トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 苗移植機
【発明者】 【氏名】佐伯 正文

【氏名】井関 秀夫

【氏名】加藤 哲

【要約】 【課題】植付部の伝動機構の簡略化。

【解決手段】苗を一株づつ収容するポットを縦横に多数配列した苗トレイを搬送する苗トレイ搬送路を左右並列に複数列設けるとともに、該苗トレイ搬送路を搬送中の苗トレイから苗を取り出す苗取出装置と、該苗取出装置によって取り出された苗を圃場に植付ける苗植付装置とを各苗トレイ搬送路に対応させてそれぞれ設けた苗移植機において、前記各苗取出装置に伝動する左右方向の第一伝動軸65と、前記各苗植付装置に伝動する左右方向の第二伝動軸133とを設け、駆動源からの動力を前記第一伝動軸65もしくは第二伝動軸133に伝達するとともに、当該伝動軸の左右端部から他方の伝動軸の左右端部へ動力を伝達するように伝動系統を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗を一株づつ収容するポットを縦横に多数配列した苗トレイを搬送する苗トレイ搬送路を左右並列に複数列設けるとともに、該苗トレイ搬送路を搬送中の苗トレイから苗を取り出す苗取出装置と、該苗取出装置によって取り出された苗を圃場に植付ける苗植付装置とを各苗トレイ搬送路に対応させて設けた苗移植機において、前記各苗取出装置に伝動する左右方向の第一伝動軸と、前記各苗植付装置に伝動する左右方向の第二伝動軸とを設け、駆動源からの動力を前記第一伝動軸もしくは第二伝動軸に伝達するとともに、当該伝動軸の左右端部から他方の伝動軸の左右端部へ動力を伝達するように伝動系統を構成したことを特徴とする苗移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、苗を一株づつ収容するポットを縦横に多数配列した苗トレイの各ポットから苗を取り出して圃場に植付ける複数条植の苗移植機における植付部の伝動構成に関する。
【0002】
【従来の技術】上記ポット苗用の苗移植機として、植付条数に応じて左右並列に設けられた側面視略U字状の苗トレイ搬送路に沿って苗トレイを搬送し、その搬送中の苗トレイから苗トレイ搬送路のU字の内側部分に設けた苗取出装置によって苗を後方に押し出して取り出し、その取り出された苗を苗トレイ搬送路の下側後方に設けた苗植付装置によって圃場に植付けるように構成したものがある。この種の苗移植機における植付部の伝動系統は、従来、駆動源からの動力を苗トレイ搬送路の下側に配した左右方向の伝動軸に伝達し、該伝動軸から各苗取出装置及び各苗植付装置へ分岐して伝動するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の苗移植機は、伝動軸から苗取出装置への伝動手段が隣接する苗トレイ搬送路と苗トレイ搬送路の間の狭い空間部に設けられていたので、その伝動手段のメンテナンスがしにくく、しかも苗取出装置の作動タイミングを調節する場合、各苗取出装置への伝動手段ごとに調節をしなけらばならず面倒であった。また、実際には、苗トレイ搬送路のU字の内側部分には苗取出装置に付随する他の装置も設けられており、伝動軸からこれらの装置への伝動手段も苗トレイ搬送路と苗トレイ搬送路の間の空間部に設けられている。このため、伝動軸から苗取出装置及びこれに付随する装置へ条ごとに伝動する構成とすると、部品点数が多く、構造が複雑であった。本発明は、これらの問題点を解決することを課題とし、そのために次のように構成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は次のような構成とした。すなわち、本発明にかかる苗移植機は、苗を一株づつ収容するポットを縦横に多数配列した苗トレイを搬送する苗トレイ搬送路を左右並列に複数列設けるとともに、該苗トレイ搬送路を搬送中の苗トレイから苗を取り出す苗取出装置と、該苗取出装置によって取り出された苗を圃場に植付ける苗植付装置とを各苗トレイ搬送路に対応させて設けた苗移植機において、前記各苗取出装置に伝動する左右方向の第一伝動軸と、前記各苗植付装置に伝動する左右方向の第二伝動軸とを設け、駆動源からの動力を前記第一伝動軸もしくは第二伝動軸に伝達するとともに、当該伝動軸の左右端部から他方の伝動軸の左右端部へ動力を伝達するように伝動系統を構成したことを特徴としている。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、図面に表された好ましい実施の形態について説明する。この苗移植機1は、乗用走行車体2の後側にリンク装置3を介して6条植えの植付部4が昇降可能に装着され、また、走行車体2の後部には、側条施肥装置5の肥料ホッパ5aと、各条ごとに肥料を繰り出す肥料繰出装置5b,…が配設されている。この苗移植機1は水田で水稲の苗を植付けるものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、畑地において野菜の苗を植付ける苗移植機にも適用できる。
【0006】走行車体2は、駆動回転する左右一対の操向可能な前輪6,6と駆動回転する左右一対の後輪7,7を備え、フレーム8上の前側にミッションケース9、その後側にエンジンEが搭載され、エンジンEの回転動力はベルト伝動装置10によりミッションケース9の上部に取り付けた油圧ポンプに一旦伝動され、そこから、無段変速操作可能なベルト伝動装置11によりミッションケース9内に伝動される。そして、ミッションケース9内のトランスミッションで変速された動力が、前輪6,6及び後輪7,7に伝動されるとともに、伝動軸9a、中間ギヤケース9b、伝動軸9cを介して植付部4に伝動される。なお、図中の12は前輪6,6を操向操作するためのハンドル、13は操縦者が座る座席、14は操縦者が走行車体上を移動するためのステップフロア、15は予備の苗を載せておく予備苗載台、16は次行程における走行車体2の進路を圃場面に線引きする線引きマーカである。
【0007】リンク装置3は、走行車体2のフレーム8の後端部に固着のリンクベース20に上リンク21,21及び下リンク22,22が回動自在に取り付けられ、これら上下リンクの後端部に連結枠23が連結されている。そして、その連結枠23の下端部に、植付部4側に回転自在に支持されたローリング軸24の前端部が挿入連結される。これにより、植付部4は進行方向に対してローリングに装着される。また、リンク装置3を駆動するための油圧シリンダ26が、基部側をフレーム8に取り付けて設けられていて、そのピストンロッド側が上リンク21,21の基部から下向きに一体的に固着されたアーム27の先端部にスプリングを介して連結されている。この油圧シリンダ26が伸縮作動すると、上下のリンク21,21,22,22がリンクベース20側の支軸回りに回動し、植付部4が昇降動するようになっている。
【0008】植付部4は6条植えの構成で、後下がりに傾斜した上下2段の苗載台30,30,…が左右並列に3組設けられ、これら各組の苗載台の後端部に苗トレイ搬送路31,…が接続されている。各苗トレイ搬送路31は、苗載台30,30から1個づつ供給される苗トレイを前半は下向きに搬送し、途中で搬送方向を徐々に変え、後半は上向きに搬送する側面視略U字状に形成されている。苗トレイとしては、縦横に多数配列した育苗ポットに苗が一株づつ収容された可撓性を有する苗トレイが使用される。
【0009】そして、前記各苗トレイ搬送路31に対応させて、苗トレイを苗トレイ搬送路31に沿って搬送させる苗トレイ送り装置32と、苗トレイ搬送路31の苗取出位置Pで搬送中の苗トレイからポット横一列分づつ苗を取り出す苗取出装置33と、取り出された苗を下側前方に弧を描くような軌跡で搬送する苗搬送装置34と、該苗搬送装置から苗を抜き出す苗抜き装置35と、抜き出された横1列分の苗を半分づつ左右両側に横送りする苗横送り装置36,36と、該苗横送り装置36,36によって搬送されてくる苗を取って圃場に植え付ける苗植付装置37,37とが設けられている。つまり、苗トレイ搬送路31、苗トレイ送り装置32、苗取出装置33、苗搬送装置34、及び苗抜き装置35は、2条づつで1組となっている。また、苗トレイ搬送路31の出口には、苗取出位置Pで苗を取り出された後の空の苗トレイを複数個上下に重ねた状態で収容することのできる空箱収容枠38が設けられている。
【0010】これら各装置を支持する植付部フレームは、苗トレイ搬送路31,…の下側に左右水平に設けたメインフレーム40、苗トレイ搬送路31,…のU字の内側に配置された苗トレイ送り・苗取出駆動ケース41,…、隣接する苗トレイ送り・苗取出駆動ケース同士を連結する連結フレーム42,42、メインフレーム40の左右端部と左右両端の苗トレイ送り・苗取出駆動ケース41,41の外面部を連結する上下伝動フレーム43,43、メインフレーム40と連結フレーム42,42を連結する上下フレーム44,44、メインフレーム40から後方に等間隔で突出する4個の植付伝動フレーム45,…、苗トレイ送り・苗取出駆動ケース41,…の上面に基部が固着された苗載台支持フレーム46,…等で構成されている。
【0011】この植付部フレームは、左右方向に設けた下部のメインフレーム40と、左右方向に配列した苗トレイ送り・苗取出駆動ケース41,…を連結フレーム42,42で連結してなる上部のフレームとを上下伝動フレーム43,43及び上下フレーム44,44で連結した背面視はしご状の構成としているので、剛性が高い。さらに、上下伝動フレーム43,43及び上下フレーム44,44の上端部と植付伝動フレーム45,…の後端部とを斜めの補強フレーム47,…で連結して、植付部フレームの強度向上を図っている。このため、各装置を無理なく取り付けられるとともに、比較的重量が大きい苗載台30,30,…、苗トレイ搬送路31,…を安定して支持できる。
【0012】また、後述する如く、各装置を支持する植付部フレームの内部に各装置への伝動機構が設けることにより、部品点数を減少させられるとともに、外観がすっきりしたものとなっている。さらに、寸法の大きい後記カム66,81を収容するケース41を苗トレイ搬送路31のU字の内側に配置したので、全体がコンパクトに構成されている。
【0013】メインフレーム40の前面部には平面視コ字状の植付部支持ブラケット48が固着され、これに取り付けたパイプ48aと連結フレーム42,42のフランジ部とが植付部支持したプレート49,49を介して連結されている。そして、植付部支持ブラケット47の前端中央部に設けた軸受ケース50に前記ローリング軸24が回転自在に挿入され、植付部4をローリング自在に支持している。
【0014】植付部4の下部にはセンターフロート52と左右一対のサイドフロート53,53が設けられており、植付作業時は、これらフロートが圃場面を整地しながら滑走する。これら各フロート52,53,53には、各条の苗植付位置の近傍の圃場面に施肥用の溝を形成する作溝器54,…が取り付けられ、その後側に平面視断面が後方開口のU字状の施肥ガイド5c,…が取り付けられ、そこに肥料繰出装置5b,…から繰り出される肥料を移送する施肥ホース5d,…が各条ごとに連結されている。
【0015】センターフロート52は圃場面の凹凸を検出するセンサでもあり、植付作業時にはセンターフロート52の前端部の上下動が上下動検出機構55に検出され、その検出結果に応じて前記油圧シリンダの制御バルブを切り替えて植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。また、各フロート52,53,53は左右方向の植付深さ調節軸57と一体回動するフロート支持アーム58,…に取り付けられており、植付深さ調節軸57を回動させてフロートの取付高さを変更することにより、苗の植付深さを調節する。
【0016】次に、植付部4の各部の構成について説明する。苗トレイ送り装置32は、各左右一対の送り爪60,60及び係止爪61,61を備えている。送り爪60,60は、苗トレイ搬送路31に沿って上下に往復動し、下動するときには苗トレイの左右端縁部にポットのピッチと同ピッチで穿設された苗トレイ送り用の角孔に係合し、上動するときは角孔との係合が外れて次の角孔まで乗り越すように作動する。係止爪61,61は、送り爪60,60の動作と連動し、送り爪60,60が下動するときには角孔から外れ、送り爪60,60が上動するときには角孔に係合して苗トレイを支えるように作動する。これら送り爪60,60及び係止爪61,61の作動により、苗トレイ搬送路31に沿って苗トレイがポットの配列ピッチ分づつ間欠的に送られる。この苗トレイ送り装置32の送り作動は、後記苗取出装置33の苗押出しピン72,…が苗トレイのポット内に挿入されていない時に行われる。また、送り爪60,60及び係止爪61,61の上側には、係止爪61,61が先行する苗トレイの角孔から抜け出るのに連動して苗トレイ搬送路に突出し、苗トレイ搬送路31を滑り落ちてくる後続の苗トレイを一旦受け止める遮断爪63,63が設けられている。
【0017】苗トレイ送り装置32の作動機構は、図9及び図10に示すように、苗トレイ送り・苗取出駆動ケース41の上部を左右に貫通する苗トレイ送り・苗取出カム軸65に苗トレイ送りカム66を設け、このカムのガイド溝66aに嵌り込んだローラ67を回転自在に支承する苗トレイ送り作動アーム68を苗トレイ送り・苗取出駆動ケース41の下部に設けた苗トレイ送り駆動軸69にこれと一体回動するように取り付け、さらに該苗トレイ送り駆動軸のケース外に突出する左右端部に苗トレイ送り駆動アーム70,70を一体に取り付け、その苗トレイ送り駆動アームの先端部に送り爪60,60を連結している。苗トレイ送りカム66の回転により、苗トレイ送り作動アーム68が揺動し、その苗トレイ送り作動アーム68の揺動が苗トレイ送り駆動軸69を介して苗トレイ送り駆動アーム70,70に伝えられ、送り爪60,60を上下に往復動させる。送り爪60,60が角孔から次の角孔へ確実に乗り越えられるように、送り爪の作動速度を下向きに作動するときよりも上向きに作動するときの方が遅くしてある。苗トレイ送り駆動軸69の中央部を伝えられる回動力で左右両側の送り爪60,60を駆動するようにしているので、苗トレイ送り駆動軸69のねじれによる左右送り爪60,60の作動量の差が生じず、苗トレイを正確に送ることができる。
【0018】苗取出装置33は、苗トレイの横方向のポットに対し同数同ピッチで並んだ苗押出しピン72,…が、前後方向に摺動自在に支持されたスライド軸73,73と一体に作動するように設けられている。図9及び図11に示すように、スライド軸73にはラック73aが形成されており、そのラックに扇形のピニオンギヤ74が噛み合っている。また、ピニオンギヤ74が取り付けられているギヤ軸75には、別の扇形ギヤ76が取り付けられている。この扇形ギヤ76は、支持軸78に回動自在に支持された苗取出作動アーム79のギヤ部79aと噛み合っている。苗取出作動アーム79のギヤ部79aと反対側の端部にはローラ80が回転自在に支承されており、そのローラ80が、前記苗トレイ送り・苗取出カム軸65に設けられている苗取出カム81のガイド溝81aに嵌り込んでいる。苗取出カム81の回転によりスライド軸73,73が前後にスライドし、該スライド軸が後方にスライドするときに、苗押出しピン72,…が、苗取出位置Pにある苗トレイの横一列分のポットに対し、ポットの底部に形成された切れ目からポット内に挿入され、苗を後方に押し出す。
【0019】苗搬送装置34は、苗押出しピン72,…に対応して前後に連通する背面視凹状の苗ホールド部が形成された苗ホルダー83を備えている。苗ホルダー83は、上下2本づつの揺動リンク84,85,84,85に連結された支持部材86,86に左右両端が固定されており、上記揺動リンクの揺動により円弧状軌跡を描いて往復移動するようになっている。苗搬送装置の駆動機構は、図8及び図12に示すように、前記苗トレイ送り・苗取出カム軸65の回転を、アーム88、伸縮ロッド89、及びアーム90を介して、上下伝動フレーム43,43に固定した苗搬送伝動ケース91の入力軸92に反復回動運動として伝達し、さらに該入力軸から一対の伝動ギヤ93,94を介して、下側の揺動リンク85の基部が一体に取り付けられている苗搬送駆動軸95に反復回動運動を伝達するように構成されている。
【0020】苗搬送駆動軸95の反復回動により、揺動リンク84,85,84,85が上下に揺動し、苗ホルダー83が円弧軌跡に沿って往復移動する。苗ホルダー83が軌跡の上端に位置するときに苗取出装置33により苗トレイから押し出された横一列分の苗を苗ホールド部が受け取り、苗ホルダーが移動してその受け取った苗を前側下方に搬送する。揺動リンク84,85が上動し、苗ホルダー83が軌跡上端に至ると、下側の揺動リンク85がストッパ96に当たって止まる。アーム88はなおも回転して揺動リンク85を上動させようとするが、このアーム88の回転は伸縮ロッド89に介装されているスプリング89aに吸収され、揺動リンク85はストッパ96によって停止されたままとなる。この間は、苗ホルダー83が軌跡上端に停止しているので、苗取出装置33による苗トレイから苗ホルダー83への苗の受け渡しが確実に行われる。
【0021】なお、苗搬送駆動軸95は左右の苗搬送伝動ケース91,91間に架け渡して設けられており、これに揺動リンク84,85が全部で計4組取り付けられている。そして、図7に図示する如く、左右外側の揺動リンクに連結されている支持部材86(O)とその内側の揺動リンクに連結されている支持部材86(I)とで左右の組の苗ホルダーを支持し、内側2組の揺動リンクに連結されている支持部材86(I),86(I)で中央の組の苗ホルダーを支持している。よって、隣接する苗ホルダー同士が支持部材86(I),86(I)を介して連結された構造で、各ユニットの苗ホルダー83,…は一体に作動する。
【0022】苗抜き装置35は、苗ホルダー83の前記苗ホールド部を前後に通り抜け可能な櫛状の苗叩き100が上下回動するように設けられており、苗ホルダー83が移動軌跡下端に移動してきたとき、苗ホルダー83の各苗ホールド部に保持されている苗を苗叩き100が受け止め苗ホルダー83のみを通過させて苗を抜き出すとともに、苗叩き100が下向きに回動し、抜き出された苗を後記苗横送り装置36,36の苗送りベルト113,113上に叩き落とされる。
【0023】苗叩き100,…は、図13及び図13に示すように、回動自在に設けた左右方向の苗叩き取付軸101に一体的に取り付けられている。苗叩き取付軸101の左右端部に固定した回動アーム102にはローラ103が取り付けられ、該ローラが苗叩きカム軸104に取り付けた苗叩きカム105のカム面に接当するように、スプリング106にて回動アーム102を付勢している。苗叩きカム105が回転すると、該カムの凹部にローラ103が嵌り込むときスプリング106の張力により苗叩き100が素早く下向きに回動し、すぐに元の位置に復帰するように作動する。苗叩きカム105は苗トレイ搬送路31と上下伝動フレーム44の間に設けられているため、苗トレイ搬送路31を搬送中の苗トレイから落ちる泥や地面から跳ね上げられて側方から飛んでくる泥が苗叩きカム105に付着しにくく、作動の精度と耐久性の点で好ましい。
【0024】苗横送り装置36は、メインフレーム40から後方に突出する苗横送り駆動軸110に取り付けた駆動ローラ111と従動ローラ112とに苗送りベルト113を巻き掛けて構成したものであり、苗送りベルト113の上面が苗トレイ搬送路の左右中央から外側に移動するように、一つ苗トレイ搬送路つき2組づつ左右対称に設けられている。苗抜き装置35により抜き落とされた横一列分の苗N,…は、2組の苗横送り装置の各苗送りベルト113,113の上に整列状態で落下し、これを受けた苗送りベルト113,113が左右半分づつの苗をそれぞれ左右両側に搬送する。苗送りベルト113で搬送された苗Nは、適当な隙間を開けて設けられている一対の植付ガイド114,114の間に落とし込まれる。
【0025】苗植付装置37は、植付伝動フレーム45の後端部に設けられた植付駆動軸120と一体回転する回転ケース121に一対の苗植込具122,122が取り付けられ、苗植込具122,122が閉ループの先端軌跡を描いて移動する。各苗植込具122は、植付ガイド114,114の間に落とし込まれた苗を交互に一株づつ取り、それを植付ガイド114,114の間を移動させて圃場に植付ける。
【0026】図7は植付部の伝動機構図である。走行車体2からの回転動力は、左右中心よりもやや右側の位置に設けた入力軸130から植付部4に入力される。入力軸130は、ベベルギヤ131,132を介して、メインフレーム40の内部に回転自在に支持された第二伝動軸である主伝動軸133と伝動連結している。この主伝動軸133から、これと直交して設けた各苗横送り駆動軸110へベベルギヤ135,136を介して伝動される。各組の一対の苗横送り駆動軸110,110は互いに逆向きに回転するようになっている。また、植付伝動フレーム45内には、主伝動軸133に取り付けたスプロケット137aと植付駆動軸120に取り付けたスプロケット137bに掛けた伝動チェーン137が設けられ、該チェーンにより主伝動軸133から植付駆動軸120へ伝動する。
【0027】さらに、主伝動軸133はその左右端近傍で、ベベルギヤ140,141を介して、左右の上下伝動フレーム43内に設けた上下伝動軸142(LまたはR)の下端部とそれぞれ伝動連結している。上下伝動軸142の上端部は、ベベルギヤ143,144を介して、苗トレイ送り・苗取出カム軸65の左端部または右端部と伝動連結している。苗トレイ送りカム66と苗取出カム81は苗トレイ送り・苗取出カム軸65に回転自在に嵌合する共通の筒体145に一体に形成され、該筒体と苗トレイ送り・苗取出カム軸65を外部操作する定位置停止クラッチ146によって伝動入・切可能に連結している。これにより、2条づつの単位で苗トレイ送り装置32と苗取出装置33の駆動を停止させることができる。また、上下伝動軸142の中間部から、ベベルギヤ147,148によって前記苗叩きカム軸104に伝動される。
【0028】苗トレイ送り・苗取出カム軸65は、左の苗トレイ送り・苗取出駆動ケース41を貫通して設けられている軸65Lと、中央及び右の苗トレイ送り・苗取出駆動ケース41,41を貫通して設けられている軸65Rとからなり、両軸65L,65Rは互いに伝動的に切り離された状態になっている。よって、左の組の苗トレイ送り装置32及び苗取出装置33は入力軸130→主伝動軸133→左の上下伝動軸142L→左の苗トレイ送り・苗取出カム軸65Lの経路で伝動され、中央及び右の組の苗トレイ送り装置32及び苗取出装置33は入力軸130→主伝動軸133→右の上下伝動軸142R→右の苗トレイ送り・苗取出カム軸65Rの経路で伝動される。このように、苗トレイ送り装置32、苗取出装置33等のユニットを奇数組だけ植付部の左右両側から伝動する場合において、主伝動軸133における入力軸130から上下伝動軸142までの距離が短い方でユニット数の多い側を駆動することで、主伝動軸133のねじれを少なくし、各ユニットの位相差を極力少なくすることができる。
【0029】上記のように、苗トレイ送り装置32、苗取出装置33、苗搬送装置34、及び苗抜き装置35へは、植付部の左右両側に設けた上下伝動軸142L(142R)で伝動されるが、最外側の植付伝動フレーム45の前端外面に着脱自在に取り付けられているカバー45aと、メインフレーム40の背面に着脱自在に取り付けられているカバー40aとを外すことにより、スプロケット137a、カラー150、ベベルギヤ140を主伝動軸133から抜き取ってベベルギヤ140の位相を変更することができ、植付部フレームを分解することなく上記各装置の位相調節を容易に行える。
【0030】苗トレイ送り・苗取出カム軸65(L及びR)は、苗トレイ送り・苗取出駆動ケース41内に設けられる部分65aと上下伝動フレーム44内に設けられる部分65bと連結フレーム42内に設けられる部分65cとをそれぞれカップリング65dで伝動連結してあり、Cリング151を外してカップリング65dを軸方向にスライドさせることにより、各部分を分離することができる。そして、各組の苗トレイ送り・苗取出カム軸65aの周方向の連結角度を変更することにより、各組の苗トレイ送り装置32及び苗取出装置33の位相を変えられる。苗トレイ送りカム66と苗取出カム81は一体に形成されているので、苗トレイ送り装置32と苗取出装置33の位相に狂いが生じず、苗押出しピン72,…が苗トレイのポット内に挿入されている時に送り爪60が苗送り作動して苗トレイを破損するといった事故が完全に防止される。
【0031】また、苗トレイ送り・苗取出駆動ケース41の前面部に着脱自在に取り付けられている蓋41aを外し、分離した軸部分65aをそこからケース外に取り出せるので、カム66,81や定位置停止クラッチ146のメンテンスが容易である。連結フレーム42は前側が開放した断面U字状をしているので、分離した軸部分65cも容易に取り出せる。なお、左右の苗トレイ送り・苗取出カム軸65L,65Rの対向端部はカップリングで連結されているが、このカップリングは両軸65L,65Rに対しそれぞれ回転自在である。
【0032】前記定位置停止クラッチ146は、キー146aを介して苗トレイ送り・苗取出カム軸65と一体回転するように設けた第一クラッチ体146bと、キー146cを介して筒体146と一体回転するように設けた第二クラッチ体146dとが爪で噛み合うようになっており、常態ではスプリング146eの張力によって両クラッチ体の爪が噛み合ってクラッチ入になり、クラッチピン146fを第二クラッチ体146dに押し付けると両クラッチ体の爪が外れクラッチ切になる。メンテナンス等の場合には、キー146aの軸方向の移動を規制する固定ボルト146gを緩めると、カム66,81とクラッチ146を苗トレイ送り・苗取出カム軸65aから抜いて外すことができる。
【0033】苗叩き取付軸101は、苗叩き100が取り付けられている主軸部153と接続用の筒軸部154を交互に接続してなり、左右両端部で上下伝動フレーム44に固定のピン155に回転自在に支持されている。主軸部153と筒軸部154とは主軸部の端部を筒軸部の端部に挿入して互いに接続され、片方の接続箇所については、筒軸部154の外周部からねじ込んだ回り止めボルト152の先端を主軸部の切欠面153aに係合させて両者を一体回転するように接続し、他方の連結箇所については、両者のフランジ部を固定ボルト155,157とナット158,158で接合して両者を一体回転するように接続している。固定ボルト157が挿通される穴は軸心と中心とする円弧状になっており、固定ボルト157の挿通位置を調節して主軸部153の位相の角度を変えることにより、苗叩き100の取付高さを変更することができる。
【0034】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明にかかる苗移植機は、駆動源からの動力を複数の苗取出装置と苗植付装置に伝動するにあたり、上記いずれかの装置に伝動してから、植付部の左右端部に配した伝動経路で他方の装置に伝動する構成とすることにより、伝動系統の部品点数を少なくして構成を簡略にできるとともに、植付部の左右中間部に条ごとに伝動機構を設けなくてよいので、メンテナンスが容易となり、しかも条間を狭くすることが可能となった。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成10年7月17日(1998.7.17)
【代理人】 【識別番号】100083611
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 弘志
【公開番号】 特開2000−32810(P2000−32810A)
【公開日】 平成12年2月2日(2000.2.2)
【出願番号】 特願平10−219790