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【発明の名称】 移植機の苗縦送り装置
【発明者】 【氏名】矢田 克之

【氏名】高見 幸徳

【氏名】渡里 圭介

【要約】 【課題】苗載せ台におけるマット苗をスムーズに搬送できるようにする。

【解決手段】乗用田植機は、前後に傾斜配置された苗載せ台21を有し、この苗載せ台21の下部に開口部24が形成され、この開口部24に、マット苗36を上下に搬送する縦送りベルト29が配設されている。この縦送りベルト29の内側下面は、ベルト受部を兼ねる苗載せ面21aによって摺動自在に支持されていて、このベルト受部の搬送始端側には傾斜ガイド21bが形成されている。この傾斜ガイド21bは、マット苗36の搬送始端側が苗載せ面21aよりも下方に没入し、かつ搬送始端側から搬送中途部に向けて延びる傾斜面を有している。この縦送りベルト29は、搬送始端側では苗載せ面21aからの出現量が小さく、搬送中途部に至るにつれて出現量が大きくなり、搬送される苗36が縦送りベルト29に乗り上げる際の抵抗が小さくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前後に傾斜配置された苗載せ台に開口部を形成し、該開口部に、苗を上方から下方に向けて搬送する縦送りベルトを配設した移植機において、前記縦送りベルトの内側下面を、前記苗載せ台の苗載せ面に沿って配置されたベルト受部にて摺動自在に支持すると共に、該ベルト受部に、苗の搬送始端側が前記苗載せ面よりも下方に没入しかつ該搬送始端側から搬送中途部に向けて傾斜する傾斜ガイドを形成した、ことを特徴とする移植機の苗縦送り装置。
【請求項2】 前記傾斜ガイドの左右両側部に夫々立上げ壁を形成し、該立上げ壁にて前記縦送りベルトの幅方向の横ズレを防止するようにした、ことを特徴とする請求項1記載の移植機の苗縦送り装置。
【請求項3】 前記ベルト受部を、前記苗載せ面と略々同一高さに形成した、ことを特徴とする請求項1記載の移植機の苗縦送り装置。
【請求項4】 前記縦送りベルトの幅方向の略々中央部を、幅方向の両端部よりも高く形成した、ことを特徴とする請求項1記載の移植機の苗縦送り装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移植機の苗縦送り装置に係り、詳しくは苗載せ台に載置された移植用の苗を縦送りベルトにより上方から下方に向けて搬送する移植機の苗縦送り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】移植機としての田植機の苗送り装置として、例えば図7に示すように、苗載せ台21に形成した開口部24に、駆動ローラ30と従動ローラ31を配設し、これら各ローラ30,31間に、表面に係止突起28が形成された縦送りベルト29を巻回し、この縦送りベルト29によりマット苗36を上方から下方に向けて搬送するようにしたものが公知である。この従来例の場合、前記縦送りベルト29の高さ位置を苗載せ台21の苗載せ面21aよりも若干上方に突出させて、マット苗36を強制的に搬送可能としていた(以下、第一の従来例という)。
【0003】また、他の従来例として、図8(a)〜(c)に示すように、苗載せ台21の苗載せ面21aの左右方向を複数の仕切り板23で複数区分に仕切ると共に、該苗載せ面21aよりも下方にガイド部121bを形成し、該ガイド部121bにて縦送りベルト29を内側下面から支持して、前記縦送りベルト29の高さを苗載せ台21の苗載せ面21aと略々同じ高さにしたものがあった(以下、第二の従来例という)。
【0004】更に、他の従来例として実開昭60−144815号公報に示すものが知られており、これによれば、図9に示すように、苗載せ台21に載置したマット苗36を、表面に係止突起28を有する縦送りベルト29で下方の苗取出し部27に向けて供給すると共に、苗載せ台21の苗載置面21aからの係止突起28の突出量が上方ほど小さくなるように、縦送りベルト29の上方側を苗載置面21aに対して傾斜させていた。これにより、マット苗36が上下方向に移動する際、苗載せ台21の苗載置面21aから縦送りベルト29への乗り上げがスムーズに行われる(以下、第三の従来例という)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した第一の従来例にあっては、上方から滑落移動してきたマット苗36が、縦送りベルト29に乗り上げる際の抵抗が大きく、このためマット苗36をスムーズに搬送することが困難であった。
【0006】また、第二の従来例にあっては、苗載せ台21の苗載せ面21aの下方にガイド部121bを形成しているため、形状が複雑となり成形加工が困難であった。また、苗載せ面21aとガイド部121bの段部121cと、縦送りベルト29の左右側面部との間に摺動抵抗が発生し、搬送渋りを生じるおそれがあった。更にこの従来例では、図10(a)〜(c)に示すように、縦送りベルト29の板厚を等しくしていたため、苗送り装置をセットした状態で、縦送りベルト29の幅方向の中央部が下方にくぼんだ形状となり、苗送り不良が生じるおそれがあった。
【0007】更にまた、第三の従来例のように、縦送りベルト29の上端側を単に苗載せ台21の苗載せ面21aの下方に設けたものでは、縦送りベルト29にたるみが生じて苗送りがスムーズに行われないというおそれがあった。
【0008】本発明は斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、簡単に製造可能でかつスムーズに苗を搬送することのできる移植機の苗縦送り装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、前後に傾斜配置された苗載せ台(21)に開口部(24)を形成し、該開口部(24)に、苗を上方から下方に向けて搬送する縦送りベルト(29)を配設した移植機において、前記縦送りベルト(29)の内側下面を、前記苗載せ台(21)の苗載せ面(21a)に沿って配置されたベルト受部(21a’)にて摺動自在に支持すると共に、該ベルト受部(21a’)に、苗の搬送始端側が前記苗載せ面(21a)よりも下方に没入しかつ該搬送始端側から搬送中途部に向けて傾斜する傾斜ガイド(21b)を形成した、ことを特徴とする。
【0010】請求項2記載の発明は、前記傾斜ガイド(21b)の左右両側部に夫々立上げ壁(21c,21c)を形成し、該立上げ壁(21c)にて前記縦送りベルト(29)の幅方向の横ズレを防止するようにした、ことを特徴とする。
【0011】請求項3記載の発明は、前記ベルト受部(21a’)を、前記苗載せ面(21a)と略々同一高さに形成した、ことを特徴とする。
【0012】請求項4記載の発明は、前記縦送りベルト(29)の幅方向の略々中央部を、幅方向の両端部よりも高く形成した、ことを特徴とする。
【0013】[作用]前記発明特定事項により、本発明が適用される移植機は、前後に傾斜配置された苗載せ台(21)を有し、この苗載せ台(21)の適所に開口部(24)が形成され、この開口部(24)に、苗(36)を上方から下方に向けて搬送する縦送りベルト(29)が配設されている。前記縦送りベルト(29)の内側下面は、前記苗載せ台(21)の苗載せ面(21a)に沿って配置されたベルト受部(21a’)により摺動自在に支持されていて、更にこのベルト受部(21a’)における苗の搬送始端側には傾斜ガイド(21b)が形成されている。この傾斜ガイド(21b)は、苗(36)の搬送始端側が前記苗載せ面(21a)よりも下方に没入していて、かつ搬送始端側から延びて搬送中途部において該苗載せ面(21a)に接続される傾斜面を有している。これにより、縦送りベルト(29)は、搬送始端側では苗載せ面(21a)から上方への出現量が小さく、搬送中途部に至るにつれて出現量が次第に大きくなっていくため、搬送される苗(36)が縦送りベルト(29)に乗り上げる際の抵抗が小さくなる。
【0014】なお、上述カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであって、本発明の発明特定事項を何ら限定するものではない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0016】図1及び図2は、本発明を乗用田植機に適用した状態を示し、植付部40は、走行機体の後部にリンク機構11を介して昇降自在に支持されている。この植付部40は、図2の角フレーム12によって連結されたプランタケース13と、その後部のロータリケース14等を含む植付伝動部と、該ロータリケース14に取り付けられたプランタアーム15、前後に傾斜配置された苗載せ台21、フロート22等により構成されている。そして、植付部40に伝達された動力は、前記プランタアーム15の駆動系と苗載せ台21を横送りする横送り駆動系、及び苗縦送り駆動系の3系統に分割されて伝達される。なお、図1の符号18は植付け深さ調節レバーである。
【0017】前記苗載せ台21は、スクリューシャフト17を含む横送り駆動系によりエプロン16に対し左右に往復駆動可能に配置されていると共に、図3に示すように、該苗載せ台21の上下方向の中途部ないし下部には開口部24が形成されていて、この開口部24に上方から下方に向けてマット苗36を搬送する苗縦送り装置41が配設されている。この苗縦送り装置41は、開口部24の上下位置に夫々配置されたローラ軸33,34に取り付けられた駆動ローラ30及び従動ローラ31と、該駆動ローラ30及び従動ローラ31間に巻回された縦送りベルト29を有していて、この縦送りベルト29の表面には、係止突起28が形成されている。
【0018】前記マット苗36は、苗載せ台21の下方のエプロン16に設けられた切欠部16aを介してプランタアーム15により掻き取られ、田面に植付けられる。
【0019】本発明においては、前記縦送りベルト29の内側下面を、前記苗載せ台21の苗載せ面に沿って配置されたベルト受部にて摺動自在に支持すると共に、該ベルト受部に、苗の搬送始端側が苗載せ面よりも下方に没入しかつ該搬送始端側から搬送中途部に向けて傾斜する傾斜ガイドを形成している。
【0020】図4及び図5(a)〜(d)に示すように、前記苗載せ台21は、左右方向に設けられた複数の仕切り板23により整列状に区画された苗載せ面21aを有し、また、前記開口部24は、該苗載せ面21aの上下位置の左右に夫々形成された角穴24aと、これら上下の角穴24aを接続するように形成された細長い溝穴24bとを有している。
【0021】そして、これら上下に形成された角穴24a,24aに対応して、その下方に前記駆動ローラ30と従動ローラ31が夫々配置され、該ローラ30,31間に巻回された縦送りベルト29が、その内側下面をベルト受部21a’によって摺動自在に支持されている。
【0022】本実施の形態では、前記苗載せ面21aがこのベルト受部21a’を兼ねていて、この苗載せ面21aとベルト受部21a’とは同じ高さで一体的に形成されている。また、苗載せ台21の仕切り板23によって複数個に区画された苗載せ面21aには、各苗載せ面21a毎に隣接する2条の縦送りベルト29,29が配設されている。なお、前記ベルト受部21a’を、苗載せ面21aとは別体に形成しても良い。
【0023】このように、苗載せ面21aをベルト受部21a’と兼用することで、該苗載せ面21aとベルト受部21a’との一体成形が可能であると共に、ベルト受部21a’を苗載せ面21aと同じ高さにすることで、苗搬送の際、縦送りベルト29とマット苗36との接触面積が大きくなり、苗をスムーズに搬送することができる。
【0024】次いで、前記ベルト受部としての苗載せ面21aにおける、マット苗36の搬送始端側には、該搬送始端側が前記苗載せ面21aよりも下方に没入すると共に、該搬送始端側から搬送中途部に向けて傾斜する傾斜ガイド21bが形成されている。
【0025】すなわち、搬送始端側の縦送りベルト29の内側下面が、前記傾斜ガイド21bによって支持されるように前記従動ローラ31を配置すれば、該縦送りベルト29は、傾斜ガイド21に沿って搬送始端側から搬送中途部に向けてガイドされるため、縦送りベルト29及び係止突起28は苗載せ面21aの下方から出現して次第に苗載せ面21aの高さよりも高くなっていく。これにより、上方から下方に向けて搬送されるマット苗36は、縦送りベルト29に乗り上げる際に抵抗なくスムーズに乗り上げることになる。
【0026】また、前記傾斜ガイド21bの左右両側部には、苗載せ面21aとの間に夫々段差が設けられ、この段差部に立上げ壁21c,21cが形成されている。この立上げ壁21cにより、前記縦送りベルト29が駆動される際に不用意に幅方向に移動して横ズレするのが防止される。
【0027】次に、図6(a)〜(d)は、前記縦送りベルト29を示しており、本実施の形態では、同図に示すように、前記縦送りベルト29の裏面側の幅方向の略々中央部に補強ラグ部29aを設けて、幅方向の中央部の板厚を両端部よりも大きく形成している。
【0028】これにより、駆動ローラ30(従動ローラ31)に沿って縦送りベルト29が曲がり易くなり、該ローラ30(31)との密着性も増して良好な縦送りが可能となる。また、前記補強ラグ部29aにより、縦送りベルト29自身の剛性が高められるため、該縦送りベルト29にマット苗36が載置されて搬送されるとき、該マット苗36の重量で縦送りベルト29の中央側が下方に変位して搬送不良となるのが防止される。
【0029】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、縦送りベルトの内側下面をベルト受部にて支持すると共に、ベルト受部の搬送始端側に所定の傾斜ガイドを形成したことにより、搬送始端側から搬送終端側に行くに従って縦送りベルトの苗載せ面からの突出量が次第に大きくなるので、上方から滑落移動してきた苗が縦送りベルトに乗り上げる際の抵抗を少なくすることができ、このため苗の移送をスムーズに行うことができる。
【0030】請求項2記載の発明によれば、傾斜ガイドの左右両側部に夫々立上げ壁を形成したので、この立上げ壁により、縦送りベルトの幅方向の移動を規制することができる。
【0031】請求項3記載の発明によれば、ベルト受部を苗載せ面と略々同一高さに形成したことにより、成形が簡単で低コストで製造することができる。また、縦送りベルトは、苗載せ面よりもやや高い位置に配置されることになるので、該縦送りベルトの上面と苗との接触面積が大となって苗をスムーズに搬送することができる。
【0032】請求項4記載の発明によれば、縦送りベルトの幅方向の略々中央部を両端部よりも高く形成したので、苗を搬送する際、苗の自重で縦送りベルトが下方に変形することなく、苗をスムーズに搬送することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成10年6月26日(1998.6.26)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
【公開番号】 特開2000−4621(P2000−4621A)
【公開日】 平成12年1月11日(2000.1.11)
【出願番号】 特願平10−181209