トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 野菜収穫機の挟持搬送装置
【発明者】 【氏名】矢野 典弘

【要約】 【課題】従来型の構成は、挟持ベルトの挟持力がどの部分でもほぼ同一に設定されており、引き抜くときの挟持状態、搬送時の挟持状態において、それぞれ適する挟持力が保持されていないという課題があった。

【解決手段】走行車体は、走行ミッション装置から伝動される走行装置を有し、その前方下部から後方上部に向けて収穫搬送装置4を設けている。収穫搬送装置は、始端部を圃場に臨ませ、終端部を上方に延長した左右一対の挟持ベルト4a、4bからなり、圃場に植っている野菜を挟持して強制的に引き抜いて上方に搬送して後続する搬送装置に受け継がせる構成としている。挟持ベルトは、その始端部分における挟持力が終端部分における挟持力より強く設定され、左右両側から野菜を挟持して搬送できる構成としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行車体1は、走行ミッション装置2から伝動される走行装置3、3’を有し、その前方下部から後方上部に向けて収穫搬送装置4が設けられ、該収穫搬送装置4は、始端部を圃場に臨ませ、終端部を上方に延長した左右一対の挟持ベルト4a、4bからなり、圃場に植っている野菜を挟持して強制的に引き抜いて上方に搬送して後続する搬送装置5に受け継がせる構成とされ、該挟持ベルト4a、4bは、その始端部分における挟持力が終端部分における挟持力より強く設定され、左右両側から野菜を挟持して搬送できる構成とされている野菜収穫機の挟持搬送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野菜収穫機の挟持搬送装置に関するものであって、野菜の収穫機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来の野菜収穫機は、走行装置を備えた車体上に、左右一対の挾持ベルトによって、圃場に植っている根菜類、例えば、人参や大根を挾持し、走行している車体と回転駆動されている挾持ベルトとの共同作用によって圃場から強制的に引き抜いて収穫する構成の引き抜き式の根菜収穫機や、補助作業者が、圃場から手作業によって収穫した野菜を収穫コンベヤ装置上に載置して車体側に搬送して収集する方式の野菜収穫機や、また、玉ねぎや馬鈴薯等のように土中に成育している野菜は、適宜深さの土中を進行する掘取機によって掘り取りながら収穫する構成の収穫機等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来型の引き抜き式根菜収穫機は、左右一対の挟持ベルトの始端部で圃場に植えられている野菜を挟持して、そのまま上方に搬送しながら引き抜いて更に搬送し、後続する搬送装置に受け継がせる構成になっている。この従来型の構成は、挟持ベルトの挟持力がどの部分でもほぼ同一に設定されており、最初の野菜を圃場から引き抜くときの挟持状態、中間部分の搬送時における挟持状態、終端部分における野菜を後続の搬送装置に受け継がせるときの挟持状態において、それぞれ適する挟持力が保持されておらず、実状に合わない課題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講ずるものである。すなわち、走行車体1は、走行ミッション装置2から伝動される走行装置3、3’を有し、その前方下部から後方上部に向けて収穫搬送装置4が設けられ、該収穫搬送装置4は、始端部を圃場に臨ませ、終端部を上方に延長した左右一対の挟持ベルト4a、4bからなり、圃場に植っている野菜を挟持して強制的に引き抜いて上方に搬送して後続する搬送装置5に受け継がせる構成とされ、該挟持ベルト4a、4bは、その始端部分における挟持力が終端部分における挟持力より強く設定され、左右両側から野菜を挟持して搬送できる構成とされている野菜収穫機の挟持搬送装置である。
【0005】
【発明の効果】本発明は、上述のように構成されているから、左右一対の挟持ベルト4a、4bは、搬送始端部分における引き抜き時、中間部分の搬送時、終端部分の受け継ぎ時のそれぞれに適する挟持力が保持され、搬送の全工程において確実に野菜を挟持して無理を与えたり、脱落したりすることなく収穫できる特徴を有するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】まず、その構成について説明する。走行車体1は、図6に示すように、前部の低位置に設けた走行ミッション装置2から両側に延長して設けているホィ−ルシャフトの駆動スプロケット7に、左右一対の走行装置3、3’を設けて構成している。そして、走行装置3、3’は、ゴムを素材として成型したクロ−ラから構成している。
【0007】そして、前記走行ミッション装置2は、走行車体1に搭載している図外のエンジンから回転動力が伝動されるように連結し、図示しない走行クラッチを内装して前記走行装置3、3’のクラッチ操作を可能に構成している。そして、走行車体1は、前部右側に運転席8を設けて運転可能とし、その左側から後部のスペ−スに後述する収穫搬送装置4等の一連の搬送装置や収穫した野菜の収納スペ−スを配置して構成している。
【0008】そこで、まず、収穫搬送装置4は、図1乃至図4に示すように、左右一対の挟持ベルト4a、4bからなり、始端部を前方低部の地面近くに臨ませて、順次、後部上方に向けて傾斜させて延長し、終端部分を走行車体1の後方上部に位置させて人参を挟持して搬送する構成(図6参照)としている。この場合、挟持ベルト4a、4bは、その始端部分で圃場に植っている人参の首部分(茎葉部のつけ根の部分)を左右両側から挟持して移動に伴って地面から引き抜きながら堀取って後方上方に搬送する構成としている。
【0009】以下、その具体的構成について述べる。まず、図1に示す挟持ベルト4a、4bは、図面で明らかなように、前部ゾ−ン9、中央ゾ−ン10、後部ゾ−ン11の3ゾ−ンに分割して、それぞれのゾ−ンに適する挟持力を設定して構成している。すなわち、前部ゾ−ン9は、挟持ベルト4a、4bの裏側に配置した各テンションロ−ラ12の張圧力を強く設定してベルトを張るように設け、引き抜き時にベルトに充分な挟持力を保持できるように3ゾ−ンの中では最も強く挟持できる構成としている。
【0010】つぎに、中央ゾ−ン10は、人参の引き抜きが完了した時点から前部ゾ−ン9に接続して形成し、各テンションロ−ラ13によって裏側から挟持ベルト4a、4bを張圧し、前部ゾ−ン9より挟持力を弱く設定して構成している。その理由は、搬送される人参は、従来型のように、前部ゾ−ン9から中央ゾ−ン10に至る長い区間の挟持力を強く設定しておくと、茎葉部分が千切れる問題が発生していた。
【0011】つぎに、後部ゾ−ン11は、3ゾ−ン中ではもっとを挟持力を弱く設定し、振り子型ア−ム14の両端部にそれぞれテンションロ−ラ15、15’を軸着して張圧する構成としている。そして、振り子型ア−ム14は、中間部を支持枠16に枢着して揺動する構成としており、一方側のテンションロ−ラ15の張圧力が大きいときには他方のテンションロ−ラ15’の張圧力が比較的弱くなる構成としている。このように、後部ゾ−ン11は、前部ゾ−ン9や中央ゾ−ン10の挟持力に比較して弱く設定することによって、搬送は充分に行なえるものでありながら、後続する搬送装置5(首揃えベルト)への受け継ぎを無理なく、安定的に行なわせることができる。
【0012】なお、上述した振り子型ア−ム14は、図4および図5に示すように、支持枠16に穿設した調節用長孔17に調節ねじ18によって係止し、前後に移動調節できる構成にしておけば、搬送装置5(首揃えベルト)との位置関係、茎葉の大きさ等に応じて調節できて便利である。つぎに、挟持ベルト4a、4bは、図2に示すように、中央ゾ−ン10に相当するゾ−ンを設けない組み合わせにして、前部ゾ−ン9と後部ゾ−ン11との2つのゾ−ンで構成した実施例である。
【0013】つぎに、図3の挟持ベルト4a、4bは、始端部において、一方側の各テンションロ−ラ12を軸受支持している支持板19を回動支点20によって回動できる構成としている。すなわち、支持板19は、一方側(搬送方向後部)に上記回動支点20を設け、他方側(搬送方向前部)に長孔21を形成して、外側に開放できる構成にしている。したがって、挟持ベルト4a、4bは、始端部分に挟持ミスが発生して開放するときに、長孔21を利用して支持板19を回動支点20から回動することによって簡単に開放できて挟持している異物の取り除き等のメンテナンスを行なうことができる。
【0014】つぎに、茎葉引起し装置22は、図6に示すように、走行車体1の前部において、引起しラグ23が進行方向(前方)に向かって突出しながら回動して引き起しを行なう構成とし、始端部を前記挟持ベルト4a、4bの始端部より前方の両側に位置させ後傾斜状にして上方に延長して設けている。24は分草杆であって、基部を前記茎葉引起し装置22の下部に取り付けて前方側に延長し、先端部分で茎葉をすくうようにして後方へ案内する構成としている。25はサブソイラ−を示す。
【0015】つぎに、切断装置26は、図6に示すように、前記収穫搬送装置4の中間部分下側に装置し、挟持ベルト4a、4bによって首部を挟持されて上方へ搬送されている途中の人参のしっぽ、根(毛根)部を切断する構成としている。なお、切断装置26は、具体的には図示していないが、搬送方向に配列した線杆の下側に2器の切断装置26を内装して、その線杆の間から下側に出た「しっぽ(根)」の部分を切断する構成としている。そして、切断装置26は、図6に示す実施例の場合、切断装置機体27の一方側(搬送方向下手側)をフレ−ム28に枢着し、他方側(搬送方向上手側)の調節長孔29に勘合させて、収穫搬送装置4に対する傾斜角度を調節できる構成としている。
【0016】つぎに、土落装置30は、図7および図8に示すように、挟持ベルト4a、4bの中間部分の下方において、はしご状に形成してフレ−ム28に着脱自由に取り付けて設け、前記挟持ベルト4a、4bによって上方に搬送される途中の人参を衝突させて付着している土を落下させる構成としている。そして、首揃えベルト31(搬送装置5に相当する。以下同じ)は、始端部を収穫搬送装置4の終端部分に臨ませ、ほぼ水平状態に後方に延長して設け、挟持ベルト4a、4bによって上方へ搬送されている人参の首部を受け継いで挟持して搬送方向を変更する構成としている。そして、首揃えベルト31は、左右一対のベルトからなり、人参の首部分を左右から挟持して搬送する構成としている。
【0017】つぎに、円板カッタ−32、32’は、一対のものを上記した首揃えベルト31の後方に軸架して設け、首揃えベルト31の終端部からタッピングベルト33に受け継がれて搬送されている人参の茎葉を切断する構成としている。なお、34は排葉ベルトである。35はコンベヤベルトであって、上記円板カッタ−32、32’の下方から走行車体1の右側(運転席8の後方位置)に向けて延長し、図示しない収納箱(コンテナ)まで人参を搬送する構成としている。
【0018】つぎにその作用について述べる。まず、野菜収穫機は、エンジンを始動して機体の回転各部を駆動しながら、圃場内を前進させて人参の収穫作業を開始する。すると、圃場の人参は、その茎葉が、前部の低い位置にある分草杆24に係合されて引き起こされ、後方に誘導され、続いて、前部で地面に接するような低い位置から上方へ回転している引起しラグ23に達して上方に引き起こされる。
【0019】このようにして、人参は、首の部分が挟持ベルト4a、4bの始端部に達して左右一対の挟持ベルト4a、4bによって挟持され、順次、上方へ引き抜き作用を受ける。そのとき、挟持ベルト4a、4bは、図1および図2に示すように、搬送始端部の前部ゾ−ン9では、挟持ベルト4a、4bの裏側に配置した各テンションロ−ラ12の張圧力を強く設定してベルトを張るように設けているから、充分な挟持力を保って人参の引き抜きを行なうことができる。
【0020】そして、人参は、上方に搬送される過程で、途中の切断装置26に達し、根(毛根)が切断され、更に上方に搬送され、首揃えベルト31に持ち換えられて後方に搬送方向が変更される。このとき、挟持ベルト4a、4bは、後部ゾ−ン11が各ゾ−ン中ではもっとを挟持力を弱く設定し、振り子型ア−ム14の両端部にそれぞれテンションロ−ラ15、15’を軸着して交互に挟持力が強弱変化しながら人参を挟持して首揃えベルト31への受け継ぎが容易になるように挟持搬送している。
【0021】そして、人参は、首揃えベルト31からタッピングベルト33に達して受け継ぎ搬送されながら、円板カッタ−32、32’によって茎葉が切り落とされる。そして、人参は、コンベヤベルト35上に受け継がれて走行車体1の側方に搬送されて収納箱に連続的に収穫される。また、茎葉部分は、排葉ベルト34によって機体の後方まで搬送されて収穫後の圃場面に廃棄される。
【0022】上述のような一連の作業中において、本発明に係る挟持ベルト4a、4bは、搬送始端部の引き抜き部分では強い挟持力で挟持して確実に引き抜き作用ができ、後部の受け継ぎ部分に達すると、挟持力を弱く設定しているから、後続の搬送装置5(首揃えベルト31)へ円滑に受け継がせることができる実用的な効果を有するものである。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年8月18日(1998.8.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−60249(P2000−60249A)
【公開日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【出願番号】 特願平10−231745