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【発明の名称】 田植機
【発明者】 【氏名】牧原 邦充

【氏名】清水 孝式

【氏名】松木 直樹

【要約】 【課題】植付深さ調節レバーを操作した場合に検出基準位置の補正を行い部材を小型で簡便に構成し得る田植機を合理的に構成する。

【解決手段】整地フロート27の左右方向での中央位置に第1リンク35、第2リンク37等で構成される屈伸型のリンク機構を配置すると共に、このリンク機構と植付深さ調節レバー32とに挟まれる位置で整地フロート27の中央から外れた位置に対して縦リンク40と揺動リンク43とを配置し、夫々の上下方向の相対位置の差を取り出すワイヤ47を備え、植付深さの調節時に検出基準位置の補正を行うよう揺動リンク43と植付深さ調節レバー32とをロッド46で連係した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に昇降自在に備えた苗植付装置を駆動昇降するアクチュエータを備えると共に、苗植付装置に備えた接地フロートの変位に基づいて該苗植付装置の圃場面との相対高さを取り出す計測機構を備え、この計測機構での取り出し結果に基づいて前記アクチュエータを制御する制御手段を備えている田植機であって、前記苗植付装置が圃場面に接する接地フロートと、苗植付装置の苗載せ台に載置された苗を圃場面に植付ける植付爪と、この植付爪の作動軌跡と接地フロートの後部との上下方向での相対距離を調節するよう苗植付装置の本体に対する接地フロート後部のレベルを上下方向に調節する植付深さ調節具とを備えて構成され、前記計測機構が接地フロートの前部と伴に上下変位する作動部材と、苗植付装置の本体側に横向き姿勢の支軸周りで揺動自在に支持された基準部材と、これら作動部材の上端と基準部材の揺動端との相対距離の変化を取り出す操作ワイヤーとを備えて構成され、植付深さ調節具を深植え側に操作した際に前記基準部材の前記揺動端を上方に変位させ、植付深さ調節具を浅植え側に操作した際に前記基準部材の前記揺動端を下方に変位させる補正ロッドを植付深さ調節具と基準部材との間に介装してある田植機。
【請求項2】 前記計測機構を備えた接地フロートの前部位置に接地フロート前部の横方向への振れを規制しながら上下変位を許すリンク機構を備えると共に、このリンク機構の側部に並列する位置に前記作動部材を配置してある請求項1記載の田植機。
【請求項3】 前記リンク機構が、接地フロートの左右方向での中央位置に配置されると共に、前記作動部材がリンク機構の側部に並列する位置に配置されている請求項2記載の田植機。
【請求項4】 前記植付深さ調節具が、前記リンク機構の反対側の側部で前記作動部材と並列する位置に配置されている請求項2又は3記載の田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体に昇降自在に備えた苗植付装置を駆動昇降するアクチュエータを備えると共に、苗植付装置に備えた接地フロートの変位に基づいて該苗植付装置の圃場面との相対高さを取り出す計測機構を備え、この計測機構での取り出し結果に基づいて前記アクチュエータを制御する制御手段を備えている田植機に関し、詳しくは、接地フロートの上下変位を機械的に取出す技術に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のように構成された田植機として特開平8‐196117号公報に示されるものが存在し、この従来例ではセンサフロート(接地フロート)の前部位置に縦長姿勢のセンシングアームを備え、このセンシングアームに形成した長孔に対して補正アームに支持された連結ピンを挿通し、この連結ピンにセンサワイヤのインナワイヤの端部を連結し、センシングアームの上端にセンサワイヤのアウタワイヤを連結することでセンサフロートが上方に変位した場合にはインナワイヤを弛緩させ、センサフロートが下方に変位した場合にはインナワイヤを緊張させるよう操作方向が設定されている。又、この従来例では植付深さ調節レバーを操作した場合にはセンサフロートの後端に連結する支持アームの揺動と連動して、この支持アームと一体揺動する連結アームの姿勢変位に連動して補正アームを揺動させることで検出基準位置の補正を行うよう構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来例のようにセンサフロートを支持する支持アームの揺動量を連結アームを介して補正アームに伝えるものでは、連結アームの前後寸法が長くなり部材が大型化しやすいばかりでなく、連結アームが前方に張り出す姿勢で用いられていることからセンサワイヤに作用する張力が常に曲げ荷重として作用するものとなっており、これに耐え得る強度の部材を必要とするものとなり、これらの点で改善の余地があった。本発明の目的は、大型で高強度の部材を用いることなく植付深さ調節レバーを操作した場合に検出基準位置の補正を適正に行い得る田植機を合理的に構成する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴(請求項1)は、走行機体に昇降自在に備えた苗植付装置を駆動昇降するアクチュエータを備えると共に、苗植付装置に備えた接地フロートの変位に基づいて該苗植付装置の圃場面との相対高さを取り出す計測機構を備え、この計測機構での取り出し結果に基づいて前記アクチュエータを制御する制御手段を備えている田植機において、前記苗植付装置が圃場面に接する接地フロートと、苗植付装置の苗載せ台に載置された苗を圃場面に植付ける植付爪と、この植付爪の作動軌跡と接地フロートの後部との上下方向での相対距離を調節するよう苗植付装置の本体に対する接地フロート後部のレベルを上下方向に調節する植付深さ調節具とを備えて構成され、前記計測機構が接地フロートの前部と伴に上下変位する作動部材と、苗植付装置の本体側に横向き姿勢の支軸周りで揺動自在に支持された基準部材と、これら作動部材の上端と基準部材の揺動端との相対距離の変化を取り出す操作ワイヤーとを備えて構成され、植付深さ調節具を深植え側に操作した際に前記基準部材の前記揺動端を上方に変位させ、植付深さ調節具を浅植え側に操作した際に前記基準部材の前記揺動端を下方に変位させる補正ロッドを植付深さ調節具と基準部材との間に介装してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0005】本発明の第2の特徴(請求項2)は請求項1において、前記計測機構を備えた接地フロートの前部位置に接地フロート前部の横方向への振れを規制しながら上下変位を許すリンク機構を備えると共に、このリンク機構の側部に並列する位置に前記作動部材を配置してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0006】本発明の第3の特徴(請求項3)は請求項2において、前記リンク機構が、接地フロートの左右方向での中央位置に配置されると共に、前記作動部材がリンク機構の側部に並列する位置に配置されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0007】本発明の第4の特徴(請求項4)は請求項2又は3において、前記植付深さ調節具が、前記リンク機構の反対側の側部で前記作動部材と並列する位置に配置されている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
【0008】〔作用〕上記第1の特徴によると、接地フロートが上下方向へ変位した場合には、接地フロートと一体的に作動部材が上下に変位し、基準部材を基準とした作動部材の上下方向への相対距離の変化を操作ワイヤで取り出し、この取り出し結果に基づいて制御手段がアクチュエータを制御して苗植付装置の昇降を行うものとなり、又、植付深さ調節具を操作した場合には、この植付深さ調節具の変位量が補正ロッドを介して基準部材に伝えられて基準部材を揺動させるものとなる。又、基準部材の揺動姿勢を決めるための補正ロッドが植付深さ調節具に対して直接連係しているので、補正ロッドを短い寸法で形成でき、又、低強度のものを用いることも可能となる。
【0009】上記第2の特徴によると、圃場面と苗植付装置との上下方向の距離が変化した場合にはリンク機構が接地フロートの横振れを規制しながら円滑な上下変位を許すと共に、この上下変位を作動部材で取り出すことになるので、作動部材に横方向への力が作用することが無く、小さい作動も良好に取り出し得るばかりでなく、作動部材の強度を高めずに済む。特に、リンク機構と別個に作動部材を形成するので、作動部材に近接する部材を小型化して操作ワイヤの連結の調節や基準部材の連係を点検を行いやすいものとなる。
【0010】上記第3の特徴によると、リンク機構が接地フロートの左右方向での中央位置に配置されているので、圃場面からの圧力で接地フロートが持ち上げられる場合でも接地フロートに対して横方向に向かう荷重を作用させることが少なく、接地フロートを一層円滑に上下変位させ、又、リンク機構の側部に並列して作動部材が配置されるので作動部材をリンク機構で保護し得るものとなる。
【0011】上記第4の特徴によると、植付深さ調節具と基準部材との間に介装される補正ロッドがリンク機構に妨げられずに直接連係できるので補正ロッドによる連係距離を一層短縮できると共に、植付深さ調節具によっても作動部材を保護できるものとなる。
【0012】〔発明の効果〕従って、大型で高強度の部材を用いずとも植付深さ調節レバーを操作した場合に検出基準位置の補正を適正に行い得る田植機が合理的に構成されたのである(請求項1)。又、接地フロートを円滑に上下作動させ、接地フロートの上下変位を良好な作動で取り出し、この取り出し構造の点検や調節も容易に行えるものとなり(請求項2)、接地フロートの上下作動を一層円滑に行わせながら、圃場面の浮きワラ等が作動部材や基準部材に絡み付くことよる作動不良を抑制し(請求項3)、植付深さ調節具の操作時における補正を行う構造が一層簡単に構成され、しかも、基準部材を良好に保護して接地フロートの上下変位を精度良く取り出し得るものとなった(請求項4)。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ステアリング操作される駆動型の前車輪1、及び、駆動型の後車輪2を備えた走行機体3の前部にエンジン4を搭載すると共に、この走行機体3の前部にエンジン4からの動力が伝えられる静油圧式の無段変速装置H、この無段変速装置Hからの動力が伝えられる前部位置のミッションケース5、及び、このミッションケース5からの動力が伝えられる後部位置の後車軸ケース6夫々を配置し、又、走行機体3の中央部にステアリングハンドル7と運転座席8とを配置し、走行機体3の後端部に対し油圧式のアクチュエータとしてのリフトシリンダ9で駆動昇降操作される平行4連型のリンク機構Lを介して対地作業装置としての6条植用の苗植付装置Aを連結して水田作業機としての田植機を構成する。
【0014】前記ミッションケース5には左右の前車輪1,1に動力を伝える差動機構(図示せず)と、単位走行距離に対する苗植付装置Aの苗植付回数を設定する株間変速機構(図示せず)とを内蔵すると共に、このミッションケース5から苗植付装置Aに対する動力の伝動と遮断とを行う植付クラッチCとを内蔵している。又、前記後車軸ケース6には左右の後車輪2,2に動力を伝える伝動機構(図示せず・差動機構は備えていない)と、この伝動機構からの左右の後車輪2,2夫々に伝えられる動力を切り操作すると同時に制動力を作用させる左右のクラッチブレーキ機構10,10を内蔵している。
【0015】又、運転座席8の前方のメータパネルMPの左側部には前記無段変速装置を変速操作する主変速レバー11を配置し、運転座席8の左側部には前記ミッションケース内のギヤ式の副変速装置(図示せず)を変速操作する副変速レバー12を配置し、運転座席8の右側部には苗植付装置Aの昇降制御を行う操作レバーとしての昇降レバー13と、苗植付装置Aを圃場面Sに追従させて昇降制御する際の感度を設定する感度調節レバー14(図6を参照)とを配置してある。
【0016】図1、図2に示すように、前記リンク機構は左右一つのトップリンク17と左右一対のロアーリンク18と、後端の縦リンク19とで構成され、この縦リンク19の下端部に対して、苗植付装置Aの伝動ケース20がローリング自在に連結されている。苗植付装置Aは、走行機体3から伝動軸21を介して動力が伝えられる前記伝動ケース20と、この伝動ケース20に連結する横長姿勢の角パイプ状のパイプフレーム22と、このパイプフレーム22に前端が連結固定され伝動ケース20からの動力が分岐して伝えられる3つのチェーンケース23と、夫々のチェーンケース23の後部の左右位置に横向き姿勢の軸芯周りで回転するロータリケース24と、このロータリケース24に取付けられた植付アーム25とを有すると共に、マット状苗Wを載置する苗載せ台26と、3つの整地フロート27(接地フロートの一例)とを備えて構成され、植付作動時には苗載せ台26に載置したマット状苗Wの下端から植付アーム25の植付爪25Aが苗を1株ずつ切り出して圃場面Sに植付ける作動を行うよう構成されている。
【0017】図2〜図5に示すように、前記パイプフレーム22の後方にパイプフレーム22と平行姿勢の植付深さ調節軸30が軸芯周りで回動自在に備えられると共に、この植付深さ調節軸30から後方に延設した3組のアーム31の夫々の後端部に横向き姿勢の支持軸29周りで揺動自在に前記3つの整地フロート27が支持され、この植付深さ調節軸30に連結する植付深さ調節レバー32(植付深さ調節具の一例)をレバーガイド33に係止保持することで、前記植付爪25Aの作動軌跡Tに対する整地フロート27の上下方向での距離を変更して圃場面Sに対する苗の植付深さを調節できるよう構成されている。左右方向での中央位置の整地フロート27の前部の左右方向での中央位置に横向き姿勢の第1支軸34周りで揺動自在に第1リンク35を備え、これと対応する位置のパイプフレーム22に横向き姿勢の第2支軸36周りで揺動自在に第2リンク37を支持し、第1リンク35と第2リンク37とを連結軸38で屈伸自在に連結することで整地フロート27の横方向への振れを阻止しながら整地フロート27の前部の上下方向への作動を案内する屈伸リンク(リンク機構の一例)が構成されている。
【0018】又、平面視で前記屈伸リンクと前記植付深さ調節レバー32とに挟まれる位置の整地フロート27の上面に対して、横向き姿勢の軸39周りで揺動自在に縦長姿勢の縦リンク40(作動部材の一例)を備えると共に、パイプフレーム22に対して前方に向けて片持ち状に設けたブラケット41の前端に横向きの軸42周りで揺動自在に揺動リンク43(基準部材の一例)を備え、この揺動リンク43の前端側に横向き姿勢で設けたピン44を縦リンク40に対して上下方向に長手方向が向かう姿勢で穿設した長孔40Aに挿通し、縦リンク40の上端とピン44との間に引っ張り型の感知バネ45を備え、更に、この揺動リンク43の後端を前記植付深さ調節レバー32とを補正ロッド46で連結してある。又、操作ワイヤ47のアウターワイヤ47Aの端部を縦リンク40の上端に連結固定し、この操作ワイヤ47のインナーワイヤ47Bをピン44に連結することで、苗植付装置Aが圃場面Sを基準に下方(圃場面Sに接近する側)に変位して整地フロート27の前端側が上方に揺動した際には縦リンク40の上端とピン44との距離Dが拡大してインナーワイヤ47Bを引き操作し、苗植付装置Aが圃場面Sを基準に上方(圃場面Sから離間する側)に変位して整地フロート27の前端側が下方に揺動した際には縦リンク40の上端とピン44との距離Dが縮小してインナーワイヤ47Bを弛ませるよう操作方向が設定されている。更に、例えば、植付深さ調節レバー32を深植側(同図でレバー32の操作端を下方に操作する側)に操作した場合には揺動リンク43の前端を持ち上げ側に揺動させて整地フロート27の持ち上がり量と等しいだけピン44の位置を上方に変位させることで前記距離Dの値を維持して昇降制御の感度が維持されるように構成してある。尚、縦リンク40と揺動リンク43と、これらの上下方向の相対距離を取り出す操作ワイヤ47とで計測機構が構成されている。
【0019】図6〜図10に示すように、機体フレーム51に対して横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在に支持されたレバー軸52にセクタプレート53が固設され、このセクタプレート53の側面に対して前後向き姿勢の揺動支軸54周りで揺動自在に前記昇降レバー13が支持されている。又、前記レバー軸52に対して一体揺動するよう接当アーム55が固設され、この接当アーム55の揺動端にボルトナット式に突出量を調節する調節機構を備えた接当部材56が備えられている。又、セクタプレート53の下部の円弧部には3つの凹部53Aが形成され、この凹部53Aに嵌まり込むローラ57を揺動端に備えた係合アーム58がバネ59で係合方向に付勢されて機体フレーム51に揺動自在に支持されている。これらの凹部53Aにローラ57が係入するセクタプレート53の姿勢で昇降レバー13が図6に示す如く、「中立」位置、「下降」位置、「植付」位置夫々の操作位置に保持され、又、昇降レバー13を「上昇」位置に対応する位置に凹部は形成されずローラ57との接当でセクタプレート53の揺動限界を決めるストッパー部53Bがセクタプレート53に形成されている。
【0020】機体フレーム51に対して前記感度調節レバー14と一体揺動する調節レバー軸61を横向き姿勢の軸芯周りで揺動自在に支持すると共に、この調節レバー軸61に対して回動規制片62を固設し、この回動規制片62との接当で揺動端の後方への揺動が規制される調節アーム63を該調節レバー軸61に相対回転自在に支持し、又、この調節アーム63と回動規制片62とを接当させるバネ64を備え、この調節アーム63の揺動端に前記操作ワイヤ47のアウターワイヤ47Aの端部を連結固定してある。尚、感度調節レバー14は図6に示す如く、「敏」と「鈍」との間の領域においてレバーガイド65に係止保持されるよう構成されている。
【0021】この調節アーム63にアウターワイヤ47Aが連結される操作ワイヤ47のインナーワイヤ47Bは後述するようにリフトシリンダ9に作動油を給排する制御弁V(図11を参照)と連係しており、感度調節レバー14を「敏」の側に操作した場合にはアウターワイヤ47Aを後方に送りインナーワイヤ47Bを引き操作したものと同様の状態となる結果、図3に示す整地フロート27の側のアウターワイヤ47Aの端部(縦リンク40の上端)とインナワイヤ47Bの端部(ピン44の位置)との距離Dが短縮して整地フロート27の目標姿勢が前下がり姿勢に変化すると同時に感知バネ45から整地フロート27に作用する付勢力が低下する結果、整地フロート27は容易に揺動し得る状態となり感度が高まるものとなり、「鈍」の側に操作した場合にはアウターワイヤ47Aを前方に送りインナーワイヤ47Bを弛み側に操作したものと同様の状態となる結果、整地フロート27の側のアウターワイヤ47Aの端部(縦リンク40の上端)とインナワイヤ47Bの端部(ピン44の位置)との距離Dが拡大して整地フロート27の目標姿勢が前上がり姿勢に変化すると同時に感知バネ45から整地フロート27に作用する付勢力が高まるする結果、整地フロート27の揺動が抑制される状態となり感度が高まるものとなっている。
【0022】レバー軸52と平行姿勢の中間軸68に対して略縦向き姿勢となる第1アーム69と第2アーム70とを下方に延設する姿勢で該中間軸68と一体揺動するよう固設され、この第1アーム69において中間軸68より上方に位置する部位に前記接当アーム55の接当部材56が接当し得るよう夫々を相対配置してあり、第1アーム69の揺動端を前方に向けて付勢する戻しバネ71を設け、この第1アーム69の下側の揺動端に穿設した孔部69Aに前記操作ワイヤ47のインナーワイヤ47Bを挿通し、このインナーワイヤ47Bの端部に固設したボール状の接当部材47Cを第1アーム69の内面に接当できるよう構成してある。尚、第1アーム69は横断面形状がチャンネル状となる素材を用い、インナワイヤ47Bの接当部材47Cが接当する部位に両側の部材を前方に広い幅となる姿勢の案内面69S、69Sに形成して、インナーワイヤ47Bが弛んだ場合のように接当部材47Cが前方に大きく変位した状態からインナワイヤ47Bが緊張した状態に切り換わった場合には接当部材47Cが案内面69S、69Sに沿って第1アーム69の左右の部材の間に送られ、適正な位置で接当するように構成されている。
【0023】又、図11に示すように、前記無段変速装置Hはミッションケース5の左側面に連結固定され、この無段変速装置Hの入力軸73に備えたプーリ74に巻回する無端ベルト75を介してエンジン4からの動力が伝えられるよう構成され、又、この無段変速装置Hの出力軸76からの変速動力をミッションケース5に伝えるよう伝動系が形成されている。前記入力軸73は無段変速装置Hを左右に貫通する形態で備えられ、この入力軸73の右端からの動力で駆動される油圧ポンプPをミッションケース5の右側位置に備えている。又、ミッションケース5の後部上面位置に制御弁Vを連結固定し、この制御弁Vに対して前記油圧ポンプPがミッションケース5の潤滑油を作動油として供給する油路77が形成されている。
【0024】制御弁Vには前後向き姿勢でスライド操作自在に備えたスプール78をスプールバネ79で後方に向けて突出する方向に付勢すると共に、このスプール78の後端に接当して、該スプール78を接当操作する接当操作アーム80を制御弁Vに対し縦向き姿勢の軸81周りで揺動自在に支持し、この接当操作アーム80の揺動端と第2アーム70の揺動端との間に操作ロッド82を介装してある。尚、昇降レバー13からの操作力を操作ロッド82に伝える系で連係機構Eが構成され、この連係機構Eはインナーワイヤ47Bに備えた接当部材47Cと第1アーム69との間に形成される融通部Eaと、第1アーム69の揺動力を操作ロッド82に伝える中間軸68と第2アーム70とで構成されている。
【0025】図12に示すように、制御弁Vは、弁本体の内部に前記スプール78を備えると共に、このスプール78からリフトシリンダ9に対するシリンダポートCyとの間の油路にパイロット圧で開き操作される第1チェック弁83と、この油路を開閉操作する開閉弁84と、第2チェック弁85と、この第2チェック弁85と並列に配置したオリフィス86とを備え、又、ポンプポートPoからの油路に第1リリーフ弁87を備え、第1チェック弁83を制御するパイロット油路に圧力を作用させるための第2リリーフ弁88を備えている。又、前記スプール78は中立位置N、上昇位置UP、下降位置DW夫々に操作自在に構成され、同図に示す如くスプール78を中立位置Nに設定するとポンプポートPoからの作動油が直接タンクポートTaに送られパイロット圧が発生しないので第1チェック弁83は閉じ状態を維持し、開閉弁84を開放位置に設定した状態でスプール87を上昇位置UPに操作するとスプール78から送られる作動油の圧力で第1チェック弁83、第2チェック弁85とも開放してシリンダポートCyから迅速に圧油をリフトシリンダ9に供給し、開閉弁84を開放位置に設定した状態でスプール87を下降位置DWに設定するとスプール87から第2リリーフ弁88に圧油が供給され、この第2リリーフ弁88で発生した圧力がパイロット油路を介して第1チェック弁83を開放操作する結果、リフトシリンダ9からオリフィス86で流れ抑制された状態で排油が行われるものとなっている。又、ポンプポートPoには前記油圧ポンプPからの作動油が供給され、タンクポートTaはミッションケース5の内部と連通し、開閉弁84は運転座席下方の切換レバー89とワイヤ90を介して連係し、苗植付装置Aを大きく上昇させた状態で作動油のリークによる下降を阻止したい場合には切換レバー89を「閉」位置に設定するものとなっている。
【0026】図6、図7に示すように、前記セクタプレート53に対してレバー軸52の軸芯を中心とした円弧状の長孔53Cに押し引き型の第1ロッド93の一方の端部を係合連結し、この第1ロッド93の他方の端部を機体下部に横向き姿勢の支軸94周りで揺動自在に支持した揺動プレート95に連結し、この揺動プレート95とミッションケース5に内蔵した前記植付クラッチCを入り切り操作するアーム96の揺動端とを押し引き操作型の第2ロッド97で連係し、更に、揺動プレート95を植付クラッチCを切り側に付勢力を作用させるバネ98を備えている。
【0027】前記昇降レバー13を「上昇」位置の方向に付勢する引っ張りバネ101を備えると共に、このバネ101の付勢方向に抗する方向にセクタプレート53を回動操作するよう一端を前記リンク機構Lに連係したフィードバックリンク102の他方の端部を該セクタプレート53に連係し、更に、係合アーム58を非係合方向に作動させるようワイヤ103のインナーワイヤ103Bの一端を該係合アーム58に連結し、この操作ワイヤ103のインナーワイヤ103Bの他方の端部を前記主変速レバー11と連係してある。この構成は所謂バックアップ制御を行うためのものであり、主変速レバー11が機体後進側に操作された場合にはワイヤ103のインナーワイヤ103Bを引き操作してセクタプレート53に対するローラ57の係合を解除してバネ101の付勢力で昇降レバー13を「上昇」位置に切り換えて苗植付装置Aの上昇を開始し、この上昇により苗植付装置Aが所定の高さまで上昇するとフィードバックリンク102からの操作力で昇降レバー13を「中立」位置に戻して上昇制御を終了するものとなっている。
【0028】このように構成したことから、昇降レバー13を「中立」位置から「上昇」位置に操作すると、接当アーム55の接当部材56が第1アーム69の上端に接当して中間軸68を回動させ、この回動に伴う第2アーム70の揺動で操作ロッド82が引き操作される結果、制御弁Vのスプール78がスプールバネ79の付勢力によって上昇位置UPに操作されリフトシリンダ9に作動油が供給されることで苗植付装置Aが上昇する。又、この上昇時には第1アーム69の下部の揺動端が機体後方に向けて揺動し、整地フロート27の前部が垂れ下がる状態となり、インナーワイヤ47Bが第1アーム69の孔部69Aから前方に突き出し、接当部材47Cが第1アーム69の被接当面から大きく離間するものとなる。
【0029】次に、昇降レバー13を「中立」位置から「下降」位置に操作すると、接当アーム55の接当部材56が第1アーム69の上端から離間する状態となるので、戻しバネ71の付勢力で中間軸68を回動させ、この回動に伴う第2アーム70の揺動で操作ロッド82が押し操作される結果、制御弁Vのスプール78が下降位置DWに操作されてリフトシリンダ9から作動油が排出されることで苗植付装置Aが下降する。又、このように苗植付装置Aが下降すると整地フロート27が圃場面Sに接触して操作ワイヤ47のインナーワイヤ47Aが緊張状態に達し、戻しバネ71の付勢力に抗して、この操作ワイヤ47からの力を第2アーム70、操作ロッド82を介して制御弁Vのスプール78に伝えて、このスプール78を中立位置Nに操作した時点で苗植付装置Aの下降が停止する。このように苗植付装置Aの下降が停止した時点で整地フロート27は目標姿勢に維持され、苗植付装置Aと圃場面Sとの相対距離の変化で整地フロート27の姿勢が目標姿勢から外れた場合には、操作ワイヤ47からの操作力で制御弁Vを操作して整地フロート27を目標姿勢の維持するよう苗植付装置Aを昇降させる自動昇降制御が行われるものとなる。そして、この自動昇降制御時に感度調節レバー14を操作した場合には、前述のようにアウターワイヤ47Aの基準位置が変化することにより整地フロート27の目標姿勢が変化し感知バネ45の付勢力が変化するので昇降制御の感度を調節し得るものとなっている。特に、整地フロート27が土塊に乗り上げた場合のように、整地フロート27が短時間のうちに大きく持ち上がった場合には、インナーワイヤ47Bが引き操作されることになるが、調節アーム63がバネ64の付勢力に抗してインナーワイヤ47Bの引き作動量を減ずる方向に揺動する結果スプール78に過大な力を作用させないものとなっている。
【0030】次に、昇降レバー13を「下降」位置から「植付」位置に操作すると、既に接当アーム55の接当部材56が第1アーム69の上端から離間する状態となっているので、苗植付装置Aの自動昇降制御状態は維持されたまま、セクタプレート53の長孔53Cの端部に第1ロッド58の端部が接当してセクタプレート53からの操作力が第1ロッド93から揺動プレート95、第2ロッド97を介して植付クラッチCのアーム96を入り位置に操作して苗植付装置Aに対して動力を伝え植付作動を開始するものとなっている。
【0031】このように本発明では、大型で高強度の部材を用いずとも植付深さ調節レバー32を操作した場合にはロッド46を介して揺動リンク43を揺動させ検出基準位置の補正を確実、適正に行い計測機構による苗植付装置Aと圃場面Sとの相対距離を精度高く取り出し得るものとなっている。特に、整地フロート27の前部位置の左右方向での中央位置に屈伸リンクを備えたことにより整地フロート27の円滑な上下変位を行わせて、整地フロート27の上下変位を良好な作動で取り出し、又、圃場面Sに浮きワラが存在する場合でも、縦リンク40や揺動リンク43に絡みつくことによる作動不良を抑制し、植付深さ調節レバー32の操作による植付深さの調節時に計測機構の計測値を適正に補正する構造が簡単となり、しかも、揺動リンク43を良好に保護するものとなっている。
【0032】〔別実施の形態〕本発明は上記実施の形態以外に、例えば、操作ワイヤのインナワイヤの作動量を電気信号に変換するポテンショメータ等を備え、このポテンショメータからの電気信号に基づいて苗植付装置の昇降を行うよう制御手段が電気式に構成されたものに適用することも可能である。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年4月14日(1999.4.14)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−295908(P2000−295908A)
【公開日】 平成12年10月24日(2000.10.24)
【出願番号】 特願平11−106287