| 【発明の名称】 |
稲の直播き用紐状構造物 |
| 【発明者】 |
【氏名】近藤 義和
【氏名】梶山 宏史
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| 【要約】 |
【課題】現行農法の簡素化、省力化を可能にする画期的直播き用の紐状構造物を工業的容易に且つ安価に提供する。
【解決手段】本質的に生分解性の素材からなり、長さ方向に土中での強度保持率の高い部分と低い部分が交互に存在し、土中での強度保持率の高い部分が目合いが高々3mmの筒状の繊維構造物で、強度保持率の高い部分に稲もみを少なくとも一粒包含させた稲の直播き用紐状の繊維構造物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本質的に生分解性の素材からなり、土中での強度保持率の高い部分と低い部分が長さ方向に交互に存在し、土中での強度保持率の高い部分が目合いが高々3mmの筒状の繊維構造物で、強度保持率の高い部分に稲もみを少なくとも一粒包含させた稲の直播き用紐状繊維構造物。 【請求項2】 土中での強度保持率の高い部分がポリ乳酸を主成分とした繊維である請求項1の紐状繊維構造物。 【請求項3】 土中での強度保持率の低い部分がポリヒドロシキブチレート、ポリヒドロキシ(ブチレート・バレート)、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレン(サクシネート・アジペート)、ポリカプロラクトン、レーヨン、アセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体よりなる繊維の少なくとも1種である請求項1の紐状繊維構造物。 【請求項4】 ポリ乳酸繊維の部分が褐色、黒色或いは茶色に着色されている請求項2の紐状繊維構造物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は新規な素材よりなる稲の直播き用紐状構造物に関する。 【0002】 【従来の技術】稲作は日本固有の代表的な産業であり、数少ない自給できる農作物の一つであるが、昨今の世界市場の自由化、国内の経済状況、後継者等の就労者の状況から、今後維持する事が非常に困難と見られている産業でもある。又、農業経営上でも就労者不足や若年就労者の急減により、機械化を行わざるを得ない状況が進み、中小規模以下の農家では、機械の支払いの負担が非常に重くなり、安定した継続的経営が困難な状況となっている。 【0003】稲作の維持の為に、農地の集約大規模化による機械化・自動化の導入や農法の改革としては直播き等が試みられているが、十分にその効果を上げていないのが現状である。特に、大規模化が困難な農家では、こうした問題が益々深刻になっており、就農者の高齢化や後継者のいない農家での離農が進んでいる。又、農業の大規模化された農業では本来の味のよい米が得られにくくなっている。又、一方では収量を上げるために、農薬や肥料の使用量が益々増え、コストアップと共に地下水や下流の水域の汚染、環境破壊を進める一因ともなっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、鋭意検討の結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の目的は、現行農法の簡素化、省力化を可能にする画期的直播き用の紐状構造物を工業的容易に且つ安価に提案するに有る。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、本質的に生分解性の素材からなり、土中での強度保持率の高い部分と低い部分が長さ方向に交互に存在し、土中での強度保持率の高い部分が目合いが高々3mmの筒状の繊維構造物で、強度保持率の高い部分に稲もみを少なくとも一粒包含させた稲の直播き用紐状の繊維構造物である。 【0006】本発明の土中での強度保持率の高い部分に使用する筒状の繊維構造物は、筒状織物、筒状(丸編)編物、通常の織編物を筒状に成形した物、組み紐状構造物、或いはスパンボンド等の不織布を筒状に成形した物等を用いる事が出来る。筒状の繊維構造物の内径は、稲のもみが入ってほぼ固定できる程度で有ればよいが、好ましくは高々3mm、更に好ましくは高々2mm、特に好ましくは高々1.5mmであり、直径方向に幾分締まり気味である事が好ましい。特に、筒状織物や筒状編み物、組み紐状構造物では自然と締める力が生じ、好ましい。 【0007】土中での強度保持率の高い部分と低い部分とを連続して製造する場合は大きさは同一になるが、強度保持率の高い部分と低い部分とを別々に作り、後で接続する場合は、それぞれの筒状の大きさは特に限定される物ではない。しかし、作業性やコスト、土中での分解性を考えると強度保持率の高い部分と同等か小さい方が好ましい。 【0008】土中での強度保持率の高い部分の筒状物の目合いは、目合いは稲のもみをその中に入れて保持するのに必要な大きさが必要であり、又もみから根が出たり芽が出るのを妨げない程度の大きさに開いている事が必要である。通常、高々3mm、好ましくは高々2mm、更に好ましくは0.2〜1.5mmである。3mmより目合いが広い場合は、稲もみが脱落する可能性や、すずめやカラスや他の鳥が紐の中の稲もみをついばむおそれがある。又、目合いが0.2mmより細い場合は、発芽や根張りに際して障害がある事も有り、好ましくない。ここで言う目合いとは、筒状構造物に稲のもみを入れた場合のもみを入れた部分での目合いの大きさを言う。 【0009】土中での強度保持率の高い部分は、本質的に生分解性があるが、比較的土中での強度保持率が高い物であり、繊維の物性、製造の容易さ及び価格等の点でポリ乳酸を主成分とした繊維が好ましい。 【0010】本発明に使用するポリ乳酸は乳酸の重合体及び共重合モノマーを含有する乳酸共重合体を言い、好ましくは分子量8万以上、更に好ましくは分子量10万以上、特に好ましくは分子量10〜25万である。 【0011】ポリ乳酸は、単独の重合体でもよいが他のモノマー、オリゴマー等との共重合も可能である。例えば、(a)グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸などのようなヒドロキシアルキルカルボン酸、(b)グリコリド、ラクチド、ブチロラクトン、カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン、(c)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのような脂肪族ジオール、(d)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレン/プロピレングリコール、ジヒドロキシエチルブタンなどのようなポリアルキレンエーテルのオリゴマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンリコール、ポリブチレンエーテルなどのポリアルキレングリコール、(e)ポリプロピレンカーボネート、ポリブチレンカーボネート、ポリヘキサンカーボネート、ポリオクタンカーボネート、ポリデカンカーボネートなどのポリアルキレンカーボネートグリコールおよびそれらのオリゴマー、(f)コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸など、脂肪族ポリエステル重合原料に由来する成分を主成分すなわち50重量%以上(特に60%以上)とするものであって、脂肪族ポリエステルのホモポリマー、脂肪族ポリエステルのブロック又は/及びランダム共重合ポリマー、および脂肪族ポリエステルに他の成分、例えば芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサンなどを40重量%以下、好ましくは30重量%以下(ブロック又は/及びランダム)共重合したもの及び/又は混合したものをすべて包含する。 【0012】又、L−乳酸中に少量のD−乳酸が含まれてもよい。特に、繊維への柔軟性の付与、融点調整や分解性の調整や紡糸温度の調整の為にD−体の量は0.5%以上含まれている方が好ましく、更に好ましくはD−体の量は0.7〜1.5%である。 【0013】ポリ乳酸の溶融時に、ラクタイド(モノマー)やその低重合度物(オリゴマー)が重合物中に残存するが、この残存モノマーや低分子量オリゴマーは繊維の製造時の操業性や得られた繊維の物性、品質に影響するものであり、その量は10重量%以下が好ましく、5重量%以下がさらに好ましく、1重量%以下が最も好ましい。しかし、残存モノマーやオリゴマーは理由は不明であるが、植物の発芽、発根の促進に効果が見られ、特に好ましくは、繊維中に0.1〜0.7重量%残存させる様にする。 【0014】得られたポリ乳酸の安定性を高めるために、ポリ乳酸の重合が進行した時点で、酸化防止剤を、例えば0.1〜3重量%程度追加混合することが出来る。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、その他公知のものが用いられる。添加率は10〜30000ppm程度、特に50〜10000ppmが好適である。又、必要ならば紫外線吸収剤等の耐光剤や酸化チタン、酸化マグネシウム等の艶消し剤やカーボンブラックを初めとする各種の有機、無機の顔料等も添加する事が出来る。 【0015】これらの艶消し剤や顔料はポリ乳酸の重合時や紡糸時のいずれでも添加可能であるが、紡糸直前に添加する事がより好ましい。特に、ポリ乳酸繊維を土の色に近い黒、褐色、茶色或いは灰色等に着色する事により、田の中に設置した時や収穫時に稲を刈り取った後、残存していたとしても、特に違和感がない。 【0016】この他の添加剤としては、熱安定剤や光安定剤及び撥水剤、親水化剤、滑剤等も目的や用途により適宜添加する事も可能である。特に、撥水剤、親水化剤は生分解性の制御という点で重要な物である。 【0017】ポリ乳酸繊維は、一本の繊維から成るモノフィラメントでも、複数の繊維から構成されるマルチフィラメントでもよい。ポリ乳酸繊維の繊度は特に限定するものではないが、通常100デニール以上、好ましくは200デニール以上、更に好ましくは300〜1000デニールである。100デニールより細い場合は、編み物で紐状構造物を製造するに作業性や歩留まりが悪くなる。又、1000より大きい場合は必要以上に材料を使用するばかりか紐状構造物が硬くなりその中に稲もみを挿入する際にやや困難となり、経済的にも好ましくない。 【0018】マルチフィラメントを構成する各々のフィラメントの繊度は、通常少なくと1デニール、好ましくは少なくとも1.5デニール、更に好ましくは少なくとも3デニールである。1デニールより小さい場合は、繊維の生産性が低下するばかりか、稲の発芽や根の張り方にも好ましくない影響を及ぼす。 【0019】マルチフィラメントにおいては、各々のフィラメントがばらけないように幾分撚りを掛ける事が好ましい。撚り数としては、通常のマルチフィラメントで表現される甘撚り程度で十分であるが、中撚り或いは強撚りでも特にかまわない。例えば、200デニールであれば高々2〜500回/mの撚り数があれば、十分に目的を達することが出来る。つまり、撚り数×デニール数が高々100000程度が一つの目安となる。尚、これ以上でもこれ以下でも目的に沿っておれば採用可能である。 【0020】ポリ乳酸繊維の製造方法は、従来のモノフィラメント或いはマルチフィラメントの製造方法で製造されるが、好ましくは、得られた繊維の結晶化度を示す融解熱が少なくとも15ジュール/g、好ましくは20ジュール/g、更に好ましくは25ジュール/gである。融解熱が15ジュール/gより小さい場合は、繊維の結晶性が不十分で強力、強度保持性が十分でない。特に、編み物による紐状構造物を製造する際に作業性や歩留まりの低下や紐状構造物の形態安定性、熱安定性の低下となり、稲の発芽や根張り時の障害となる。 【0021】土中で強度保持率の低い繊維としては、土中6ヶ月に保持し、その強度の保持率がポリ乳酸繊維より低い物であればよいが、好ましくは保持率がポリ乳酸繊維の高々80%、更に好ましくは高々70%、特に好ましくは高々60%である。保持率が80%より高い場合は、本発明の紐状構造物が収穫後にも残存し、耕耘機等による田の掘り返し時に障害となる。つまり、稲のもみを含有した紐が長さ方向に強度の高いまま残存しているとしたら耕耘機による掘り起こしの際に耕耘機の回転歯に巻き付いたりトラブルの原因となる。 【0022】本発明に使用する土中で強度保持率の低い繊維としては、好ましくは土中6ケ月放置後の強度保持率が本発明に使用したポリ乳酸繊維の強度保持率の高々80%であり、例えば生物的に生産されるPHB、PH(V/B)(例えば、モンサント社バイオポール)、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート・アジペート(例えば、昭和高分子社ビオノーレ)、ポリカプロラクトン(例えば、UCC社トーン)、レーヨン、アセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体等から製造される繊維があげられ、その内1種或いは複数種を使用する事が出来る。この繊維の形状も上述のポリ乳酸繊維と同様の物で有ればよく、特に制限はない。 【0023】又、天然繊維と混合して使用する場合は、コスト低減や分解性の制御と言う点で好ましく、特に短繊維にしての混紡糸を使用する事は分解の臨界性をより明確にする事が出来る点で好ましい。短繊維にした場合は、繊維の太さは上述のデニールに相当する太さにする。 【0024】紐状構造物としての強力は人間が或いは機械で田に引っ張れるほどであればよく、好ましくは少なくとも0.5Kg、更に好ましくは少なくとも1Kgである。 【0025】 【実施例】以下実施例を示して本発明を具体的に説明するが、特にこれに限定されるものではない。実施例中、特に限定しない限り%、部は重量%、重量部を示す。 【0026】<実施例1>L−乳酸/D−乳酸=99.5/0.5よりなり重量平均分子量(Mw)13.5万のポリ乳酸を用いて、紡糸温度220℃にて溶融紡糸を行い200d/12fのマルチフィラメントを得た。強度は、3.3g/d、伸度35%であった。又、市販の脂肪族ポリエステル(SUNKYONG INDUSTRIES社SG1111)を用いて210℃にて紡糸し、150d/36fのマルチフィラメントを得た。強度は、3.1g/d、伸度は41%であった。各々のフィラメントに350回/mの撚りをいれた。それぞれの糸を使って、経・緯糸密度各々150メッシュ(150本/インチ)で直径2mmの筒状織物を製造した。 【0027】次いで、ポリ乳酸繊維を用いた筒状織物を長さ10cmに、脂肪族ポリエステル繊維を用いた筒状織物を長さ10cmに切断した。ポリ乳酸繊維を用いた筒状織物のほぼ中央部に稲のもみを1個づついれ、次いでその筒状織物と脂肪族ポリエステル繊維を用いた筒状織物とを交互に結んで長い紐として本発明の稲の直播き用紐状の繊維構造物を製造した。 【0028】本紐状繊維構造物を土の表面に張り、その上に水を深さ1cmになるようにたたえた。水は、2日に一回の割合でかえた。6ケ月経過後、本繊維構造物を取り出して、強度を測定するとポリ乳酸繊維の部分は初期強力の91%であり、脂肪族ポリエステル繊維の部分は初期強力の58%であった。 【0029】<実施例2>実施例1のポリ乳酸繊維を用いた筒状織物を長さ10cmに切断した。又、実施例1の脂肪族ポリエステル繊維を3本の撚り糸にし、12cm間隔に稲もみが入る様に連続して筒状織物を結びつけた。実施例1と同様に、6ヶ月放置後に各々の部分の強度を測定した。ポリ乳酸繊維の部分は初期強力の90%であり、脂肪族ポリエステル繊維の部分は初期強力の57%であった。 【0030】<実施例3>L−乳酸/D−乳酸/ポリエチレングリコール(数平均分子量12000)=91.7/0.3/8.0の組成を有する重量平均分子量(Mw)12.5万のポリ乳酸を用いて、紡糸温度215℃にて溶融紡糸を行い常法により300d/1fのモノフィラメントを得た。強度は、3.5g/d、伸度30%であった。又、市販の脂肪族ポリエステル(SUNKYONG INDUSTRIES社 SG1111)を用いて210℃にて紡糸し、100d/18fのマルチフィラメントを得た。強度は、3.0g/d、伸度は43%であった。本フィラメントに400回/mの撚りをいれた。 【0031】それぞれの糸を使って、経・緯糸密度各々150メッシュ(150本/インチ)で直径1.5mmの筒状織物を製造した。次いで、ポリ乳酸繊維を用いた筒状織物を長さ10cmに、脂肪族ポリエステル繊維を用いた筒状織物を長さ10cmに切断した。ポリ乳酸繊維を用いた筒状織物のほぼ中央部に稲のもみを1個づついれ、次いでその筒状織物と脂肪族ポリエステル繊維を用いた筒状織物とを交互に結んで長い紐として本発明の稲の直播き用紐状の繊維構造物を製造した。実施例1と同様に6ケ月経過後の強度を測定した。ポリ乳酸繊維モノフィラメントは初期強力の85%残存しており、脂肪族ポリエステル繊維の部分は初期強力の55%であった。 【0032】 【発明の効果】本発明の紐状構造物を用いる事により、従来の農法の概念を全く変え、極めて効率よく且つ省力した種まきが出来る。しかも、紐の中にもみを有している為にもみの流出や偏り等もなく、又紐の為に稲の直立性に優れ、且つ少々の風にも或いは水流にも倒されたり、流されたりせず、非常に安定して発芽・生育させる事が出来る。又、本紐構造物を使用する事によって、理由は不明であるが稲の生育が幾分に良くなる現象が見られる事がある。即ち、本発明の紐構造物を使用する事により、省力化は勿論であるが、稲の発芽以降の風水害にも比較的耐久性を増し、生育・収穫改善に効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000952 【氏名又は名称】鐘紡株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年9月22日(1998.9.22) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−92922(P2000−92922A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月4日(2000.4.4) |
| 【出願番号】 |
特願平10−267614 |
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