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【発明の名称】 移動農機
【発明者】 【氏名】岡 田 悟

【要約】 【課題】植付作業中における植付作業速度の変更操作を一元化させて、操作性を向上させる。

【解決手段】エンジン(2)の回転を無段変速機構(64)を介し走行用ミッションケース(4)に伝達して機体を変速自在に走行させるようにした移動農機において、エンジン回転数を変更する変速操作部材(77)(81)の操作量を検出するエンジン操作量検出手段(82)と、前記無段変速機構(64)の速比を変更する速比変更手段(60)とを設け、変速操作部材(77)(81)の操作量に基づいて変速機構(64)の速比を変更制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの回転を無段変速機構を介し走行用ミッションケースに伝達して機体を変速自在に走行させるようにした移動農機において、エンジン回転数を変更する変速操作部材の操作量を検出するエンジン操作量検出手段と、前記無段変速機構の速比を変更する速比変更手段とを設け、変速操作部材の操作量に基づいて変速機構の速比を変更制御するように設けたことを特徴とする移動農機。
【請求項2】 作業状態を検出する作業検出手段を設け、非作業状態を検出時に作業速度を最低速に保持するように設けたことを特徴とする請求項1記載の移動農機。
【請求項3】 無段変速機構の速比の変更パターンを複数設けて選択可能とさせたことを特徴とする請求項2記載の移動農機。
【請求項4】 作業検出手段による作業検出直後は変速操作部材の操作量に応じて徐々に増速させるように設けたことを特徴とする請求項2記載の移動農機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば苗載台及び植付爪を備えて連続的に苗植作業を行う田植機などの移動農機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】例えば田植機の作業速度の変更にあっては、エンジンで行うアクセル操作と、ミッションケースで行う主変速操作と、主変速の「植付」操作時に無段変速機構を作動させて行う副変速操作とがあり、植付作業中の植付作業の変更操作はアクセル操作と副変速操作の2系統によって通常行われている。しかし乍らこのような2系統による変速操作は操作が複雑で操作性が悪く、また無段変速機構と副変速操作部とを機械的に連結させているため、副変速操作には操作力を必要とするなどして、この操作も決して容易に行えるものでなかった。
【0003】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、エンジンの回転を無段変速機構を介し走行用ミッションケースに伝達して機体を変速自在に走行させるようにした移動農機において、エンジン回転数を変更する変速操作部材の操作量を検出するエンジン操作量検出手段と、前記無段変速機構の速比を変更する速比変更手段とを設け、変速操作部材の操作量に基づいて変速機構の速比を変更制御させて、エンジン操作量検出手段で検出する例えばアクセルレバーの操作量に応じて無段変速機構の速比を変更させて、エンジン回転数の変更操作と無段変速機構の変速操作とを単一のアクセルレバーなど操作部材で可能とさせて操作性やフィーリング性(自動車感覚)を向上させると共に、速比変更手段に電動モータ或いは電動シリンダなど電気的駆動手段を用いることによって操作力を低減させ操作を容易とさせるものである。
【0004】また、作業状態を検出する作業検出手段を設け、非作業状態を検出時に作業速度を最低速に保持して、旋回・移動・積込み積降し作業時などには馬力を確保し、安定且つ適正にこれらの作業を行うものである。
【0005】さらに、無段変速機構の速比の変更パターンを複数設けて選択可能とさせて、高速の作業速度を必要とする場所或いは深湿田で車軸トルクを必要とする場所など各種圃場条件に対する適応性を良好とさせるものである。
【0006】またさらに、作業検出手段による作業検出直後は変速操作部材の操作量に応じて徐々に増速させて、急発進や急加速を防止して、機体の安定且つ良好な走行を行うものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は乗用田植機の側面図、図2は同平面図を示し、図中(1)は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン(2)を車体フレーム(3)に搭載させ、ミッションケース(4)前方にフロントアクスルケース(5)を介して水田走行用前輪(6)を支持させると共に、前記ミッションケース(4)の後部にリヤアクスルケース(7)を連設し、前記リヤアクスルケース(7)に水田走行用後輪(8)を支持させる。そして前記エンジン(2)等を覆うボンネット(9)両側に予備苗載台(10)を取付けると共に、乗降ステップ(11)を介して作業者が搭乗する車体カバー(12)によって前記ミッションケース(4)等を覆い、前記車体カバー(12)上部に運転席(13)を取付け、その運転席(13)の前方で前記ボンネット(9)後部に操向ハンドル(14)を設ける。
【0008】また、図中(15)は6条植え用の苗載台(16)並びに複数の植付爪(17)などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台(16)を下部レール(18)及びガイドレール(19)を介して植付ケース(20)に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース(21)を前記植付ケース(20)に支持させ、該ケース(21)の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース(22)(22)を配設し、その爪ケース(22)(22)先端に植付爪(17)(17)を取付ける。また前記植付ケース(20)の前側にローリング支点軸(23)を介してヒッチブラケット(24)を設け、トップリンク(25)及びロワーリンク(26)を含む昇降リンク機構(27)を介して走行車(1)後側にヒッチブラケット(24)を連結させ、前記リンク機構(27)を介して植付部(15)を昇降させる油圧昇降シリンダ(28)をロワーリンク(26)に連結させ、前記前後輪(6)(8)を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台(16)から一株分の苗を植付爪(17)によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。
【0009】また、図中(29)は主変速レバー、(30)は副変速レバーでもある植付レバー、(31)は感度設定器、(32)は主クラッチペダル、(33)(33)は左右ブレーキペダル、(34)は2条分均平用センタフロート、(35)は2条分均平用サイドフロート、(36)は6条用の側条施肥機である。
【0010】さらに、図3、図4に示す如く、前低後高(傾斜角約4度)に傾斜させる前記車体フレーム(3)前部上面に架台(37)…を一体固定させ、架台(37)…の上面に防振ゴム(38)…及びエンジン台(39)を介して前記エンジン(2)を上載させ、前記エンジン(2)の左側に燃料タンク(40)を、またエンジン(2)の右側にマフラー(41)を取付けると共に、車体フレーム(3)前端側略中央にバッテリ(43)を取付けている。
【0011】またさらに、前記車体フレーム(3)にケース台(44)を一体固定させ、ケース台(44)にステアリングケース(45)を取付け、ハンドル筒体(46)に内挿させる操向ハンドル(14)のステアリング軸(14a)を、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央でステアリングケース(45)上面に立設させると共に、ステアリングケース(45)下面に出力軸(47)を突設させ、左右の前輪(6)(6)を方向転換させる操向アーム(48)を前記出力軸(47)に取付けている。
【0012】また、前記エンジン(2)下方のエンジン台(39)下側に、前後方向に略水平な円筒形の軸受体(49)を熔接固定させ、前記軸受体(49)にカウンタ軸(50)を挿通支持させ、軸受体(49)前方に突出させるカウンタ軸(50)前端にカウンタプーリ(51)を取付けると共に、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央上方でエンジン(2)の前方にエンジン出力軸(52)を突設させ、該出力軸(52)に出力プーリ(53)を取付け、該出力プーリ(53)を前記カウンタプーリ(51)にVベルト(54)を介して連結させている。
【0013】さらに、前記車体フレーム(3)後端部にリヤアクスルケース(7)をボルト止め固定させ、前記リヤアクスルケース(7)前面にミッションケース(4)後面を連結固定させると共に、ミッションケース(4)の右側前面にクラッチケース(55)を一体形成し、クラッチケース(55)前面に無段ベルト変速ケース(56)右側後面を嵌合固定させ、また昇降シリンダ(28)を作動させる油圧ポンプ(57)をベルト変速ケース(56)の左側後面に固定させるもので、四角パイプ形の左右車体フレーム(3)(3)の間でこの上面よりも低位置に前記各ケース(4)(55)(56)及び油圧ポンプ(57)を吊下げ固定させ、ユニバーサルジョイント付き伝動軸(58)を前記カウンタ軸(50)後端とベルト変速ケース(56)間に設け、エンジン(2)出力をベルト変速ケース(56)に伝えると共に、フロントアクスルケース(5)とミッションケース(4)間に前輪伝動軸(59)を設け、ミッションケース(4)の変速出力を各アクスルケース(5)(7)を介して前後輪(6)(8)に伝えるように構成している。
【0014】図5に示す如く、速比変更手段である電動式変速モータ(60)の操作でもって巻付け径を変化させて変速比を無段階に変更する入出力プーリ(61)(62)及びVベルト(63)で構成するベルト式無段変速機構(64)をベルト変速ケース(56)に内設させ、クラッチペダル(32)によって断続操作する多板摩擦形乾式クラッチ(65)をクラッチケース(66)に内設させ、ベルト変速ケース(56)の出力軸(67)をミッションケース(4)の入力軸(68)に前記クラッチ(65)を介して連結させている。
【0015】また、前記入力軸(68)に走行変速ギヤ機構(69)を介して走行出力軸(70)を連結させ、前後輪(6)(8)に前後輪伝動軸(59)(71)を介して前記走行出力軸(70)を連結させ、前後輪(6)(8)を駆動すると共に、前記入力軸(68)にPTO変速ギヤ機構(72)を介してPTO軸(73)を連結させ、PTO軸(73)を介して植付部(15)を駆動し、また変速ケース(4)近くでPTO軸(73)出力をスプロケット(74)により分岐して施肥機(36)を駆動するように構成している。なお(75)は前記昇降シリンダ(28)を作動する油圧ポンプである。また前記変速モータ(60)に換え電磁操作式油圧モータを用いて無段変速機構(64)の速比を変更させても良い。
【0016】そして図6、図7にも示す如く、前記エンジン(2)には電子ガバナ(76)を搭載して、エンジン(2)の回転出力の制御を行うもので、変速操作部材であるアクセルレバー(77)或いはアクセルペダル(81)によって設定されるエンジン回転数に電子ガバナ(76)でエンジン(2)の燃料噴射ポンプの燃料噴射ソレノイドであるラックアクチュエータ(78)を調節して、アクセルレバー(77)でエンジン回転数を変更させながら走行を行うように構成している。
【0017】そして、電子ガバナ(76)のラック位置より燃料噴射量を検出するラック位置センサ(79)と、エンジン(2)の回転数を検出するピックアップ型回転センサ(80)と、作業者が操作するアクセルレバー(77)或いはアクセルペダル(81)の操作量を検出するエンジン操作量検出手段であるポテンショメータ型アクセルセンサ(82)とを電子ガバナコントローラ(83)に接続させると共に、電子ガバナコントローラ(83)に接続する植付作業コントローラ(84)に、前記変速ギヤ機構(72)の植付クラッチ(85)の入を検出(オン)する作業検出手段である植付スイッチ(86)と、移動時などに車速を増速させる増速スイッチ(87)と、アクセルレバー(77)或いはアクセルペダル(81)の操作量に応じ無段変速機構(64)の速比のモード(A)(B)(C)を選択するモード選択スイッチ(88)と、無段変速機構(64)の速比を検出する速比センサ(89)と、リレー回路(90)を介して前記変速モータ(60)とを接続させて、アクセルレバー(77)或いはアクセルペダル(81)を操作してエンジン回転数を変更するときモードで設定される速比に無段変速機構(64)を制御して作業を行うように構成している。
【0018】而して図8のフローチャートに示す如く、植付スイッチがオン(植付クラッチ(85)の入)の植付作業中にあっては、アクセルレバー(77)或いはアクセルペダル(81)でエンジン回転数が変更操作される都度、図9に示す如き3つのモード(A)(B)(C)から選択した1つのモード(A)或いは(B)或いは(C)より速比が計算され、計算後はこの目標の速比位置まで変速モータ(60)が駆動されるもので、3つのモード(A)(B)(C)は、アクセルレバー(77)或いはペダル(81)を高速側に操作する程速比も比例させて大(高速)とさせる直線近似の標準モード(A)と、アクセルレバー(77)或いはペダル(81)の低速域で速比を急激に大とさせる放物線近似の速度優先モード(B)と、アクセルレバー(77)或いはペダル(81)の高速域で速比を急激に大とさせる二次曲線近似のパワーモード(C)とを備え、アクセルレバー(77)或いはペダル(81)の変更操作時には速度優先モード(B)では無段変速機構(64)の速比を大に保って速度を優先させた作業を行うと共に、パワーモード(C)では速比を小に保って車軸トルクを確保した作業を行うものである。
【0019】また図10に示す如く、前記アクセルレバー(77)或いはペダル(81)の操作量が大きい(高速)状態で、植付スイッチ(86)のオン(植付クラッチ(85)の入)のときには、一定時間(T)の間に徐々に速比を上げて機体の急発進を防止する一方、植付スイッチ(86)がオフの作業中以外で増速スイッチ(87)をオン操作したときにはアクセルレバー(77)或いはペダル(81)に関係なく速比を大とさせて、移動時などにおける車速を増速させ、また増速スイッチ(87)もオフの作業中以外は無段変速機構(64)を最低速(速比小)に保って、アクセルレバー(77)或いはペダル(81)操作によってエンジン(2)回転数のみを変更させて、旋回や移動時の馬力を確保して作業の安定性を向上させるものである。
【0020】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、エンジン(2)の回転を無段変速機構(64)を介し走行用ミッションケース(4)に伝達して機体を変速自在に走行させるようにした移動農機において、エンジン回転数を変更する変速操作部材(77)(81)の操作量を検出するエンジン操作量検出手段(82)と、前記無段変速機構(64)の速比を変更する速比変更手段(60)とを設け、変速操作部材(77)(81)の操作量に基づいて変速機構(64)の速比を変更制御するものであるから、エンジン操作量検出手段(82)で検出する例えばアクセルレバー(77)の操作量に応じて無段変速機構(64)の速比を変更させて、エンジン回転数の変更操作と無段変速機構(64)の変速操作とを単一アクセルレバー(77)など操作部材で可能とさせて操作性やフィーリング性(自動車感覚)を向上させることができると共に、速比変更手段(60)に電動モータ或いは電動シリンダなど電気的駆動手段を用いることによって操作力を低減させ操作を容易とさせることができるものである。
【0021】また、作業状態を検出する作業検出手段(86)を設け、非作業状態を検出時に作業速度を最低速に保持するものであるから、旋回・移動・積込み積降し作業時などには馬力を確保し、安定且つ適正にこれらの作業を行うことができるものである。
【0022】さらに、無段変速機構(64)の速比の変更パターンを複数設けて選択可能とさせたものであるから、高速の作業速度を必要とする場所或いは深湿田で車軸トルクを必要とする場所など各種圃場条件に対する適応性を良好とさせることができるものである。
【0023】またさらに、作業検出手段(86)による作業検出直後は変速操作部材(77)(81)の操作量に応じて徐々に増速させるものであるから、急発進や急加速を防止して、機体の安定且つ良好な走行を行うことができるものである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年11月25日(1998.11.25)
【代理人】 【識別番号】100062270
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開2000−157015(P2000−157015A)
【公開日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願番号】 特願平10−352074