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【発明の名称】 施肥機
【発明者】 【氏名】梶谷 博正

【氏名】近藤 健一

【要約】 【課題】肥料ポンプの正逆回転切換機構をミッションケース等を改造することなく簡単に構成できる施肥機を提供することを目的とする。

【解決手段】走行機体1cの両側に設けた肥料ポンプ6を、ミッションケース1eを介して同時駆動させることにより肥料タンク5内の肥料を送り出して施肥する施肥機において、前記ミッションケース1eから肥料ポンプ6に至る動力伝達経路8内に肥料ポンプ6を正逆回転可能に切換える正逆回転切換機構8aを設けて構成している。また、正逆回転切換機構8aを両側の肥料ポンプ6への動力をミッションケース1e側から分配伝動する分配ケース9内に設けるようにしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体1cの両側に設けた肥料ポンプ6をミッションケース1eを介して同時に駆動して肥料タンク5内の肥料を送り出して施肥するように構成した施肥機において、前記ミッションケース1eから肥料ポンプ6に至る動力伝達経路8内に、肥料ポンプ6を正逆回転可能に切換える正逆回転切換機構8aを設けたことを特徴とする施肥機。
【請求項2】 正逆回転切換機構8aを、両側の肥料ポンプ6への動力をミッションケース1e側から分配伝動する分配ケース9内に設けた請求項1の施肥機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、苗の植付けと施肥とを同時に行なう施肥同時田植機などの施肥機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような施肥同時田植機に設置される施肥装置は、走行機体の両側に肥料タンクと肥料ポンプとを配置し、これら左右の肥料ポンプをミッションケースから分配ケース及び分配軸を介して駆動して肥料タンク内の、例えばペースト状の肥料を導管及び施肥ノズルを介して地中に施肥するように構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そして上記のような施肥装置を併設した施肥同時田植機は、施肥作業完了時に肥料タンク及び施肥ノズル等の水洗浄を行なっている。そのために肥料ポンプを逆回転させて、導管や施肥ノズル内の肥料を肥料タンク内に返すためにミッションケース側に分配軸を正逆回転させる正逆回転切換機構を設けることが考えられるが、このように構成するとミッションケース1eの構造が複雑になりコスト高になる欠点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記したような従来の問題点を解決するためになされたものであって、走行機体1cの両側に設けた肥料ポンプ6をミッションケース1eを介して同時駆動させることにより肥料タンク5内の肥料を送り出して施肥するように構成した施肥機において、前記ミッションケース1eから肥料ポンプ6に至る動力伝達経路8内に肥料ポンプ6を正逆回転可能に切換える正逆回転切換機構8aを設けている。また、正逆回転切換機構8aを、両側の肥料ポンプ6への動力をミッションケース1e側から分配伝動する分配ケース9内に設けている。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係る施肥機の実施形態につき説明する。1は後述する施肥装置7を備えた乗用型の施肥機を兼ねる移植機(田植機)であり、前輪1aと後輪1bを有する走行機体1c上に前方にボンネット2aで覆ったエンジン2を搭載し、中央部にハンドル3a、座席シート3b等からなる運転席3を設け、そして後部には昇降リンク機構1dを介して植付装置4を装着しており、この植付装置4の下部のフロート4aを接地させた状態で、植付爪4bによって苗載台4cに支持されているマット苗の下端を1株づつ掻取って苗を植付けるようにしている。
【0006】また、この移植機1においては、図1及び図2に示すようにボンネット2aの両側下方に肥料タンク5を配置し、これらの肥料タンク5の下部に設けた肥料ポンプ6によって収容されているペースト状の肥料を送り出し、導管6aを介してフロート4aに取付けた施肥ノズル6bから肥料を地中に注入するように構成した施肥装置7を備えている。
【0007】そして上記左右両側の肥料タンク5の底部に直結状に装着した肥料ポンプ6は、図示例においては在来の装置と同様なネジポンプ方式のもので、ペースト状肥料を繰出してこのネジポンプに連結した各3本の導管6aを介して圧送して6条分の施肥ノズル6bから地中に同時に注入して施肥するように構成している。そして上記左右の肥料ポンプ6は図3に示すように導管6a側を機体内方に向けて対称形に配置している。
【0008】これらの肥料ポンプ6はエンジン動力を機体1cの腹部に設けたミッションケース1eとの間に形成される動力伝達経路8中に設置した分配ケース9を介して同時に駆動するとともに、この分配ケース9中に設けた正逆回転切換機構9aの操作によって正逆回転を切換えて駆動できるように構成している。
【0009】また図3に示すように動力伝達経路8を構成している分配ケース9とミッションケース1eとの間には、変速レバー10a,10bによって多段に回転変速操作ができる変速機10を設置しており、その駆動軸11からユニバーサルジョイント12を介して分配ケース9の中央部に軸支した入力軸90(図4)を駆動するようにしいてる。
【0010】次に図3,図4を参照して分配ケース9及び正逆回転切換機構9aの構成について詳述する。分配ケース9は前記入力軸90の両側にベベルギヤ91L,91Rをそれぞれ固着した分配出力軸92L,92Rを機体の幅方向に延長配置しているとともに、このベベルギヤ91L,91Rには、それぞれ入力軸90に遊嵌させている前後の駆動ベベルギヤ93F,93Bを同時に噛合させるように設けている。そして分配出力軸92L,92Rの軸端には左右の肥料ポンプ6に接続する分配軸94L,94Rと各別に係脱できる連結部95を形成している。
【0011】また正逆回転切換機構9aは分配ケース9内において、前記駆動ベベルギヤ93F,93Bの内側面に突設した係合爪と択一的に噛合する係合爪を有する爪クラッチ96を、前記入力軸90方向のみスライド移動できるように嵌合させるとともに、この爪クラッチ96の中央部に係合させたシフター97を切換レバー98によって機外から操作可能に構成している。
【0012】なお、図示例の切換レバー98はスプリング99によって通常時は図4に示すように爪クラッチ96を駆動ベベルギヤ93Bに常時噛合させることができるように付勢しており、この構成により駆動ベベルギヤ93Bを各ベベルギヤ91L,91Rに噛合させて分配出力軸92L,92R及び分配軸94L,94Rを介して肥料ポンプ6を「正転駆動」するようにしている。
【0013】以上のように構成した施肥装置7を備えた移植機1は、機体1cの走行に伴って植付装置4が苗の植付けを行ないながら、分配ケース9内に構成された正逆回転切換機構9aの正転操作によって両側の肥料ポンプ6が正転駆動されて両肥料タンク5内の肥料が繰り出され、植付装置4に併設した複数本の導管6aと施肥ノズル6bを介して圧送されて地中に施肥することができるものである。
【0014】〔施肥装置の清掃作業〕次に、上記のように植付同時施肥作業を終了した後に施肥装置7内を清掃しようとするときは、切換レバー98をスプリング99に抗して操作し、爪クラッチ96を駆動ベベルギヤ93Fに噛合させ、そして入力軸90を回転させる。
【0015】すると、この入力軸90より入力された動力は、駆動ベベルギヤ93Fより左右のベベルギヤ91L,91R、分配出力軸92L,92R、更に分配軸94L,94Rのギヤ経路を介して肥料ポンプ6を逆転させる。この肥料ポンプ6の逆転操作によって導管6a及び施肥ノズル6b中に残留している肥料は逆流して肥料タンク5内に吸い戻されて肥料タンク5内に回収される。この肥料タンク5内に回収された肥料は、タンク底部に設けられたドレンから機外に良好に取り出すことができる。
【0016】次に、空になった肥料タンク5内に洗浄用の水を充填したのち、再び切換レバー98を操作して図4の状態として入力軸90を正転させると、水は肥料ポンプ6で圧送されて肥料ポンプ6、導管6aを経由して施肥ノズル6bより噴出するので、これらの一連の経路をきれいに洗浄することができ、施肥装置7内に肥料を残留させることなく、次に使用されるまでの間、移植機1を清浄な状態として良好に保管することができるものである。
【0017】また、このようにして使用される正逆回転切換機構9aは、ミッションケース1eや変速機10中に設けて改造する必要はなく、ミッションケース1eから肥料ポンプ6に至る動力伝達経路8中に設けるように構成したことにより、肥料ポンプ6の正逆回転の切換えを簡単な構造を以って行なうことができる。
【0018】そして本発明は、ミッションケース1e側から駆動軸11を介して両側の肥料ポンプ6に分配伝動する分配ケース9内に正逆回転切換機構9aを設けるようにしたことにより、正転構造のみを有する分配ケース9に対し、駆動ベベルギヤ93F,93B及び爪クラッチ96並びに切換レバー98等を設置するだけの簡単な構造を以って正逆回転切換機構9aを構成することができるのである。
【0019】従って、肥料ポンプ6の逆転機構を有しない施肥装置7に対しても後付け改造によっても、正逆回転切換機構9aを有する施肥装置7に簡単に変更することができる等の特徴がある。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明による施肥機によれば、肥料ポンプ6の正逆回転切換機構9aをミッションケース1e等を改造することなく、簡単に構成することができる施肥機を提供することができる。
【0021】また、機体1cの前部の両側に配置した肥料ポンプ6を伝動する分配ケース9内に正逆回転切換機構9aを設けることにより、駆動系統に大巾な改造等を伴うことなく施肥装置7の正逆回転駆動を良好に行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年10月30日(1998.10.30)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2000−135011(P2000−135011A)
【公開日】 平成12年5月16日(2000.5.16)
【出願番号】 特願平10−310439