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【発明の名称】 田植機の苗載台支持装置
【発明者】 【氏名】牧原 邦充

【氏名】松木 直樹

【氏名】松村 哲也

【要約】 【課題】苗載台の摺動構造を見直すことにより、必要な機能を落とすことなくコストダウンできるようにする【解決手段】 田植機の苗載台支持装置において、苗載台16の裏面に止着されるレール部材48を、前面48aと後面48bと上面48cを備えた下向き開放の略コ字状断面を備えたアルミサッシ材で構成し、摺動部材49の上端側をレール部材48に内嵌合するとともに、レール部材48の内側に前後方向に張出たリブ48fを設けて、レール部材48と摺動部材49との相対上下移動を規制するように構成し、摺動部材49を固定部51に対して上下移動可能に支持する。

【解決手段】田植機の苗載台支持装置において、苗載台16の裏面に止着されるレール部材48を、前面48aと後面48bと上面48cを備えた下向き開放の略コ字状断面を備えたアルミサッシ材で構成し、摺動部材49の上端側をレール部材48に内嵌合するとともに、レール部材48の内側に前後方向に張出たリブ48fを設けて、レール部材48と摺動部材49との相対上下移動を規制するように構成し、摺動部材49を固定部51に対して上下移動可能に支持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右向きのレール部材と、該レール部材に摺接して相対左右移動自在な摺動部材とを苗載台の裏面と苗植付装置の固定部とに振り分け配置して成る摺動部を、前記固定部に対して昇降移動可能に支持することにより、前記苗載台を前記固定部に対して左右移動自在で、かつ、上下移動調節可能に支持してある田植機の苗載台支持装置であって、前記レール部材を、前面と後面とこれらを接続する上面とを備えた下向き開放の略コ字状断面を備えた型材として前記苗載台の裏面に止着し、前記摺動部材の上端側を前記レール部材に内嵌合するとともに、前記レール部材の内側に前後方向に張出たリブを設けて、該レール部材と前記摺動部材との相対上下移動を規制するように構成し、前記摺動部材を前記固定部に対して上下移動可能に支持させてある田植機の苗載台支持装置。
【請求項2】 前記後面を前記前面よりも上下に長い面として、前記上面が相対的に後上り傾斜するように構成してある請求項1に記載の田植機の苗載台支持装置。
【請求項3】 前記後上り傾斜した上面に板ブラケットを取付け、ローリング自在に支持された前記苗載台をローリング中央位置に復帰付勢するバネを、前記板ブラケットと前記苗植付装置の固定部とに亘って架設してある請求項2に記載の田植機の苗載台支持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機の苗載台支持装置に係り、詳しくは、苗載台を往復横送りするべく左右に摺動移動自在に、かつ、苗取り量調節が行えるように上下移動調節可能に苗植付装置に支持させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】苗載台の支持装置としては、特開平10‐164930合公報に示されたものが一般的な構造として知られている。すなわち、植付伝動ケースに上下移動調節可能に支持された摺動レールと、この摺動レールに載置された状態で苗載台裏面の下端部に取付けられる摺接部材と、を左右スライド自在に嵌合して成る下側摺動部、及び、苗載台裏面の上部に支持された横に長いサッシ材で成るレール部材と、苗植付装置に固定支持されたマスト部材の上端に装備された摺接部材と、を左右スライド自在に嵌合して成る上側摺動部により、苗載台を往復横送り自在で、かつ、上下移動調節可能に苗植付装置に支持させてあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術では、下側摺動部では、植付伝動ケースに対して上下スライド可能に支持された摺接部材と摺動レールとが左右スライドのみ可能となるように嵌合するとともに、上側摺動部では、下向き開放コ字状断面のレール部材とこれの内側に嵌合される摺接部材とを左右スライド自在及び上下スライド可能としてある。故に、下側の摺接部材を上下移動させる苗取り量調節を行うと、上側摺動部においては上側の摺接部材とレール部材とが相対上下動するようになる。
【0004】つまり、上側摺動部ではレール部材における摺接部材との摺動接触面が上下に変化するので、その摺動接触面の上下幅を広く取らねばならないので、レール部材の上下長さを大きく、かつ、強度剛性も高くする必要があり、寸法精度も比較的高いものが要求されるので、必要な機能の割りにはコストが高い傾向にあった。又、レール部材から摺接部材が下方に外れてしまわないようにするため、組付け時には上側摺接部材の高さ調節を行わねばならない煩わしさもあった。
【0005】本発明の目的は、苗載台の摺動構造を見直すことにより、必要な機能を落とすことなくコストダウンできるようにする点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】〔構成〕第1発明は、左右向きのレール部材と、レール部材に摺接して相対左右移動自在な摺動部材とを苗載台の裏面と苗植付装置の固定部とに振り分け配置して成る摺動部を、固定部に対して昇降移動可能に支持することにより、苗載台を固定部に対して左右移動自在で、かつ、上下移動調節可能に支持してある田植機の苗載台支持装置において、レール部材を、前面と後面とこれらを接続する上面とを備えた下向き開放の略コ字状断面を備えた型材として苗載台の裏面に止着し、摺動部材の上端側をレール部材に内嵌合するとともに、レール部材の内側に前後方向に張出たリブを設けて、レール部材と摺動部材との相対上下移動を規制するように構成し、摺動部材を固定部に対して上下移動可能に支持させてあることを特徴とする。
【0007】第2発明は、第1発明において、後面を前面よりも上下に長い面として、上面が相対的に後上り傾斜するように構成したことを特徴とする。
【0008】第3発明は、第2発明において、後上り傾斜した上面に板ブラケットを取付け、ローリング自在に支持された苗載台をローリング中央位置に復帰付勢するバネを、板ブラケットと苗植付装置固定部とに亘って架設したことを特徴とする。
【0009】〔作用〕請求項1の構成によれば、摺動部材を苗植付装置の固定部に対して上下移動可能に支持させて、摺動部材とレール部材とは相対上下移動しない構造としたものであり、レール部材の内側に前後方向に張出たリブを設けて、レール部材に内嵌される摺動部材との相対上下移動を規制してある。従って、苗取り量調節を行ってもこれら両者の相対上下移動が無く、相対高さ位置が定まった状態で摺動するようになり、レール部材の上下高さを短くでき、摺動接触面積が減って下方開放側での摺動部材の支持強度が改善されるので、安定した摺動移動状態が得られるようになる。そして、リブ出ししたことによってレール部材の断面係数を大きくして、苗載台の支持強度アップを図ることが可能であるとともに、組付け時における摺動部材の高さ調節も不要になる。
【0010】請求項2の構成によれば、レール部材を、後面を前面よりも上下に長い面として、上面が相対的に後上り傾斜するように構成したので、レール部材の断面係数を大きくして、苗載台の支持強度アップが図れるとともに、上面と前面とが直交する傾斜させない断面形状のものに比べて、上面の前後方向長さを長くして面積を拡大できるので、上面での取付け座が大きくでき、又、ネジやリベット止め代が増えるので、例えば、ワイヤーブラケットやクランプといった各種装着物の取付けを安定強固に、しかも、容易に行うことが可能になる。
【0011】請求項3の構成によれば、ローリング自在に支持された苗載台をローリング中央位置に復帰付勢するバネの一端を苗植付装置に支持し、他端を後上り傾斜した上面に取付けた板ブラケットに支持させたものである。つまり、表面積の拡大された上面には、ネジやリベット止めを数多く実施することが可能となるので、比較的大なる支持強度が必要なバネ受け用の板ブラケットを強度十分に苗載台に支持することが可能になり、専用のバネ支持用のステーが不要となる。
【0012】〔効果〕請求項1〜3のいずれに記載の田植機の苗載台支持装置でも、摺動部材と苗植付装置とを上下移動調節させて、摺動部材とレール部材とが上下移動しない構造とする工夫により、レール部材をコンパクト化及び軽量化しながら苗載台の支持強度向上が可能であり、しかも安定した苗載台の摺動状態が得られるとともに、摺動部材の高さ調節が不要で組付け性も向上するようになった。
【0013】請求項2に記載の苗載台支持装置では、レール部材の上面傾斜により、その上面への各種装着物の取付け性が非常に良くなったとともに、レール部材の強度改善によって苗載台の一層の支持強度や保形性を向上できる利点がある。
【0014】請求項3に記載の苗載台支持装置では、レール部材の上面傾斜による強度及び取付け面積増大により、比較的支持強度が大となるローリング復帰用のバランスバネをレール部材に装備できてるので、専用の支持ステーを用いることなく苗載台にバネを作用させる経済的で合理的なものにできた。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,図2に示すように、操向操作自在な左右一対の前輪1及び左右一対の後輪2を備えた機体の前部に、エンジン3及びミッションケース4を備えて、機体の中央部に運転部5を形成し、機体の後部にリンク機構6を介して苗植付装置7を昇降操作自在に連結して乗用型田植機を構成してある。苗植付装置7は6条植えに構成されており、3個の植付伝動ケース8、植付伝動ケース8の左右両側に回転駆動自在に支持される回転ケース9、回転ケース9の両端に配備される一対の植付爪10、3個の接地フロート11、及び苗載台16等によって構成してある。
【0016】図4,図5に示すように、PTO入力軸13に入力された動力を3個の植付伝動ケース8に伝達するフィードケース14は、3段の横送り変速機構15を内装するとともに、苗載台16を往復横送りするための横送り駆動軸17と、横送りのストロークエンドにて苗載台16の苗植付装置を縦送りするための縦送り軸18とを備えている。尚、12は後輪2を支承する後車軸ケースである。
【0017】図5に示すように、横送り変速機構15は、PTO入力軸13にベベルギヤ連動される第1軸19と、軸単に螺旋軸44が連結される第2軸20とに亘って架設構成され、第1軸19と出力軸21とに亘って、植付伝動ケース3に動力伝達するためのチェン機構22を構成してある。
【0018】図4〜図6に示すように、横送り装置Aは、第2軸(基軸の一例)20におけるフィードケース14から外部に突出した軸端に螺旋軸44を連結して成る横送り駆動軸17と、螺旋軸44の周囲に刻設された螺旋溝23に係合する凸部24aを備えたコマ部材24と、このコマ部材24を回動自在に収容した状態で横送り駆動軸17を外囲する筒部材25と、筒部材25を苗載台16の裏面に取付けるためのステー26とを備えて構成されている。コマ部材24が回動自在であることにより、凸部24aの行き帰りのいずれの螺旋溝23にも沿う姿勢が現出できるようになっている。
【0019】図8に示すように、第2軸20におけるフィードケース14から外部に突出した軸先端部の径を細くした細径軸部20Aを、螺旋軸44の基端部に形成された筒軸部44Aに内嵌合し、かつ、その軸嵌合部において両軸20,44に跨がるロールピン45を装備してこれら両軸を一体回転状態に連結してある。螺旋軸44におけるピン挿入用孔47は、筒軸部44Aの周上に1箇所のみ形成してあるとともに、第2軸20におけるピン挿入用孔46は、螺旋軸44のピン挿入用孔47と同径の作用孔部46aと、それよりも細い下孔部46bとで成る貫通孔として細径軸部20Aに形成されている。
【0020】以上の構成により、ロールピン45は、螺旋軸44のピン挿入用孔47と細径軸部20Aの作用孔部46aとに跨がって挿入される状態しか現出できないように、すなわち、両軸20,44におけるピン挿入用孔46,47を、それら両軸20,44の軸回転方向での相対連結位置が単一のものに限定される状態に形成してある。従って、第2軸20と螺旋軸44とは必ず決められた相対姿勢でもって連結されることになり、組み付け間違いが生じないようになっている。
【0021】例えば、両軸20,44を貫通する同一径の孔を形成した場合には、これら両軸の相対組み付け位置が180度ずれて2箇所存在するから、作業者によっては、或いは再組み付けするときに180度ずれて組付けられおそれが高いのに対して、本願の構造では誰がロールピン45の挿入操作を行っても、両軸20,44の組付け位置は必ず同じになるのである。
【0022】筒部材25に固定螺装されたボルト27は、ダブルナット28を用いることで、苗載台16の苗載面の上下方向に移動自在であり、かつ、左右方向には位置決めされる状態で、ステー26の長孔26aに嵌合されており、この構造によって苗取り量調節を行うための苗載台16の上下移動調節が可能である。ステー26の基端側は二股状に形成されており、縦送りベルト35を跨いだ状態で苗載台16にボルト止めされている。
【0023】筒部材25には螺旋溝23に潤滑油を供給する給油カップ29を螺着装備してあり、図3に示すように、その給油カップ29を横送り駆動軸17の上側に配置し、かつ、コマ部材24を横送り駆動軸17の下側に配置してある。給油カップ29の下端は開放されており、内部に収容されたグリース等の潤滑油は、重量によってひとりでに横送り駆動軸17の外周及び螺旋溝23に供給されるとともに、供給された潤滑油は重力によって垂れ下がり移動して横送り駆動軸17の下部に集まる傾向になるが、そこにコマ部材24の凸部24aが存在しているので、螺旋溝23と凸部24aとの摺動部には十分な潤滑油が供給されるのである。又、給油カップ29は透明プラスチック等の内部が目視可能な透明容器に構成されており、潤滑油の残り量が一目瞭然となるようにしてある。
【0024】図4,図6に示すように、横送り駆動軸17先端を回転自在に支持するブラケット30と筒部材25とに亘って、及び筒部材25とフィードケース14とに亘って横送り駆動軸17を囲繞する蛇腹筒状でゴム製のブーツ部材31を架設してあり、ゴミやホコリ、異物等が螺旋溝23に付着しないダストシール機能、及び、横送り駆動軸17から垂れる潤滑油をブーツ内で受け止めて周囲に飛散させないカバー機能を現出させてある。
【0025】2個のブーツ部材31,31は互いに同じものであり、図7に示すように、ブーツ部材31の一端の内周部に周状の小突起32を、かつ、他端の内周部に周状の大突起33の2個を夫々形成するとともに、筒部材25、及びブラケット30の夫々には、大突起33に係合する周溝34を形成してある。小突起32は、オイルシールのリップのようなものであり、密封性の向上に寄与する。
【0026】2個のブーツ部材31,31は、大突起33と周溝34との嵌合部側、及び小突起32とこれに嵌合する周溝が形成されない部分との嵌合部側のいずれにも、スクリューで強制的に締め上げる構造の締め上げリング36を装着してあり、ブーツ部材31が抜け出さないように嵌合連結してある。尚、大突起33と周溝34との嵌合部側には、バネ材等による弾性リングを装着しても良い。
【0027】次に、苗載台16の支持構造について説明する。図1,図3に示すように、苗載台16は上下の摺動部a,bによって苗植付装置7に支持されている。上摺動部aは、左右向きのサッシ材で成る上レール部材48を苗載台16上部の裏面16aに取付けるとともに、その上レール部材48に摺接して相対左右移動自在なシュー(摺動部材の一例)49を、植付フレーム50から立設したマスト部材(苗植付装置7の固定部の一例)51の頂部に備えて構成されている。
【0028】図9に示すように、上レール部材48は、前面48aと、これよりも高さの高い後面48bと、後倒れ傾斜した上面48cとから成る断面下向開放コ字状の本体部と、上下の取付けステー部48d,48eと、本体部の内側に張り出した4箇所のリブ48fとを備えたサッシ部材であり、上下の取付けステー部48d,48eと苗載台16とをリベット止めしてある。
【0029】シュー49は、4箇所のリブ48fで前後上下の4箇所の角部が位置決めされた状態で上レール部材48の本体部に左右スライド自在に内嵌合される上ガイド部49aと、マスト部材51の上端に固定された摺動棒51aへ前倒れ傾斜した上下方向でスライド自在に内嵌された下ガイド部49bとを備えて構成されている。つまり、前面48aと後面48bと4箇所のリブ48fとで上ガイド部49aを抱き囲む構造として、シュー49を左右スライドのみ自在に上レール部材48に嵌合してある。
【0030】図12に示すように、下摺動部bは、左右の植付伝動ケース8に一体形成された上下一対の突片(苗植付装置7の固定部の一例)52,53に前倒れ傾斜した上下方向でスライド自在に内嵌された棒材54を設け、これら左右の棒材54,54に亘ってサッシ材で成る下レール部材55を架設するとともに、苗載台16下端部の裏面に取付けたブラケット56を摺動スペーサ57を介して下レール部材55に前後移動不能で、かつ、左右スライド移動自在に載せ付けることで構成された公知の構造である。この下摺動部bでは、摺動スペーサ57と下レール部材55とが相対横摺動移動する。
【0031】棒材54は、苗取り量調節レバー58に連動されたアーム61が作用して上下移動調節可能であり、調節レバー58の操作によって苗載台16を上下移動させて、植付爪10による苗の取り量の多少を調節できるようになっている。この苗の取り量調節を行うと、上摺動部aでは、シュー49と摺動棒51aとが相対上下スライドして対応するようになっている。
【0032】図4,図11に示すように、上レール部材48は、後面48bを前面48aよりも上下に長い面として、上面48cが相対的に後上り傾斜した面に構成してそこに板ブラケット59をリベット止めしてあり、軸心Xでローリング自在に支持された苗載台16をローリング中央位置に復帰付勢する巻きバネ60を、昇降リンク機構6後端側のマスト部材100(苗植付装置7の固定部の一例)上部と板ブラケット59とに亘って架設する状態で左右一対設けてある。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年3月25日(1999.3.25)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−270630(P2000−270630A)
【公開日】 平成12年10月3日(2000.10.3)
【出願番号】 特願平11−82192