| 【発明の名称】 |
コンバインの刈刃装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】湯崎 芳啓
【氏名】花本 幹夫
【氏名】栗原 明弘
【氏名】野波 和好
|
| 【要約】 |
【課題】刈取時の振動を少なくし、かつ刈取作業の高速化を図る。
【解決手段】コンバインCの刈刃装置50は、機体進行に伴い機体1に対し昇降自在な引起こし装置9により引起こされた穀稈を刈取り、刈取った穀稈は脱穀部22にて脱穀処理される。この刈刃装置50は、高速で駆動可能に配設された無端のチエーン38と、このチエーン38に付設された切断刃51とを有していて、この切断刃51をチエーン38と共に高速にて一方向に連続的に回転駆動して、穀稈を切断する。前記切断刃51は、往復運動することなく一方向に高速で連続回転するので、振動が少なく、また、機体側からは、機体幅方向に所定ピッチで配置された穀稈ガイド41が進行方向に向けて突設されていて、切断時の穀稈の横逃げを防止している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体進行に伴い、機体に対し昇降自在な引起こし装置により引起こされた穀稈を刈刃装置にて刈取り、該刈取った穀稈を脱穀部にて脱穀処理し得るコンバインにおいて、前記刈刃装置は、高速で駆動可能に配設された無端の帯状部材と、該帯状部材に付設された切断刃とを有し、前記切断刃を前記帯状部材と共に高速にて回転駆動して、該切断刃により穀稈を切断するようにした、ことを特徴とするコンバインの刈刃装置。 【請求項2】 機体基部側から機体幅方向に所定間隔で整列された多数の穀稈ガイドを、穀稈と対峙する側の前記帯状部材の周方向に対し略々直交する方向に向けて突設した、ことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈刃装置。 【請求項3】 前記切断刃に、クロマイジング、窒化処理、焼入れ等の表面処理を施した、ことを特徴とする請求項1記載のコンバインの刈刃装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンバインの刈刃装置に係り、詳しくは帯状部材に付設された切断刃を回転させて穀稈を刈取るようにしたコンバインの刈刃装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来のコンバインの刈刃装置は、図8に示すように、多数の刈刃51と受刃52を上下に重合してナイフバー54により連結されていて、これら刈刃51と受刃52は、刈刃受け台56と、横方向の適所に設けられた押え板58との間で左右方向に往復摺動自在に装着されていた。また、これら刈刃51と受刃52の後部に突設されるナイフヘッド60,62は、互いに連動連結された一対のベルクランク64,66に夫々係合されていた。これにより、一方のベルクランク64に連結されるピストンロッド68の前後往復作動に伴い、刈刃51と受刃52が互いに逆方向に左右往復移動して穀稈を刈取るようになっていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の刈刃装置によると、切れ味を維持するために刈刃51と受刃52との隙間を管理することが必要となると共に、作業中にこれら刈刃51と受刃52との隙間に石等が噛み込まれると、ロック状態となって刈取り作業が困難になるという課題があった。また、従来の刈刃51と受刃52は、バリカン式に往復摺動する構造であるため、この往復摺動のサイクルを速くしようとすると、部材間の振動が大きくなって騒音も生じ高速化を図ることが困難であるという課題があった。 【0004】本発明は、斯かる課題を解消するためになされたもので、その目的とするところは、刈取時の振動が少なくかつ刈取作業の高速化を図り得るコンバインの刈刃装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、機体(1)進行に伴い、機体(1)に対し昇降自在な引起こし装置(9)により引起こされた穀稈を刈刃装置(50)にて刈取り、該刈取った穀稈を脱穀部(22)にて脱穀処理し得るコンバイン(C)において、前記刈刃装置(50)は、高速で駆動可能に配設された無端の帯状部材(38)と、該帯状部材(38)に付設された切断刃(51)とを有し、前記切断刃(51)を前記帯状部材(38)と共に高速にて回転駆動して、該切断刃(51)により穀稈を切断するようにした、ことを特徴とする。 【0006】請求項2に記載の発明は、機体基部側から機体幅方向に所定間隔で整列された多数の穀稈ガイド(41)を、穀稈と対峙する側の前記帯状部材(38)の周方向に対し略々直交する方向に向けて突設した、ことを特徴とする。 【0007】請求項3に記載の発明は、前記切断刃(51)に、クロマイジング、窒化処理、焼入れ等の表面処理を施した、ことを特徴とする。 【0008】[作用]以上の発明特定事項に基づき、コンバイン(C)の刈刃装置(50)は、機体進行に伴い機体(1)に対し昇降自在な引起こし装置(9)により引起こされた穀稈を刈取るが、この刈刃装置(50)は、高速で駆動可能に配設された無端の帯状部材(38)と、この帯状部材(38)に付設された切断刃(51)とを有していて、前記切断刃(51)を前記帯状部材(38)と共に高速にて一方向に連続的に回転駆動して、刈払機式に穀稈を切断する。前記切断刃(51)は、往復運動することなく一方向に高速で連続回転するので、振動が少なく、かつ穀稈を効率的に切断することが可能となる。また、機体(1)側からは、機体幅方向に所定ピッチで配置された多数の穀稈ガイド(41)が進行方向に向けて突設されていて、この穀稈ガイド(41)により切断時の穀稈の横逃げを防止している。 【0009】なお、上述した括弧内の符号は、図面を対照するためのものであって、本発明の発明特定事項を何ら限定するものではない。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。 【0011】図1に示すように、コンバインCは、走行機体1の前部に該走行機体1に対して昇降自在な前処理部14を有すると共に、走行機体1は左右一対のクローラ走行装置8,8により支持されている。この走行機体1の上部には、刈り取った穀稈を脱穀し該脱穀した穀粒を選別する脱穀部22と、その前部に運転席24を有している。 【0012】前記前処理部14は、基端部を伝動軸ケース6に固着され、走行機体1の前部下方に向けて延出する伝動ケース5を有していて、該伝動ケース5の中間部に連結された油圧シリンダ7の伸縮に基づき昇降可能に支持されている。 【0013】この前処理部14は、前処理フレーム3に固定され未刈り穀稈を分草するデバイダ2、分草された穀稈を引起こす引起こし装置9、穀稈の株元を切断する刈刃装置50、切断された穀稈を掻き込む掻込み搬送装置30、機体後方に搬送されて引き継がれた穀稈の長さを感知して自動的に適正な扱深さに調節し、脱穀フィードチェーン19(図3参照)により脱穀部22に向けて搬送する扱深さ搬送装置34を備えている。 【0014】なお、前記引起こし装置9の左右の引起こしチェーンは、伝動軸筒4内の駆動軸を介して伝動軸ケース15に内蔵された軸により駆動される。同様に、中央の引き起こしチェーンは、伝動軸筒4内の駆動軸を介して伝動軸ケース16に内蔵された軸により駆動される。 【0015】図2は、動力伝達系統を示すものであり、前処理部14への動力の伝達は、図示しないトランスミッションケースからVベルトで伝動軸ケース6に伝達され、更に伝動ケース5及び伝動軸筒4からスターホイール11、掻込み装置30、刈刃装置50、引起し装置9及び扱深さ搬送装置34等に伝達されて各部が駆動される。 【0016】図3に示すように、前記掻込み搬送装置30は、運転席24から見て左側に位置する左側掻込み搬送体31と、右側に位置する右側掻込み搬送体32と、中央に位置する中央掻込み搬送体33と、刈刃装置50によって刈り取られた穀稈が、夫々の掻込み搬送体から合流する合流部Aとを備えている。 【0017】前記左側掻込み搬送体31は、左側の株元を掻込み搬送するスターホイール11と、このスターホイール11に同軸のプーリと前処理フレーム3に回動自在に軸支されるローラに巻回され、前記スターホイール11より上側に配置される搬送ベルト10と、一方側が前記スターホイール11に同軸に配置されるスプロケットに巻回され、他方側が前処理フレーム3に回動自在に軸支されるスプロケットに巻回される株元挟持搬送チェーン13と、伝動軸筒4内の駆動軸から動力を受けて回転駆動されるスプロケットに巻回され、穀稈の茎部を掻込む爪付き係止搬送チェン12と、同様に前記スプロケットに巻回され穀稈の穂先を掻込む爪付き係止搬送チェン12’とを備えている。 【0018】右側掻込み搬送体32も同様であり、中央掻込み搬送体33はスターホイール11と搬送ベルト10を備えている。 【0019】前記扱深さ搬送装置34は、その後部を扱深さの調整が可能なように機体本体から立設した支持部材に回動自在に支持され、株元搬送する株元搬送チェーン21と穂先搬送する穂先搬送チェン20を備えたもので、後部を支点に上下動自在の穂先搬送チェン20は、その始端部が右側の株元搬送チェーン13の搬送方向先端側の上方に延設されている。そして、穂先搬送チェン20の一方側は伝動軸ケース6内の駆動軸から動力を受けて駆動するスプロケットに巻回され、このスプロケットが機体本体1側に回動自在に軸支されている。また、株元側の株元搬送チェーン21は伝動軸ケース6内の駆動軸から独立して動力を受けて回転が伝達される。 【0020】ここで本発明は、前記刈刃装置50は、高速で駆動可能に配設された無端の帯状部材と、該帯状部材に付設された切断刃とを有し、前記切断刃を前記帯状部材と共に高速にて回転駆動して、該切断刃により穀稈を切断する。 【0021】図4に示すように、刈刃装置50は、左右に離間された前処理フレーム3,3の夫々に植設された軸36,36に取付けられたスプロケット37,37を有し、これら左右のスプロケット37,37間に帯状部材としてのチエーン38が巻回されている。このチエーン38の各リンクプレートには、図5に示すように、アタッチメント39が取り付けられていて、このアタッチメント39にリベット40により切断刃51が固着されている。そして、前記一方のスプロケット37を、伝動軸筒4からの動力により高速にて回転駆動させれば、切断刃51も一体的に駆動され、これにより、従来の受け刃に相当するものがなくても刈払機式に穀稈を刈取ることができる。 【0022】この切断刃51は、例えば10m/s程度の高速で穀稈を刈取ることができるように、その刃部に超硬チップが付設されたり、或いは長期にわたり切れ味を維持できるように、刃の表面にクロマイジング、窒化処理、焼入れ等の表面処理が施されている。 【0023】前記チエーン38は、穀稈と対峙する側に設けられたチエーンガイド42によってガイドされていると共に、機体の左右方向に所定間隔で整列された多数の穀稈ガイド41が、前記チエーン38の周方向に対し略々直交する方向に向けて突設されている。このチエーンガイド42は、前記チエーン38に荷重が加わって該チエーン38が振れたり、逃げるのを防止している。 【0024】すなわち、図6に示すように、前記チエーンガイド42は、ブラケット43を介して前処理フレーム3に取付けられていると共に、このチエーンガイド42に固定部材44を介して支持フレーム45が取り付けられ、更にこの支持フレーム45から前記穀稈ガイド41が突設されている。この穀稈ガイド41は、穀稈が切断刃51にて切断される位置に取り付けられており、切断刃51によって穀稈がチエーン38の周方向に逃げるのを防止している。 【0025】なお、前記チエーン38とチエーンガイド42、及び支持フレーム45はカバー46によって覆われていて、前記穀稈ガイド41は、カバー46に形成された穴47から機体前方に向けて突出されている。 【0026】図7は、前記刈刃装置50の他の実施の形態を示す図であり、この実施の形態においては、左右に離間して配置されたタイミングギヤ37’,37’間に、前記チエーン38の代わりにタイミングベルト48を巻回し、このタイミングベルト48の周方向に所定ピッチで三角形状のノコ刃49を付設している。この実施の形態によれば、タイミングベルト48は金属製ではないので、チエーン38の場合に比較して騒音を小さくすることができる。 【0027】次に、本実施の形態の作用について説明する。 【0028】コンバインCは、刈取り進行に伴い機体1に対し昇降自在な引起こし装置9により引起こされた穀稈を刈刃装置50にて刈取り、刈取られた穀稈は掻込み搬送装置30、扱深さ搬送装置34により移送され、脱穀フィードチェーン19により脱穀部22に向けて搬送される。前記刈刃装置50は、前処理部14の下方の前処理フレーム3に取り付けられていて、機体左右に離間されたスプロケット37,37間に巻回されたチエーン38に多数の切断刃51が付設されている。 【0029】そして、一方のスプロケット37が、伝動軸筒4からの動力を受けて駆動されることにより、前記チエーン38が高速で回転駆動されると、切断刃51も一方向に高速で駆動され、穀稈がその切断力で切断される。この場合、チエーン38にはその周方向に沿ってチエーンガイド42が設けられていて、このチエーンガイド42によりチエーン38の振れや逃げが防止されている。なお、切断刃51は一方向に高速で回転し、従来のように往復摺動する部分はないので、刈取時の振動は少なく騒音も少ない。 【0030】また、前処理フレーム3に取り付けられた支持フレーム45から、機体の左右幅方向に所定ピッチで整列配置された穀稈ガイド41が機体進行方向に向けて突設されていて、切断力によってこの穀稈ガイド41に穀稈が押しつけられる際に、穀稈が横逃げするのを防止する役目をなしている。 【0031】 【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、刈刃装置は、高速で駆動可能な無端の帯状部材と、該帯状部材に付設された切断刃とを有し、この切断刃を高速で回転駆動して穀稈を刈取るようにしたことにより、往復運動部分がないので振動が少なく、かつ刈取作業の高速化を図ることができる。 【0032】請求項2記載の発明によれば、機体幅方向に所定間隔で整列された多数の穀稈ガイドを、穀稈と対峙する側の帯状部材の周方向に対し略々直交する方向に向けて突設したことにより、帯状部材の前面に取り込まれた穀稈は穀稈ガイドに規制されて、切断時に側方に逃げるのを防止することができる。 【0033】請求項3記載の発明によれば、前記切断刃に表面処理を施したことにより、刃を鋭利にして穀稈を高速で刈取ることができると共に、長期にわたり切れ味を維持することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年9月7日(1998.9.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082337 【弁理士】 【氏名又は名称】近島 一夫
|
| 【公開番号】 |
特開2000−83440(P2000−83440A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月28日(2000.3.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−253031 |
|