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【発明の名称】 種子殺菌方法及び装置
【発明者】 【氏名】金子 純

【要約】 【課題】短時間で効率良く且つ確実に種子を殺菌し得る安全な種子殺菌方法及び装置を提供する。

【解決手段】殺菌すべき種子2を一粒ずつ分散させて連続的に落下せしめ、その落下途中でフラッシュランプ10を瞬間的に発光させて、太陽光よりも紫外線の波長領域を多く含み且つ前記種子2の表面に対し有効な殺菌力を発揮し得る光強度とした光パルスを照射する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 殺菌すべき種子を一粒ずつ分散させて連続的に落下せしめ、その落下途中でフラッシュランプを瞬間的に発光させて、太陽光よりも紫外線の波長領域を多く含み且つ前記種子の表面に対し有効な殺菌力を発揮し得る光強度とした光パルスを照射することを特徴とする種子殺菌方法。
【請求項2】 フラッシュランプの光パルスを反射鏡で反射して、前記フラッシュランプによる直接的な照射側と反対側の種子の表面にも光パルスを照射することを特徴とする請求項1に記載の種子殺菌方法。
【請求項3】 太陽光よりも紫外線の波長領域を多く含み且つ殺菌すべき種子の表面に対し有効な殺菌力を発揮し得る光強度とした光パルスを瞬間的に発光するフラッシュランプと、該フラッシュランプの近傍を通過するよう種子を一粒ずつ分散させて連続的に落下せしめる種子投下手段と、電源から得た電気をキャパシタに貯えてスイッチを介し前記フラッシュランプへ放出するパルス電圧印加手段とを備えたことを特徴とする種子殺菌装置。
【請求項4】 種子が落下する軌道を挟んでフラッシュランプと対峙する位置に光パルスを反射する反射鏡を設けたことを特徴とする請求項3に記載の種子殺菌装置。
【請求項5】 反射鏡を内側面に備えて上下方向に延びる種子投下筒により前記種子が落下する軌道及びフラッシュランプを包囲したことを特徴とする請求項3に記載の種子殺菌装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種子殺菌方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、腸管出血性大腸菌(O157)等の菌が付着した種子を栽培して収穫した農作物を原因として食中毒が発生した事例が報告されており、通常の食材だけでなく、農作物の種子についても確実な殺菌を施すことが望まれている。
【0003】従来における農作物の種子に対する殺菌手段としては、主として海外から輸入される農作物の種子に関し、殺虫ガスで燻して燻蒸したり、殺虫液へ浸漬したりして害虫駆除を兼ねた殺菌消毒を行う手段や、床面に敷き詰めた種子に上方から紫外線を所要時間照射して殺菌する手段等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、殺虫ガスによる燻蒸や殺虫液への浸漬で殺菌する場合には、害虫駆除という観点からは十分な効果を期待できても、殺菌効果という観点からは不十分であり、また、長時間継続して行わなければならない為に時間がかかりすぎて効率が悪く、しかも、有害成分が種子に残留する虞れもあった。
【0005】一方、紫外線の照射で殺菌する場合には、種子同士が重なってしまうことや、照射側と反対の面が陰になって実質的に照射できないこと等により、全ての種子の全表面に対し紫外線を良好に照射することができず、不十分な殺菌効果しか得られなかった。
【0006】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、短時間で効率良く且つ確実に種子を殺菌し得る安全な種子殺菌方法及び装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、殺菌すべき種子を一粒ずつ分散させて連続的に落下せしめ、その落下途中でフラッシュランプを瞬間的に発光させて、太陽光よりも紫外線の波長領域を多く含み且つ前記種子の表面に対し有効な殺菌力を発揮し得る光強度とした光パルスを照射することを特徴とする種子殺菌方法、に係るものである。
【0008】従って、本発明の種子殺菌方法では、一粒ずつ分散して連続的に落下している途中の種子に対し、フラッシュランプを瞬間的に発光させて光パルスを照射するようにしているので、別の種子により光パルスが遮蔽されてしまうような不具合が起こらず、個々の種子の表面に対し良好に光パルスを照射することが可能となり、しかも、種子が落下する軌道の周囲には、複数のフラッシュランプを何ら支障なく容易に配置し得るので、様々な角度から光パルスを照射して前記種子の全表面を隅無く光パルスで照射することも可能となる。
【0009】そして、このようにして落下途中の種子が光パルスの照射を受けると、前記種子の表面の菌が瞬時に死滅して殺菌が完了するので、後は連続的に落下してくる種子を同様にして随時殺菌し、その下方位置で回収するようにすれば、確実に殺菌処理された大量の安全な種子を短時間で効率良く得ることが可能となる。
【0010】更に、本発明の種子殺菌方法においては、フラッシュランプの光パルスを反射鏡で反射して、前記フラッシュランプによる直接的な照射側と反対側の種子の表面にも光パルスを照射するようにしても良く、このようにすれば、種子が落下する軌道の周囲に多数のフラッシュランプを配置しなくても、必要最小限のフラッシュランプにより種子の全表面を隅無く光パルスで照射することが可能となる。
【0011】また、本発明は、太陽光よりも紫外線の波長領域を多く含み且つ殺菌すべき種子の表面に対し有効な殺菌力を発揮し得る光強度とした光パルスを瞬間的に発光するフラッシュランプと、該フラッシュランプの近傍を通過するよう種子を一粒ずつ分散させて連続的に落下せしめる種子投下手段と、電源から得た電気をキャパシタに貯えてスイッチを介し前記フラッシュランプへ放出するパルス電圧印加手段とを備えたことを特徴とする種子殺菌装置、にも係るものである。
【0012】従って、本発明の種子殺菌装置では、種子投下手段によりフラッシュランプの近傍を通過するよう種子を一粒ずつ分散させて連続的に落下させながら、パルス電圧印加手段のスイッチを介してキャパシタに貯えた電気をフラッシュランプへ放出すると、該フラッシュランプが、太陽光よりも紫外線の波長領域を多く含み且つ殺菌すべき種子の表面に対し有効な殺菌力を発揮し得る光強度とした光パルスを瞬間的に発光し、該光パルスの照射により種子の表面の菌が死滅して種子が殺菌処理されることになる。
【0013】更に、本発明の種子殺菌装置においては、種子が落下する軌道を挟んでフラッシュランプと対峙する位置に光パルスを反射する反射鏡を設けるようにしても良く、このようにすれば、フラッシュランプによる直接的な照射側と反対側の種子の表面にも光パルスを反射して照射することが可能となる。
【0014】また、反射鏡を内側面に備えて上下方向に延びる種子投下筒により前記種子が落下する軌道及びフラッシュランプを包囲するようにしても良く、このようにすれば、フラッシュランプによる直接的な照射側と反対側の種子の表面にも光パルスを反射して照射することが可能となると共に、種子の落下軌道へ向けて照射されない光パルスを反射させて種子に無駄なく照射させることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0016】図1〜図3は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図中1は殺菌すべき種子2を一粒ずつ分散させて連続的に落下せしめる振動フィーダ(種子投下手段)を示し、該振動フィーダ1は、殺菌すべき大量の種子2を収容したホッパ3と、該ホッパ3の背面に備えられた振動モータ4(ロータ軸にアンバランスウエイトを取り付けたモータ)と、前記ホッパ3下端の出口部に設けられ且つ前記振動モータ4の振動により種子2を一粒ずつ整列させつつ順次滑落し得るよう複数条の溝5を形成した傾斜板6とにより構成されている。
【0017】そして、前記振動フィーダ1の下方位置には、該振動フィーダ1の傾斜板6の先端から一粒ずつ複数列で落下する種子2の軌道を包囲するよう上下方向に延びる種子投下筒7が配設されており、該種子投下筒7の内側面には、光を内向きに反射し得るよう反射鏡8が備えられている。
【0018】更に、前記種子投下筒7の下端部付近は、下方向きに縮径するホッパ状に形成されており、その直下には、前記種子投下筒7内を落下して通過した種子2を回収する回収容器9が配置されている。
【0019】また、前記種子投下筒7内における種子2が落下する軌道を挟んだ両側位置には、太陽光よりも紫外線の波長領域(1〜400nm)を多く含み且つ前記種子2の表面に対し有効な殺菌力を発揮し得る光強度とした光パルスを瞬間的に発光するフラッシュランプ10が夫々配設されており、該フラッシュランプ10は、図示する如く縦長に形成されている。
【0020】更に、前記フラッシュランプ10には、電源11から得た電気をキャパシタ12に貯えてスイッチ13を介し前記フラッシュランプ10へ放出するパルス電圧印加手段14が接続されており、前記フラッシュランプ10の電極間に高い直流パルス電圧を印加し得るようにしてある。
【0021】ここで、前記フラッシュランプ10について詳述すると、該フラッシュランプ10は、いわゆる気体放電電球であって、発光時に光強度が太陽光の約2万倍で波長領域が200nm〜1100nmの白色閃光が発せられるように封入ガスが適宜に選定されている。
【0022】図3は、フラッシュランプ10が発光する白色閃光Aと、海面レベルの平均的な太陽光Bとの波長成分分布を対比させたグラフであり、このグラフでは、白色閃光Aと太陽光Bとに含まれている各波長成分のうちのピーク光強度を「1」として正規化した光強度を縦軸にとり、横軸には波長をとるようにしている。
【0023】そして、このグラフから明らかなように、フラッシュランプ10が発光する白色閃光Aには、太陽光Bよりも紫外線の波長領域(この場合は200〜400nm程度が紫外線の波長領域となる)が多く含まれるようになっている。
【0024】また、本形態例においては、パルス電圧印加手段14によるフラッシュランプ10の瞬間的な発光の継続時間を数百μ秒とし、その照射エネルギーを数J/cm2以下とし、種子2が種子投下筒7内を落下して通過する間に数回の発光が成されるようにしてある。
【0025】尚、このような光パルスの照射により殺菌効果があることに関しては、下記の表に示す通り実証されており、フラッシュランプ10の瞬間的な発光の継続時間を300μ秒とし、その照射エネルギーを0.9J/cm2とした殺菌条件で、各種の細菌や真菌に対し極めて高い殺菌率が確認されている。
【0026】
【表1】

【0027】而して、種子2の殺菌を行うに際しては、振動フィーダ1の傾斜板6の各溝5に振動で種子2を一粒ずつ整列させつつ順次滑落させ、これによって、フラッシュランプ10の近傍を通過するよう種子2を一粒ずつ分散させて連続的に複数列落下させる一方、パルス電圧印加手段14のスイッチ13を介しキャパシタ12に貯えた電気をフラッシュランプ10へ放出すると、該フラッシュランプ10が光パルスを瞬間的に発光し、該光パルスの照射により種子2の表面の菌が死滅して種子2が殺菌処理されることになり、後は連続的に落下してくる種子2を同様にして随時殺菌し、種子投下筒7の下方位置で回収容器9により回収すれば、確実に殺菌処理された大量の安全な種子2を短時間で効率良く得ることが可能となる。
【0028】このように一粒ずつ分散して連続的に落下している途中の種子2に対し、フラッシュランプ10を瞬間的に発光させて光パルスを照射すれば、別の種子2により光パルスが遮蔽されたりすることなく、個々の種子2の表面を良好に光パルスで照射することが可能となり、しかも、種子2が落下する軌道を挟んだ両側にフラッシュランプ10を支障なく配置し得ることにより、互いに直接的な光パルスの照射で陰になる側を補うように光パルスを照射して前記種子2の全表面を隅無く光パルスで照射することが可能となる。
【0029】また、特に本形態例においては、反射鏡8を内側面に備えて上下方向に延びる種子投下筒7により前記種子2が落下する軌道及びフラッシュランプ10を包囲するようにしているので、何れか一方のフラッシュランプ10による直接的な照射側と反対側の種子2の表面にも光パルスが反射して照射されることになり、しかも、種子2の落下軌道へ向けて照射されない光パルスも反射して種子2に無駄なく照射されることになる。
【0030】従って、上記形態例によれば、一粒ずつ分散して連続的に落下している途中の種子2に対し光パルスを隅無く照射して瞬時に殺菌処理を施すことができるので、短時間で効率良く且つ確実に種子2を殺菌することができ、しかも、有害成分が種子2に残留する虞れのない安全な殺菌処理を施すことができる。
【0031】また、フラッシュランプ10による直接的な照射側と反対側の種子2の表面にも光パルスを反射して照射することができると共に、種子2の落下軌道へ向けて照射されない光パルスも反射して種子2に無駄なく照射することができるので、より確実に種子2を殺菌処理することができ、しかも、フラッシュランプ10の設置数を必要最小限にとどめて過剰なフラッシュランプ10の設置を回避することができる。
【0032】尚、本発明の種子殺菌方法及び装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、例えば種子が落下する軌道を挟んだ一方の側にのみフラッシュランプを配置して他方の側のみに反射鏡を対向配置するようにしたり、或いは、種子が落下する軌道を挟んだ両側に様々な角度から光パルスを照射し得るように複数のフラッシュランプを夫々配置して反射鏡を不要としたりしても良く、また、振動フィーダ以外の種子投下手段を使用しても良いこと、ガラスまたはプラスチック類の透明な筒を用いて、その中に種子を投下させても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0033】
【発明の効果】上記した本発明の種子殺菌方法及び装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0034】(I)本発明の請求項1及び3に記載の発明によれば、一粒ずつ分散して連続的に落下している途中の種子に対し光パルスを隅無く照射して瞬時に殺菌処理を施すことができるので、短時間で効率良く且つ確実に種子を殺菌することができ、しかも、有害成分が種子に残留する虞れのない安全な殺菌処理を施すことができる。
【0035】(II)本発明の請求項2及び4に記載の発明によれば、フラッシュランプによる直接的な照射側と反対側の種子の表面にも光パルスを反射して照射することができるので、より確実に種子を殺菌処理することができ、しかも、フラッシュランプの設置数を必要最小限にとどめて過剰なフラッシュランプの設置を回避することができる。
【0036】(III)本発明の請求項5に記載の発明によれば、フラッシュランプによる直接的な照射側と反対側の種子の表面にも光パルスを反射して照射することができると共に、種子の落下軌道へ向けて照射されない光パルスも反射して種子に無駄なく照射することができるので、上記(II)の効果をより一層向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成10年8月6日(1998.8.6)
【代理人】 【識別番号】100062236
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
【公開番号】 特開2000−50706(P2000−50706A)
【公開日】 平成12年2月22日(2000.2.22)
【出願番号】 特願平10−222946