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【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】高見 幸徳

【氏名】渡里 圭介

【要約】 【課題】プランタアームの回動姿勢や爪部軌跡を部分的に変更可能にし、掻取り性能や植付け性能の向上を計る。

【解決手段】植付駆動軸10に固定されたロータリケース9の端部に、ロータリケース9の回転に伴って苗の掻取りおよび植付けを行うプランタアーム14を回動自在に設けると共に、該プランタアーム14の回動姿勢を、ロータリケース9に内装される不等速回転ギヤ列を介して制御するにあたり、前記不等速回転ギヤ列を構成する遊星ギヤ13に、基本歯厚に対して歯厚が相違する歯厚変更範囲B、Cを部分的に形成し、該範囲B、Cの歯厚設定に基づいてプランタアーム14の回動姿勢を補正する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植付駆動軸に固定されたロータリケースの端部に、ロータリケースの回転に伴って苗の掻取りおよび植付けを行うプランタアームを回動自在に設けると共に、該プランタアームの回動姿勢を、ロータリケースに内装される不等速回転ギヤ列を介して制御する移植機において、前記不等速回転ギヤ列に、部分的に歯厚が相違するギヤを設け、該ギヤの歯厚設定に基づいてプランタアームの回動姿勢を補正することを特徴とする移植機。
【請求項2】 請求項1において、プランタアームの爪部がマット苗を掻取る前の爪部先端軌跡が上方に膨出するようにプランタアームの回動姿勢を補正することを特徴とする移植機。
【請求項3】 請求項1において、プランタアームの爪部が苗を植付けて上昇する際の爪部先端ランニング軌跡が垂直に近づくようにプランタアームの回動姿勢を補正することを特徴とする移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機等の移植機の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種移植機のなかには、植付駆動軸に固定されたロータリケースの端部に、ロータリケースの回転に伴って苗の掻取りおよび植付けを行うプランタアームを回動自在に設けると共に、該プランタアームの回動姿勢を、ロータリケースに内装される不等速回転ギヤ列を介して制御するようにしたものがある。つまり、ロータリケースの回転に伴ってプランタアームを不等速回転させることにより、苗の掻取りおよび植付けに必要なプランタアームの爪部運動軌跡を得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、前記不等速回転ギヤ列を構成するギヤの形状は、プランタアームの全体的な運動軌跡に基づいて概ね決定されるものであるため、従来においては、プランタアームの回動姿勢や爪部運動軌跡を部分的に変更することができず、その結果、理想的な回動姿勢や爪部運動軌跡を得ることが困難であった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、植付駆動軸に固定されたロータリケースの端部に、ロータリケースの回転に伴って苗の掻取りおよび植付けを行うプランタアームを回動自在に設けると共に、該プランタアームの回動姿勢を、ロータリケースに内装される不等速回転ギヤ列を介して制御する移植機において、前記不等速回転ギヤ列に、部分的に歯厚が相違するギヤを設け、該ギヤの歯厚設定に基づいてプランタアームの回動姿勢を補正することを特徴とするものである。つまり、プランタアームの回動姿勢(爪部運動軌跡を含む)を部分的に変更して掻取り性能や植付け性能の向上を計ることができる。また、プランタアームの爪部がマット苗を掻取る前の爪部先端軌跡が上方に膨出するようにプランタアームの回動姿勢を補正することを特徴とするものである。つまり、プランタアームの爪部がマット苗を掻取る前に、マット苗の葉茎部を上方に掻き分ける動作が付加されるため、葉茎部の巻込みに伴う掻取り性能の低下や葉茎部の損傷を可及的に防止することができる。また、プランタアームの爪部が苗を植付けて上昇する際の爪部先端ランニング軌跡が垂直に近づくようにプランタアームの回動姿勢を補正することを特徴とするものである。つまり、爪部の引き摺りを防止することができる許りでなく、爪部が植付苗の葉茎部を引っ掛けて植付姿勢を乱す不都合も可及的に防止することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1は走行機体2の後部に昇降リンク機構3を介して連結される植付作業機であって、該植付作業機1は、昇降リンク機構3に連結される作業機フレーム4、該作業機フレーム4に左右往復動自在に支持される苗載台5、該苗載台5の下端部に沿って配設され、かつ苗掻取口(図示せず)を有するエプロン6、作業機フレーム4から後方に延出する複数のプランタケース7、該プランタケース7の下方に配設されるフロート8等で構成されるが、これらの基本構成は何れも従来通りである。
【0006】9は前記プランタケース7の一側面部もしくは両側面部に設けられるロータリケースであって、該ロータリケース9の中央部は、プランタケース7の側面部に突設される筒部7aに回動自在に外嵌しているが、ロータリケース9の外ケース9aには、プランタケース7から突出する植付駆動軸10が一体的に連結されているため、植付駆動軸10の駆動に伴ってロータリケース9が回転するようになっている。
【0007】11は前記ロータリケース9の中央部に内装される太陽ギヤであって、該太陽ギヤ11は、植付駆動軸10に回動自在に支持されるが、その一側面には、前記筒部7aの先端爪部7bに噛合して太陽ギヤ11を回止めする噛合爪11aが一体的に形成されている。そして、この太陽ギヤ11には、一対の中間ギヤ12が180度位相ずれした位置でそれぞれ噛合し、さらに各中間ギヤ12には、それぞれ遊星ギヤ13が噛合しているため、太陽ギヤ11を中心として直線状に並ぶギヤ列が構成されている。
【0008】14はプランタビーク(爪部)15を備えるプランタアームであって、該プランタアーム14の基端部は、ロータリケース9の両端部に回動自在に支持され、かつ前記遊星ギヤ13にスプライン結合される筒状のプランタアーム軸16に一体的に連結されている。即ち、前記植付駆動軸10の駆動に伴ってロータリケース9が回転すると、中間ギヤ12が太陽ギヤ11の周囲を公転しながら自転すると共に、中間ギヤ12に噛合する遊星ギヤ13が逆回りに自転するため、遊星ギヤ13に一体的に結合されるプランタアーム14は、植付駆動軸10を中心として公転しつつ、プランタアーム軸16を中心として逆方向に自転し、その結果、プランタアーム14の姿勢は、ロータリケース9の回転に拘わらず常に前方を向くように制御されるようになっている。
【0009】また、前記太陽ギヤ11、中間ギヤ12および遊星ギヤ13は何れも偏芯ギヤ(不等速回転を伝達するものであれば楕円ギヤや非円形ギヤでも可能)に形成されている。そして、各偏芯ギヤの角速度設定は、プランタビーク15が苗載台5から苗を掻取った後、前方に膨らむ円弧を描きながら土中の植付位置に達し、その後は直線的に上昇する半月状の静止軌跡(走行停止時の先端運動軌跡)を描くように設定されるが、一方のプランタビーク15が苗載台5から苗を掻取る時、それと同時に他方のプランタビーク15が植付けを実行するようにプランタビーク15の位置および軌跡が設定されているため、ロータリケース9が一回転する毎に二回の植付けが実行されるようになっている。
【0010】17は前記プランタアーム軸16内に組込まれるカム軸であって、該カム軸17の基端部は、ロータリケース9の内ケース9bに一体的に固定される一方、先端部には、プランタアーム14内を臨む第一カム18が一体的に設けられている。また、19はプランタビーク15の内面部に配設されるプランタフォークであって、該プランタフォーク19は、プランタアーム14に出没自在に支持されるロッド20の先端部に一体的に取付けられているが、ロッド20は、復帰スプリング21によって常時後退側に付勢されると共に、他端側が前記第一カム18に接当する揺動アーム22の一端側に係合されている。つまり、ロータリケース9の回転に伴う植付作動に際し、プランタビーク15が植付位置に達した段階で第一カム18の大径部が揺動アーム22の他端側を押し、これに連動するプランタフォーク19の前進作動に基づいてプランタビーク15から苗を押出すようになっている。
【0011】23は前記ロータリケース9に内装される揺動自在なブレーキアームであって、該ブレーキアーム23は、プランタアーム軸16にスプライン結合される第二カム24を、ブレーキスプリング25の付勢力を受けて押圧している。そして、ブレーキアーム23の押圧位置が第二カム24の頂部に達する過程では、ブレーキアーム23がブレーキスプリング25の付勢力に抗して退避方向に揺動するため、ブレーキアーム23の押圧力がプランタアーム軸16の回転を制動する方向に作用し、一方、ブレーキアーム23の押圧位置が第二カム24の頂部を越えてからは、ブレーキアーム23がブレーキスプリング25の付勢力で押圧方向に揺動するため、ブレーキアーム23の押圧力がプランタアーム軸15を積極的に回転させる方向に作用するようになっている。つまり、ブレーキアーム23は、プランタビーク15の所定の運動軌跡範囲においてプランタアーム軸16を制動方向もしくは回転方向に付勢するため、前記ギヤ列のギヤ噛合部に存在するバックラッシュ(噛合ガタ)を吸収してプランタビーク15の運動軌跡を安定させることになり、例えば遊星ギヤ13においては、中間ギヤ12との当り面Aが図6に示す如く変化するようになっている。尚、プランタアーム軸16には、ブレーキスプリング25の付勢力だけではなく、前述した復帰スプリング21の付勢力等が作用するため、ブレーキスプリング25の付勢力を受けない範囲であっても、概ね制動方向の負荷が作用するようになっている。
【0012】さて、前記不等速回転ギヤ列を構成するギヤ11、12、13の偏芯量や基本歯形は、前述したビーク全体軌跡(半月状の全体軌跡)に基づいて概ね決定されるが、遊星ギヤ13においては、全ての歯を同一歯厚にすることなく、基本歯厚に対して歯厚が相違する範囲B、Cを部分的に形成し、該歯厚変更範囲B、Cの歯厚設定に基づいてプランタアーム14の回動姿勢(ビーク軌跡)を補正するようになっている。
【0013】前記歯厚変更範囲Bは、プランタアーム14が苗載台5上のマット苗Mを掻取る作動範囲に対応しており、その歯形は、中間ギヤ12との当り面Aが基本歯形に対して肉薄になるように設定されている。つまり、歯厚変更範囲Bにおいては、プランタアーム14が基本回動姿勢に比して先行回動するため、プランタビーク15がマット苗Mを掻取る直前に、その先端軌跡が上方に膨出することになる。従って、プランタビーク15がマット苗Mを掻取る直前において、マット苗Mの葉茎部を上方に掻き分ける動作が付加されることになり、その結果、葉茎部の巻込みに伴う掻取り性能の低下や葉茎部の損傷を可及的に防止することができるようになっている。
【0014】一方、前記歯厚変更範囲Cは、プランタアーム14が掻取った苗を田面に植付ける作動範囲に対応しており、その歯形は、中間ギヤ12との当り面Aが基本歯形に対して肉厚になるように設定されている。つまり、歯厚変更範囲Cにおいては、プランタアーム14が基本回動姿勢に比して先行回動するため、植付作動範囲のビーク先端静止軌跡(走行停止状態の軌跡)は、基本静止軌跡に比して全体的に前側に変位することになるが、その上昇軌跡部分は、基本静止軌跡に比して後傾状に傾くため、ビーク先端ランニング軌跡(走行状態の軌跡)としては垂直に近づくことになり、その結果、植付作動範囲におけるプランタビーク15の引き摺りを防止することができる許りでなく、プランタビーク15が植付苗の葉茎部を引っ掛けて植付姿勢を乱す不都合も可及的に防止することができるようになっている。
【0015】26は前記フロート8の中間部を支持するフロート支持アームであって、該フロート支持アーム26の基端部は、植付深さ調節操作具に連繋されるパイプ軸27に一体的に固着される一方、該パイプ軸27から後方下方に延出する先端部には、フロート8の中間部を上下揺動自在に支持するフロート支軸28が左右外側方に突出する状態で一体的に固着されている。
【0016】一方、29は前記フロート8の中間部上面にボルト固定される正面視凵字状のフロートブラケットであって、該フロートブラケット29の左右両端部から立ち上がる側板29aの上端部には、前記フロート支軸28の両端部に回動自在に嵌合可能な嵌合溝29bが形成されている。
【0017】さらに、30は前記フロートブラケット29に設けられる平面視凵字状の抜止めプレートであって、該抜止めプレート30の基端部は、前記側板29aの後端部にピン31を介して上下回動自在に支持される一方、左右に分離する先端側には、弾性変形自在な曲折部30aと、左右外側方に突出する断面筒状のストッパ部30bとが形成されている。そして、ストッパ部30bは、側板29aの前端部に形成される係止溝29cに対して、曲折部30aの付勢力を受けながら嵌合可能であるため、抜止めプレート30を嵌合溝29bの上方に沿う姿勢に保持してフロート支軸28を抜止めすることができ、また、曲折部30aの付勢力に抗してストッパ部30bを係止溝29cから外せば、抜止めプレート30を上方に回動させることができるため、フロート支軸28に対するフロート8の着脱が許容されるようになっている。従って、抜止めプレート30を回動操作するだけでフロート8を着脱することが可能になり、その結果、フロート8の着脱に際して支持ピンの抜き差し、Rピンの着脱等が必要だった従来に比してフロート8の着脱作業を簡略化することができるようになっている。
【0018】叙述の如く構成されたものにおいて、植付駆動軸10に固定されたロータリケース9の端部に、ロータリケース9の回転に伴って苗の掻取りおよび植付けを行うプランタアーム14を回動自在に設けると共に、該プランタアーム14の回動姿勢を、ロータリケース9に内装される不等速回転ギヤ列を介して制御するものであるが、前記不等速回転ギヤ列を構成する遊星ギヤ13においては、全ての歯を同一歯厚にすることなく、基本歯厚に対して歯厚が相違する範囲B、Cを部分的に形成しているため、歯厚変更範囲B、Cの歯厚設定に基づいてプランタアーム14の回動姿勢(ビーク軌跡)を部分的に補正することができる。
【0019】また、前記歯厚変更範囲Bは、プランタアーム14が苗載台5上のマット苗Mを掻取る作動範囲に対応すると共に、プランタアーム14が基本回動姿勢に比して先行回動するように歯厚が設定されているため、プランタビーク15がマット苗Mを掻取る直前に、マット苗Mの葉茎部を上方に掻き分ける動作が付加されることになり、その結果、葉茎部の巻込みに伴う掻取り性能の低下や葉茎部の損傷を可及的に防止することができる。
【0020】また、前記歯厚変更範囲Cは、プランタアーム14が掻取った苗を田面に植付ける作動範囲に対応すると共に、プランタアーム14が基本回動姿勢に比して先行回動するように歯厚が設定されているため、プランタビーク15が苗を植え付けて上昇する際のビーク先端ランニング軌跡を垂直に近づけることができ、その結果、植付作動範囲におけるプランタビーク15の引き摺りを防止することができる許りでなく、プランタビーク15が植付苗の葉茎部を引っ掛けて植付姿勢を乱す不都合も可及的に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成11年3月11日(1999.3.11)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開2000−253718(P2000−253718A)
【公開日】 平成12年9月19日(2000.9.19)
【出願番号】 特願平11−64894