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【発明の名称】 苗移植機
【発明者】 【氏名】山口 今朝義

【要約】 【課題】各種の苗の植付けを行うことができると共に小型の駆動源を用いることのできる苗移植機を提案すること。

【解決手段】菊移植機1には、苗植付け機構8および苗トレイ7と共に、作業員の乗車部として座席5が取り付けられている。苗植付け機構8は、車幅方向に配列された二組の苗植付け部9(1)、9(2)を備え、各苗植付け部は、それぞれ、走行車両4の走行に連動して上下動を行うと共に当該上下動に連動して車体前後方向に開閉する一対のくちばし型開孔器10、20および30、40を備えている。開孔器10、20と、開孔器30、40とは、同期して逆方向に上下動を行うようにそれらの駆動機構が構成されている。乗車している作業員により苗トレイから苗が各開孔器に投入されるので、各種の苗の植付けが可能である。二組の苗植付け部は逆方向に同期して上下動するので、これらの駆動源には、これらの駆動負荷が相互に相殺する方向に作用するので、小型の駆動源の利用が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前後車輪を備えた走行車両と、この走行車両に搭載された苗植付け機構と、移植用の苗を乗せる苗トレイとを有し、前記苗植付け機構は、前記走行車両の走行に連動して上下動を行うと共に当該上下動に連動して車体前後方向に開閉するくちばし型開孔器を備えた苗移植機において、前記走行車両は作業員の乗車部を備えており、前記苗植付け機構は、車幅方向に配列された少なくとも第1および第2の苗植付け部を備え、これら第1および第2の苗植付け部の前記くちばし型開孔器は、同期して逆方向に上下動を行うことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】 請求項1において、前記第1および第2の苗植付け部は、同数の前記くちばし型開孔器を備えていると共に、各苗植付け部の当該くちばし型開孔器の数は、1個または2個以上であることを特徴とする苗移植機。
【請求項3】 請求項1または2において、走行車両の方向を転換するために当該走行車両の後端部分に取り付けた方向転換用ハンドルフレームを有し、この方向転換用ハンドルフレームの把手部分と後輪との間の水平距離が長くなるように、当該方向転換用ハンドルフレームは前記走行車両に対して車体前後方向に回動可能に取り付けられていることを特徴とする苗移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、菊等の苗を植え付けるための苗移植機に関し、各種の苗の植付けを行うことのできる汎用性の高い苗移植機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】苗移植機としては、自走式の車両に、走行に伴って上下動するくちばし型開孔器を備えた苗植付け部と、開孔器に苗を自動供給する苗供給機構とが搭載された自動苗移植機が知られている。例えば、本願人によっても、特開平7−255285号公報、特開平9−191715号公報において、このような形式の苗移植機が提案されている。
【0003】この形式の苗移植機では、走行に連動してくちばし型開孔器を上下動させると共に、下降動作に連動して車体前後方向に当該開孔器の開孔爪を開くことにより、畝に苗植付け用の孔を形成し、ここに、開孔器の上端開口から苗供給機構によって自動投入された苗を自然落下させることにより植え付けるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の自走式の苗移植機においては次のような解決すべき課題がある。
【0005】まず、苗供給機構としては全自動供給型のものや、人が歩行しながら苗を供給する人力供給型のものは知られている。しかし、全自動型のものは苗供給機構によって供給可能な植付け苗に制約があり、苗供給機構によって供給可能な形状、構造の植付け苗以外の苗を移植することができない。このために、各種の苗の移植を行うためには、移植対象の苗を自動供給できるように、苗移植機構の構造を変更する必要があり、不便である。また、従来の人力供給型のものでは、人が歩きながら苗を供給する必要があるので、多条植えには適さないという不便さがある。
【0006】次に、多条植えの場合には、くちばし型開孔器を車幅方向に2個以上配列した構造の自動苗移植機が使用されるが、上下動する開孔器の個数が増加するのに伴って、搭載されている電動モータ等の動力源を、出力の大きなものとする必要がある。動力源の大型化は苗移植機の大型化、製造コストの増加に繋がるので好ましくない。
【0007】本発明の課題は、このような点に鑑みて、各種の苗を移植することのできる汎用性の高い苗移植機を提案することにある。また、小型の動力源を用いて多条植を行うことのできる苗移植機を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明の苗移植機では、走行車両に作業員の乗車部を設け、ここに乗った作業員により、苗トレイに乗っている苗を手作業により、苗植付け部のくちばし型開孔器に投入させるようにしている。このため、どのような種類の苗であっても植付けを行うことが可能になる。これに加えて、開孔器を車幅方向に2組以上配列すると共に、これらの開孔器の上下動を同期させて逆方向に移動させるようにしている。この構成を採用することにより、これらの開孔器を上下動させるための電動モータ等の駆動源に作用する負荷の回転バランスが良くなるので、小出力の駆動源により2組以上の開孔器の上下動を行うことができる。よって、多条植えを小型の駆動源により実現できる。さらには、このように車幅方向に配列されている開孔器が交互に上下動を行うので、各開孔器に対する苗の投入も交互に行えば良いので、複数個の開孔器に対する手作業による苗の投入作業が容易になるという利点もある。
【0009】ここで、本発明による苗移植機は、前記第1および第2の苗植付け部は、同数の前記くちばし型開孔器を備えていると共に、各苗植付け部の当該くちばし型開孔器の数は、1個または2個以上であることを特徴としている。同数の開孔器を配置することにより、これらの開孔器を上下動させるための電動モータ等の駆動源に作用する負荷の回転バランスが極めて良くなり、小出力の駆動源により2組以上の開孔器の上下動を行うことができる。
【0010】各苗植付け部に配置するくちばし型開孔器の数は、1個でもよいし、2個以上でもよい。例えば、4条植えの場合には、それぞれ一対のくちばし型開孔器が配列される。この場合には、各対の開孔器を交互に上下動させ、乗車部に乗っている作業員に、両手で苗を各対のそれぞれの開孔器に投入させればよい。
【0011】一方、本発明の苗移植機においては、走行車両の方向を転換するために当該走行車両の後端部分に方向転換用ハンドルフレームを取り付け、この方向転換用ハンドルフレームの把手部分と後輪との間の水平距離が長くなるように、当該方向転換用ハンドルフレームを前記走行車両に対して車体前後方向に回動可能に取り付けることが望ましい。このようにすれば、方向転換時に、方向転換用ハンドルフレームを回動させてその把手部分と後輪の間の水平距離を長くすれば、方向転換のために、把手部分を押し下げることにより、後輪を支点として、車両の前側部分を浮き上がらせる作業が楽になる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明を適用した4条植え用の菊苗移植機について説明する。
【0013】図1は、本例の4条植え用の菊苗移植機を斜め後方側から見た場合の外観斜視図である。本例の菊苗移植機1は、前輪2および後輪3を備えた走行車両4と、この走行車両4の後部に取り付けた乗車部としての座席5と、この座席5の後ろ側から後方に向けて斜めに延びる方向転換用ハンドルフレーム6と、走行車両4の上に取り付けた植付け用の菊を乗せる苗トレイ7とを備えている。また、車両4における座席6の下側位置に取り付けたステップ面用の金属板61の前方位置には、苗植付け機構8が配置されている。
【0014】苗植付け機構8は、車幅方向に配列した二組の苗植付け部9(1)、9(2)を備えており、各苗植付け部9(1)、9(2)は、それぞれ左右一対のくちばし型開孔器10、20および30、40を備えている。苗植付け部9(1)、9(2)は同一構成であり、走行に連動して上下動を行うと共に、同期して逆向きに上下動を行う。
【0015】図2は、菊移植機1の走行車両の車体フレーム、動力伝達機構および、一方の開孔機構の主要構成を示す概略構成図である。まず、走行車両4の車体フレームは、車両前側部分の両側に配置されたコ字状の前側フレーム41と、この前側フレーム41の下側水平フレーム部分41aの後端に連続して後方に向けて水平に延びている下側水平フレーム42と、この水平フレーム42の中程の位置から僅かに前方に傾斜した状態で上方に延びている連結フレーム43と、この連結フレーム43の上端と前側フレーム41の上側水平フレーム部分41bの後端を連結している上側水平フレーム44とを備えており、左右の各フレームの部分が車幅方向に延びる連結フレーム(図示せず)等によって連結されている。
【0016】この構成の車体フレームを備えた走行車両4には駆動源としての電動モータ45が搭載されており、当該モータの回転出力は、スプロケット・チェーン伝達機構を介して、例えば前進2段、後進1段用のトランスミッション46に伝達され、このトランスミッション46からスプロケット・チェーン伝達機構47を介して左右の後輪3に伝達される。
【0017】ここで、スプロケット・チェーン伝達機構47のケーシング47aは、トランスミッション46の側を中心として後輪3の側が上下にスイング可能である。車体フレームには後輪3の高さ調整機構48が取り付けられており、この型さ調整機構48の上端に取り付けられているハンドル48aを回すことにより、その高さ調整ロッド48bの下端が車体フレームに対して下方に向けて伸縮する。この高さ調整ロッド48bを伸縮させることにより、後輪3の車体フレームに対する取り付け高さを調整できる。前輪側においては、前輪2の回転軸を支持している車体前後方向に延びる支持アーム2aの後端部分は、車体フレームに取り付けられた支持フレーム2bの両端に対して菊座を介して取り付けられている。従って、支持アーム2aの傾斜角度を調整することにより、前輪2の車体フレームに対する高さを調整できる。
【0018】次に、植付け機構8を構成している一方の苗植付け部9(1)は、一対のくちばし型開孔器10、20と、これらの開孔器10、20を上下動させるリンク機構と、これらの開孔器10、20を上下動に連動させて車体前後方向に開閉させるリンク機構と、電動モータ45の回転力をこれらのリンク機構に伝達するための動力伝達機構とを有している。
【0019】くちばし型開孔器10は、上端が開口していると共に上方に広がった筒状の菊投入ホッパー11と、このホッパー11の下端に連続している円形の案内筒12と、この案内筒12の下に取り付けられている前後一対のくちばし型開孔爪13、14とを備えている。一対の開孔爪13、14は、案内筒12の前後に取り付けたブラケット12a、12bによって支持されている固定ピン12c、12dを中心として、車体前後方向に相互に開閉可能であり、通常状態においては、ホッパー11の側面から吊り下げてある引っ張り用コイルばね15によって、それぞれ、リンク61、62を介して上方に引っ張られて、閉じ状態(垂直状態)に保持されている。
【0020】開孔器10を上下動させるためのリンク機構は、平行リング51、52と、コンロッド53と、クランクシャフト54とを有しており、このクランクシャフト54は電動モータ45によって回転駆動される。クランクシャフト54にはコンロッド53の上端が回転自在に連結されており、このコンロッド53の下方側の部位には、上側の平行リンク51の車体前方端が上下方向に回転自在に連結されている。この上側の平行リンク51の車体後方端は、開孔器10の案内筒12に取り付けたブラケット12aに回転自在に連結されている。この上側の平行リンク51は、その車体前方側の部位に配置した支持ピン55をスイング中心として上下方向にスイング自在となっている。
【0021】下側の平行リンク52の車体前方端は、固定した位置に取り付けた支持ピン56に対して、車体前後方向に所定の距離だけ移動可能で、且つ上下方向に回転自在の状態に支持されている。この平行リンク52の車体後方端は、開孔器10の案内筒12のブラケット12aに対して上下方向に回転自在に連結されている。また、この平行リンク52の中程の部位にはガイドピン57が車幅方向に延びる状態で取り付けられ、このガイドピン57は、車体フレームの側に固定した(想像線で示す)ガイド板58に形成した上下方向に延びるガイド溝58aに沿って移動可能となっている。
【0022】電動モータ45の駆動力は、チェーン・スプロケット等の伝達機構、クラッチ機構49等を介して、クランクシャフト54に伝達されるようになっている。
【0023】図2および図3を参照して開孔器10の上下動を説明する。図2に示すように、クランクシャフト54が下死点にある状態では、コンロッド53が最も下がった位置にあり、従って、ここに車体前方端が連結されている上側の平行リンク51は、そのスイング中心である支持ピン55を中心として車体後方端が最も上に位置している。よって、この平行リンク51の車体後方端に連結されている開孔器10も最も高い位置にある。開孔器10は下側の平行リンク52の車体後方端によっても支持されているので、これらの平行リンク51、52によって、開孔器10の姿勢が規定される。本例ではほぼ垂直に保持されている。
【0024】この状態からクランクシャフト54が回転して図3に示す上死点に到ると、この回転に連動して、コンロッド53が最も高い位置に到る。この結果、上側の平行リンク51は支持ピン55を中心として車体後方端が下方にスイングし、そこに連結されている開孔器10は図3において実線で示す最も低い位置まで降下する。
【0025】ここで、降下時における開孔器10の姿勢は、下側の平行リンク52によって規定される。すなわち、上側の平行リンク51の車体後方端の移動軌跡はその支持ピン55を中心とする円弧を描くのに対して、下側の平行リンク52は、その車体前方端のスイング中心が車体前後方向に所定の距離だけ移動可能であるので、ガイド溝58aによって規定される移動軌跡に沿って、開孔器10に連結されているその車体後方端がスイングする。よって、下側の平行リンク52の車体後方端の移動軌跡に応じて、降下時の開孔器10の姿勢が規定される。本例では、ほぼ垂直な姿勢で開孔器10が降下するように、ガイド溝58aが形成されている。
【0026】次に、このような上下動に連動して、開孔器10の一対の開孔爪13、14を開閉するためのリンク機構について説明する。このリンク機構は、コンロッド53の下端に対して、車体前方端が上下方向に回転自在に連結されているプッシュロッド64と、このプッシュロッド64の車体後方端に対して上端が上下方向に回転自在に連結されているリンク65とを有している。
【0027】さらに、前述した案内筒12の前後に取り付けたブラケット12a、12bによって支持されている固定ピン12c、12d、各開孔爪13、14に下端が取り付けられているリンク61、62、これらのリンクの上端を回転自在に支持している共通の移動ピン66、およびこの移動ピン66を吊り下げている引っ張り用コイルばね15を有している。
【0028】プッシュロッド64は、一定の長さだけ伸縮可能なロッドであり、この車体後方端に連結されているリンク65の下端は前側の開孔爪13の上端に連結されている。また、当該リンク65は、その下端部分を貫通している固定ピン12cを中心として前後方向にスイング可能である。
【0029】図2および図3を参照して開孔器10の開孔爪13、14の開閉動作を説明する。前述のように、開孔器10が図2に示すように最上位置にある状態では、コイル15によって一対の開孔爪13 、14は閉じている。また、プッシュロッド64はもっとも伸長した状態にある。
【0030】この状態からクランクシャフト54が回転してその上死点に到ると、この回転に連動して上記のように開孔器10は降下して図3に示す最も低い位置に到る。プッシュロッド64の車体後方端は降下する開孔器10に連結されているので、その車体後方端が図3に示す位置まで降下する。開孔器10はほぼ垂直に降下するので、プッシュロッド64は開孔器10の降下に伴って押し縮められる。プッシュロッド64が押し縮められる間は開孔爪13、14は閉じた状態のままである。
【0031】開孔器10が中程の位置まで降下すると、プッシュロッド64はそれ以上押し縮めることができなくなるので、固定支点12cを中心として、垂直リンク65の上端を後方に押し込む。この結果、垂直リンク65の下端に連結されている開孔爪13はコイル15のばね力に逆らって、固定ピン12cを中心として前方に開く。これに連動して、コイル15によって引っ張られている移動ピン66が降下するので、他方の開孔爪14も、固定ピン12dを中心として後方に開く。図3に示すように開孔器10が最も降下した状態において一対の開孔爪13、14は前後に最も開いた状態となる。
【0032】このように、開孔器10は、電動モータ45の回転に伴って、すなわち、走行車両4の走行に連動して上下動を繰り返し、また、一対の開孔爪13、14は上下動に連動して開閉動作を行う。この結果、図3に示すように、車輪3の間に位置している畝Gに、開孔爪13、14が突き刺さり、前後に広がることにより、菊苗の植え込み孔が形成される。
【0033】ここにおいて、本例の菊移植機1では、図1から良くわかるように、車幅方向の二組の苗植付け部9(1)、9(2)が配置されており、前述のように、各苗植付け部には一対の開孔器10、20および30、40が取り付けられている。また、本例では、双方の苗植付け部9(1)、9(2)の開孔器10、20および30、40は同期して逆方向に上下動を繰り返すように構成されている。すなわち、一方の苗植付け器9(1)の開孔器10、20が図1、2に示すように最も高い位置にある状態では、他方の苗植付け部9(2)の開孔器30、40は図1、3に示すように最も低い位置にあり、一方の開孔器10、20の降下に連動して、他方の開孔器30、40が上昇するように構成されている。
【0034】このように、左右の苗植付け部9(1)、9(2)は同期をとって逆方向に移動するので、これらの駆動源である電動モータ45に対しては、一方の苗植付け部を降下させる方向の負荷と、他方の苗植付け部を上昇させる方向の負荷が作用する。すなわち、逆向きの負荷が相殺する状態に作用するので、出力の小さな小型のモータを用いてこれらの機構を駆動することが可能である。
【0035】次に、上記のように動作する二組の植付け部を有する菊移植機1による菊苗の植付け動作を説明する。作業員は、菊移植機1の座席5に座り、畝Gに沿って菊移植機1を前進させる。二組の苗植付け部9(1)、9(2)は走行に連動して上下動を開始する。作業員は、菊の苗を、苗トレイ7から両手で取り、これらを、上側に位置している例えば苗植付け部9(1)の一対の開孔器10、20のホッパー11、21に投入する。ホッパー11、21に投入された菊の苗は、案内筒12を介して、閉じた状態にある一対の開孔爪13、14および23、24(図においては開口爪13、14のみを示してある。)によって保持された状態になる。
【0036】開孔器10、20が降下して、それらの一対の開孔爪が開きながら畝Gに孔を開けると、これらの間に保持されている菊の苗が孔に落下して、それらの植付けが行われる。
【0037】二組の苗植付け部9(1)、9(2)が交互に上下するので、左右2本づつ菊の苗の植付けが行われる。すなわち、1回の走行で4条分の植付けが行われることになる。
【0038】ここで、図2において、番号201は覆土器であり、スイングアーム202と、このスイングアーム202の後端に取り付けた土寄せ片203とを備えている。スイングアーム202の前端は、車両のフレーム41aに対して上下方向に回転自在に取り付けられており、従って、土寄せ片203の側が上下にスイング可能となっている。このスイングアーム202はばね力により下方に押しつけられている。
【0039】前述のようにして畝Gに沿った1行程の植付け作業が終了した後は、菊移植機1を逆向きに方向転換して、隣接した4条分の畝に沿った植付け作業が行われる。菊移植機1の方向転換作業は、一般に、その後端に取り付けられている方向転換用ハンドルフレーム6を押し下げることにより、後輪3を支点として、車両4の前側を持ち上げ、この状態で後輪3を中心にして車両4を180度反転させる動作になる。この作業を簡単に行うためには、支点となる後輪3から方向転換用ハンドルフレーム6の車幅方向に延びる把手部分6aまでの距離が長い方がよい。
【0040】そこで、本例においては、図4に示すように、方向転換用ハンドルフレーム6の下端が取り付けられている座席支持フレーム101を、水平フレーム42に取り付けた支軸102を中心として車体後方に回動可能としてある。詳細に説明すると、座席支持フレーム101にはストッパ103がその車体後方側が上方に回動可能に取り付けられており、操作ペダル104によって当該ストッパ103を回動できるようになっている。図において実線で示す通常状態においては、ストッパ103は、水平フレーム42に取り付けた受け板105に対して車体前方側から押しつけられている。
【0041】操作ペダル104をばね力に逆らって前方に踏み込むと、ストッパ103が受け板105から上方に外れる。この結果、方向転換用ハンドルフレーム6を後方に引けば、座席支持フレーム101をばね力に逆らって支軸102を中心として後方に所定の角度だけ倒すことができる。座席支持フレーム101が図において想像線で示す位置まで倒れると、ストッパ103の下縁に形成されているフック部分が受け板105に上方から嵌まりこみ、座席支持フレーム101はこの傾斜位置に固定される。
【0042】この結果、後輪3から方向転換用ハンドルフレーム6の把手部分6aまでの距離は、L1からL2と長くなり、従って、テコの原理により、当該把手部分6aを押し下げて行う方向転換作業がより小さな力で可能となる。
【0043】方向転換後は、操作ペダル104を踏み込むと、ストッパ103のフック部分103aが受け板105から外れるので、ばね力によって、座席支持フレーム101は図において実線で示す位置まで立ち上がる。、操作ペダル104の踏み込みを解除すると、ストッパ103は再び図において実線で示すように、その後方端が受け板105に当たった状態となる。
【0044】(その他の実施の形態)上記の例では、左右一対づつの開孔器を配列しているが、左右にそれぞれ単一の開孔器を配置してもよく、あるいは、3個以上の開孔器をそれぞれ配置してもよい。左右に3個以上配置する場合には、例えば、2人の作業員により、植付け部の各開孔器に対する投入作業を行うようにすればよい。なお、左右の開孔器の個数を同一ではなく異なる個数としてもよい。例えば、一方の側に3個の開孔器を配置し、他方の側には2個の開孔器を配置する構成を採用することも可能である。
【0045】また、左右の苗植付け部の上下動、開孔爪の開閉動作は、上記の例のようなリンク機構の代わりにいかなる機構を用いても良いことは勿論である。
【0046】さらに、移植機の駆動源としては電動モータの代わりにディーゼルあるいはガソリンエンジンを搭載してもよい。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の苗移植機では、作業員の乗車部を配置し、乗車している作業員によって菊等の苗を植付け部の開孔器に投入するようにしてあると共に、走行に連動して上下動する少なくとも二組の開孔器を配置し、これらの開孔器の上下動を逆向きに同期させて行うように構成してある。
【0048】従って、本発明によれば、各種の苗の植付けを行うことのできる汎用性の高い移植機を実現できる。また、左右の開孔器の上下動を逆向きに同期させて行うようにしているので、これらの開孔器の駆動源としてのモータ等に作用する負荷の回転バランスが良いので、小出力の小型のモータを用いることができ、その分、移植機の小型化、コンパクト、低コスト化を実現できる。
【0049】また、本発明の苗移植機では、その方向転換用のハンドルフレームを後方に倒して、方向転換の支点となる後輪からハンドルフレームの把手部分までの距離を長くできるようにしてある。よって、方向転換時にハンドルフレームを後方に倒すことにより、より小さな力で方向転換作業を行うことが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000240961
【氏名又は名称】片倉機器工業株式会社
【出願日】 平成11年2月10日(1999.2.10)
【代理人】 【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎 (外1名)
【公開番号】 特開2000−228903(P2000−228903A)
【公開日】 平成12年8月22日(2000.8.22)
【出願番号】 特願平11−32102