刈取フレームの上に設けた駆動プーリとの間にベルトを巻回して、刈刃をベルト伝動機構により駆動するように構成したコンバインであって、該駆動プーリ又は従動プーリのいずれか一方又は両方を割プーリで構成して、割プーリ式無段変速機構を構成し、該無段変速機構により刈刃駆動速度を変更可能とした。
【0006】また、前記割プーリは、駆動軸に固設される固設部と、駆動軸の軸方向に摺動自在で駆動軸と一体的に回転する摺動部とで構成し、摺動部をカムにて摺動した。
【0007】また、前記摺動部をアクチュエータで駆動し、該アクチュエータと車速センサーをコントローラと接続し、低速走行時に刈刃駆動速度を高めるように制御した。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施例を説明する。図1は本発明の刈取装置を装備したコンバインの全体側面図、図2は同じく平面図、図3は刈取部の側面図、図4は刈取部の平面図、図5は本発明のベルト駆動部の側面断面図、図6は同じく平面図、図7は本発明の無段変速機構を示す側面断面図、図8は同じく平面図、図9は刈刃駆動速度の制御構造を示す入出力図、図10及び図11は車速と刈刃駆動速度との関係を示す図、図12は刈取部の駆動伝達系を示すスケルトン図である。
【0009】図1、図2よりコンバインの全体構成から説明する。クローラー式走行装置1上に機体フレーム2を支持し、該機体フレーム2の進行方向右側前部上に運転部3を配置し、該運転部3は前部にフロントコラム4を立設して、該フロントコラム4上に操向レバーやアクセルレバー等を配置し、フロントコラム4側部の機体中央側にサイドコラム5を立設し、該サイドコラム5上に作業クラッチレバーや変速レバー等を配置している。
【0010】そして、機体フレーム2の進行方向左側から前方へ刈取部6が突出配置され、穀稈を引起して株元を刈刃74によって刈り取り、搬送装置によって後方へ搬送する。該刈取部6の後部には脱穀部7が配置され、搬送装置によって搬送された穀稈の株元をフィードチェーン8によって挟持して後方へ搬送しながら、扱胴9によって脱粒する。脱穀後の排藁は排藁チェーン17によって後方へ搬送され、カッターや結束装置等の排藁処理装置11によって処理される。
【0011】前記脱穀部7下部には選別装置が配置され、該選別装置によって選別された後の二番物は再度扱胴9または処理胴へ還元され、ゴミ等は排出され、精粒は一番コンベアや揚穀コンベア12を介して運転部3後部に配置したグレンタンク13に搬送される。該グレンタンク13内の下部には下部コンベアが配置され、該下部コンベアは排出オーガ14に連通され、該下部コンベア及び排出オーガ14を駆動することによって、グレンタンク13内の穀粒を排出できるようにしている。
【0012】また、前記運転部3における座席15下方にはエンジン16が配置され、該エンジン16の駆動力を前記クローラー式走行装置1に伝えて走行し、刈取部6、脱穀部7、選別部等の各部に伝えて、連続的に刈り取り、脱穀・選別作業を行い穀粒をグレンタンク13に貯留するのである。
【0013】次に刈取部6の構成について図3、図4及び図12より説明する。機体フレーム2の前部上に回動支点台20・21を設け、該回動支点台20・21上部にパイプより構成された上下回動支点軸22を枢支し、該上下回動支点軸22の一端にはギヤケース23が突出され、該上下回動支点軸22内には刈取入力軸(伝動1軸)19が軸支されて、該刈取入力軸19の一端は進行方向右側に突出されて入力プーリ24を固設し、エンジン16からの駆動力を刈取部6へと導入するよう構成している。
【0014】前記上下回動支点軸22より前下方に縦連結パイプ25が突設され、該縦連結パイプ25内には伝動2軸25aを配し、該縦連結パイプ25の中途部と機体フレーム2の間に昇降用油圧シリンダー26が介装されて、前記回動支点軸22を中心にして刈取部6を上下回動可能としている。また、縦連結パイプ25の前端には機体左右方向に横パイプ30を支持し、該横パイプ30内には刈取3軸30aを横架し、該横パイプ30両側にベベルギアケース80・81を固設し、該ベベルギヤケース80・81より前方に支持プレート31・31を延設し、該支持プレート31・31の前部間に横連結フレーム32固設して刈刃74を支持している。また、右側のベベルギヤケース81より上方に引起し駆動用直交軸82を延設して、機体前方の引起しケース35・35・35へ動力を伝達している。
【0015】前記横連結フレーム32より前方に刈取フレーム33・33・・・が前方に突設され、該刈取フレーム33・33・・・前端にそれぞれ分草板34・34・・・が固設されている。該分草板34・34・・・の後部にはそれぞれ引起しケース35・35・35が立設され、該引起しケース35・35・35にはそれぞれタイン36・36・・・を設けたチェーンが収納されており、本実施例においては図4で示すように、該引起しケース35・35・35のそれぞれの間に機体左側(図4における左側)から2条刈部、1条刈部を形成している。
【0016】次に刈取部6の後部に位置する搬送部10の構成について図3乃至図4を用いて説明する。前記刈取フレーム33・33・・・の後部間の下側には刈刃74が横設され、刈取フレーム33・33・・・上方には、穀稈の株元側を掻き込むスターホイル40・40・40と掻込ベルト41・41・41が配置され、更に上後方へ株元搬送装置42L・42Rが配置されている。そして、その上方には左側の上部搬送装置43L、左側の前穂先搬送装置44Lが配置されている。そして、その後部で機体側に縦搬送装置45と上部後搬送装置46が配置されているが、該上部後搬送装置46は図4で示すように、少ない条数側、つまり右前方に向かって長く延出している。
【0017】そして、上部後搬送装置46及び縦搬送装置45は刈り取った稲、麦等が短い稈長である時(以下、短稈時)においては、下方へ回動させ、下方回動における最深位置においては、該上部後搬送装置46のタイン46aの軌跡の前端と、前記スターホイル40と掻込ベルト41の後端を繋ぐ線とが側面視においてラップするように構成している。また、刈り取った稲、麦等が長い稈長である時(以下長稈時)においては、上方へ回動させ、上方回動における最浅位置においては、該上部後搬送装置46のタイン軌道の前端と、前記引起しケース35とが側面視においてラップするように構成している。
【0018】また、前記引起しケース35と上部搬送後装置46との間の受継ぎ部分、つまり、中央の引起しケース35の後方位置には、図3及び図4で示すように受継搬送装置50が配設されている。該受継搬送装置50は、駆動軸50aにプレートの中心を固設して、複数の受継搬送タイン50b・50b・・・を等間隔で枢支し、該受継搬送タイン50b・50b・・・を覆うカバーに図示せぬガイドを固定して、該ガイドに受継搬送タイン50b・50b・・・の基部がガイドされて、進行方向右側、つまり、一条刈部側に突出し、左側ではカバー内に収納されるようにしている。なお、本発明においては、駆動軸50aの周囲に3つの受継搬送タイン50b・50b・50bを配設している。そして、該駆動軸50aの下端には従動ギヤである平ギヤ51が固設されている。一方、前記スターホイル40・40・40のうち、機体左右方向で中央に位置するスターホイル40には上方に延出する駆動軸40aが固設されており、該駆動軸40a上端に固設された平ギヤ40bと前記駆動軸50a下端に配設された平ギヤ51が噛合うように構成している。
【0019】このようにして、スターホイル40に与えられるエンジン16からの駆動を駆動軸40a・平ギヤ40b・51さらに駆動軸50aを経て受継搬送装置50へ伝達する構成としているので、一対の平ギヤ40b・51のギヤ比を調整して受継搬送装置50の回転速度を増速することが可能であり、受継搬送タイン50b・50b・50bの回転速度を容易に上昇させることを可能とし、エンジン16の低速回転時においても送り能力不足による稈の停滞を解消できるのである。
【0020】また、図4に示すように右側の引起しケース35から後方に向けて、上部後搬送装置46の前部位置まで搬送ガイド47を延設している。該搬送ガイド47は掻込ベルト41の上方を通過して、前記上部後搬送装置46のタイン46aの軌跡の前端ととの前部位置に配置され、該上部後搬送装置46のタイン46aは搬送ガイド47に当たらないように、その後部位置から突出するように構成されて、搬送ガイド47に案内された穀稈を、その後部から挟持できるようにしている。これにより、右側の引起しケース35のタイン36により引起し、切断した穀稈は、右側の掻込ベルト41に搬送されて、その後部の上部後搬送装置46に受継ぐが、その際、受継ぎ部において稈が乱れることなく、搬送ガイド47と受継搬送装置50が上部後搬送装置46のタイン軌跡の位置まで穀稈を受継ぐので、簡易な構成且つ低コストで安定した搬送が行えるのである。また、該搬送ガイド47を配設したことにより、上部後搬送装置46のタイン46aの突出開始位置を従来よりもやや後方にし、搬送ガイド47との干渉を防止している。
【0021】次に刈刃74の駆動伝動構造について図5乃至図8を用いて説明する。図5及び図6で示すように、横パイプ30の右端に設けたベベルギアケース81における右側の引起し駆動用直交軸82よりも更に右外側より上方に向かって、刈取3軸30aと直交する駆動プーリ軸70が延出して支持されており、刈取3軸30aの右端に固設したベベルギヤより、該駆動プーリ軸70の下端に設けられたべべルギヤ70bを介して動力が伝達される。そして該駆動プーリ軸70は上方に延設して、その上端よりやや下方には駆動プーリ70aが配設されている。
【0022】前記駆動プーリ70aは図7で示すように、摺動部70U及び固設部70Dよりなる割プーリで構成され、該固設部70Dが前記駆動プーリ軸70上に固設されて、その上部に摺動部70Uが駆動プーリ軸70の軸方向に摺動自在で駆動プーリ軸70と一体的に回転するように支持されている。なお、本実施例においては摺動部70Uは駆動プーリ軸70にスプライン嵌合されている。そして図7で示すように固設部70Dの上面には略円周状にバネ溝60dが設けられ、摺動部70Uの下面には略円周状にバネ溝60uが設けられ、両バネ溝60d・60uを上下から合わせて、その内部に圧縮バネ61を挿入して、摺動部70Uを上方へ摺動するように付勢している。そして該駆動プーリ70aには無端体であるベルト78が巻回されている。なお、本実施例においては無端体としてVベルトを使用している。
【0023】前記ベルト78は前方に向かってやや下方に傾斜するようにして巻回され、その前端は従動プーリ72aに巻回されており、該従動プーリ72aは前記駆動プーリ軸70と略平行に配設された従動プーリ軸72上に固設されている。また、該従動プーリ72aと前記駆動プーリ70aとの中間位置付近には、テンションプーリ71aが配設されており、駆動プーリ70a及び従動プーリ72aに巻回されたベルト78に適度な張力を与えるよう構成している。そして、駆動プーリ70a、テンションプーリ71a、従動プーリ72a、ベルト78を上方から覆うようにしてベルトカバー77が配設され、ベルト78等駆動部分にゴミ、泥等が付着しないよう構成している。
【0024】そして、前記駆動プーリ軸70は前記ベルトカバー77よりさらに上方に突出しており、その上端にはカム63D・63Uが駆動プーリ軸70の軸方向に摺動自在且つ、駆動プーリ軸70に対して回転自在に支持されている。カム63D・63Uは、中心を駆動プーリ軸70により抜かれた円柱形状を上下に2分割することにより形成され、その切断面は傾斜しており、互いのカム63D・63Uが駆動プーリ軸70上で独立して回転しないよう構成している。そしてカム63Uの上部には止め輪64が駆動プーリ軸70に固設されて、カム63Uの上方への移動を規制しており、カム63Dの下面と前記駆動プーリ70aの摺動部70Uとの間にはスラストベアリング62が配設され、前記圧縮バネ61の弾性力によりカム63Dを上方に押圧している。
【0025】さらに、一方のカム63U(またはカム63D)に固設された回動アーム65が駆動プーリ軸70とは垂直方向に延設して、その端部においてリンク66を回転自在に支持している。該リンク66は機体後方に向かって延設し、その端部において速度調整アーム67に回転自在に支持され、前記回動アーム65、リンク66及び速度調整アーム67は略同一平面内に配置されている。他方のカム63Dは刈取フレーム側に固定されている。また、前記速度調整アーム67は図示せぬモータやソレノイドやシリンダー等のアクチュエータから駆動力を得て回動し、前記カム63U・63D等と合わせて無段変速機構68を構成している。但し、摺動部70Uをアクチュエータで直接摺動駆動するように構成することもできる。
【0026】そして、前記アクチュエータからの駆動力によって、速度調整アーム67が図8における矢印A方向に回動し、リンク66を介して回動アーム65が矢印B方向に回動する。この回動アーム65の回動により前記カム63Uも矢印B方向に回動するが、前述の如くカム63Uとカム63Dの切断面が傾斜しているため、上方への移動を規制されたカム63Uがカム63Dを下方にむけて押圧する。これによりスラストベアリング62を介して前記駆動プーリ70aの摺動部70Uが下方に押圧され、圧縮バネ61の弾性力と平衡状態を保つ位置まで摺動部70Uが下方に移動する。この摺動部70Uの摺動によってベルト78は駆動プーリ70aの外周側へ移動して従動プーリ72a側を増速することができるのである。
【0027】割プーリ式無段変速機構68は以上のような構成で、摺動部70Uの位置調整を行い、摺動部70Uと固設部70Dとの間隔を変化させることで、ベルト78が接する駆動プーリ70aの半径を増減させ、駆動プーリ70aと従動プーリ72aに回転速度差を無段階に発生させるのである。また、本実施例においては、駆動プーリ70aを割プーリとして無段変速を行う構成としたが、従動プーリ72aを割プーリとして無段変速を行うことも可能である。また、両プーリ70a・72aを割プーリとして無段変速を行う構成とするゃとも可能であり、この場合より大きな変速が得られる。
【0028】一方、前記従動プーリ軸72の下端にはクランクプレート72bを固設している。クランクプレート72bは略長方形状で、従動プーリ軸72とは直交する方向に延設され、その端部には下方にクランク軸72cを突出させている。該クランク軸72cは従動プーリ軸72とは略平行で下方に突出し、その下端はナイフヘッド73に設けられた略長方形状のクランク溝73aに上方から突入している。このようにしてクランク機構が構成されている。前記ナイフヘッド73は図7で示すように、略台形状をしており、その後部から中心に向かってクランク溝73cが設けられており、その前部側はやや上方に屈曲して下部に後述する刈刃74を装着している。
【0029】刈刃74は前記ナイフヘッド73の下方で、機体左右方向に配設されており、該刈刃74はナイフヘッド73とボルト等で一体的に構成されている。また、刈刃74の下部には、機体左右方向に受刃75が配設されており、該受刃75とその上部で左右方向に往復運動する刈刃74とで稲、麦等の株元を切断する。
【0030】以上の如く構成された刈刃74の駆動伝達構成において、エンジン16の駆動力が、前記伝動1軸19、伝動2軸25a、刈取3軸30aを経て駆動プーリ軸70に伝達される。そして駆動プーリ70aの回転駆動力がベルト78を介して従動プーリ72aに伝達され、該従動プーリ72aの従動プーリ軸72の下端に固設されたクランクプレート72b及びクランク軸72cを従動プーリ軸72を中心に回転駆動させる。これにより、クランク軸72cは従動プーリ軸72の周囲を円運動するが、前述の如くクランク軸72cの下端は前記ナイフヘッド73のクランク溝73aに挿嵌されているため、クランク軸72cの円運動がクランク溝73aの内壁を回転方向に押し進めようとする。ところが、ナイフヘッド73は下部の刈刃74に一体的に固定されており、刈刃74が機体左右方向にのみ摺動可能に支持されているので、クランク軸72cの円運動を左右方向への往復運動に変換して、ナイフヘッド73と一体となって刈刃74が左右方向に往復運動するのである。
【0031】そして上述した刈刃74の駆動は走行速度に同調させているため、走行速度が遅い時には刈刃74の刈取の速度(刈刃74の往復動の速さ)が遅くなる。そこで前述した無段変速機構68により駆動プーリ70aのベルト78に対する半径を調整することにより、従動プーリ72aの回転速度を増減させるのである。これによりエンジン16の低速回転時においても刈刃74の駆動速度を上昇させることで、稈の切断性能を向上させられるのである。また、無段変速機構68により刈刃74の駆動速度が無段階に変速可能であるので、スムーズな変速操作により稈のつまりを防止すると共に、刈刃74等の構成部品に対する衝撃を小さくすることもできるのである。
【0032】また、図9で示すように、刈取位置センサ91、車速センサ92、刈取スイッチ93とアクチュエータ94がコントローラ90と接続され、該コントローラ90で演算した後の出力値より刈刃駆動速度を調整する構成としている。まず、刈取スイッチ93から刈取駆動の開始命令を入力すると、コントローラ90は刈取位置センサ91の入力値より刈取駆動が開始可能かどうかの判断を行う。そして刈取位置が刈取可能状態(つまり、刈取位置が最上位置にない状態)にあれば、コントローラ90は刈取駆動の開始命令を出力するのである。
【0033】刈取駆動の開始命令を出力したコントローラ90は、続いて車速センサ92より車速98を検出し、車速98と刈刃駆動速度99の関係が図10の曲線96となるような刈刃駆動速度99の値をアクチュエータ94に対して出力する。(図10及び図11において、車速98は左端を0として右方向に上昇し、刈刃駆動速度99は下端を0として上方へむけて上昇している。)そして、アクチュエータ94により前記速度調整アーム67の回動変位が調整され、前記リンク66、回動アーム65を介して割プーリである駆動プーリ70aのベルト78に対する半径が制御される。これにより刈刃駆動速度99は、従来の車速98に対する比例関係を示す直線95に比べ、車速低速時の刈刃駆動速度99が高くなり、切断性能が向する。そして車速98の上昇に従って従来の車速98と刈刃駆動速度99の関係である直線95へと近づけるようにしているのである。
【0034】なお、図11で示すように、車速低速時における刈刃駆動速度99を一気に上昇させる設定とすれば、作業開始直後から安定した刈刃駆動速度99が得られ、稈の切断残しなどの不具合を解消できるのである。
【0035】また、前記駆動プーリ軸70は図6で示すように、その配設位置を引起し駆動用直交軸82より、機体外側となるように構成しているが、同様に機体左側において引起し直交軸の外方にベルト駆動部を配置し、該ベルト駆動部に無段変速機構を配設する構成をとることも可能であり、上述した構成と同様の効果が得られるものである。
【0036】以上の如く、構成された搬送部10における刈取、搬送工程は、まず、刈取部6の前端において前記分草板34・34・・・によって、一条毎に分草された稲、麦等の穀稈は、各引起しケース35・35・35のタイン36・36・・・によって把持されて、上方に搬送される。そして株元部分が前記刈刃74の位置まで達すると、該刈刃74の左右往復運動と下部に配設された受刃75により株元が切断され、そして刈り取られた穀稈は搬送部10に達する。そして、穀稈は、株元を前記株元搬送部42L・42Rによって後方に搬送され、上部は、前記上部搬送装置43L及び上部後搬送装置46によって後方に搬送され、穂先部分は前記前穂先搬送装置44Lによって搬送される。
【0037】このようにして、株元搬送装置42L・42Rによって搬送された穀稈の株元側は縦搬送装置45に受継がれ、上部搬送装置43L、上部後搬送装置46、前穂先搬送装置44L・44Rによって搬送された穂先側は上部後搬送装置46に受け継がれて、穀稈の株元側は更に前記フィードチェーン8に受け継がれて脱穀部7へ搬送するようにしている。
【0038】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、刈刃の上部に従動プーリを配置し、該従動プーリよりクランク機構を介して刈刃を往復駆動可能とするとともに、前記従動プーリと刈取フレームの上に設けた駆動プーリとの間にベルトを巻回して、刈刃をベルト伝動機構により駆動するように構成したコンバインであって、該駆動プーリ又は従動プーリのいずれか一方又は両方を割プーリで構成して、割プーリ式無段変速機構を構成し、該無段変速機構により刈刃駆動速度を変更可能としたので、割プーリのベルトに対する半径を調整することにより、従動プーリの回転速度を増減させることが可能となり、低速走行時においても刈刃の駆動速度を上昇させることで、稈の切断性能を向上させ、確実に株元を切断して、詰まり等を防止できるのである。また、刈刃の駆動速度が無段階に変速可能であるので、スムーズな変速操作により稈のつまりを防止すると共に、刈刃等の構成部品に対する衝撃を小さくすることもできるのである。
【0039】また、前記割プーリは、駆動軸に固設される固設部と、駆動軸の軸方向に摺動自在で駆動軸と一体的に回転する摺動部とで構成し、摺動部をカムにて摺動したので、簡易な構成でベルトに対する半径を調整し、無段変速機構を実現した。簡易な構成においてカムの回動運動を、割プーリの摺動運動へと変換することが可能となり、低コストで安定した無段変速機構を実現できるのである。
【0040】また、前記摺動部をアクチュエータで駆動し、該アクチュエータと車速センサーをコントローラと接続し、低速走行時に刈刃駆動速度を高めるように制御したので、刈取駆動速度が走行速度に同調するように構成されたコンバインにおいて、低速走行時であっても、刈取駆動速度は略一定に制御することが可能となり、低速走行時の切断性能が低下せず、確実に穀稈の株元を切断して、多量の穀稈があっても切断可能となるのである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年9月30日(1998.9.30)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2000−102311(P2000−102311A)
【公開日】 平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願番号】 特願平10−278365