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【発明の名称】 移動収穫機のキャビン冷却装置
【発明者】 【氏名】福田 禎彦

【要約】 【課題】コンバインに搭載したエアコン用のエアコンプレッサのメインテナンスを容易に行えるようにする。

【解決手段】コンバインCは、運転席15の周囲を覆うキャビン22を有し、このキャビン22室内はエアコン用のエアコンプレッサ24により冷却可能とされている。また、穀粒タンク17内に貯留された穀粒は、横送りラセン50により一側に移送されるが、この横送りラセン50は、伝動ギヤケース36を介してエンジン13に連結されていて、該エンジン13の動力で回転駆動される。そして、前記エアコンプレッサ24を、穀粒タンク17の下方に配置することで、保守・点検時には、穀粒タンク17を機体側方に回動して開放すれば、該エアコンプレッサ24は外部に露出するため、駆動ベルト56の交換等が容易となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 運転席周囲を覆うキャビン室内を冷却するエアコン用のエアコンプレッサを備えると共に、エンジンの駆動力を、該エンジンに連結された伝動ギヤケースを介して穀粒タンクの横送りラセンに伝達し、該横送りラセンを駆動するようにした移動収穫機において、前記エアコンプレッサを、前記穀粒タンクの下方に配置した、ことを特徴とする移動収穫機のキャビン冷却装置。
【請求項2】 前記エアコンプレッサの入力軸を、駆動力伝達手段を介して前記伝動ギヤケースから突設した駆動軸に連結し、該駆動軸により前記エアコンプレッサを駆動可能とした、ことを特徴とする請求項1記載の移動収穫機のキャビン冷却装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャビン室内を冷却するエアコン用のエアコンプレッサを備えたコンバイン等の移動収穫機のキャビン冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】コンバイン等の移動収穫機において、運転席の周囲を覆うキャビンが設けられた仕様のものがあり、このキャビンにより運転者は雨天時にも快適な作業を行うことが可能であると共に、運転者の顔面にワラ屑が直接ふりかかる等の不具合を防止することができる。しかし、このキャビンは一般に周囲をウィンド等で覆われており、室内は暑くなるため、エアコン用のエアコンプレッサによりキャビン室内を冷却することが必要となる。従来、このエアコンプレッサはエンジンルーム内に設けられていて、エンジンの出力プーリとエアコンプレッサの駆動プーリとを駆動用ベルトにより連結し、エンジンの動力にてエアコンプレッサが駆動されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、コンパクト化を図るべくエンジンルーム内は可及的に小さいスペースで設計されているため、該内部での作業性は悪く、例えばエンジンルーム内で前記エアコン用の駆動用ベルトを交換したり調整したりするのは困難であると共に、冷媒ガスの充填作業等を行うのも容易ではなかった。
【0004】本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、エアコン用のエアコンプレッサ等のメインテナンスを容易に行いうる移動収穫機のキャビン冷却装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、運転席(15)周囲を覆うキャビン(22)室内を冷却するエアコン用のエアコンプレッサ(24)を備えると共に、エンジン(13)の駆動力を、該エンジン(13)に連結された伝動ギヤケース(36)を介して穀粒タンク(17)の横送りラセン(50)に伝達し、該横送りラセン(50)を駆動するようにした移動収穫機(C)において、前記エアコンプレッサ(24)を、前記穀粒タンク(17)の下方に配置した、ことを特徴とする。
【0006】請求項2記載の発明は、前記エアコンプレッサ(24)の入力軸(59)を、駆動力伝達手段(54,56,58)を介して前記伝動ギヤケース(36)から突設した駆動軸(52)に連結し、該駆動軸(52)により前記エアコンプレッサ(24)を駆動可能とした、ことを特徴とする。
【0007】[作用]前記発明特定事項により、本発明の移動収穫機(C)は、運転席(15)の周囲を覆うキャビン(22)を有し、このキャビン(22)室内はエアコン用のエアコンプレッサ(24)により冷却可能とされている。また、穀粒タンク(17)内に貯留された穀粒は、横送りラセン(50)により排出側に移送されるが、この横送りラセン(50)は、伝動ギヤケース(36)を介してエンジン(13)に連結されていて、該エンジン(13)の動力で回転駆動されるようになっている。
【0008】本発明においては、前記エアコンプレッサ(24)を前記穀粒タンク(17)の下方に配置したことで、該エアコンプレッサ(24)等の保守・点検時には穀粒タンク(17)を機体側方に回動して開放するだけで、エアコンプレッサ(24)は外部に露出するため、駆動用ベルト等の交換・調整等のメインテナンスが容易となる。また、前記エアコンプレッサ(24)の入力軸(59)を、伝動ギヤケース(36)から突設した駆動軸(52)に連結したことで、エンジン(13)が駆動している限りエアコンの作動も可能となる。
【0009】なお、上述の括弧内の符号は、図面を対照するためのものであって、この発明の発明特定事項を何ら限定するものではない。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0011】図1及び図2は、本発明を適用したコンバインの側面図と後面図である。
【0012】コンバインCは、自走用の左右一対のクローラ走行装置11,11により支持された走行機体12を有し、該走行機体12は搭載エンジン13の出力でクローラ走行装置11,11を駆動して走行する。前記走行機体12の前方には、該機体12に対し昇降自在でかつ穀稈を刈り取る前処理部14が設けられている。また、走行機体12の前部上方には、座席シート23を有する運転席15が配置されていて、該運転席15の後部には前処理部14にて刈り取った穀稈を脱穀し、該脱穀した穀粒を選別する脱穀部16、選別した穀粒を揚穀筒19を介して一時的に貯蔵する穀粒タンク17、該穀粒タンク17内の籾を機外に搬出する排出筒18を有し、脱穀済みの排ワラは後処理部により機外に排出される。
【0013】前記排出筒18は、夫々内部にラセン軸を収容した縦ラセン筒20と排出ラセン筒21とを有し、前記穀粒タンク17内の穀粒は、該穀粒タンク17の底部に横設された横ラセン軸50(図3参照)によって縦ラセン筒20の下方に移送され、該縦ラセン筒20から排出ラセン筒21を経て機外に搬出される。
【0014】前記運転席15の周囲には、該運転席15を覆うようにキャビン22が設けられていて、運転者はこのキャビン22により雨天時にも作業を行うことができると共に、ワラ屑が顔面にふりかかるのを防止することができる。しかし、前記キャビン22は周囲をウィンド等で覆われており、特に夏場には室内は暑くなるため、エアコン用のエアコンプレッサ24によりキャビン22室内を冷却することが行われている。
【0015】本発明においては、前記エアコンプレッサ24を、前記穀粒タンク17の下方に配置したことを特徴としている。
【0016】図1及び図2に示すように、本実施の形態では、前記エアコンプレッサ24は、穀粒タンク17における流穀板26の下方の走行機体12上に配置されている。このエアコンプレッサ24は、前記エンジン13によって駆動されるが、次にその動力伝達経路を図3に基づき説明する。
【0017】前記エンジン13の動力は、その出力軸27に固定された一方のプーリ30から、ベルト38及び脱穀クラッチ39、プーリ40を介して扱胴側へ伝達されると共に、前記出力軸27に固定された他方のプーリ28から、ベルト32及び入力プーリ34を介してグレン伝動ギヤケース36の入力軸35に伝達される。
【0018】このグレン伝動ギヤケース36に入力された動力は、カサ歯車機構37を介して一方の出力軸41から、プーリ42とベルト44及びクラッチ46を介してラセン駆動プーリ48に伝達されて、該ラセン駆動プーリ48により穀粒タンク17内の横ラセン50が駆動される。
【0019】また、グレン伝動ギヤケース36に入力された動力は、該ギヤケース36から突設された他方の出力軸52から、プーリ54とベルト56及びコンプレッサ駆動プーリ58を介して入力軸59に伝達され、電磁クラッチ60を介して前記エアコンプレッサ24が駆動される。
【0020】すなわち、エンジン13の駆動力により、該エンジン13に連結されたグレン伝動ギヤケース36を介して穀粒タンク17内の横ラセン50が駆動されると共に、エアコンプレッサ24も駆動される。前記グレン伝動ギヤケース36はエンジン13の駆動により常時駆動されており、このため電磁クラッチ60を入切制御することで必要なときにエアコンプレッサ24を駆動することができ、このエアコンプレッサ24の駆動によりキャビン22室内を冷却することができる。
【0021】図4は、前記穀粒タンク17を、回動支点を中心として走行機体12の右側方に開放した状態を示している。
【0022】すなわち、前記穀粒タンク17は、機体後方の縦軸25を中心として回動させることで、走行機体12の側方に開放することができる。このため、穀粒タンク17の下方に配置されたエアコンプレッサ24やベルト56等の駆動力伝達系が外部に露出し、該エアコンプレッサ24の前面及び上部空間には障害物は何もなくなる。よって、前記穀粒タンク17を側方に開放するのみで、駆動用のベルト56等の交換が容易に行える。また、これらエアコンプレッサ24等を、機体後部の穀粒タンク17の下方に配置したことにより、機体の前後重量バランスが改善される。
【0023】次に、図5は、前記キャビン22の後面図を示しており、同図において、キャビン22の右後柱62の下部には、隙間調整用のゴムパイプ63が装着されている。
【0024】すなわち、一般的に、コンバインCでは前記キャビン22の組み立て時のバラツキを考慮して、右後柱62の下部とエンジンカバー64との間に隙間を設け、この隙間により回動支点61を中心としてエンジンカバー64を開閉できるようになっている。しかし、刈取作業中に、この隙間から塵埃がキャビン22の室内に侵入してくるおそれがある。そこで、本実施の形態では、図6(a)(b)に示すように、前記右後柱62の断面形状に合致するように形成したゴムパイプ63を該右後柱62の下部から挿入し、右後柱62の下部とエンジンカバー64との間に隙間が生じないように、該ゴムパイプ63を接着剤にて固定している。
【0025】これにより、外観を損なうことなく、キャビン22室内の防塵性の向上が図られるという利点を有する。
【0026】図7は、キャビン22の右後面下部にゴムプレート65を取付け、更に該ゴムプレート65にめくれ防止プレート66を追加した実施の形態を示す。
【0027】一般に、キャビン22の右後面下部には、キャビン室内外の隙間埋め用の前記ゴムプレート65が組み付けられているが、このゴムプレート65は前記隙間部分に上部から垂下されているのみであり、キャビン22との密着性はないため該キャビン22室内の防塵性としては不十分なものとなっている。
【0028】そこで、図8(a)(b)に示すように、前記ゴムプレート65にめくれ防止プレート66を追加し、このめくれ防止プレート66は右端に曲げ部66aを有し、この曲げ部66aにより右後柱62にめくれ防止プレート66が密着しやすいようにしている。なお、このめくれ防止プレート66の下端は、エンジンカバー64の上面と略々同じ高さ位置にしてある。
【0029】図9及び図10は、運転席15の前部下方でかつステップ67の下部にカバー68を追加した実施の形態を示している。
【0030】前述したキャビン仕様のコンバインCにあっては、穀稈の刈取時に運転席15の前部下方から塵埃が侵入するおそれがあるため、運転席15の前部下方でステップ67より下部に防塵用のカバー68を設けたものである。このカバー68は、図10に示すように、前記ステップ67の下部に、前面に追加カバー70とカバー71を取付けた運転フレーム69を取付けると共に、該ステップ67の上面に断熱マット72とフロアマット73を取付けている。
【0031】また、図9と図11〜図14に示すように、本実施の形態におけるラジエータダクト74には、レシーバドライヤ75のサイトグラスを点検するための点検用窓76が設けられている。
【0032】一般に、エンジン13の前面には、エンジン冷却用のラジエータ77が設けられていて、その前面にクーラ用コンデンサ78が設けられ、更にその前面にラジエータダクト74が配管されている。そして、前記ラジエータダクト74内にレシーバドライヤ75が配置されていると、クーラガスの点検時にラジエータダクト74の前面の金網フィルタを外さなければならない。このため、ラジエータダクト74点検用窓76を設けることで、金網フィルタを外すことなくクーラガスの点検が可能となる。
【0033】すなわち、前記レシーバドライヤ75は、図14に示すように、胴体80の内部に乾燥剤81が充填され、中心部には吸入管82が設けられていて、前記レシーバドライヤ75の上部には、冷媒量を点検するサイトグラス79が設けられている。そして、そのサイトグラス79を上部より覗けるように、ラジエータダクト74の上方に点検用窓76が設けられている。なお、作業中は、この点検用窓76からワラ屑等が入るため、ゴムキャップがしてある。
【0034】また、図15(a)〜(d)に示すように、クーラの状態は、低圧・高圧パイプの温度を点検すると共に、冷媒量をレシーバドライヤ75のサイトグラス79から冷媒の気泡の流れを点検することで判断できる(図15(a)参照)。例えば、高圧パイプは熱く、低圧パイプは冷たく温度差がはっきりあり、かつサイトグラス79の状態は、ほとんど透明、泡の流れが見えてもエンジン回転を上げたり下げたりすると透明になる場合は異常なしと判断され(図15(b)参照)、また、高圧パイプはあたたかく、低圧パイプはやや冷たく、温度差はあまりなく、かつサイトグラス79の状態は、いつも気泡の流れるのが見え、透明または白泡のときもある場合は異常ありと判断され(図15(c)参照)、更に、高圧パイプと低圧パイプにほとんど温度差が感じられず、かつサイトグラス79の状態は、霧のようなものが流れているのがわずかに見える場合は異常ありと判断される(図15(d)参照)。
【0035】
【発明の効果】以上説明した通り、請求項1記載の発明によれば、穀粒タンクの下方にエアコン用のエアコンプレッサを配置したことにより、該エアコンプレッサ等の保守・点検時には穀粒タンクを機体側方に開放するのみでエアコンプレッサが外部に露出するため、容易にメインテナンス作業を行うことができる。
【0036】請求項2記載の発明によれば、エアコンプレッサの入力軸を、駆動力伝達手段を介して伝動ギヤケースから突設した駆動軸に連結したことで、エンジンが駆動している限りエアコンプレッサを駆動することができるため、必要に応じてキャビン室内を冷却することができる。また、大重量のエアコンプレッサを、機体後部の穀粒タンクの下方に配置したことにより、機体の前後重量バランスを改善することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年6月17日(1998.6.17)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
【公開番号】 特開2000−4646(P2000−4646A)
【公開日】 平成12年1月11日(2000.1.11)
【出願番号】 特願平10−170329