| 【発明の名称】 |
歩行型管理機 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤本 敏
【氏名】打谷 賢
【氏名】竹田 伸一
【氏名】石田 有伸
【氏名】松本 利幸
|
| 【要約】 |
【課題】ミッションケース下部の出力軸に推進車輪兼用の作業装置が装着されるものでありながら、思い通りの旋回状態を簡単に現出できる旋回操作性に優れた歩行型管理機を提供できるようにする。
【解決手段】エンジン1からの動力を、エンジン1の下部に連設されたミッションケース2に内装される縦向き伝動軸6とベベルギヤ式伝動機構7とを介して、ミッションケース2の下部に配設した横向きの出力軸8に伝達するように構成した歩行型管理機において、出力軸8を、左出力軸部8Aと右出力軸部8Bとの2分割構造に構成するとともに、ベベルギヤ式伝動機構7と出力軸8との間にサイドクラッチ機構22を介装して、左右の出力軸部8A,8Bを独立駆動可能に構成した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンからの動力を、前記エンジンの下部に連設されたミッションケースに内装される縦向き伝動軸とベベルギヤ式伝動機構とを介して、前記ミッションケースの下部に配設した横向きの出力軸に伝達するように構成した歩行型管理機であって、前記出力軸を、左出力軸部と右出力軸部との2分割構造に構成するとともに、前記ベベルギヤ式伝動機構と前記出力軸との間にサイドクラッチ機構を介装して、前記左右の出力軸部を独立駆動可能に構成してある歩行型管理機。 【請求項2】 前記サイドクラッチ機構を、前記ベベルギヤ式伝動機構に連動連結された左右向きの筒軸、前記左右の各出力軸部において前記筒軸に内嵌される内嵌部分、前記筒軸の周部に形成した左右の貫通孔と前記各内嵌部分の外周に形成した凹部とに亘って係入する伝動位置と前記凹部から離脱する非伝動位置とに移動可能な左右の伝動ボール、及び、それらの各伝動ボールを前記伝動位置に保持する保持位置と左右一方の伝動ボールの前記非伝動位置への移動を許容する左右の非保持位置とに亘って摺動可能なホルダ、によりボール伝動式に構成して、単一のシフトフォークによる前記ホルダの摺動操作で、前記左右の出力軸部を一体駆動する状態と左右一方の出力軸部を独立駆動する状態とに切り換え可能に構成してある請求項1記載の歩行型管理機。 【請求項3】 前記サイドクラッチ機構を、前記ベベルギヤ式伝動機構に連動連結された左右向きの筒軸、前記左右の各出力軸部において前記筒軸に内嵌される内嵌部分、前記筒軸の周部に形成した左右の貫通孔と前記各内嵌部分の外周に形成した凹部とに亘って係入する伝動位置と前記凹部から離脱する非伝動位置とに移動可能な左右の伝動ボール、対応する左右いずれかの伝動ボールを前記伝動位置に保持する保持位置とその伝動ボールの前記非伝動位置への移動を許容する左右いずれか一方の非保持位置とに亘って摺動可能な左右のホルダ、及び、それらのホルダを前記保持位置に復帰付勢するバネ、によりボール伝動式に構成して、単一のシフトフォークによる左右いずれか一方のホルダの摺動操作で、前記左右の出力軸部を一体駆動する状態と左右一方の出力軸部を独立駆動する状態とに切り換え可能に構成してある請求項1記載の歩行型管理機。 【請求項4】 前記サイドクラッチ機構を、前記ベベルギヤ式伝動機構におけるデッドスペースに配設してある請求項1〜3のいずれか一つに記載の歩行型管理機。 【請求項5】 前記サイドクラッチ機構を操作する操作軸を前記縦向き伝動軸と平行又は略平行に配設してある請求項1〜4のいずれか一つに記載の歩行型管理機。 【請求項6】 前記操作軸を前記縦向き伝動軸の直前方箇所又は直後方箇所に配設してある請求項6のいずれか一つに記載の歩行型管理機。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンからの動力を、前記エンジンの下部に連設されたミッションケースに内装される縦向き伝動軸とベベルギヤ式伝動機構とを介して、前記ミッションケースの下部に配設した横向きの出力軸に伝達するように構成した歩行型管理機に関する。 【0002】 【従来の技術】従来では、例えば、特開平6−341496号公報などで開示されているように、エンジンからの動力を、エンジンの後方に配設されるミッションケースに内装した伝動系と、エンジンから前記伝動系に亘るベルト式伝動機構とを介して、ミッションケースの下部に配設した左右一対の出力軸に伝達するように構成した大型の歩行型管理機においては、ベルト式伝動機構と左右の各出力軸との間に介装した左右のサイドクラッチからなるサイドクラッチ機構を装備して、左右の出力軸を独立駆動可能に構成したものがあるが、例えば、特開昭62−261734号公報などで開示されていように、エンジンの下部に縦向き伝動軸などを内装したミッションケースを連設する小型の歩行型管理機においては、サイドクラッチ機構を装備したものはなかった。これは、小型の歩行型管理機が、軽量であることによって旋回操作の行い易いものであると考えられていたためである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、小型の歩行型管理機は、軽量である反面、大型のものよりも作業幅(耕耘幅など)が狭く、その分、作業時には小さい旋回半径で旋回させる必要が生じるものであるにもかかわらず、前記特開平6−341496号公報などで開示されている大型の歩行型管理機のようにミッションケース下部の出力軸に専用の推進車輪が装着されるものではなく、その出力軸に推進車輪兼用の耕耘ロータや代掻きロータなどの作業装置が装着されるものであることから、思い通りの旋回状態を現出することが困難なものになっていた。 【0004】本発明の目的は、ミッションケース下部の出力軸に推進車輪兼用の作業装置が装着されるものでありながら、思い通りの旋回状態を簡単に現出できる旋回操作性に優れた歩行型管理機を提供できるようにすることにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、エンジンからの動力を、前記エンジンの下部に連設されたミッションケースに内装される縦向き伝動軸とベベルギヤ式伝動機構とを介して、前記ミッションケースの下部に配設した横向きの出力軸に伝達するように構成した歩行型管理機において、前記出力軸を、左出力軸部と右出力軸部との2分割構造に構成するとともに、前記ベベルギヤ式伝動機構と前記出力軸との間にサイドクラッチ機構を介装して、前記左右の出力軸部を独立駆動可能に構成した。 【0006】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、サイドクラッチ機構を操作して左右いずれか一方の出力軸部を独立駆動させると、その一方の出力軸部に装着した作業装置の推力による他方の出力軸部に装着した作業装置側を支点とした旋回状態を現出できるようになる。これによって、旋回操作時には、その時の状況から必要となる旋回半径に応じて、左右いずれか一方の出力軸部を独立駆動させる、左右いずれか一方の出力軸部を独立駆動させる状態を断続的に現出する、左右いずれか一方の出力軸部を独立駆動させる状態を維持しながらハンドル操作を行う、あるいは、左右の出力軸部を一体駆動させる状態を維持しながらハンドル操作を行う、などの旋回操作を選択できるようになり、結果、その時の状況に応じた思い通りの旋回状態を簡単に現出できるようになる。 【0007】〔効果〕従って、ミッションケース下部の出力軸に推進車輪兼用の作業装置が装着されるものでありながら、思い通りの旋回状態を簡単に現出できる旋回操作性に優れた歩行型管理機を提供できるようになった。 【0008】本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記サイドクラッチ機構を、前記ベベルギヤ式伝動機構に連動連結された左右向きの筒軸、前記左右の各出力軸部において前記筒軸に内嵌される内嵌部分、前記筒軸の周部に形成した左右の貫通孔と前記各内嵌部分の外周に形成した凹部とに亘って係入する伝動位置と前記凹部から離脱する非伝動位置とに移動可能な左右の伝動ボール、及び、それらの各伝動ボールを前記伝動位置に保持する保持位置と左右一方の伝動ボールの前記非伝動位置への移動を許容する左右の非保持位置とに亘って摺動可能なホルダ、によりボール伝動式に構成して、単一のシフトフォークによる前記ホルダの摺動操作で、前記左右の出力軸部を一体駆動する状態と左右一方の出力軸部を独立駆動する状態とに切り換え可能に構成した。 【0009】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、左側の出力軸部を駆動する状態と駆動しない状態とに切り換える左側の出力軸部に対する伝動切り換え専用のシフトフォークと、同様に右側の出力軸部に対する伝動切り換え専用のシフトフォークとを装備する場合に比較して、シフトフォークの数量並びにシフトフォークを操作する操作系の数量を少なくすることができ、その分、構成の簡素化、製造コストの低減化、及び、操作性の向上などを図れるようになる。 【0010】〔効果〕従って、構成の簡素化、製造コストの低減化、及び、操作性の向上などを図りながら、旋回操作性に優れた歩行型管理機を提供できるようになった。 【0011】本発明のうちの請求項3記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記サイドクラッチ機構を、前記ベベルギヤ式伝動機構に連動連結された左右向きの筒軸、前記左右の各出力軸部において前記筒軸に内嵌される内嵌部分、前記筒軸の周部に形成した左右の貫通孔と前記各内嵌部分の外周に形成した凹部とに亘って係入する伝動位置と前記凹部から離脱する非伝動位置とに移動可能な左右の伝動ボール、対応する左右いずれかの伝動ボールを前記伝動位置に保持する保持位置とその伝動ボールの前記非伝動位置への移動を許容する左右いずれか一方の非保持位置とに亘って摺動可能な左右のホルダ、及び、それらのホルダを前記保持位置に復帰付勢するバネ、によりボール伝動式に構成して、単一のシフトフォークによる左右いずれか一方のホルダの摺動操作で、前記左右の出力軸部を一体駆動する状態と左右一方の出力軸部を独立駆動する状態とに切り換え可能に構成した。 【0012】〔作用〕上記請求項3記載の発明によると、前述の請求項2記載の発明と同様に、左側の出力軸部に対する伝動切り換え専用のシフトフォークと、右側の出力軸部に対する伝動切り換え専用のシフトフォークとを装備する場合に比較して、シフトフォークの数量並びにシフトフォークを操作する操作系の数量を少なくすることができ、その分、構成の簡素化、製造コストの低減化、及び、操作性の向上などを図れるようになる。 【0013】しかも、左右一方の出力軸部を独立駆動する場合、前述の請求項2記載の発明では、単一のホルダを保持位置から一方の非保持位置に摺動させることから、ホルダを一方の非保持位置まで摺動させた状態でも他方の伝動ボールを伝動位置に保持できるように、ホルダの保持作用面を左右方向に長く形成する必要があるのに対し、上記請求項3記載の発明では、駆動する側の出力軸部に対応するホルダは摺動させずに、駆動しない側の出力軸部に対応するホルダのみを摺動させることから、前述の請求項2記載の発明のようにホルダの保持作用面を左右方向に長く形成する必要がなく、その分、ホルダを摺動させる際の摺動抵抗が小さくなって、ホルダの摺動操作を行い易くすることができるようになる。又、ホルダなどを内装するミッションケースの左右幅を小さくすることができ、これによって、左右の各出力軸部に装着される作業装置同士の離間距離を小さくすることができるので、ミッションケースの左右に配設される両作業装置の及ばないミッションケース下方の作業残し領域を小さくすることができるようになる。 【0014】〔効果〕従って、構成の簡素化、製造コストの低減化、及び、操作性の向上などを図りながら、旋回操作性に優れる上に、作業残し領域を小さくできる作業性に優れた歩行型管理機を提供できるようになった。 【0015】本発明のうちの請求項4記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記サイドクラッチ機構を、前記ベベルギヤ式伝動機構におけるデッドスペースに配設した。 【0016】〔作用〕上記請求項4記載の発明によると、縦向き伝動軸と出力軸とを連動連結するベベルギヤ式伝動機構のデッドスペースとなる縦向き伝動軸の下方空間を有効利用してサイドクラッチ機構を配設することから、そのデッドスペースにサイドクラッチ機構を配設しない場合に比較して、それらを内装するミッションケースの左右幅を効果的に小さくすることができるようになる。その結果、前述の請求項3記載の発明のように、左右の各出力軸部に装着される作業装置同士の離間距離を小さくすることができて、左右の作業装置が及ばないミッションケース下方の作業残し領域を小さくすることができるようになる。 【0017】〔効果〕従って、構成の簡素化、製造コストの低減化、及び、操作性の向上などを図りながら、旋回操作性に優れる上に、作業残し領域を更に小さくできるより作業性に優れた歩行型管理機を提供できるようになった。 【0018】本発明のうちの請求項5記載の発明では、上記請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記サイドクラッチ機構を操作する操作軸を前記縦向き伝動軸と平行又は略平行に配設した。 【0019】〔作用〕上記請求項5記載の発明によると、操作軸が縦向き伝動軸と平行又は略平行の縦向きに配設されることから、ミッションケースの下部に位置するサイドクラッチ機構を操作する操作レバーを、作業装置の邪魔にならず、又、作業装置の作動により飛散する泥などの影響を受けない操作し易い位置であるミッションケースの上部位置に配設できるようになる。 【0020】しかも、操作軸が、縦向き伝動軸と平行又は略平行でミッションケースの下部から上部に亘る縦向きに配設されることから、その分、ミッションケースの強度を高めることができるようになる。 【0021】〔効果〕従って、旋回操作性の向上を更に図れる上に、ミッションケースの補強をも図ることのできる歩行型管理機を提供できるようになった。 【0022】本発明のうちの請求項6記載の発明では、上記請求項6記載の発明において、前記操作軸を前記縦向き伝動軸の直前方箇所又は直後方箇所に配設した。 【0023】〔作用〕例えば、操作軸を縦向き伝動軸の左右に並設する場合には、その分、ミッションケースの左右に配設される作業装置同士の離間距離を大きくする必要が生じ、それによって、左右の作業装置が及ばないミッションケース下方の作業残し領域が大きくなる不都合を招くようになるのであるが、上記請求項6記載の発明においては、操作軸を縦向き伝動軸の直前方箇所又は直後方箇所に配設するようにしていることから、ミッションケースの左右に配設される作業装置同士の離間距離を大きくすることなく、操作軸を縦向き伝動軸と平行又は略平行に配設できるようになり、もって、左右の作業装置が及ばないミッションケース下方の作業残し領域が大きくなって作業性が低下する不都合が生じることを回避できるようになる。 【0024】〔効果〕従って、作業性の低下を招くことなく、旋回操作性の向上を更に図れる上に、ミッションケースの補強をも図ることのできる歩行型管理機を提供できるようになった。 【0025】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 【0026】図1には歩行型管理機の全体側面が示されており、この歩行型管理機は、空冷式で縦軸型のエンジン1、エンジン1の下部に連設されたミッションケース2、後方に向けて延設された左右一対の操縦ハンドル3、及び、ミッションケース2の左右両側に配設される作業装置の一例である推進車輪兼用の耕耘ロータ4、などによって耕耘作業を行う状態に構成されている。 【0027】図2〜4に示すように、ミッションケース2は、エンジン1の下部に連結される筒状のケース本体2Aと、その底部に接合される底壁部材2Bとから構成されている。ミッションケース2には、エンジン1の出力軸1aを太陽ギヤとする遊星減速装置5、出力軸1aと同一軸芯P1上に配設された縦向き伝動軸6、及び、縦向き伝動軸6の下端に装着されたベベルギヤ式伝動機構7、などが内装されている。又、ミッションケース2の下部には、ミッションケース2から左右の両外側方に向けて突出する横向きの出力軸8が配設されており、この出力軸8の両端に耕耘ロータ4が一体回転するように装着されている。 【0028】遊星減速装置5は、出力軸1a、出力軸1aのスプラインに噛合する3個の遊星ギヤ9、これらの遊星ギヤ9を等間隔に支持する遊星キャリヤ10、及び、これらの遊星ギヤ9を噛合案内するリングギヤ11、などによって構成されており、出力軸1aの回転に伴って、各遊星ギヤ9が公転しながら遊星キャリヤ10に減速伝動することで、遊星キャリヤ10が出力軸1aと同一軸芯P1周りに減速回転駆動されるようになっている。 【0029】図2及び図3に示すように、リングギヤ11は、その外周とそれを保持するミッションケース2の内周との間に径方向の融通を有する状態でミッションケース2に載置支持されている。ミッションケース2には、リングギヤ11の下方に配置される円弧状の摩擦板12Aが装備されており、この摩擦板12Aには、ミッションケース2の内面に形成された凹部2aとの係合で、この摩擦板12Aのリングギヤ11との連れ回りを阻止する凸部12aが形成されている。エンジン1には、リングギヤ11の上方に配置される円弧状の摩擦板12Bを備えるとともに、これら上下の摩擦板12A,12Bでリングギヤ11を上下方向から圧接してミッションケース2に対するリングギヤ11の相対回転を阻止する制動状態と、前記圧接を解除してミッションケース2に対するリングギヤ11の相対回転を許容する非制動状態とを切り換え現出する乗り上がりカム式の操作機構13が装備されている。操作機構13は、上側の摩擦板12Aがビス13aにて固定されるとともに上下方向に変位可能な押圧部材13A、縦軸芯P2周りの回動で押圧部材13Aを押圧する状態と押圧しない状態とに切り換える操作部材13B、操作部材13Bと一体回動する操作アーム13C、及び、操作部材13Bを非制動状態に復帰付勢するバネ13D、などによって構成されるとともに、操作アーム13Cが、図1に示す左側の操縦ハンドル3に装備された操作レバー14に、操作レバー14の操縦ハンドル3側への握り込み操作に伴って、操作部材13Bが押圧部材13Aを押圧操作する側に回転するようにワイヤ連係されている。 【0030】この構成から、操作レバー14を操縦ハンドル3側に握り込み操作すると、リングギヤ11の回転を阻止する制動状態が現出されて各遊星ギヤ9が公転するようになっており、これによって、エンジン1から耕耘ロータ4への伝動が行われるようになる。又、操作レバー14の操縦ハンドル3側への握り込み操作を解除すると、リングギヤ11の回転を許容する非制動状態が現出されて各遊星ギヤ9の公転が阻止されるようになり、これによって、エンジン1から耕耘ロータ4への伝動が遮断されるようになる。 【0031】つまり、リングギヤ11、摩擦板12、及び、操作機構13によって、耕耘ロータ4に対するエンジン1からの伝動を断続する主クラッチ15が構成されている。 【0032】図3及び図4に示すように、遊星減速装置2の遊星キャリヤ10と縦向き伝動軸6との間には変速装置16が介装されている。変速装置16は、縦向き伝動軸6にスプライン嵌合されたシフト部材16Aの縦向き伝動軸6に沿う方向へのシフト操作で、遊星キャリヤ10に縦向き伝動軸6を直結する高速伝動状態〔図4において実線で示す状態〕と、遊星キャリヤ10に一対の変速ギヤ16Bを介して縦向き伝動軸6を伝動連結する低速伝動状態〔図4において二点鎖線で示す状態〕とに切り換え可能に構成されている。シフト部材16Aは、ミッションケース2に横軸芯P3周りに前後揺動可能に支持された変速レバー17の揺動操作で、それと支軸18を介して一体揺動するように連動連結されたシフトフォーク16Cを上下揺動させることによって、縦向き伝動軸6に沿う方向にシフト操作されるようになっている。 【0033】一対の変速ギヤ16Bは、遊星キャリヤ10の周囲に等間隔に配設されるように、ミッションケース2内において縦向き伝動軸6を中心とする対称位置に立設された縦向きの支軸19に回動自在に外嵌装着されている。又、各変速ギヤ16Bは、ミッションケース2から各支軸19に亘って架設されたプレート20によって上下方向への変位が阻止されている。 【0034】図3〜5に示すように、ベベルギヤ式伝動機構7は、縦向き伝動軸6の下部に一体形成された第1ベベルギヤ6Aと、第1ベベルギヤ6Aに噛合する第2ベベルギヤ21とから構成されている。出力軸8は、同一軸芯P4上に配設された左出力軸部8Aと右出力軸部8Bとの2分割構造に構成されている。ベベルギヤ式伝動機構7と出力軸8との間には、左右の出力軸部8A,8Bを独立駆動可能に伝動するサイドクラッチ機構22が介装されている。 【0035】サイドクラッチ機構22は、第2ベベルギヤ21と一体回転する左右向きの筒軸23、左右の各出力軸部8A,8Bにおいて筒軸23に内嵌される内嵌部分8a,8b、筒軸23の周部に形成した左右の貫通孔23a,23bと各内嵌部分8a,8bの外周に形成した凹部8aa,8baとに亘って係入する伝動位置と、凹部8aa,8baから離脱する非伝動位置とに移動可能な左右6個ずつの伝動ボール24、それらの各伝動ボール24を伝動位置に保持する保持位置と左右一方の伝動ボール24の非伝動位置への移動を許容する左右の非保持位置とに亘って摺動可能なホルダ25、及び、ホルダ25を保持位置に復帰付勢する左右一対のバネ26、などによって、単一のシフトフォーク27によるホルダ25の摺動操作で、左右の出力軸部8A,8Bを一体駆動する状態〔図4参照〕と左右一方の出力軸部8A,8Bを独立駆動する状態〔図5参照〕とに切り換え可能なボール伝動式に構成されるとともに、ベベルギヤ式伝動機構7のデッドスペースSに配設されている。 【0036】図1及び図3に示すように、シフトフォーク27は、ミッションケース2内における縦向き伝動軸6の直前方箇所において、縦向き伝動軸6と平行で縦軸芯P5周りに回動自在に配設された操作軸28の下端に固着されている。操作軸28の上端には、ダイカスト製のベベルギヤ29が縦軸芯P5周りに一体回動するように連結されている。ベベルギヤ29には、ミッションケース2に前後軸芯P6周りに回動自在に支持された連係軸30と一体回動するダイカスト製のベベルギヤ31が噛合している。連係軸30の外端には天秤型の連係アーム32が固着されており、連係アーム32の両端は、右側の操縦ハンドル3に装備された操向レバー33にワイヤ連係されている。 【0037】この構成から、作業中に操向レバー33を中立位置から右方向に揺動操作すると、連係アーム32が右回りに揺動し、それによって、シフトフォーク27が右方向に揺動し、ホルダ25を右方向へ摺動させて右出力軸部8Bへの伝動を遮断するようになっており、もって、左出力軸部8Aに装着した耕耘ロータ4の推力による、右出力軸部8Bに装着した耕耘ロータ4側を支点とする右旋回状態を現出でき、又逆に、作業中に操向レバー33を中立位置から左方向に揺動操作すると、連係アーム32が左回りに揺動し、それによって、シフトフォーク27が左方向に揺動し、ホルダ25を左方向へ摺動させて左出力軸部8Aへの伝動を遮断するようになっており、もって、右出力軸部8Bに装着した耕耘ロータ4の推力による、左出力軸部8Aに装着した耕耘ロータ4側を支点とする左旋回状態を現出できるようになっている。つまり、旋回操作時には、機体の小回り旋回などの旋回操作を簡単に行えるようになっており、もって、作業効率の向上を図れるようになっている。 【0038】尚、操向レバー33の揺動操作を解除すると、サイドクラッチ機構22に備えた左右一対のバネ26の付勢により、ホルダ25が保持位置に復帰して左右の出力軸部8A,8Bに伝動するようになっており、もって、左右の出力軸部8A,8Bに装着した各耕耘ロータ4の推力による直進状態を現出できるようになっている。 【0039】図1及び図6に示すように、耕耘ロータ4は、対応する左右の出力軸部8A,8Bに一体回転するように外嵌装着される正転ロータ34と、正転ロータ34に着脱自在に連結される逆転ロータ35とから構成されている。正転ロータ34は、左右の出力軸部8A,8Bに外嵌する爪軸34Aと、爪軸34Aに連結された複数の耕耘爪34Bとから構成されている。逆転ロータ35は、爪軸34Aに一体回転する状態で内嵌される正転軸35A、正転軸35Aに一体形成された正転ギヤ35aに噛合する逆転ギヤ35bが一体形成された逆転軸35B、逆転軸35Bと一体回転する複数の耕耘爪35C、及び、正転軸35Aと逆転軸35Bを支持するとともに正転ギヤ35aと逆転ギヤ35bを覆う支持ケース35D、などによって構成されるとともに、ミッションケース2に連設したヒッチ36に装着された支持フレーム37によって逆転軸35Bの外端部が受け止め支持されるようになっている。 【0040】つまり、逆転ロータ35の着脱で容易に耕耘幅を調節できるとともに、逆転ロータ35の装着時には、正転ロータ34の推力に起因したダッシングを防止できるようになっている。尚、逆転ロータ35の非装着時には、支持フレーム37に代えてヒッチ36に装着する抵抗棒(図示せず)を作業地に押し付けることで、正転ロータ34の推力に起因したダッシングを防止できるようになっている。 【0041】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。 ■ 図7に示すように、サイドクラッチ機構22を、ベベルギヤ式伝動機構7の第2ベベルギヤ21に連動連結された左右向きの筒軸23、左右の各出力軸部8A,8Bにおいて筒軸23に内嵌される内嵌部分8a,8b、筒軸23の周部に形成した左右の貫通孔23a,23bと各内嵌部分8a,8bの外周に形成した凹部8aa,8baとに亘って係入する伝動位置と凹部8aa,8baから離脱する非伝動位置とに移動可能な左右の伝動ボール24、対応する左右いずれかの伝動ボール24を伝動位置に保持する保持位置とその伝動ボール24の非伝動位置への移動を許容する左右いずれか一方の非保持位置とに亘って摺動可能な左右のホルダ25A,25B、及び、それらのホルダ25A,25Bを保持位置に復帰付勢するバネ26、などからなるホルダ分離型のボール伝動式に構成してもよい。 ■ サイドクラッチ機構22として、摩擦クラッチや爪クラッチなどを採用してもよい。 ■ 図8に示すように、歩行型管理機としては、遊星減速装置5の遊星キャリヤ10と縦向き伝動軸6との間に、バネ38の付勢に抗したシフト部材39の上方へのシフト操作で、遊星キャリヤ10を縦向き伝動軸6と一体回転する筒軸40に伝動ボール41を介して伝動連結する伝動状態に切り換わり、かつ、バネ38の付勢によるシフト部材39の下方へのシフト操作で、遊星キャリヤ10と筒軸40との伝動ボール41による伝動連結を解除する非伝動状態に切り換わるように構成されたボール式の主クラッチ42を介装するものであってもよい。 ■ サイドクラッチ機構22を操作する操作軸28を縦向き伝動軸6と略平行に配設するようにしてもよい。 ■ 操作軸28を縦向き伝動軸6の直後方箇所に配設するようにしてもよい。 ■ 出力軸8に装着される作業装置としては、代掻きロータや培土用ロータなどであってもよい。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
|
| 【出願日】 |
平成11年5月14日(1999.5.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
|
| 【公開番号】 |
特開2000−316303(P2000−316303A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月21日(2000.11.21) |
| 【出願番号】 |
特願平11−134266 |
|