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【発明の名称】 整列播種機における胚位置判別方法
【発明者】 【氏名】笹谷 定夫

【氏名】小林 研

【要約】 【課題】ウリ科植物のように縦横の長さ比が比較的大きい種子を、種子の方向及び胚位置が一定になるように揃えて播種する整列播種機における精度の高い胚位置判別方法を得る。

【解決手段】種子の方向及び胚位置を一定に揃えて播種する整列播種機であって、■.長軸方向に揃えられて搬送される種子をスキャニングし、その幅を測定する種子幅測定手段により得られた種子幅測定波形の全長に対して、波形の先端、後端それぞれから一定割合離れた位置までの測定データの合計値を比較することにより種子の胚位置を判別する。■.長軸方向に揃えられて搬送される種子の全長に対して、種子の先端、後端それぞれから一定距離離れた位置までの面積を測定し、得られた面積測定データを比較することにより種子の胚位置を判別する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 種子の方向及び胚位置を一定に揃えて播種する整列播種機において、長軸方向に揃えられて搬送される種子をスキャニングし、その幅を測定する種子幅測定手段により得られた種子幅測定波形の全長に対して、波形の先端、後端それぞれから一定割合離れた位置までの測定データの合計値を比較することにより種子の胚位置を判別するようにしたことを特徴とする整列播種機における胚位置判別方法。
【請求項2】 種子の方向及び胚位置を一定に揃えて播種する整列播種機において、長軸方向に揃えられて搬送される種子の全長に対して、種子の先端、後端それぞれから一定距離離れた位置までの面積を測定し、得られた面積測定データを比較することにより種子の胚位置を判別するようにしたことを特徴とする整列播種機における胚位置判別方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウリ科植物のように縦横の長さ比が比較的大きい種子を、種子の方向及び胚位置が一定になるように揃えて播種する整列播種機における胚位置判別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本願出願人及び発明者は、整列播種機として、特開平10−28418号において、種子を一粒ずつ搬送する搬送手段と、種子方向を長軸方向に揃えるために種子幅よりも若干広い間隔を有して搬送経路上に設けられた種子方向規制ガイドと、前記搬送手段により一粒ずつ搬送された種子の幅を測定する種子幅測定手段と、この種子幅測定手段により得られた測定データと種子搬送速度から種子長を計算し、作物あるいは品種に応じて予め設定された条件により胚側を判別する判別手段と、胚側を判別された種子の胚方向を揃えて所定位置に播種する播種手段と、を備えたものを提案している。
【0003】上記整列播種機の種子幅測定手段においては、得られた種子幅測定波形の全長に対して、波形の先端、後端それぞれから一定割合離れた位置1カ所のみの種子幅を比較していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際の装置で試験を行った結果、この方法では、前後端の種子幅の差が小さい種子では、ノイズ等の影響により種子幅が誤って測定され、胚位置が誤判別されることがあった。一方、基礎試験の段階では、上記特開平10−28418号中に記載されているように、種子両端から10〜20%の部位で比較すれば99%の判別精度が得られることが確認された。
【0005】そこで本発明は、その判別精度をより高めるために、上記の範囲を含むような広い範囲で、一点ではなく多点での比較、あるいは線ではなく面での比較を行い、ノイズ等の影響により種子幅が誤って測定されることがなく、胚位置が誤判別されることがないようにして、上記先行技術の問題点を解決することを目的になされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、A.種子の方向及び胚位置を一定に揃えて播種する整列播種機において、長軸方向に揃えられて搬送される種子をスキャニングし、その幅を測定する種子幅測定手段により得られた種子幅測定波形の全長に対して、波形の先端、後端それぞれから一定割合離れた位置までの測定データの合計値を比較することにより種子の胚位置を判別するようにしたことを特徴としている。
【0007】B.種子の方向及び胚位置を一定に揃えて播種する整列播種機において、長軸方向に揃えられて搬送される種子の全長に対して、種子の先端、後端それぞれから一定距離離れた位置までの面積を測定し、得られた面積測定データを比較することにより種子の胚位置を判別するようにしたことを特徴としている。
【0008】
【作用】上記の手段によって本発明の整列播種機における胚位置判別方法は、次のような作用をする。
【0009】■.長軸方向に揃えられて搬送される種子をスキャニングし、その幅を測定する種子幅測定手段により得られた種子幅測定波形の全長に対して、波形の先端、後端それぞれから一定割合離れた位置までの測定データの合計値を比較することにより種子の胚位置を判別することで、種子の前後端の差がより明確に表れるようになり、さらに、ノイズ等の影響による異常値の影響を低減させることができるため、判別精度が向上する。
【0010】■.長軸方向に揃えられて搬送される種子の全長に対して、種子の先端、後端それぞれから一定距離離れた位置までの面積を測定し、得られた面積測定データを比較することにより種子の胚位置を判別することで、両種子端の画像を取り込むためのカメラ等の撮像装置は使用するが、画像の面積測定という簡単な内容であるため、既存の安価な画像計測装置が利用でき、種子の向きを精度よく検出し、胚の方向を正確に判別する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付の図面に基づいて具体的に説明する。
【0012】図1に示す第1実施例において、符号1で示す整列播種機は、種子Aを一粒ずつ繰り出す種子フィーダ2から繰り出された種子Aを、第1のベルトコンベアからなる搬送手段3により一粒状ずつ搬送する。この搬送手段3の搬送経路上に、その長さ方向に沿って左右一対の種子方向規制ガイド4が立設されている。この種子方向規制ガイド4は、搬送手段3により一粒状ずつ搬送される種子Aの方向を長軸方向に揃えるために、左右の間隔が次第に狭くなり、終端部は種子Aの幅よりも若干広い間隔を有している。また、種子方向規制ガイド4の始端部には、種子検出用のセンサ5が設けられている。
【0013】上記搬送手段の第1のベルトコンベア3の搬送終端に連続して、第2のベルトコンベア6が設けられ、この第2のベルトコンベア6の始端部に上記種子方向規制ガイド4の終端部が延びており、該種子方向規制ガイド4の終端部の直後に種子検出用のセンサ7が設けられている。この種子検出用のセンサ7の後方の第2のベルトコンベア6上に、種子方向修正機構8、種子幅測定手段9、種子選別機構10、播種手段12等が順に設けられている。
【0014】上記種子方向修正機構8は、種子検出用のセンサ7が種子Aを検出したとき、種子Aの両側から一対の種子方向修正用板体を接近させ、種子方向規制ガイド4により長さ方向に姿勢制御されてきた種子Aを、さらに確実に姿勢制御するよう修正するものである。
【0015】種子幅測定手段9は、第2のベルトコンベア6により一粒ずつ搬送された種子Aにレーザ光線を当て、スキャニングして種子幅を測定するものである。そして、この種子幅測定手段9により得られたデータと種子搬送速度(第2のベルトコンベア6の移動速度)から種子長を計算する。その後、図2に示すように、得られた種子幅測定波形の全長Lに対して、波形の先端、終端それぞれから一定割合離れた位置Sまでの測定データの合計値を比較することにより種子の胚位置を判別する。
【0016】種子選別機構10は、種子幅測定手段9と播種手段12との間に設けられ、種子幅測定手段10から得られた種子幅及び種子長と、作物あるいは品種に応じて予め設定されたそれぞれの寸法を比較し、設定寸法に満たないもの、あるいは設定寸法を超えるものを不良種子として判別し、不良種子を例えば風圧により第2のベルトコンベア6の一側に排出して不良種子収容箱11に収容する。
【0017】播種手段12は、種子幅測定手段9により胚側を判別され、種子選別機構10を通過した種子Aを吸引し、上下移動、水平方向の回転、前後及び左右方向の移動が自在の播種機構13により種子Aの胚の方向を揃えて育苗箱14の所定位置に播種する。
【0018】上記種子フィーダ2、搬送手段3(第1のベルトコンベア)、種子検出用のセンサ5,7、第2のベルトコンベア6、種子方向修正機構8、種子幅測定手段9、種子選別機構10、播種手段12等は判別手段(マイコン)15に連繋され、入出力されるようになっている。判別手段15には、種子検出用のセンサ5,7及び種子幅測定手段9から入力され、判別されて種子フィーダ2、搬送手段(第1のベルトコンベア)3及び第2のベルトコンベア6、種子方向修正機構8、種子選別機構10、播種手段12に出力される。
【0019】本発明による種子の胚位置を判別する他の手段として、図3に示す第2実施例のように構成してもよい。即ち、長軸方向に揃えられて搬送される種子Aに対して左右対向位置に種子検出用センサとしての光電センサ16,16を設置し、この光電センサ16,16間の上方に位置して、第1実施例の種子幅測定手段9に代えて画像センサ17のカメラ19を配設し、画像センサ17の画像処理ウィンドウ18に種子Aの画像を一定範囲で取り込む。そして、図4及び図5にも示すように、種子Aの画像を一定範囲で取り込んだ範囲内に光電センサ16,16の光軸16aを中心線として、左右の領域面積が等しくなるように画像処理用ウィンドウ18を設定する。このウィンドウ18のサイズは、光電センサ16,16のON時とOFF時に、それぞれの種子A端から一定距離離れた位置までの種子A画像がウィンドウ18内に入るように設定している。
【0020】そして、この第2実施例においては、図6に示すように、種子Aの全長に対して、種子の先端、後端それぞれから一定距離離れた位置までの面積を測定し、得られた面積測定データ1及び2を判別手段15において比較することにより、種子の胚位置を判別するようにしている。図6に示されているように、面積データ1<面積データ2で、面積データ1側が胚側Aa、面積データ2側が子葉側Abと判定される。
【0021】次に、上記のように構成された整列播種機1の動作について説明する。
【0022】整列播種機1は、判別手段(マイコン)15の入出力により作動する。種子フィーダ2が作動して種子Aが一粒ずつ繰り出され、作動している搬送手段の第1のベルトコンベア3上に排出されて搬送される。この搬送される種子Aが種子検出用のセンサ5により検出されたときは種子フィーダ2の作動を停止し、一定時間経過後に種子フィーダ2を作動させる。種子検出用のセンサ5が種子を検出しないときは、種子フィーダ2を作動させる。種子フィーダ2の作動を停止してから一定時間経過しないうちは、種子フィーダ2は作動を停止したままである。
【0023】第1のベルトコンベア3により一定間隔で一粒ずつ搬送される種子Aは、種子方向規制ガイド4,4間を通る際に長軸方向に揃えられ、作動している第2のベルトコンベア6上に運ばれる。この運ばれた種子Aは種子検出用のセンサ7により検出され、第2のベルトコンベア6の作動を停止させる。種子検出用のセンサ7が種子Aを検出しないときは第2のベルトコンベア6は作動し続ける。第2のベルトコンベア6の作動が停止すると、種子方向修正機構8が作動して、種子Aの長軸姿勢を、さらに高精度に制御する。
【0024】種子方向修正機構8の作動が終了すると、第2のベルトコンベア6が作動して種子Aを搬送し、第1実施例(図1)においては種子幅測定手段9が作動し、種子Aにレーザ光線を当て、スキャニングして種子幅を測定し、得られた測定データと種子搬送速度(第2のベルトコンベア6の移動速度)から種子長を判別手段15において計算する。そして、得られた種子幅測定波形の全長Lに対して、波形の先端、終端それぞれから一定割合離れた位置Sまでの測定データの合計値を比較することにより種子の胚位置を判別する(図2参照)。
【0025】第2実施例(図3)においては、長軸方向に揃えられて搬送される種子Aに対して、光電センサ16,16のONでカメラ19が1回目の種子画像を画像センサ17に取り込み、画像処理ウィンドウ17内の種子画像は図4のようになる。そして、ウィンドウ17内の種子面積を測定して面積データ1を得る。光電センサ16,16のOFFでカメラ19が2回目の種子画像を取り込み、ウィンドウ17内の種子画像は図5のようになる。そして、ウィンドウ17内の種子面積を測定して面積データ2を得る。この得られた面積測定データ1、2を、判別手段15で比較して図6のように種子の胚位置を判別し、小さい方を胚側(Aa)と判定する。これら種子Aの胚方向判別の演算に要する時間は1粒当り0.1秒以下である。
【0026】種子幅測定手段9または画像センサ17からのデータにより、種子Aが適正な種子であると判別されたときは、種子Aは、作動していない種子選別機構10の前側を通過して播種手段12の播種機構13により吸引され、種子Aの胚の方向が合っている場合はそのまま、胚の方向が合っていない場合には水平方向に任意の角度(この実施例では180度)回転されて胚の方向を修正してから、育苗箱14の所定位置に移動して播種される。種子Aが不良種子と判別されたときは、種子選別機構10が作動して不良種子収容箱11に除去される。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明の整列播種機における胚位置判別方法によれば、以下の効果を奏する。
【0028】■.長軸方向に揃えられて搬送される種子をスキャニングし、その幅を測定する種子幅測定手段により得られた種子幅測定波形の全長に対して、波形の先端、後端それぞれから一定割合離れた位置までの測定データの合計値を比較することにより種子の胚位置を判別するので、種子の前後端の差がより明確に表れるようになり、さらに、ノイズ等の影響による異常値の影響を低減させることができるため、判別精度が向上する。そして、低コストに、高速で、かつ高精度に種子方向を判別し、種子の胚方向を揃えて所定位置に播種することができる。
【0029】■.長軸方向に揃えられて搬送される種子の全長に対して、種子の先端、後端それぞれから一定距離離れた位置までの面積を測定し、得られた面積測定データを比較することにより種子の胚位置を判別するので、両種子端の画像を取り込むためのカメラ等の撮像装置を必要とするが、画像の面積測定という簡単な内容であるため、既存の安価な画像計測装置を利用することができ、種子の向きを精度よく検出し、胚の方向を正確に判別して高精度の播種を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000195568
【氏名又は名称】生物系特定産業技術研究推進機構
【出願日】 平成10年7月8日(1998.7.8)
【代理人】 【識別番号】100063565
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳
【公開番号】 特開2000−23508(P2000−23508A)
【公開日】 平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願番号】 特願平10−192864