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【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】越智 竜児

【要約】 【課題】苗植付装置の昇降操作を、煩わしい操作無く、苗植付け作動に際して苗植付装置を操縦者の所望の状態に切り換え設定できるようにする。

【解決手段】走行機体に駆動昇降自在に作業装置を連結すると共に、左右外方に突出する作用姿勢と内方に引退する格納姿勢とに切換自在な左右の線引きマーカ23R,23Lを備え、作業装置を上昇させる状態と接地下降させる状態とに切換自在な昇降操作具SW1を設けるとともに、この昇降操作具SW1の上昇操作時の操作形態を判別し、この判別結果に基づいて前記左右の線引きマーカ23R,23Lのうち作用姿勢に切り換えるものの選択を行うべく構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に駆動昇降自在に作業装置を連結すると共に、左右外方に突出する作用姿勢と内方に引退する格納姿勢とに切換自在な左右の線引きマーカを備え、作業装置を上昇させる状態と接地下降させる状態とに切換自在な昇降操作具を設けるとともに、この昇降操作具の上昇操作時の操作形態を判別し、この判別結果に基づいて前記左右の線引きマーカのうち作用姿勢に切り換えるものの選択を行うべく構成した移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走行機体に駆動昇降自在に苗植付装置を連結し、走行機体側から植付クラッチを介して断続自在に前記苗植付装置に動力を供給するよう構成するとともに、前記苗植付装置の左右両側に外方に突出する作用姿勢と機体内方側に引退する格納姿勢とに切り換え自在に一対の線引きマーカを設け、各線引きマーカを格納姿勢でロック保持するロック機構を各別にロック解除させて、選択的に線引きマーカを作用姿勢に切り換えるよう構成し、かつ、前記苗植付装置を強制上昇させる状態と接地下降させる状態とに切り換え自在な昇降操作スイッチを備えてある田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】上記田植機において、従来では、圃場での苗植付け作業走行の枕地旋回の際、前記昇降操作スイッチを操作すると、それに連動して植付クラッチを切り操作し、苗植付装置を接地下降姿勢から強制上昇させ、旋回走行が終了して昇降操作スイッチを再度操作すると苗植付装置が下降して、別途設けた植付クラッチ入り切り用操作具を操作することで植付クラッチが入り操作されるよう構成したものが考えられ、又、上記したような苗植付装置の最大上昇位置までの昇降作動に伴って、左右のロック機構のロック状態を順次的に左右切り換え操作して、苗植付装置の下降時に作用姿勢に切り換わる線引きマーカが左右交互に切り換えられるよう構成したものが考えられた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した構造は、圃場での枕地旋回走行における操縦操作性の向上を図ったものである。即ち、枕地旋回の際には、苗植付装置における苗植付け作動を停止して苗植付装置を泥面から上昇させるとともに、ステアリング操作して機体を旋回させた後、再度、苗植付装置を下降させて条合わせができた時点で苗植付け作動を再開させるとともに、線引きマーカの左右切り換え操作も必要であり、操縦操作が煩わしいものとなる。しかも、操縦者によっては旋回の手前で機体の走行速度を減速させる必要もあって、特に未熟練者にとっては行い難い操作となっていた。そこで、これらの各操作を極力少なくする目的で、苗植付装置の昇降操作を切り換え式のスイッチで行い、かつ、このスイッチの上昇用操作に連動して植付クラッチを自動で切り操作するよう連係し、更には、マーカ用左右ロック機構のロック状態を苗植付装置の昇降作動に伴って自動で切り換えるようにしたものである。ところが、上記したような構造においては、苗植付装置を下降作動させる場合には、苗植付装置の下降操作と植付クラッチの入り操作とを同じタイミングで行うことができないので、クラッチ入り操作専用の操作具を設ける必要があり、操作が煩わしい欠点があり、又、苗植付装置の昇降に伴って強制的に線引きマーカが順次左右で切り換わるので、圃場が異なった場合の作業開始時に所望の位置と異なる側の線引きマーカが作用姿勢に切り換わると、畦等に接当して損傷するおそれがある等の弊害があり、未だ改善の余地があった。本発明は、苗植付装置の昇降操作をスイッチで行う点に着目して、煩わしい操作無く、苗植付け作動に際して苗植付装置を操縦者の所望の状態に切り換え設定できるようにすることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本第1発明の特徴構成は、冒頭に記載した田植機において、前記昇降操作スイッチの操作形態を判別する操作形態判別手段を備え、この操作形態判別手段の判別結果に基づいて、前記苗植付装置の上昇作動に伴って前記ロック機構のロック状態を左右順次的に切り換え作動させる状態と、その作動を牽制する状態とに切り換えるよう構成してある点にある。本第2発明の特徴構成は、前記昇降操作スイッチの操作形態を判別する操作形態判別手段を備え、この操作形態判別手段の判別結果に基づいて、前記苗植付装置の下降作動に伴って前記植付クラッチを自動で入り操作させる状態と、クラッチ自動入り操作を牽制する状態とに切り換えるよう構成してある点にある。
【0005】
【作用】第1発明の特徴構成によると、苗植付装置を上昇させる際の前記昇降操作スイッチの操作形態、例えば、押し操作式であればその押し操作時間の差により、又、揺動式であれば操作方向の違い等により、操縦者の意思に基づく操作形態の違いを判別して、苗植付装置の昇降作動に伴って線引きマーカのロック機構のロック状態を左右で順次的に切り換え操作する状態と、順次的な切り換えを行わない状態とのいずれかに選択的に設定できる。その結果、機体を旋回させた後、すぐに植付け作動を再開するときは、順次的切り換え状態に設定しておくと、煩わしさ無く未植付け領域に線引き作業が行え、又、圃場での作業開始に当たり、線引きマーカのロック解除が所望の側と異なっているときには、順次的な切り換えを行わない状態に設定することで、所望の側に線引きマーカを降ろすことができる。第2発明の特徴構成によると、上記したような昇降操作スイッチの操作形態の違いを判別して、植付クラッチを自動で入り操作させる状態と、そのような自動入り操作を牽制する状態とのいずれかに選択的に設定できるので、機体を旋回させた後、すぐに植付け作動を再開するときは、自動入り状態に設定しておくことで煩わしさ無く、植付け作業を再開でき、旋回走行の際に枕地を整地フロート等によって整地したいような場合には、前記牽制状態に設定して意に反して苗植付け作動が開始されるのを防止できることになる。
【0006】
【発明の効果】従って、枕地旋回走行において、苗植付装置の昇降用操作に連動して左右線引きマーカの作用姿勢の自動切り換え操作や植付クラッチの自動入り切り操作を行えるものにして、旋回に伴う操縦者の操作負担を極力軽減できる利点を有しながら、昇降操作の際の操作形態の差によって、旋回後の苗植付装置における各種作業装置の作業形態を操縦者の意思に沿う状態に設定することができて、操縦操作のバリエーションを増やすことで、更に、操縦操作性並びに作業能率を向上させることができるものを提供できるに到った。
【0007】
【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図3に乗用型田植機を示している。この田植機は乗用型走行機体の後部に平行四連リンク機構1を介して昇降自在並びに前後軸芯周りで左右ローリング自在に苗植付装置2を連結して構成してある。苗植付装置2は前後軸芯Y周りで回動自在にフレーム兼用の植付伝動ケース4に支持され、この植付伝動ケース4に、一定ストロークで往復横移動する苗のせ台5、苗のせ台5の下端部から一株づつ植付け用苗を取り出して圃場に植付ける複数の植付機構6、左右に並列配備した3個の接地フロート7等を備えてなり、油圧シリンダ10の伸縮駆動により昇降作動するよう構成してある。そして、前記油圧シリンダ10に対する油圧制御弁Vは電磁式に構成され、この電磁制御弁Vは、マイクロコンピュータを備えた制御装置13により駆動制御するよう構成してある。つまり、図1に示すように、機体の運転座席15の横側に配備した昇降レバー16の揺動操作に基づくポテンショメータPM1の出力により、人為的に上昇作動、下降作動並びに中立停止状態を現出できるよう構成し、操縦部パネル17に設けた押し操作式昇降スイッチSW1により、上昇作動と下降作動とを交互に現出できるよう構成してある。又、植付作業状態では、苗植付装置2の対地高さを所定値に維持する昇降制御手段Aを制御装置13に制御プログラム形式で備えてある。即ち、機体中央の接地フロート7を後部支点周りで上下揺動自在に支持するとともに、苗植付装置2の対地高さの変化に伴うこの接地フロート7の前部側における接地圧変動に基づく相対上下動をポテンショメータPM2により検出して、このポテンショメータPM2の出力値が所定の設定領域内に収まるよう制御装置13が油圧シリンダ10の電磁制御弁Vを制御して苗植付装置2を所定対地高さに維持するのである。そして、前記昇降スイッチSW1の作動に伴って苗植付装置2が最大上昇位置まで上昇作動する際に、苗植付装置2が最大上昇位置近くまで上昇したことを検出するリミットスイッチSW2を走行機体の後輪フェンダ部21に取付け、上昇作動に伴ってリンク機構1の途中部が接当作用して検出作動するよう構成し、このリミットスイッチSW2の検出作動に基づいて油圧シリンダ10の上昇側駆動を自動停止させるよう構成してある。走行機体側からの動力を植付クラッチ21、伝動軸22を介して断続自在に苗植付装置2に供給するよう構成し、前記植付クラッチ21は減速機構付き電動モータMにより入り切り操作するよう構成してある。前記苗植付装置2の左右両側には、横外方に突出して未植付け領域に走行目標線を描く作用姿勢と機体内方側に引退する格納姿勢とに切り換え自在な線引きマーカ23R,23Lを備えてあり、この線引きマーカ23R,23Lは図2に示すように、作用姿勢に向けてバネ24で揺動付勢するとともに、苗植付装置2の上昇操作時に後リンク1aの相対変化姿勢に伴ってローラ25により操作ワイヤ26を引き操作して引退姿勢になるよう連係してある。そして、この引退姿勢において自動で係止保持してその姿勢を維持するロック機構27R,27Lを夫々設け、このロック機構27R,27Lのロック保持を選択的に解除した状態で苗植付装置2を下降させると、選択された側の線引きマーカが作用姿勢に設定されるよう構成してある。そして、この各ロック機構27R,27Lを左右交互に順次的に解除作動させる電磁ソレノイド28R,28Lを設けてある。前記昇降操作スイッチSW1の苗植付装置2上昇操作時の操作形態を判別する第1操作形態判別手段Bを備え、この第1操作形態判別手段Bの判別結果に基づいて、前記苗植付装置2の上昇作動に伴って前記ロック機構27R,27Lのロック状態を左右順次的に切り換え作動させる状態と、その作動を牽制する状態とに切り換えるよう構成してある。又、昇降操作スイッチSW1の苗植付装置2下降操作時の操作形態を判別する第2操作形態判別手段Cを備え、この第2操作形態判別手段Bの判別結果に基づいて、前記苗植付装置2の下降作動に伴って植付クラッチ21を自動で入り操作させる状態と、自動クラッチ入り操作を牽制する状態とに切り換えられるよう構成してある。前記各操作形態判別手段B,Cは制御装置13に制御プログラム形式で備えられ、制御装置13は以下のように制御を実行する。図4,図5に植付け作業における制御フローチャートを示す。昇降レバー16が苗植付装置2下降位置に操作されている状態で昇降操作スイッチSW1が操作されると、電動モータMを駆動して植付クラッチ21を切り操作するとともに、電磁制御弁Vを駆動して前記リミットスイッチSW2の検出状態を判断しながら苗植付装置2を最大上昇位置まで上昇操作する〔ステップ1〜4〕。昇降操作スイッチSW1の上昇用操作時間t1が所定時間T1以上であるときは、前記電磁ソレノイド28R,28Lを切り換え操作して線引きマーカ23R,23Lの左右切り換えを行う〔ステップ5,6〕。尚、前記操作時間t1が短いときは、電磁ソレノイドSLの駆動を行わず、線引きマーカ23R,23Lの左右切り換えを牽制する。そして、再度、昇降操作スイッチSW1が操作されると、電磁制御弁Vを駆動して苗植付装置2を接地下降させるとともに、昇降操作スイッチSW1の下降用操作時間t2が所定の設定時間T2よりも長いときは、前記ポテンショメータPM2の出力の変化より検知した接地時点から所定の設定時間T3経過すると、電動モータMを駆動して植付クラッチ21を自動で入り操作させる〔ステップ7〜12〕。そして、前記下降用操作時間t2が短いときは、苗植付装置2を接地下降させ植付クラッチ21は切り状態を維持する。尚、植付クラッチ21が入り操作されたときは、操縦部パネル17に設けた植付状態表示ランプ44を青色に点灯させ、植付クラッチ21が切り状態のときは赤色に点灯表示させる〔ステップ13、15〕。又、そのときに作用状態になっている線引きマーカ23R,23Lが左右いずれの側であるかを、操縦部パネル17に備えたマーカランプ45を表示させる〔ステップ14〕。
【0008】〔別実施例〕前記昇降操作スイッチSW1は押し操作式のものに代えて揺動操作式に構成してもよく、このとき前記ステップ5及びステップ9における操作形態の判別は、操作方向の違いによって判別するようにしてもよい。又、苗植付装置2が下降した後、植付クラッチ21を入り操作させる構成は、時間経過により自動で入り操作するものに代えて専用の操作具により入り操作させるものであってもよい。
【0009】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年1月25日(1999.1.25)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−92931(P2000−92931A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平11−69920