トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 田植機の粉粒体供給装置
【発明者】 【氏名】園田 義昭

【氏名】中川 善清

【氏名】松村 哲也

【要約】 【課題】ブロワからの各繰出し機構への風力分配構造を、組付け性や部品交換性が改善された取扱易い性に優れたものにする。又、合理的に施肥装置を機体に支持させるようにする。

【解決手段】肥料ホッパ13と、ホッパ13からの肥料を施肥ホース14の始端部20に所定量ずつ繰り出す繰出し機構15とを備えた繰出し部kを4組並設し、始端部20に出された肥料を風力で施肥ホース14に送り込むべく、ブロワ16の風を6箇所の始端部20に分配供給する送風ダクト17を設ける。送風ダクト17を、繰出し部k毎における始端部20に接続されるゴム製部分ダクト47,48,51と、これら部分ダクトどうし及びブロワ16とを順次接続連結するプラスチック製の連結ダクト49,50とを連結して成る単一の送風経路に構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 粉粒体を貯留するホッパと、このホッパから送られてくる粉粒体を粉粒体移送経路の始端部に所定量ずつ繰り出す繰出し機構とを備えた繰出し部を複数並設して成る田植機の粉粒体供給装置であって、前記始端部に繰り出された粉粒体を風力で前記粉粒体移送経路に送り込むべく、風力装置で生起された風を複数の前記始端部に分配供給する送風ダクトを設けるとともに、前記送風ダクトを、前記始端部に接続される状態で複数の前記繰出し部毎に配備される軟質材製の部分ダクトと、これら部分ダクトと前記送風装置とを順次接続連結する硬質材製の連結ダクトとで成る単一の送風経路に構成してある田植機の粉粒体供給装置。
【請求項2】 前記連結ダクトを、互いに隣合う部分ダクトどうしを接続連結する中間連結ダクトと、最も送風上手側の部分ダクトと前記送風装置とを接続連結する始端側連結ダクトと、最も送風下手側の部分ダクトの送風下手側端の蓋となる状態に接続される終端側ダクトと、で構成してある請求項1に記載の田植機の粉粒体供給装置。
【請求項3】 前記始端部の各々に供給される風力を均一化するべく、前記部分ダクト内の送風経路に突出する突起部を該部分ダクトに一体形成してある請求項1又は2に記載の田植機の粉粒体供給装置。
【請求項4】 前記風力装置を支持する枠部材を、機体側のフレーム部材に対して回動可能に支承し、前記風力装置を、これが前記連結ダクトに接続連結される閉じ作用姿勢と、前記連結ダクトとの連結を解除して接続連結部が露呈される開き退避姿勢とに姿勢変更自在に構成してある請求項1〜3のいずれか1項に記載の田植機の粉粒体供給装置。
【請求項5】 複数の前記繰出し部を一体的に支持する主支持フレームと、この主支持フレームを機体に固定する取付けフレームと、前記風力装置を回動可能に支承する前記フレーム部材とによって粉粒体供給装置用フレームを構成してある請求項4に記載の田植機の粉粒体供給装置。
【請求項6】 前記主支持フレームを、断面形状が略コ字状となるチャンネル材で構成するとともに、そのチャンネル材の内側部分にハーネス配策用の空間部を設けてある請求項5に記載の田植機の粉粒体供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、施肥装置や施薬装置等の田植機に装備される粉粒体供給装置に係り、詳しくは、繰り出された粉粒体を風力移送させる機構や、粉粒体供給装置の支持フレームを、必要な機能は確保しながら各部材の小型化や部品点数の削減が図れた合理的なものに構成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】田植機に搭載される施肥装置は、特開平10‐215622号公報に示されるように、運転座席と苗載台との前後間における機体に搭載されたものが多い。その所謂ミッド配置の施肥装置は、ホッパから繰り出された肥料を、機体の左横に配備したブロワによる風力により、フロート部分に配置される作溝器までの比較的長い移送経路を詰まり無く良好に肥料を移送できるように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術では、機体横側方に配備したブロワの風を複数条(6条)毎に備えた施肥ホースの始端部に分配供給するために、機体幅を越える左右に長い単一のダクトを用いており、各繰出し機構の風取り込み口をダクトに対してほぼ垂直方向から接続する構造としてある。
【0004】その構造では、ダクトが長尺部材であるためにその組付け及び取外しが面倒で行い難いものであるとともに、いずれか一つの繰出し機構との接続部にひび割れ等の損傷が生じると、それ以外の大部分が正常であってもダクトを丸ごと交換しなければならない不経済な面もあった。又、複数の繰出し機構やブロワ等の機体への取付け構造については具体的に開示されていなかった。
【0005】本発明は、ブロワからの各繰出し機構への風力分配構造を、組付け性や部品交換性を改善して取扱易いものにすることを目的とする。又、粉粒体供給装置の機体への支持構造を合理的に構成することも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】〔構成〕第1発明は、粉粒体を貯留するホッパと、このホッパから送られてくる粉粒体を粉粒体移送経路の始端部に所定量ずつ繰り出す繰出し機構とを備えた繰出し部を複数並設して成る田植機の粉粒体供給装置において、始端部に繰り出された粉粒体を風力で粉粒体移送経路に送り込むべく、風力装置で生起された風を複数の始端部に分配供給する送風ダクトを設けるとともに、送風ダクトを、始端部に接続される状態で複数の繰出し部毎に配備される軟質材製の部分ダクトと、これら部分ダクトと送風装置とを順次接続連結する硬質材製の連結ダクトとで成る単一の送風経路に構成してあることを特徴とする。
【0007】第2発明は、第1発明において、連結ダクトを、互いに隣合う部分ダクトどうしを接続連結する中間連結ダクトと、最も送風上手側の部分ダクトと送風装置とを接続連結する始端側連結ダクトと、最も送風下手側の部分ダクトの送風下手側端の蓋となる状態に接続される終端側ダクトと、で構成してあることを特徴とする。
【0008】第3発明は、第1又は第2発明において、始端部の各々に供給される風力を均一化するべく、部分ダクト内の送風経路に突出する突起部を該部分ダクトに一体形成してあることを特徴とする。
【0009】第4発明は、第1〜第3発明において、風力装置を支持する枠部材を、機体側のフレーム部材に対して回動可能に支承し、風力装置を、これが連結ダクトに接続連結される閉じ作用姿勢と、連結ダクトとの連結を解除して接続連結部が露呈される開き退避姿勢とに姿勢変更自在に構成してあることを特徴とする。
【0010】第5発明は、第4発明において、複数の繰出し部を一体的に支持する主支持フレームと、この主支持フレームを機体に固定する取付けフレームと、風力装置を回動可能に支承するフレーム部材とによって粉粒体供給装置用フレームを構成してあることを特徴とする。
【0011】第6発明は、第5発明において、主支持フレームを、断面形状が略コ字状となるチャンネル材で構成するとともに、そのチャンネル材の内側部分にハーネス配策用の空間部を設けてあることを特徴とする。
【0012】〔作用〕請求項1の構成によれば、送風ダクトを、始端部に接続される状態で複数の繰出し部毎に配備される部分ダクトと、これら部分ダクトと送風装置とを順次接続連結する連結ダクトとで成る単一の送風経路に構成したので、例えば6条用のものでは、送風ダクトが6個の部分ダクトと6〜7個の連結ダクトとの計12〜13個といった複数に分割されることになり、一つの部品としての大きさが小さくなり、その点で組み付けや取り外しが行い易くなるとともに、ダクトに損傷が生じたときには、その壊れた箇所のみ交換できるようになる。
【0013】部分ダクトを軟質材で構成したので、部分ダクトと始端部との連結箇所が部分ダクトの弾性によって風漏れがないように隙間無く密着させることが可能になり、ゴム製グロメット等の密着させるための別部品を不要にすることができる。そして、連結ダクトは硬質材で構成したので、部分ダクトどうしをしっかりと連結固定でき、軟質材故に保形性の点では不利となる部分ダクトを型崩れなく支持することが可能である。
【0014】請求項2の構成によれば、連結ダクトを、互いに隣合う部分ダクトどうしを接続連結する中間連結ダクトと、最も送風上手側の部分ダクトと送風装置とを接続連結する始端側連結ダクトと、最も送風下手側の部分ダクトの送風下手側端の蓋となる状態に接続される終端側ダクトとの3種類で構成するものであり、夫々の場所において好適な形状や大きさに設定できるようになる。例えば、中間連結ダクトは円滑な風の流れとなるよう円筒形に構成し、始端側連結ダクトはブロワの風を効率よく伝達するべく基端拡がり形状とか大径円筒形に構成するといったことが自在に行え、粉粒体の風力移送効率を向上させることが可能である。
【0015】請求項3の構成によれば、次のような作用が得られる。一般に、長尺状のダクトの長手方向に複数の風取出し口を並設し、かつ、ダクトの一端から風を送り込む構成では、風上側ほど風圧(風量)が弱くなる傾向がある。従来では、その最も風圧の弱くなる最風上側の繰出し部にも十分な風が供給されるように設定するしかなく、その最風上側の繰出し部以外の繰出し部には過剰な風が供給される無駄があるとともに、風力装置も大型化していた。
【0016】そこで、上記の単一経路となるダクト構造を採りながらも、風上側と風下側とで極力同じ風の条件となるようにするには、種々の考察や実験結果から、ダクト内における始端部との接続箇所の風下側の送風通路に絞りを設けて、部分的に背圧を発生させるのが有効であることが分かってきた。
【0017】そこで、始端部の各々に供給される風力を均一化するべく、部分ダクト内の送風経路に突出する突起部を部分ダクトに一体形成するのである。例えば、風上側ほど突起の突出量を大にすることにより、複数の始端部に送られる風圧や風量等の条件を均一化でき、粉粒体の移送量が各繰出し部で偏るとか動力の無駄等を解消又は抑制でき、風力装置の小型化を図ることが可能になる。又、部分ダクトは軟質材製であるので、内部に突起を設けた形状としても成形型の無理抜きが可能であり、型数が増えるとか型費が高騰する等が生じ無い点も有利である。
【0018】請求項4の構成によれば、風力装置を支持する枠部材を、機体側のフレーム部材に対して回動可能に支承して、連結ダクトに接続連結される閉じ作用姿勢と、連結ダクトとの連結を解除して接続連結部が露呈される開き退避姿勢とに姿勢変更自在に構成したので、粉粒体の供給作動時の閉じ作用姿勢を現出しながらも、開き退避姿勢として点検や整備が行い易い状態も現出できるようになる。又、その姿勢変更を機体への固定点を支点とした揺動で行わせるので、位置ずれが生じ難くなって風漏れを防止できるとともに、退避姿勢にしても外さないものであるから、途中で脱落したり紛失したりするおそれが無い点も好ましい。
【0019】請求項5の構成によれば、複数の繰出し部を一体的に支持する主支持フレームと、この主支持フレームを機体に固定する取付けフレームと、風力装置を回動可能に支承するフレーム部材とによって粉粒体供給装置用フレームを構成したので、複数の繰出し部の機体への固定支持機能、及び風力装置の回動支持機能とを満たしながら、最少部品点数、或いは最小部品といった無駄の無い状態とすることができる。
【0020】請求項6の構成によれば、主支持フレームを、断面形状が略コ字状となるチャンネル材で構成するとともに、そのチャンネル材の内側部分にハーネス配策用の空間部を設けたので、複数の繰出し部を強度十分に支持しながら、その内側空間部分を肥料残量センサ等のハーネスの通り道として有効利用することができ、各部品や部材の集約配置化が可能になる。
【0021】〔効果〕請求項1〜6のいずれに記載の田植機でも、繰出し部に接続される軟質材の部分ダクトと連結ダクトとの複数個で長尺な送風ダクトとする分割構成により、組付け及び取外し性が向上し、かつ、部品交換が可能になるとともに、部分ダクトと始端部との接続構造の簡素化も図れるので、取扱性や経済性に優れる合理的な粉粒体供給装置を提供できるに至った。
【0022】請求項2に記載の粉粒体供給装置では、部分ダクトどうしの間、部分ダクトと送風装置との間、及び風下端の蓋部分という3種の配置場所毎に連結ダクトを区別して構成することにより、送風ダクトとしての形態を損なうことなく送風効率を向上させることができた。
【0023】請求項3に記載の粉粒体供給装置では、軟質材製の部分ダクト内部に突起を一体形成することにより、単一の長尺状送風ダクトを用いながらも成形用型を増加することなく複数の繰出し部に極力同条件の風を供給することができ、経済的かつ合理的に送風装置の小型とそれによる省エネルギー化を図ることができた。
【0024】請求項4に記載の粉粒体供給装置では、送風装置を揺動で姿勢変更させることにより、紛失や置き忘れのおそれなく強度十分に、かつ、風漏れなく支持でき、使用時における閉じ作用姿勢と、メインテナンス用の開き退避姿勢とに良好に切換えられる利点がある。
【0025】請求項5に記載の粉粒体供給装置では、構成部品に無駄の無い状態としながら、繰出し部の固定支持機能や風力装置の回動支持機能を必要十分に備えた合理的なものにできた。
【0026】請求項6に記載の粉粒体供給装置では、複数の繰出し部を支持する主支持フレームを断面コ字状のチャンネル材で構成することにより、その主支持フレーム内側をハーネス通し空間に有効利用しながら強度十分な支持機能が現出でき、無理無く機能の兼用化が図れて合理化できる利点がある。
【0027】
【発明の実施の形態】図1,図2に示すように、操向操作自在な左右一対の前輪1及び左右一対の後輪2を備えた機体の前部に、エンジン3及びミッションケース4を備えて、機体の中央部に運転部5を形成し、機体の後部にリンク機構6を介して苗植付装置7を昇降操作自在に連結して乗用型田植機を構成してある。苗植付装置7は6条植えに構成されており、3個の植付伝動ケース8、植付伝動ケース8の左右両側に回転駆動自在に支持される回転ケース9、回転ケース9の両端に配備される一対の植付爪10、3個の接地フロート11、及び苗載台12等で構成してある。
【0028】次に施肥装置Aについて説明する。図1〜図6に示すように、施肥装置Aは、粉粒体である肥料を貯留するホッパ13、このホッパ13から流下して送られてくる肥料を肥料移送経路である施肥ホース14の始端部である漏斗部20に所定量ずつ繰り出す繰出し機構15、施肥ホース14で送られてくる肥料を圃場に供給する作溝器52、漏斗部20に繰り出された肥料を風力で施肥ホース14に送り込むブロワ(風力装置の一例)16、ブロワ16で生起された風を計6箇所の施肥ホース14に分配供給する送風ダクト17等から構成されている。
【0029】図6,図8に示すように、繰出し機構15は、外周に肥料入込み用の凹部24aが周方向に沿って多数形成された繰出しロールRを、ホッパ13の肥料排出口の下方で、漏斗部(請求項1の「粉粒体供給経路の始端部」の一例)20の上方の位置で回転可能にロールケース18内に配置して構成してある。繰出しロールRを、これに一体形成された従動ギヤ19Gと、動力が入力される駆動軸21の駆動ギヤ21Gとの咬合によって駆動回転するように構成してある。
【0030】図8,図9に示すように、繰出しロールRは、一端に従動ギヤ19Gが形成された中空状の回転軸19に、2種類の幅と2種類の深さを備えた計6個の部分ロールr1〜r3を一体回転状に外嵌して構成されている。左右方向で中央の第1部分ロールr1,r1と、中央から2番目の第2部分ロールr2,r2とは幅及び深さの小なる凹部24aを備えた同一のものであり、左右端の第3部分ロールr3,r3は幅及び深さの大なる凹部24aを備えたものに設定してある。
【0031】各部分ロールr1〜r3の夫々には、左右片側にのみ仕切り壁24bが形成されており、各仕切り壁24bが全て同じ向きになるように並設されるとともに、一方の第1部分ロールr1の仕切り壁24bが繰出し機構としての左右中心に一致するように配置されている。そして、一方の最も端の第3部分ロールr3とロールケース18との間に1個の仕切りリング23を配備することによって各凹部24aを軸方向に仕切ってある。尚、22は、各部分ロールr1〜r3にすり切り作用するブラシである。
【0032】図8〜図11に示すように、繰出しロールRの上側には、押込み移動及び復帰自在な第1〜第3部分シャッターs1〜s3を備えて成るシャッター機構Sが配置されている。このシャッター機構Sは、第1〜第3部分ロールr1〜r3のいずれか一つ又は複数に肥料供給するかを選択設定することにより、単位時間当たりの施肥量を複数段階に調節できるようにするものである。
【0033】各部分シャッターs1〜s3はいずれも同じ構造であり、図12に示すように、第2部分シャッターs2のもので説明すると、ホッパ13からの肥料が繰出しロールRに流下するのを阻止する遮断板26と、手指で摘むことで押し引き操作される棒状の操作部25とで構成されている。遮断板26はバネ板製であって上下方向に弾性変形自在であるとともに、操作部25はロールケース18に形成された前後方向視でL字状の挿通孔79を貫通して前方に延設されている。
【0034】操作部25を摘んで(前方に)引っ張り出せば遮断板26が繰出しロールR上に位置して肥料供給が遮断される閉じ姿勢になり(図11の左側参照)、操作部25を摘んで(後方に)押し込めば、遮断板26が上方に屈曲してロールケース18内壁面に沿って収納されて、繰出しロールR上に細い操作部25のみが位置して肥料供給される開通姿勢になる(図8及び図11の右側参照)。
【0035】例えば、第1及び第2部分ロールr1,r2に対するシャッターs1,s2を引っ張り出して閉じ姿勢にし、かつ、第3シャッターs3を押し込んで開通姿勢にすると、第3部分ロールr3の凹部24aにのみ肥料が入り込む状態で施肥が行われる。又、全ての部分シャッターs1〜s3を押し込めば、全ての部分ロールr1〜r3の凹部24aに肥料が入り込むので、単位時間当たりに繰り出される肥料が多い状態となる。このように3個の部分シャッターs1〜s3を単独で、或いは組み合わせて押し込み又は引っ張り出しすることにより、単位時間当たりに繰り出される肥料の量を5段階(r1又はr2,r3,r1+r2,r1又はr2+r3,r1+r2+r3)に調節することができる。
【0036】上記構造の繰出し機構15を2条一体型に構成して成る繰出し部kの4組を左右に並設してあるとともに、その4組の繰り出し部kのうちの内側2組の繰出し部k,kは、2組あるシャッター機構S,Sの一方を全閉状態として1組の繰出し機構15のみ作動する1条用のものに設定してある。つまり、図10に示すように、左右端の2条用の繰出し部k,kの間に、2組の1条用の繰出し部k,kを配置して6条用の施肥装置Aを構成してある。
【0037】ホッパ13は、左右端の2条用大容量ホッパ部13a,13aと、内側の1条用小容量ホッパ部13b,13bとを一体形成して成る樹脂製のものに構成されている。小容量ホッパ部13b,13bの前後幅は、運転座席27の後方に位置する短いものに、かつ、大容量ホッパ部13a,13aの前後幅は、運転座席27の左右側方に回り込む長いものに構成してあり、2条用と1条用夫々の肥料量に見合った容量が設定されている。又、ホッパ13の開閉蓋28は、4箇所のホッパ部13a,13b,13b,13aに亘る一体品であり、図7に示すように、後部に設けた支点Zで揺動開閉自在に取付けてある。
【0038】繰出し機構15の駆動構造について説明する。図7〜図10に示すように、4個の各ロールケース18のボス部18bに亘って、断面六角状の1本の駆動軸21が回転自在に支持されており、この駆動軸21に前述した駆動ギヤ21Gを相対回転自在に外嵌してある。そして、シフト回転体29が駆動軸21に一体回転及びスライド自在に外嵌されて、シフト回転体29を駆動ギヤ21Gへの咬合側に付勢するバネ30を備えるとともに、バネ30に抗してシフト回転体29を駆動ギヤ21Gから離脱させるべく、揺動自在なシフト部材31を備えてある。つまり、ワイヤー(符記せず)を引張ることでシフト部材31を強制揺動させて、駆動軸21の回転動力が繰出し機構15に伝わるのを遮断可能な施肥クラッチ33を構成してある。
【0039】図1,図4に示すように、車体下部には、ミッションケース4から機体後部の後車軸ケース34に動力伝達する走行伝動軸35が前後配置されており、この走行伝動軸35から施肥装置Aに動力分配するための伝動ケース36を、後車軸ケース34の直前位置に設けてある。走行伝動軸35を囲繞する状態の伝動ケース36にはベベルギヤ機構(図示せず)が装備され、その出力軸に取付けた駆動アーム37を左右一方の横側方に装備してある。
【0040】一方、図7,図13,図14に示すように、駆動軸21には、第1ワンウェイクラッチ38を介して従動アーム39が装備されており、この従動アーム39と駆動アーム37とをロッド40で連動連結してあるとともに、従動アーム39の上方揺動と下降揺動のいずれの動きも、駆動軸21の一定方向の回転に変換させる変換機構41を備えてある。つまり回転する駆動アーム37で往復駆動揺動される従動アーム39を1個備える構造としながら、駆動軸21を連続的に一定方向に回転させるようにしてある。
【0041】変換機構41は、第1ワンウェイクラッチ38と同方向の回転力のみ伝達する第2ワンウェイクラッチ42を介して駆動軸21に外嵌される副従動アーム43と、支点Yで揺動自在なベルクランク44と、従動アーム39の前端部とベルクランク44とを連動するロッド45と、ベルクランク44と副従動アーム43とを連動するロッド46とから構成されている。
【0042】つまり、従動アーム39が上昇揺動するときは、図13(イ)に示すように、第1ワンウェイクラッチ38が一体で回動して駆動軸21を矢印イ方向に回転させ、矢印ロ方向に回動するこ になる副従動アーム43の回転は、第2ワンウェイクラッチ42が空回りすることになる。又、従動アーム39が下降揺動するときは、図13(ロ)に示すように、矢印ロ方向に回動することになる第1ワンウェイクラッチ38は空回りし、矢印イ方向に回転することになる副従動アーム43の回転は、第2ワンウェイクラッチ42が一体で回動して駆動軸21を同じく矢印イ方向に回転させるのである。
【0043】図4,図5,図19に示すように、送風ダクト17は、漏斗部20に接続される状態で4組の繰出し部k毎に配備されるゴム等の軟質材製の部分ダクトD1と、これら部分ダクトD1とブロワ16とを順次接続連結するPE樹脂やPP樹脂等の硬質材製の連結ダクトD2とを繋ぎ合わせた単一の送風経路に構成してある。連結ダクトD2は、互いに隣合う部分ダクトD1どうしを接続連結する3個の中間連結ダクト49と、最も送風上手側の部分ダクト48とブロワ16とを接続連結する始端側連結ダクト50と、の計4部品で構成されている。
【0044】部分ダクトD1は、送風上手側2個の部分ダクト48,48と、蓋(終端側ダクトの一例)51bが一体形成された送風下手側の部分ダクト51と、送風下手側から2番目の部分ダクト47との3種類から構成されている。そして、各繰出し部kにおける漏斗部20の各々に供給される風力を均一化するべく、これら部分ダクト51,47,48,48内の送風経路に突出する突起部51a,47a,48a,48aを一体形成してある。送風下手側2個の突起部51a,47aは同じ突起であるが、これらよりも送風上手側2個の突起部48aの方が大きいものとしてある。
【0045】すなわち、送風ダクト17での風の取込み口面積を同一とした場合には、風下側程風圧が高くなって単位時間当たりの風方が大となる傾向にあり、それを是正するにはダクト内部に絞りを設けて、送風下手側の取込み口程、その風上側でのダクト断面積を小さくすることが有効であることが判ってきた。
【0046】従って、4個の部分ダクトD1夫々に形成される突起を、風上側から順に大きくすれば良いのであるが、そうすると4個の部分ダクトD1が全て異なる部品となり、型費が高くなるとか部品管理上や組付け間違いが生じ易い等の不利がある。そこで、大きい突起48aと小さい突起47a,51aとを備えた2種の部分ダクト48,47(51)を2個ずつ配置する手段により、各漏斗部20への風量の均一化と上記不利の解消との中用を図ってある。
【0047】繰出し部kにおいては、施肥ホース14の始端である風取込み口14a,14aが極めて接近して並んでいるので、風下側の風取込み口14aが送風ダクト17のより奥まで挿入されるように位置差を設けてあり、これによって相隣る風取込み口14a,14aでの風量の均一化も図ってある。又、部分ダクトD1はゴム製であって、各取込み口14aを隙間無く直接嵌合連結することができるので、従来では必要であったゴムパッキン等のシール材の省略に成功している。
【0048】図15〜図17に示すように、機体の左側に装備されるブロワ16は、電動モータ53で回転駆動される羽根車54を二つ割り構造のケーシング55内に収容して成る遠心型に構成されており、ケーシング55には、下向きの吸込み口55aと下側で右向きの排風口55bとが形成されている。排風口55bは、始端側連結ダクト50の始端側に挿入される構造である。
【0049】図5,図6,図18に示すように、ケーシング55に取付けられた側面視略コ字状のブラケット(請求項4の「枠部材」の一例)56を、始端側連結ダクト50の前側(電動モータ53側)に設けた縦軸芯X、すなわち機体フレーム側の支承パイプ57の縦向き部分に、上下方向に位置決めされた状態で相対回動自在に外嵌してある。これによりブロワ16は、排風口55bが始端側連結ダクト50に挿入して接続連結される閉じ作用姿勢と、その作用姿勢から前方に回動して排風口55bと始端側連結ダクト50との連結が解除されてその接続連結部が露呈される開き退避姿勢(図18の仮想線参照)とに姿勢変更自在である。
【0050】次に、施肥装置Aの支持フレームについて説明する。図4〜図6に示すように、施肥装置用支持フレームfは、4個の繰出し部kを一体的に支持する主支持フレーム58と、この主支持フレーム58を機体に固定する主及び副の取付けフレーム59,60と、前述した支承パイプ(請求項5の「フレーム部材」の一例)57とから構成されている。
【0051】主支持フレーム58は、上辺が下辺よりも後方に突出した断面略後向きコ字状で左右に延びるチャンネル材で構成され、各ロールケース18を2本の取付けボルト61で固定している。大小のホッパ部13a,13bの夫々には、肥料が残り少なくなったことを検出する肥料残量センサ62を計4個装備してあり、それらの配線である左右のワイヤーハーネス63,63を機体に導くべく、主支持フレーム58内側の空間部を利用して配策してある(図8参照)。
【0052】主支持フレーム58は、これに溶着された左右中央の主取付けフレーム59と、それの左右夫々にボルト止めされた計2個の副取付けフレーム60,60とで機体フレームFに支持してある。主取付けフレーム59は、左右一対のステー部59a,59aと、これらに亘ってに跨がる下向きU字状のパイプ部59bとを一体化して構成され、運転座席27等を支持する板金製の縦フレーム64にボルト止めされている。副取付けフレーム60は、後方に90度曲がる状態で立ち上げられた板材で構成され、後方フレーム66に溶着されたサポート部材(フェンダ65支持用)67にボルト止めされている。
【0053】支承パイプ57は、その下部が後方フレーム66から垂下されたブラケット66aにボルト止めされるとともに、主支持フレーム58の左端に前方突出状態に溶着されたアーム部材58aに上端部を嵌合してピン止めしてある。ブロワ16を支持するブラケット56は、上下のグロメット68,68を介して支承パイプ57に嵌装されるとともに、支承パイプ57に溶着されたワッシャ69で位置決めされている。
【0054】植付爪10によって植え付けられた苗の横側部に、溝を形成しながら肥料を田面に送り込んでいく作溝器52を備えてあり、6個の作溝器52が接地フロート11に各々2個ずつ取付けられている。左右外側2組の繰出し部k,kでは、各繰出し機構15と2個の作溝器52とが2本の施肥ホース14によって接続され、左右内側2組の繰出し部k,kでは、一方の繰出し機構15と1個の作溝器52とが1本の施肥ホース14で接続されている。
【0055】以上の構造により、PTO軸70の動力によって苗植付装置7の回転ケース9が回転駆動され、一対の植付爪10により苗載台12から交互に苗が取り出され田面に植え付けられて、苗の植付作業が行われる。これと同時に、走行伝動軸35の動力で駆動アーム37の回転運動によるロッド40の往復運動が、変換機構41によって駆動軸21の一定方向の回転運動に変換されて繰出し機構15が駆動される。
【0056】すると、繰出しロールRの凹部24aにホッパ13からの肥料が入り込み、回転軸19の回転により肥料が漏斗部20に繰出される、ブロア16の送風が、送風ダクト17を介して漏斗部20に供給され、高圧の風により肥料が施肥ホース14を通って作溝器52に迅速に供給され、作溝器18で形成された圃場の溝に肥料が供給されて施肥作業が行われるのである。
【0057】図13に示すように、従動アーム39におけるロッド40との連結位置が変更自在に構成されており、その連結位置変更により、ロッド40の往復運動に対する従動アーム39の揺動角度を変更し、駆動軸21及び繰出しロールRの回転速度を変更して、繰り出される肥料の量を調節することができる。
【0058】一つの植付伝動ケース8(一対の回転ケース9)に対して動力を伝動及び伝動遮断操作自在な各条クラッチ(図示せず)、各条クラッチを伝動及び伝動遮断操作する各条クラッチレバー(図示せず)が備えられている。図9に示すように、繰出し部kの固定部の軸芯周りで揺動自在な操作アーム31は、その端部がシフト回転体29に係合しており、各条クラッチレバー(符記せず)と操作アーム31とがワイヤ(符記せず)により接続されている。
【0059】これにより、例えば右側の植付伝動ケース8の各条クラッチレバーを伝動遮断側に操作して、右側の植付伝動ケース8の各条クラッチを伝動遮断操作すると、右側の植付伝動ケース8の一対の回転ケース9が停止して、右側の2つの植付条の植え付けが行われず、右側の2つの植付条に対応する肥料繰出し部kの駆動軸15が停止して、右側の2つの植付条への肥料の供給が停止する。
【0060】図8に示すように、シャッター機構Sの直下におけるブラシ22の前側には、肥料排出口71が形成してあり、横軸芯W周りで揺動自在な切換板72によって排出口71を開閉自在に構成してある。排出口71は、合流経路73を介して排出ホース74を接続してあり、通常の苗植付作業時には、切換板72を閉姿勢に操作され、ホッパ13からの肥料は全て繰出し機構15に供給される。そして、苗植付作業を終了した場合等において、ブロワ16及び施肥装置A停止させた状態で、切換板72を開姿勢に操作すると、ホッパ13に残った肥料が排出ホース74を通して排出することができる。
【0061】ところで、繰出し部kは2箇所の漏斗部20,20とその幅に見合う2組分のロールケース18を備えた2条一体型が基本であるが、左右中央の2個の繰出し部kは、6条用に合わせるために、一方の漏斗部20が機能しないようにしてある。すなわち、図10に示すように、3個1組の部分ロールr1〜r3のワンセットを省き、かつ、左右中央の2個の肥料ホッパ13b,13bでは、部分ロールr1〜r3のワンセット分の供給口幅となるように傾斜底面75を追加形成してある。
【0062】図20に示すように、作溝器52は、横断面形状が後向き開放コ字状に屈曲された鋼板で形成され、上下のビス52a,52bで接地フロート11の後向き面に固定されており、合成樹脂性等の可撓性を備えた蛇腹状連結路80を介して施肥ホース14を連通接続してある。作溝器52の前壁内側部分には、取付けビス81と上連結ビス52aとで絶縁体82を取付けてあり、その絶縁体82の上部に前向き形成された左右一対の突起82a,82aと、作溝器52の左右側壁どうしを連結する補強部材83の後方折曲げ部83aとに引っ掛けることで連結路80を作溝器52に連結してある。
【0063】そして、図21に示すように、絶縁体82の後面側には、上連結ビス52aで共締めされるとともに取付けビス81を避ける形状に湾曲形成された電極板84を設けてあり、この電極板84に陽極リード線85を、かつ、取付けビス81を用いて作溝器52自体に負極リード線86を夫々導通接続して、肥料詰まりセンサ87を形成してある。つまり、取付けビス81と電極板84とに跨がって肥料が付着することにより、それら両者間の抵抗値が所定値より小さくなるとブザーやランプ等の警報装置が作動するように構成されている。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年3月23日(1999.3.23)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−270637(P2000−270637A)
【公開日】 平成12年10月3日(2000.10.3)
【出願番号】 特願平11−78021