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【発明の名称】 長尺成型マット苗およびその移植方法
【発明者】 【氏名】川畑 明洋

【氏名】布野 隆

【氏名】金田 武夫

【氏名】會田 重道

【氏名】浪岡 實

【要約】 【課題】苗補給時の苗運搬回数や苗の継目を減らすべく成型マット苗を長尺に形成するにあたり、苗の巻取作業を省く(或いは簡略化する)と共に、巻取り時に葉茎部を傷めて移植後の成育に悪影響を及ぼす不都合を解消する。

【解決手段】苗載台11の長さを大きく越えない範囲で成型マット苗1を長尺に形成すると共に、該成型マット苗1を、乗用田植機2の苗載台11に平面状に載置して圃場に移植する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 移植機の苗載台に載置して移植する成型マット苗であって、該成型マット苗の長さを、前記苗載台長さを大きく越えない範囲で長尺に形成したことを特徴とする長尺成型マット苗。
【請求項2】 請求項1において、苗床資材に、所定の引張強度を有する土以外の資材を用いたことを特徴とする長尺成型マット苗。
【請求項3】 長尺成型マット苗を移植するにあたり、移植機の苗載台に、苗載台長さを大きく越えない範囲で長尺に形成された長尺成型マット苗を略平面状に載置して移植することを特徴とする長尺成型マット苗の移植方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移植機の苗載台に載置して移植する長尺成型マット苗およびその移植方法の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種成型マット苗は、略標準化された寸法(幅30cm×長さ60cm)の育苗箱を用いて育苗成型し、しかる後、移植機の苗載台に載置して圃場に移植するが、前記標準寸法の成型マット苗は、数枚を苗載台に直列状に載置し得る長さに形成されているため、苗補給時の苗運搬回数が多くなる許りでなく、苗を継目で掻取る頻度が高くなる不都合があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、苗載台長さを大きく越える長大な帯状苗を育苗すると共に、該帯状苗を予め逆巻き状態で巻き取ってロール苗を形成した後、移植機の苗載台に載置して移植するシステムが既に提案されている。そして、このシステムでは、前記帯状苗を巻取る際に、葉茎部が苗送り方向とは反対方向に倒伏した状態で繰出されるように帯状苗を逆巻き状に巻き取っているが、この場合には、巻取済みの帯状苗に押されて巻取終端方向に倒伏しようとする葉茎部を無理に巻取始端方向に倒伏させながら巻取る必要があるため、巻取作業に手間がかかる許りでなく、葉茎部を傷めて移植後の成育に悪影響を及ぼす可能性があり、また、前記帯状苗は、全体重量を抑えるために水耕栽培されるため、苗密度が不均一になり易い許りでなく、引張強度が不足して変形が生じる可能性があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、移植機の苗載台に載置して移植する成型マット苗であって、該成型マット苗の長さを、前記苗載台長さを大きく越えない範囲で長尺に形成したことを特徴とするものである。つまり、苗補給時の苗運搬回数や苗の継目を減らすべく長尺に形成されるものでありながら、ロール苗の様に予め巻き取らなくても苗載台に載置して移植することができるため、苗を巻取る手間を省くことができる許りでなく、巻取り時に葉茎部を傷めて移植後の成育に悪影響を及ぼす不都合も解消することができる。また、苗床資材に、所定の引張強度を有する土以外の資材を用いたことを特徴とするものである。つまり、苗補給時の苗運搬回数や苗の継目を減らすべく長尺に形成されるものでありながら、必要な引張強度を確保することができるため、変形によって継目に隙間ができる等の不都合がなく、しかも、苗床資材を使用しない水耕栽培に比して苗密度を均一にすることができる。また、長尺成型マット苗を移植するにあたり、移植機の苗載台に、苗載台長さを大きく越えない範囲で長尺に形成された長尺成型マット苗を略平面状に載置して移植することを特徴とするものである。つまり、ロール苗を移植する場合の様に苗を繰り出す必要がないため、繰出装置を不要にして構造を簡略化することができる許りでなく、繰出不良に起因するトラブルの発生がない。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1は乗用田植機(移植機)2の苗載台11に載置して移植する成型マット苗であって、該成型マット苗1は、所定寸法の育苗箱(図示せず)に苗床資材1aを敷き、ここに所定量の種籾を播種した後、所定期間育苗して生産されるものであるが、本発明の成型マット苗1は、苗載台11と略同等の長さ(苗載台長さよりも少し長いもの、短いものを含む)を限度として、標準規格(幅30cm×長さ60cm)の成型マット苗の1.5倍或いは2倍に成型してもよく、本実施の形態では150cm(標準規格の約2.5倍)の長尺に形成されている。即ち、苗補給時の苗運搬回数や苗の継目を減らすべく成型マット苗1を長尺に形成するにあたり、苗載台11の長さを大きく越えない範囲で長尺にしたため、ロール苗の様に予め巻き取らなくても苗載台11に載置して移植することができ、その結果、苗を巻取る手間を省くことができると共に、巻取り時に葉茎部を傷めて移植後の成育に悪影響を及ぼす不都合も解消することができるようになっている。
【0006】また、前記苗床資材1aとしては、粉砕した籾殻を汎用のバインド材で型成形した人工マットを用いており、そのため上記バインド材の混入量等に応じて成型マット苗1の引張強度、曲げ強度、剪断強度等を任意に調節することができるようになっている。つまり、成型マット苗1を長尺にしたものでありながら、必要な引張強度を確保することができるため、変形によって継目に隙間ができる等の不都合がなく、また、適度な曲げ強度および剪断強度を確保することによって、成型マット苗1を巻いた状態で運搬することができると共に、良好な掻取りを行うことが可能になる。
【0007】一方、3は前記乗用田植機2の走行機体4に昇降リンク機構5を介して連結される植付部であって、該植付部3は、昇降リンク機構5に着脱自在に連結されるホルダフレーム6、該ホルダフレーム6にローリング自在に連結される植付部フレーム7、該植付部フレーム7に一体的に組付けられるドライブケース8、該ドライブケース8から後方に突出する複数のプランタケース9、該プランタケース9の上方に左右方向を向いて配設されるエプロン10、該エプロン10に沿って左右移動自在な前述の苗載台11、該苗載台11の下端部から苗を掻取って田面に植付ける移植爪12、田面を滑走するフロート13等を備えている。
【0008】前記苗載台11は、ドライブケース8の上方に前高後低状の傾斜姿勢で配設されており、その後面には、上下方向を向く複数のガイドリブ(凸部)11aで仕切られた植付条数分(例えば5条分)の苗載面11bが形成されている。つまり、各苗載面11bに載置される成型マット苗1を、左右のガイドリブ11aで横ずれを規制しながら下方の移植爪12に向けて供給ガイドするが、苗載台11全体は、ドライブケース8に組込まれる苗載台横送り機構(図示せず)の作動に伴って左右方向に往復移動するように構成されている。
【0009】14は前記プランタケース9の後端部に組付けられるロータリケースであって、該ロータリケース14は、両端部に一対の移植爪12を備えると共に、自らの回転に伴って一対の移植爪12を所定の軌跡に沿って回転運動させる遊星ギヤ機構(図示せず)を内装している。即ち、移植爪12は、エプロン10に形成される掻取口に所定寸法だけ入り込んで成型マット苗1の下端部から適数本の苗を掻取る掻取行程と、田面に突入して掻取苗を放出する植付行程との間を循環的に回転運動するようになっている。
【0010】15は前記苗載台11の各苗載面11bに沿って設けられる縦送り機構であって、該縦送り機構15においては、下側の駆動ローラ16と上側の従動ローラ17との間に、突起付き幅広ベルトからなる縦送りベルト18を懸回すると共に、駆動ローラ軸16aを、ラチェット機構(図示せず)を介して縦送りレバー(図示せず)に連動連結している。つまり、苗載台11が横送り端に達すると、ドライブケース8に設けられる縦送り駆動カム(図示せず)が縦送りレバーを叩き上げるように構成されており、そして、縦送りレバーが叩き上げられた場合には、ラチェット機構を介して連動連結される駆動ローラ16が所定量回転するのに伴い、縦送りベルト18の張り側(苗接触側)が所定の送り量だけ下動して成型マット苗1をエプロン10に向けて強制的に縦送りするようになっている。
【0011】19は前記苗載台11の苗載側に対向して並設される苗押え体であって、該苗押え体19は、苗載台11の下端側(縦送りベルト対向位置)で成型マット苗1の浮上りを規制する下側苗押え20と、苗載台11の中間部で成型マット苗1の浮上りを規制する中間苗押え21と、苗載台11の上端側で成型マット苗1の浮上りを規制する上側苗押え22とを苗押えステー23に組付けて構成されるが、該苗押えステー23の下端部は、苗載台11の下端部に立設される苗押えブラケット24に前後揺動自在に支持される一方、苗押えステー23の上端部には、苗押え体19を機体側から退避揺動操作するための握り部23aが形成され、さらに、苗押えステー23の中間部には、支軸25を支点として前後揺動自在で、かつ上端部が握り部23aの近傍まで延出する退避ロック解除レバー26が設けられている。
【0012】27は前記苗載台11の中間部に立設される退避ロックプレートであって、該退避ロックプレート27には、前記退避ロック解除レバー26の基端部に設けられるロックピン26aが上方から係合可能な複数の係合溝27aが形成されている。即ち、前記苗押え体19を苗載台11の苗載面11bから退避させるべく揺動操作した場合に、退避ロック解除レバー26の自重揺動に伴ってロックピン26aが係合溝27aに自動的に係合するように構成し、該係合作用に基づいて苗押え体19を退避姿勢に保持する一方、退避ロック解除レバー26を後方に揺動操作すると、ロックピン26aが係合溝27aから外れて苗押え体19の苗押え姿勢への復帰揺動が許容されるようになっている。
【0013】ところで、前記苗押え20、21、22のうち、下側苗押え20および中間苗押え21は、線材を曲げ加工して形成されるが、上側苗押え22は、左右方向を向く支軸28で回動自在に支持されるローラ部材を用いて構成されている。つまり、上側苗押え22は、成型マット苗1上を転がりながら浮上り規制を行うが、苗載台11に載置した成型マット苗1が苗載面11bの上端から食出す場合には、該食出し部を上側苗押え22に巻き付けて折り返すことができると共に、該折返し部を上側苗押え22の転動に伴って円滑に繰り出すことができるようになっている。尚、図面において、23b、23cは苗押え20、21の高さ調節孔、29は前記支軸28の左右両端部を支持するローラブラケット、30は左右のローラブラケット29間に一体的に架設される補強プレートであり、該補強プレート30は、前記折返し部の垂れ下がり規制部材や中間苗押え21の取付部材としても機能している。
【0014】次に、長尺に形成した成型マット苗1の移植方法を説明する。但し、予備苗の載置方法としては、成型マット苗1を平面状態のまま載置する方法と、成型マット苗1を巻取状態で載置する方法とがあり、本実施の形態では、運搬性に優れる巻取載置方法を採用すべく、苗載台11の上端部に巻取状態の予備苗を収容可能な予備苗収容部31を形成しているが、該予備苗収容部31に収容する予備苗は、成型マット苗1を逆巻き状に巻き取ることなく、葉茎部が無理なく倒伏するように巻き取った正巻き状(追い巻き状)のものでよいため、ロール苗に比して巻取作業を簡略化することができるようになっている。
【0015】さて、作業始めにおいては、苗押え体19を退避させた状態で、各条の苗載面11bにそれぞれ一枚の成型マット苗1を平面状に載置し、しかる後、苗押え体19を苗押え姿勢に戻して移植作業を開始する。即ち、苗載台11に、苗載台長さを大きく越えない範囲で長尺に形成された成型マット苗1を平面状に載置して移植するため、ロール苗を移植する場合の様に苗を繰り出すための装置を設ける必要がなく、その結果、植付部構造を簡略化することができるうえに、繰出不良に起因するトラブルの発生を回避することができるようになっている。
【0016】また、苗補給を行う場合には、予備苗収容部31から巻取状態の成型マット苗1(予備苗)を取り出すと共に、該成型マット苗1を平面状に広げて継ぎ足し状に苗載面11bに載置するが、このとき、補給した成型マット苗1が苗載面11bの上端から食出す場合には、該食出し部を上側苗押え22に巻き付けて折り返せばよく、そして、この折返し部は、上側苗押え22の転動に伴って順次円滑に繰り出されることになる。また、上記予備苗は、葉茎部が無理なく倒伏するように巻き取った正巻き状のものであるが、この予備苗を、苗載台11の上端部から自重で転がるように広げれば、葉茎部が反苗送り方向に倒伏することになり、そのため、成型マット苗1を正巻き状に巻き取ったものでありながら、苗掻取位置で葉茎部が移植爪運動軌跡に干渉する不都合を回避することができるようになっている。
【0017】叙述の如く構成されたものにおいて、苗載台11に載置して移植する成型マット苗1でありながら、該成型マット苗1は、苗載台長さを大きく越えない範囲で長尺に形成されているため、苗補給時の苗運搬回数や苗の継目を減らせることは勿論のこと、ロール苗の様に予め巻き取らなくても苗載台11に載置して移植することができ、その結果、苗を巻取る手間を省くことができる許りでなく、巻取り時に葉茎部を傷めて移植後の成育に悪影響を及ぼす不都合も解消することができる。
【0018】また、前記成型マット苗1の苗床資材1aには、所定の引張強度を有する土以外の資材を用いているため、成型マット苗1を長尺化しても必要な引張強度を確保することができ、その結果、変形によって継目に隙間ができる等の不都合がなく、また、苗床資材を使用しない水耕栽培に比して苗密度を均一にできる利点がある。
【0019】また、前記苗載台11に、長尺な成型マット苗1を平面状に載置して移植するため、ロール苗を移植する場合の様に苗を繰り出すための繰出装置を設ける必要がなく、その結果、植付部構造を簡略化することができる許りか、繰出不良に起因するトラブルの発生を回避することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【識別番号】000201641
【氏名又は名称】全国農業協同組合連合会
【出願日】 平成11年4月16日(1999.4.16)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開2000−300019(P2000−300019A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願平11−109013