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【発明の名称】 耕耘機の作業切換構造
【発明者】 【氏名】早田 裕光

【氏名】中野 将憲

【氏名】丹治 光彦

【要約】 【課題】エンジン出力をPTO軸に入力して作業機の駆動を行う場合に、作業機を複数の用途に利用しようとすれば、伝達構造が複雑となり、設計が困難であった。また、作業機を他用途に利用するには、ミッションケース内の駆動切換構造に連動して、作業機の状態を変更する必要があり実現が困難であった。

【解決手段】ミッションケース内の正逆転クラッチ機構115の切換により、耕耘と草刈作業の両方を行う耕耘機において、正逆転クラッチ機構115の切換操作を行う操作具を耕耘機の非操作範囲に配置し、該操作具を作業高さ変更部材である把持部84と兼用し、正逆転クラッチ機構の切換と、作業高さの変更とを同期させた。また、ロータリカバー前部に前面カバー45を配し、該前面カバーとゲージフレーム35を一体的に上下回動させて作業高さを変更し、該前面カバーに把持部84を配設した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ミッションケース内に配される正逆転クラッチ機構の切換操作により、切削ロータリ刃を正逆回転させて耕耘作業と草刈作業の両方を行う構成の耕耘機であって、該正逆転クラッチ機構の切換操作を行う操作具を耕耘機の非操向・走行操作範囲に設けたことを特徴とする耕耘機の作業切換構造。
【請求項2】 前記正逆転切換を行う操作具と作業高さ変更部材とを兼用し、前記正逆転クラッチ機構の耕耘及び草刈切換動作と、ゲージ輪に対するロータリ軸の作業高さ変更とを同期させる構成としたことを特徴とする請求項1記載の耕耘機の作業切換構造。
【請求項3】 切削ロータリ刃を正逆回転させることにより、耕耘作業と草刈作業の両方を行う耕耘機において、ロータリカバー前部に前面カバーを配し、該前面カバーとゲージフレームを一体的に上下回動させることにより作業高さを変更する構成としたことを特徴とする耕耘機の作業切換構造。
【請求項4】 切削ロータリ刃を正逆回転させることにより、耕耘作業と草刈作業の両方を行う耕耘機において、ロータリカバー前部に前面カバーを配し、該前面カバーとゲージフレームを一体的に上下回動させることにより作業高さを変更する構成とし、該前面カバーに前記作業高さ変更部材を配設したことを特徴とする請求項2記載の耕耘機の作業切換構造。
【請求項5】 前記前面カバー及びゲージフレームを一体的に上下回動させる微調整機構を設けたことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の耕耘機の作業切換構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耕耘作業と草刈作業の両方を行うことが可能な耕耘機の構成に関するもので、特に、ミッションケース内に配される正逆転クラッチ機構による耕耘及び草刈の駆動伝達切換動作と、作業高さの変更動作との連動構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、エンジン回転出力を油圧式無段変速装置(HST装置)において可変速した後、さらにギア伝達構造により回転出力を減速し、その後、車軸に動力を伝達するよう構成した耕耘機が公知となっている。また、エンジン回転出力をPTO軸に入力し、該PTO軸から駆動力を作業機側へ伝達して作業機の駆動を行うよう構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術においては、エンジン出力をPTO軸に入力して作業機の駆動を行う場合に、作業機を複数の用途に利用しようとすれば、ギア、軸等の伝達構造が複雑となり、部品点数が増加するため、多用途に対応した作業機の設計が困難であった。また、作業機を他用途に利用する場合には、ミッションケース内における駆動構造に連動して、作業機の状態を用途に応じて変更する必要があり、設計上困難であるし、誤動作を防止するための機構が必要であり実現が困難であった。特に小型の耕耘機の場合、コンパクト化とコスト低減化が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上が本発明の解決する課題であり、次に課題を解決するための手段を説明する。即ち、ミッションケース内に配される正逆転クラッチ機構の切換操作により、切削ロータリ刃を正逆回転させて耕耘作業と草刈作業の両方を行う構成の耕耘機であって、該正逆転クラッチ機構の切換操作を行う操作具を耕耘機の非操向・走行操作範囲に設けた。
【0005】また、前記正逆転切換を行う操作具と作業高さ変更部材とを兼用し、前記正逆転クラッチ機構の耕耘及び草刈切換動作と、ゲージ輪に対するロータリ軸の作業高さ変更とを同期させる構成とした。
【0006】また、切削ロータリ刃を正逆回転させることにより、耕耘作業と草刈作業の両方を行う耕耘機において、ロータリカバー前部に前面カバーを配し、該前面カバーとゲージフレームを一体的に上下回動させることにより作業高さを変更する構成とした。
【0007】また、切削ロータリ刃を正逆回転させることにより、耕耘作業と草刈作業の両方を行う耕耘機において、ロータリカバー前部に前面カバーを配し、該前面カバーとゲージフレームを一体的に上下回動させることにより作業高さを変更する構成とし、該前面カバーに前記作業高さ変更部材を配設した。
【0008】また、前記前面カバー及びゲージフレームを一体的に上下回動させる微調整機構を設けた。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明する。最初に、本発明の一実施例に係る耕耘機の全体構成について説明する。図1は本発明の一実施例に係る耕耘機の全体的な構成を示した側面図、図2は同じく平面図である。
【0010】即ち、図1・図2に示す如く、この耕耘機は、左右一対の走行輪1・1をミッションケース2に車軸3・3を介して装設させ、ミッションケース2後部にハンドル台4下部を固定し、ハンドル台4上部に平面視ループ状の操向ハンドル5を連結させて、ミッションケース2の後方斜上方に操向ハンドル5が位置する構成としている。そして、主変速レバー6、クラッチレバー7、デフロックレバー8や、エンジンの回転数を変更するアクセルレバー10等を操向ハンドル5近傍の操作部9に取り付けている。主変速レバー6は後述するPTOクラッチの断接操作兼用としており、レバーの前後傾動により耕耘機の前後進及び速度の変更操作を行い、左右傾動によりPTOクラッチの断接操作を行うようにしている。そして、耕耘機の走行中においては、オペレータは耕耘機の後方近傍位置で操向ハンドル5を把持して歩行しながら操作を行うこととなるが、以上説明した操向ハンドル5や、主変速レバー6、クラッチレバー7等を有する操作部9等は、オペレータの操作位置から手の届く範囲(以下、操作範囲とする)に配置されている。
【0011】また、図1に示すように、前記ミッションケース2上面の略水平面2a上にエンジン11を載置固定し、エンジン11の出力を無段変速する静油圧式無段変速装置(以下「HST」)12をミッションケース2後部の左右一側側面に設け、エンジン11の出力軸17とHST12の入力軸18とを、出力プーリ15、入力プーリ16、ベルト14により連結している。エンジン11の上部には燃料タンク34を設けている。また、両軸17・18の動力伝達を断接するためのベルトテンションクラッチ13が設けられ、該テンションクラッチ13は図示せぬリンク機構、ワイヤー等を介して上記操作部9のクラッチレバー7に連係され、該クラッチレバー7によりテンションクラッチ13の断接が操作される。また、テンションクラッチ13の「断」への切替と連動して制動を行うブレーキがHST12の入力軸18に配設され、クラッチ「断」操作直後の慣性力による回転を制動して、駆動停止を素早く行うようにしている。
【0012】また、前記ミッションケース2は側面視「L」型に形成して、後側を下方に突出させて上下延設部19とし、ミッションケース2後側の下部に左右の車軸3・3を軸支させ、ミッションケース2後部の上下延設部19内に走行変速機構20を設け、車軸3・3の略直上方に入力軸18を配設させ、入力軸18の略直上方に出力軸17を配設させている。更に、エンジン11の下方にはHST12を配設させ、HST12の下方に車軸3・3を配設させ、エンジン11の駆動力を上方から下方に伝えて走行輪1・1を駆動させる。
【0013】さらに、前記ミッションケース2上部は前方に突出させて前後延設部28とし、その前部にPTO軸21を軸支させ、図2に示すようにミッションケース2前部左右にパイプ部材99・99を突出させ、該パイプ99・99を介して伝動ケース22及びサイドフレーム23をミッションケース2前部に固定させ、伝動ケース22及びサイドフレーム23を介して作業機24を設け、ミッションケース2前側に作業機24を装設させており、伝動ケース22とサイドフレーム23にロータリ軸25の両端を回転自在に軸支し、耕耘と草刈に兼用する複数の切削ロータリ刃26・26・・・をロータリ軸25に取り付け、各切削ロータリ刃26・26・・・の上面及び左右をロータリカバー27によって閉塞させ、前記作業機24を構成している。
【0014】また、前記ミッションケース2の前後延設部28にはPTOクラッチや正逆転切替機構や減速機構等からなるPTO変速機構29を設け、前記入力軸18前方にPTO軸21を設けて作業機24のロータリ軸25に連結させ、切削ロータリ刃26・26・・・を走行輪1・1の前進側回転と同一方向(矢視Aの方向。以下「正転方向」)に低速で回転させることによって耕耘作業を行わせる一方、上記と逆方向(以下「逆転方向」)に切削ロータリ刃26・26・・・を高速回転させて草刈作業を行わせる。
【0015】さらに、この耕耘機は、前記作業機24の耕耘作業と同時に畔立作業を行わせる後作業機30を備え(図1)、ミッションケース2後面の後ヒッチ31にヒッチピン32を介して後作業機30を着脱自在に設けるとともに、後作業機30をヒッチピン32回りに回転させて昇降自在としており、後作業機30を下降着地させて畔立作業位置に支持させたり、ハンドル台4後側に後作業機30を持ち上げて非作業位置に支持させる。
【0016】次に、作業機24の構成について、主に図3乃至図5を参照して説明する。図3は耕耘機の前部に取り付けられる作業機の構成を示した側面図、図4は同じく平面図である。図5は作業機におけるロータリ刃の取り付け構成を示した側面図一部断面図である。
【0017】即ち、作業機24左右の適宜位置にて調高アーム39・39及びゲージフレーム35・35を支軸40・40を介して傾動自在に枢支し、ゲージフレーム35・35の先端は前方に突出されてゲージ輪36・36をそれぞれ方向転換自在に取り付け、ゲージフレーム35を介してゲージ輪36が昇降可能となるようにしている。更に、ゲージフレーム35・35にはブラケット81を固定させ、平面視門型の前面カバー45の左右両端部を該ブラケット81に支軸46・46を介して回転自在に取り付けており、ゲージフレーム35の上下傾動操作と連動して前面カバー45の上昇又は下降が行われるようにしている。
【0018】該前面カバー45の左右側面上縁には板状部材82を突出して、該板状部材82にピン83を突設する一方、上記調高アーム39は、その前縁部に上下二つの凹部39a・39bを設けている。この構成により、上記ピン83を上側凹部39aに係止することにより、ゲージフレーム35を上方へ傾動させてゲージ輪36を耕耘作業位置Naへ上昇させた状態で保持固定できるようにしている。一方、ピン83を下側凹部39bに係止することにより、ゲージフレーム35を下方へ傾動させてゲージ輪36を草刈作業位置Nbへ下降させた状態で保持固定できるようにしている。上記ゲージ輪36の高さの変更は、前面カバー45前部に設けた作業高さ変更部材である把持部84をオペレータが握って昇降操作することにより行われる。また、上記ブラケット81にはワイヤー85が連結されて、ミッションケースのPTO変速機構29に配設された、後述の正逆転クラッチ機構115に連係されている。
【0019】また、図3・図4に示すように、前記ロータリ軸25には爪台49を固定させ、爪台49に支軸50を介して切削ロータリ刃26を枢支しており、草刈作業時にはロータリ軸25を逆転方向(矢視Aと逆方向)に高速回転させることにより、切削ロータリ刃26は遠心力によって放射線方向に保持されながら回転するようにしている。また、草刈作業時に切削ロータリ刃26が石等に当たっても、その衝撃は、切削ロータリ刃26の支軸50回りの回転によって吸収されるようにしており、作業機24の破損を防止する構成となっている。一方、前記爪台49には後退ストッパ51が固設されており、ロータリ軸25を矢視A方向に正転させて耕耘作業を行うときは、切削ロータリ刃26が該ストッパ51に当接して、切削ロータリ刃26を後傾姿勢で保持させるようにしており、形成される後退角により耕耘抵抗を低減させるとともに、耕耘力(耕耘深さ)を確保するようにしている。
【0020】次に、ミッションケース2内の駆動伝達構造について説明する。まず、ミッションケース2の上下延設部19内に配設された、上述の走行変速機構20を説明する。図6はミッションケース内部の伝動系の構成を示した平面断面展開図であり、図7はミッションケース右側面図(一部内部を示す)、図8はミッションケース内部の走行変速機構20を示した平面断面展開図である。
【0021】即ち、図6に示す如く、上記HST12には、その出力軸52の回転方向及び回転速度を変更するためのトラニオンレバー12aが装設され、該トラニオンレバー12aは、ワイヤーやリンク機構等を介して、上記操作部9の主変速レバー6に連係される。そして、図6及び図8に示すように、該HST12の出力軸52にはパイプ状の減速出力軸53が相対回転不能に取り付けられ、該減速出力軸53の外周面にはギア53aが刻設され、出力軸52と同回転で駆動される。また、上記減速出力軸53下方(図6及び図8における上方)には減速中間軸65が配設され、該減速中間軸65にはギア66が固定され、該ギア66は上記減速出力軸53のギア53aに噛合される。上記減速中間軸65にはギア65aが形設され、該ギア65aは、上記減速出力軸53上に遊嵌したパイプ状の減速最終軸70上に固定したギア67に噛合される。こうして、ギア53a、ギア66、ギア65a、ギア67によって減速され、低回転数の駆動力が減速最終軸70に伝えられる。該減速最終軸70にはスプロケット68が一体的に形設されており、該スプロケット68は、左右車軸3・3を差動的に結合するボールデフ機構55に設けられた入力スプロケット69に、走行駆動チェーン54を介して連動連結される。ボールデフ機構55には、操作部に配設された上述のデフロックレバー8に連係される、デフロック機構55aが配設される。
【0022】以上構成により、入力プーリ16を介して入力軸18に入力されたエンジン11の動力は、HST12にて回転速度及び回転方向の制御が行われた後、出力軸52から減速出力軸53→ギア53a→ギア66→減速中間軸65と伝達されて減速された後、ギア65a→ギア67→減速最終軸70と伝達され、スプロケット68から走行駆動チェーン54を経由し、ボールデフ機構55を介して左右車軸3・3を駆動する。
【0023】次に、ミッションケース2の前後延設部28内に配設された、上述のPTO変速機構29を説明する。図9は、ミッションケース内部のPTO変速機構を示した平面断面展開図、図10はPTOクラッチ機構を示す平面断面図である。即ち、図6に示すように、上記入力軸18にはPTO出力スプロケット71が一体的に形設され、該入力軸の前方に設けられた伝動軸72には図9に示すように入力スプロケット73が相対回転自在に遊嵌され、両スプロケット71・73はPTO入力チェーン56を介して連動連結される。そして、上記伝動軸72にはPTOクラッチスライダ74が相対回転不能及び軸方向摺動自在にスプライン嵌合され、該クラッチスライダ74には爪クラッチ74aを設けている。従って、PTOクラッチスライダが図9における右方向(同じく図6における右方向)へ摺動することにより、上記爪クラッチ74aが上記入力スプロケット73に係合し、PTOクラッチが「接」となり、入力スプロケット73の回転が該PTOクラッチスライダ74を介して伝動軸72に伝達される。また、PTOクラッチスライダ74には逆転ギア77が固定される。
【0024】このPTOクラッチスライダ74には、図7及び図10に示すようにPTOクラッチフォーク102が嵌合しており、該クラッチフォーク102の摺動によりPTOクラッチの断接操作が行えるようにしている。該クラッチフォーク102は図10に示すように、ミッションケース内でその一端を軸支されたシャフト100上に固設されており、該シャフト100外周上にはミッションケース2の内壁と該クラッチフォーク102間にばね101を巻装させ、該クラッチフォーク102を図の矢視F1方向に付勢している。また、シャフト100の他端はミッションケース2の外側に突出しており、その端部にピン100aを固設し、該ピン100aにおいてアーム104を回動自在に支持している。アーム104は略U字状のプレートであり(図7に示す)、その一端が回動支点104aにおいてミッションケース2に回動自在に支持され、ピン100aに軸支される部分からミッションケース2の外方側に屈曲し、その他端にはピン104bを固設し、該ピン104bにばね105の一端を係止している。さらに該ばね105の他端にはワイヤケーブル106が連結され、該ワイヤケーブル106がリンク機構を介して上記操作部の主変速レバー6に連係されている。
【0025】以上の構成において、ばね101の付勢力により図10の矢視F1方向に付勢されるクラッチフォーク102により前記PTOクラッチスライダ74が同じく矢視F2方向に付勢され、PTOクラッチスライダ74が図9における左方向へ摺動することにより、PTOクラッチが「断」の状態となる。そして、前記主変速レバー6の左右傾動によりPTOクラッチ「断」の操作が行われると、ワイヤケーブル106が図10の矢視F3方向に引張られ、前記アーム104が回動し、前記シャフト100及びクラッチフォーク102を一体的に矢視F1(F2)方向とは逆方向に摺動させる。これにより、PTOクラッチスライダ74が図9における右方向へ摺動して、PTOクラッチが「接」の操作が行われるのである。
【0026】次に、本発明に係る作業高さの変更操作と正逆転切換クラッチスライダ78の連動構造について説明する。図11は正逆転クラッチ機構を示す断面図である。図9において伝動軸72には耕耘側出力スプロケット75が一体的に形設され、該スプロケット75は、伝動軸72前方に軸支された上述のPTO軸21に相対回転自在に取り付けられた耕耘側入力スプロケットであるスプロケット76に、低速正転チェーン61を介して連動連結される。そして、PTO軸21には正逆転切替クラッチスライダ78が相対回転不能及び軸方向摺動自在にスプライン嵌合され、該正逆転切替クラッチスライダ78には、耕耘側入力爪クラッチ78aと草刈側入力ギア78bとを設けている。
【0027】正逆転切換クラッチスライダ78には、図7及び図11に示すように、正逆転クラッチフォーク110が嵌合しており、該正逆転クラッチフォーク110がミッションケース内に摺動自在に支持されたパイプ111に固設されている。パイプ111は、その両端をミッションケース2の外方に突出させ、その一端は、ミッションケース2の外面に固定されたプレート112を貫通して外方に突出し、その先端部外周にはストッパプレート113を固設している。そして、該プレート112とストッパプレート113間においてパイプ111の外周には2本のばね114a・114bを巻装し、該パイプ111を図の矢視F4方向に付勢している。これにより、クラッチフォーク110が摺動移動し、正逆転クラッチスライダ78を図の矢視F5方向に付勢するのである。以上の構成より正逆転クラッチ機構115を構成している。また、パイプ111の他端側(ストッパプレート113が配設される端部とは逆側の端部)は、前述したブラケット81(ゲージフレーム35の上部に固定されている。)に連結されたワイヤー85と図示せぬリンク機構を介して連係されている。
【0028】以上の構成により、上記前面カバー45の把持部84をオペレータが握って持ち上げたときは、ゲージフレーム35が上方へ傾動され、ゲージ輪36が耕耘作業位置Naまで上昇され、ロータリ軸25のゲージ輪36に対する相対高さが低くなって、耕耘作業に適した深さで切削ロータリ刃26を地中に突入可能とするとともに、前面カバー45も上昇退避されて耕耘作業の邪魔にならないようにしている。また、ブラケット81によるワイヤー85の張引が解除され、これに連動して正逆転正クラッチ機構115のパイプ111がばね114a・114bの付勢力により図の矢視F4方向に摺動し、これに伴って逆転クラッチスライダ78が矢視F5方向に摺動され、逆転ギヤ77との接続が解除されて、耕耘側入力爪クラッチ78bと(耕耘側入力)スプロケット76との係合が行われ、この状態で耕耘機を駆動させた場合は上記ロータリ軸25に正転方向(矢視A)の低速回転が伝達されて、耕耘作業が行われるようにしている。
【0029】一方、上記把持部84を握って押下したときは、ゲージフレーム35が下方へ傾動され、ゲージ輪36が草刈作業位置Nbまで下降され、ロータリ軸25のゲージ輪36に対する相対高さが高くなって草刈作業に適した位置となるとともに、前面カバー45が下降してロータリカバー27の前部を遮蔽して、刈り取られた草等が飛散するのを防止するようにしている。また、ブラケット81がワイヤー85を張引するので、連動して正逆転クラッチ機構115のパイプ111がばね114a・114bの付勢力に抗して図11における矢視F4方向とは逆方向に摺動する。これにより正逆転クラッチスライダ78が図の矢視F5方向とは逆方向に摺動し、(耕耘側入力)スプロケット76との係合が解除され、草刈側入力ギア78bと逆転ギア77とが噛合し、この状態で耕耘機が駆動された場合は上記ロータリ軸25に逆転方向の高速回転が伝達されて、草刈作業が行われるようにしているのである。
【0030】即ち、入力軸18からPTO出力スプロケット71→PTO入力チェーン56→入力スプロケット73→PTOクラッチスライダ74と伝達された動力は、二手に分岐されて、一方は伝動軸72→(耕耘側出力)スプロケット75→低速正転チェーン61→(耕耘側入力)スプロケット76と減速されながら伝達され、他方は逆転ギア77にて増速及び回転方向の正逆変換を行う。そして、スプロケット76又は逆転ギア77の動力が択一的に正逆転切替クラッチスライダ78に入力されて、PTO軸21に低速正転又は高速逆転の動力を伝達しているのである。
【0031】このように、本発明においては、ゲージフレーム35と前面カバー45とを一体的に上下回動操作するように構成しているので、ゲージ輪36に対するロータリ軸25の高さが低くなる耕耘作業時には、前面カバー45の位置が高くなり、土の持ち回りがよく砕土効果が向上した。また、ゲージ輪36に対するロータリ軸25の高さが高くなる草刈作業時には、前面カバー45の位置が低くなり、高速で回転するロータリ刃26による石等の飛散防止が行えるのである。
【0032】また、本発明に係る正逆転クラッチ機構115の切換操作を行う操作具は、作業機24の前面側に設けられた作業高さの変更部材である把持部84と兼用する構成としている。つまり、正逆転クラッチ機構115の切換操作を行う操作具が耕耘機の非操作範囲(前述した操向を行う操向ハンドル5、クラッチ操作や変速操作等の走行操作部9等が配される操作範囲以外の位置)に設けているのである。これにより、耕耘機の草刈作業及び耕耘作業の切替操作を行う場合には、オペレータは耕耘機後部の操向・走行操作範囲から一旦離れて、作業機24前方にまわって把持部84を操作することにより行わなければならないこととなる。このことは、耕耘機の操作部9のクラッチレバー7から手を離した状態で該切替操作をしなければならないことを意味するから、この切替は必ず作業機24及び走行輪1・1に動力が伝達されない状態で行われることとなり、誤操作等が防止され、故障等の可能性も低くなるのである。また、クラッチレバー7から手を離すことにより、ミッションケース2への駆動が遮断されるため、PTO変速機構29への駆動も停止されるため、オペレータが把持部84を操作して正逆転クラッチ機構115を切換える操作も安全に行われ、機械の損傷等の未然防止が可能となるのである。また、作業切換を行う動作が明確になり、作業の認識がはっきりするため誤動作を防止し、安定した作業が可能となるのである。
【0033】また、正逆転クラッチ機構115の操作具を、作業機高さ変更部材である把持部84と兼用したことにより、正逆転クラッチスライダ78の耕耘及び草刈側の切換動作と、ロータリ軸25のゲージ輪36に対する相対高さの切換動作が同期し、作業状態に合わせた適切な動作を可能とし、一つの操作で正逆転クラッチスライダ78と作業高さを変更可能とし、操作性が向上した。また、該把持部84を前面カバー45に配設しているので操作性がよく、耕耘作業と草刈作業の切換え作業に対するオペレータの認識がはっきりし、誤操作の防止が可能となった。
【0034】また、図3に示すように前面カバー45の上部位置には、前面カバー45とゲージフレーム35の上下高さを微調整するための微調整機構116が設けられている。微調整機構116は、調高ハンドル42、螺着子43、前記調高アーム39等より構成されており、前記左右のパイプ部材99・99のうち一側の中途部に固定させる受け台41には、調高ハンドル軸42aが回転自在及び摺動不能に取り付けられ、該調高ハンドル軸42aの前端にはネジ部44が設けられる一方、左右の調高アーム39・39はその上部を連結パイプ80により連結され、該連結パイプ80の中途部に取り付ける螺着子43に上記ネジ部44を螺挿し、調高ハンドル軸42a後端に基端を固設する調高ハンドル42の回転操作によって支軸40回りにゲージフレーム35を揺動させ、ゲージ輪36の高さの細かい調整が行えるようにしている。
【0035】このように構成することで、調高ハンドル42の操作により、ゲージ輪36が耕耘作業位置Naにある場合には、位置Na付近での耕耘作業に適したゲージ輪36の最適位置調整が行えるとともに、ゲージ輪36が草刈作業位置Nbにある時には、位置Nbの付近で草刈作業に適したゲージ輪36の最適位置調整を可能としているのである。
【0036】また、図4に示すように、上記PTO軸21は前記パイプ部材99・99のうち一側の内部を挿通して伝動ケース22内に突出されて、該突出部分にはスプロケット90が取り付けられる一方、作業機のロータリ軸25には基軸91を介してスプロケット92が相対回転不能に取り付けられており、伝動チェーン63により両スプロケット90・92が連動連結されて、PTO軸21の回転をロータリ軸25に伝達している。更には、ミッションケース内壁には制動部材58(図6、図9に示す)が設けられており、前記PTOクラッチスライダ74が「断」となったときは、該制動部材58を上記逆転ギア77の側面に圧接させて制動作用を行わせて、特に草刈り作業におけるPTOクラッチ「断」操作直後の、切削ロータリ刃26の慣性力による回転を素早く停止するようにしている。
【0037】最後に、ゲージフレーム35と前面カバー45の連動構造に関する別実施例について説明する。図12に示すように、前面カバー45は、平行リンク160を介してロータリカバー27に対して上下回動自在に支持されており、ゲージフレーム35の基部161がロータリカバー27において上下回動自在に支持されている。そして、該前面カバー45の左右下部には、ピン162・162が突出しており、該ピン162・162上にそれぞれ左右のゲージフレーム35・35を係止している。
【0038】このような構成において、上述した実施例と同様に、前部カバー45に設けた把持部84を上下操作した場合、前面カバー45の上下回動に伴い、ピン162・162に係止されたゲージフレーム35・35が上下回動するのである。また、図に示すようにピン162をゲージフレーム35より上部側となる位置162’に設けることにより、ゲージフレーム35の上下回動に伴って前面カバー45が上下回動するよう構成してもよい。そして、本構成においても、上述した実施例と同様に、作業高さ変更操作と正逆転クラッチスライダ78との連動構造を採用すれば、同様の効果が得られるのである。
【0039】
【発明の効果】本発明の耕耘機の駆動伝達構造は以上の如く構成したので、以下のような効果を奏するものである。即ち、ミッションケース内に配される正逆転クラッチ機構の切換操作により、切削ロータリ刃を正逆回転させて耕耘作業と草刈作業の両方を行う構成の耕耘機において、該正逆転クラッチ機構の切換操作を行う操作具を耕耘機の非操作範囲に設けたので、耕耘機の操作部のクラッチレバーから手を離した状態で該切替操作をしなければならないことを意味し、この切替は必ず作業機及び走行輪に動力が伝達されない状態で行われることとなり、誤操作等が防止された。また、ミッションケースへの駆動が遮断されるため、正逆転クラッチ機構の切換える操作も安全に行われ、機械の損傷等の未然防止が可能となるのである。また、作業切換を行う動作が明確になり、作業の認識がはっきりするため誤動作を防止し、安定した作業が可能となるのである。
【0040】また、前記操作具と作業高さ変更部材とを兼用し、前記正逆転クラッチ機構の耕耘及び草刈切換動作と、ゲージ輪に対するロータリ軸の作業高さとを同期させる構成としたので、作業状態に合わせた適切な動作を可能とし、一つの操作で正逆転クラッチスライダと作業高さを変更可能とし、操作性が向上した。
【0041】また、切削ロータリ刃を正逆回転させることにより、耕耘作業と草刈作業の両方を行う耕耘機において、ロータリカバー前部に前面カバーを配し、該前面カバーとゲージフレームを一体的に上下回動させることにより作業高さを変更する構成としたので、ゲージ輪に対するロータリ軸の高さが低くなる耕耘作業時には、前面カバーの位置が高くなり、土のもち回りがよく砕土効果が向上し、ゲージ輪に対するロータリ軸の高さが高くなる草刈作業時には、前面カバーの位置が低くなり、高速で回転するロータリ刃による石等の飛散防止が可能となった。
【0042】また、切削ロータリ刃を正逆回転させることにより、耕耘作業と草刈作業の両方を行う耕耘機において、ロータリカバー前部に前面カバーを配し、該前面カバーとゲージフレームを一体的に上下回動させることにより作業高さを変更する構成とし、該前面カバーに前記作業高さ変更部材を配設したので操作性がよく、耕耘作業と草刈作業の切換え作業に対するオペレータの認識がはっきりし、誤操作の防止が可能となった。
【0043】また、前記前面カバー及びゲージフレームを一体的に上下回動させる微調整機構を設けたので、ゲージ輪が耕耘作業位置にある場合には、耕耘作業に適したゲージ輪の最適位置調整が行えるとともに、ゲージ輪が草刈作業位置にある時には、草刈作業に適したゲージ輪の最適位置調整が可能となった。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成11年6月7日(1999.6.7)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2000−342006(P2000−342006A)
【公開日】 平成12年12月12日(2000.12.12)
【出願番号】 特願平11−159359