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【発明の名称】 モーア
【発明者】 【氏名】上村 勝彦

【氏名】大島 博

【氏名】冨山 芳雄

【要約】 【課題】騒音の発生を抑制しながらも切断性能の向上を図れるようにする。

【解決手段】モーア11において、ブレード18の上方に、ブレード18の前方箇所に下方向きの膨出部19aが位置するように位相設定された状態でブレード18と一体回転する回転体19を配備して、それらの回転に伴ってブレード18の前部箇所を減圧するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ブレードの上方に、該ブレードの前方箇所に下方向きの膨出部が位置するように位相設定された状態で前記ブレードと一体回転する回転体を配備して、それらの回転に伴って前記ブレードの前部箇所を減圧するように構成してあるモーア。
【請求項2】 前記ブレードに対する前記回転体の位相を設定変更可能に構成してある請求項1記載のモーア。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、縦軸芯周りの回転で草を刈り取る帯板状のブレードをハウジング内に備えたモーアに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のようなモーアにおいては、中心を支点にして縦軸芯周りに回転する帯板状のブレードにおける両端側の回転方向前縁側部分に刈刃を形成するとともに、回転方向後縁側部分に上向き屈曲形状の起風翼を形成して、一端側の起風翼の通過に伴う負圧の発生で上向きに吸い上げられて起立する草を、他端側の刈刃で刈り取るようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来技術においては、起風翼の通過により起立する草を位相の180°異なる刈刃で刈り取るようにしていることによって、刈刃が切断作用を施す際には、草に作用する吸い上げ力が弱くなって草が倒伏する傾向にあることから、切断性能の低下を招くようになっていた。尚、ブレードの回転速度を速くして、草に作用する吸い上げ力が弱くなる前に刈刃で刈り取るようにすることも考えられるが、この場合には、ブレードの回転速度を速くするのに伴って起風翼による騒音が大きくなる不都合を招くようになる。
【0004】本発明の目的は、騒音の発生を抑制しながらも切断性能の向上を図れるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、モーアにおいて、ブレードの上方に、該ブレードの前方箇所に下方向きの膨出部が位置するように位相設定された状態で前記ブレードと一体回転する回転体を配備して、それらの回転に伴って前記ブレードの前部箇所を減圧するように構成した。
【0006】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、ブレードが、その回転方向前方箇所に生えた草を刈り取る際には、その直前に、回転体の下方向きの膨出部が刈り取り対象箇所を通過して減圧させるようになることから、ブレードは、その減圧に伴って上向きに吸い上げられて起立する草の起立直後に切断作用を施すようになる。つまり、起立直後の強い吸い上げ力が作用している草に対してブレードが切断作用を施すようになることから、ブレードによる切断性能の向上を図れるようになる。又、それによって、切断性能の向上を図るためにブレードの回転速度を速くする必要がないことから、切断性能の向上を図るのに伴って騒音が大きくなる不都合を招くこともない。しかも、消耗品であるブレードとして、起風翼を形成しない安価なものを採用できることから、メンテナンスなどの面で有利にすることができるようになる。
【0007】〔効果〕従って、騒音の発生を抑制しながらも切断性能の向上を図れる上にメンテナンスなどの面で有利にすることができるようになった。
【0008】本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記ブレードに対する前記回転体の位相を設定変更可能に構成した。
【0009】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、例えば、硬い草や丈の長い草などのように、軟らかい草や丈の短い草などに比較して起立させるのに多少時間がかかるものにおいては、ブレードと回転体の膨出部との距離が長くなるようにブレードに対する回転体の位相を設定変更することによって、充分に起立させるのに要する時間を稼ぐことができるようになる。つまり、ブレードに対する回転体の位相を設定変更することによって、草の性質に応じた適切な切断タイミングの設定を行えるようになる。
【0010】〔効果〕従って、草の性質に応じた適切な切断タイミングで草の刈り取りを行える切断性能の優れたものにすることができるようになった。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】図1には乗用型芝刈機の全体側面が示されており、この芝刈機は、エンジン1、ラジエータ2、バッテリ3、静油圧式無段変速装置4、ギヤ式変速装置5、ステアリングホイール6、運転座席7、及び、左右一対の前輪8と後輪9、などを備えてなる走行機体の前後中間位置に、昇降リンク機構10を介してモーア11を昇降自在に吊り下げ支持することによって、ミッドマウント型に構成されている。
【0013】図2にも示すように、ステアリングホイール6の下方に配設された操縦パネル12には、その後壁12Aから左右の各側壁12Bに亘って冷却風取入口13が形成されており、この冷却風取入口13には、刈草や塵埃などの冷却風取入口13からの流入を防止する防塵網14が配備されている。操縦パネル12の各側壁12Bとその直前箇所に配置されるバッテリ3との間には、各側壁12Bの前部から後方に向けて延出する整流板15が配設されている。このように整流板15を配設することによって、整流板15を配設しない場合には、左右の側壁12B間にバッテリ3が配設されていることによって流速が速くなっていた冷却風取入口13の各側壁12B側からの冷却風を、一旦、後壁12A側に流すようにして流速を遅くするようにしているのであり、これによって、冷却風取入口13の全域から流入する冷却風の流速の均一化を図れるようになることから、防塵網14に対する局部的な塵埃などの付着を防止できるようになっている。
【0014】図1及び図3〜5に示すように、モーア11は、昇降リンク機構10によって吊り下げ支持されるハウジング16、伝動軸17などを介したギヤ式変速装置5からの動力で縦軸芯P周りに回転駆動される複数のブレード18、各ブレード18の上方に対応するブレード18と一体回転するように連結配備されたブレード18と同数の回転体19、などによってマルチング形式に構成されている。各ブレード18は、その中心を支点にして縦軸芯P周りに回転する帯板状のものであり、その両端側の回転方向前縁側部分に刈刃18aが形成されている。回転体19は、ブレード18の中心部に接合してボルト連結される平面視円形の連結部19Aと、連結部19Aの外周から上方に向けて延出する筒状の縦壁部19Bと、縦壁部19Bの上縁から横方向に向けて延出する平面視環状のフランジ部19Cとを有するとともに、フランジ部19Cに二つの下方向きの膨出部19aを180°ピッチで備えるようにプレス成形されている。各膨出部19aは、回転体19をブレード18に連結するのに伴って、ブレード18の回転方向前方箇所(対応する刈刃18aの前方箇所)に位置するように位相設定されている。つまり、回転体19は、下方向きの各膨出部19aの作用により、ブレード18との一体回転に伴ってブレード18の前部箇所を減圧するようになっている。
【0015】以上の構成により、各ブレード18が、その回転方向前方箇所に生えた草を刈り取る際には、その直前に、各回転体19の下方向きの膨出部19aが刈り取り対象箇所を通過して減圧させるようになることから、各ブレード18は、その減圧に伴って上向きに吸い上げられて起立する草の起立直後に切断作用を施すようになっている。つまり、起立直後の強い吸い上げ力が作用している草に対して各ブレード18が切断作用を施すようになることから、各ブレード18による切断性能の向上を図れるようになっている。又、それによって、切断性能の向上を図るために各ブレード18の回転速度を速くする必要がないことから、切断性能の向上を図るのに伴って騒音が大きくなる、といった不都合を招くことを回避できるようになっている。しかも、消耗品であるブレード18として、その両端側の回転方向前縁側部分に刈刃18aを形成するだけの安価なものを採用できることから、メンテナンスなどの面で有利にすることができるようになっている。又、各ブレード18として、その両端側の回転方向前縁側部分と回転方向後縁側部分とのそれぞれに刈刃18aが形成された前後両側使用可能なものを採用するようにすれば、メンテナンスなどの面において更に有利にすることができるようになっている。
【0016】図4及び図5に示すように、各回転体19の連結部19Aに穿設されるブレード18連結用の連結孔19bは、回転体19の中心を支点にした円弧状の長孔に形成されており、これによって、ブレード18に対する回転体19(膨出部19a)の位相を設定変更できるようになっている。
【0017】この構成から、例えば、硬い草や丈の長い草などのように、軟らかい草や丈の短い草などに比較して起立させるのに多少時間がかかるものにおいては、ブレード18と回転体19の膨出部19aとの距離が長くなるようにブレード18に対する回転体19の位相を設定変更することによって、充分に起立させるのに要する時間を稼ぐことができるようになっている。つまり、ブレード18に対する回転体19の位相を設定変更することによって、草の性質に応じた適切な切断タイミングの設定を行えるようになっている。
【0018】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ モーア11としては、フロントモーア型の乗用型芝刈機や歩行型芝刈機に装備されるものであってもよい。
■ モーア11としては、サイドディスチャージ形式やリヤディスチャージ形式に構成されたものであってもよい。
■ モーア11としては、ブレード18に対する回転体19の位相が設定変更不可となるように構成されたものであってもよい。
■ モーア11としては、各回転体19の連結部19Aに、ブレード18連結用の連結孔19bを、回転体19の中心を支点にした円弧上に所定ピッチで複数個穿設することによって、ブレード18に対する回転体19の位相が設定変更可能となるように構成されたものであってもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年9月24日(1998.9.24)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−92946(P2000−92946A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平10−269436