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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】土居 義典

【氏名】二宮 伸治

【氏名】吉邨 文夫

【要約】 【課題】自動走行方向制御中には車体フレームの水平制御が誤動作しないようにするコンバインを提供すること。

【解決手段】コンバインの走行方向を修正する出力が行われているときには、車体水平制御手段に設けられた例えば傾斜センサが車体の傾斜を検出しても、傾斜センサの検出出力値そのままに車体水平制御手段は左右傾斜制御を出力するのでなく、左右方向調節の大小により長短を定める所定時間の間、左右傾斜制御出力を停止する。こうしてコンバインは走行方向の左右方向調節による車体フレームの揺れによる誤信号の検出結果に基づき、左右水平調節を行うことはなくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも車体の進行方向に向かって左右を自動的に水平制御する車体自動左右水平制御手段と、走行方向を自動的に制御する自動走行方向制御手段と、自動走行方向制御手段が作動中には前記車体自動左右水平制御手段の自動左右水平制御を停止する制御装置とを備えたことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクローラを着装した農業用のコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】コンバインは左右一対で広幅無端帯状のクローラを有し、接地圧が低く、不整地や湿田などを走行しながら各種の農業作業、特に、圃場穀物の収穫作業に広く用いられている。
【0003】左右のクローラを等速で前進させるとコンバインは直進前進走行し、等速で後進させると直進後退走行する。左右のクローラに速度差を与えるとコンバインは旋回走行する。
【0004】収穫作業において、圃場に植立する穀稈列間の中心に刈取装置の前端下部にある分草具が進入するように、コンバインを操舵しながら前進走行させる。穀稈は分草具によって分草作用を受け、次いで穀稈引起装置の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃に達して刈取られ、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で刈取装置の後部上方に搬送される。
【0005】穀稈は扱深さを調節されて、刈取装置の後部で脱穀装置のフィードチェンに供給され、脱穀装置において回転する扱胴の扱歯によって脱穀される。そして、脱穀処理物は選別室で選別処理され、脱穀選別した穀粒はグレンタンクに一時貯留し、貯留量が蓄積したらオーガによりコンバインの外部に搬出する。
【0006】コンバインの車体フレームと走行装置との間には、車体フレームを左右に傾動させる左右傾動手段、および前後に傾動させる前後傾動手段を介在させて、軟弱地盤などで走行装置が傾動沈下した場合に車体フレームとそれより高い位置に配置されている装置を水平に保ち、また地面表面からの車体フレームとそれより高い位置に配置されている装置の高さを一定に保持するように昇降することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】コンバインを用いることにより圃場の穀物の収穫作業、すなわち刈取り、脱穀作業は省力化され、かつ能率化されてきた。コンバインによる収穫作業は、コンバインに搭乗するオペレータの運転操作により行われる。オペレータは、収穫作業のために走行装置、刈取装置、脱穀装置などの各種運転操作を次々と行わなければならないが、特に圃場に植立する穀稈を適正に刈取りするために、ほとんど連続的に走行装置および刈取装置の操作を行う必要がある。すなわち、穀稈を適正長さに刈取るための刈取装置の昇降操作、コンバイン車体フレームの前後左右傾動を修正する走行装置水平操作、植立する穀稈列を正しく分草するための走行装置操舵操作などである。これらの操作は、オペレータにとり肉体的労働強度は低くても、連続的に集中力を要求されて精神的労働強度は極めて高くなる。
【0008】このオペレータの精神的労働強度を軽減するために、コンバイン運転操作の自動化が行われつつあり、刈取装置に高さ検出手段を取り付けて刈高さの自動制御をなし、またコンバインの車体フレームに傾斜検出手段を取り付けてコンバイン車体フレーム傾斜を修正する水平自動制御をし、刈取装置に穀稈列の検出手段を設けて分草具を穀稈列間の中心に進行させる自動走行方向制御を行うなどの各種自動制御装置が開発され、本出願人もこれらの制御装置の発明について特許出願をしている。
【0009】しかしながら、これらの自動制御装置は、それぞれ単独で作動させると良好に作動するものの、複数の自動制御装置を同時に作動させると相互に干渉して、かえって不良作動をして期待通りに作動しないということもある。
【0010】特に、コンバインの車体フレームの左右の傾斜を修正する水平自動制御とともに、分草具を穀稈列間の中心に進行させる自動走行方向制御とを作動させると、コンバインの方向修正出力により車体フレームが左右に揺られて、車体フレームの水平制御が誤動作する。
【0011】そこで、本発明の課題は、分草具を穀稈列間の中心に進行させる必要がある時などの自動走行方向制御中には車体フレームの水平制御が誤動作しないようにするコンバインを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次の構成により解決される。すなわち、少なくとも車体の進行方向に向かって左右を自動的に水平制御する車体自動左右水平制御手段と、走行方向を自動的に制御する自動走行方向制御手段と、自動走行方向制御手段が作動中には前記車体自動左右水平制御手段の自動左右水平制御を停止する制御装置とを備えたコンバインである。
【0013】上記構成により、コンバインの走行方向を修正する出力が行われているときには、車体自動左右水平制御手段に設けられた、例えば傾斜センサが車体の傾斜を検出しても、傾斜センサの検出出力値そのままに車体自動左右水平制御手段は左右傾斜制御の出力をするのではなく、左右方向調節幅の大小により長短を定める所定時間の間、左右傾斜制御出力を停止する。こうしてコンバインは走行方向の左右方向調節による車体フレームの揺れによる誤信号の検出結果に基づき、左右水平調節を行うことはなくなる。
【0014】ここで、車体自動左右水平制御手段による左右傾斜出力の停止時間の長短を、揺れの大小を支配する左右水平制御量の大小に合わせて定め、左右方向の制御量が大であり、揺れも大の場合には、揺れが収まるのに必要かつ充分時間だけ左右傾斜出力を停止する構成とすると誤動作を防止することができ、また、左右方向の制御量が小で揺れも小の場合には、短時間だけ左右傾斜出力を停止するようにすると、制御遅れや応答性低下が発生せず、コンバインの走行方向の左右自動調節と共に左右水平自動調節を良好に行うことができる。
【0015】こうして、コンバインによる収穫作業において、水平自動制御と、自動走行方向制御とを同時に作動させることができれば、オペレータの精神的労働強度を低減するために極めて有効である。したがって、車体フレーム傾斜を修正する水平自動制御と、分草具を穀稈列間の中心に進行させる自動走行方向制御とを同時に、かつ良好に作動させることができる。
【0016】ここで、車体の自動水平制御手段は左右水平制御手段だけでなく、これに加えて車体の進行方向に向かって前後方向の水平制御手段を設けた場合にも本発明は適用できる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に本発明の実施の形態の穀類の収穫作業を行うコンバインの側面図を示し、図2はその走行装置の詳細を示す側面図であり、図3は図2の走行装置の詳細を示す上面図であり、図4は本発明の刈取装置および脱穀装置の一部を示す側面図であり、図5は図4の刈取装置および脱穀装置の一部を示す上面図であり、図6は本発明の刈取装置に取り付けた穀稈列の検出手段の作動説明上面図であり、図7は本発明の実施の形態の制御装置の回路のブロック図であり、図8と図9は本発明の実施の形態の制御装置の制御のフローを示す図であり、図10は本発明の実施の形態の制御装置の別の制御のフローを示す図である。
【0018】図1、図4、図5に示すように、コンバイン1は車体フレーム2の前部に刈取装置8を搭載し、車体フレーム2の上部に脱穀装置11およびグレンタンク(図示せず)を搭載し、グレンタンクと刈取装置8との間の車体フレーム上部に操縦席13と操縦席13を覆うキャビン13aを設ける。
【0019】刈取装置8は、最前端部に分草具7を、その背後に傾斜状にした穀稈引起装置8aを、その後方底部に刈刃8bを設け、分草して刈取った穀稈を掻込搬送装置10a、前部搬送装置10b、供給搬送装置10cなどで次々に引き継ぎ、扱深さを調節して脱穀装置11のフィードチェン11aの始端部に受け継ぐ構成である(図4参照)。
【0020】車体フレーム2の前部に設けた刈取支持台9bの上部に刈取支持フレーム9の後部上部を揺動自在に枢着して、該枢着部から前方下方へ延長した刈取支持フレーム9に刈取装置8を取り付けて、刈取装置8に刈取搬送動力を伝動可能、かつ刈取上下アクチュエータ9aの作動により一斉に上下昇降して、穀稈の刈取高さを調節し、また路上走行時などには刈取装置8の全体を高い位置に上昇保持できる構成である。
【0021】図1ないし図3に示すように、コンバイン1の車体フレーム2の下部側に左右一対の走行クローラ14を有する走行装置3を配設し、車体フレーム2と走行装置3との間に車体フレーム2を左右に傾斜させる左右傾斜手段4と、車体フレーム2を前後に傾斜させる前後傾斜手段5とを介在させている。
【0022】走行装置3は、無端帯状のクローラ14と該クローラ14を回転させる駆動スプロケット15と所定間隔を置いて設けられていてクローラ14を地面に接地させる複数の接地転輪16と地面の凹凸に対応する可動転輪17と前記接地転輪16と可動転輪17を支持するトラックローラフレーム18とクローラ14に張力を与える移動スプロケット19と該移動スプロケット19を移動調節する調節装置20と、クローラ14の垂れ下がりを防止する支持転輪21などから構成され、これと同じ構成のものが左右一対に設けられている。
【0023】図2に示すように、コンバイン1の車体フレーム2には図示しないエンジンが搭載され、エンジンの回転動力は走行トランスミッション50の変速手段、クラッチ、ブレーキなどを経て、走行フレーム41のブラケット41bに遊嵌支持される駆動軸15aから走行装置3の駆動スプロケット15に伝動され、クローラ14を駆動する。走行トランスミッション50の作動により、左右のクローラ14を等速で駆動し、または左右のクローラ14に速度差を与えて駆動することができる。走行装置3は、左右のクローラ14を等速で駆動した場合は直進し、左右のクローラ14に速度差を与えた場合は、低速側クローラ14を内側にして旋回走行する。
【0024】前記左右傾斜手段4は左右の走行装置3に各々設けられている。図2に示す左右傾斜手段4について説明すると、トラックローラフレーム18には、その前部に前部アーム22がピン23に遊嵌連結し、後部に後部アーム24がピン25に遊嵌連結している。前部アーム22の他端は、車体フレーム2に固定されている軸受け26で支承された前部ローリング軸27に遊嵌連結されていて、さらに、前部ローリング軸27にはアーム30が遊嵌連結されている。前部アーム22とアーム30は連結固定されている。前記後部アーム24の他端は、車体フレーム2に固定している連結アーム29の後部ローリング軸28に遊嵌連結されていて、さらに、後部ローリング軸28には、アーム31が遊嵌連結されている。後部アーム24とアーム31は連結固定されている。また、アーム30とアーム31は連結ロッド32で遊嵌連結されていて、さらに、前記アーム31の端部には、油圧シリンダ33のピストンロッド34の端部が遊嵌連結されている。油圧シリンダ33は、車体フレーム2に対して遊嵌しているプレート33aに遊嵌されていて、その遊嵌軸心からプレート33bが設けられ、その端部はピッチングアーム39に連結している。
【0025】前記プレート33bは油圧シリンダ33のピストンロッド34を移動可能にするためのものである。また、前記プレート33aにより油圧シリンダ33をつり下げた状態としているのは、ピッチング油圧シリンダ43を作動させたときにおいて、油圧シリンダ33のピストンロッド34が移動しないようにするためである。
【0026】したがって、油圧シリンダ33のピストンロッド34を伸ばすと、図2の左側面図において、アーム31は時計方向に回転して連結ロッド32を引っ張り、該連結ロッド32はアーム30を時計方向に回転させる。すると、後部アーム24と前部アーム22は共に時計方向に回転して、これによりトラックローラアーム18は車体フレーム2に対して下方へと下がる。図2と同じ構造のものが車体フレーム2の進行方向右側にもあるので、左右のいずれかを作動させることにより左右水平制御(ローリング)が行える。
【0027】また、左右の油圧シリンダ33のピストンロッド34を同時に伸ばすと、トラックローラアーム18は車体フレーム2に対して下方へと下がり、地面に対して車体フレーム2は上昇することになる。左右の油圧シリンダ33のピストンロッド34を同時に縮めると、前述の動きと反対の動きとなり、トラックローラアーム18は車体フレーム2に対して上方へと上がり、地面に対して車体フレーム2は下降することになる。トラックローラアーム18にはストッパ18aが設けてあり(図3参照)、該ストッパ18aに後部アーム24と前部アーム22が当接することによって左右傾斜手段4の下限位置を定める。
【0028】左右傾斜手段4はコンバイン1が湿田など軟弱地盤を走行して、クローラ14の全体が沈下し、車体フレーム2が圃場地面に接近しすぎる場合に、左右の油圧シリンダ33を同時に作動させて、コンバイン1の車体フレーム2から上部を上昇させる手段として用いられる。この場合、オペレータの判断で操縦席13の湿田スイッチ37を投入するか、図示しない超音波高さセンサなどで車体フレーム2の高さを検出して、手動または自動制御で左右の油圧シリンダ33を同時に作動させ、ピストンロッド34を同時に伸ばして車体フレーム2を上昇させる。
【0029】左右傾斜手段4は、左右の前記油圧シリンダ33を個別に作動させて、コンバイン1が左右傾斜(ローリング)したときのローリングの修正に使用される。たとえば、圃場の部分的軟弱などの影響でコンバイン1が左側に傾斜したとすると、走行装置3と共に車体フレーム2も左側に傾斜して、車体フレーム2上の刈取装置8、操縦席13、脱穀装置11(図1参照)も左側に傾斜するが、このとき、左側油圧シリンダ33を作動させ、左側ピストンロッド34を伸ばして、車体フレーム2の左側を上昇させて車体フレーム2を水平に調節する。コンバイン1が右側に傾斜したときは、右側の油圧シリンダ33を作動させ、右側ピストンロッド34を伸張して車体フレーム2の右側を上昇させてコンバイン1を水平に調節する。コンバイン1の傾斜状態は車体フレーム2に設置している傾斜センサ35で検出し、手動または自動で左または右の油圧シリンダ33を作動させ、左右傾斜の水平調節を行う。油圧シリンダ33の作動状況、すなわち左右傾斜手段4の作動状況は、ピストンロッド44に連結したローリングストロークロッド37の移動を伝達して、車体フレーム2に固定したローリングストロークセンサ36により検出できる。
【0030】次に、図2および図3により、車体フレーム2の前後方向を傾斜させる前後傾斜手段5について説明する。連結アーム29の一端はピッチングアーム39とピン38で遊嵌連結されていて、該ピッチングアーム39は車体フレーム2に対して軸40により遊嵌連結されている。具体的には、該軸40は走行フレーム41に軸受け42にて回動可能に支持されている。コンバイン1の前進方向に対して右側のピッチングアーム39のみ、上方に突出していて突出部39aを形成し、ピストンロッド44の端部が遊嵌連結される。ピストンロッド44の他端部は、ピッチング油圧シリンダ43で作動されるピストン(図示せず)に固着され、ピッチング油圧シリンダ43は走行フレーム41に固定されたブラケット41aに遊嵌支持される。
【0031】ピッチング油圧シリンダ43を作動させてピストンロッド44を短縮すると、ピッチングアーム39は軸40を支点にして時計回りに回動する。ピン38もピッチングアーム39とともに時計回りに回動するので、連結アーム29、後部ローリング軸28、後部アーム24及びピン25は上昇する。該ピン25は、トラックローラフレーム18の後部を上昇させるので車体フレーム2の後部とクローラ14との間の間隔は短くなり、後下がり傾斜、すなわち、車体フレーム2およびコンバイン1は前上がり傾斜となる。
【0032】ピストンロッド44を伸張すると、前述と反対の動きとなり車体フレーム2の後部とクローラ14との間隔は長くなり、後上がり傾斜、すなわち、車体フレーム2およびコンバイン1は前下がり傾斜となる。ピッチング油圧シリンダ43の作動状況、すなわち前後傾斜手段5の作動状況は、ピッチングアーム39に連結したピッチングストロークロッド46の移動を伝達して、車体フレーム2に固定したピッチングストロークセンサ45により検出できる。
【0033】コンバイン1の前後方向の傾斜(ピッチング)は前後傾斜手段5により修正され、圃場が湿田などでコンバイン1が傾斜すると、傾斜センサ35’が傾斜を検出して、手動または制御装置100による自動制御によりコンバイン1を水平に維持する対ピッチング車体水平制御を行うことができる。
【0034】図4ないし図6に示すように、刈取装置8の分草具7の複数の分草パイプ7aの一つに方向検出手段6を取り付ける。方向検出手段6は、条刈方向センサ右61と条刈方向センサ左63とからなる。条刈方向センサ右61はそのケース内部に図示しない弦巻バネにより反時計方向に回転力を付勢された回転ポジションセンサを内蔵し、該回転ポジションセンサの回転軸から条刈方向センサ右61のケース右側外部にピアノ線などの弾性針金状のセンサ触子62(図4)を突出する構造である。条刈方向センサ左63はそのケース内部に図示しない弦巻バネにより時計方向に回転力を付勢された回転ポジションセンサを内蔵し、該回転ポジションセンサの回転軸から条刈方向センサ左63のケース左側外部にピアノ線などの弾性針金状のセンサ触子64(図5)を突出する構造である。
【0035】センサ触子62および64はそれぞれ穀稈列の間隔の半分よりも若干長い長さを有する。分草具7が穀稈列間の中心に位置する場合(図6(a))には、センサ触子62および64は共に穀稈に軽く接触して、図中の参考線に示す62a、および64aのように若干回転して、条刈方向センサ61および63はそれぞれ回転角度に比例した若干の検出信号を出力する。
【0036】分草具7が穀稈列間の中心から右に外れて位置する場合(図6(b))には、左側のセンサ触子64は穀稈列に接触しなくなり、回転ポジションセンサは回転せず、条刈方向センサ左63は無出力となるが、右側のセンサ触子62は穀稈列に強く接触して実線で示す62bに移動し、回転ポジションセンサは大きく回転して、条刈方向センサ右61は回転角度に比例した大きな検出信号を出力する。
【0037】分草具7が穀稈列間の中心から左に外れて位置する場合には、上述と反対になり、条刈方向センサ右61は無出力となり、条刈方向センサ左63が回転角度に比例した大きな検出信号を出力する。
【0038】本発明の実施の形態は、上述の左右傾斜手段4、前後傾斜手段5および方向検出手段6を備えたコンバイン1において、図7の制御装置ブロック図に示す自動制御装置100を用い、図8と図9の制御のフローチャートに示すように走行方向自動制御と車体水平自動制御とを同時に行う構成を特徴とする。すなわち、図7に示す制御装置100のCPU101には、入力インターフェース102を介して、方向自動スイッチ、左右水平自動スイッチ、前後水平自動スイッチ、条刈方向センサ右61、条刈方向センサ左63、左右傾斜センサ35、前後傾斜センサ35’などの検出出力を入力し、図8と図9に示す制御のフローに従って演算制御し、演算結果を出力インターフェース103を介して、右旋回出力、左旋回出力、左右傾斜手段4の右上げおよび左上げに出力して、走行方向自動制御および車体水平自動制御を行う構成である。
【0039】本発明の実施の形態の作動を説明する。すべての自動スイッチがOFFであれば、操縦席13に搭乗したオペレータが手動でパワステレバー55を左右に傾倒して走行方向を左右に旋回し(図1参照)、左右傾斜スイッチ、前後傾斜スイッチ、車高上下スイッチを操作することにより、それぞれコンバイン1の車体フレーム2を左右に傾斜、前後に傾斜、車高を上下昇降させることができる。また、制御装置100に手動優先を組み込むことにより、自動スイッチがONに設定され、以下に述べる自動制御運転中であっても、手動による操作を優先して制御することが可能である。
【0040】操縦席13に設けた図示しない方向自動スイッチをONにすると、方向自動制御が始まり、方向検出手段6の条刈方向センサ右61および条刈方向センサ左63の検出出力により方向自動制御が行われる。すなわち図6(a)に示すように、分草具が穀稈列間の中心を進行する場合は、センサ触子62および64は僅かに回転して62aおよび64aの状態になり、左右ともほぼ等しくかつ小さい信号を出力するので、CPU101は左右いずれにも旋回を出力せず、コンバイン1の刈取装置8および分草具7は直進を続ける。
【0041】たとえば、図6(b)に示すように、分草具7が穀稈列間の中心を外れて右側を進行する場合は、センサ触子64は非接触となり、またセンサ触子62は大きく回転して62bの状態になり、左は無信号、右は大信号を出力するので,CPU101は左方向への旋回を出力して、コンバイン1の刈取装置8および分草具7を左へ向けて旋回し、穀稈列間の中心に戻るように作動する。
【0042】操縦席13に設けた図示しない左右水平自動スイッチをONにすると、車体フレーム2の傾斜を傾斜センサ35で検出し、傾斜が検出されると、その信号が制御装置100のCPU101に伝達されて、必要な演算を行い、左右の左右傾斜手段4を作動させて車体フレーム2の傾斜を水平に復帰させる。たとえば、傾斜検出手段35が左上がり傾斜を検出した場合は,CPU101は右上げを出力し、車体フレーム2および車体上の搭載機器装置を水平に保持する。
【0043】本発明の実施の形態では、方向自動スイッチおよび左右水平自動スイッチが両者ともONに投入された場合に、図8と図9に示す制御のフローのように制御する構成を特徴とする。
【0044】すなわち、方向自動スイッチをONにして、次いで左右水平自動スイッチをONにすると制御のフローがスタートする。まず、傾斜センサ35をチェックして出力があった後に、左または右の条刈り方向センサ61、63の出力により、左または右の方向調整が行われていると、その間は水平制御を禁止する。
【0045】次いで、前記左右方向の調整時間がα時間を超えていると、左右水平自動制御の禁止時間をT=α’として方向調整出力時間をクリアしておく。また、前記左右方向の調整時間がβ時間を超えていると、左右水平自動制御の禁止時間をT=β’として方向調整出力時間をクリアしておく。ここで、α>β、α’>β’とするこの動作を繰り返し、水平自動制御禁止時間がゼロになると、水平自動制御の禁止を解除する。
【0046】本発明の実施の形態は、上記のように作動する構成を特徴とするので、走行方向と左右水平とをともに自動制御するコンバイン1において、走行方向を修正する出力が行われているときには、傾斜センサ35が車体フレーム2の傾斜を検出しても、傾斜センサ35の検出出力値そのままに左右傾斜制御出力するのでなく、左右方向調節の大小により長短を定める所定時間の間、左右傾斜制御出力を停止するよう作用する。コンバイン1は走行方向の左右方向調節により車体フレーム2が揺れるので、この揺れによる誤信号を検出した傾斜センサ35の出力により左右水平調節を行えば、コンバイン1の水平制御は誤動作することになるが、本実施の形態ではこれを防止することができる。しかも、左右傾斜出力を停止する時間の長短は、揺れの大小を支配する左右方向調節の大小に合わせて定め、左右方向調節が大であり、揺れも大の場合には、揺れが収まるのに必要かつ充分時間だけ左右傾斜出力を停止するので誤動作を防止することができ、また、左右方向調節が小で揺れも小の場合には、短時間だけ左右傾斜出力を停止するので制御遅れや応答性低下が発生せず、走行方向の左右自動調節と共に左右水平自動調節を良好に行うことができる。
【0047】なお、上記図8と図9に示す例では、左右水平調節の出力よりも左右方向調節の出力を優先して制御する例を示したが、図10に示すように、左右方向調節の出力よりも左右水平調節の出力を優先して制御することもできる。左右水平調節の出力を優先して制御する場合、上述に対応して水平調節出力中は方向制御を一時停止しても差し支えないが、図10では水平調節出力中に方向制御を一時停止することなく、方向制御出力を鈍く行い、上記と同等の効果が得られる例を示している。
【0048】上記図1ないし図10に示す本発明の実施の形態のコンバイン1の第一変形例を図11および図12に示す。図11は本例の制御のフローを示す図であり、図12は本例の不感帯の説明線図である。
【0049】本例は図11の制御のフローに示すように、方向自動制御および水平自動制御をスタートして、まず、右旋回出力をチェックし、YESであれば左水平不感帯Lの値をBLとする。次に右旋回出力をチェックし、NOであれば左水平不感帯Lの値をALとする。次いで、左旋回出力をチェックし、YESであれば右水平不感帯Rの値をBRとする。次に左旋回出力をチェックし、NOであれば右水平不感帯Rの値をARとする。図12に示すようにBLの値はALよりも大、BRの値はARの値よりも大である。つぎに変数Xの値を傾斜センサ35の検出値として取り込みを行い、XとRとを比較して、Xが大であれば右下げを出力してリターンする。XとRとを比較して、Xが小であればXとLとを比較して、Xが小であれば右上げを出力してリターンする。XとRとを比較して、Xが小、かつXとLとを比較して、Xが小でなければそのままリターンする。
【0050】本例によれば、方向自動制御および水平自動制御を行うコンバイン1であって、水平自動制御のハンチングなど好ましくない制御を避けるために、傾斜センサ35の出力に不感帯を設けて制御する場合に、不感帯の幅を方向自動制御の旋回方向に関連して変更する構成としたので、次のような作用がある。
【0051】すなわち、コンバイン1が左右いずれかに傾斜して左右水平制御を行う場合、方向自動制御が行われていなければ、最小の不感帯の幅(図12のALまたはAR)を超える傾斜センサ35の出力で水平自動制御を行い、水平自動制御の応答性を低下させない。コンバイン1が左右いずれかに傾斜して左右水平制御を行う場合で、方向自動制御が行われているときには、旋回方向と反対側の傾斜に対する不感帯の幅を拡大し(図12のBLまたはBR)、旋回方向と同一側の不感帯は最小の不感帯の幅(図12のBRまたはBL)のままとする。
【0052】たとえば、コンバイン1が左旋回制御されている場合には、右傾斜に対する不感帯の幅を広げてBRとし、左傾斜に対する不感帯の幅は最小のままARとする。したがって、遠心力による傾斜は、左旋回では右下がり傾斜となるため、右傾斜不感帯幅を拡大することにより旋回の影響による傾斜自動制御の誤動作を防ぐと共に、左旋回にもかかわらず左下がり傾斜が検出されれば、最小の不感帯幅以上の傾斜検出により直ちに水平自動制御を行い、右下げを出力して応答性を低下させることがない。
【0053】本例によれば、上述のように作用して、旋回自動制御の遠心力の影響に対しては不感帯幅を広げて水平自動制御の誤動作を防止すると共に、旋回自動制御が行われていない場合および旋回自動制御が行われていても、遠心力の影響と反対側の傾斜に対しては、不感帯を最小幅として、ハンチングを防ぎながら応答性を低下させないので、誤動作、ハンチングを防止し、かつ応答性を低下させない水平自動制御ができるという極めて優れた効果が得られる。
【0054】本発明のコンバイン1の車体の水平制御において、車体の前後方向の傾斜角度により、自動的に車高を調整する構成を備えたものにしても良い。乾田で車高を高くした場合には、コンバイン1の重心位置が高くなり、車体が揺れ易くなり、水平制御動作が不安定になる。一方、湿田で車高を低いままで作業を行っていると、車体の底が圃場に支えてしまえ危険性があるが、車体の前後方向の傾斜角度により、自動的に車高を調整する構成を水平制御装置に備えて置くと、以上のような不具合はなくなる。
【0055】上記図1ないし図10に示す本発明の実施の形態のコンバイン1の第二変形例を図13に示す。図13は本例の制御のフローを示す図である。図13の制御のフローに示すように、本例は左右水平自動制御および前後水平自動制御を行うコンバイン1において、まず、左右傾斜センサ35の検出出力(センサ値)を読み込み、次いで前後傾斜センサ35’の検出出力(センサ値)を読み込む。次いで、左右傾斜修正出力中かをチェックし、YESであれば左右傾斜センサデータをキャンセルする。NOであれば左右傾斜センサデータにより車体左右傾斜修正出力を行う。その次ぎに、前後傾斜修正出力中かどうかをチェックし、YESであれば前後傾斜センサデータをキャンセルする。NOであれば前後傾斜センサデータにより車体前後傾斜修正出力を行い、この後リターンする。
【0056】本例によれば、左右水平自動制御の出力中は左右傾斜センサ35の、また前後水平自動制御の出力値中は前後傾斜センサ35’の、それぞれのデータをキャンセルし、左右水平自動制御および前後水平自動制御の出力を行っていないときの左右傾斜センサ35および前後傾斜センサ35’の出力値により、それぞれ左右および前後水平自動制御の出力を行う。
【0057】したがって、水平自動制御中の傾斜センサ35、35’の検出値により水平自動制御を行うことがないので、特にコンバイン1の起動時、制動時などにおける水平自動制御で発生しがちであった、左右および前後水平自動制御のオーバーシュートおよびハンチングを確実に防止できる。
【0058】上記図1ないし図10に示す本発明実施の形態のコンバイン1の第三変形例を図14および図15に示す。図14は本例の制御回路のブロック図であり、図15は本例による前後傾斜センサ35’の検出出力とその処理後の信号出力の例を示す。
【0059】本例によれば、コンバイン1による刈取作業時と非刈取作業時の前後水平自動制御をそれぞれ適切に制御するという問題を解決することができる。前後方向の水平制御可能なコンバイン1において、刈取作業中は前後方向水平自動制御が敏感に作動すると刈取高さが変化して作業性が劣り、かつ刈跡が乱れる。一方、非刈取作業時には旋回、前進、後退を繰り返して、コンバイン1の走行切り替えが行われ、切り替えに伴い車体2の前後姿勢が大きく変化するので、高い応答性の前後方向自動制御が必要になる。
【0060】図14は、本例の制御回路100のブロック図であり、CPU101には入力インターフェース102を介して、前後傾斜センサ35’、脱穀スイッチ、穀稈センサ10d(図5参照)、車速センサ、車体水平自動スイッチなどの信号を入力し、CPU101で演算処理した結果を出力インターフェース103を介して、前後傾斜手段5の後上げまたは後下げ信号を出力する構成である。
【0061】図15に前後傾斜センサ35’の出力信号(センサ値)の時間的変化の一例を示す。本例では、脱穀スイッチおよび穀稈センサ10dにより刈取作業中を検出し、刈取作業中は、前後傾斜センサ35’の検出値のサンプリング個数を、非刈取作業中に比べて大にして、検出値の平均値を演算し(図15中の刈取作業中の平均信号)、この平均値により前後傾斜手段5の調節信号を出力する。サンプリング個数を大にした検出値の平均値は、図15の刈取作業中の平均信号に示すようになだらかとなり、自動制御の感度を低下させる効果をもたらす。
【0062】また、非刈取作業中は、前後傾斜センサ35’の検出値のサンプリング個数を、刈取作業中に比べて小にして、検出値の平均値を演算し(図15中の非刈取作業中の平均信号)、この平均値により前後傾斜手段5の調節信号を出力する。サンプリング個数を小にした検出値の平均値は、図15の非刈取作業中の平均信号のようにセンサ値に近い変化を示し、したがって、自動制御の応答性を高める効果をもたらす。
【0063】本例によれば、刈取作業中の前後水平自動制御の感度を鈍感にして、水平自動制御の作動による刈取高さの変化を減少したので、刈取作業が高能率かつ刈跡を整然とする効果が得られるとともに、圃場終端などコンバイン1を方向転換する際の車体の姿勢変化に対しては応答性を高く、敏感に水平自動制御できる。
【0064】なお、本例では刈取作業時と非刈取作業時のセンサ値のサンプリング時間を変化して平均値を演算して上記の作動を行ったが、前後水平自動制御の感度を刈取作業時に鈍く、非刈取作業時に敏感にする方法であれば差し支えなく、上述のサンプリング個数の変更による方法には限定されない。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年6月16日(1998.6.16)
【代理人】 【識別番号】100096541
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 孝義
【公開番号】 特開2000−15(P2000−15A)
【公開日】 平成12年1月7日(2000.1.7)
【出願番号】 特願平10−168960