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【発明の名称】 乗用田植機
【発明者】 【氏名】久保下 竹男

【氏名】奥山 幹夫

【氏名】三木 博幸

【氏名】青木 一夫

【氏名】井上 強

【要約】 【課題】地上からの機体操縦操作を容易に行うことができる乗用田植機を提供する。

【解決手段】地上操縦用の操作アーム15を、走行機体3の前端部に、起立位置と前方への倒伏位置とに切り換え揺動可能に装備する。ここで、前記倒伏位置では、前記操作アーム15の下方揺動を規制するとともに、上方に自由揺動可能とし、かつ、前記起立位置では、操作アーム15の後方への揺動を規制するとともに前方に自由に揺動可能とし、また、前記倒伏位置を前上がり傾斜姿勢に設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地上操縦用の操作アームを、走行機体の前端部に、起立位置と前方への倒伏位置とに切り換え揺動可能に装備してあることを特徴とする乗用田植機。
【請求項2】 前記倒伏位置では、前記操作アームの下方揺動を規制するとともに、上方に自由揺動可能とし、かつ、前記起立位置では、操作アームの後方への揺動を規制するとともに前方に自由に揺動可能としてある請求項1記載の乗用田植機。
【請求項3】 前記倒伏位置を前上がり傾斜姿勢に設定してある請求項2記載の乗用田植機。
【請求項4】 前記操作アームを揺動範囲内の複数位置で固定可能に構成してある請求項1または2記載の乗用田植機。
【請求項5】 前記操作アームをアーチ形に構成して、その左右の基端部を走行機体の前端固定部に連結してある請求項1ないし4のいずれか一項に記載の乗用田植機。
【請求項6】 前記操作アームを横向きに姿勢変更可能に構成してある請求項1ないし5のいずれか一項に記載の乗用田植機。
【請求項7】 前記走行機体の前部に主クラッチレバーを配備してある請求項1ないし6のいずれか一項に記載の乗用田植機。
【請求項8】 前記主クラッチレバーのクラッチ切り操作に連動して制動作動するブレーキを備えてある請求項7記載の乗用田植機。
【請求項9】 前記主クラッチレバーによって入り切りされる主クラッチを、エンジンとミッションケースとを連動連結するベルト伝動装置のテンションクラッチで構成し、前記ブレーキを、前記ベルト伝動装置の従動側のプーリを摩擦制動するものに構成してある請求項7または8記載の乗用田植機。
【請求項10】 前記主クラッチレバーは、主クラッチペダルをクラッチ切り側にのみ片当たり状態で接当操作するものであり、主クラッチペダルの踏み込み操作では主クラッチレバーが操作されないよう構成してある請求項7ないし9のいずれか一項に記載の乗用田植機。
【請求項11】 前記走行機体の前部横側に配備した予備苗のせ台を、後部の縦軸心周りに後方に回動退避可能に構成してある請求項7ないし10のいずれか一項に記載の乗用田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】乗用田植機においては、機体を圃場へ出し入れしたり、トラックの荷台などへ積み降ろしする際に、機体が相当大きく前後傾斜することがあり、このような場合には作業者が地上に降りて操縦できることが望ましい。このような要望に応える手段として、例えば、特開平7‐96839号公報あるいは特開平7‐96840号公報に開示されているように、前輪を操向させるピットマンアームに補助ハンドルレバーを取り付け、地上に立った作業者が機体の前部において補助ハンドルレバーを揺動操作することで、ピットマンアームを強制操作する手段が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記提案手段によると、圃場への機体の出し入れやトラックの荷台などへの機体の積み降ろしを、作業者が地上から操縦して行うことができるのであるが、補助ハンドルレバーはピットマンアームと一体に左右回動することになるので、機体に搭乗して操縦する通常の作業走行時には、この補助ハンドルレバーをピットマンアームから取り外しておくことができるように脱着可能に構成しておく必要があった。
【0004】しかし、水田作業を行う田植機においては、機体前部の下部に位置するピットマンアームには当然泥が付着しやすいものであり、このピットマンアームに設けた補助ハンドルレバー連結部に泥が付着すると、補助ハンドルレバーの脱着が困難になるおそれもあり、実用上では問題があった。
【0005】また、乗用田植機は後輪を主推進車輪としているので、前進で登坂走行させる場合、推進反力で機体前部が浮き気味となり、前輪の接地圧が低下して前輪による推進力が低下することがあるが、このような場合、地上の作業者が機体前部を押し下げて機体前部の浮き上がりを抑制するのであるが、従来の補助ハンドルレバーはピットマンアームに連結されたものであったため、この補助ハンドルレバーに加えた力で機体前部を押し下げるような操作を行うと、ピットマンアームを変形させたり損傷させるおそれがあった。
【0006】本発明は、このような点に着目してなされたものであって、地上からの機体操縦操作を容易に行うことができる乗用田植機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕
【0008】(構成) 請求項1に係る発明の乗用田植機は、地上操縦用の操作アームを、走行機体の前端部に、起立位置と前方への倒伏位置とに切り換え揺動可能に装備してあることを特徴とする。
【0009】(作用) 上記構成によると、搭乗して運転する通常の走行時には操作アームを起立位置に格納しておき、畦越えやトラックなどの車両への機体積み降ろしの際には、操作アームを前方の倒伏位置に切り換え、この倒伏位置の操作アームに横方向から力を加えることで多少の機体の向き修正を行うことができ、また、倒伏位置の操作アームに上方から力を加えることで機体前部の押さえ込みを行うことができ、また、倒伏位置の操作アームを前方に引くことで、登坂を補助することができる。
【0010】(効果) 従って、請求項1に係る発明によれば、倒伏させた操作レバーを地上から操作することで、機体向き修正、機体前部の押さえ込み、機体引き上げ、などの各種の操作を行うことができ、地上からの操縦が容易に行える。しかも、操作アームを格納状態と使用状態の選択は、操作アームを単に起伏するだけでよく、脱着する手段に比較して取扱い性に優れたものとなっている。
【0011】〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕
【0012】(構成) 請求項2に係る発明の乗用田植機は、請求項1記載の発明において、前記倒伏位置では、前記操作アームの下方揺動を規制するとともに、上方に自由揺動可能とし、かつ、前記起立位置では、操作アームの後方への揺動を規制するとともに前方に自由に揺動可能としてある。
【0013】(作用) 上記構成によると、ロックを解除する等の特別な操作を必要とすることなく、操作アームを使用姿勢である倒伏位置と格納姿勢である起立位置に切り換えることができるとともに、倒伏位置に切り換えれば直ちに使用することができる。
【0014】(効果) 従って、請求項2に係る発明によれば、操作アームの姿勢切り換えを迅速に行うことができ、取扱い性が高いものとなった。
【0015】〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕
【0016】(構成) 請求項3に係る発明の乗用田植機は、請求項2記載の発明において、前記倒伏位置を前上がり傾斜姿勢に設定してある。
【0017】(作用) 上記構成によると、操作アームを前方に倒伏した姿勢に切り換えて使用している際に、誤って操作アームを機体前方の障害物にぶつけたとしても、前上がり傾斜姿勢の操作アームは接当反力によって上方に揺動する。
【0018】(効果) 従って、請求項3に係る発明によれば、操作アームの衝突損傷を未然に回避することができ、安全性にも優れている。
【0019】〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕
【0020】(構成) 請求項4に係る発明の乗用田植機は、請求項1の発明において、前記操作アームを揺動範囲内の複数位置で固定可能に構成してある。
【0021】(作用) 上記構成によると、選択した各位置で操作アームに下向きあるいは上向きの力を掛けて機体を操作することができる。
【0022】(効果) 従って、請求項4に係る発明によれば、操作アームを前方に倒伏して地上から使用する場合に、走行機体に傾斜角度や作業者の体格などの使用状況に応じて操作アームの使用角度を選択して、機体を無理なく的確に操縦するとが容易となる。
【0023】〔請求項5に係る発明の構成、作用および効果〕
【0024】(構成) 請求項5に係る発明の乗用田植機は、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の発明において、前記操作アームをアーチ形に構成して、その左右の基端部を走行機体の前端固定部に連結してある。
【0025】(作用) 上記構成によると、操作アームに加えた横向きの力を走行機体の前部に的確に伝えることができるとともに、アーム先端に横向きの握り部が形成されることになり、前方への引っ張り操作や後方向への押し操作が行い易いものとなる。
【0026】(効果) 従って、請求項5に係る発明によれば、操作アームを使ってに機体向き修正操作や推進補助操作を軽快に行うことができ、地上からの機体操縦が容易となる。
【0027】〔請求項6に係る発明の構成、作用および効果〕
【0028】(構成) 請求項6に係る発明の乗用田植機は、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の発明において、前記操作アームを横向きに姿勢変更可能に構成してある。
【0029】(作用) 上記構成によると、操作アームを前方に倒伏することで上記したように使用できるとともに、操作アームを横向きにすることで、機体前進方向に壁などがある状態での地上からの操縦を、機体前部の横側箇所から行うことが可能となる。
【0030】(効果) 従って、請求項6に係る発明によれば、地上からの操縦条件に応じた位置から操作アームを利用しての機体操縦が可能となり、操作性の面で一層優れたものとなる。
【0031】〔請求項7に係る発明の構成、作用および効果〕
【0032】(構成) 請求項7に係る発明の乗用田植機は、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の発明において、前記走行機体の前部に主クラッチレバーを配備してある。
【0033】(作用) 上記構成によると、自走する走行機体を操作アームを用いて地上から操縦している際に、主クラッチペダルに手を伸ばさなくても、機体前部の主クラッチレバーを操作することで直ちに走行機体を停止することができる。
【0034】(効果) 従って、請求項7に係る発明によれば、地上から操縦していても簡単に走行機体を停止することができ、取扱い性に優れている。
【0035】〔請求項8に係る発明の構成、作用および効果〕
【0036】(構成) 請求項8に係る発明の乗用田植機は、請求項7記載の発明において、前記主クラッチレバーのクラッチ切り操作に連動して制動作動するブレーキを備えてある。
【0037】(作用) 上記構成によると、主クラッチレバーによって主クラッチを切って推進移動を停止すると、直ちに制動がかかって機体停止が行われる。
【0038】(効果) 従って、請求項8に係る発明によれば、走行機体が前後に傾斜している状態で主クラッチを切っても機体は自重でずり落ち移動することがなく、安全確実に機体停止を行うことができる。
【0039】〔請求項9に係る発明の構成、作用および効果〕
【0040】(構成) 請求項9に係る発明の乗用田植機は、請求項7または8記載の発明において、前記主クラッチレバーによって入り切りされる主クラッチを、エンジンとミッションケースとを連動連結するベルト伝動装置のテンションクラッチで構成し、前記ブレーキを、前記ベルト伝動装置の従動側のプーリを摩擦制動するものに構成してある。
【0041】(作用・効果) 上記構成によると、ベルト伝動装置を有効に利用して構造簡単にブレーキを構成することができ、安価に実施することができる。
【0042】〔請求項10に係る発明の構成、作用および効果〕
【0043】(構成) 請求項10に係る発明の乗用田植機は、請求項7ないし9のいずれか一項に記載の発明において、前記主クラッチレバーは、主クラッチペダルをクラッチ切り側にのみ片当たり状態で接当操作するものであり、主クラッチペダルの踏み込み操作では主クラッチレバーが操作されないよう構成してある。
【0044】(作用) 上記構成によると、地上から主クラッチレバーを操作して主クラッチを切った場合には同時にブレーキも作動するが、主クラッチペダルを踏み込み操作(一般に左足による)して主クラッチを切った場合にはブレーキが作動することがなく、必要に応じて別に設けられたブレーキペダルの踏み込み操作(一般に右足による)で所望の機体停止を行うことになる。例えば、走行中にギヤ変速を行うためにペダル操作で主クラッチを切る場合にはブレーキペダルの踏み込みは行わないが、走行を停止する時にはペダル操作で主クラッチを切るとともにブレーキペダルを踏み込み操作する。
【0045】(効果) 従って、請求項10に係る発明によれば、地上からの主クラッチ操作と、搭乗しての運転中のペダル操作による主クラッチ操作を、それぞれに適した状態で行うことができ、操作性の面で優れたものとなっている。
【0046】〔請求項11に係る発明の構成、作用および効果〕
【0047】(構成) 請求項11に係る発明の乗用田植機は、請求項7ないし10のいずれか一項に記載の発明において、前記走行機体の前部横側に配備した予備苗のせ台を、後部の縦軸心周りに後方に回動退避可能に構成してある。
【0048】(作用) 上記構成によると、予備苗のせ台を後方に回動退避しておくことで、主クラッチレバー周りを大きく空けておくことができる。
【0049】(効果) 従って、請求項11に係る発明によれば、地上からの操縦を行う時には、主クラッチレバー周りを大きく空けて操作しやすい状態をもたらしておくことができ、迅速な機体停止が要求されることの多い地上からの操縦を良好に行うことができる。
【0050】
【発明の実施の形態】図1に、本発明に係る乗用田植機が示されている。この乗用田植機は、前輪1および後輪2を備えた四輪駆動型の走行機体3の後部に、油圧駆動されるリンク機構4を介して4条植えの苗植付け装置5が昇降可能に連結されて構成されている。走行機体3の前部に搭載されたエンジン6のエンジン出力軸7と、前輪1を軸支したミッションケース8の入力軸9とがベルト伝動装置10を介して連動連結され、ミッションケース8でさらにギヤ変速されて前輪1が駆動されるとともに、ミッションケース8から取り出された変速出力が、後輪2を軸支した後部伝動ケース11に軸伝達され、かつ、ミッションケース8の後部から取り出された作業用動力が前記苗植付け装置5に軸伝達されるようになっている。
【0051】走行機体3の前端下部にはバッテリ12を支持したバッテリ台13が備えられるとともに、このバッテリ台13の下部を囲むように配備されたガードフレーム14の左右外側面に、地上操縦用の操作アーム15が前後に起伏揺動可能に取付けられている。この操作アーム15は丸パイプ材を下拡がりのアーチ形に屈曲形成したものであり、その左右基端部が前記ガードフレーム14の左右側部に支点aを中心に前後に起伏揺動可能にボルト16で連結されるとともに、このボルト16を適度に締めつけることで、操作アーム15が勝手に揺動しない適度の摩擦抵抗が付与され、手動では任意に起伏操作でき、かつ、起立した姿勢を摩擦保持することができるようになっている。
【0052】また、前記ガードフレーム14の横外側面にはストッパ17が溶接固定されており、図4中の実線で示すように、操作アーム15の基部がこのストッパ17の前端に接当することで、操作アーム15が起立位置以上に後方に揺動するのが阻止されるとともに、図4中の仮想線で示すように、操作アーム15の基部延長部がストッパ17の下面に接当することで、操作アーム15が前方倒伏位置以上に前方に揺動するのが阻止されるようになっている。そして、起立位置では操作アーム15は略鉛直に起立した姿勢となり、前方への倒伏位置では操作アーム15は数十度の角度で前上がり傾斜した倒伏姿勢となる。
【0053】また、倒伏位置の操作アーム15を押し下げ操作したり、前方に引っ張り操作しやすいように、操作アーム13の先端部は、は横握りできるに足る適当な幅の横向き握り部15aに構成されている。また、操作アーム15の先端近くには、機体の左右中心を示す照準具としてのセンターマスコット18が支点bを中心に起伏回動自在に装備されている。
【0054】前記ベルト伝動装置10は、図7に示すように、前記出力軸7と入力軸9に取り付けた伝動比の異なる2組のプーリ21a,21bおよび22a,22bにそれぞれベルト23a,23bを巻回し、各ベルト23a,23bに作用するテンションローラ24a,24bのいずれかを選択作用させることで、「高」「低」2段の変速を行うよう構成された、いわゆるダブルテンション式の変速機能を備えており、各テンションローラ24a,24bのアーム25a,25bが、運転座席26の左横脇に配備された副変速レバー27に、2組のリンク機構28a,28bを介して連係されている。なお、前記ミッションケース8内のギヤ変速装置を操作する主変速レバー29は、運転ステップ30の中央前部に立設されている。
【0055】ここで、2段の変速を行う前記2組のテンションローラ24a,24bが主クラッチ31としても機能するよう構成されている。つまり、運転ステップ30の左側前部に配備された主クラッチペダル32のペダルアーム32aに接当部33が備えられるとともに、前記ベルト伝動装置10における両テンションローラ24a,24bのアーム25a,25bの基端延長部が前記接当部33に対向配備されており、主クラッチペダル32を踏み込み操作することで、両テンションローラ24a,24bが共にクラッチ切り側に切り操作されて、エンジン6からミッションケース8への伝動を断つ、いわゆる、テンションクラッチ式の主クラッチ31が構成されているのである。
【0056】そして、前記主クラッチペダルアーム32aの支点軸34には、機体前方に向かう主クラッチレバー35とブレーキアーム36とがそれぞれが遊嵌支持されるとともに、主クラッチペダルアーム32aと主クラッチレバー35はそれぞれねじりバネ37,38によって上方に揺動復帰されている。
【0057】前記主クラッチレバー35は、主クラッチペダルアーム32aに上方から交差するよう配備されており、主クラッチレバー35を下方に揺動操作すると、主クラッチペダルアーム32aが上方からの片当たりによって押し下げ操作されて主クラッチ31が切られ、主クラッチペダル32が踏み込み操作された時には、主クラッチレバー35は復帰位置に残されるようになっている。
【0058】また、前記ブレーキアーム36の先端には、前記ベルト伝動装置10における従動側の一方のプーリ22aのベルト巻掛け溝に押圧作用するブレーキ片42が備えられるとともに、主クラッチレバー35とブレーキアーム36とが、圧縮バネ43を外嵌したロッド44を介して弾性融通をもって連動連結されており、主クラッチレバー35を押し下げて主クラッチ31を切り操作するのに伴って、ブレーキアーム36のブレーキ片42がプーリ22aに弾性的に押圧されて、切られた主クラッチ31の下手側伝動系が制動されるようブレーキ41が構成されている。
【0059】なお、運転ステップ30の左前部には、踏み込まれた主クラッチペダル32の掛け金具32bに係合する係止レバー45が、支点c周りに前後揺動可能かつ前方へ復帰付勢されて配備されており、クラッチ切り位置に踏み込まれた主クラッチペダル32を係止レバー45で係止維持することができるとともに、主クラッチレバー35に備えた係止ピン35aを係止レバー45で係止して、主クラッチレバー35をクラッチ切りおよびブレーキ作動位置に保持することもできるようになっている。
【0060】また、走行機体3の前部の左右横側部には、エンジンボンネット50の横側に乗降用通路51を空けた状態で予備苗のせ台52が配備されている。この予備苗のせ台52は、アーチ形に形成された支柱54を機体側の支持台55に立設し、この支柱54に複数段の苗のせ板56を外向き片持ち状に装備して構成されたものであり、予備苗のせ台52全体を支柱54における後部支柱54bを中心にして後方に回動退避させることが可能となっている。
【0061】後部支柱54bは、支持台55に立設固定された後部支軸57に縦軸心d周りに回動自在に外嵌されて、セットボルト58によって抜け止め支持されるとともに、前部支柱54aの下端が、支持台55に立設固定された前部支軸59の上端に突き合わせ対向された状態で連結されている。つまり、前部支柱54aの下端には、機体内側に向けて開放された横断面形状がU形の位置決め金具60が下方に突出して備えられ、この位置決め金具60を前部支軸59に横外側方から嵌合させることで、前部支軸59と前部支柱54aとが同心状に位置決めして上下に突き合わされる。また、位置決め金具60には、支軸61を介して回動可能、かつ、レバー62によって回動操作可能な掛け金具63が装備されており、同心状に位置決めして上下に突き合わた上で、掛け金具61を前部支軸59の背部に係止させることで、前部支柱54aが前部支軸59から横外方に離脱するのを阻止するよう構成されている。また、レバー62を逆に操作して掛け金具63を前部支軸59から外すことで、予備苗のせ台52全体を後部の縦軸軸心d周りに後方に約180°回動させることができ、これによって機体前部の左側箇所、つまり、主クラッチレバー35周りを大きく空けて操作しやすい状態を得ることができるようになっている。
【0062】なお、後部支柱54bの下部には、先に植えた苗列になぞって機体を走行させる場合に使用する苗マーカー64の支持アーム65を支持したブラケット66が突設されるとともに、後部支軸57からはストッパー67が立設されており、上記のように予備苗のせ台全体を後方に約180°回動させると、前記ブラケットが前記ストッパーに接当して、それ以上の後退回動が阻止されるようになっている。
【0063】また、図11に示すように、前部支軸59の横外側面には係止孔68が形成されるとともに、これに外嵌される位置決め金具60の内面には、前記係止孔68に挿入される位置決めピン69が突設されており、前部支柱54aが前部支軸59に突き合わせ連結された状態では、前部支柱54aが前部支軸59に対して上下方向にも外れないようになっている。
【0064】本発明の乗用田植機は以上のように構成されたものであり、作業者が運転座席26に搭乗して運転する通常の作業走行時には、図1ないし図3に示すように、操作アーム15を起立位置に揺動保持するとともに、センターマスコット18を起立させておく。この場合、主クラッチペダル32を踏み込んで主クラッチ31を切り操作しても主クラッチレバー35が残ったままであるので、ブレーキ41は制動作動することはない。
【0065】田植機を圃場への出し入れするため、あるいは、田植機をトラックなどの荷台に積み降ろしす場合など、走行機体3が大きく傾斜して搭乗運転が困難な場合には、走行機体3を微速で自走させながら作業者が地上に降りて操縦することになり、図6に示すように、操作アーム15を倒伏位置まで倒し込んだ姿勢にし、この操作アーム15を左右に押し引きして多少の機体方向修正を行う。この場合、例えば図12に示すように、前上がり傾斜で前進する際、推進反力で走行機体3の前部が浮き気味になることがあるが、このような場合は、操作アーム15を押し下げ操作することで機体前部の浮き上がりを抑制することができる。また、足場が悪くて登り難い場合には、操作アーム15を前方に引いて、登坂を補助することができる。
【0066】また、地上からの操縦中に機体停止を行うには、主クラッチレバー35を押し下げ操作すれば、主クラッチ31が切られるとともに、ブレーキ40が制動作動して機体は直ちに停止する。そして、機体停止状態を維持したい場合には、係止レバー45を用いて主クラッチレバー32を押し下げ操作位置に係止保持させればよい。
【0067】なお、図13に示すように、田植機をトラック荷台70に積み込む際に、主クラッチの切り遅れによって、倒伏位置の操作アーム15をトラックの運転室後枠71にぶつけてしまうようなことがあっても、操作アーム15は前上がりの傾斜姿勢にあり、かつ、上方への揺動が許されているので、後枠71との接当反力で操作アーム15が無理なく上方に揺動後退される。
【0068】〔他の実施形態〕本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
■ 図14に示すように、前記操作アーム15を支持したガードフレーム14に支点a周りに複数の係止孔73を設け、操作アーム15の基部15bに挿抜可能に装着した連結ピン74を前記係止孔73のいずれかに選択挿入することで、操作アーム15を起立位置と前方倒伏位置との間の複数位置で固定できるように構成して実施することもできる。
■ 図15に示すように、前記操作アーム15を、先端部にループ状の横向き握り部15aを備えた棒状のアームで構成し、上記のように横向き支点a周りの揺動によって起立位置と前方倒伏位置との範囲で姿勢変更可能に構成するととともに、縦向き支点e周りに横方向にも向き変更可能に構成し、機体前部の横方向から操作アーム15を操作するように構成するもよい。これによると、トラック荷台上の狭い場所などで機体向きの修正を行う場合に便利となる。
■ 図16に示すように、簡易には、主クラッチペダル32のペダルアーム32aに直接に主クラッチレバー35を連結するとともに、主クラッチペダル32aと前記ブレーキアーム36とを圧縮バネ43とロッド44を介して連係するもよい。ただし、この構造では、主クラッチペダル32の踏み込み操作によってもブレーキ41が制動作動することになる。
■ 運転ステップ30の右側に配備した左右一対のサイドブレーキペダル72によって操作される左右後輪2に対するサイドブレーキ(図示せず)を、主クラッチレバー35によって操作されるブレーキとして利用することもできる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年7月23日(1998.7.23)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−37119(P2000−37119A)
【公開日】 平成12年2月8日(2000.2.8)
【出願番号】 特願平10−207746