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【発明の名称】 田植機の昇降制御装置
【発明者】 【氏名】木村 浩人

【要約】 【課題】田植機における昇降制御において、昇降感度設定を適切に行えるものを提供する点にある。

【解決手段】センサフロート14Sの苗植付装置3に対する目標姿勢を設定する第1昇降感度設定器21Aと、センサフロート14Sを接地側に付勢する付勢バネ25の目標付勢力を設定する第2昇降感度設定器21Bを設け、夫々の設定器21A,21Bの目標姿勢と目標付勢力となるように苗植付装置3の昇降制御と、付勢バネ25の張設長さを変更調節する制御手段を設けてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した苗植付装置に、センサフロートを後支点周りで上下揺動自在に取り付けるとともに、前記センサフロートの前記苗植付装置に対する揺動姿勢を目標姿勢に維持するように、前記苗植付装置を昇降作動させる昇降制御手段と、前記センサフロートを接地付勢する付勢手段の付勢力を目標付勢力となるように制御する付勢力制御手段とを設け、前記目標姿勢又は前記目標付勢力を互いに独立して調節可能に構成してある田植機の昇降制御装置。
【請求項2】 走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した苗植付装置に、センサフロートを後支点周りで上下揺動自在に取り付けるとともに、前記センサフロートの前記苗植付装置に対する揺動姿勢を目標姿勢に維持するように、前記苗植付装置を昇降作動させる昇降制御手段と、前記センサフロートを接地付勢する付勢手段の付勢力を目標付勢力となるように制御する付勢力制御手段とを設け、前記昇降制御手段の昇降感度を設定する昇降感度設定器を設け、前記昇降感度設定器に対する変更操作に基づいて、前記目標姿勢を一定に維持した状態で、目標付勢力を変更することにより、昇降感度を変更調節する田植機の昇降制御装置。
【請求項3】 走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した苗植付装置に、センサフロートを後支点周りで上下揺動自在に取り付けるとともに、前記センサフロートの前記苗植付装置に対する揺動姿勢を目標姿勢に維持するように、前記苗植付装置を昇降作動させる昇降制御手段と、前記センサフロートを接地付勢する付勢手段の付勢力を目標付勢力となるように制御する付勢力制御手段とを設け、前記目標姿勢と前記目標付勢力とを互いに独立して調節可能に構成し、前記目標付勢力を前記目標姿勢に対応するセンサフロートの揺動角度を変数とした関数式によって求めた数値とし、前記センサフロートの目標姿勢と前記付勢手段の目標付勢力とを変更調節することによって、昇降感度を調節する田植機の昇降制御装置。
【請求項4】 前記関数式が変更可能なものである請求項3記載の田植機の昇降制御装置。
【請求項5】 請求項1の田植機の昇降制御装置において、前記走行機体の前後傾斜を検出する前後傾斜検出手段を設け、この前後傾斜検出手段の検出結果に基づいて前記センサフロートの前記目標姿勢を前記前後傾斜角度分だけ変更調節し、前記付勢手段の前記目標付勢力を一定に維持する田植機の昇降制御装置。
【請求項6】 請求項1の田植機の昇降制御装置において、前記走行機体の前後傾斜を検出する前後傾斜検出手段を設け、この前後傾斜検出手段の検出結果に基づいて前記センサフロートの目標姿勢を前記前後傾斜角度分だけ変更調節し、前記前後傾斜検出手段の検出角が小であれば、前記付勢手段の目標付勢力を一定に維持し、前記前後傾斜検出手段の検出角が大であれば、前記付勢手段の目標付勢力を増大させるように制御する田植機の昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した苗植付装置に、センサフロートを後支点周りで上下揺動自在に取り付けるとともに、前記センサフロートの前記苗植付装置に対する揺動姿勢を目標姿勢に維持するように、前記苗植付装置を昇降作動させる昇降制御手段と、前記センサフロートを接地付勢する付勢手段を設けてある田植機の昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】昇降制御手段での制御形態は、例えば、特開平10‐290606号公報に開示されているように、後支点回りで上下揺動するセンサフロートの前端ブラケットと、フィードケースの前面より延出されたブラケットに取り付け固定されたポテンショメータ式のフロートセンサとを屈折リンク機構を介して連係し、フロートセンサでセンサフロートの上下揺動量を検出し、この検出情報をフィードバックして、フロートセンサの検出量と昇降感度設定器との設定値が一致するように、苗植付装置を昇降させる制御を行っている。そして、センサフロートを接地付勢する付勢手段としてのバネを、前記屈折リンク機構とブラケットとに渡って架設してある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記構成において、昇降感度はセンサフロートの苗植付装置に対する上下揺動角度と、付勢バネの接地付勢力によって決まる。つまり、上下揺動角度が上向きになる程鈍感になり、反対に前下がりになる程敏感となる。又、接地付勢力が大きくなる程鈍感になるという傾向を持っている。このような昇降感度特性を持つ上記したような構造において、例えば、図7(イ)に示すように、圃面に略平行な接地状態よりやや前上がり状態、つまり、鈍感側に制御感度を変更した場合には、図7(ロ)に示すように、センサフロート14Sの揺動角度が変化するだけでなく、同時に、付勢バネ25の張設長さも変化する為に、接地付勢力も変化することになっていた。そのために、フロートセンサからのフィードバック値以上に感度が変化していることになり、センサフロートの揺動角度と接地付勢力とが微妙に関連している為に調整が困難になっているという問題点があった。本発明の目的は、上記のような点を勘案して成されたものであり、昇降感度を適切に設定することのできる田植機の昇降制御装置を提供する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】〔構成〕請求項1に係る発明の特徴構成は、走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した苗植付装置に、センサフロートを後支点周りで上下揺動自在に取り付けるとともに、前記センサフロートの前記苗植付装置に対する揺動姿勢を目標姿勢に維持するように、前記苗植付装置を昇降作動させる昇降制御手段と、前記センサフロートを接地付勢する付勢手段の付勢力を目標付勢力となるように制御する付勢力制御手段とを設け、前記目標姿勢又は前記目標付勢力を互いに独立して調節可能に構成してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
〔作用〕つまり、センサフロートの上下揺動姿勢を設定することと、付勢手段を作用させこととについて、これらが採用された経緯について考えてみると、付勢手段はあくまでもセンサフロートが上下揺動するもその接地状態を維持するように補助的に使用されるものであるとも考えることができる。そうすると、センサフロートを前上がり姿勢に変更するからといって、それに追従して付勢バネ力を強くする必要はなく、接地状態を維持するだけの付勢力を維持すればよいこともある。そこで、上記したように、目標姿勢と目標付勢力とは独立して設定できるような構成とし、夫々の最適な状態が設定できるようにした。
〔効果〕したがって、センサフロートの揺動姿勢と付勢力とを最適値に設定でき、また、センサフロートの上下揺動角度を変更することによる制御感度の変更度合いと、バネの張設長さを変化させて接地圧力を変化させて制御感度に影響を与えるという、全く異質な調節機構を十分に使いこなすことができるに到った。
【0005】〔構成〕請求項2に係る発明の特徴構成は、走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した苗植付装置に、センサフロートを後支点周りで上下揺動自在に取り付けるとともに、前記センサフロートの前記苗植付装置に対する揺動姿勢を目標姿勢に維持するように、前記苗植付装置を昇降作動させる昇降制御手段と、前記センサフロートを接地付勢する付勢手段の付勢力を目標付勢力となるように制御する付勢力制御手段とを設け、前記昇降制御手段の昇降感度を設定する昇降感度設定器を設け、前記昇降感度設定器に対する変更操作に基づいて、前記目標姿勢を一定に維持した状態で、目標付勢力を変更することにより、昇降感度を変更調節する点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
〔作用効果〕前記した発明が解決しようとする課題の項において記載したように、センサフロートを揺動させて昇降感度を変更する際について記載したが、この場合に、センサフロートの姿勢は、図4(イ)に示す状態より図4(ロ)に示すように、前上がり姿勢となるだけでなく、その姿勢を維持するためにはセンサフロートの接地圧を確保する必要があり、実際には、苗植付装置がやや下降することになる。したがって、作業者が意図しない植付深さが深植側に変化するという問題点もあった。このような点を受けて、本発明では、昇降感度を調節する際には、昇降感度設定器に対する変更操作に基づいて、目標姿勢を一定に維持した状態で、目標付勢力を変更する方法を採用することにより、センサフロートの苗植付装置に対する揺動姿勢を変化させない構成とした。したがって、植付深さの変動を伴わずに、昇降感度の変更調節が可能になった。
【0006】〔構成〕請求項3に係る発明の特徴構成は、走行機体の後部に駆動昇降自在に連結した苗植付装置に、センサフロートを後支点周りで上下揺動自在に取り付けるとともに、前記センサフロートの前記苗植付装置に対する揺動姿勢を目標姿勢に維持するように、前記苗植付装置を昇降作動させる昇降制御手段と、前記センサフロートを接地付勢する付勢手段の付勢力を目標付勢力となるように制御する付勢力制御手段とを設け、前記目標姿勢と前記目標付勢力とを互いに独立して調節可能に構成し、前記目標付勢力を前記目標姿勢に対応するセンサフロートの揺動角度を変数とした関数式によって求めた数値とし、前記センサフロートの目標姿勢と前記付勢手段の目標付勢力とを変更調節することによって、昇降感度を調節する点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
〔作用効果〕前記目標姿勢と目標付勢力とを独立して調節することができるようにしたので、請求項1に係る発明に対応した作用の項で記載したように夫々の特性に対応した設定が可能になるが、反面、目標姿勢と目標付勢力とは全く無縁のものではなく、圃面が硬い等のために制御感度を押さえるために目標姿勢が鈍感側に変化するのであれば、目標付勢力も接地圧を大きくするする為に大きくするというように変化の方向性は同一である。したがって、目標付勢力を設定するのに、目標姿勢を変数とする関数式を用いて設定することによって、前記した変化の方向性に沿った付勢力の設定が可能になるのである。
【0007】〔構成〕請求項4に係る発明の特徴構成は、請求項3に係る発明の特徴構成において、前記関数式が変更可能なものである点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
〔作用効果〕前記関数式の次数や比例定数等を、田植機の個体差や種別によって、選択できるようにして、付勢力の設定精度を高めることができる。
【0008】〔構成〕請求項5に係る発明の特徴構成は、請求項1に係る発明の特徴構成において、前記走行機体の前後傾斜を検出する前後傾斜検出手段を設け、この前後傾斜検出手段の検出結果に基づいて前記センサフロートの前記目標姿勢を前記前後傾斜角度分だけ変更調節し、前記付勢手段の前記目標付勢力を一定に維持する点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
〔作用効果〕走行機体の前後傾斜が変化すると、図5(イ)に示すように、センサフロート14Sは苗植付装置3に対しての揺動姿勢を維持するように制御されるので、圃面に対する姿勢が変化する。したがって、この場合には、図5(ロ)に示すように、センサフロート14Sの揺動姿勢を変更して、圃面に対する姿勢を維持するようにする。この場合に、目標付勢力については独立して変更設定できるので、目標姿勢を変更しても目標付勢力は維持することができ、制御感度が大幅に変更しないようにできる。
【0009】〔構成〕請求項6に係る発明の特徴構成は、請求項1に係る発明の特徴構成において、前記走行機体の前後傾斜を検出する前後傾斜検出手段を設け、この前後傾斜検出手段の検出結果に基づいて前記センサフロートの目標姿勢を前記前後傾斜角度分だけ変更調節し、前記前後傾斜検出手段の検出角が小であれば、前記付勢手段の目標付勢力を一定に維持し、前記前後傾斜検出手段の検出角が大であれば、前記付勢手段の目標付勢力を増大させるように制御する点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
〔作用効果〕請求項5に係る発明の作用の項で記載したと同様の作用効果に加えて、さらに、付勢手段の目標付勢力を走行機体の傾斜度合いに応じて変化させることができるので圃面に沿った状態にきめ細かく設定でき、傾斜度合いが大きくなっても付勢力を大きくするので、センサフロートに踏ん張り力を持たせることができ、走行機体のピッチング作動や前後方向への倒れを抑制することができ、走行機体の前後傾斜による影響をより良く排除することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、田植機は、エンジン5及びミッションケース6を有する原動部をボンネット1A下方に、中間位置に座席19を備え、前後車輪7,8によって走行する走行機体1の後端に、吊り上げ式の油圧シリンダ2Aによって駆動される平行四連リンク式の昇降リンク機構2を介して、苗植付装置3を取り付けるとともに、座席19の後面に空気輸送式の施肥装置4を装着して構成してある。苗植付装置3には、左右に往復スライド移動する苗載せ台13、回転式苗植付機構12を軸支した植付ケース11、植付ケース11の下方に整地フロート14を設けて、構成されている。
【0011】苗植付装置3の昇降制御について説明する。
(第1制御形態)ここでは、後記するセンサフロート14Sを接地センサとした昇降制御と、そのセンサフロート14Sに対する接地付勢力を制御感度に対応した付勢力に制御する付勢力制御とを独立して制御できる構成について説明する。図2に示すように、整地フロート14をサイドフロート14Bとセンタフロート14Aとで構成し、センタに位置するセンタフロート14Aをセンサフロート14Sとして選定し、センサフロート14Sを植付ケース11より下斜め後方に向けて延出された支持アーム24の先端を後支点Xとして上下揺動自在に支持する。植付ケース11を左右に複数列配設し、植付ケース11同士を連結する横向き連結フレーム9を走行機体1からの動力を受けるフィードケース10に取り付けてある。フィードケース10の前面にブラケット15を立設するとともに、フィードケース10の前面とセンサフロート14Sの前端部とに亘って屈折リンク機構16を架設して、後支点X周りでセンサフロート14Sを上下揺動自在に構成する。一方、センサフロート14Sの前端部とブラケット15とに亘ってセンサリンク機構17を架設し、ブラケット15に取り付けたポテンショメータ式のフロートセンサ18でセンサリンク機構17を介してセンサフロート14Sの昇降作動を検出する構成にしてある。
【0012】一方、図3に示すように、フロートセンサ18からの信号を受けて昇降制御を行う昇降制御手段としての昇降制御装置32を設けてあり、センサフロート14Sの上下揺動姿勢、つまり、図2に示す、センサフロート14Sの前端部とフロートセンサ18設置位置との間隔(揺動角θ)を一定に維持するように昇降制御を行う。揺動角θは、ポテンショメータ式の第1昇降感度設定器21Aからの設定値を目標値とする。実質的な制御形態は、圃面の硬度が増す場合や苗植付装置3自体が下降してセンサフロート14Sが押し上げられ上向きに傾斜した場合には、センサフロート14Sの上下揺動姿勢を目標状態に維持する(フロートセンサ18の検出値と第1昇降感度設定器21Aとの設定値とが同一値であるように)為に、苗植付装置3を上昇させる。反対に圃面の硬度が落ちた場合や苗植付装置3自体が圃面より上昇した場合にはフロート先端が下向き傾斜することになるので、苗植付装置3を下降させてセンサフロート14Sの上下揺動姿勢を目標値に維持する。第1昇降感度設定器21Aは鈍感から敏感まで7つの設定ポジションがあり、その設定位置に対応して、フロートセンサ18の検出値をフィードバックして、対応した数値に維持するような制御になる。
【0013】図中20は電磁制御弁28に対する強制昇降操作具であり、その操作具の操作軸に設けたレバーセンサ29の操作位置検出結果に基づいて、苗植付装置3を任意に強制昇降させる操作具である。強制昇降操作具は、植付クラッチレバーとも呼ばれ、「自動」「上昇」「中立」「下降」「植付入り」「植付切り」の各操作位置に操作される。以上のような制御を昇降制御といい、昇降制御を司るマイクロコンピュータ搭載の制御装置32を昇降制御手段と称する。
【0014】次に、植付深さ調節構造について説明する。図2に示すように、複数の植付ケース11の先端面に亘って横向きに伸びる回転可能な支軸22を架設し、支軸22に前記したセンサフロート14Sの後支点Xを吊り下げる支持アーム24を一体揺動可能に取り付けてある。横向きに伸びる支軸22の中間位置には植付深さ調節レバー23を取り付けてあり、植付深さ調節レバー23の操作部を操縦部の後方に配置してある。
【0015】次に、センサフロート14Sに対する接地付勢力を与える付勢手段25、及び、この付勢手段25に対する付勢力調節装置26、付勢力調節装置26を制御する付勢力制御手段27について説明する。図2に示すように、センサリンク機構17におけるベルクランク17Aを、フロートセンサ18の回転軸に連動させて、このベルクランク17Aの一端にフロートセンサ14Sを接地側に付勢する付勢手段としてのバネ25を係止してあり、バネ25の張設長さを長くする程、接地付勢力を高めるようにしてある。バネ25の他端側にはバネ25の張設長さを変更する付勢力調節装置26として電動シリンダを設けてあり、この電動シリンダ26を駆動調節することによって、バネ25の張設長さを変更して、付勢力を変更するようにしてある。尚、バネ25と平行にストロークセンサ31を架設し、バネ25の伸び量をフィードバックして、付勢力調節用として設けてあるポテンショメータ式の第2昇降感度設定器21Bの設定した目標付勢力を維持するように構成してある。以上のような構成になるものに、マイクロコンピュータ搭載の付勢力制御手段27としての制御装置によって電動シリンダ26を調節し、付勢力を昇降制御手段32と独立して調節できるようにしてある。
【0016】(第2制御形態)ここでは、昇降感度をバネ25の付勢力を変更するだけで設定する制御について説明する。昇降制御の制御感度設定器としては、第1,第2のいずれか一方の制御感度設定器21A,21Bを使用する。センサフロート14Sの目標姿勢は一定にする。つまり、センサフロート14Sの目標揺動角は常に一定に維持されるように昇降制御は行われる。昇降制御感度の調節は、センサフロート14Sを接地付勢する付勢力を調節するだけで行われる。したがって、制御感度設定器21Aを鈍感側(設定数値の大きな方)に操作すると、バネ力を強くするように、電動シリンダ26でバネ25を引っ張り操作する。制御感度設定器21Aを敏感側(設定数値の小さな方)に操作すると、バネ力を弱くする。上記する制御形態としては、昇降感度設定値 1───4───7センサフロート揺動角 固定付勢バネ力 軽───────重となり、このような制御形態をとることにより、センサフロート14Sの姿勢を変更することがないので、従来技術の項で述べたような制御感度を変更することによって植付深さが変動する、といった欠点を回避できる。
【0017】(第3制御形態)ここでは、昇降感度をバネ25の付勢力の変更とセンサフロート14Sの揺動角とを変更して、バネ25の付勢力による制御感度に与える影響とセンサフロート14Sの上下揺動姿勢を変更することによる制御感度に与える影響とを合計して、昇降感度設定器での設定値となるようにする。したがって、昇降感度設定器としては、第2昇降制御形態と同様に昇降感度設定器は一つである。センサフロート14Sの揺動角は、第1制御形態で示した設定数値1(敏感)〜7(鈍感)の7段階に亘って変動することにかえて、中間域の範囲で変動するようにする。この変動範囲では、十分な昇降感度を得ることができないので、不足分を付勢力を変更することによって補うことにする。上記する制御形態としては、 昇降感度設定値 1───4───7 センサフロート揺動角 −2───────1°(基準状態を0°)
付勢バネ力 軽───────重となり、センサフロート14Sをフルストローク変動させて制御感度を変更する場合に比べてセンサフロート14Sの変動ストロークを小さくできるので、植付深さの変動を抑えることができる。このような場合においては、センサフロートの揺動角と付勢バネ力とは、昇降感度設定値1〜7の値に対して、例えば、組(−2,軽)のものとして複数組のものを予めデータ化してメモリに保持する方法をとってもよい。
【0018】(第4制御形態)バネ25の付勢力を設定するのに、目標付勢力をセンサフロート14Sの目標姿勢に対応する揺動角度を変数とした関数式によって求めた数値を使用して、付勢力の変更調節を行う。関数式による付勢力調節については、前記した3つの制御形態における付勢力を設定するのに使用することができる。また、関数式としては、線型、非線型、関数式の次数又は比例定数等は、田植機の個体差或いは種別によって、適宜選定することができる。
【0019】(第5制御形態)次に、走行機体1の前後傾斜による昇降制御について説明する。この場合の制御構成は第1制御形態と同様の構成を採用する。走行機体1が前後傾斜を生じると、図5(イ)に示すように、センサフロート14Sの姿勢が圃面に対して傾いた状態になる。そこで、次のようにする。つまり、走行機体1の前後傾斜角を検出する前後傾斜検出手段33を設ける。この検出手段33としては、重力式で錘や水銀、水等が傾斜によって変動する量を捉えるリミットスイッチやポテンショメータを利用したものであればよい。そして、前後傾斜検出手段33が走行機体1の前後傾斜を検出したならば、第1昇降感度設定器21Aによる設定値に対して傾斜角度の変化分だけ補正を施し、センサフロート14Sの目標姿勢を変更する。これによって、図5(ロ)に示すように、センサフロート14Sの圃面に対する揺動角度は前後傾斜を生じる前の状態に戻る。尚、目標姿勢を変更したことによって付勢手段は前後傾斜を生じる前とは変動している為に、前記した電動シリンダ26を駆動して、もとの付勢力を維持するように制御する。これによって、変化していない圃面の状態に対応した元の制御感度に戻すことができる。上記する制御形態としては、 昇降感度設定値 1───4───7 センサフロート揺動角 設定値を前後傾斜分で補正 付勢バネ力 一定 となる。(第6制御形態)第5制御形態においては、走行機体1の前後傾斜が生じた場合であっても、付勢手段25の付勢力を一定に維持する制御形態を示したが、ここでは、センサフロート14Sを前後傾斜分だけ補正を加えて目標姿勢を変更すると同時に付勢力についても補正を加え目標付勢力を変更することにした。つまり、走行機体1の前後傾斜の変動量が小さい場合については、第5制御形態と同様に付勢力は変動前の状態を維持する。これに対して、前後傾斜の変動量が大きくなると、変動前より付勢力を大きくします。このように構成することによって、水田作業時に走行機体1が大きく前上がり状態となった場合には、フロート14の接地圧力が増大している為に踏ん張り力を発揮し、走行機体1の後倒れを抑えることができる。上記する制御形態としては、 昇降感度設定値 1───4───7 前後傾斜 小───────大 センサフロート揺動角 設定値を前後傾斜分で補正 付勢バネ力 一定 一定+補正値となる。
【0020】〔別実施の形態〕
(1) 上記実施の形態においては、センサフロート14Sの上下揺動姿勢を検出するのに、センサフロート14Sの前端と苗植付装置3との間隔の変化を捉えるようにしてあるが、図6に示すように、フロートセンサ18の取り付け位置としてはセンサフロート14Sの前端に限定されず後支点Xの前方に設けてもよく、又、後支点Xに設けてセンサフロート14Sの上下揺動量を検出するようにしてもよい。
(2) 付勢手段としては、引っ張りバネだけでなく圧縮バネであってもよく、また、バネとダンパー機構を併用したものであってもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年4月15日(1999.4.15)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−300018(P2000−300018A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願平11−107950