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【発明の名称】 ペレット種子
【発明者】 【氏名】小餅 昭二

【氏名】森田 秀昭

【要約】 【課題】機械播種適応性が向上したペレット種子を提供する。

【解決手段】植物種子を被覆造粒したペレット種子において、該ペレット種子の表面に雲母を主体とする層を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物種子を被覆造粒したペレット種子において、該ペレット種子の表面に雲母を主体とする層を形成してなることを特徴とするペレット種子。
【請求項2】 雲母を主体とする層が、少なくとも機械播種適応性を向上させる機械播種適応性向上層である請求項1記載のペレット種子。
【請求項3】 雲母をペレット種子表面に固着せしめて雲母を主体とする層を形成する請求項1または2記載のペレット種子。
【請求項4】 雲母をペレット種子に対して1〜40重量%固着させる請求項1〜3の何れかに記載のペレット種子。
【請求項5】 雲母のペレット種子への固着が、水溶性バインダーにより行われる請求項3または4記載のペレット種子。
【請求項6】 雲母をペレット種子に固着させる工程が植物種子を被覆造粒する造粒装置により行われる請求項3〜5の何れかに記載のペレット種子。
【請求項7】 雲母をペレット種子に固着させる工程が植物種子の被覆造粒工程に引き続いて行われる請求項6記載のペレット種子。
【請求項8】 被覆造粒に使用する粉体材料が無機粉体である請求項1〜7の何れかに記載のペレット種子。
【請求項9】 無機粉体とともに水溶性バインダーを使用して被覆造粒する請求項8記載のペレット種子。
【請求項10】 無機粉体による被覆造粒と雲母の固着を同一の水溶性バインダーにより行う請求項9記載のペレット種子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペレット種子に関し、より詳しくは、機械播種適応性が向上したペレット種子に関する。
【0002】
【従来の技術】ペレット種子は、種々の粒径、形状、重量からなる天然の裸植物種子( 元種子)を核とし、これを包蔵させるように無機粉体等の被覆造粒材料により、均一な球形等の一定の形状・重量に造粒したものである。これにより、元種子に比較して高い機械播種性が賦与され、播種機による一粒まきが容易となり、播種量の低減、発芽後の間引き労力の軽減が図れるため、農業の省力化・生産性向上に寄与するところ大であり、最近その利用が急激に増えつつある。
【0003】このように、裸種子を加工してペレット種子とすることにより、上記したように一般的には機械播種性が大幅に向上し、通常は十分満足すべき結果が得られている。しかしながら、本発明者らの見出したとことろによれば、ペレット種子であっても播種機械の種類によっては、播種精度がそれ程向上せず、機械播種の特性を十分に奏することが出来ない場合があることを知見するに到った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、何れの型の播種機械によっても、機械播種が良好に行えるペレット種子を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、以下の発明が提供される。
【0006】(1) 植物種子を被覆造粒したペレット種子において、該ペレット種子の表面に雲母を主体とする層を形成してなることを特徴とするペレット種子。
【0007】(2) 雲母を主体とする層が、少なくとも機械播種適応性を向上させる機械播種適応性向上層である (1) 記載のペレット種子。
【0008】(3) 雲母をペレット種子表面に固着せしめて雲母を主体とする層を形成する (1) または (2) 記載のペレット種子。
【0009】(4) 雲母をペレット種子に対して1〜40重量%固着させる (1) 〜 (3) の何れかに記載のペレット種子。
【0010】(5) 雲母のペレット種子への固着が、水溶性バインダーにより行われる (3)または (4) 記載のペレット種子。
【0011】(6) 雲母をペレット種子に固着させる工程が植物種子を被覆造粒する造粒装置により行われる (3) 〜 (5) の何れかに記載のペレット種子。
【0012】(7) 雲母をペレット種子に固着させる工程が植物種子の被覆造粒工程に引き続いて行われる (6) 記載のペレット種子。
【0013】(8) 被覆造粒に使用する粉体材料が無機粉体である (1) 〜 (7) の何れかに記載のペレット種子。
【0014】(9) 無機粉体とともに水溶性バインダーを使用して被覆造粒する (8) 記載のペレット種子。
【0015】(10) 無機粉体による被覆造粒と雲母の固着を同一の水溶性バインダーにより行う (9) 記載のペレット種子。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】本発明は、植物種子を被覆造粒したペレット種子において、該ペレット種子の表面に雲母を主体とする層を形成してなることを特徴としている。
【0018】図1はこれを模式的に示したものであって、10は植物種子、20は種子を被覆造粒する造粒材料の層であり、これがペレット種子30を形成している。また40はこの基体であるペレット種子の表面に形成された雲母を主体とする層である。
【0019】図2は、植物種子10がやや偏平の形状を有する場合であるが、これを被覆造粒20することにより、やはり略球形のペレット種子30となり、同様に表面に雲母を主体とする層40が形成されている状態を示す。
【0020】まず、簡単に基体であるペレット種子について説明する。
【0021】ペレット種子を形成する元種子( 裸種子 )としては、種々の粒径、形状、重量を有する天然の種子が使用され、特に限定するものではないが、例えば、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ハクサイ、ノザワナ、カブ、コカブ、ダイコン、キユウリ、レタス、セルリー、タマネギ、ネギ、ニンジン、ゴボウ、ホウレンソウ、トマト、ナス、ピーマン、パセリ、チンゲンサイ、コマツナ、ミズナ、シュンギク等の野菜種子;トルコキキョウ,コスモス、ルピナス、シクラメン、オジギソウ、ブルーレースフラワー、ハボタン、アスター、スターチス、カーネーション、ホウセンカ、ガザニア、デルフィニウム、ストック、ヒャクニチソウ、パンジー、ケイトウ、カスミソウ、ニチニチソウ、キンギョソウ、ペチュニア、カンパニュラ、ポピー、インバチエンス、アゲラタム、プリムラ、マツバボタン、コリウス、ベゴニア、エキザカム、グロキシニア、カルセオラリア、シネラリア等の花卉種子が例示として挙げられる。
【0022】また、このような元種子を被覆造粒するために使用される造粒材料( 粉体材料)としては、特に限定するものではないが、無機粉体が好ましく、例えば、珪曹土、カオリン、イライト、クロライト、ハロサイト、セリサイト、バーミキュライト、ゼオライト、ミクロサイト、モンモリロナイト、長石、ベントナイト、クレー、シリカ、タルク、アルミナ、砂、ピート、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、赤土、木炭、雲母等が挙げられる。これら粉体材料の粒径は特に限定されないが、通常、平均粒径が50μm以下、より好ましくは20μm以下、0.001μm以上のものが好適に使用される。
【0023】被覆造粒は、パン型造粒機のような適当な造粒機中に種子と粉体材料を仕込み、造粒機を回動させて、種子と粉体材料を共に転動させることにより行われる。すなわち、種子を核として、その周囲に造粒材料たる粉体が付着し、これが転動運動中に、互いに衝突・摩擦しながら成長し、ほぼ球体である被覆造粒層を形成しペレット種子となる。なお、その際、水溶性高分子の水溶液をバインダー( 結着材 )として噴霧しながら造粒を行うことにより、造粒がより的確かつスムースに行われる。この造粒のためのバインダーとしては、後記する雲母の固着のためのバインダーとして例示したものを使用することができる。また、本発明に云う被覆造粒とは、被覆造粒層が薄く、所謂フィルムコーティングと称するものも包含する広い概念である。
【0024】かくして形成されるペレット種子の形状は限定されるものではないが、取扱い性や、機械的播種性の点で、粒径0.5〜15mm、好ましくは、1〜6mm、より好ましくは2〜5mm程度の球状または略球状のものが最も望ましい。なお、ここに云う略球状とは、ラクビーボールのごとき形状のものをも包含する意味である。
【0025】本発明においては、このようなペレット種子を基体とし、この表面に雲母を主体とする層を形成するもので、より好ましくは、雲母自体をペレット種子表面に固着するものである。固着は、水溶性高分子の水溶液( 以下水溶性バインダーとも云う。) により、雲母を固着することにより行われることが好ましい。
【0026】本発明で使用する雲母は、K,Na,Mg,Fe2+,Fe3+,Li,Al,O,Si,OH,Fなどからなるフィロ珪酸塩に属するアルカリ金属等含有アルミノ珪酸塩であって、容易に劈開する性質を有し、粉砕等することにより、薄板状、葉片状、鱗片状、フレーク状などの俗に雲母状と称する形態の微粒子となるものである。本発明で好ましく使用されるものは、かかる形態の雲母である。また、その粒径は特に限定するものではないが、通常1μm〜2mm、好ましくは10μm〜1mm、さらに好ましくは10μm〜1000μm程度であり、対象とするペレット種子の粒径に応じて選択される。なお、雲母粒子は通常不規則な薄板状等の形態であり、粒子径は例えば顕微鏡的観察により測定することが好ましい。
【0027】このような形態の雲母であればその種類を特に限定するものではないが、天然ウンモとしては、シロウンモ、ベニウンモ、ソーダウンモ、セリサイト、バナジンウンモ、イライト等のシロウンモ系列に属するものや、クロウンモ、キンウンモ、テツウンモ、チンワルドウンモ、リンウンモ等のクロウンモ系列に属するもののいずれであっても好適に使用することができる。
【0028】また、天然ウンモのOHをFで置換した合成ウンモ、例えば、フッソキンウンモ、テニオライト、フッソヨンケイソウンモ等を使用することも可能である。
【0029】雲母の使用量は、臨界的なものではなく、適宜変更可能であるが、通常、乾燥後のペレット種子に対して、1〜40重量%、好ましくは1〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。
【0030】雲母をペレット種子表面に固着するには、上記したように、好ましくは、水溶性バインダーを結着材として使用することが望ましい。かかる水溶性バインダーに使用する水溶性高分子としては、植害のない水溶性高分子であれば特に限定するものではなく、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリビニルアセテート、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース( MC )、カルボキシメチルセルロース( CMC )、ヒドロキシキトサン、ヒドロキシメチルキトサン、ヒドロキシエチルキトサン、ヒドロキシプロピルキトサン、プルラン、澱粉、ゼラチン、アラビアゴムおよび無水マレイン酸からなる群より選択される少なくとも一種類である。
【0031】これらの水溶性バインダーは通常1〜60重量%、好ましくは、5〜50重量%の濃度の水溶液として、または、0.1〜50cps程度の粘度範囲に調整して使用する。水溶性バインダーの使用量は、高分子固体基準で、乾燥後のペレット種子の0.01〜20重量%、好ましくは、0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.2〜5重量%程度である。
【0032】種子を被覆造粒するのに適した造粒装置としては、種々の形式のものが適用できるが、所謂転動造粒装置が最も好ましい。例えば、水平あるいは傾斜した回転さら( 回転パン )を備えた回転さら型( 回転パン型 )造粒機、回転ドラム型造粒機などのほか、攪拌翼を使用する攪拌型造粒機、底部が多孔板で形成されている直立円筒内に種子を入れ、該多孔板の下部から空気等の気体を送入して流動させる噴流層型造粒機や流動層型造粒機等も使用可能である。
【0033】ここで、回転さら型( 回転パン型 )造粒機を使用する場合は、回転さらや回転ドラム中で元種子となる植物種子およびシリカ、タルク、セリサイト、珪曹土、カオリン等の造粒材料である無機粉体を転動させながら、水溶性バインダーを、さらやドラムの適当な位置に配設されたスプレーノズルから噴霧し、無機粉体を結着して被覆造粒操作を行い、植物種子を被覆造粒したペレット種子を得る。
【0034】被覆造粒操作が終了したあとのペレット種子の乾燥は、別の乾燥機に移送して行うこともできるが、回転さら型造粒機等の中に加熱空気流等の熱風を送入することにより、造粒機中で乾燥を行うことも可能である。
【0035】以上のようにして得られたペレット種子の表面に雲母を主体とする層を形成するには、すでに述べたように、好ましくは雲母を水溶性バインダーにより、ペレット種子表面に固着させる。この場合、一旦ペレット種子を乾燥してから、適当なコーティング装置にこのペレット種子と雲母を仕込み、この両者を転動させながら、水溶性バインダーをスプレーすることにより、雲母がペレット種子表面を覆うように固着される。なお、雲母をペレット種子表面に固着させるためのコーティング装置としては、種子の被覆造粒に使用したものと同じタイプの回転さら型( 回転パン型 )造粒機や回転ドラム型造粒機若しくは噴流層型造粒機や流動層型造粒機をコーティング装置( コーター )として使用することができる。
【0036】なお、場合によっては、回転さら型( 回転パン型 )造粒機等の中で、植物種子および無機粉体を転動させながら、水溶性バインダーを噴霧して被覆造粒操作を行い、まず種子を被覆造粒したペレット種子を得、引き続きペレット表面が水溶性バインダーにより湿潤状態にある内に、さらに雲母を追加装入し、ペレット種子表面に雲母を固着させることも好ましい態様である。なお、必要に応じ、水溶性バインダーの噴霧をさらに継続しながら雲母の固着操作を行ってもよい。
【0037】なお、雲母をペレット種子表面に固着させる場合は、ペレット種子と雲母の両者を始めから回転さら型等のコーター中に仕込む代わりに、ペレット種子のみを仕込んでおき、回転さら内部に、水溶性バインダーを噴霧するスプレーノズルとともに、雲母を供給する雲母供給用のフィーダーやシューターを設けてもよい。かくして、スプレーノズルからは水溶性バインダーを、フィーダー等からは雲母を供給しながら、基体であるペレット種子を回動させることにより、該ペレット種子表面に雲母をよく固着させることができる。また、このような操作を行う場合でも、水溶性バインダーを先にスプレーしてペレット種子の表面に該水溶性バインダーの被膜を形成し、ひき続いて雲母の供給を行って、先に形成された水溶性バインダーの湿った被膜に雲母を接触させ、ペレット種子表面に雲母をよく固着させてもよい。
【0038】以上のごとくして、表面に雲母を固着させたペレット種子は、その後、熱風乾燥機等の乾燥機中で強制乾燥するか、または、放置することにより自然乾燥して、水分を除去する。
【0039】かくして、植物種子を被覆造粒したペレット種子において、該ペレット種子の表面に雲母を主体とする層が形成されたペレット種子が得られる。ここで雲母を主体とする層とは、雲母のみが実質的にペレット種子表面を層状に覆っているもの、雲母を主成分としてそれにタルク等の無機粉体や水溶性バインダーが一部混入した層となっているもの、雲母が連続的な被膜を形成せず、離散的にその表面を覆っているもの等のいずれの態様であってもよい。要するに、後記する機械播種適応性若しくはその硬度を向上せしめるものであればよいのである。
【0040】また、層としては、薄板状雲母一枚から形成される単層のものであっても、薄板状雲母粒子が複数重なって多層を形成していてもよい。
【0041】基体ペレット種子としては、雲母層を形成する前に、ふるい分け手段等により粒径を揃えておくことは、より機械播種に適した粒径の揃った製品を得るために好ましい。また、同様に、実際の製品である雲母層形成ペレット種子についてふるい分け操作を行うことも好ましい。
【0042】
【作用】本発明における表面に雲母を主体とする層を形成したペレット種子は、見かけ上表面は光沢を有し滑らかであり、雲母層を形成する前のペレット種子に比較して、少なくてもその機械播種適応性が顕著に向上している。すなわち、この意味で、雲母を主体とする層は、ペレット種子の、機械播種適応性向上層としての機能を奏するものである。
【0043】本発明が適用できる播種機としては種々のものがありうるが、特に、次の型のものが好ましい。
【0044】すなわち、 (1) ロールに丸穴や溝を設け、ロールを回転させて種子を収容した上部ホッパから種子を一定量ずつ繰り出すロール式播種機、 (2) 円板の外周部に丸穴や切り欠きを設け、穴や切り欠きに入った種子を円板の回転により上部ホッパから繰り出す回転目皿式、 (3) 丸穴を設けたベルトを回転させ、上部ホッパから穴に種子を落下させて繰り出すベルト式等である。
【0045】表面に雲母を主体とする層を形成することにより、機械播種適応性が向上する理由は正確には解明されていないが、おそらく、薄板状、葉片状、鱗片状などの形態の雲母微粒子が、その水溶性バインダーによる固着過程において、ペレット種子表面に、恰も壁面のタイルのように、並んだ状態か、またはこれを覆うように貼りついた状態にあるためと推定される。
【0046】もともと各ペレット種子の表面は、ミクロな状態で観察すれば、比較的粗な無機粉体粒子が至る所にむき出しになっている、けっして滑らかな状態にあるものではない。しかして、弾性を持ち、滑りやすく、また劈開し易い雲母の薄板状・薄片状等の粒子が、あたかも壁面に形成されるタイルのごとく、そのごつごつした地肌表面を覆い、平滑な面状態を形成することにより、各ペレット種子の表面摩擦が減少し、ずっとすべり易くなると考えられる。この状態は、後記実施例においても記載されているように、SEM観察により確認されている。
【0047】かくして、このような雲母層を形成したペレット種子を上記のような播種機のホッパに収容した場合、ペレット種子同志の摩擦やペレット種子とホッパ出口壁面等の摩擦が大幅に減少する結果、播種機のロール丸穴等に速やかに排出されると考えられるのである。
【0048】以上のごとく、表面に雲母を主体とする層を形成したペレット種子は、少なくともその機械播種適応性が顕著に向上すると云う効果を奏しているが、雲母層を形成することにより、ペレット種子の硬度が増加するので、輸送中や機械播種時における割れ・崩壊・破砕を効果的に防止すると云う大きな効果をも奏することができるのである。
【0049】すなわち、ペレット種子断面のSEM観察によれば、基体であるペレット種子の無機粉体層( 造粒材料層 )が、空隙を有する比較的疎い層であるのに対して、該ペレット種子表面に形成されている雲母層は、ほとんど空隙が存在しないより緻密な層であることが確認されており、これがペレット種子の硬度を増加せしめるのに寄与しているものと考えられる。
【0050】なお、本発明の雲母層形成ペレット種子は、以下実施例において示されているように、その発芽性能において、基体ペレット種子と何ら変わらないことが特筆される。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。ただし、これらは単なる実施の態様の一例であり、本発明の技術的範囲が、これらによってなんら制限的に解釈されるものではない。
【0052】(1)基体ペレット種子の調製装置として回転さら型造粒機を使用した。ハクサイの種子種6,730gと、造粒材料( 無機粉体 )として珪曹土85重量%およびタルク15%からなる混合粉体13,850gを造粒機に仕込み、種子および混合粉体を転動させながら、水溶性バインダーとして、カルボキシメチルセルロース( CMC )の10重量%水溶液を10,000g噴霧し、ハクサイの種子を珪曹土およびタルクで被覆造粒し、平均粒子径3.5mmのハクサイのペレット種子を得た。
【0053】(2)表面に雲母層を形成したペレット種子の調製この装置を使用して、ひき続いてペレット種子の表面に雲母層を形成する処理を行った。
【0054】すなわち、このペレット種子表面が水溶性バインダーにより湿潤状態にある状態において、該ペレット種子に対し、乾燥ペレット種子の5重量%の雲母( 粒径10〜100μm程度 )を投入して同様に転動させながら、ペレット種子表面に雲母を固着させた。なお、この際、カルボキシメチルセルロース( CMC )の10重量%水溶液を2,500g追加噴霧し、雲母がより強くペレット種子表面に固着されるようにした。固着終了後、40℃で3時間乾燥した。かくして、表面に雲母層を形成したハクサイのペレット種子を得た。
【0055】このペレット種子をSEMにて観察したところ、薄板状の雲母が種子表面を覆い、平滑な面状態を形成していることが観察された。これに対し、雲母層を形成する前のペレット種子表面は、主として珪曹土の粒子と思われるごつごつの微細粒子が表面にむき出しになっていた。
【0056】また、このペレット種子を切断して断面を観察したところ、雲母の薄板が層状に重なって、厚み数十μm程度の緻密な雲母層が形成されていることが観察された。
【0057】(3) 雲母量と加工適性試験添加雲母重量をそれぞれ3、10、20、30、40重量%( 乾燥ペレット種子重量基準 )と変更したほかは、 (2) と同様にして雲母層を形成したペレット種子を調製した。それぞれについて、乾燥後の残存水分含量および硬度を測定した。なお、硬度は木屋式硬度計でそれぞれ20粒子を測定しその平均を示した。結果を雲母層を形成しないペレット種子( 基体ペレット種子 )を対照とし、 (2) の雲母添加量5重量%のものと共に表1にまとめて示した。
【0058】
【表1】

雲母添加量が変化した場合でも、雲母層の形成について、その加工適性上、格別の差異は認められなかった。表1より明らかなごとく、雲母量が多くなるにつれて、雲母層形成ペレット種子の硬度は増加するので、輸送中や機械播種における割れ・崩壊・破砕を防止することができる。すなわち、輸送や機械播種に支障のない程度にまで雲母添加量を増加させ硬度を十分高くすることが可能である。また、雲母量が多くなっても、残存水分含量の差異はほとんど認められない。これは、雲母添加量にほとんど左右されることなく、種子の長期保存に適した水分状態になるように乾燥条件を制御することが容易であることを意味する。
【0059】(4) 雲母層形成ペレット種子の発芽試験(3) で形成した、雲母層形成ペレット種子について、発芽試験を行った。試験はリーベンベルヒ氏試験法に従い、発芽勢および発芽率を測定した。結果を表2に示した。雲母添加量の異なる各ペレット種子は、雲母添加量3重量%から40重量%まで、ほとんど対照ペレット種子と発芽性能において差異は認められなかった。すなわち、雲母添加量を多くし、雲母層が厚くなっても発芽性能に顕著な差は生じないと考えられる。
【0060】
【表2】

【0061】(5) ペレット種子の機械播種試験基体ペレット種子と雲母層形成ペレット種子の両者について、機械播種試験を行った。播種機としては、予備試験の結果、最も機械播種性能に差異が生じやすいことがわかっているロール式播種機を使用した。
【0062】試験用の機種としては圃場用の機種であるテンパルおよび多木式を使用した。テンパル式は播種間隔を9cmに、多木式は、18cmに設定し、雲母添加量3重量%のペレット種子について、実際に圃場で機械播種試験を3回繰り返して行った。テンパルの場合は、播種間隔3cm〜45cmの範囲において、また、多木式の場合は、3cm〜105cmの範囲において、それぞれ各間隔で落下したペレット種子の数を測定し、全体に対する頻度すなわち落下率として表示し、これを平均した結果を図3( テンパル )および図4( 多木式 )に示した。
【0063】基体ペレット種子( 対照品 )と比較して、雲母層形成ペレット種子は、設定した播種間隔およびその近傍において集中して播種が行われており、播種精度が大きく向上していることが明らかである。
【0064】これに対し、対照品である基体ペレット種子の落下頻度はずっとブロードであり、機械播種の特性が十分奏されていないことがわかる。同様の試験を5重量%、10重量%、20重量%、40重量%の雲母層形成ペレット種子についても行ったが、ほぼこれと同様の結果を得た。
【0065】
【発明の効果】以上、実施例から明らかなように、本発明の、雲母層形成ペレット種子は、雲母層を形成していない基体ペレット種子に比較して、機械播種性が大幅に向上している。
【0066】また雲母層を形成することにより、ペレット種子の硬度は増加するので、輸送中や機械播種時における割れ・崩壊・破砕を効果的に防止することができる。
【0067】なお、本発明の雲母層形成ペレット種子は、その発芽性能において、基体ペレット種子と何ら変わらないことが特筆される。
【0068】すなわち、本発明の雲母形成ペレット種子を使用することにより、機械播種の効果を最大限に享受することができ、労力の大幅な低減になるため、農業の生産合理化に極めて偉大な貢献をなしうるものであると言わざる得ない。
【出願人】 【識別番号】592109765
【氏名又は名称】三井東圧肥料株式会社
【出願日】 平成10年7月23日(1998.7.23)
【代理人】 【識別番号】100085947
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 信夫
【公開番号】 特開2000−37109(P2000−37109A)
【公開日】 平成12年2月8日(2000.2.8)
【出願番号】 特願平10−222471