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【発明の名称】 油圧駆動式作業車
【発明者】 【氏名】辻田 正文

【要約】 【課題】エンジンに連動連結した可変容量型の油圧ポンプと、定容量型の油圧モータとを連通連結して構成し、しかも、正逆回転可能とした静油圧式無段変速機により走行駆動される油圧駆動式作業車において、停止状態保持を確実にする。

【解決手段】油圧駆動式作業車の走行方向及び走行速度を制御する変速レバーが、中立状態にあるときは上記油圧ポンプの吐出ポートと吸入ポートとを短絡させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン(E) に連動連結した可変容量型の油圧ポンプ(P) と、定容量型の油圧モータ(M) とを連通連結して構成し、しかも、正逆回転可能とした静油圧式無段変速機(17)により走行駆動される油圧駆動式作業車において、同油圧駆動式作業車の走行方向及び走行速度を制御する変速レバー(16)が、中立状態にあるときは上記油圧ポンプ(P) の吐出ポートと吸入ポートとを短絡させることを特徴とする油圧駆動式作業車。
【請求項2】 上記変速レバー(16)が中立位置にあることを検出する中立検出スイッチ(61)を設けると共に、上記油圧ポンプ(P) の吐出ポートと吸入ポートとを開閉自在のバイパス弁(V) を介して接続し、中立検出スイッチ(61)が変速レバー(16)の中立状態を検出したときは上記バイパス弁(V) を開弁して、上記油圧ポンプ(P) の吐出ポートと吸入ポートとを短絡し、変速レバー(16)が他の状態にあるときはバイパス弁(V) を閉弁して、上記短絡を遮断することを特徴とする請求項1記載の油圧駆動式作業車。
【請求項3】 上記油圧駆動式作業車が、コンバイン(C) であることを特徴とする請求項1また2記載の油圧駆動式作業車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧駆動式作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンに連動連結した可変容量型の油圧ポンプと定容量型の油圧モータとを連通連結して構成した正逆回転可能の静油圧式無段変速機により走行駆動するようにした油圧駆動式作業車があり、同油圧駆動式作業車の前後進と走行速度との制御は、上記油圧ポンプの斜板と連動連結した変速レバーの前後傾動操作によって行われるようになっており、油圧駆動式作業車の停止状態を保持するための中立位置は、前後進位置の中間に設定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、中立位置が前後進の中間位置にあり、更に、中立位置の範囲が狭いため、中立位置がわかり難く、変速レバーが中立位置から少しでもずれていると、極低速ではあるが車体が前後進するなどの不具合がある。
【0004】特に、この油圧駆動式作業車がコンバインである場合には、未刈取りの穀稈を前にして、刈取部の作動を停止した状態で刈取作業を中断した際など、コンバインが意に反して前進すると、上記未刈取り穀稈を車体で押し倒すなどの問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、エンジンに連動連結した可変容量型の油圧ポンプと、定容量型の油圧モータとを連通連結して構成し、しかも、正逆回転可能とした静油圧式無段変速機により走行駆動される油圧駆動式作業車において、同油圧駆動式作業車の走行方向及び走行速度を制御する変速レバーが、中立状態にあるときは上記油圧ポンプの吐出ポートと吸入ポートとを短絡させることを特徴とする油圧駆動式作業車を提供せんとするものである。
【0006】また、次のような特徴を併せ有するものである。
【0007】上記変速レバーが中立位置にあることを検出する中立検出スイッチを設けると共に、上記油圧ポンプの吐出ポートと吸入ポートとを開閉自在のバイパス弁を介して接続し、中立検出スイッチが変速レバーの中立状態を検出したときは上記バイパス弁を開弁して、上記油圧ポンプの吐出ポートと吸入ポートとを短絡し、変速レバーが他の状態にあるときはバイパス弁を閉弁して、上記短絡を遮断すること。
【0008】上記油圧駆動式作業車がコンバインであること。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は次の通りである。
【0010】油圧駆動式作業車(コンバイン)のエンジンの出力軸に、主クラッチを介して可変容量型の油圧ポンプを連動連結し、同ポンプに定容量型量の油圧モータを連通連結して静油圧式無段変速機を構成し、同油圧モータの出力軸に走行部を駆動するミッションケースと、刈取部を駆動する刈取クラッチとを連動連結して、静油圧式無段変速機の出力で走行部と刈取部とを駆動して、走行部と刈取部の作動を完全に同調させるようにしている。
【0011】そして、上記油圧ポンプの吐出量を制御する斜板と変速レバーとを連動連結して、変速レバーの前後傾動操作により、油圧駆動式作業車の前後進及び走行速度を制御するようにしており、同変速レバーの操作を案内するガイド孔に、変速レバーが中立位置にあるときに当接して導通する中立検出スイッチを設けると共に、上記油圧ポンプの吐出ポートと吸入ポートとを開閉自在のバイパス弁を介して接続して、中立検出スイッチが変速レバーの中立状態を検出したときには上記バイパス弁を開弁して、上記油圧ポンプの吐出ポートと吸入ポートと短絡させ、油圧モータへの送油を停止して機体の停止状態を保持するようにし、変速レバーが前進又は後進位置にあるときは、バイパス弁を閉弁して、油圧モータに送油して機体を走行させるようにしている。
【0012】なお、エンジンの出力軸に脱穀クラッチを連動連結して、走行部と刈取部とは別個に脱穀選別部を駆動するようにしている。
【0013】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0014】図1は、本発明に係る油圧駆動式作業車としてのコンバインCを示しており、同コンバインCは、左右一対の走行部フレーム1を前後方向に平設し、同走行部フレーム1の前後端に、それぞれ駆動スプロケット2と遊動輪3とを配置し、同走行部フレーム1の下面に複数の転動輪4を配設し、駆動スプロケット2、遊動輪3及び転動輪4の外周に履帯5を巻回してクローラ式の走行部6を構成している。
【0015】走行部フレーム1の上方には、運転部7、エンジンE、ミッションケース9、脱穀選別部10、グレンタンク及び排藁処理部12等を搭載した本体13を載設しており、同本体13の前方に刈取部14を昇降自在に連結している。
【0016】運転部7には、座席15の側方に、走行速度を制御するための変速レバー16を配置しており、同変速レバー16は後述する静油圧式無段変速機17の斜板18に連動連結している。
【0017】脱穀選別部10は、上方に脱穀部19、下方に揺動選別部20を配設しており、脱穀部19の側方に架設したフィードチエン21により搬送される刈取穀稈を、脱穀部19内に軸架した扱胴22と処理胴23の回転により脱穀し、脱穀物を揺動選別部20のグレンシーブ24と、チャフシーブ25と、唐箕26からの選別風とで精穀と藁屑とに選別し、精穀をグレンタンクに収納し、藁屑と脱穀部19からの排藁とを排藁処理部12を介して機外に排出するようにしている。
【0018】刈取部14は、下部前端部に配設した分草板27と、同分草板27の後方に配設した刈刃装置28と、同刈刃装置28の上方に配設した穀稈引起し装置29と、刈刃装置28の上方と前記フィードチエン21との間に架設した穀稈搬送装置30とで構成されており、本体13の前上部に左右方向に伸延した枢軸を介して上下回動自在に枢着されており、刈取部昇降用油圧シリンダの伸縮作動により昇降作動するようにしている。
【0019】上記走行部6と脱穀選別部10とは、それぞれ走行部駆動系M1と脱穀選別駆動系M2とを介し、エンジンEからの動力によって駆動されており、走行部駆動系M1は、図2及び図3で示すように、上記エンジンEの出力軸40に、ベルト伝動機構41と主クラッチ64とを介して可変容量型可逆斜板式の油圧ポンプPの入力軸42を連動連結し、同油圧ポンプPの吐出ポート43と吸入ポート44とを往復油路45,46 を介し、定容量型の油圧モータMのインレットポート47とアウトレットポート48とに連通連結して、正逆回転可能とした静油圧式無段変速機17を構成し、同静油圧式無段変速機17の出力軸49に、常時噛合2段変速の歯車式変速機50の入力軸51を連結し、同歯車式変速機50の出力軸52をチエン伝動機構53を介して、前記駆動スプロケット2を両端に嵌着した走行部駆動軸54に連動連結しており、上記油圧ポンプPの斜板18と変速レバー16とを連動連結し、同変速レバー16の前後傾動操作により斜板18の傾斜角度を変更して、静油圧式無段変速機17の出力回転数を正逆無段階に変更できるようにしている。
【0020】また、上記歯車式変速機50の出力軸52に、刈取クラッチ55とベルト56とを介して、前記枢軸の内部を挿通した刈取部入力軸57を連動連結して、刈取クラッチ55により、刈取部14の作動をON・OFFできるようにしている。
【0021】特に、本実施例では、上記変速レバー16の前後傾動操作を案内するためのガイド板58に前後方向に伸延したガイド孔59を形成し、変速レバー16が中立位置にあるときに当接する当接板60を上記ガイド孔59に臨ませて配設し、同当接板60の背後に中立検出スイッチ61を設けて、変速レバー16が中立位置にあるときに、上記当接板60に変速レバー16が当接して中立検出スイッチ61が出力するようにしている。
【0022】また、前記往復油路45,46 の中途に、ソレノイド62により作動するバイパス弁Vを介設して、変速レバー16を中立位置に操作したときは、上記中立検出スイッチ61の出力によりバイパス弁Vを作動させて、油圧ポンプPの吐出ポート43と吸入ポート44とを短絡させ、油圧モータMのインレットポート47とアウトレットポート48とをそれぞれ閉鎖するようにしている。
【0023】更に、前記歯車式変速機50の出力軸52を、刈取クラッチ55を介して刈取部14に連動連結している。図中、63は油圧ポンプPの入力軸42に嵌着した入力プーリである。
【0024】脱穀選別駆動系M2は、図2で示すように、前記エンジンEの出力軸40と、脱穀選別部10の入力軸67とを、ベルト伝動機構68と脱穀クラッチ69とを介して連動連結して、脱穀選別部10と排藁処理部12とを駆動するようにしている。
【0025】本発明の実施例は上記のように構成されており、歯車式変速機50を低速側にシフトし、刈取クラッチ55と脱穀クラッチ69とをONし、変速レバー16を前進側に傾動操作すると、コンバインCが前進して、刈取部14の刈刃装置28で前方の植立穀稈を株元で刈取り、穀稈搬送装置30で脱穀選別部10に搬送し、同脱穀選別部10で精穀を抽出してグレンタンクに収納し、排藁を排藁処理部12から機外に排出して収穫作業を行うことができる。
【0026】かかる収穫作業に際して、コンバインCを前後進及び走行速度を、変速レバー16の前後傾動操作によって制御できるので、操作が極めて容易である。
【0027】また、刈取部14に動力を供給する刈取クラッチ55が歯車式変速機50の出力軸52に連動連結しているので、刈取クラッチ55をONしたとき、走行部6と刈取部14の作動とが完全に同調して、円滑に収穫作業を進めることができる。
【0028】特に、収穫作業中、コンバインCを一時停止させ、その停止状態に保持するために、変速レバー16を中立位置に操作した際には、中立検出スイッチ61がこの旨を検出して、ソレノイド62を作動させてバイパス弁Vを作動させ、油圧ポンプPの吐出ポート43と吸入ポート44とを短絡させるので、油圧モータMには油圧が作用せず、同油圧モータMが出力しないので、コンバインCが前後進するのを防止することができる。更に、油圧ポンプPのアウトレットポート48とインレットポート47とがそれぞれ閉鎖されるので、同油圧ポンプPが油圧的にロックされた状態になり、上記停止状態の保持を更に確実にすることができる。
【0029】また、前記当接板60の有効当接部分の前後幅70を調整して、中立検出スイッチ61の中立位置の検出範囲を、変速レバー16の操作がしやすく、しかも、発進時のショックが小さい値に設定することができる。
【0030】このように、収穫作業中の停止状態を確実に保持できるので、一時停止中にコンバインCが前進して、前方の植立穀稈を機体で押し倒すなどの不具合が防止され、このための刈残しを防止することができる。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば次のような効果を得ることができる。
【0032】請求項1記載の発明では、本発明では、エンジンに連動連結した可変容量型の油圧ポンプと、定容量型の油圧モータとを連通連結して構成し、しかも、正逆回転可能とした静油圧式無段変速機により走行駆動される油圧駆動式作業車において、同油圧駆動式作業車の走行方向及び走行速度を制御する変速レバーが、中立状態にあるときは上記油圧ポンプの吐出ポートと吸入ポートとを短絡させることによって、油圧モータに油圧が作用しなくなり、停止状態を確実に保持することができ、安全性を高めることができる。
【0033】請求項2記載の発明では、上記変速レバーが中立位置にあることを検出する中立検出スイッチを設けると共に、上記油圧ポンプの吐出ポートと吸入ポートとを開閉自在のバイパス弁を介して接続し、中立検出スイッチが変速レバーの中立状態を検出したときには上記バイパス弁を開弁し、変速レバーの他の状態ではバイパス弁を閉弁することによって、変速レバーの中立位置では油圧駆動式作業車が停止状態を確実に保持するばかりでなく、変速レバーを操作して、油圧駆動式作業車を前後進させることができる。
【0034】請求項3記載の発明では、上記油圧駆動式作業車がコンバインであることによって、収穫作業中、一時停止した場合、この停止状態を確実に保持して、意に反するコンバインの前進による植立穀稈の押倒しを防止し、これが原因の刈残しを防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成10年9月7日(1998.9.7)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−83450(P2000−83450A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−270588