| 【発明の名称】 |
田植機の横送り装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】久保 守
【氏名】東尾 登
|
| 【要約】 |
【課題】横送り機能の支障なく、横送り軸のフィードケースからの突出量を少なくしてフィードケース全体としての形状を単純化し、梱包し易いとか運搬し易い等、フィードケースとしての取扱い性を向上させる。
【解決手段】苗載台横送り用の横送り駆動軸17を、フィードケース14に支承されて回転駆動される基軸20と、螺旋溝が周囲に刻設された螺旋軸44とをフィードケース外において着脱自在に連動連結する。基軸20の軸先端部20Aを螺旋軸44根元の筒軸部44Aに内嵌合し、かつ、その軸嵌合部において両軸20,44に跨がるロールピン45を装備するとともに、両軸20,44におけるピン挿入用の孔46,47を、それら両軸20,44の軸回転方向での相対連結位置が単一のものに限定される状態に形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フィードケースから横向きに横送り駆動軸を突設し、該横送り駆動軸の周囲に刻設された螺旋溝に係合する凸部を備えたコマ部材を苗載台に装備してある田植機の横送り装置であって、前記横送り駆動軸を、前記フィードケースに支承されて回転駆動される基軸と、前記螺旋溝が周囲に刻設された螺旋軸とで構成し、前記基軸における前記フィードケースから外部に突出した軸先端部と前記螺旋軸とを、これら両軸の着脱が自在となるように一体回転状態に連結してある田植機の横送り装置。 【請求項2】 前記基軸と前記螺旋軸とを軸方向に嵌合し、かつ、その軸嵌合部において前記両軸に跨がるピンを装備してこれら両軸を一体回転状態に連結するとともに、前記両軸における前記ピン挿入用の穴又は孔を、それら両軸の軸回転方向での相対連結位置が単一のものに限定される状態に形成してある請求項1に記載の田植機の横送り装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、田植機の横送り装置に係り、詳しくは、苗載台を往復横送りするための横送り駆動部をコンパクトな部品状態として取扱い易いものとしながら、組み付け完成状態における横送りの誤作動が生じないようにする技術に関する。 【0002】 【従来の技術】苗載台を往復横送りする構造としては、特開平10‐66424号公報に示されたもののように、周囲に螺旋溝が刻設された横送り駆動軸をフィードケースから左右向きに突設し、螺旋溝に係合するコマ部材を苗載台の裏面に取付けることにより、横送り駆動軸の回転に伴って苗載台が左右に往復横送り駆動されるように構成されていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】苗載台の横送り駆動構造上、横送り駆動軸はフィードケースから相当に長く突出しているので、ASSY部品としてのフィードケースを運搬や納入、或いは組付けラインの傍にストックさせる場合に、突出した横送り駆動軸が他物に衝突し易いとか、飛び出した横送り駆動軸が邪魔になって積み重ね難い、又は場所を取る割には数多く置き難い等の不都合があり、改善の余地が残されているものであった。 【0004】本発明の目的は、苗載台の横送り機能に支障をきたすおそれなく、横送り軸のフィードケースからの突出量を少なくしてフィードケース全体としての形状を単純化し、梱包し易いとか運搬し易い等、フィードケースとしての取扱い性を向上させる点にある。 【0005】 【課題を解決するための手段】〔構成〕第1発明は、フィードケースから横向きに横送り駆動軸を突設し、横送り駆動軸の周囲に刻設された螺旋溝に係合する凸部を備えたコマ部材を苗載台に装備してある田植機の横送り装置において、横送り駆動軸を、フィードケースに支承されて回転駆動される基軸と、螺旋溝が周囲に刻設された螺旋軸とで構成し、基軸におけるフィードケースから外部に突出した軸先端部と螺旋軸とを、これら両軸の着脱が自在となるように一体回転状態に連結してあることを特徴とする。 【0006】第2発明は、第1発明において、基軸と螺旋軸とを軸方向に嵌合し、かつ、その軸嵌合部において両軸に跨がるピンを装備してこれら両軸を一体回転状態に連結するとともに、両軸におけるピン挿入用の穴又は孔を、それら両軸の軸回転方向での相対連結位置が単1のものに限定される状態に形成してあることを特徴とする。 【0007】〔作用〕請求項1の構成によれば、横送り駆動軸を、フィードケースに支承されて回転駆動される基軸と、螺旋溝が周囲に刻設された螺旋軸とで構成し、基軸におけるフィードケースから外部に突出した軸先端部と螺旋軸とを、これら両軸の着脱が自在となるように一体回転状態に連結したものであり、横送り駆動軸がフィードケース付近の外部において基軸と螺旋軸とに分割することができる。 【0008】故に、田植機としての組付けラインにおいて基軸と螺旋軸とを連結させれば良く、それまでは螺旋軸を外しておくことで、フィードケースからの基軸の突出量は極僅かなものになり、他物に当てて基軸を曲げてしまうとか、運搬時に嵩張ったり積み重ね難いといった従来の不都合を解消できるようになる。 【0009】請求項2の構成によれば、基軸と螺旋軸とを軸方向に嵌合してピン連結するものであり、両軸におけるピン挿入用の穴又は孔を、それら両軸の軸回転方向での相対連結位置が単1のものに限定される状態に形成したので、誰が組み付けても基軸と螺旋軸との相対回転方向位置が必ず同じ状態になり、組付け間違いが生じないようになるとともに、両軸を取り外した後に再連結する際にも組付け間違いが生じないようになる。 【0010】〔効果〕請求項1又は2に記載の田植機の横送り装置では、横送り駆動軸をフィードケースから僅かに突出する基軸と螺旋軸とを着脱自在に連結する分割構成により、フィードケース単体としては横送り駆動軸が殆ど突出しない状態にできたので、軸が嵩張らず、運搬や貯留するに好都合な形状になり、横送り駆動部としての取扱性を改善することができた。 【0011】請求項2に記載の田植機の横送り装置では、基軸と螺旋軸とを直接嵌合させることで、カップリング等の別部材を用いる手段に比べて廉価に構成できるとともに、1種類の組付け方しかできないようにピン連結させる工夫により、作業の熟練や未熟を問わずに組付け間違いが生じないようになって正規の横送り機能が得られる利点がある。 【0012】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1、図2に示すように、操向操作自在な左右一対の前輪1及び左右一対の後輪2を備えた機体の前部に、エンジン3及びミッションケース4を備えて、機体の中央部に運転部5を形成し、機体の後部にリンク機構6を介して苗植付装置7を昇降操作自在に連結して乗用型田植機を構成してある。苗植付装置7は6条植えに構成されており、3個の植付伝動ケース8、植付伝動ケース8の左右両側に回転駆動自在に支持される回転ケース9、回転ケース9の両端に配備される一対の植付爪10、3個の接地フロート11、及び苗載台16等によって構成してある。 【0013】図3〜図5に示すように、PTO入力軸13に入力された動力を3個の植付伝動ケース8に伝達するフィードケース14は、高低3段の横送り変速機構15を内装するとともに、苗載台16を往復横送りするための横送り駆動軸17と、横送りのストロークエンドにて苗載台16の苗植付装置を縦送りするための縦送り軸18とを備えている。尚、12は後輪2を支承する後車軸ケースである。 【0014】横送り変速機構15は、PTO入力軸13にベベルギヤ連動される第1軸19と、軸端に螺旋軸44が連結される第2軸20とに亘って架設構成され、第1軸19と出力軸21とに亘って、植付伝動ケース3に動力伝達するためのチェン機構22を構成してある。 【0015】図6、図7に示すように、横送り装置Aは、第2軸(基軸の一例)20におけるフィードケース14から外部に突出した軸端に螺旋軸44を連結して成る横送り駆動軸17と、螺旋軸44の周囲に刻設された螺旋溝23に係合する凸部24aを備えたコマ部材24と、このコマ部材24を回動自在に収容した状態で横送り駆動軸17を外囲する筒部材25と、筒部材25を苗載台16の裏面に取付けるためのステー26とを備えて構成されている。コマ部材24が回動自在であることにより、凸部24aの行き帰りのいずれの螺旋溝23にも沿う姿勢が現出できるようになっている。 【0016】第2軸20におけるフィードケース14から外部に突出した軸先端部の径を細くした細径軸部20Aを、螺旋軸44の基端部に形成された筒軸部44Aに内嵌合し、かつ、その軸嵌合部において両軸20,44に跨がるロールピン45を装備してこれら両軸を一体回転状態に連結してある。 【0017】図9に示すように、螺旋軸44におけるピン挿入用孔47は、筒軸部44Aの周上に1箇所のみ形成してあるとともに、第2軸20におけるピン挿入用孔46は、螺旋軸44のピン挿入用孔47と同径の作用孔部46aと、それよりも細い下孔部46bとで成る貫通孔として細径軸部20Aに形成されている。 【0018】以上の構成により、ロールピン45は、螺旋軸44のピン挿入用孔47と細径軸部20Aの作用孔部46aとに跨がって挿入される状態しか現出できないように、すなわち、両軸20,44におけるピン挿入用孔46,47を、それら両軸20,44の軸回転方向での相対連結位置が単一のものに限定される状態に形成してある。従って、第2軸20と螺旋軸44とは必ず決められた相対姿勢でもって連結されることになり、組み付け間違いが生じないようになっている。 【0019】例えば、両軸20,44を貫通する同一径の孔を形成した場合には、これら両軸の相対組み付け位置が180度ずれて2箇所存在するから、作業者によっては、或いは再組み付けするときに180度ずれて組付けられおそれが高いのに対して、本願の構造では誰がロールピン45の挿入操作を行っても、両軸20,44の組付け位置は必ず同じになるのである。 【0020】図6、図7に示すように、筒部材25に固定螺装されたボルト27は、ダブルナット28を用いることで、苗載台16の苗載面の上下方向に移動自在であり、かつ、左右方向には位置決めされる状態で、ステー26の長孔26aに嵌合されており、この構造によって苗取り量調節を行うための苗載台16の上下移動調節が可能である。ステー26の基端側は二股状に形成されており、縦送りベルト35を跨いだ状態で苗載台16にボルト止めされている。 【0021】筒部材25には螺旋溝23に潤滑油を供給する給油カップ29を螺着装備してあり、図6に示すように、その給油カップ29を横送り駆動軸17の上側に配置し、かつ、コマ部材24を横送り駆動軸17の下側に配置してある。給油カップ29の下端は開放されており、内部に収容されたグリース等の潤滑油は、重量によってひとりでに横送り駆動軸17の外周及び螺旋溝23に供給されるとともに、供給された潤滑油は重力によって垂れ下がり移動して横送り駆動軸17の下部に集まる傾向になるが、そこにコマ部材24の凸部24aが存在しているので、螺旋溝23と凸部24aとの摺動部には十分な潤滑油が供給されるのである。又、給油カップ29は透明プラスチック等の内部が目視可能な透明容器に構成されており、潤滑油の残り量が一目瞭然となるようにしてある。 【0022】図7、図8に示すように、横送り駆動軸17先端を回転自在に支持するブラケット30と筒部材25とに亘って、及び筒部材25とフィードケース14とに亘って横送り駆動軸17を囲繞する蛇腹筒状でゴム製のブーツ部材31を架設してあり、ゴミやホコリ、異物等が螺旋溝23に付着しないダストシール機能、及び、横送り駆動軸17から垂れる潤滑油をブーツ内で受け止めて周囲に飛散させないカバー機能を現出させてある。 【0023】2個のブーツ部材31,31は互いに同じものであり、ブーツ部材31の一端の内周部に周状の小突起32を、かつ、他端の内周部に周状の大突起33の2個を夫々形成するとともに、筒部材25、及びブラケット30の夫々には、大突起33に係合する周溝34を形成してある。小突起32は、オイルシールのリップのようなものであり、密封性の向上に寄与する。 【0024】2個のブーツ部材31,31は、大突起33と周溝34との嵌合部側、及び小突起32とこれに嵌合する周溝が形成されない部分との嵌合部側のいずれにも、スクリューで強制的に締める構造の締め上げリング36を装着してあり、ブーツ部材31が抜け出さないように嵌合連結してある。尚、大突起33と周溝34との嵌合部側には、バネ材等による弾性リングを装着するようにしても良い。 【0025】〔別実施形態〕図10に示すように、下孔部46bと同径等のピン挿入用孔47よりも細い径の第2ピン孔47aを、ピン挿入用孔47と同軸芯状態で筒軸部44Aに形成した構造でも良い。この場合、第2ピン孔47aと下孔部46bからロールピン45を押し出して抜くための工具類を挿入することが可能である。 【0026】図9に示す軸連結構造において、細径軸部20Aのピン挿入用孔46を、下孔部46bを省略してピン挿入用穴とした構造でも良い。又、図10に示す別構造において、ロールピン45より径の細い第2ロールピン(図示せず)を第2ピン孔47aと下孔部46bとに跨がるように装備して、軸周における2箇所のトルク伝達部で螺旋軸44をより安定回転駆動させるようにしても良い。 【0027】第2軸20と螺旋軸44とを、キーボス又はスプラインを用いたカップリングによって連動連結する構造でも良い。この手段では、苗載台16を横送りするだけのトルク伝達の割りには軸連結部に要するコストが高い感があるが、本実施形態のように、軸どうしを直接嵌合させる構造では廉価にできる利点がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
|
| 【出願日】 |
平成11年3月25日(1999.3.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
|
| 【公開番号】 |
特開2000−270632(P2000−270632A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月3日(2000.10.3) |
| 【出願番号】 |
特願平11−80855 |
|