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【発明の名称】 作業用走行車
【発明者】 【氏名】矢田 克之

【要約】 【課題】作業部昇降機構に作業部を弾性的に保持する緩衝機構を介設した作業用走行車において、作業走行時には作業部の昇降追随性を確保する一方、非作業走行時には急激な衝撃を吸収して部材の変形や破損を防止する。

【解決手段】走行機体1と植付作業機8との間で伝達される衝撃や振動を緩衝弾機25、26で吸収するにあたり、前記緩衝弾機25、26の弾性保持力を変更する電動シリンダ31を設けると共に、作業走行時には、電動シリンダ31を縮小させて緩衝弾機25、26の弾性保持力を強くする一方、非作業走行時には、電動シリンダ31を伸長させて緩衝弾機25、26の弾性保持力を弱くする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作業部を走行機体に対して昇降させる作業部昇降機構を備えると共に、該作業部昇降機構に、作業部を弾性的に保持する緩衝機構を介設した作業用走行車であって、該作業用走行車に、作業走行時には緩衝機構の弾性保持力を強くする一方、非作業走行時には緩衝機構の弾性保持力を弱くする弾性保持力変更手段を設けたことを特徴とする作業用走行車。
【請求項2】 請求項1において、弾性保持力変更手段は、走行変速操作具の操作に連動して緩衝機構の弾性保持力を自動的に変更することを特徴とする作業用走行車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機等の作業用走行車の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種乗用田植機等の作業用走行車は、作業部を走行機体に対して昇降させる作業部昇降機構を備えるが、該作業部昇降機構には、作業部を弾性的に保持する緩衝機構が介設されている。即ち、走行機体と作業部との間で伝達される衝撃や振動を緩衝機構で吸収することにより、各部の変形や破損を防止する許りでなく、居住性や作業精度を向上させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに従来、前記緩衝機構の弾性保持力(バネ定数等)は、作業走行時における作業部の昇降追従性を優先して比較的強めに設定されているため、路上走行時や機体運搬時の急激な衝撃に対して十分な緩衝作用を発揮することができず、その結果、各部を補強して衝撃による変形や破損を防止する必要があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、作業部を走行機体に対して昇降させる作業部昇降機構を備えると共に、該作業部昇降機構に、作業部を弾性的に保持する緩衝機構を介設した作業用走行車であって、該作業用走行車に、作業走行時には緩衝機構の弾性保持力を強くする一方、非作業走行時には緩衝機構の弾性保持力を弱くする弾性保持力変更手段を設けたことを特徴とするものである。つまり、作業走行時には、緩衝機構の弾性保持力が強くなるため、作業部の昇降追従性能を確保することができ、一方、非作業走行時には、緩衝機構の弾性保持力が弱くなるため、路上走行時や機体運搬時の急激な衝撃を可及的に吸収することができ、その結果、各部を殊更補強することなく、衝撃による変形や破損を防止することが可能になる。また、弾性保持力変更手段は、走行変速操作具の操作に連動して緩衝機構の弾性保持力を自動的に変更することを特徴とするものである。つまり、作業走行と非作業走行との切換時に意識的に操作される走行変速操作具の操作に連動して弾性保持力の変更を行うため、緩衝機構の弾性保持力が作業走行中に変化して作業精度を低下させるような不都合がない許りか、弾性保持力の変更をオペレータが容易に認識することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1は乗用田植機の走行機体であって、該走行機体1は、走行動力、作業動力および油圧ポンプ駆動力を発生するエンジン(図示せず)、該エンジン動力を、主変速機構である無段変速機構(図示せず)を介して入力するトランスミッションケース2、該トランスミッションケース2から出力される走行動力を前輪3に伝動するフロントアクスルケース4、トランスミッションケース2から出力される走行動力を後輪5に伝動するリヤアクスルケース6等で構成されているが、前記トランスミッションケース2には、副変速レバー7の操作に応じて走行動力を段階的に変速する副変速機構(図示せず)が内装されており、通常は、副変速レバー7を「作業」位置にセットして作業走行を行う一方、路上走行時には、副変速レバー7を「走行」位置にセットするようになっている。尚、「N」は「作業」と「走行」との間に確保されるニュートラル領域である。
【0006】8は前記走行機体1の後部に昇降リンク機構9を介して連結される植付作業機であって、該植付作業機8は、走行機体1側から供給される作業動力を入力するドライブケース10、該ドライブケース10から後方に突出する複数のプランタケース11、各プランタケース11に設けられる植付爪12、ドライブケース10の上方に左右スライド自在に設けられる苗載台13、ドライブケース10の下方に上下揺動自在に設けられる複数のフロート14等で構成されている。つまり、植付作業機8は、苗載台13に載置されるマット苗を植付爪12で順次掻取って田面に植付けるが、前記苗載台13の下端側には、マット苗の有無を検出する苗センサ15が設けられており、該苗センサ15の検出信号に基づいて苗切れ報知を行うようになっている。尚、16は所定のタイミングでマット苗を縦送りする縦送りベルト機構である。
【0007】前記昇降リンク機構9は、走行機体1側のリンク取付フレーム17と、植付作業機8側のリンクホルダ18との間に、単一のアッパリンク19および左右一対のロワリンク20からなる平行リンク機構を構成するが、アッパリンク19に一体的に設けられる連結プレート21と走行機体1の底部との間にはリフトシリンダ22が介設されており、該リフトシリンダ22の油圧伸縮作動に基づいて植付作業機8を昇降させるようになっている。
【0008】23は前記リフトシリンダ22のピストンロッド22aに延設される連結ロッドであって、該連結ロッド23には、左右の連結プレート21間に回動自在に架設される連結軸24が摺動自在に外嵌しているが、該連結軸24は、連結ロッド23の外周部に装着される一対の緩衝弾機(圧縮コイルバネ)25、26で弾性的に挟持されるため、走行機体1と植付作業機8との間で伝達される衝撃や振動を緩衝弾機25、26で吸収することができるようになっている。尚、27、28は緩衝弾機25、26の内端部と連結軸24との間にそれぞれ介装されるフランジ付のカラーである。
【0009】29、30は前記緩衝弾機25、26の外端側を係止する一対の係止プレートであって、該係止プレート29、30は、ピストンロッド22aの先端部と、連結ロッド23の先端部とにそれぞれ一体的に設けられるが、連結ロッド23をピストンロッド22aに対して出没自在に構成すると共に、係止プレート29、30間に電動シリンダ31を介設しているため、電動シリンダ31の伸縮作動に基づいて係止プレート29、30の間隔を調節することができるようになっている。つまり、電動シリンダ31を縮小させた場合には、プレート間隔が狭くなるのに伴って緩衝弾機25、26の弾性保持力が強くなる一方、電動シリンダ31を伸長させた場合には、プレート間隔が広くなるのに伴って緩衝弾機25、26の弾性保持力が弱くなるようになっている。
【0010】32はマイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成される制御部であって、該制御部32の入力側には、前述した苗センサ15、副変速レバー7の変速位置を検出する副変速センサ33等が所定の入力インタフェース回路を介して接続される一方、出力側には、前述した電動シリンダ31等が所定の出力インタフェース回路を介して接続されている。即ち、制御部32は、苗センサ15および副変速センサ33の検出信号に応じて電動シリンダ31を自動的に伸縮制御する「リフトダンパ制御」等の制御ルーチンを備えており、以下、本発明の要部である「リフトダンパ制御」の制御手順をフローチャートに基づいて説明する。
【0011】前記「リフトダンパ制御」では、まず、副変速レバー7の操作位置が「作業」であるか否かを判断し、該判断がYESの場合には、電動シリンダ31を所定の縮小位置まで駆動させる一方、NOと判断した場合には、電動シリンダ31を所定の伸長位置まで駆動させるようになっている。つまり、作業走行時には、緩衝弾機25、26の弾性保持力が強くして植付作業機8の昇降追従性能を確保する一方、非作業走行時には、緩衝弾機25、26の弾性保持力を弱くして路上走行時や機体運搬時の急激な衝撃を可及的に吸収するようになっている。
【0012】また、本実施形態では、前記判断がNOであっても、苗載台13上に苗がある場合は、電動シリンダ31を所定の縮小位置まで駆動させるようになっている。つまり、非作業走行時であっても、苗載台13上に苗がある場合は、植付作業機8の上下振動に起因する苗ズレや苗の損傷が生じる可能性があるため、緩衝弾機25、26の弾性保持力を強くして植付作業機8の上下振動を抑制するようになっている。
【0013】34は走行機体1の操作部に設けられるスロットル操作機構であって、該スロットル操作機構34は、上下一対のブラケット35、36で回動自在に支持されるスロットルレバー37、図示しないワイヤを介してエンジン側のガバナレバーに連結されるスロットルアーム38、該スロットルアーム38を回動自在に支持するアーム支軸39、前記スロットルアーム38をスロットルレバー37のプレート部37aに向けて付勢する捻りコイルバネ40等で構成されている。つまり、スロットルレバー37を高速側に回動操作すると、プレート部37aに押されてスロットルアーム38が高速側に回動する一方、スロットルレバー37を低速側に回動操作すると、スロットルアーム38が捻りコイルバネ40の付勢力で低速側に回動するように構成されている。
【0014】41Aは前記スロットルレバー37の操作荷重(位置保持荷重)を発生させる操作荷重発生機構であって、該操作荷重発生機構41Aは、前記スロットルレバー37の下方までコ字状に延設されたプレート部37aの上面側に摺接する上側ブレーキライニング42、該上側ブレーキライニング42の上面側に従動する上側回止めアーム43、プレート部37aの下面側に摺接する下側ブレーキライニング44、該下側ブレーキライニング44の下面側に重合する下側回止めアーム45、該下側回止めアーム45の下面側に重合する皿バネ46およびワッシャ47、上記重合部材をスロットルレバー37と同芯上で貫通するボルト48、該ボルト48の下端部に螺着されるナット49、前記回止めアーム43、45の回止め孔43a、45aを貫通して回止めアーム43、45を回止めする固定ピン50等で構成されている。つまり、前記重合部材を、ボルト48の頭部48aとナット49との間で締め込むことによって操作荷重を発生させるが、スロットルレバー37の回動操作に伴う摺動抵抗は、常にブレーキライニング42、44が発生させるため、皿バネ46と下側ブラケット36との間でも摺動抵抗が発生する従来のものの様に、操作荷重が大きく変動する不都合を解消することができるようになっている。尚、前記回止め孔43a、45aは、ボルト48の芯ズレを許容すべく長孔に形成されている。
【0015】41B、41Cは操作荷重発生機構の他例であって、該操作荷重発生機構41B、41Cのうち、操作荷重発生機構41Bは、扇状に形成されたプレート部37aの先端部とブレーキライニング42、44との間で摺動抵抗を発生させる一方、操作荷重発生機構41は、リンク51を介してプレート部37aに連結されるプレート52とブレーキライニング42、44との間で摺動抵抗を発生させるように構成されるが、何れのものもボルト48の厳密な芯合せが不要になる利点がある。
【0016】叙述の如く構成されたものにおいて、走行機体1と植付作業機8との間で伝達される衝撃や振動を緩衝弾機25、26で吸収すべく構成されるが、前記緩衝弾機25、26の弾性保持力は、作業走行時には強くなる一方、非作業走行時には弱くなる。つまり、作業走行時には、緩衝弾機25、26の弾性保持力を強くすることにより、植付作業機8の昇降追従性能を確保すると共に、植付作業機8の大きな上下振動を防止することができ、一方、非作業走行時には、緩衝弾機25、26の弾性保持力を弱くすることにより、路上走行時や機体運搬時の急激な衝撃を可及的に吸収して衝撃による変形や破損を防止することができる。
【0017】しかも、作業走行と非作業走行との切換時に意識的に操作される副変速レバー7の変速操作に連動して緩衝弾機25、26の弾性保持力を自動的に変更するため、緩衝弾機25、26の弾性保持力が作業走行中に変化して作業精度を低下させるような不都合がない許りか、弾性保持力の変更をオペレータが容易に認識することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年7月24日(1998.7.24)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開2000−37118(P2000−37118A)
【公開日】 平成12年2月8日(2000.2.8)
【出願番号】 特願平10−209306