| 【発明の名称】 |
作業用走行車 |
| 【発明者】 |
【氏名】布野 隆
|
| 【要約】 |
【課題】作業クラッチの切り操作に連動して走行速度を自動的に減速する自動減速装置を備える作業用走行車において、自動減速後の速度予測や、自動減速装置の速度設定操作を容易にする。
【解決手段】植付クラッチレバー39の切り操作に連動して走行速度を自動的に減速させるにあたり、現在の主変速レバー位置(走行速度)を基準とし、減速段数設定ダイヤル34の設定段数分を相対的に減速させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行速度を段階的に設定可能な走行速度設定具と、作業部動力伝動経路に介在する作業クラッチと、該作業クラッチの切り操作に連動して走行速度を自動的に減速させる自動減速装置とを備える作業用走行車において、前記自動減速装置に、現在の走行速度を基準とする自動減速時の減速量を、走行速度設定具の減速操作段数に置き換えて設定可能な減速段数設定具を設けたことを特徴とする作業用走行車。 【請求項2】 請求項1において、走行速度設定具と走行変速装置との間に、走行速度設定具の操作位置に対する走行変速装置の変速位置を相対的に変化させる減速作動機構を介在させたことを特徴とする作業用走行車。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動減速装置を備える乗用型田植機等の作業用走行車の技術分野に属するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、この種作業用走行車のなかには、機体回行時の操作労力を軽減すべく、作業クラッチの切り操作に連動して走行速度を自動的に減速させる自動減速装置を設けたものが知られているが、自動減速後の走行速度が一定(例えば最低速度)である場合には、熟練オペレータの作業効率を低下させる可能性があるため、自動減速後の走行速度をオペレータの熟練度や好みに応じて任意に設定できるようにすることが望ましい。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】そこで、自動減速後の絶対走行速度もしくは減速率を任意に設定できるようにしたものが既に提案されているが、何れのものも、自動減速時の減速量(現在の走行速度−自動減速後の走行速度)が現在の走行速度に応じて変化するため、走行変速操作具のシフトダウン操作で減速していた従来の手動減速時とは減速具合が異なり、その結果、自動減速時に違和感を与える許りでなく、自動減速後の走行速度を直感的に設定することが困難であった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、走行速度を段階的に設定可能な走行速度設定具と、作業部動力伝動経路に介在する作業クラッチと、該作業クラッチの切り操作に連動して走行速度を自動的に減速させる自動減速装置とを備える作業用走行車において、前記自動減速装置に、現在の走行速度を基準とする自動減速時の減速量を、走行速度設定具の減速操作段数に置き換えて設定可能な減速段数設定具を設けたことを特徴とするものである。つまり、走行変速操作具のシフトダウン操作で減速していた従来の手動減速時と同様に、自動減速時の減速量を、走行変速操作具の減速操作段数に置き換えて設定することができるため、自動減速後の速度予測を容易にしてオペレータに違和感を与える不都合を解消することができる許りでなく、自動減速装置の設定操作を容易にすることができる。また、走行速度設定具と走行変速装置との間に、走行速度設定具の操作位置に対する走行変速装置の変速位置を相対的に変化させる減速作動機構を介在させたことを特徴とするものである。つまり、走行速度設定具の操作位置を変えることなく走行変速装置の変速位置を変化させることができるため、自動減速時に走行速度設定具が動いてオペレータに接触する等の不都合を解消することができる。 【0005】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1は乗用型田植機の走行機体であって、該走行機体1の前部には、走行動力および作業動力を発生するエンジン2、該エンジン2の動力をベルト式の無段変速機構(走行変速装置)3を介して入力するトランスミッションケース4、該トランスミッションケース4から出力される走行動力を前輪5に伝動するフロントアクスルケース6等が設けられる一方、機体後部には、トランスミッションケース4から出力される走行動力を後輪7に伝動するリヤアクスルケース8、植付作業機9を昇降自在に支持する昇降リンク機構10等が設けられているが、これらの基本構成は何れも従来通りである。 【0006】前記トランスミッションケース4は、無段変速機構3を介して入力したエンジン動力を、主クラッチ機構11、植付変速機構12、トルクリミッタ13、植付クラッチ機構(作業クラッチ)14等を経由して植付出力軸15に伝動する植付動力伝動経路(作業部動力伝動経路)と、前記エンジン動力を、主クラッチ機構11、走行副変速機構16、差動機構17等を経由して前輪動力出力軸18に伝動する前輪動力伝動経路と、前記差動機構17から取出した動力を後輪動力出力軸19に伝動する後輪動力伝動経路とを内装しているが、走行動力伝動経路には、植付動力伝動経路の一部を兼用して走行動力回転を正逆切換する前後進切換機構20が介設されている。 【0007】前記無段変速機構3は、固定割プーリ21a、22aに対するスライド割プーリ21b、22bの軸方向移動に基づいてピッチ径(ベルト懸回径)が変化する一対の可変ピッチプーリ21、22を備え、該一対の可変ピッチプーリ21、22間に伝動ベルト23を懸回して構成されている。そして、各可変ピッチプーリ21、22は、カムレバー21c、22cの回動位置に応じてスライド割プーリ21b、22bを軸方向に強制変位させるカム機構21d、22dを備えると共に、両カムレバー21c、22cを連結する連結リンク24の前後操作に伴ってピッチ径が背反的に変化するように構成されるため、エンジン出力軸2aの回転を無段階に変速してミッション入力軸4aに伝動することができるようになっている。 【0008】25は前記無段変速機構3および前後進切換機構20を操作するための主変速レバー(走行速度設定具)であって、該主変速レバー25は、第一レバー支軸26を支点とする前後方向のレバー操作と、第二レバー支軸27を支点とする左右方向のレバー操作とが許容される。そして、主変速レバー25を前後方向に操作した場合には、連結ロッド28等を介して連結される前述の連結リンク24が前後に移動して無段変速機構3を変速作動させる一方、主変速レバー25を左右方向に操作した場合には、図示しない連繋機構を介して前後進切換機構20を切換作動させることになるが、前後方向に操作された主変速レバー25は、レバーガイド29に所定間隔を存して形成されるガイド溝29aで位置保持されるため、無段変速機構3を採用したものでありながら、段階的な変速操作を行うようになっている。 【0009】30は前記主変速レバー25と連結ロッド28(無段変速機構3)との間に介設される減速作動機構であって、該減速作動機構30は、主変速レバー25の前後操作に一体的に連動するモータブラケット31、該モータブラケット31に一体的に取付けられるウォーム減速機構付の電動モータ32、第一レバー支軸26を支点として前後回動自在で、かつ先端部が前記連結ロッド28に連結される変速アーム33等で構成されている。そして、変速アーム33の基端部には、電動モータ32の出力ギヤ32aに噛合するセクタギヤ33aが形成されているため、電動モータ32の駆動停止状態では、ウォーム減速機構のロック作用に基づいて変速アーム33が主変速レバー25と一体化されるが、電動モータ32を駆動させると、変速アーム33が単独で回動するため、主変速レバー25の前後操作位置に対する無段変速機構3の変速位置を相対的に変化させることができるようになっている。 【0010】34は走行機体1の操作部1aに設けられる減速段数設定ダイヤル(減速段数設定具)であって、該減速段数設定ダイヤル34は、ロータリスイッチやボリュームを用いて構成されるが、後述する「自動減速制御」の減速設定を主変速レバー25の操作段数に置き換えて段階的に行うべく、操作ダイヤル34aの周囲には、設定段数を認識するための段数表示目盛35が施されている。 【0011】36はマイクロコンピュータ(CPU、ROM、RAM等を含む)を用いて構成される制御部であって、該制御部36の入力側には、前述した減速段数設定ダイヤル34、無段変速機構3の変速位置を検出する無段プーリ位置センサ37、主変速レバー25の前後操作位置を検出する主変速レバーセンサ38、植付クラッチレバー39の操作位置に基づいて植付クラッチ機構14の入切りを検出する植付クラッチセンサ40、後輪車軸回転に基づいて走行機体1の車速を検出する車速センサ41、「自動減速制御」をON−OFFする自動減速スイッチ42、「自動減速制御」のモード(第一または第二)を切換えるモード切換スイッチ43等が所定の入力インタフェース回路を介して接続される一方、出力側には、前述した電動モータ32等が所定の出力インタフェース回路を介して接続されている。つまり、制御部36は、植付クラッチ機構14の切り操作に連動して走行速度を自動的に減速し、かつ入り操作に連動して走行速度を自動的に復元させる「自動減速制御」として、二つの制御モードを有し、以下、第一制御モードである「第一自動減速制御」と、第二制御モードである「第二自動減速制御」の制御手順をフローチャートに基づいて説明する。 【0012】前記「第一自動減速制御」では、自動減速スイッチ42のON−OFF状態等に基づいて自動減速制御ON状態を確認した後、植付クラッチレバー39の入切り操作を判断する。そして、植付クラッチレバー39の切り操作を判断した場合には、減速フラグのセットおよび復元フラグのリセットを実行した後、減速段数設定ダイヤル34の設定値に基づいて無段変速機構3の目標変速位置(無段プーリ目標値)を演算すると共に、該目標値と検出値(無段プーリ位置センサ値)とが一致(不感帯を含む)するまで電動モータ32を減速側に駆動させるが、上記目標値演算においては、現在の主変速レバー位置から減速段数設定ダイヤル34の設定段数分を減速操作した場合の無段プーリ位置を目標値にセットするようになっている。即ち、現在の主変速レバー位置(走行速度)を基準とし、減速段数設定ダイヤル34の設定段数分を相対的に減速させるため、主変速レバー25のシフトダウン操作で減速していた従来の手動減速の如く、自動減速時の減速量を主変速レバー25の減速操作段数に置き換えて設定することができ、その結果、自動減速後の速度予測を容易にしてオペレータに違和感を与える不都合を解消することができる許りでなく、自動減速設定を容易にすることができるようになっている。 【0013】また、減速フラグセット状態では、予め設定される最低車速と車速センサ41の検出車速とを比較し、現在の車速が最低車速以下である場合には、無段プーリ目標値を現在の無段プーリ検出値に置換することにより、それ以上の自動減速を規制するようになっている。つまり、自動減速に基づいて車速が必要以上に遅くなる不都合を防止すると共に、機体回行時の最低車速を確保して作業効率の低下を回避するようになっている。 【0014】一方、植付クラッチレバー39の入り操作を判断した場合には、復元フラグのセットおよび減速フラグのリセットを実行した後、現在の主変速レバー位置に対応する無段変速機構3の目標変速位置を無段プーリ目標値にセットすると共に、該目標値と検出値とが一致するまで電動モータ32を増速側に駆動させるようになっている。 【0015】また、「第二自動減速制御」では、「第一自動減速制御」と同様に、自動減速スイッチ42のON−OFF状態等に基づいて自動減速制御ON状態を確認した後、植付クラッチレバー39の入切り操作を判断する。そして、植付クラッチレバー39の切り操作を判断した場合には、減速フラグのセットおよび復元フラグのリセットを実行した後、減速段数設定ダイヤル34の設定値に基づいて無段変速機構3の目標変速位置を演算すると共に、該目標値と検出値とが一致するまで電動モータ32を減速側に駆動させるが、上記目標値演算においては、減速段数設定ダイヤル34の設定段数に対応する絶対的な無段プーリ位置を目標値にセットするようになっている。つまり、自動減速設定を主変速レバー25の段数に置き換えて設定する点は「第一自動減速制御」を同様であるが、「第二自動減速制御」では、現在の主変速レバー位置に拘わらず、減速段数設定ダイヤル34の設定段数に応じた走行速度まで自動的に減速するようになっている。 【0016】叙述の如く構成されたものにおいて、植付クラッチレバー39の切り操作に連動して走行速度を自動的に減速させるにあたり、現在の主変速レバー位置(走行速度)を基準とし、減速段数設定ダイヤル34の設定段数分を相対的に減速させるようにしたため、主変速レバー25のシフトダウン操作で減速していた従来の手動減速と同様に、自動減速時の減速量を主変速レバー25の減速操作段数に置き換えて設定することができ、その結果、自動減速後の速度予測を容易にしてオペレータに違和感を与える不都合を解消することができる許りでなく、自動減速設定を容易にすることができる。 【0017】また、減速段数設定ダイヤル34の設定段数を、現在の主変速レバー位置を基準とする相対的な減速操作段数としてとらえる「第一自動減速制御」と、減速後の絶対的な主変速レバー位置としてとらえる「第二自動減速制御」との二つの制御モードを備え、各モードを自由に選択することができるため、オペレータの好みや作業条件に適合した自動減速制御を行うことができる。 【0018】また、自動減速(または自動復元)を実行するための減速作動機構30は、主変速レバー25と無段変速機構3との間に介在し、主変速レバー25の前後操作位置に対する無段変速機構3の変速位置を相対的に変化させるため、主変速レバー25の操作位置を変えることなく無段変速機構3の変速位置を変化させることができ、その結果、自動減速時に主変速レバー25が動いてオペレータに接触したり、主変速レバー25の操作位置を誤認する等の不都合を解消することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年6月24日(1998.6.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085394 【弁理士】 【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
|
| 【公開番号】 |
特開2000−4615(P2000−4615A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月11日(2000.1.11) |
| 【出願番号】 |
特願平10−177047 |
|