| 【発明の名称】 |
乗用田植機 |
| 【発明者】 |
【氏名】中尾 敏夫
【氏名】西 陽一朗
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| 【要約】 |
【課題】ミッションケースの軽量化及び低コスト化が図れる乗用田植機を得ることを課題とする。
【解決手段】機体後部に植付部を昇降自在に配設した乗用田植機において、一体型ミッションケースの前部に走行変速機構を内設した前部閉鎖室を形成し、後部に制動機構を内設した後部閉鎖室を形成するとともに、前部閉鎖室と後部閉鎖室との間に空洞部を形成し、前部閉鎖室内から後部閉鎖室内へ動力を伝達する伝動軸を前記空洞部内に配置する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体後部に植付部を昇降自在に配設した乗用田植機において、一体型ミッションケースの前部に走行変速機構を内設した前部閉鎖室を形成し、後部に制動機構を内設した後部閉鎖室を形成するとともに、前部閉鎖室と後部閉鎖室との間に空洞部を形成し、前部閉鎖室内から後部閉鎖室内へ動力を伝達する伝動軸を前記空洞部内に配置したことを特徴とする乗用田植機。 【請求項2】 機体後部に植付部を昇降自在に配設した乗用田植機において、ミッションケースを、走行変速機構を内設した前ケースと、制動機構を内設した後ケースに分割するとともに、前ケースと後ケースを中空の連結部材で連結し、前ケース内から後ケース内へ動力を伝達する伝動軸を前記連結部材内に配置したことを特徴とする乗用田植機。 【請求項3】 機体後部に植付部を昇降自在に配設した乗用田植機において、ミッションケースを、走行変速機構を内設した前ケースと、制動機構を内設した後ケースに分割するとともに、前ケースと後ケースを、前ケース内から後ケース内へ動力を伝達するチェーン機構が内設されたチェーンケースで連結したことを特徴とする乗用田植機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機のミッションケースに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の乗用田植機において、ミッションケースが一体型に形成されているものがある。すなわち、ミッションケースを前後方向に長く延出して形成し、前部には走行変速機構を内設するとともにフロントアクスルケースを一体的に固設し、後部には後車輪駆動軸を軸支したリアアクスルケースを一体的に固設したものがある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような一体型ミッションケースの場合は、ミッションケース内に循環させる油量が大量に必要となるため、重量アップ、コストアップになる不具合がある。また、一体型ミッションケースは長さが一定であるため、ホイルベースを変更することができない不都合がある。そこで、本発明は、ミッションケースの軽量化及び低コスト化が図れ、ホイルベースの変更にも対応できる乗用田植機を得ることを目的とするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】以上のような目的を達成するために、本発明は、次のような乗用田植機を提供するものである。すなわち、機体後部に植付部を昇降自在に配設した乗用田植機において、一体型ミッションケースの前部に走行変速機構を内設した前部閉鎖室を形成し、後部に制動機構を内設した後部閉鎖室を形成するとともに、前部閉鎖室と後部閉鎖室との間に空洞部を形成し、前部閉鎖室内から後部閉鎖室内へ動力を伝達する伝動軸を前記空洞部内に配置したことを特徴とする乗用田植機である。また、機体後部に植付部を昇降自在に配設した乗用田植機において、ミッションケースを、走行変速機構を内設した前ケースと、制動機構を内設した後ケースに分割するとともに、前ケースと後ケースを中空の連結部材で連結し、前ケース内から後ケース内へ動力を伝達する伝動軸を前記連結部材内に配置したことを特徴とする乗用田植機である。そして、機体後部に植付部を昇降自在に配設した乗用田植機において、ミッションケースを、走行変速機構を内設した前ケースと、制動機構を内設した後ケースに分割するとともに、前ケースと後ケースを、前ケース内から後ケース内へ動力を伝達するチェーン機構が内設されたチェーンケースで連結したことを特徴とする乗用田植機である。 【0005】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例を基に説明する。図1は本発明にかかる乗用田植機(A)の全体を示す概略側面図である。乗用田植機(A)は走行車両(1)と、走行車両(1)の後部に連結した植付部(9)とで構成されており、図1で示すように、走行車両(1)の前部及び後部にはそれぞれ前輪(2)と後輪(3)が懸架され、車体フレーム(4)の前部には動力部であるエンジン(5)が搭載されている。そして、エンジン(5)後方の車体フレーム(4)の左右略中央には前後方向に長く延出したミッションケース(6)が配置されており、ミッションケース(6)の前部に前輪(2)が支持され、後部に後輪(3)が支持されている。エンジン(5)を覆うボンネット(22)の両側には予備苗載台(90)が配設され、オペレーターが搭乗する車体カバー(20)によってミッションケース(6)等が覆われている。そして、車体カバー(20)の後上部に運転席(7)が設けられ、車体カバー(20)前部のボンネット(22)の後方に操向ハンドル(8)が配設されている。 【0006】植付部(9)は4条植えとした苗載台(91)や複数の植付爪(93)等から構成されており、前高後低に配設した苗載台(91)を下部レール(95)及びガイドレール(96)を介して植付伝動フレーム(92)に左右往復摺動自在に支持させるとともに、クランク機構によってクランク運動する植付爪(93)を植付伝動フレーム(92)の後部に配設している。したがって、前輪(2)及び後輪(3)を走行駆動して移動させるとともに、左右に往復摺動可能な苗載台(91)から1株分の苗を植付爪(93)によって取り出し、連続的に苗植え作業が行えるようになっている。 【0007】また、植付伝動フレーム(92)の前部にはローリング支点軸(16)を介してヒッチ(94)が設けられ、そのヒッチ(94)は、ヒッチ(94)の上部左右両側に枢支されているトップリンク(11)と、ヒッチ(94)の下部左右両側に枢支されているロワーリンク(12)とを含む昇降リンク機構(10)を介して走行車両(1)の後部に連結されている。そして、ロワーリンク(12)の前端部内側面にはリフトアーム(13)の基部が固設されており、このリフトアーム(13)をロワーリンク(12)の配設方向に対して直交する上方向に突設している。そして、昇降リンク機構(10)を昇降駆動させる昇降シリンダー(15)がこのロワーリンク(12)に連結したリフトアーム(13)に連結している。 【0008】また、リフトアーム(13)の上端部とロワーリンク(12)の後端部との間には補強リンク(14)が連結されており、ロワーリンク(12)の剛性を高めるようにしている。そして、トップリンク(11)及びロワーリンク(12)の前端部は、後部連結フレーム(43)(44)間に横設された枢支ピンを介して枢支されており、この後部連結フレーム(43)(44)が昇降リンク機構(10)の支持部として兼用されて、植付部(9)の安定した昇降、部品点数の削減、構成のシンプル化が図られている。 【0009】また、植付部(9)の下部には植付部(9)を一定の高さに保持する均平用のセンターフロート(97)とサイドフロート(98)が配設されており、センターフロート(97)は走行車両(1)の左右中心線上に配置され、センターフロート(97)の左右対称位置にサイドフロート(98)が配設されて、植付部(9)の左右のバランスを良好に保ち、植え付け姿勢を安定させて、正確に植え付けができるようにしている。 【0010】そして、植付部(9)の動力伝達部である植付伝動フレーム(92)の下部に植深調節軸(161)が左右のサイドフロート(98)の幅に合わせて横設されるとともに、植深調節軸(161)の適所位置より後下方の各フロートの後部に向けて支持アーム(162)が突設され、各フロートの後部上に枢支されており、植深調節軸(161)より前方に操作アーム(163)が突出され、操作アーム(163)の後端部より上方に向かって植深さ設定レバー(79)が設けられている。このため、オペレーターが運転席(7)に着座したまま植深さ設定レバー(79)を操作しやすく、容易に調整することが可能になっている。 【0011】車体フレーム(4)はパイプ体で構成され、図7の平面視で示すように、両側が機体後方に向かって屈曲形成されて、拡開した略U字状をなすフロントフレーム(40)と、ミッションケース(6)が配置されたときに、ミッションケース(6)の前端部付近より後方はミッションケース(6)と平行で、ミッションケース(6)の前端部付近から前方は略ハ字状に拡開するように形成されている左右一対のサイドフレーム(41)(42)とから構成されている。そして、サイドフレーム(41)(42)のハ字状に拡開した前端部がフロントフレーム(40)の開放側後部に連結されるとともに、図2で示すように、サイドフレーム(41)(42)の後部が上方に向かって屈曲形成されている。 【0012】また、フロントフレーム(40)の中央部より後下方に向かって平板状の支持部材(50)が延設されており、エンジン(5)はこの支持部材(50)の上に載置されている。支持部材(50)の前部はフロントフレーム(40)に向かって上方に湾曲するように形成され、後端部はサイドフレーム(41)(42)を連結する連結フレーム(45)に支持されている。なお、この支持部材(50)は平板状であるため、エンジン(5)下部の保護カバーとして利用することができる。その他、図1で示す(75)は主変速レバー、(76)は主クラッチレバー、(77)は植付昇降レバー、(74)は主クラッチペダルである。 【0013】図2で示すように、ミッションケース(6)は前低後高に形成された車体フレーム(4)に対して、その最前部近傍と最後部近傍及び中間部近傍において固定されているが、ミッションケース(6)の最前部近傍は、エンジン(5)が載置される支持部材(50)に、支持部材(50)から斜め内側後下方に向かって延設されている取付部材(51)を介して固定されている。したがって、重量物であるエンジン(5)の荷重をミッションケース(6)でも支えることができるようになっており、その荷重はミッションケース(6)を圧縮する方向にかかるようになっている。したがって、エンジン(5)の振動を剛性のあるミッションケース(6)で抑制することができるようになるとともに、車体フレーム(4)自体を軽量化でき、そのコンパクト化が図れるようになっている。 【0014】また、車体フレーム(4)を構成するサイドフレーム(41)(42)は前後方向略中央部より上方に向かって屈曲するように形成されており、その屈曲し始める中央部付近の機体幅方向にセンターフレーム(46)が架設されている。そして、このセンターフレーム(46)の機体幅方向略中央に設けられた取付部材(47)に、ミッションケース(6)の上端部(6b)が連結されている。なお、この上端部(6b)は後方に向かって突出しているPTO軸(65)の直上部に位置している。そして、ミッションケース(6)の後部に一体的に設けられているリアアクスルケース(38)に取付プレート(39)を介して連結されている後部連結フレーム(43)(44)の上端部と、前記サイドフレーム(41)(42)の後端部とが一体的に連結され、サイドフレーム(41)(42)と後部連結フレーム(43)(44)とミッションケース(6)とで側面視略三角形状のフレームを構成するようになっている。 【0015】サイドフレーム(41)(42)の後端部と後部連結フレーム(43)(44)の上端部とが連結された部分、即ち略三角形状を構成する最上側の頂点部にはリアフレーム(48)が機体幅方向に架設され、そのリアフレーム(48)上に、後部カバー(30)の運転席設置部(31)の下面後側が載置固定されるとともに、連結部材を介して運転席(7)の後部支持部材(72)が連結されている。そして、サイドフレーム(41)(42)の中央部と後端部の略中間に立設されて機体幅方向に架設されたパイプステーなどの支持部材(49)上に、設置部(31)の下面前側が載置固定されるとともに、連結部材を介して運転席(7)の前部支持部材(71)が連結されている。 【0016】このように略三角形状を構成するフレームの頂点部の丁度真上に運転席(7)の後部が来るように配置し、車体フレーム(4)の中央部と、車体フレーム(4)の後端部を支持する後部連結フレーム(43)(44)の後下端部とをミッションケース(6)で支持するように構成すると、運転席(7)にかかる鉛直方向のほとんどの荷重をその頂点部及びミッションケース(6)で強固に支持することができるようになるため、車体フレーム(4)自体にそれほどの剛性を要求しなくてもよくなり、車体フレーム(4)の軽量化が図れるとともに、部品点数の削減が図れる。そして、運転席(7)の前部も従来のように後部カバー(30)で支持するのではなく、車体フレーム(4)に立設したパイプステー(49)によって支持するため、後部カバー(30)が撓むような不具合は生じない。また、車体フレーム(4)を側面視三角形状に構成することにより、その内方側部分におけるスペースの有効利用を図ることができ、機体全体のコンパクト化が図れるようになっている。 【0017】次に、ミッションケース(6)の内部機構について図3乃至図5を基に説明をすると、ミッションケース(6)の前部には走行変速機構が内設される変速室(60)が形成され、変速室(60)の左右両側面にフロントアクスルケース(37)が一体的に固設されている。そして、フロントアクスルケース(37)の左右端部より下方に向かって車軸ケースが固設され、車軸ケースの下端部に前輪(2)を固設する前車輪軸(66)が軸支されている。ミッションケース(6)の後端部には軸芯を左右方向に持つ筒状のリアアクスルケース(38)が一体的に形成され、リアアクスルケース(38)内に後車輪駆動軸(69)が軸支されている。そして、後車輪駆動軸(69)の左右両端部に後輪(3)が固設され、従来のような伝動ケースを廃止した構成になっている。 【0018】ミッションケース(6)の上下方向に膨出した前部には、内部に変速機構やPTO軸(65)が配設される変速室(60)が形成されており、この上方に膨出させた変速室(60)の上後部には前後方向に軸芯を有するPTO軸(65)が軸支されている。このように、ミッションケース(6)は後側が変速室(60)の後部より一段低く、即ち変速室(60)の上後部はミッションケース(6)の後部側上面より上方に膨出した形状に形成され、その膨出した変速室(60)の後面より後方に向かってPTO軸(65)の後端部が突出している。 【0019】また、ミッションケース(6)が前後方向に長く延出され、図1、2で示す側面視において後部が斜め下方に向かって傾斜する前高後低に配置されているので、PTO軸(65)に接続されるユニバーサルジョイント部(159)を有するPTO伝動軸(158)を通すスペースをミッションケース(6)の後部上方に広くとることができ、そのユニバーサルジョイント部(159)及びPTO伝動軸(158)等を余裕をもって配置することが可能となっている。なお、ミッションケース(6)の上面にはPTO伝動軸(158)を支持する支持部材(160)が設けられており、PTO伝動軸(158)の両端が同じミッションケース(6)に支持されることになって、同心精度が容易に高められるようになっている。 【0020】ミッションケース(6)の変速室(60)の上部には、左右方向に入力軸(56)が軸支され、入力軸(56)の左端部が外側に突出されて従動プーリー(55)が固設され、図10で示すように、エンジン(5)の左側面より側方に突出されている出力軸(52)に固設された駆動プーリー(53)からの動力が、ベルト(54)を介してミッションケース(6)内に入力されている。そして、このベルト(54)はテンションアーム(57)の先端に取り付けられたテンションローラー(58)によって緊張されるように構成されており、主クラッチペダル(74)の踏み込み操作や後述する主クラッチレバー(76)のシフト操作に連動して動力の断接が行われるようになっている。 【0021】入力軸(56)の前下方には主変速軸(61)が軸支され、主変速軸(61)の前下方には前車輪駆動軸(62)が軸支され、入力軸(56)に入力した動力が略前下方に伝達されるようになっている。そして、入力軸(56)の前方で主変速軸(61)の上方には副変速軸(63)が軸支されており、入力軸(56)と主変速軸(61)は側面視において副変速軸(63)を頂点とする略二等辺三角形状に配置されて、ミッションケース(6)内の構成がシンプルになっている。また、後輪(3)を駆動する後車輪駆動軸(69)への駆動力は、入力軸(56)と前車輪駆動軸(62)との間の主変速軸(61)から伝動軸(70)を介してミッションケース(6)後下方の後車軸駆動室(80)に伝達されており、ミッションケース(6)の配設方向である前高後低方向に動力伝達経路が構成されている。 【0022】すなわち、このミッションケース(6)後部の後車軸駆動室(80)にはミッションケース(6)の配設方向に沿った後下方向きに従動軸(67)、カウンター軸(68)、後車輪駆動軸(69)が順に配設されており、主変速軸(61)からの駆動力はベベルギア(70a)(70b)を両端に固着した伝動軸(70)によって従動軸(67)に伝達され、カウンター軸(68)を介して後車輪駆動軸(69)に伝達されて、後車輪駆動軸(69)への駆動伝達経路をミッションケース(6)の配設方向に合わせた前高後低の直線状に伝達し、シンプルかつ省スペースで効率のよい動力伝達経路の配置構成としている。 【0023】なお、このとき、ミッションケース(6)の変速室(60)は主変速軸(61)に固設されたギア(99)に噛合するベベルギア(70a)の直後方で仕切られ、後車軸駆動室(80)もベベルギア(70b)の直前方で仕切られて、変速室(60)と後車軸駆動室(80)はそれぞれ前部閉鎖室と後部閉鎖室を形成するようになっている。そして、変速室(60)と後車軸駆動室(80)の間のミッションケース(6)の中途部が空洞になって空洞部(6a)を形成するようになっており、その空洞部(6a)内に、伝動軸(70)がベアリング部(17)とオイルシール部(18)を介して回転自在に軸架されている。したがって、変速室(60)内と後車軸駆動室(80)内にだけ油を供給すればよく、ミッションケース(6)内全体の油量が少なくて済み、重量の低減及びコストの低減が図れるようになっている。また、後車輪駆動軸(69)の高さ位置が車体フレーム(4)よりも下方位置になるため、後輪(3)の車輪を小径とすることができ、走行車両の小型化が図れるようになっている。 【0024】ミッションケース(6)後部の後車軸駆動室(80)には、動力断接機構と制動機構が配設されており、従動軸(67)の左右中央部にはボス部(101)が固設され、ボス部(101)の外周面上にギア(100)が固設されて伝動軸(70)のベベルギア(70b)が噛合している。ボス部(101)の左右両側の従動軸(67)には摺動ギア(102)がスプライン嵌合されており、摺動ギア(102)とサイドクラッチ(103)とが歯数を同じにして一体成形されて部品点数の削減が図られるとともに、組立がしやすいように構成されている。摺動ギア(102)にはカウンター軸(68)に枢支した内ギア(104)が噛合され、内ギア(104)に一体的に形成した外ギア(105)には後車輪駆動軸(69)に固設するギア(106)が噛合されている。 【0025】また、摺動ギア(102)にはミッションケース(6)上面に枢支した操作軸(107)に固設するフォークが嵌合され、操作軸(107)上部に固設するアーム(108)を回動操作することで、操作軸(107)が回動し、摺動ギア(102)が摺動される。摺動ギア(102)を内側に摺動させると、摺動ギア(102)内側がボス部(101)内に係合されて動力が伝達され、後車輪駆動軸(69)が駆動される。摺動ギア(102)を外側に摺動させると、ボス部(101)と摺動ギア(102)との係合が外れ、動力の伝達が離脱されると同時に、摺動ギア(102)の外側端部に形設したパットと挟持体によって構成されるブレーキ機構(130)が作動し、摺動ギア(102)の回動が制動されて後車輪駆動軸(69)の回動が停止する。 【0026】一方、入力軸(56)の後方にはPTO入力軸(64)が軸支され、そのPTO入力軸(64)からベベルギア(64a)(65a)を介して前後方向に軸芯を有する伝達軸(65b)に動力を伝達し、PTOクラッチ(109)を介してPTO軸(65)に動力を伝達しており、入力軸(56)より水平方向後方に向けて動力を伝達し、後方の植付部(9)に動力を伝達するようにしている。また、PTO軸(65)への動力の断接を行うPTOクラッチ(109)にはギア式クラッチが用いられており、伝達軸(65b)には前後方向中央部に筒体(65c)が遊嵌され、筒体(65c)が遊嵌されていない伝達軸(65b)の前部にクラッチギア(110)が固設され、筒体(65c)の前部に摺動クラッチギア(111)がスプライン嵌合されている。 【0027】摺動クラッチギア(111)にはミッションケース(6)側面に軸支される操作軸(112)に固設するフォークが嵌合され、操作軸(112)が運転席(7)の近傍位置に配置されるPTOクラッチレバーを兼用する植付昇降レバー(77)に連動連結されており、植付昇降レバー(77)を操作してクラッチギア(110)と摺動クラッチギア(111)とが噛合され、伝達軸(65b)の動力が後方のPTO軸(65)に伝達されるようになっている。なお、筒体(65c)後部にはギア式クラッチの摺動クラッチギア(113)が摺動自在にスプライン嵌合され、圧縮バネ(114)によってPTO軸(65)の前部に固設するクラッチギア(115)に噛合する方向に付勢されており、PTO軸(65)に動力を伝達する安全クラッチ(116)が形成されている。この安全クラッチ(116)は植付部(9)側の動力伝達機構に負荷がかかった場合に、ミッションケース(6)側で動力伝達を離脱するようになっている。 【0028】入力軸(56)には走行用ギア(117)と後進用ギア(120)が固設され、副変速軸(63)には走行用の第1変速ギア(118)と第2変速ギア(119)が固設されている。また、PTO軸(65)への動力は、入力軸(56)の動力が株間変速される変速機構を介して伝達されており、従来の植付ミッションケースが廃止されている。すなわち、入力軸(56)の端部にはミッションケース(6)側面より側方に突出して株間変速を行う第1減速ギア(121)が固設されるとともに、PTO入力軸(64)の端部にもミッションケース(6)の側面より側方に突出して株間変速を行う第2減速ギア(122)が固設され、第2減速ギア(122)と第1減速ギア(121)とを噛合させることで株間変速が行われ、PTO軸(65)への動力を伝達している。また、この株間変速を行う第1減速ギア(121)と第2減速ギア(122)の側面は着脱自在にカバー(123)で被装され、カバー(123)を外すことで容易に第1減速ギア(121)と第2減速ギア(122)を組み替えることができ、仕様に合わせた株間変速が行えるようになっている。 【0029】また、入力軸(56)の前下方に配置した主変速軸(61)には軸芯方向に摺動される走行変速ギア(124)がスプライン嵌合されており、走行変速ギア(124)は大径ギア(125)と小径ギア(126)とを横方向に一体的に固設するギアで構成されるとともに、主変速レバー(75)の操作に連動して左右方向に摺動するフォークに嵌合されている。主変速軸(61)のミッションケース前後方向左側には動力分岐ギア(127)が固設されており、この動力分岐ギア(127)には左右の前車輪駆動軸(62)を駆動するデフ機構(128)のリングギアが噛合され、動力分岐ギア(127)を用いて動力を2方向に分岐している。そして、デフ機構(128)の側部にはデフロック機構(129)が配置されている。 【0030】主変速レバー(75)を中立位置より前方に回動させると、走行変速ギア(124)がミッションケース前後方向左側に摺動され、小径ギア(126)と副変速軸(63)上の第2変速ギア(119)とが噛合されて主変速軸(61)を高速回転させることにより、各車輪(2)(3)を高速で回動させる通常走行が行われる。また、主変速レバー(75)を中立位置より1段階後方に回動すると、走行変速ギア(124)がミッションケース前後方向右側に摺動されて、大径ギア(125)と副変速軸(63)上の第1変速ギア(118)とが噛合され、主変速軸(61)が低速回転されて各車輪(2)(3)を作業速度で駆動するとともに、前進側に2段階の変速が行われる。 【0031】また、主変速レバー(75)を後方に回動すると、走行変速ギア(124)がミッションケース前後方向右側に更に摺動され、入力軸(56)上の後進用ギア(120)が図示しない主変速軸(61)上のギアと噛合され、主変速軸(61)が逆転回動されて、各車輪(2)(3)を後進回動させている。このように、入力軸(56)を後進変速用のギアを有するカウンター軸として使用し、ミッションケース内の変速機構をPTO側への入力軸であるPTOカウンター軸を省いたシンプルな変速機構に構成しても、通常走行、作業走行、後進走行といった必要最小限の走行変速を行うことができるようになっている。 【0032】また、このようなミッションケース(6)を前後に分割して、前ケース(26)と後ケース(28)にしてもよい。すなわち、図6で示すように、ミッションケース(6)を変速室(60)部分の前ケース(26)と、後車軸駆動室(80)部分の後ケース(28)の前後2分割にし、伝動軸(70)部分は中空の連結部材である伝動パイプ(27)で被装して、前ケース(26)と後ケース(28)を連結するように構成する。このような構成によれば、油量が少なくて済むだけではなく、伝動軸(70)の長さを適宜変更することにより、ミッションケース(6)の長さを変更することができるので、ホイルベースの変更が容易にできるようになる。なお、伝動パイプ(27)は両端に設けられたフランジ部(27a)(27b)によって、それぞれ前ケース(26)の後面及び後ケース(28)の前面にボルトなどの取付具で取り付けられる。 【0033】また、このとき、前ケース(26)の下部と後ケース(28)の下部を長細いプレート状の連結部材(81)(82)で連結するように構成してもよい。この連結部材(81)(82)は、図7で示すように、前輪(2)の回動域より内側に位置するように対向配置され、前輪(2)に連結部材(81)(82)が干渉することがないように、平面視で前方が窄まる略ハ字状に連結されている。このように、連結部材(81)(82)は前輪(2)に干渉しないような略ハ字状に連結されるのが好ましいが、前輪(2)に干渉しないのであれば互いに平行になるように連結しても構わない。また、連結部材(81)(82)で前ケース(26)と後ケース(28)を連結する場合には伝動軸(70)を伝動パイプ(27)で被装しなくても構わないが、伝動軸(70)に藁等が巻き付いてオイルシール部(18)等を傷つけることがないよう、伝動軸(70)は伝動パイプ(27)で被装することが好ましい。 【0034】また、図6で示すように、ミッションケース(6)を前後に分割しても、前述と同様にサイドフレーム(41)(42)と、後部連結フレーム(43)(44)と、前ケース(26)と後ケース(28)を連結する伝動パイプ(27)及び/又は連結部材(81)(82)とで側面視略三角形状のフレーム構造を形成することができ、かつ、前ケース(26)と後ケース(28)と運転席(7)がそれぞれ前記略三角形状を形成するフレーム構造の角部、即ち両底部と頂部に配設されているので、運転席(7)にかかる荷重を前ケース(26)と後ケース(28)で好適に受けることができ、したがって、車体フレーム(4)の剛性を低減することができて車体フレーム(4)の軽量化が図れる。 【0035】また、図8で示すように、伝動軸(70)の代わりに、チェーンケース(85)を、前後に分割したミッションケース(6)間、即ち前ケース(26)と後ケース(28)間に配設して、チェーンケース(85)に内設されたチェーン機構によって、変速室(60)内から後車軸駆動室(80)内に動力を伝達するように構成してもよい。つまり、変速室(60)内の主変速軸(61)を延設してチェーンケース(85)内でスプロケット(86)を固設するとともに、従動軸(67)を延設してチェーンケース(85)内でスプロケット(87)を固設し、このスプロケット(86)(87)間にチェーン(84)を巻回して動力を伝達するように構成する。このような構成によれば、チェーンケース(85)内はグリスで済むため、前述と同様にミッションケース内の油量が少なくて済み、ミッションケース(6)の軽量化及び低コスト化が図れる。なお、チェーンケース(85)はボルトなどの取付具(88)によって前ケース(26)の後部側面及び後ケース(28)の前部側面に取り付けられる。 【0036】その他、ミッションケース(6)の前部下端部より内方側、即ち変速室(60)の下部には左右のブレーキロッド(131)を作動させるブレーキシャフト(132)を通す貫通孔(133)が穿設されており、ミッションケース(6)でブレーキ機構を支持するようにしている。ブレーキ機構にはブレーキペダルが1本である1ブレーキ機構とブレーキペダルが2本である2ブレーキ機構がある。1ブレーキ機構の場合は、ブレーキペダル(73)を踏み込み操作すると、それに連動してブレーキシャフト(132)が回動し、ブレーキシャフト(132)に連動連結されているブレーキロッド(131)が両方同時に作動して、ブレーキロッド(131)後端部に連動連結されているアーム(108)が両方同時に回動し、摺動ギア(102)が左右両側に摺動して動力伝達が離脱されると同時に、両方のブレーキ機構(130)が作動して左右両後車輪駆動軸(69)が制動され、走行車両(1)を停止させるようになっている。 【0037】また、2ブレーキ機構の場合には、図9で示すように、左右に分かれたブレーキペダル(73a)(73b)のどちらか一方を踏み込み操作すると、それに連動して2重の筒体で構成されたブレーキシャフト(132)のどちらか一方の筒体が回動するようになっており、それぞれの筒体に連動連結された左右のブレーキロッド(131)が別々に作動するようになって、左右別々にブレーキ機構(130)が作動するようになっており、1ブレーキ機構のように両方同時にブレーキをかけたいときには、左右のブレーキペダル(73)を連結する連結具(135)を用いるようになっている。 【0038】また、図10で示すように、機体進行方向に向かって左側に配設される主クラッチペダル(74)の近傍には主クラッチレバー(76)が設けられ、主クラッチペダル(74)や主クラッチレバー(76)の操作により、エンジン(5)からミッションケース(6)内へ動力を伝達するベルト(54)のテンションを「切」状態にできるように構成されている。すなわち、主クラッチレバー(76)を後方に向けて図示の矢印方向に回動操作すると、連動ロッド(140)が下方に向かって移動し、長孔(140a)に挿通されたピンなどの嵌入部材(143)を介してテンションアーム(57)を下方に回動して、テンションアーム(57)に取り付けられているテンションローラー(58)をベルト(54)から離し、ベルトテンションを「切」状態にするようになっている。そして、主クラッチペダル(74)を踏み込むと、ペダル支柱(74a)に固設されたL字型ブラケット(144)に取り付けられたピンなどの押圧部材(145)が、テンションアーム(57)の回動軸(59)に固定されたカム(146)を押してテンションアーム(57)を下方に回動させるようになっており、これによってベルトテンションを「切」状態にするようになっている。 【0039】また、テンションアーム(57)には、ミッションケース(6)側の従動プーリー(55)の回転を停止させるブレーキ部材(147)が固設されており、このブレーキ部材(147)は、テンションアーム(57)が下方に向かって回動することによって従動プーリー(55)を押圧してその回転を止め、機体全体にブレーキがかかるように構成されている。しかも、このブレーキ部材(147)は主クラッチレバー(76)を操作してベルトテンションを「切」状態にしたときにのみ作用し、主クラッチペダル(74)の踏み込み操作では非作用状態となるように構成されている。したがって、坂道で走行車両(1)を停止させることができるようになるとともに、高速時において主クラッチペダル(74)を踏み込んでも急停止することがなく、安全である。 【0040】 【発明の効果】本発明によれば、一体型ミッションケースの前部に走行変速機構を内設した前部閉鎖室を形成し、後部に制動機構を内設した後部閉鎖室を形成するとともに、前部閉鎖室と後部閉鎖室との間に空洞部を形成し、前部閉鎖室内から後部閉鎖室内へ動力を伝達する伝動軸を前記空洞部内に配置したので、ミッションケース内の油量を低減することができ、ミッションケースの軽量化及び低コスト化が図れる。また、ミッションケースを、走行変速機構を内設した前ケースと、制動機構を内設した後ケースに分割するとともに、前ケースと後ケースを中空の連結部材で連結し、前ケース内から後ケース内へ動力を伝達する伝動軸を前記連結部材内に配置したので、ホイルベースを容易に変更することが可能となり、かつミッションケース内の油量を低減することができて、ミッションケースの軽量化及び低コスト化が図れる。そして、ミッションケースを、走行変速機構を内設した前ケースと、制動機構を内設した後ケースに分割するとともに、前ケースと後ケースを、前ケース内から後ケース内へ動力を伝達するチェーン機構が内設されたチェーンケースで連結したので、ミッションケース内の油量を低減することができ、ミッションケースの軽量化及び低コスト化が図れる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006851 【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月2日(1999.6.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090893 【弁理士】 【氏名又は名称】渡邊 敏
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| 【公開番号】 |
特開2000−342028(P2000−342028A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月12日(2000.12.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−155408 |
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