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【発明の名称】 移動農機のフレ―ム構造
【発明者】 【氏名】松岡 正躬

【氏名】野上 久男

【氏名】田中 周二

【要約】 【課題】エンジンの取付高さを低くして出力軸に連結されるプロペラシャフトを機体後方に略々水平に延伸できるようにする。

【解決手段】乗用田植機10は、前輪12及び後輪14にて支持された走行機体16を有し、この走行機体16は、機体の前後方向に沿って略々平行に配置された左右一対のメインフレーム18,18を有している。このメインフレーム18,18は、機体の前部を下向きに伸張されていて、この伸張部18a,18aにて前記エンジン20を下方から支持することにより、該エンジン20の取付高さを低くし、エンジン20の出力軸54に連結されるプロペラシャフト56を曲げずに機体後方に向けて略々水平に延伸し、トランスミッション等に連結している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前輪及び後輪にて支持された走行機体を構成すると共に、機体前後方向に沿い略々平行に配置された左右一対のメインフレームを有し、該メインフレームにエンジンを配設してなる移動農機において、前記左右メインフレームの前部を下向きに伸張し、該伸張部にて前記エンジンを支持した、ことを特徴とする移動農機のフレーム構造。
【請求項2】 前記エンジンを、防振部材を介して下方から支持した、ことを特徴とする請求項1記載の移動農機のフレーム構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体を構成するメインフレームにエンジンを配設した移動農機に関し、詳しくはメインフレームの前部を下向き形成し、エンジン支持部とした移動農機のフレーム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】移動農機としての乗用田植機は、前後輪支持部としてのフロントアクスル及びリヤアクスルを接続する左右2本のメインフレームが機体前後方向に配置され、機体左右方向に延びる前記フロントアクスルの中央部には変速装置としてのトランスミッションが取り付けられ、更に該トランスミッションの機体前部にはエンジンが搭載されている。また、前記走行機体の後方には、昇降リンク機構を介して作業部が支持され、該作業部は油圧シリンダにより昇降制御自在とされていて、走行機体の移動に伴い、前記作業部にて圃場面に苗が移植される。
【0003】このような乗用田植機として、従来、例えば特開平8−2146457号公報に記載の技術が公知であり、これによれば、図10に示すように、機体前後に略々水平な真直状の機体フレーム18の前部に架台51を固定し、該架台51に防振ゴム52を介してエンジン台100を取付け、このエンジン台100にエンジン20を搭載している。また、ミッションケース22の前方にフロントアクスルケース21を介して前輪12を支持すると共に、該ミッションケース22の後部にリヤアクスルケース23を連設し、該リヤアクスルケース23に後輪14を支持している。
【0004】そして、エンジン出力軸54に出力プーリ101を取付け、該出力プーリ101をVベルトを介してカウンタプーリ102に連結させている。更に、カウンタ軸103と変速ケース104との間に、ジョイント付き伝動軸105を設け、エンジン出力を変速ケース104に伝えると共に、フロントアクスルケース21とミッションケース22間に前輪伝動軸106を設け、ミッションケース22の変速出力を各アクスルケース21,23を介して前後輪12,14に伝えるように構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来の技術によると、カウンタ軸103と変速ケース104との間に連結されたジョイント付き伝動軸105が斜めになってフロントアクスルケース21の上方を通過しているため、該フロントアクスルケース21及びリヤアクスルケース23の取付位置が低くなり、よって機体の最低地上高が悪くなるという不具合があった。
【0006】また、例えば出力軸がエンジンベースに対し所定高さ位置から機体後方に向けて突設されている縦型エンジンにあっては、前記出力軸に連結される動力伝達軸を機体後方に略々水平に延伸することができず、下方に曲げながら機体後方のトランスミッション等に連結しなければならないため、機体構成を簡潔にすることが困難であるという課題があった。
【0007】この発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、エンジンの取付高さを低くすることで、エンジン出力軸に連結される動力伝達部材を曲げることなく機体後方に延伸可能として機体構成を簡潔にすると共に、エンジンから機体メインフレームに伝達される振動量を緩和し得る移動農機のフレーム構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、請求項1記載の発明は、前輪(12)及び後輪(14)にて支持された走行機体(16)を構成すると共に、機体前後方向に沿い略々平行に配置された左右一対のメインフレーム(18,18)を有し、該メインフレーム(18,18)にエンジン(20)を配設してなる移動農機(10)において、前記左右メインフレーム(18,18)の前部を下向きに伸張し、該伸張部(18a)にて前記エンジン(20)を支持したことを特徴とする。
【0009】また、請求項2記載の発明は、前記エンジン(20)を、防振部材(52)を介して下方から支持したことを特徴とする。
【0010】[作用]以上の発明特定事項により、本発明の移動農機(10)によれば、機体前後方向に沿い略々平行に配置された左右一対のメインフレーム(18,18)の前部を下向きに伸張し、この伸張部(18a)にてエンジン(20)を支持することにより、該エンジン(20)の取付高さを低くでき、これにより、例えばエンジンベースに対し所定高さ位置から後方に向けて出力軸(54)が突出されている縦型エンジンにあっては、該出力軸(54)に連結された動力伝達部材(56)を下方に曲げることなく略々水平に機体後方に延伸して、トランスミッション等に連結できるため、機体構成を簡潔にすることが可能となる。また、前記エンジン(20)と、該エンジン(20)を下方から支持するメインフレーム(18)との間に介装された防振部材(52)により、メインフレーム(18)に伝達されるエンジン(20)からの振動の大きさ等が軽減される。
【0011】なお、上述したカッコ内の符号は図面を参照するために示すものであって、本発明の発明特定事項をなんら限定するものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0013】図1及び図2は、本発明に係る移動農機としての乗用田植機を示すもので、この乗用田植機10は、前輪12及び後輪14により支持された走行機体16を備えており、この走行機体16は、機体前後方向に沿い略々平行に配置された左右一対のメインフレーム18,18を有している。
【0014】前記走行機体16には、その前方部分にボンネット17に覆われたエンジン20が配設され、更に機体後方に向け前輪12を支持するフロントアクスルケース21、ミッションケース22、静油圧伝動装置(以下「HST」という)58、後輪14を支持するリアアクスルケース23等が順に配設されている。前記走行機体16の後方には、植付部34が、アッパリンク37とロアリンク38を有する昇降リンク機構36により昇降自在に支持され、該植付部34にはフロー卜40及びマット苗を載置し得る苗載せ台42が備えられていて、植付杆35により田面に苗が植付けられる。なお、この植付部34は、昇降リンク機構36の後端部にローリング自在に支持されている。
【0015】また、前記前輪12及び後輪14の略々中間位置の走行機体16上には、ステアリングホイール27と座席座席シート28を有する運転席30が配設されていて、この運転席30には、機体走行速度を制御する主変速レバー32と、植付部34の昇降及び植付クラッチの入切を行う油圧植付レバー33等が配設されている。
【0016】前記ミッションケース22と昇降リンク機構36との間には、油圧シリンダ44が配設されていて、前記油圧植付レバー33を操作すると、運転席30の下方に配置された油圧制御バルブ(図示せず)が作動し、この作動に基づき油圧シリンダ44が伸縮して、前記植付部34を昇降制御する。また、前記油圧制御バルブは、リンク機構を介して前記フロー卜40に連結されていて、該フロート40に作用する土圧変動に基づき自動的に制御され、これにより植付部34が自動的に昇降制御される。
【0017】図3に示すように、走行機体16上には、足乗せ用のステップ46−1〜46−4が設けられていて、オペレータはこれらのステップ46を利用して、降車することなく走行機体16の前部に積載された苗を後方の苗載せ台42に円滑に供給できるようになっている。このステップ46として、運転席中央に形成されたセンターステップ46−1、その左右側のサイドステップ46−2、ボンネット17の左右側に形成されたフロントステップ46−3、座席シート28の後部左右側に形成されたリアステップ46−4等がある。
【0018】図4及び図5に示すように、前記エンジン20の動力は、その出力軸54からプロペラシャフト56を介して前記HST58に入力され、該HST58にて変速されてミッションケース22に入力され、該ミッションケース22からフロントアクスルケース21及びリアアクスルケース23等に伝達される。
【0019】本発明においては、前記左右メインフレーム18,18の前部を下向きに伸張し、該伸張部にて前記エンジン20を支持したものである。
【0020】図4〜図7に示すように、前記メインフレーム18として断面矩形状の角形パイプが用いられ、該メインフレーム18の前部は下向きに折曲伸張されていて、その伸張部18aにより縦型のエンジン20が取付ブラケット50,51を介して下方から支持されている。この場合、エンジン20は前記伸張部18aにより可及的に低く支持することができるので、エンジン取付部におけるエンジン20とメインフレーム18との間には、エンジン20側の取付ブラケット50とメインフレーム18側の取付ブラケット51との間に、ゴム等の防振部材52を介装するだけの余裕が生じ、更にこのような防振部材52を介装してもなおエンジン20の取付高さを低く保持することができる。
【0021】このように、エンジン20の取付位置が低くなると、機体重心が下がり走行安定性が増加すると共に、エンジン20を覆うボンネット17の高さも低くすることができる。そして、ボンネット17の高さが低くなると、運転者にとっては走行時の前方視界が良好となる等の利点を有する。
【0022】また、本実施の形態では、前記エンジン20を下方から支持するものであるから、機体左右方向にはストッパとなる部材は存在せず、よって左右幅方向に広いエンジン20を支持する場合であっても簡単に載置することが可能であると共に、前述のように、防振部材52を介してエンジン20を下方から支持することにより、該防振部材52によってある程度振動が吸収されるため、エンジン20からメインフレーム18に伝わる振動の大きさ等が軽減される。
【0023】更に、本実施の形態のように、縦型のエンジン20を用いた場合は、該エンジン20の出力軸54が、エンジンベースに対し所定高さ位置から後方に向けて突出されているが、機体前部を下向きに伸張したメインフレーム18により、この出力軸54の高さに略々一致するようにエンジン20の取付け高さを低く設定することができるので、図4及び図5に示されるように、この出力軸54に連結されたプロペラシャフト56を曲げることなく、略々水平かつ直線的に機体後方に延伸してミッションケース22等に連結することができ、機体構成を簡潔なものとすることが可能となる。
【0024】具体的には、前記出力軸54に連結されたプロペラシャフト56を、ステップ46の下方にて直線的に後方に延設し、ミッションケース22を貫通して座席シート28の下方空間に配置したHST58の入力軸に連結している。前記ミッションケース22は、その前部をフロントアクスルケース21の中央デフケース21bに取付けられ、また後部をメインフレーム18,18間に横架された横架フレーム29に取付けられている。
【0025】更に、このHST58に入力された動力は所定回転数に変速され、該HST58の出力伝動軸はミッションケース22側に連結されていて、該ミッションケース22から、その前部に配置されたフロントアクスルケース21と、走行PTO軸60を介してリアアクスルケース23に動力が伝達されていると共に、植付PTO軸62を介して植付部34にも動力が伝達されている。また、前記メインフレーム18,18の後部からは縦フレーム64,64が立設されていて、該縦フレーム64,64の上端部間はU字型パイプ66によって連結されている。そして、このU字型パイプ66の上方に前記座席シート28が形成される。
【0026】図8は、乗用田植機10の機体フレーム構成を機体前面から見た図であり、同図に示されるように、フロントアクスルケース21の左右両端側のファイナルケース21a,21aがブラケット24,24を介して夫々メインフレーム18,18に一体的に固定されていると共に、左右メインフレーム18,18の前部は板状部材73により一体的に接続されている。
【0027】図9は、機体後部の平面図であり、同図によれば、リアアクスルケース23の左右両端側がメインフレーム18,18に夫々一体的に固定され、また、リアアクスルケース23にはブレーキアーム74が設けられている。
【0028】以上により、本実施の形態によれば、エンジン20を機体前方に配置すると共に、HST58及びミッションケース22を機体中央前部に集中配置して、特に多条田植機に適用して有利なように、機体全体の前後重量バランスが良好に保たれるようにしている。
【0029】なお、本実施の形態では、エンジン20を下方から支持した場合について説明したが、左右側面から支持することも可能であり、この場合もエンジン20の取付高さを低く保持することができる。また、エンジン20の機体後方には、ラジエータ19が配設されている。
【0030】次いで、前述した図4及び図5において、左右のメインフレーム18,18からは、その左右両側方に、前記ステップ46を支持するステップフレーム70,70が取付けられていて、このステップフレーム70は、その前後部をメインフレーム18から突設された張出し梁71によって支持されている。また、左右のステップフレーム70,70の前部を連結するように、連結フレーム72が取付けられている。このステップフレーム70は、フロントアクスルケース21の左右両側方の付近から機体後方の座席シート28付近に向けて、メインフレーム18と略々同じ高さに伸張されていて、このステップフレーム70の上部にはセンターステップ46−1及びサイドステップ46−2が形成されている。
【0031】また、このステップフレーム70の前部は、フロントアクスルケース21の前方にてメインフレーム18が下向きに折曲されている位置近傍から機体前方に向けて斜め上方に傾斜され、更に所定高さで前方に向け略々水平に延び、該水平部の前方が急に下方に折曲されて、その先端部にて前述した張出し梁71に連結されている。このステップフレーム70の上部には、フロントステップ46−3が形成されている。なお、リアステップ46−4はリアステップカバー48(図1参照)の上部に形成されている。
【0032】このように、左右のメインフレーム18,18の外側方に略々平行にステップフレーム70,70が配置され、これらのステップフレーム70,70は前後部で連結される構成としたので、メインフレーム18から多数の張出し梁を突設することなく、ステップ46を支持することが可能となり、また軽量かつ安価にステップフレーム70を形成することができる。
【0033】また、上述した図5において、走行機体16の最前部の左右側には、左右のメインフレーム18,18間に横架されたアーム部材81により、ペーストタンク80,80が搭載されていて、これら左右のペーストタンク80,80は中央にペースト供給口82を有する連結チューブ84にて連結されている。そして、このペースト供給口82を機体最前方に配置することで、ペースト供給の容易化が図られる。更に、これら連結チューブ84及びペーストタンク80,80の後方に、前記エンジン20、続いてラジエータ19が配設されていて、いわばエンジン20を挟んで前部にペーストタンク80、後部にラジエータ19を配置した構成になっているので、機体前後の重量バランスを悪化することなく、ペースト供給の容易化が図られることになる。
【0034】この場合、もしもエンジン20に対し、ペースト供給口82とラジエータ19を同一側に配置した場合、機体全長を短くしようとするとエンジン20は後方に下がり、機体前後の重量バランスが悪くなる。一方、エンジン20の位置をそのままにした場合は、機体全長が長くなって回行性等の課題が残ることになる。
【0035】なお、通常の場合、ボンネット17はハンドル部から前方に向かって傾斜しており、本実施の形態のように、縦長のラジエータ19をハンドル側に配置すれば、スラントノーズのボンネット構成が可能となる。
【0036】
【発明の効果】以上説明した通り、請求項1記載の発明によれば、左右メインフレームの前部を下向きに伸張し、該伸張部にてエンジンを支持したことにより、エンジンの取付高さを低くすることができ、これにより、例えばエンジンベースに対し所定高さ位置から後方に向けて出力軸が突出されている縦型エンジンにあっては、該出力軸に連結された動力伝達部材を下方に曲げることなく略々水平に機体後方に延伸して、トランスミッション等に連結することができるため、機体構成を簡潔にすることができる。
【0037】また、エンジンの取付高さを低くすることで、エンジンを覆うボンネットの高さを低くすることができ、機体走行時の前方視界を良好にすることができる。更に、機体重心位置を下げて機体の安定走行を図ることができる。
【0038】請求項2記載の発明によれば、下方からエンジンを支持するものであるため、幅広のエンジンに対しても簡単に取付けることができる。また、防振部材を介してエンジンを下方から支持したことにより、該エンジンからメインフレームに(更には運転者に)伝わる振動の大きさ等を軽減することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成11年1月11日(1999.1.11)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
【公開番号】 特開2000−201510(P2000−201510A)
【公開日】 平成12年7月25日(2000.7.25)
【出願番号】 特願平11−4495