トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 農作業車
【発明者】 【氏名】富永 俊夫

【要約】 【課題】機体前部側に備えた作業部の対地高さを目標高さに維持する高さ制御を行う農作業車において、機体姿勢が前上がり状態になった後、水平状態に戻るときに、一時的に機体前下がり状態になるような場合にも、作業部が地面に突っ込むことを適切に回避させる。

【解決手段】制御手段101は、走行機体の前部側が後部側よりも上方に位置する機体前上がり状態が検出されていると、走行機体の前部側に支持された作業部の対地高さが、目標高さ設定手段40にて設定される目標高さに設定値を加えた高さに維持されるように、作業部昇降手段CYを作動させる前上がり用高さ制御を実行し、走行機体が上記機体前上がり状態から水平状態になると、作業部の対地高さが、目標高さ設定手段40にて設定される目標高さに維持されるように、作業部昇降手段CYを作動させる高さ制御を実行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に支持された状態で昇降自在な作業部が、走行機体の前部側に備えられ、前記作業部を昇降操作する作業部昇降手段と、前記作業部の対地高さを検出する高さ検出手段と、前記作業部の目標高さを設定する目標高さ設定手段と、前記高さ検出手段及び前記目標高さ設定手段の各情報に基づいて、前記作業部の対地高さが前記目標高さに維持されるように前記作業部昇降手段を作動させる高さ制御を実行する制御手段とが設けられた農作業車であって、前記走行機体の水平基準面に対する機体前後方向の傾斜状態を検出する機体前後傾斜検出手段が設けられ、前記制御手段は、前記機体前後傾斜検出手段の情報に基づいて、前記走行機体の前部側が後部側よりも上方に位置する機体前上がり状態が検出されていると、前記作業部の対地高さが前記目標高さに設定値を加えた高さに維持されるように前記作業部昇降手段を作動させる前上がり用高さ制御を実行し、且つ、前記走行機体が前記機体前上がり状態から水平状態になると、前記高さ制御を実行するように構成されている農作業車。
【請求項2】 前記機体前後傾斜検出手段が、前記走行機体の水平基準面に対する機体前後方向の傾斜角を検出するように構成され、前記制御手段は、前記機体前後傾斜検出手段にて検出される前記機体前上がり状態における機体前後方向の傾斜角が大きいほど、前記設定値を大きくするように構成されている請求項1記載の農作業車。
【請求項3】 前記制御手段は、前記前上がり用高さ制御及び前記高さ制御を実行する前上がり制御モードと、前記高さ制御のみを実行する通常制御モードとに切り換え自在に構成されている請求項1又は2記載の農作業車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体に支持された状態で昇降自在な作業部が、走行機体の前部側に備えられ、前記作業部を昇降操作する作業部昇降手段と、前記作業部の対地高さを検出する高さ検出手段と、前記作業部の目標高さを設定する目標高さ設定手段と、前記高さ検出手段及び前記目標高さ設定手段の各情報に基づいて、前記作業部の対地高さが前記目標高さに維持されるように前記作業部昇降手段を作動させる高さ制御を実行する制御手段とが設けられた農作業車に関する。
【0002】
【従来の技術】上記農作業車の一例としてのコンバインでは、例えば特開平8‐37866号公報に示すように、圃場の植立穀稈を刈り取るための刈取部(作業部に相当)が、刈取用の油圧シリンダ等(作業部昇降手段に相当)にて走行機体に対して昇降操作自在に構成されて、走行機体の前部側に支持され、そして、超音波センサー等の高さ検出手段にて検出される刈取部の対地高さが、ボリューム等の刈高さ設定器(目標高さ設定手段に相当)にて設定される目標高さに維持されるように、上記油圧シリンダを昇降作動させる高さ制御を実行している。そして、コンバインは、図7に例示するように、例えば手動による走行速度の変速操作及びステアリング操作によって、矩形状の未取り作業領域の長手方向に沿って走行しながら上記高さ制御により適正な刈り取り作業を行うとともに、作業領域の長手方向端部側の枕地に達して刈り取り作業を終了すると、枕地において向き変更しながら作業領域の次の作業開始端部位置まで走行する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記コンバインにおいて、例えば枕地走行を終えた後、刈取部を手動操作で下降させて、刈取部の対地高さを目標高さに維持する自動の高さ制御を起動させながら刈取作業を開始する場合に、比較的高速で走行する枕地走行では、例えばクローラ式の走行装置が泥を後方側に掻き込む作用によって、走行機体の前部側が後部側よりも上方に位置する機体前上がり状態になり易く、この状態から刈取走行に移行するために走行速度を減速すると、機体姿勢が前上がり状態から水平状態に戻ろうとするが、このときに勢いあまって一時的に前下がり状態になる場合がある。ここで、圃場面の状態が柔らかいほど、枕地走行での機体前上がりの程度が大きくなり、且つ、上記前下がり状態の程度も大きくなる。かかる場合において、前記従来技術では、機体前部側の刈取部の対地高さが、地面近くに設定される作業用の目標高さに維持されるように高さ制御されるので、上記のように機体姿勢が前下がり状態になったときに、刈取部が圃場面に突っ込んで損傷する等の不具合が発生するおそれがあった。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、上記従来技術の不具合を解消させるべく、機体前部側に備えた作業部の対地高さを目標高さに維持する高さ制御を行う農作業車において、機体姿勢が前上がり状態になった後、機体姿勢が水平状態に戻ろうとするときに、勢いあまって一時的に前下がり状態になるような場合にも、作業部が地面に突っ込むことを適切に回避させるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1では、制御手段は、走行機体の前部側が後部側よりも上方に位置する機体前上がり状態が検出されていると、走行機体の前部側に支持された作業部の対地高さが、目標高さ設定手段にて設定される目標高さに設定値を加えた高さに維持されるように、作業部を昇降操作する前上がり用高さ制御を実行し、走行機体が上記機体前上がり状態から水平状態になると、作業部の対地高さが、目標高さ設定手段にて設定される目標高さに維持されるように、作業部を昇降操作する高さ制御を実行する。従って、走行機体の前上がり状態が検出されていると、作業部の対地高さが、地面近くに設定される作業用の目標高さよりも高い状態に維持されているので、従来技術のように、機体前上がり状態の有無にかかわらず、作業部の対地高さを上記目標高さに維持していると、機体姿勢が前上がり状態になった後、機体姿勢が水平状態に戻ろうとするときに、勢いあまって一時的に前下がり状態になるような場合に、機体前部側の作業部が地面に突っ込むおそれがあるのに比べて、かかる不具合の発生を適切に回避させることができる。
【0006】請求項2では、請求項1において、走行機体の水平基準面に対する機体前後方向の傾斜角が検出され、制御手段は、前記機体前上がり状態が検出されていると、作業部の対地高さが、目標高さ設定手段にて設定される目標高さに、前記機体前上がり状態における機体前後方向の傾斜角が大きいほど大きい値の設定値を加えた高さに維持されるように、前記前上がり用高さ制御を実行する。従って、機体前上がり状態において、前上がりの程度が大きいほど、作業部の対地高さが、設定される目標高さに比べて、より高い状態に維持されるので、機体前上がりの程度が大きいほど、機体姿勢が機体前上がり状態から水平状態に戻ろうとするときに生じる機体前下がり状態の程度が大きくなるのに適切に対応して、作業部の地面への突っ込みを回避させることができ、もって、請求項1の好適な手段が得られる。
【0007】請求項3では、請求項1又は2において、制御手段は、前上がり制御モードに切り換えられると、前記前上がり用高さ制御及び前記高さ制御の両方を実行し、通常制御モードに切り換えられると、前記高さ制御のみを実行する。従って、例えば上記前上がり制御モードと通常制御モードとを手動で切り換える切り換えスイッチを設けて、作業者が作業地の状態を見て、作業地の表面が柔らかい場合には、前記機体前上がり状態並びに機体前下がり状態が共に生じ易いので、前上がり制御モードに切り換えて、作業部の地面への突っ込みを適切に回避させるようにしながら、一方、作業地の表面が硬い場合には、前記機体前上がり状態並びに機体前下がり状態が共に生じ難いので、通常制御モードに切り換えて、無用な前上がり用高さ制御を行わないようにすることができ、もって、請求項1又は2の好適な手段が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、農作業車の一例としてのコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。図1に示すように、左右一対のクローラ走行装置1、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置3、脱穀された穀粒を貯留する穀粒タンク4、搭乗操縦部2等を備えた走行機体Vの前部側に、稲や麦等の植立穀稈を刈り取って脱穀装置3に供給する刈取部Aが備えられて、コンバインが構成される。
【0009】作業部としての上記刈取部Aは、走行機体Vに支持された状態で昇降自在に構成されている。つまり、刈取部Aは、油圧式の昇降シリンダCYによって横軸芯P1周りに揺動操作され、上記横軸芯P1の機体箇所には、刈取部Aの揺動に伴って出力値が変化するポテンショメータ式の昇降位置センサ24が設けられている。従って、刈取部Aを昇降操作する作業部昇降手段が、昇降シリンダCYにて構成される。
【0010】刈取部Aは、先端部に設けた分草具6、分草具6にて分草された植立穀稈を引き起こす引起し装置5、引き起こされた穀稈の株元側を切断するバリカン型の刈り刃7、刈取穀稈を徐々に横倒れ姿勢に変更しながら後方側に搬送する縦搬送装置8等にて構成されている。縦搬送装置8の搬送入口部には、刈取穀稈が存在するか否かを検出する接触式の株元センサS0が備えられている。
【0011】上記分草具6の後方側箇所に、刈取部Aの地面に対する高さ(対地高さ)を検出する高さ検出手段としての超音波センサS1が設けられている。この超音波センサS1は、下方側に向けて超音波を発信する発信器41と、地面にて反射された超音波を受信する受信器42とで構成され(図3参照)、超音波を発信してから受信するまでの時間を計測することで、刈取部Aの対地高さを検出するように非接触式に構成されている。
【0012】コンバインの動力伝動系について説明する。図2に示すように、エンジンEの駆動力がベルト伝動装置を介して無段式の車速変速装置34に伝えられ、この車速変速装置34の変速後の出力がミッションケース35を介して、クローラ走行装置1の駆動スプロケットを回転させるべく伝動されている。尚、図示しないが、ミッションケース35には、機体Vを旋回操作するために、左右の各クローラ走行装置1に対する上記変速後の動力の伝達を入り切りする左右一対の操向クラッチが設けられている。
【0013】又、車速変速装置34の変速後の出力は、ミッションケース35を経由した後、ワンウエイクラッチ36を介して刈取部Aに伝動されている。又、エンジンEの駆動力が、脱穀クラッチ37を介して脱穀装置3に伝動され、脱穀クラッチ37には、その入り切り状態を検出する脱穀スイッチ32が付設されている。そして、上記車速変速装置34を手動で変速操作するための車速変速レバー26が、搭乗運転部2に設けられている。
【0014】図3に示すように、マイクロコンピュータ利用の制御装置21が設けられ、この制御装置21に、前記株元センサS0、超音波センサS1、昇降位置センサ24、脱穀スイッチ32の各検出情報が入力されている。又、走行機体Vの水平基準面に対する機体前後方向の傾斜角を検出する重力式の前後傾斜角センサー23が設けられ、その検出情報も制御装置21に入力されている。ここで、前後傾斜角センサー23が、走行機体Vの水平基準面に対する機体前後方向の傾斜状態を検出する機体前後傾斜検出手段を構成する。
【0015】次に、上記前後傾斜角センサー23について説明すると、図5に示すように、下部側に重り23cを備えた垂直バー23bの上端部が、機体前後方向に揺動自在な状態で機体側に支持されるとともに、垂直バー23bの機体前後方向に沿う揺動動作に伴って出力値が変化するポテンショメータ23aが設けられ、このポテンショメータ23aの出力値に基づいて、走行機体Vの水平基準面に対する機体前後方向の傾斜角θを検出するように構成されている。つまり、走行機体Vの姿勢が水平基準面に沿った状態から機体前部側が上がると、垂直バー23bは下向き状態を維持しようとするので、垂直バー23bは機体に対して後方側に揺動することになり、逆に、機体前部側が下がると、垂直バー23bは機体に対して前方側に揺動することになり、このときの揺動角度θが、上記機体前後方向の傾斜角θとして検出される。ここで、走行機体Vの姿勢が水平基準面に沿った状態のときに上記傾斜角θが0になり、機体前部側が上がるとθが正の向きに増加し、機体前部側が下がるとθが負の向きに増加するものとする。
【0016】図4に示すように、搭乗運転部2の内部の操作パネル上に、刈取部Aの地面に対する目標高さを手動操作によって設定するボリューム式の刈高さ設定器40、刈取部Aの自動の高さ制御の入り切り情報を入力するための刈取昇降オートスイッチSW3、及び、後述のように、高さ制御のモードを切り換えるための手動操作式の高さ制御モード切換スイッチSW4が設けられ、その各情報も制御装置21に入力されている。ここで、この刈高さ設定器40が、刈取部Aの目標高さを設定する目標高さ設定手段を構成する。
【0017】更に、搭乗運転部2には、刈取部Aを手動で昇降させるための刈取昇降レバー25が設けられている。そして、この刈取昇降レバー25を中立位置から、後方側の上昇位置に操作すると上昇スイッチSW1がオンし、前方側の下降位置に操作すると下降スイッチSW2がオンし、その各スイッチの検出情報も制御装置21に入力されている。一方、制御装置21からは、前記昇降シリンダCYを作動させるための制御バルブ30に対する駆動信号が出力されている。
【0018】尚、前記刈取昇降レバー25は、機体操向用のステアリングレバーに兼用構成されており、そのレバー25を中立位置から、左側に操作すると左旋回スイッチ(図示しない)がオンし、右側に操作すると右旋回スイッチ(図示しない)がオンし、その各スイッチの検出情報も制御装置21に入力されている。そして、前記制御装置21は、上記左旋回スイッチがオンすると、前記ミッションケース35内の左側の操向クラッチを切り操作して機体Vを左旋回させ、右旋回スイッチがオンすると、前記ミッションケース35内の右側の操向クラッチを切り操作して機体Vを右旋回させるように構成されている。
【0019】そして、制御装置21を利用して、超音波センサS1及び刈高さ設定器40の各情報に基づいて、刈取部Aの対地高さが前記目標高さに維持されるように前記昇降シリンダCYを作動させる高さ制御(以下、通常の高さ制御という)を実行する制御手段101が構成されている。具体的には、制御装置21が、前記刈高さ設定器40にて手動設定される刈高さ設定値と超音波センサS1による刈高さ検出値との差異(偏差)を無くすように、刈高さ検出値が刈高さ設定値よりも小(刈高さが目標高さよりも低い状態)のときは昇降シリンダCYを上昇作動させ、刈高さ検出値が刈高さ設定値よりも大(刈高さが目標高さよりも高い状態)のときは、昇降シリンダCYを下降作動させる。
【0020】ただし、上記制御手段101は、前後傾斜角センサー23の情報に基づいて、走行機体Vの前部側が後部側よりも上方に位置する機体前上がり状態が検出されていると、刈取部Aの対地高さが前記目標高さに設定値を加えた高さに維持されるように昇降シリンダCYを作動させる前上がり用高さ制御を実行し、且つ、走行機体Vが前記機体前上がり状態から水平状態になると、前記通常の高さ制御を実行するように構成されている。ここで、図5に示すように、前後傾斜角センサー23の検出角度θが、θ=0を中心として±Δθの範囲内にあれば、走行機体Vが水平状態にあると判断し、上記検出角度θが正の向きにΔθよりも大きくなると、機体前上がり状態にあると判断する。
【0021】そして、制御手段101は、前後傾斜角センサー23にて検出される機体前上がり状態における機体前後方向の傾斜角θが大きいほど、上記前上がり用高さ制御における設定値を大きくして、前記刈高さ設定器40にて設定される刈高さ設定値にこの設定値を加算した値と、超音波センサS1による刈高さ検出値との差異(偏差)を無くすように昇降シリンダCYを作動させる。つまり、刈高さ検出値が、刈高さ設定値に上記設定値を加えた値よりも小のときは昇降シリンダCYを上昇作動させ、刈高さ検出値が、刈高さ設定値に上記設定値を加えた値よりも大のときは、昇降シリンダCYを下降作動させる。
【0022】さらに、制御手段101は、前記前上がり用高さ制御及び前記通常の高さ制御を実行する前上がり制御モードと、前記通常の高さ制御のみを実行する通常制御モードとに切り換え自在に構成されている。具体的には、図4に示すように、高さ制御モード切換スイッチSW4が前上がり側に操作されていれば、制御手段101は前上がり制御モードに切り換えられ、高さ制御モード切換スイッチSW4が通常制御側に操作されていれば、制御手段101は通常制御モードに切り換えられる。
【0023】次に、制御装置21による刈取部Aの昇降制御について、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。図示しないメインフローにおいて、前記脱穀スイッチ32と前記刈取昇降オートスイッチSW3の状態を調べて、両スイッチが共にオンしている場合には、超音波センサS1にて検出される刈取部Aの対地高さが所定高さ以下になると、自動の刈高さ制御を実行する一方、刈取部Aの対地高さが所定高さよりも高くなると、自動の刈高さ制御を停止する。尚、この自動の高さ制御の実行中においても、前記刈取昇降レバー25が操作されていれば、その手動操作に基づく刈取昇降操作が優先して実行される。刈高さ制御では、先ず、高さ制御モード切換スイッチSW4の状態によって高さ制御モードを判断して、通常制御モードであれば、刈高さ設定器40による刈高設定値と、超音波センサS1による刈高検出値との差である刈高偏差(刈高設定値−刈高検出値)を求め、刈高偏差が不感帯内にない場合に、偏差が(+)のときは刈取部Aを上昇させる一方、偏差が(−)のときは刈取部Aを下降させ、刈高偏差が不感帯内のときは昇降操作を停止するように、昇降シリンダCYを駆動する前記通常の高さ制御のみを行う。
【0024】一方、前上がり制御モードに切り換えられていれば、機体前上がり状態であるか否かを判断して、機体前上がり状態でなければ、上記通常の高さ制御を行い、機体前上がり状態であれば、機体前後傾斜角が大きいほど大きくなるように機体前後傾斜角に応じた設定値を算出し、その算出した設定値を前記刈高さ設定器40による刈高設定値に加えた値と、超音波センサS1による刈高検出値との差である刈高偏差[(刈高設定値+設定値)−刈高検出値]を求め、刈高偏差が不感帯内にない場合に、偏差が(+)のときは刈取部Aを上昇させる一方、偏差が(−)のときは刈取部Aを下降させ、不感帯内のときは昇降操作を停止するように、昇降シリンダCYを駆動する前上がり制御を行う。尚、手動操作による刈取昇降動作では、上昇スイッチSW1がオン状態のときは、昇降シリンダCYを上昇作動させ、下降スイッチSW2がオン状態のときは、昇降シリンダCYを下降作動させ、両スイッチSW1,SW2が共にオフ状態のときは、昇降シリンダCYの作動を停止させる。
【0025】次に、コンバインを、手動操縦により矩形状の未刈り作業領域の長手方向に沿って往復走行させながら刈取り作業する場合について、図7にて説明する。コンバインが上記作業領域の長手方向の一端部から領域長手方向に沿って前記自動の高さ制御を実行しながら刈取走行して、領域端部の枕地に達すると、刈取昇降レバー25を操作して刈取部Aを上昇させて刈取作業を終えるとともに上記自動の高さ制御を停止させる(図のa)。そして、手動のステアリング操作により車体を90度旋回させながら、車速変速レバー26にて走行速度を増速させて、上記作業領域の短手方向に沿って枕地を走行させ、次の作業開始位置に走行すると、車体を90度旋回させて上記作業領域の作業開始端部に向けて走行させる(図のb)。そして、上記作業開始端部に近づくと、刈取部Aを下降させて上記自動の高さ制御を起動させてから、車速変速レバー26にて走行速度を減速させながら上記作業領域に対する刈取作業を開始する(図のc)。ここで、前記高さ制御モード切換スイッチSW4が前上がり制御側に操作されて、機体前上がり状態が検出されていると、上記自動の高さ制御において前述の前上がり用高さ制御が実行され、上記走行速度の減速動作に伴って機体姿勢の前下がり状態が生じても刈取部Aの地面への突っ込み等が回避されることになる。
【0026】〔別実施形態〕上記実施形態では、制御手段101が、前上がり用高さ制御を実行する場合において、機体前上がり状態における機体前後方向の傾斜角θ(前後傾斜角センサー23の検出角度)が大きいほど、目標高さに加える設定値を大きくするようにしたが、これ以外に、例えば、機体前上がり状態が検出されていれば、そのときの機体前後方向の傾斜角θと無関係に上記設定値を設定するようにしてもよい。
【0027】上記実施形態では、作業部(刈取部A)を走行機体Vに支持された状態で昇降自在に構成するに、走行機体Vに対して昇降させる構成としたが、これ以外に、例えば、作業部を支持する機体部分を、接地部を備えた機体部分に対して昇降させる構成としてもよい。
【0028】上記実施形態では、作業部昇降手段を、作業部(刈取部A)を走行機体Vに対して昇降させるための油圧式の昇降シリンダCYにて構成したが、昇降シリンダCYではなく電動モータ等にて構成してもよい。尚、作業部(刈取部A)を支持する機体部分を、接地部を備えた機体部分に対して昇降させる構成とした場合には、作業部昇降手段は、機体昇降用の油圧シリンダ等にて構成される。
【0029】上記実施形態では、高さ検出手段を非接触式の超音波センサS1にて構成したが、これに限るものではなく、例えば接触式の高さ検出センサーでもよい。
【0030】上記実施形態では、目標高さ設定手段40を、手動操作によるボリューム式の設定器40にて構成したが、これに限るものではなく、予め制御目標値として制御装置21内に記憶させるようにした設定手段でもよい。
【0031】上記実施形態では、機体前後傾斜検出手段を重力式の傾斜角センサー23にて構成したが、重力式以外の傾斜角検出センサーでもよい。
【0032】上記実施形態では、農作業車を、機体前部側に作業部としての刈取部を備えたコンバインにて構成したが、これ以外の農作業車(トラクタ等)でもよい。そして、機体前部側に備える作業部は、農作業車の種類に応じて適宜変更される。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年9月8日(1998.9.8)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−83433(P2000−83433A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−253701