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【発明の名称】 野菜移植機
【発明者】 【氏名】高浪 豊幸

【氏名】木下 栄一郎

【氏名】村並 昌実

【氏名】藤原 潤一

【氏名】竹本 雅浩

【要約】 【課題】苗植付部に対する土壌面の高さを検出する接地センサを設け、該センサの検出結果に基づき苗植付部を土壌面に対し昇降させて、苗植付深さを一定に維持する野菜移植機において、前記接地センサが土壌面を荒らすことを防ぐ。

【解決手段】前記接地センサ130は、機体の進行にともない土壌面を滑りながら移動するセンサプレート131と、該センサプレートの後方を転がりながら移動する整地ローラ132とを両者が一体に上下動するように設け、整地ローラ132の下端はセンサプレート131の接地部と同じ高さもしくはそれよりも低く、かつ整地ローラ132の回転中心軸の高さはセンサプレート131の下端よりも高くした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗植付部に対する土壌面の高さを検出する接地センサを設け、該センサの検出結果に基づき苗植付部を土壌面に対し昇降させて、苗植付深さを一定に維持する野菜移植機において、前記接地センサは、機体の進行にともない土壌面を滑りながら移動するセンサ体と、該センサ体の後方を転がりながら移動する整地ローラとを両者が一体に上下動するように設け、整地ローラの下端はセンサ体の接地部と同じ高さもしくはそれよりも低く、かつ整地ローラの回転中心軸の高さはセンサ体の下端よりも高くしたこと特徴とする野菜移植機。
【請求項2】 苗植付部に対する土壌面の高さを検出する接地センサを設け、該センサの検出結果に基づき苗植付部を土壌面に対し昇降させて、苗植付深さを一定に維持する野菜移植機において、前記接地センサの接地部を前後に複数設けたこと特徴とする野菜移植機。
【請求項3】 苗植付部に対する土壌面の高さを検出する接地センサを設け、該センサの検出結果に基づき苗植付部を土壌面に対し昇降させて、苗植付深さを一定に維持する野菜移植機において、苗植付部を昇降させる油圧シリンダを、苗植付部上昇側及び下降側の両方に油圧で作動する複動制御状態と、苗植付部上昇側にだけ油圧で作動し苗植付部下降側には苗植付部の自重で作動する単動制御状態とに切替可能にし、通常の植付作業時には単動制御状態とするように構成したことを特徴とする野菜移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、苗植付深さを一定に維持するように苗植付部の昇降を自動制御する野菜移植機に関する。
【0002】
【従来の技術】機体の進行にともない土壌面を滑りながら移動する板状のセンサプレート(センサ体)を後端側が上下動するように回動自在に設け、該センサプレートの上下動により苗植付部に対する土壌面の高さを検出し、その検出結果に基づき昇降油圧シリンダで苗植付部を土壌面に対し昇降させて、苗植付深さを一定に維持するように構成した野菜移植機がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記センサプレートの接地面は側面視で下側に凸となる曲面状に形成されており、苗植付深さが変わっても土壌面に対するセンサプレートの迎え角がなるべく変化しないようになっている。しかしながら、実際には苗植付深さによって上記迎え角が多少変化し、ある特定の苗植付深さでは迎え角が大きくなり過ぎてしまい、センサプレートが表面土壌を押して土壌面を荒らすことがあった。
【0004】また、従来は、前記昇降油圧シリンダとして、苗植付部上昇側及び下降側の両方に油圧で作動する複動シリンダが使用されていた。しかしながら、昇降油圧シリンダが複動シリンダであると、車輪の走行面よりも高く形成された畝に苗を植付ける場合、機体が畝の端部まで移動してセンサプレートが畝の上面から外れてしまうと、該センサプレートが下動して昇降油圧シリンダが苗植付部下降側に作動するので、苗植付深さが急に深くなったり、或は苗植付部の腹が畝に接触してからも昇降油圧シリンダの作動が継続して車輪が地面から浮き上がることにより、機体が畝から脱出できなくなるという事態が生じた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、次のような構成とした。すなわち、第一の発明にかかる野菜移植機は、苗植付部に対する土壌面の高さを検出する接地センサを設け、該センサの検出結果に基づき苗植付部を土壌面に対し昇降させて、苗植付深さを一定に維持する野菜移植機において、前記接地センサは、機体の進行にともない土壌面を滑りながら移動するセンサ体と、該センサ体の後方を転がりながら移動する整地ローラとを両者が一体に上下動するように設け、整地ローラの下端はセンサ体の接地部と同じ高さもしくはそれよりも低く、かつ整地ローラの回転中心軸の高さはセンサ体の下端よりも高くしたこと特徴としている。この構成にすると、接地センサの土壌面からの接地抵抗がセンサプレートと整地ローラに分散され、センサプレートが受ける接地抵抗は小さいので、センサプレートが土壌面を荒らすことが少なくなるとともに、センサプレートの通過跡を整地ローラが整地することにより、土壌面が滑らかに仕上がる。
【0006】また、第二の発明にかかる野菜移植機は、苗植付部に対する土壌面の高さを検出する接地センサを設け、該センサの検出結果に基づき苗植付部を土壌面に対し昇降させて、苗植付深さを一定に維持する野菜移植機において、前記接地センサの接地部を前後に複数設けたこと特徴としている。この構成も、接地センサの土壌面からの接地抵抗を複数の接地部に分散させることにより、一つの接地部が受ける接地抵抗を小さくし、接地センサが土壌面を荒らすことを少なくしている。
【0007】さらに、第三の発明にかかる野菜移植機は、苗植付部に対する土壌面の高さを検出する接地センサを設け、該センサの検出結果に基づき苗植付部を土壌面に対し昇降させて、苗植付深さを一定に維持する野菜移植機において、苗植付部を昇降させる油圧シリンダを、苗植付部上昇側及び下降側の両方に油圧で作動する複動制御状態と、苗植付部上昇側にだけ油圧で作動し苗植付部下降側には苗植付部の自重で作動する単動制御状態とに切替可能にし、通常の植付作業時には単動制御状態とするように構成したことを特徴としている。苗植付作業時に単動制御状態とすることにより、畝の端部で接地センサが畝の上面から外れて苗植付部が下降したとしても、苗植付部が畝に接触した時点で苗植付部の下降が停止するので、車輪が地面から浮き上がることがない。また、非作業時には複動制御状態とすることにより、容易に車輪を地面から浮き上がらせることができ、トレッド調節や運搬、格納等がやりやすくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1乃至図8は本発明を施した野菜移植機を表している。この野菜移植機1は、各左右一対の前輪2,2及び後輪3,3で畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、穴形成装置4によって畝Uの上面に苗移植用の穴を形成し、その穴の中に、苗植付装置5が苗載台6に載置されている野菜の苗を植付ける構成となっている。以下、各部の構成について説明する。
【0009】機体の前部にエンジン10が搭載され、その後側に走行ミッションケース11が設けられている。また、エンジン10の左側面部には油圧ポンプ12、走行ミッションケース11の上には油圧バルブユニット13がそれぞれ設けられている。これらの上側はボンネット14で覆われている。
【0010】走行ミッションケース11の左右側面に走行チェーンケース16,16の筒状基部16a,16aが回動自在に取り付けられ、その走行チェーンケース16,16の先端部に支承された後輪車軸3a,3aに駆動車輪である後輪3,3が取り付けられている。後輪車軸3aには後輪取付穴3b,…が軸方向複数設けられているので、後輪トレッドを段階的に変更することができる。
【0011】また、エンジン10の下側には左右中心に位置するピボット軸17を支点にして前輪支持フレーム18が回動自在に設けられ、その左右端部に上下調節可能に取り付けた前輪支持ロッド19,19に前輪2,2が支持されている。図4は前輪支持部を表している。前輪支持フレーム18の左右端部に中心軸が前後方向を向いた筒体18aを固着し、該筒体に回動自在に嵌合させた回動軸18bにロッド嵌合筒18cを一体に取り付け、そのロッド嵌合筒に前輪支持ロッド19を上下調節可能に嵌合させている。筒体18aには円周上に複数のピン穴18d,…が形成された扇形プレート18eが一体に取り付けられているとともに、ロッド嵌合筒18cには前記ピン穴18d,…に対応するピン穴18fを有するプレート18gが固着されており、ピン穴18d,…の一つとピン穴18fとにピン18hを挿通して、ロッド嵌合筒18cの角度を固定する。ピン18hを挿通する扇形プレートのピン穴18dを変えることにより、前輪支持ロッド19の正面角度が変わり、前輪トレッドが変更される。
【0012】走行ミッションケース11の背面部には横フレーム20が一体に設けられ、この横フレーム20の左右端部に右フレーム21と左フレーム22の前端部がそれぞれ固着連結されている。右フレーム21は、機体の下部を通って後方に延び、中間部で上側に湾曲し斜め上向きに延びている。そして、その後端部にループ状のハンドル23が固着して設けられている。
【0013】左フレーム22は側面視で右フレーム21の湾曲部付近まで延びており、その後端部に植付ミッションケース25が固着して設けられている。走行ミッションケース11から植付ミッションケース25へは、植付伝動軸26を介して動力が伝達される。
【0014】植付ミッションケース25には、先端が右側面から突出する駆動アーム軸27が設けられ、該軸に穴形成装置4を駆動する穴形成駆動アーム28が固定して取り付けられているとともに、後記苗送りベルト40を駆動する左右の苗送り駆動アーム29,29が取り付けられている。また、植付ミッションケース25の背面部には内部にチェーン等の伝動手段が内蔵された伝動フレーム31が固着連結され、その伝動フレーム31の後端部に苗植付装置駆動軸32が設けられている。さらに、伝動フレーム31の後端部から苗載台駆動ケース33へ動力が伝達される。
【0015】苗載台6は機体の上部に設けられ、前部は水平状で、後部は若干後ろ下がりに傾斜している。右フレーム21と伝動フレーム31に固定した左右方向の支持レール35に苗載台6の後端部が摺動自在に支持されているとともに、ボンネット14の背面部に設けたローラ36に苗載台6の前後中間部が支持され、苗載台駆動ケース33内の横移動機構により苗載台6が左右に往復動させられるようになっている。これにより、支持レール35と一体の苗受枠37に形成されている苗取出口38に苗載台の最後列の苗が一株分づつ順次供給される。また、苗載台6が左右行程の端部に到達して最後列の苗を全て供給し終わると、苗載台6の後部底面に設けた苗送りベルト40が一定量だけ作動し、苗載台上の苗群を後方へ1列分移送する。なお、符号41は予備苗載台で、苗載台駆動ケース33に固定して設けられている。
【0016】穴形成装置3は、図3及び図5に示す構成になっている。すなわち、右フレーム21に固着の支持プレート43に枢着された第一平行リンク44,44の先端部に中間プレート45を連結し、さらに該中間プレートに枢着された第二平行リンク46,46の先端部に連結プレート47を連結し、その連結プレートの下端部に左右水平に設けた取付パイプ49に穴形成具50が取り付けられている。前記穴形成駆動アーム28の先端部が第二平行リンクの上側リンク46Uの中間部に連結しており、上記駆動アーム28の回転により、穴形成具50が一定姿勢のまま軌跡Xを描いて移動する。
【0017】穴形成具50は、取付パイプ49に固着した前後方向の取付軸53,53を支点にして回動自在な左右のカップ部材54L,54Rで構成されており、両カップ部材54L,54Rが互いに接する状態では、図5(b)において鎖線で示すように、上方と後方が開放し且つ正面視で下端部が鋭利なカップ状をなし、両カップ部材54L,54Rが左右に回動すると、図5(b)において実線で示すように、下部が開いた状態となる。右カップ部材54Rと一体のプレート55Rに設けたピン56が左カップ部材54Lと一体のプレート55Lに形成された溝55aに摺動自在に嵌合しており、両カップ部材54L,54Rが互いに連動し同角度づつ逆方向に回動するようになっている。なお、カップ部材54L,54Rは図示しないトルクスプリングによって閉じる方向に付勢されている。
【0018】穴形成具50を開閉させる機構は、長穴60aを有し上端部が苗受枠37に回動自在に支持された開閉ガイド60と、右カップ部材54Rから右側方に突設した棒体61と、上端部が上記長穴60aに摺動自在に嵌合し且つ下端部が上記棒体61に回動自在に連結された開閉ロッド62とで構成されている。穴形成具50が移動行程の下端部以外の位置にある時は、開閉ロッド62の上端部が長穴60aの中間部に嵌合し、当該開閉ロッド62がフリーの状態になっているため、前記図示しないスプリングの張力によってカップ部材54L,54Rが内側に押し付けられ、穴形成具50の下部が閉じた状態となっている。穴形成具91が移動行程の下端部にある時は、開閉ロッド62の上端部が長穴60aの下端部に係合して開閉ロッド62が引き上げられることにより、棒体61を介して右カップ部材54R及びそれに連動する左カップ部材54Lが外側に回動し、穴形成具50の下部が開く。
【0019】穴形成具50が移動行程の下端部へ移動すると畝の表土部に挿入されて苗移植用の穴Hが形成される。穴形成具50は正面視で下端部が鋭利なカップ状であるので、穴形成具50が地中に挿入されやすい。さらに、その状態で穴形成具50の下部が開くことにより、上記穴Hの左右幅を拡張する。このように形成される穴Hは、必要最小限の前後長になる。
【0020】苗植付装置5は、前記苗植付装置駆動軸32と一体回転する第一回転ケース65と、該第一回転ケースの先端部を支点にして回転する第二回転ケース66と、該第二回転ケースに回転自在に取り付けた苗植付具67とを備え、苗植付具に各左右一対の植付爪68,68′及び苗押出体69,69が設けられている。
【0021】苗植付具67の構造を図6及び図7に示す。符号70は機体に対し相対的に回転しないように第二回転ケース66に支承された苗植付具取付軸で、これと一体に苗植付具ケース67aが取り付けられている。苗植付具ケース67aの内部には、一方の植付爪が取り付けられる開閉軸71と、苗押出体が取り付けられる押出ロッド72とが設けられている。開閉軸71はケースに回動自在に支承されており、これに苗植付具67の移動に連動して回動するよう設けた開閉カム73で駆動させる開閉アーム74が取り付けられている。開閉アーム74はスプリング75によって開閉カム73の外周面に当接する側に付勢されている。また、押出ロッド72は軸方向に摺動自在に設けられており、苗植付具67の移動に連動して回動するよう設けた押出カム76で駆動させる押出アーム77に支持されている。押出ロッド72はスプリング78によって押出アーム77を押出カム76の外周面に当接する側に付勢されている。
【0022】一対の植付爪のうちの一方68は開閉軸71と一体回動するように設けられ、他方68′はケース67aにボルト80で固定して設けられている。両植付爪68,68′はともに下向きに延出し、その下端部がへら状になっている。苗押出体69,69は共通の基板81に一体成形されており、その基板に穿設した取付穴81aに押出ロッド72のねじ部72aに挿入して取り付け、両側をナット82,82で固定している。両苗押出体69,69は、それぞれ植付爪68,68′の内面に摺接した状態となっている。前記取付穴81aは前後方向に長い長穴で、この取付穴81aへの押出ロッドねじ部72aの挿入位置を変えることにより、苗押出体69,69の前後位置を調節できるようになっている。
【0023】第一回転ケース65及び第二回転ケース66がそれぞれ所定の回転方向に所定の速度比で回転することにより、植付爪68,68′の先端が閉ループ軌跡Yを描くように苗植付具67が一定姿勢のまま移動する。軌跡Yの上部で植付爪68が閉じて一対の植付爪で前記苗取出口38にある苗を挟持し、そのまま苗植付具67が下降して、軌跡Yの下部で植付爪68が開くと共に苗押出体69,69が突出して挟持している苗を押し出す。その後、苗植付具67は上昇し、苗押出体69,69は後退する。例えば、ねぎ苗等のように株間を狭くする場合、苗植付具67が上昇するときに、植付けた苗に苗押出体69,69が当たって苗が後傾することがある。そこで、株間を狭くする時には、取付穴81aの後部に押出ロッド72のねじ部72aに挿入して取り付けて、苗押出体69,69の取付位置を通常よりも前側にすることにより、植付けた苗と苗押出体69,69との接触を避ける。
【0024】植付爪68,68′で苗を挟持した苗植付具67が穴形成具50内に上方から侵入し、穴形成具50の下部が開くタイミングとほぼ同期して苗植付具67が穴形成具50内に苗を供給し、その後、苗植付具67は穴形成具50の後方開放部を通って後方へ抜ける。供給された苗は、穴形成具50に案内されて穴Hの中に落とし込まれる。このため、苗植付具67が苗を離すタイミングにずれ等があったとしても、常に苗の植付位置が安定すると共に、植付姿勢が乱れない。また、穴Hの左右幅を拡張することにより、植付けられる苗の左右両側の土が除去されるので、苗を無理なく深植えすることができる。
【0025】上記苗植付装置5による苗植付位置の後方には、左右一対の鎮圧輪110,110が設けられている。鎮圧輪110,110は、前端側を支点にして上下に揺動自在な平面視コ字形の鎮圧輪フレーム111に下部ほど互いの間隔が狭くなるように斜めに取り付けられ、該鎮圧輪フレームの後端部に立設したウエイト装着棒112に装着されるウエイト113の荷重によって地面に押し付けられている。装着するウエイト113の重量を変更することで、鎮圧輪110,110を地面に押し付ける荷重を調節することができる。鎮圧輪110,110は穴Hの両側を転がりながら移動し、苗が植付けられた後の穴Hの周囲の土を崩落させて穴Hを埋め戻すと共に、その跡を軽く鎮圧する。
【0026】次に、機体を昇降及び左右傾斜させる機構について説明する。油圧バルブユニット13から後方に向けて昇降油圧シリンダ120が設けられ、該シリンダのピストンロッドに天秤杆121が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。そして、この天秤杆121の左右両端部と、走行チェーンケースの回動筒部16a,16aに固着した後輪昇降アーム122,122とが、連結ロッド123,123を介して連結されている。右側の連結ロッド123にはローリング油圧シリンダ124が組み込まれており、該シリンダを伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。昇降油圧シリンダ120を伸縮作動させると、左右の後輪3,3が同方向に同量だけ機体に対し昇降し、機体高さが変更される。また、ローリング油圧シリンダ124を伸縮作動させると、左右の後輪3,3が逆方向に同量だけ機体に対し昇降し、機体が左右に傾斜する。
【0027】苗植付位置の前側には、穴形成装置4、苗植付装置5等の苗植付部に対する土壌面の高さを検出する接地センサ130が設けられている。なお、本機においては、苗植付部は機体と一体に上下動するようになっている。接地センサ130は、機体の進行にともない土壌面を滑りながら移動するセンサ体としてのセンサプレート131と、該センサプレートの後方を転がりながら移動する整地ローラ132とを備えている。センサプレート131は、底面が側面視で下側に凸となる曲面状に形成されたプレートで、右フレーム21に固定の支持体133に支持された左右方向の取付軸134に回動自在に取り付けられ、土壌面の凹凸に応じて後端側が上下に回動するようになっている。また、整地ローラ132は、センサプレート131に固着の支持部材135,135によって、センサプレート131と一体に上下動するように支持されている。整地ローラ132の下端はセンサプレート131の接地部と同じ高さもしくはそれよりも低く、かつ回動中心軸132aの高さはセンサプレート131の下端よりも高くしてある。整地ローラ132の下端とセンサプレート131の接地部との高低差hは、10mm程度とするのが好ましい。
【0028】この接地センサ130の取付軸134回りの上下回動が感知機構136を介して油圧バルブユニット13内の昇降バルブに伝えられ、接地センサ130が上動すると昇降油圧シリンダ120が伸び、接地センサ130が下動すると昇降油圧シリンダ120が縮むように制御される。これにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。支持体133の角度を変え、接地センサ130の機体に対する取付高さを変えると、苗の植付深さが調節される。
【0029】接地センサ130が土壌面から受ける接地抵抗はセンサプレート131と整地ローラ132に分散され、センサプレート131が単独で受ける接地抵抗が小さいので、センサプレート131が土壌面を荒らすことが少ない。また、接地センサプレート131の通過跡を整地ローラ132が整地するので、土壌面が滑らかに仕上がり、後の苗植付けが良好に行われる。
【0030】図10に示す野菜移植機1′のように、接地センサ130を複数のセンサプレート131,131′を前後に並べた構成としても、単独のセンサプレートが土壌面からの受ける接地抵抗を小さくすることができ、センサプレートが土壌面を荒らすことを少なくなる。
【0031】また、油圧バルブユニット13には機体の左右傾斜を検出する振り子138が設けられており、この振り子138の揺れに応じて油圧バルブユニット13内のローリングバルブが切り替わる。機体が右下がりに傾斜して振り子138が右に振れるとローリング油圧シリンダ124が縮み、機体が左下がりに傾斜して振り子138が左に振れるとローリング油圧シリンダ124が伸びるようになっている。これにより、機体が常に左右水平に維持する。
【0032】図9は昇降及びローリング用油圧装置の油圧回路図である。油圧ポンプ12によってタンク140から吸引加圧された油は、第一分流弁141によって昇降油圧シリンダ側の回路とローリング油圧シリンダ側の回路に一定比率に分流して送られる。
【0033】昇降油圧シリンダ側の回路には、前記接地センサ130の上下動に連動して切り替わる昇降バルブ142が設けられている。接地センサ130が静止した中立状態の時は、昇降バルブ142がA位置で、圧油はタンク140に戻される。接地センサ130が上動すると、昇降バルブ142がB位置となり、圧油が昇降油圧シリンダの上昇側シリンダ室120aに供給されるとともに、下降側シリンダ室120bの油がタンク140に戻される。また、接地センサ130が下動すると、昇降バルブ142がC位置となり、チェックバルブ143の状態に応じて圧油が昇降油圧シリンダの下降用シリンダ室120bに供給されるか或はタンク140に逃がされるとともに、上昇側シリンダ室120aの油がタンク140に戻される。
【0034】前記チェックバルブ143は、ミッション切替レバーと連動して切り替わるようになっており、ミッションが「中立」「移動速」及び「後進速」の時には昇降バルブ142からの圧油をタンク140に逃がさないA位置となり、ミッションが「作業速」の時には昇降バルブ142からの圧油をタンク140に逃がすB位置となる。よって、昇降油圧シリンダ120は、ミッションが「作業速」である植付作業時には、機体上昇側には油圧で作動するが、機体下降側には機体の自重で作動する単動制御状態となる。このため、畝の端部で接地センサ130が畝から外れた場合、機体は自重で下降するが、その下降速度は比較的遅く、苗植付深さが急激に浅くなることがない。さらに、機体が下降して機体の一部が畝に接触すると下降が停止するので、畝に接触してからの機体が下降して車輪2,2,3,3が地面から浮き上がることにより畝から脱出できなくなるという事態を防止できる。また、昇降油圧シリンダ120は、植付作業時以外には、機体上昇側にも下降側にも油圧で作動する複動制御状態となる。このため、トレッド調節や運搬、格納等の際に、機体の一部で機体重量を支えて車輪2,2,3,3を地面から浮き上がらせることが容易にできる。
【0035】ローリング油圧シリンダ側の回路には、共に前記振り子138の揺動に連動して切り替わる2個のローリングバルブ145,146が設けられている。これら2個のローリングバルブは、ローリング油圧シリンダ124の伸び側(機体左上り)シリンダ室124aに圧油を供給するためのもの(145)と、縮み側(機体右上り)シリンダ室124bに圧油を供給するためのもの(146)とに役割が分担されている。両ローリングバルブ145,146には、第二分流弁147によってシリンダ室124a,124bの断面積の比率に比例した流量比率に分流された圧油がそれぞれ供給される。これにより、ローリング油圧シリンダ124は伸び側にも縮み側にも同速度で作動する。
【0036】図11に示すように、2個のローリングバルブ145,146の代わりに、両者を併せた役割を行う1個のローリングバルブ150を設けた回路構成としても、上記と同様にローリング油圧シリンダ124が伸び側にも縮み側にも同速度で作動させることができる。
【0037】また、図12に示すように、1個のローリングバルブ151と、該ローリングバルブに供給する圧油の方向を切り替える切替弁152とを組み合わせた回路構成としても、同様の作用効果が得られる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の野菜移植機は、苗植付部に対する土壌面の高さを検出する接地センサの接地部を前後に複数設けることにより、一つの接地部が受ける接地抵抗が小さくなり、接地センサが土壌面を荒らすことを少なくできるようになった。特に、接地センサを機体の進行にともない土壌面を滑りながら移動するセンサ体と、その後方を転がりながら移動する整地ローラとを組み合わせた構成とすると、センシングの精度を損なうことなく、センサ体が土壌面を荒らすことが少なくなるとともに、センサ体の通過跡を整地ローラが整地することにより、土壌面が滑らかに仕上がるようになる。
【0039】また、苗植付部を昇降させる油圧シリンダが、植付作業時には、苗植付部上昇側にだけ油圧で作動し、苗植付部下降側には苗植付部の自重で作動する単動制御状態となるようにすれば、畝の端部等で走行不能となることが防止されるとともに、植付作業以外のときには、苗植付部上昇側及び下降側の両方に油圧で作動する複動制御状態となるので、トレッド調節や運搬、格納時の作業がやりやすくなる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年9月17日(1998.9.17)
【代理人】 【識別番号】100083611
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 弘志
【公開番号】 特開2000−83416(P2000−83416A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−283540