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【発明の名称】 水田作業機
【発明者】 【氏名】窪津 誠

【氏名】山下 眞

【氏名】小谷 伸介

【要約】 【課題】前後方向でのコンパクト化や軽量化を図りながらも、前後バランスを良好化する。

【解決手段】前輪1を軸支するミッションケース9を備えた自走機体の後部に水田作業装置を昇降自在に連結し、前記自走機体のうちミッションケース9の前方近傍位置にエンジン11を、その出力軸11aが横向きに位置する状態に防振材12を介して搭載し、前記ミッションケース9の横一側面に、前記エンジン11の出力軸11aに巻き掛け伝動装置40を介して連動する横向きの入力軸41aを備えた静油圧式無段変速装置41を、その出力をミッションケース9内に横向き軸で伝達する状態に連結する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前輪を軸支するミッションケースを備えた自走機体の後部に水田作業装置を昇降自在に連結し、前記自走機体のうちミッションケースの前方近傍位置にエンジンを、その出力軸が横向きに位置する状態に防振材を介して搭載し、前記ミッションケースの横一側面に、前記エンジンの出力軸に巻き掛け伝動装置を介して連動する横向きの入力軸を備えた静油圧式無段変速装置を、その出力をミッションケース内に横向き軸で伝達する状態に連結してある水田作業機。
【請求項2】 静油圧式無段変速装置の入力軸と横向きの出力軸とを前後に配設してある請求項1記載の水田作業機。
【請求項3】 静油圧式無段変速装置の入力軸を、ミッションケースの前部を通して横他側に延出し、この入力軸の延出端部で駆動される油圧ポンプをミッションケースの横他側面に連結してある請求項1又は2記載の水田作業機。
【請求項4】 油圧パワーステアリング用のトルクジェネレータと、作業装置昇降操作用の油圧制御バルブとをミッションケースに取り付けてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の水田作業機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自走機体の後部に苗植付装置などの水田作業装置を昇降自在に連結してある田植機などの水田作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の水田作業機では、特開平8‐310266号公報で見られるように、後部に水田作業装置を昇降自在に連結した自走機体のうち前輪の車軸よりも前方の箇所にエンジンを搭載し、後部にミッションケースを配設し、そのミッションケースに静油圧式無段変速装置を連結していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の技術によるときは、後部の水田作業装置の重量に対抗する重量を重量物であるエンジンで自走機体の前部に与えることができるから、機体の前後バランスをある程度は改善できるものの、前後バランスを十分良好なものにするには、エンジンを前方に配置したり、大重量のバランスウエイトを設けたりする必要があり、エンジンを前方に配置する前者の場合には、その分、自走機体の前後長さが大きくなり、大重量のバランスウエイトを設ける後者の場合には、全体が大重量化していた。
【0004】本発明の目的は、前後方向でのコンパクト化や軽量化を図りながらも、前後バランスを良好化する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0006】〔特徴〕前輪を軸支するミッションケースを備えた自走機体の後部に水田作業装置を昇降自在に連結し、前記自走機体のうちミッションケースの前方近傍位置にエンジンを、その出力軸が横向きに位置する状態に防振材を介して搭載し、前記ミッションケースの横一側面に、前記エンジンの出力軸に巻き掛け伝動装置を介して連動する横向きの入力軸を備えた静油圧式無段変速装置を、その出力をミッションケース内に横向き軸で伝達する状態に連結してある点にある。
【0007】〔作用〕エンジンのみならず、重量物であるミッションケース及び静油圧式無段変速装置も前部に配置して、それらの重量を自走機体の前部に与えるようにしてあるから、前後バランスを良好化する際、従来よりもエンジンを後方に配置できたり、或いは、バランスウエイト重量が少なくて済む。
【0008】〔効果〕従って、前後方向でのコンパクト化や軽量化を図りながらも、前後バランスを良好化できるようになった。
【0009】請求項2に係る本発明の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0010】〔特徴〕上記請求項1に係る本発明において、静油圧式無段変速装置の入力軸と横向きの出力軸とを前後に配設してある点にある。
【0011】〔作用〕静油圧式無段変速装置を、入力軸と出力軸とが前後に配置する横向き姿勢に配設してあるから、静油圧式無段変速装置を上下で嵩低くてミッションケースから上方への突出量が少ないものとして配置できる。
【0012】〔効果〕従って、ミッションケースの横一側面に静油圧式無段変速装置を連結しながらも、ミッションケースの上方に配置する運転ステップを低く配置させることができる。
【0013】請求項3に係る本発明の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0014】〔特徴〕上記請求項1や2に係る本発明において、静油圧式無段変速装置の入力軸を、ミッションケースの前部を通して横他側に延出し、この入力軸の延出端部で駆動される油圧ポンプをミッションケースの横他側面に連結してある点にある。
【0015】〔作用〕ミッションケースの横他側面に油圧ポンプを連結し、その油圧ポンプを静油圧式無段変速装置の入力軸の延長端部で駆動するようにしてあるから、ミッションケースを作動油タンクとする場合、油圧ポンプを作動油タンク近くに設けることができる。
【0016】〔効果〕従って、油圧ポンプと作動油タンクとの間の油圧配管、特に、吸い込み配管を短くして、抵抗の少ない円滑な圧油供給を行える。
【0017】請求項4に係る本発明の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0018】〔特徴〕上記請求項1や2、3に係る本発明において、油圧パワーステアリング用のトルクジェネレータと、作業装置昇降操作用の油圧制御バルブとをミッションケースに取り付けてある点にある。
【0019】〔作用〕トルクジェネレータと油圧制御バルブとをミッションケースに取り付けて両者を接近配置してあるから、トルクジェネレータを経て油圧制御バルブに圧油を供給する場合、その圧油供給路が短いもので済む。しかも、上述したようにミッションケースを作動油タンクとした場合、油圧制御バルブから作動油タンクへのドレン構成を短くて簡単なものにできる。その上、重量物である油圧制御バルブをミッションケースに取り付けて、油圧制御バルブを前部に配置してあるから、その油圧制御バルブの重量を自走機体の前部に作用させることができる。
【0020】〔効果〕従って、油圧系の構造の簡素化及びコストダウンを図ることができ、しかも、前後方向でのコンパクト化及び軽量化の面でより一層効果的に前後バランスの良好化を図ることができるようになった。
【0021】
【発明の実施の形態】水田作業機の一例である田植機は、図1、図2に示すように、左右一対の操向用の駆動前輪1と左右一対の駆動後輪2とを備えた乗用型の自走機体3の後部に、水田作業装置の一例である複数条植え式の苗植付装置4を四連リンク機構5を介して昇降自在に連結し、この苗植付装置4を昇降駆動する油圧シリンダ利用の昇降シリンダ6を設け、施肥装置7を設けて構成されている。
【0022】前記自走機体3は、図3、図4にも示すように、前記駆動前輪1を前車軸ケース8を介して軸支するミッションケース9を備え、かつ、前記駆動後輪2を後車軸ケース10を介して軸支した機体フレームのうち前記ミッションケース9の前方近傍位置にエンジン11を、防振ゴム12(防振材の一例)を介してその出力軸11aが横向きに位置する状態に搭載し、前記エンジン11の後方に位置する状態で搭乗運転部13を搭載して構成されている。
【0023】前記搭乗運転部13は、前記駆動前輪1を操向操作するためのステアリングハンドル14や、これの後方に位置する座席15、運転ステップSなどを備えている。運転ステップSは、前記ミッションケース9よりも上方のレベルに配置されている。
【0024】前記苗植付装置4は、左右方向に設定ストロークで往復移動駆動される苗のせ台16を設け、この苗のせ台16の移動に連動して苗取出し口と圃場との間で上下に循環作動することにより苗のせ台16上の苗を植付単位量づつ取り出して圃場に植え付ける複数の植付機構17を左右に植付条間隔を隔てて配設し、走行に伴い圃場面を滑走することにより植付予定圃場面を整地する複数の接地フロート18を左右に間隔を隔てて配設した周知の基本構造を有するものである。
【0025】前記施肥装置7は、肥料ホッパー19を自走機体3に搭載し、この肥料ホッパー19内の肥料を植付作動に連動して設定量づつ繰り出す繰り出し装置20を設け、走行に伴い圃場に施肥用の溝を形成するとともに送られてくる肥料を溝内に供給する作溝器21を設け、繰り出された肥料を作溝器21にホース22を介して圧送するための気流を発生させる電動ファン23を設けて構成されている。
【0026】そして、前記ミッションケース9の左右横一側面には、図3、図4に示すように、前記エンジン11の出力軸11aに巻き掛け伝動装置40を介して連動する横向きの入力軸41aを備えた前後進切り換え自在な静油圧式無段変速装置41が、その出力をミッションケース9内に横向き軸で伝達する状態に、かつ、その入力軸41aと横向きの出力軸41bとを前後に配設する状態に連結されている。
【0027】前記巻き掛け伝動装置40は、出力軸11aに装着した出力プーリ40aと入力軸41aに装着した入力プーリ40bとにわたって伝動ベルト40cを巻回し、この伝動ベルト40bにテンションを付与するテンションプーリ40dを設けて構成されている。
【0028】前記静油圧式無段変速装置41の入力軸41aは、ミッションケース9の前部を通して横他側に延出されている。
【0029】また、前記ミッションケース9の左右横他側面には、図4に示すように、前記静油圧式無段変速装置41の入力軸41aの延出端部で駆動される油圧ポンプ42が連結されており、ミッションケース9の上面には、図3、図4に示すように、前記ステアリングハンドル14のハンドル軸14aに連動する油圧パワーステアリング用のトルクジェネレータ43と、前記昇降シリンダ6を制御する作業装置昇降操作用の油圧制御バルブ44とが取り付けられている。
【0030】油圧系について詳述すると、図5に示すように、前記ミッションケース9を作動油タンクとするのであって、ミッションケース9の横他側面に取り付けたオイルフィルター45を通してミッションケース9内の作動油を静油圧式無段変速装置41及び油圧ポンプ42に供給し、前記油圧ポンプ42からの圧油は、トルクジェネレータ43に供給され、その後、油圧制御バルブ44を通して昇降シリンダ6に供給されるようになっている。そして、静油圧式無段変速装置41のドレンは、ミッションケース9に連通する前車軸ケース8に戻され、昇降シリンダ6を作動停止させたときの油圧制御バルブ44のドレンはミッションケース9に戻されるようになっている。
【0031】前記ミッションケース9内には、静油圧式無段変速装置41からの動力を断続するクラッチと、このクラッチからの出力を高低二段に変速するギヤシフト式の走行用の副変速装置と、駆動前輪に対するデフ機構とが走行伝動系の伝動要素として設置され、前記副変速装置の入力のうち前進回転のみ伝達する一方向クラッチと、これらの動力を変速する株間変更用の植付変速装置と、これらの動力を断続する植付クラッチとが走行伝動系から分岐させた植付伝動系の伝動要素として設置されている。また、前記前車軸ケース8には、デフ機構から駆動前輪1への伝動機構が内装され、後車軸ケース10には、デフ機構から軸を介して取出したデフケースの回転を駆動後輪2に伝達する伝動機構が内装されている。
【0032】L1は前記静油圧式無段変速装置41を操作するための変速レバーである。また、200は、前記トルクジェネレータ43で揺動駆動されるピットマンアーム201に前記駆動前輪1のナックルアーム202を連動連結させるドラグリンクである。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年3月25日(1999.3.25)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−270621(P2000−270621A)
【公開日】 平成12年10月3日(2000.10.3)
【出願番号】 特願平11−80853