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【発明の名称】 田植機
【発明者】 【氏名】岡 田 悟

【氏名】小 山 実

【要約】 【課題】フロート機能と植付深さを一定維持させた植付精度良好な植付作業を可能とさせる。

【解決手段】植付部(15)と田面間の距離の変化を検出する昇降センサ(79)と、該昇降センサ(79)の検出に基づいて植付部(15)の昇降制御を行って設定植付深さを維持させる油圧昇降制御機構(28)とを備えた田植機において、植付深さを設定範囲内で無段階に設定変更可能な植深設定手段(83)と、本機の走行作業状態を検出する作業検出手段(100)とを設け、本機の走行作業状態に応じて植付深さの設定値を変更補正する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植付部と田面間の距離の変化を検出する昇降センサと、該昇降センサの検出に基づいて植付部の昇降制御を行って設定植付深さを維持させる油圧昇降制御機構とを備えた田植機において、植付深さを設定範囲内で無段階に設定変更可能な植深設定手段と、本機の走行作業状態を検出する作業検出手段とを設け、本機の走行作業状態に応じて植付深さの設定値を変更補正するように設けたことを特徴とする田植機。
【請求項2】 本機の走行速度を検出する車速センサを設けて、本機の走行速度に応じて植付深さの設定値を変更補正するように設けたことを特徴とする請求項1記載の田植機。
【請求項3】 油圧昇降制御機構の油圧感度を調節する感度設定器を設け、油圧感度を標準に保った状態で設定植付深さに植付部を昇降制御するように設けたことを特徴とする請求項1記載の田植機。
【請求項4】 植付作業状態を検出する植付検出手段を設け、植付作業状態時のみ植深設定手段のアクチュエータを駆動するように設けたことを特徴とする請求項1記載の田植機。
【請求項5】 アクチュエータが目標値の不感帯に入ったとき、一定時間が経過するまではアクチュエータへの駆動出力を禁止させるように設けたことを特徴とする請求項4記載の田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えばセンタフロートの傾斜角度の変化より植付部と田面間の距離の変化を検出し、植付部の昇降制御を行って植付部の植付深さを一定維持させるようにした田植機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、機体の走行速度が速くなると、水流や表土の反力でフロートの前方が持ち上げられて植付上昇制御が行われるため、油圧昇降制御機構の油圧感度(センタフロートの目標傾斜角度)を鈍感側(センタフロートを前上り傾向)に補正して、高速時の植付部の浮き上がりによる浅植えなどを防止して植付深さを一定維持させるようにした手段がある。また、作業中本機がヘッドアップ或いはヘッドダウンするなどして前後方向に傾いた場合にも、フロートの目標傾斜角度は変化し、油圧感度が鈍感或いは敏感となって深植え或いは浅植えとなるため、油圧感度を敏感或いは鈍感側に補正するようにした手段がある。
【0003】しかし乍らこのような油圧感度のみの補正の場合、フロートの傾斜姿勢が標準より変化するため、フロートによる均平や車輪の跡消し作用が適正に機能しなくなるという不都合があった。そのため、例えば実公平7−37458号公報に車速変速機構と連動して走行速度が一定以上になると植付深さを深植側に変更して、浅植えとなるのを防止するようにした手段があるが、この場合低速域での植付深さの変更は行われないため、低速域では浅植え傾向となって植付精度が低下する不都合がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、植付部と田面間の距離の変化を検出する昇降センサと、該昇降センサの検出に基づいて植付部の昇降制御を行って設定植付深さを維持させる油圧昇降制御機構とを備えた田植機において、植付深さを設定範囲内で無段階に設定変更可能な植深設定手段と、本機の走行作業状態を検出する作業検出手段とを設け、本機の走行作業状態に応じて植付深さの設定値を変更補正して、本機の車速や前後姿勢など走行作業状態が変化するとき、フロートの傾斜姿勢を適正に保った状態で、植付深さの基準値のみを適正に補正して、植付深さを一定に保った良好な植付作業を可能とさせるものである。
【0005】また、本機の走行速度を検出する車速センサを設けて、本機の走行速度に応じて植付深さの設定値を変更補正して、本機の高速走行時には、植付深さの基準値のみを深植え側に補正して、植付深さを一定とさせた良好な植付作業を可能とさせるものである。
【0006】さらに、油圧昇降制御機構の油圧感度を調節する感度設定器を設け、油圧感度を標準に保った状態で設定植付深さに植付部を昇降制御して、フロートを常に標準姿勢に保って、適正な接地圧で田面の均平や車輪の跡消しを行って、植付深さを一定とさせた良好な植付作業を可能とさせるものである。
【0007】またさらに、植付作業状態を検出する植付検出手段を設け、植付作業状態時のみ植深設定手段のアクチュエータを駆動して、植付深さを補正するアクチュエータを植付作業状態時のみ駆動可能とさせて、アクチュエータの使用頻度を低減(バッテリ消費抑制、高寿命化)させて、アクチュエータの耐久性向上と、植付精度の安定維持を図るものである。
【0008】また、アクチュエータが目標値の不感帯に入ったとき、一定時間が経過するまではアクチュエータへの駆動出力を禁止させて、アクチュエータの使用頻度を低減させると共に、アクチュエータの動作のハンチングを防止して、動作の安定性向上を図るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は乗用田植機の側面図、図2は同平面図を示し、図中(1)は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン(2)を車体フレーム(3)に搭載させ、ミッションケース(4)前方にフロントアクスルケース(5)を介して水田走行用前輪(6)を支持させると共に、前記ミッションケース(4)の後部にリヤアクスルケース(7)を連設し、前記リヤアクスルケース(7)に水田走行用後輪(8)を支持させる。そして前記エンジン(2)等を覆うボンネット(9)両側に予備苗載台(10)を取付けると共に、乗降ステップ(11)を介して作業者が搭乗する車体カバー(12)によって前記ミッションケース(4)等を覆い、前記車体カバー(12)上部に運転席(13)を取付け、その運転席(13)の前方で前記ボンネット(9)後部に操向ハンドル(14)を設ける。
【0010】また、図中(15)は6条植え用の苗載台(16)並びに複数の植付爪(17)などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台(16)を下部レール(18)及びガイドレール(19)を介して植付ケース(20)に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース(21)を前記植付ケース(20)に支持させ、該ケース(21)の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース(22)(22)を配設し、その爪ケース(22)(22)先端に植付爪(17)(17)を取付ける。また前記植付ケース(20)の前側にローリング支点軸(23)を介してヒッチブラケット(24)を設け、トップリンク(25)及びロワーリンク(26)を含む昇降リンク機構(27)を介して走行車(1)後側にヒッチブラケット(24)を連結させ、前記リンク機構(27)を介して植付部(15)を昇降させる油圧昇降制御機構である油圧昇降シリンダ(28)をロワーリンク(26)に連結させ、前記前後輪(6)(8)を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台(16)から一株分の苗を植付爪(17)によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。
【0011】また、図中(29)は主変速レバー、(30)は副変速レバーでもある植付レバー、(31)は感度設定器、(32)は主クラッチペダル、(33)(33)は左右ブレーキペダル、(34)は2条分均平用センタフロート、(35)は2条分均平用サイドフロート、(36)は6条用の側条施肥機である。
【0012】さらに、図3、図4に示す如く、前低後高(傾斜角約4度)に傾斜させる前記車体フレーム(3)前部上面に架台(37)…を一体固定させ、架台(37)…の上面に防振ゴム(38)…及びエンジン台(39)を介して前記エンジン(2)を上載させ、前記エンジン(2)の左側に燃料タンク(40)を、またエンジン(2)の右側にマフラー(41)を取付けると共に、車体フレーム(3)前端側略中央にバッテリ(43)を取付けている。
【0013】またさらに、前記車体フレーム(3)にケース台(44)を一体固定させ、ケース台(44)にステアリングケース(45)を取付け、ハンドル筒体(46)に内挿させる操向ハンドル(14)のステアリング軸(14a)を、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央でステアリングケース(45)上面に立設させると共に、ステアリングケース(45)下面に出力軸(47)を突設させ、左右の前輪(6)(6)を方向転換させる操向アーム(48)を前記出力軸(47)に取付けている。
【0014】また、前記エンジン(2)下方のエンジン台(39)下側に、前後方向に略水平な円筒形の軸受体(49)を熔接固定させ、前記軸受体(49)にカウンタ軸(50)を挿通支持させ、軸受体(49)前方に突出させるカウンタ軸(50)前端にカウンタプーリ(51)を取付けると共に、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央上方でエンジン(2)の前方にエンジン出力軸(52)を突設させ、該出力軸(52)に出力プーリ(53)を取付け、該出力プーリ(53)を前記カウンタプーリ(51)にVベルト(54)を介して連結させている。
【0015】さらに、前記車体フレーム(3)後端部にリヤアクスルケース(7)をボルト止め固定させ、前記リヤアクスルケース(7)前面にミッションケース(4)後面を連結固定させると共に、ミッションケース(4)の右側前面にクラッチケース(55)を一体形成し、クラッチケース(55)前面に無段ベルト変速ケース(56)右側後面を嵌合固定させ、また昇降シリンダ(28)を作動させる油圧ポンプ(57)をベルト変速ケース(56)の左側後面に固定させるもので、四角パイプ形の左右車体フレーム(3)(3)の間でこの上面よりも低位置に前記各ケース(4)(55)(56)及び油圧ポンプ(57)を吊下げ固定させ、ユニバーサルジョイント付き伝動軸(58)を前記カウンタ軸(50)後端とベルト変速ケース(56)間に設け、エンジン(2)出力をベルト変速ケース(56)に伝えると共に、フロントアクスルケース(5)とミッションケース(4)間に前輪伝動軸(59)を設け、ミッションケース(4)の変速出力を各アクスルケース(5)(7)を介して前後輪(6)(8)に伝えるように構成している。
【0016】図5乃至図8に示す如く、前記センタフロート(34)の前部を上下に揺動自在に支持するピッチング支点軸(60)をフロート(34)後部上面のブラケット(61)に設け、前記植付ケース(20)に回動自在に枢支する植付深さ調節支点軸(62)に、植付深さ調節リンク(63)の基端を固設させると共に、該リンク(63)の先端を前記ピッチング支点軸(60)に連結させている。
【0017】そして、前記植付ケース(20)側に固定アーム(64a)を介し支持する支軸(65)に出力リンク(66)中間を回動自在に枢支し、前記調節支点軸(62)に基端を固設する揺動アーム(67)の先端に、結合ピン(68)を介して出力リンク(66)後端を連結させると共に、該出力リンク(66)前端の軸(69)に昇降リンク(70)を連結させ、センタフロート(34)の前部上面に固設するブラケット(71)の軸(72)と前記昇降リンク(70)一端側の軸(73)間を揺動リンク(74)を介し連結させている。
【0018】また、前記支軸(65)にセンサリンク(75)の中間を回動自在に枢支し、センサリンク(75)一端側の軸(76)と前記昇降リンク(70)他端側の軸(77)間を連動リンク(78)で連結させると共に、植付ケース(20)側に固定アーム(64b)を介し支持するポテンショメータ式昇降センサ(79)の検出アーム(80)の長孔(81)に前記センサリンク(75)他端側の検出軸(82)を係合連結させて、耕盤の凹凸或いは深さの変化などで植付深さが変化するとき、昇降センサ(79)によってこれを検出するように構成している。
【0019】図9乃至図11にも示す如く、前記支点軸(62)に基端を固設する基準植付深さ設定用の植深設定手段である植深調節レバー(83)をアクチュエータである植深モータ(84)により適宜駆動制御するようにしたもので、中央の植付ケース(20)より右側の伝動パイプ(85)に取付板(86)及び側板(87)を介しモータ取付台(88)を固設させ、該モータ取付台(88)のモータ(84)の回転ネジ軸(89)に結合させる移動子(90)のU字形係合金具(91)に、調節レバー(83)に設けるL形係合軸(92)の一端側を係合させて、モータ(84)の駆動によって移動子(90)がネジ軸(89)に沿って上下方向に移動するとき、調節レバー(83)を上下方向に揺動させて支点軸(62)を回動させ、基準植付深さの調節を行うように構成している。
【0020】また、前記調節レバー(83)は支点軸(62)に固設する基端フレーム部(83a)と、前記係合軸(92)を固設する先端操作部(83b)とに分割させるもので、フレーム部(83a)先端に回動軸(93)を介し左右揺動自在に操作部(83b)を連結させると共に、これらフレーム部(83a)の係合軸(92)と操作部(83b)の軸(94)間に回動軸(93)を中心とした支点越えバネ(95)を張設して、回動軸(93)を中心として操作部(83b)を右方向に揺動させて係合金具(91)より係合軸(92)を離脱させるとき、手動による調節レバー(83)の操作を可能とさせるように構成している。なお、取付台(88)のレバーガイド孔(88a)の一側にはレバー位置決めノッチ(88b)を形成して、調節レバー(83)の手動操作時には操作部(83b)に固設する位置決め板(83c)をノッチ(88b)に係合させて、調節レバー(83)の位置固定を行うように構成している。
【0021】さらに、前記調節レバー(83)の操作部(83b)は短寸に形成し、モータ取付台(88)に開閉自在に固定するカバー(96)内にコンパクトに配置させると共に、前記モータ取付台(88)にはフレーム部(83a)のセンサピン(97)の移動位置をアクチュエータ(98a)を介して検出するポテンショメータ式フィードバックセンサ(98)を設けて、植付深さ位置を検出するように構成している。なお前記移動子(90)には取付台(88)の移動ガイド孔(88c)に挿入するガイドローラ(90a)を設けて、ネジ軸(89)回転時の移動子(90)の共回りを防止している。
【0022】そして前記植深モータ(84)或いは調節レバー(83)により支点軸(62)を中心とした植深変更時にはピッチング支点軸(60)部の上下変位置と、出力リンク(66)前端の軸(69)部の上下変位置とを略同一とさせて、植深を変更させても昇降センサ(79)の出力を変化させないように構成している。
【0023】一方、前記変速ケース(56)の入力軸部には伝動軸(58)を介し伝達されるエンジン(2)からの回転数を検出するエンジン回転センサ(99)を、また前記フロントアクスルケース(5)の入力軸部には伝動軸(59)を介し伝達されるミッションケース(4)からの走行出力を検出する作業検出手段である車速センサ(100)を設けると共に、車体カバー(12)の後部略中央には走行車(1)の前後傾きを検出する振り子形或いは静電容量形などの傾斜センサ(101)を設けている。
【0024】図5、図12に示す如く、左側の車体フレーム(3)にセンサ取付板(102)を介しポテンショメータ式昇降位置センサ(103)を設置すると共に、前記昇降シリンダ(28)のピストンロッド(28a)先端とロワーリンク(26)とを連結するリフトアーム(104)に検出板(105)を固設して、前記位置センサ(103)の検出アーム(106)先端の検出軸(106a)を検出板(105)の長孔に係合させて、前記昇降シリンダ(28)による植付部(15)の昇降時この昇降位置をセンサ(103)で検出するように構成している。
【0025】図3、図13にも示す如く、前記車速センサ(100)は前輪伝動軸(59)とフロントアクスルケース(5)の入力軸(5a)とを連結するスプライン継手(107)外周の固定ギヤ(108)の回転パルスを検出して走行出力である車速を算出させるもので、回転センサ(近接スイッチ)などで車速センサ(100)を形成し、該センサ(100)を取付けるセンサ台(109)を車体フレーム(3)に固設するアクスルケース(5)の取付台(110)にボルト(111)を介し取外し自在に固定させて、前記車速センサ(100)の取付及び交換を容易とさせて保守点検作業の至便化を図ると共に、ミッションケース(4)に直付のセンサのような切粉で誤動作するなどした不都合も解消させて検出精度の安定維持を図るように構成している。
【0026】図14に示す如く、エンジン(2)によって駆動する油圧ポンプ(112)の供給油圧回路を、フローコントロールバルブ(113)によって高圧油路(114)と低圧油路(115)に分岐して、操向ハンドル(14)によって操向シリンダ(116)の操向バルブ(117)を切換える操向バルブユニット(118)と、ソレノイド式上昇及び下降バルブ(119)(120)操作によって昇降シリンダ(28)を駆動する昇降バルブユニット(121)とを高圧油路(114)に設けると共に、植付部(15)の左右傾斜姿勢を制御する水平シリンダ(122)の水平操作用ソレノイドバルブ(123)を有する水平バルブユニット(124)とを低圧油路(115)に設けて、植付部(15)の昇降制御を前記バルブ(119)(120)の上昇及び下降ソレノイド(125)(126)の励磁操作によって行うように構成している。
【0027】そして図15に示す如く、前記植深モータ(84)のリレー回路(127)と、前記ソレノイド(125)(126)とに出力接続させるコントローラ(128)を備えるもので、前記植付レバー(30)の植付下降及び上昇位置をそれぞれ検出する植付検出手段である下降スイッチ(129)及び上昇スイッチ(130)と、前記各センサ(79)(98)(99)(100)(101)(103)と、基準植付深さを設定する植深設定器(131)と、圃場表面硬度に応じ昇降シリンダ(28)の油圧昇降感度(目標値)を設定する感度設定器(31)とを前記コントローラ(128)に入力接続させて、植付深さを一定維持させる昇降制御を行うように構成している。
【0028】本実施例は上記の如く構成するものにして、図16、図17に示す如く、前記下降スイッチ(129)がオン(植付下降)状態の植付作業中に、感度設定器(131)、傾斜センサ(101)、車速センサ(100)の出力値がコントローラ(128)に読込まれるとき、傾斜センサ(101)にあっては本機の前上り或いは前下り状態に応じて感度を敏感或いは鈍感側に、また車速センサ(100)にあっては高速時の速度に応じて感度を鈍感側に変更する補正が、感度設定器(131)で設定される標準感度(センタフロートの標準傾斜角度)に加えられて、目標感度が算出される。そして、補正の行われない標準感度で作業が行われるときは、前記昇降センサ(79)に読込まれるセンサ(V)と感度設定器(31)で設定される標準感度(V1)とが一致(センタフロート(34)の傾斜角度を標準傾斜角度に一致)するまで昇降シリンダ(28)によって植付部(15)の下降及び上昇制御が行われ、以後目標となる設定の植付深さを一定維持させる(V=V1)植付部(15)の昇降制御が行われる。
【0029】一方、標準感度に補正が加えられたときには、この感度補正分が図17データ線図で植深補正量として演算され(例えばフロートの傾斜角度1度に対し植深補正量2〜3mm)、補正量(センタフロート(34)の現在位置と目標位置の偏差)が深植え或いは浅植え側にあるとき、センタフロート(34)の標準感度(標準傾斜角度)を一定に保った状態で前記植深モータ(84)を浅植え或いは深植え側に偏差分駆動して、植付深さを一定維持させるものである。このように車速や本機姿勢など作業条件によって基準植付深さが変化するときは、フロート(34)の傾斜姿勢は一定に保った状態で基準の植付深さのみを補正して、フロート(34)(35)による均平・車輪の跡消し機能を正しく作用させたまま植付深さも一定維持させるものである。
【0030】図18、図19に示すものは、走行速度の低高速状態に応じ、植付深さ設定値に補正を加える構成例を示すもので、前記植深設定器(131)で設定される植付深さ設定値がコントローラ(128)に入力されるとこれを記憶し、以後設定値が変更されると、これら更新して記憶し、植付作業中(下降スイッチ(129)がオン)に車速センサ(100)に走行速度が読込まれて、標準速度より低高速のときには、その速度に応じた植付深さ補正量が演算され、補正量に応じた植深モータ(84)の駆動(図19の場合0.8m/sより低速時には浅植え側、0.8m/sより高速時には深植え側)が行われ、走行速度の影響を受けることのない植付深さを常に一定維持させた植付作業を可能とさせるものである。なお図19破線に示す如く、低速時に比べ高速時の補正割合を大とさせても良く、高速田植機(2.0m/s以上)などに有効に対応させることができるものである。
【0031】図20、図21に示すものは、植付作業中(下降スイッチ(129)がオン)感度設定器(31)及び車速センサ(100)の出力値に基づいて植深設定器(131)で設置される植付深さ設定値となる調節レバー(83)のレバー位置を補正して、植付深さ目標値(V2)を算出させ、コントローラ(128)に内蔵するタイマの一定時間(T)(例えばT=200ミリ秒)はこの出力を禁止させ、一定時間(T)経過後はフィードバックセンサ(98)で検出されるセンサ値(V3)(現調節レバー(83)位置)と目標値(V2)との偏差(V2−V3)に応じて植深モータ(84)を正逆駆動し、植付深さを浅植え或いは深植え側に補正して、植付深さの設定値を変更して植付深さを一定維持させるもので、植深モータ(84)の使用頻度を低減(バッテリ消費の抑制、高寿命化)させると共に、植深モータ(84)の動作のハンチングを防止して、この植深補正制御を滑らかな動作で行って制御の安定性を向上させるように構成したものである。
【0032】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、植付部(15)と田面間の距離の変化を検出する昇降センサ(79)と、該昇降センサ(79)の検出に基づいて植付部(15)の昇降制御を行って設定植付深さを維持させる油圧昇降制御機構(28)とを備えた田植機において、植付深さを設定範囲内で無段階に設定変更可能な植深設定手段(83)と、本機の走行作業状態を検出する作業検出手段(100)とを設け、本機の走行作業状態に応じて植付深さの設定値を変更補正するものであるから、本機の車速や前後姿勢など走行作業状態が変化するとき、フロート(34)(35)の傾斜姿勢を適正に保った状態で、植付深さの基準値のみを適正に補正して、植付深さを一定に保った良好な植付作業を可能とさせることができるものである。
【0033】また、本機の走行速度を検出する車速センサ(100)を設けて、本機の走行速度に応じて植付深さの設定値を変更補正するものであるから、本機の高速走行時には、植付深さの基準値のみを深植え側に補正して、植付深さを一定とさせた良好な植付作業を可能とさせることができるものである。
【0034】さらに、油圧昇降制御機構(28)の油圧感度を調節する感度設定器(31)を設け、油圧感度を標準に保った状態で設定植付深さに植付部(15)を昇降制御するものであるから、フロート(34)(35)を常に標準姿勢に保って、適正な接地圧で田面の均平や車輪の跡消しを行って、植付深さを一定とさせた良好な植付作業を可能とさせることができるものである。
【0035】またさらに、植付作業状態を検出する植付検出手段(129)を設け、植付作業状態時のみ植深設定手段(83)のアクチュエータ(84)を駆動するものであるから、植付深さを補正するアクチュエータ(84)を植付作業状態時のみ駆動可能とさせて、アクチュエータ(84)の使用頻度を低減(バッテリ消費抑制、高寿命化)させて、アクチュエータ(84)の耐久性向上と、植付精度の安定維持を図ることができるものである。
【0036】また、アクチュエータ(84)が目標値(V2)の不感帯に入ったとき、一定時間(T)が経過するまではアクチュエータ(84)への駆動出力を禁止させるものであるから、アクチュエータ(84)の使用頻度を低減させると共に、アクチュエータ(84)の動作のハンチングを防止して、動作の安定性向上を図ることができることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年11月26日(1998.11.26)
【代理人】 【識別番号】100062270
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開2000−157018(P2000−157018A)
【公開日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願番号】 特願平10−353960