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【発明の名称】 コンバインの姿勢制御装置
【発明者】 【氏名】浜田 健二

【氏名】水倉 泰治

【氏名】桐畑 俊紀

【氏名】川渕 博史

【要約】 【課題】手動操作手段を操作中でも迅速かつ確実に自動水平制御に移行することができるコンバインの姿勢制御装置を提供する。

【解決手段】機体の車高を設定する車高設定手段22と、機体を水平に保持する自動水平制御に移行するための水平セット手段26と、左右傾斜角と車高を変更する昇降駆動手段15L,15Rを別々に又は同時に駆動可能な手動操作手段34と、検出値を記憶する記憶手段117とを設けて、左右傾斜角と車高を手動制御し、手動姿勢制御時以外には、自動水平制御又は自動傾斜角制御を行い、制御後に、車高設定手段による設定車高に自動車高制御するコンバインにおいて、手動操作手段を操作終了した時点の左右傾斜角を基準傾斜角として記憶手段に記憶し、手動操作手段を操作中には、基準傾斜角に従い手動操作手段の操作量に応じた手動傾斜角制御を行い、手動傾斜角制御中であっても自動水平制御への移行が容易な水平制御復帰手段を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の左右支持高さを独立して変更可能な左右一対の昇降駆動手段と、前記左右支持高さを検出する車高センサと、水平面に対する機体の左右傾斜角を検出する水平センサとを備え、機体の車高を設定する車高設定手段と、機体を水平に保持する自動水平制御に移行するための水平セット手段と、左右傾斜角と車高を変更する前記昇降駆動手段を別々に又は同時に駆動可能な手動操作手段と、前記検出値を記憶する記憶手段とを設けて、左右傾斜角と車高を手動制御し、該手動姿勢制御時以外にあっては、前記自動水平制御又は自動傾斜角制御を行い、該制御後に、前記車高設定手段による設定車高に自動車高制御するコンバインにおいて、前記手動操作手段を操作終了した時点の左右傾斜角を基準傾斜角として前記記憶手段に記憶し、手動操作手段を操作中には、前記基準傾斜角に従い手動操作手段の操作量に応じた手動傾斜角制御を行い、該手動傾斜角制御中であっても前記自動水平制御への移行が容易な水平制御復帰手段を設けたことを特徴とするコンバインの姿勢制御装置。
【請求項2】 前記水平制御復帰手段として前記手動操作手段を兼用し、該手動操作手段を特定操作することにより自動水平制御への移行を可能としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの姿勢制御装置。
【請求項3】 前記手動傾斜角制御において、機体の左右いずれか一方を基準側とし、該基準側の特定の支持高さを基準高さとして前記記憶手段に記憶し、該基準高さに基準側を保持する一方、反対の反基準側を昇降することにより、左右傾斜角を手動操作手段の操作量に応じた傾斜角に変更したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの姿勢制御装置。
【請求項4】 前記自動水平制御において、機体の左右いずれか一方を基準側とし、該基準側の特定の支持高さを基準高さとして前記記憶手段に記憶し、該基準高さに基準側を保持する一方、反対の反基準側を昇降することにより、機体を水平に設定したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの姿勢制御装置。
【請求項5】 前記反基準側の支持高さが昇降限界高さに達した場合には、該反基準側は昇降限界高さにそのまま保持し、基準側を昇降するようにしたことを特徴とする請求項3又は請求項4記載のコンバインの姿勢制御装置。
【請求項6】 前記自動水平制御において、機体の左右で低い側の支持高さを優先的に上昇させることにより、機体を水平に設定したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの姿勢制御装置。
【請求項7】 前記自動水平制御において、前記左右傾斜角の検出値をもとに制御手段に格納された特定のファジールールに従い駆動出力を求め、該駆動出力を出力規則に基づいて所定の信号を出して、前記昇降駆動手段を左右互いに独立的に作動させることにより、機体を水平に設定したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの姿勢制御装置。
【請求項8】 前記コンバインにおいては、脱穀スイッチ「切」により作業終了制御に移行し、該作業終了制御においては、機体の左右で高い側の支持高さを低い側の支持高さに下降制御したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの姿勢制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右の傾斜角と支持高さの制御が可能なコンバインにおいて、手動姿勢制御中であっても簡単な操作で自動水平制御に移行でき、しかも、次作業前の車高調整の省略も可能とする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のコンバインにおいて、左右傾斜角と車高を自動的に制御する自動姿勢制御では、ボリューム式の傾斜角設定器と車高設定器を配置し、これらの各ダイヤルを回して左右傾斜角と車高を設定し、該設定値が保たれるように左右の昇降駆動手段を自動的に伸縮動作させるようにしていたため、該自動姿勢制御中にオペレータが各設定値を変更したい場合でも、ダイヤル操作を行わねばならず、機体姿勢の迅速な変更が難しく、その上、ダイヤルの設定精度自体も決して高いものではなく、機体姿勢の微調整が容易とはいえなかった。特に、機体を水平に維持するよう設定することにより、刈取作業時に、左右の刈り高さが同一となって穀稈長のバラツキが小さくなり、刈取性能が良好になるとともに、脱穀装置の揺動選別部における被選別物の偏在を少なくして、選別性能の向上が図れるにもかかわらず、従来は、水平状態へ直接的に移行可能な手段は設けられていなかった。
【0003】このような問題を解決するには、次のような手段が考えられる。すなわち、前記ボリューム式の傾斜角設定器をなくし、簡単な操作で車高と左右傾斜角を手動で自在に設定可能な手動操作手段を備えるとともに、機体を一操作で水平に調節可能な水平セット手段も備え、手動操作手段を操作しない場合は、水平セット手段をONにすると、即座に自動水平制御に移行するようにし、水平セット手段がOFFの状態では、常に特定の左右傾斜角に自動制御されるようにし、左右傾斜角が水平若しくは特定の左右傾斜角になった時点で初めて設定車高に自動制御される構成とするのである。すなわち、通常は機体は一定姿勢に自動的に制御され、オペレータが圃場状況や作業内容に適した機体姿勢に変更したい場合にのみ、前記手動操作手段を操作したり、あるいは水平セット手段をONとすることにより、迅速かつ確実に、希望する姿勢に変更できるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなコンバインにおいて、前記手動操作手段による手動傾斜角制御中に機体を水平にしたい場合には、前記水平セット手段をONにする必要があるが、実際の運転中は、通常、一方の手は運転ハンドルの操作に使用しており、手動操作手段を把持している他方の手を一旦離してから前記水平セット手段を操作しなければならず、その間に該手動操作手段が設定位置から外れるなどして操作トラブルが起こりやすく、という問題があった。特に、機体を旋回しながらの自動水平制御に移行する操作には難しいものがあり、この場合、機体が異常に傾倒すると機体損傷の原因ともなる、という問題があった。
【0005】さらに、前記手動傾斜角制御や自動水平制御を、従来のコンバインのように、昇降駆動手段の左右両方を同時にしかも背反的に単純に昇降させることにより、機体を所望の姿勢に維持する構成にすると、左右同時にアクチュエータを駆動させるため、迅速な姿勢制御を行うには所要馬力を大きくしなければならない、という問題があった。
【0006】また、従来のコンバインでは、刈取作業を行わず走行移動する際、すなわち脱穀作業等を終了して路上走行や畦越え等を行う時(以下「作業終了時」とする)は、予め機体の左右両側の支持高さが最下限となるように機体を下降させ、重心高さを低くして走行安定性の確保及び転倒の防止を図ることとしているが、圃場で最下限まで機体を下降させる場合は、圃場の状況、例えば畦際で畦に機体の片方が乗り上げたまま機体を下降させると、機体下部が地面に衝突して損傷を受けたり、圃場が湿田で柔らかすぎると、最下限まで下降させた機体が泥に埋まり込んで走行できなくなる、という問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に課題を解決するための手段を説明する。即ち、請求項1においては、機体の左右支持高さを独立して変更可能な左右一対の昇降駆動手段と、前記左右支持高さを検出する車高センサと、水平面に対する機体の左右傾斜角を検出する水平センサとを備え、機体の車高を設定する車高設定手段と、機体を水平に保持する自動水平制御に移行するための水平セット手段と、左右傾斜角と車高を変更する前記昇降駆動手段を簡単な操作で別々に又は同時に駆動可能な手動操作手段と、前記検出値を記憶する記憶手段とを備えることにより、左右傾斜角と車高を手動制御し、該手動姿勢制御時以外にあっては、前記自動水平制御又は自動傾斜角制御を行い、該制御後に、前記車高設定手段による設定車高に自動車高制御するコンバインにおいて、前記手動操作手段を操作終了した時点の左右傾斜角を基準傾斜角として前記記憶手段に記憶し、手動操作手段を操作中には、前記基準傾斜角に従い手動操作手段の操作量に応じた手動傾斜角制御を行い、該手動傾斜角制御中であっても前記自動水平制御への移行が容易な水平制御復帰手段を設けたことを特徴とするコンバインの姿勢制御装置。
【0008】請求項2においては、請求項1記載の水平制御復帰手段として前記手動操作手段を兼用し、該手動操作手段を特定操作することにより自動水平制御への移行を可能としたものである。
【0009】請求項3においては、請求項1記載の手動傾斜角制御において、機体の左右いずれか一方を基準側とし、該基準側の特定の支持高さを基準高さとして前記記憶手段に記憶し、該基準高さに基準側を保持する一方、反対の反基準側を昇降することにより、左右傾斜角を手動操作手段の操作量に応じた傾斜角に変更したものである。
【0010】請求項4においては、請求項1記載の自動水平制御において、機体の左右いずれか一方を基準側とし、該基準側の特定の支持高さを基準高さとして前記記憶手段に記憶し、該基準高さに基準側を保持する一方、反対の反基準側を昇降することにより、機体を水平に設定したものである。
【0011】請求項5においては、請求項3又は請求項4記載の反基準側の支持高さが昇降限界高さに達した場合には、該反基準側は昇降限界高さにそのまま保持し、基準側を昇降するようにしたものである。
【0012】請求項6においては、請求項1記載の自動水平制御において、機体の左右で低い側の支持高さを優先的に上昇させることにより、機体を水平に設定したものである。
【0013】請求項7においては、請求項1記載の自動水平制御において、前記左右傾斜角の検出値をもとに制御手段に格納された特定のファジールールに従い駆動出力を求め、該駆動出力を出力規則に基づいて所定の信号を出して、前記昇降駆動手段を左右互いに独立的に作動させることにより、機体を水平に設定したものである。
【0014】請求項8においては、請求項1記載のコンバインにおいては、脱穀スイッチ「切」により作業終了制御に移行し、該作業終了制御においては、機体の左右で高い側の支持高さを低い側の支持高さに下降制御したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施例を説明する。図1は本発明に係るコンバインの全体構成を示す側面図、図2はクローラ式走行装置の側面一部断面図、図3は同じく部分側面一部断面図、図4は同じく部分平面図、図5は車高センサとストロークセンサと昇降シリンダとの連動構成を示す側面図、図6は同じく平面図、図7はオーガの駆動構成を示す側面図、図8は同じく平面図、図9は制御ブロック図、図10は姿勢制御手段を示す制御ブロック図、図11はオーガ旋回制御手段を示す制御ブロック図、図12は操作盤の構成例を示す平面図、図13は操作盤の一部拡大斜視図、図14は姿勢制御のフローチャート図、図15は別実施例の姿勢制御のフローチャート図、図16は手動姿勢制御のフローチャート図、図17は手動傾斜角制御のフローチャート図、図18は自動傾斜角制御のフローチャート図、図19は自動水平制御のフローチャート図、図20は右支持高さ上昇処理のフローチャート図、図21は左支持高さ上昇処理のフローチャート図、図22は右支持高さ上昇処理のフローチャート図、図23は作業終了制御のフローチャート図、図24は本発明のの作業終了制御の説明図であり、(a)は制御前を示す説明図、(b)は制御後を示す説明図である。
【0016】まず、コンバインの全体構成について、図1乃至図8により説明する。図1、図7、図8に示すように、コンバイン1の機体2前部には、引起し装置や、該引起し装置で引き起こされた穀稈を刈り取る刈取装置や、脱穀装置35に穀稈を搬送する搬送装置等からなる刈取部3が配置され、該刈取部3は刈取フレーム4によって支持され、昇降回動可能としている。前記機体2には刈取部支持軸5が回動可能に左右水平方向に横架されており、上記刈取フレーム4は該刈取部支持軸5に固設されていて、刈取部3が該刈取部支持軸5を中心に上下揺動可能な構成としている。そして、刈取フレーム4には刈り高さ調節用昇降シリンダ6が連結され、該シリンダ6の伸縮作動により刈取部3が上下に昇降駆動される構成としている。
【0017】そして、図2乃至図4に示すように、前記機体2下部の左右一対のクローラ式走行装置7L・7Rは、機体前下部の走行ミッション装置81を介して機体フレーム8前側方に配置した駆動スプロケット10、前記機体フレーム8に後述の揺動リンク機構82を介して連結したトラックフレーム9、該トラックフレーム9に取り付けた複数個の遊転輪12・12・・・及びテンションスプロケット11と、これらの駆動スプロケット10及び遊転輪12・12・・・及びテンションスプロケット11との外周面にゴム製のクローラベルト83を巻回して成り、前記走行ミッション装置81からの動力により駆動スプロケット10を駆動してクローラベルト83を回転駆動するようにしている。
【0018】図3、図4により、前記揺動リンク機構82について説明する。機体フレーム8の前後下部に固設した連結横フレーム84・85の内側に軸受86・87を設け、該軸受86・87に支軸88・89が横架されている。前後の両支軸88・89には揺動リンクとなる前後ベルクランクリンク13a・13bの中央部が枢支され、該ベルクランクリンク13a・13bは側面視略L型に形成されている。該ベルクランクリンク13a・13bの後下部にトラックフレーム9より突出した前後横枢支軸90・91が枢支され、ベルクランクリンク13a・13bの上部間には連結部材92が介装され、該連結部材92に昇降駆動手段となるアクチュエーターとして姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを連結して駆動力を伝達し、両ベルクランクリンク13a・13bを支軸88・89を中心に回動させ、トラックフレーム9を機体フレーム8に対して昇降するのである。この時、左右のクローラ式走行装置7R・7Lのトラックフレーム9を同方向に昇降させることで機体の車高が調整され、左右のトラックフレーム9を別々に昇降させることで前記傾斜角制御や水平制御が行われるのである。
【0019】ここで、図3乃至図6により、前記ベルクランクリンク13a・13bの回動及びその初期位置について説明する。前記連結部材92は、図3、図4に示すように、前後ベルクランクリンク13a・13b上端部の一方(本実施例において前方)に伸縮自在なロッドを構成する前連結ロッド14aの一端に固設したブラケット93が枢結ピン94を介して枢支され、該前連結ロッド14aの他端にネジ溝が穿設されて筒状のターンバックル14b一端内に螺入され、ターンバックル14b他端内に後連結ロッド14cのネジ溝を穿設した前部が螺入され、該後連結ロッド14c他端(後端)が連結プレート95を介して、ベルクランクリンク13b(若しくは13a)に連結されている。この連結部材92の全長は、ターンバックル14b内への前連結ロッド14a及び後連結ロッド14c端部の螺合位置を調整することで連結部材92の全長を伸縮調節可能としている。
【0020】該連結部材92を構成する連結プレート95に昇降用のアクチュエーターとしての姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの作動側(伸縮ロッド)が連結され、該姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを駆動することでベルクランクリンク13a・13bに昇降回動されるのである。すなわち、前記連結プレート95は、図5、図6に示すように、板体を側面視で略Z型に形成して平行状に二枚一組としており、後連結ロッド14cの途中部より後下方向きに屈曲された後連結ロッド14c後部に沿って連結プレート95前下部が固設され、この後連結ロッド14c後部の傾斜に沿って姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rが後下がり傾斜状に配置されるようにしている。この姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rは基部側が機体フレーム8に固設したブラケット96に支点ピン97を介して枢結され、該姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸縮ロッド先端が連結プレート95の後部間に枢支ピン98を介して枢支されている。さらに、前記連結プレート95の後部に前記ベルクランクリンク13bの上端部が連結ピン51を介して枢結されている。そして、このベルクランクリンク13bと姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸縮ロッド先端が連結プレート95に枢支される枢支ピン98および連結ピン99位置は、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの略延長線上に位置するように配設している。
【0021】従って、従来は、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸長初期は支軸89に枢支されるベルクランクリンク13bと姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸縮方向とは直角の位置となっており、伸長するに従って両者の間の角度は鋭角となり、無駄に力を必要していたが、本発明の実施例においては、最も頻繁に車高制御を行う少し高く上げた位置で、両者が直角となるようにしており、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rからの力が効率良く確実にベルクランクリンク13bに伝わるようになっている。また、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの推力作用線と連結プレート95とベルクランクリンク13bの枢支位置(連結ピン99)の軌跡(力のかかる作用点の軌跡)を略一致させており、連結プレート95にかかる曲げ応力を小さくして耐久性も高めているのである。
【0022】なお、前記姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rには、図5、図6に示すように、シリンダの伸縮動作を検出するストロークセンサ17L・17Rを設けている。すなわち、前記姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸縮ロッド端部は連結プレート95上端より上方に突出され、この突出された上部に係合部材としての略U字型に形成した係合リング100が固設されている。該係合リング100には、機体フレーム8側に固設したポテンショメータ等よりなるストロークセンサ17L・17Rのセンシングアーム17aがリンク機構を介することなく直接に挿入係合されている。このストロークセンサ17L・17Rで姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸縮量が検出され、この検出値が後述する制御手段となるコントローラ18に入力されて演算され、ベルクランクリンク13a・13bの回動量、即ち、車高が求められるのである。
【0023】ここで、前記センシングアーム17aを係合するU型の係合リング100は、姿勢制御用昇降シリンダ15Rの伸縮ロッド先端部側面にループ状に固設されているため、剛性が高められて変形が防止され、センシングアーム17aを介し車高センサ17で正確に車高を求めることができる。さらに、該係合リング100はセンシングアーム17aを直接係合されているため、従来のように複数のリンク機構をなくして部品を少なくすることができ、コストを削減すると同時にその分スペース的に有利な構成とすることができる。また、図1に示すように、機体2の適宜位置には水平センサ16を配置しており、該水平センサ16により機体2の左右傾斜角を検出することとしている。
【0024】また、図7、図8に示すように、前記脱穀装置35においては、搬送装置によって搬送された穀稈の株元をフィードチェーン36によって挟持して後方へ搬送しながら、扱胴37によって脱粒が行われる。脱殻装置35の下部には選別装置が配置され、該選別装置によって選別された後の二番物は再度前記扱胴37又は処理胴へ還元され、籾は一番コンベアや揚穀コンベア38を介して操作部19の後部に配置したグレンタンク39に搬送される。該グレンタンク39内の下部に下部コンベア40が前後方向に設けられ、該下部コンベア40はスクリューコンベアより構成され、該下部コンベア40の後端が穀粒を排出する排出用のオーガ41に連通され、該オーガ41は縦送りする縦オーガ筒42と、その上部に水平方向に連通される横オーガ筒43より構成されている。
【0025】該縦オーガ筒42と横オーガ筒43とは筒内にスクリューコンベアを収納し、横オーガ筒43の先端には排出口44を設け、前記下部コンベア40の他端にエンジン45から動力伝達機構等を介して動力が伝達され、オーガ41内のコンベアを駆動する構成としている。この駆動によりグレンタンク39内の穀粒が下部コンベア40及びオーガ41を介して排出口44より排出されるのである。そして、前記縦オーガ筒42の上部に横オーガ筒43の基部が上下回動自在に連通して取り付けられ、該縦オーガ筒42と横オーガ筒43の間には昇降シリンダ46とオーガ昇降センサ76が介装され、昇降シリンダ46を伸縮駆動することにより横オーガ筒43を上下回動させ、排出口44の高さを調節することができ、その高さはオーガ昇降センサ76で検知される。
【0026】また、前記縦オーガ筒42は下部パイプ42aと上部パイプ42bに分割され、下部パイプ42a上に上部パイプ42bが回転自在に支持され、両者の間にオーガ回動センサ75が配置されて、下部パイプ42aの他端がグレンタンク39の後面に固設され、上部パイプ42bの中途部外周に大径ギア47が一体的に固設され、該大径ギア47には図11の旋回モータ48の出力軸に固設した小径ギアを噛合させ、該旋回モータ48の駆動によって小径ギアが回動されて、大径ギア47を介して縦オーガ筒42が回転され、横オーガ筒43が水平方向に旋回されるのである。そしてこの回動はオーガ回動センサ75で検知される。また、前記脱穀装置35上側で機体の対角線方向位置にはオーガレスト49が配置され、横オーガ筒43の中途部を支持できるようにしており、この位置を収納位置としている。
【0027】次に、以上のような全体構成からなるコンバインにおける姿勢制御手段とオーガ旋回制御手段について、その制御構成を図1、図9乃至図13により説明する。図9に示すように、姿勢制御手段32とオーガ旋回制御手段33は共にコントローラ18と接続され、いずれもスイッチ・センサー類部32a・33aと駆動部32b・33bとから構成されている。
【0028】このうち、まず姿勢制御手段32について、図1、図10、図12、図13により説明する。上記ストロークセンサ17L・17Rと水平センサ16はコントローラ18に接続されており、前述の如く、該コントローラ18はストロークセンサ17L・17Rの検出値から機体2の車高を算出するようにしている。そして後で詳述する傾斜角制御においては、コントローラ18は、水平センサ16の検出値から得られる機体2の左右傾斜角が所定の設定値となるようにし、車高制御においては、算出した機体の地面に対する高さが所定の設定値となるように、両姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを伸縮制御するものとする。
【0029】図12、図13に示すように、前記コンバインの操作部19には、操縦座席118が配設され、該操縦座席118の前方には操縦ハンドル112が配置され、該操縦ハンドル112の左横の操作部パネル113上には操作盤20が設けられている。さらに、前記操縦座席118の左横には、エンジン45に接続された前記ミッション装置81からの出力回転数を変速させる主変速レバー114と副変速レバー115とが配設され、該主変速レバー114の把持部の側面にはショートジョブスイッチ116が設けられている。
【0030】該ショートジョブスイッチ116はコントローラ18に接続されており、該コントローラ18は、後述する自動傾斜角制御中にショートジョブスイッチ116が押されている間だけ、該自動傾斜角制御を中断して自動水平制御に移行し、ショートジョブスイッチ116を離すと、再び自動傾斜角制御に復帰するように制御しており、これにより、畦際等で機体の一方を上げて刈り取り中に、短時間だけ水平箇所を刈り取りしたいなどといった小まめな左右傾斜角の変更を、オペレータが通常操作する主変速レバー114に設けたショートジョブスイッチ116の操作で迅速に実行できるようにしている。
【0031】また、前記操作盤20にはボリューム式の車高設定器22が配置され、該車高設定器22のツマミを回すことによって姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを伸縮させ、機体2の車高を調節できるようにしている。該車高設定器22はコントローラ18に接続され、該コントローラ18はその設定値を読み取って、該設定値を基に上記の如く姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを伸縮制御するのである。
【0032】前記の刈取部支持軸5の適宜位置には角度センサ等からなる刈取部昇降センサ23を設けて刈取部3の機体2に対する相対的な高さを検出することとしている。また、機体2の正面視中央位置かつ刈取装置下面には超音波センサ等からなる刈り高さセンサ24を設けており、刈取装置の地面に対する絶対高さ(即ち、穀稈の刈取高さ)を検出することとしている。これら二つのセンサ23・24及び前記の刈り高さ調節用昇降シリンダ6は前記コントローラ18に接続されており、刈り高さセンサ24の検出値が所定の設定値となるように刈り高さ調節用昇降シリンダ6を伸縮制御することとしている。前記操作部19には刈り高さ設定器25が設けられていて、このツマミを回すことによって穀稈の刈取高さを調節できるようにしている。この刈り高さ設定器25は前記コントローラ18に接続され、コントローラ18は該刈り高さ設定器25の設定値に基づいて上記の如く刈り高さ調節用昇降シリンダ6を伸縮制御する。
【0033】前記操作盤20には、さらに自動姿勢制御中であってもオペレータの判断で迅速に自動水平制御に移行する水平セットスイッチ26が設けられ、該水平セットスイッチ26は前記コントローラ18に接続されている。コントローラ18は、該水平セットスイッチ26の「ON・OFF」を検出して、その検出結果を基に、自動による水平制御を行うか水平以外の傾斜角制御を行うかを選択するのである。なお、水平セットスイッチ26は、ワンプッシュで機構的にプッシュ状態を保持し、改めてプッシュすると初期状態に復帰するという、いわゆるセルフロックスイッチとしている。
【0034】また、該水平セットスイッチ26とは別に、種々の作業姿勢に迅速かつ臨機応変に対応すべく、自動姿勢制御中であっても強制的に自動姿勢制御から手動姿勢制御への制御方式の切替えが可能な手動操作手段である手動操作レバー34を設け、コントローラ18に接続している。該手動操作レバー34は、前後左右に傾倒可能であり、前方に傾倒することにより、両姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを同時に縮めて車高を下降させ、後方に傾倒することにより、両姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを同時に伸ばして車高を上昇させるものである。また、左方に傾倒させると、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの両方又は一方を伸縮制御して左傾斜させ、右方に傾倒させると同様にして右傾斜させることができ、一本の操作レバーにより、車高と左右傾斜角の手動操作が可能な構成となっている。そして、車高の昇降量は手動操作レバー34の前後傾倒角及び前後傾倒保持時間に比例して変化し、左右傾斜角も手動操作レバー34の左右傾倒角及び左右傾倒保持時間に比例して変化するよう、前記コントローラ18によって制御されており、さらに、手動操作レバー34を操作する度に、左右傾斜角と基準側の支持高さとがメモリ117上に記憶、更新され、各記憶値は後述の自動傾斜角制御、自動車高制御において読み出して使用できるようにしている。
【0035】一方、オーガ旋回制御手段33について、図1、図11により説明する。前記操作部19に上昇スイッチ50と下降スイッチ51、左旋回スイッチ52と右旋回スイッチ53、及びオーガクラッチ入切スイッチ54が設けられ、また、旋回モータ48にはオーガ回動センサ75、さらに前記昇降シリンダ46にはオーガ昇降センサ76とオーガ上限スイッチ111が設けられており、いずれも前記コントローラ18と接続されている。前記オーガ回動センサ75、オーガ昇降センサ76はポテンショメータやロータリーエンコーダ等で構成されている。該コントローラ18には駆動ユニット55を介して旋回モータ48が接続され、該旋回モータ48は前記旋回スイッチ52・53を操作することにより正逆転駆動されて横オーガ筒43が旋回される構成となっている。また、コントローラ18には前記昇降シリンダ46への圧油の送油を切替えるための電磁バルブ56が接続され、該電磁バルブ56は前記昇降スイッチ50・51を操作することにより切替えられ、前記横オーガ筒43を昇降できるようにしている。
【0036】また、旋回時にオーガが慣性で回転しないように、旋回モータ48停止時に制動をかけるオーガクラッチを入切するためのモータまたはソレノイド又はシリンダ等より構成されるアクチュエータ57と接続されており、前記オーガクラッチ入切スイッチ54を操作することによって、該アクチュエータ57が作動され、オーガクラッチを「入」として下部コンベア40を駆動してグレンタンク39内の穀粒を排出したり、「切」として駆動を停止することができる。なお、オーガ旋回制御のための操作盤は、このような機体2上に限定されるものではなく、図7のように、オーガ41を使った作業の際に操作しやすい位置、たとえば排出口44側面等に設けることもできる。
【0037】さらに、このような昇降と旋回を行うオーガ41の水平回動位置及び昇降高さは、前記オーガ回動センサ75及びオーガ昇降センサ76により検出され、コントローラ18においてオーガ41が非作業範囲にあるか否かが判断される。なお、ここで非作業範囲とは、オーガ41を使用して排出作業が不可能な範囲であり、たとえ機体2を下降制御しても、該機体2上に設置されたオーガ41が、図7に示すように、トラック58や作業者77に接触するといったトラブルが発生しないオーガ41の水平回動位置及び昇降高さを意味する。
【0038】ここで、以上のような全体構成からなる機体の姿勢制御について、その概要を図14、図15により説明する。なお、図中のYは菱形の判断記号中の条件と一致する場合(YES)であり、Nは一致しない場合(NO)を意味する。図14に示した実施例においては、刈取作業中は、脱穀クラッチレバーの近傍に設けた図10に示す脱穀スイッチ28を「入」にし(S1:Y)、前記手動操作レバー34を前後左右のいずれかに傾倒して手動操作を「ON」にすると(S2:Y)、該手動操作レバー34に接続された前記コントローラ18がそれを検出して、手動姿勢制御120に移行する。
【0039】手動操作レバー34を操作しない状態では(S2:N)、直前の手動姿勢制御120における後述の手動傾斜角制御が完了した時点でメモリ117に記憶された基準傾斜角が読み込まれ(S21)、該基準傾斜角に設定されるように自動傾斜角制御122が行われる。また、手動操作レバー34を操作しない状態で(S2:N)、さらに前記水平セットスイッチ26を押して「ON」にすると(S5:Y)、水平セットスイッチ26に接続された前記コントローラ18がそれを検出して、自動水平制御121に移行するのである。
【0040】このようにして移行した自動水平制御121若しくは自動傾斜角制御122が完了した時点で、コントローラ18は前記水平センサ16からの信号を基に目標傾斜角に設定できたか否かを判断し(S7)、設定できていないと判断した場合には(S7:N)自動車高制御123に移行せず、設定できたと判断した場合に初めて(S7:Y)前記車高設定器22で設定した設定車高が読み込まれ、該設定車高となるように自動車高制御123が実行されるのである。すなわち、通常の刈取作業時にあっては、水平セットスイッチ26を「ON」にせずとも自動で傾斜角制御122や車高制御123が行われるため、オペレータは操縦の大部分を機械任せにすることができて運転操作が非常に楽となり、高齢者や初心者にも優しい操作性を実現しているとともに、機体の自動水平制御121や自動傾斜角制御122などの左右傾斜角関連の制御が車高の制御よりも優先的に行われるため、圃場面に多少の凹凸があっても機体を迅速に水平若しくは基準傾斜角に変更し保持することができ、円滑な刈取作業や脱穀作業を実施することができる。
【0041】なお、前記水平セットスイッチ26を押さずに自動傾斜角制御122が繰り返されている途中で、前記ショートジョブスイッチ116を押して「ON」にすると、前述のように、その間だけ自動水平制御121に移行し、ショートジョブスイッチ116を離すと「OFF」となり、再び自動傾斜角制御122に復帰する構成となっている。
【0042】また、脱穀スイッチ28が「切」(S1:N)で、しかもオーガ41が前記非作業範囲内の非作業位置にある場合には(S3:Y)、作業終了制御119に移行し、オーガ41が非作業位置にない場合には(S3:N)、前記旋回スイッチ52・53操作による横オーガ筒43の旋回、または前記昇降スイッチ50・51操作により横オーガ筒43の昇降によって、オーガ41を非作業位置に移動させるのである。
【0043】ここで、図15には、図14の実施例において自動傾斜角制御122を省略した態様の別実施例を示すが、該別実施例の場合は、前記水平セットスイッチ26が「OFF]状態の場合にはそのままリターンされる構成となっている。すなわち、前記手動操作レバー34を操作すると、その操作量に応じて左右傾斜角や車高が変更され、手動操作レバー34を操作しない場合は、姿勢はそのままで変化しない。水平セットスイッチ26を「ON]にして初めて、自動水平制御121や自動車高制御123が実行されるのである。従って、通常の刈取作業時にあっては、左右の支持高さや車高は特に変更されず、オペレータが畦際などで姿勢変更が必要と判断した場合や機体を水平にして刈取高さを均一にしたい場合にのみ、手動操作レバー34や水平セットスイッチ26を「ON」にすればよく、図14に示した前記実施例に比べ、制御構成を一層単純化できるとともに、オペレータの判断をより迅速に作業に反映させることができる。
【0044】次に、各制御の内容について説明する。なお、以下に述べる制御のうち、機体の左右一方の側の支持高さを基準とした基準側支持高さをもとに行う場合については、本実施例では、分かりやすいように、右側の支持高さ(=右支持高さ)を基準とした制御について示す。従って、左側の支持高さ(=左支持高さ)を基準とする場合については左右を逆に考えて適用すればよい。
【0045】まず、前記手動姿勢制御120についてであるが、前述の如く手動操作レバー34を左右または前後に傾倒させて手動操作を「ON」にした後(S2:Y)、図16に示すように、さらに手動操作レバー34を左右に傾倒させると(S10:左右)手動傾斜角制御127が実行される。該手動傾斜角制御127が完了すると、完了時点での左右傾斜角を、前記コントローラ18が前記水平センサ16から読み込み、前記メモリ117に基準傾斜角として記憶する(S24)。該基準傾斜角は手動傾斜角制御127が実行し完了する度に上書きされ、常に更新されるようにしている。一方、前記手動操作レバー34を前後方向に傾倒すると、制御が自動水平制御136に移行して機体が水平に制御される。その上で、手動操作レバー34に接続された前記コントローラ18が傾倒方向と傾倒量を検出して、該検出の結果に基づき、前記姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを制御バルブを介して同時に伸長(縮小)作動させ、車高を昇降させる手動車高制御129を行う。該手動車高制御129が完了すると、完了時点での基準側の機体の支持高さが、既に記憶されている前記メモリ117内の基準高さに上書きされ、新たな基準傾斜角として記憶される(S25)。
【0046】すなわち、たとえ手動操作レバー34を左右に傾倒し手動傾斜角制御127を実行している最中であっても、把持した手動操作レバー34を前後に傾倒させるだけで、手動傾斜角制御127が解除され、迅速かつ確実に自動水平制御136に移行させることができるのである。ただし、本実施例においては、手動傾斜角制御127から自動水平制御136に移行させる水平制御復帰手段として、手動操作レバー34を用いたために、手動姿勢制御120中の車高調節は必ず水平状態で行うこととなる。しかしながら、車高調節を左右に傾倒した状態で行いたい場合には、車高設定器22で所望の車高を設定する一方、手動操作レバー34で所望の左右傾斜角まで機体を傾倒させ、該左右傾斜角を基準傾斜角としてメモリ117に記憶させた後、手動操作レバー34の操作を中止するだけで、自動傾斜角制御122と次の自動車高制御123が実行されている間に、自動的に設定車高への車高調節が基準傾斜角に保持された状態で行われるようにすることができる。なお、水平制御復帰手段は、前記ショートジョブスイッチ116のようなスイッチを、手動操作レバー34把持部の側面に付設することも可能であり、手段形態として特に限定されるものではない。
【0047】前記手動傾斜角制御127とは、前記手動操作レバー34を操作し、該手動操作レバー34の傾倒方向と傾倒量に従ってコントローラ18が算出した左右傾斜角(以下「レバー操作傾斜角」とする)まで機体を傾斜させる制御であり、図17に示すようにして行う。すなわち、まず機体に取り付けた水平センサ16により機体の左右傾斜角を検出し、該左右傾斜角を前記レバー操作傾斜角と比較する(S44)。該レバー操作傾斜角と異なる場合において(S44:N)、基準側と反対側の車高である左支持高さが上限にあり(S11:Y)、しかも右支持高さが前記基準高さにあって、左(下がり)傾斜させる場合は(S14)、左支持高さ昇降制御となり、左支持高さが下降され、右支持高さは停止(固定)される。そして、右(下がり)傾斜させる場合は、左側を上げることができないので、右支持高さ昇降制御となり、左支持高さを停止し、右支持高さを下降させる(S15乃至S17)。
【0048】左支持高さが下限にあり(S12:Y)、右支持高さが前記基準高さにあって、右(下がり)傾斜させる場合には(S13)、左支持高さ昇降制御となり、左支持高さが上昇され、右支持高さは停止される。そして、左(下がり)傾斜させる場合は、左側を下げることができないので、右支持高さ昇降制御となり、左支持高さを停止し、右支持高さを上昇させる(S15乃至S17)。そして、左支持高さが上限でも下限でもない場合(S12:N)で、右支持高さが基準高さの場合は、左支持高さ昇降制御となり、また、右支持高さが基準高さでない場合には右支持高さ昇降制御となり、前記同様に制御されてレバー操作傾斜角とするのである。
【0049】また、前記自動傾斜角制御122とは、図18に示すように、前記手動傾斜角制御127と制御方式は基本的には同じであるが、所望の左右傾斜角になるように手動操作レバー34を傾倒するのではなく、現在に左右傾斜角が直前の手動傾斜角制御127で記憶した前記基準傾斜角に一致もしくは近い値か否かを判断し(S18)、そうでなければコントローラ18から傾斜出力が続くようになっているのである。さらに、前記手動傾斜角制御127時には、車高出力を逐次的に連続駆動で行うのに対し、この自動傾斜角制御122時には、現在の傾斜が目標値に対してかけ離れている場合には連続駆動で傾斜速度を速くし、傾斜が目標値に近づくとパルス駆動(所謂PWM制御)に切り替えて傾斜速度を遅くし、手動傾斜角制御127時なみに設定精度を高めるようにしている。
【0050】前記自動水平制御121・136についても、図18に示すように、自動傾斜角制御122と同じく、基本的には前記手動傾斜角制御127と制御方式は同じであり、完全水平もしくは略水平となるまで、コントローラ18から傾斜出力が続くとともに、現在の傾斜が水平状態からかけ離れている場合には連続駆動で傾斜速度を速くし、傾斜が水平に近づくとPWM制御に切り替えて傾斜速度を遅くして精度よく水平状態に移行できるようにしている。
【0051】ただし、この自動水平制御121・136については上昇優先制御方式を採用してもよい。該上昇優先制御方式とは、湿田や畦際での作業時に、機体の一方が下降するように水平制御されて機体の下部が湿田や圃場に突っ込み走行困難となることを未然に防止するため、機体の左右で低い側の支持高さを優先的に上昇させて機体を水平状態に移行させる方式である。すなわち、図19に示すように、機体が水平でなく(S31:N)、右に傾斜している場合(S32:Y)には、右支持高さが機構的に上昇可能な限界の車高である上限高さにない限り、該右支持高さを優先的に上昇させる右支持高さ上昇処理131を行い、逆に、左に傾斜している場合には(S32:N)、左支持高さが上限高さにない限り、該左支持高さを優先的に上昇させる左支持高さ上昇処理132を行う。ただし、左に傾斜した場合でも、右支持高さが基準高さよりも高い場合には、該右支持高さを下降させる右支持高さ下降処理133を行う。
【0052】このうち、右支持高さ上昇処理131について図20に示す。機体は右に傾斜しているため、右支持高さが上限高さにある場合を除き(S34:N)、該右支持高さを上昇させる(S37)。このように、傾斜した機体において低い側を上昇させることにより、全体の車高が下降して機体の下部が湿田に突っ込み、該機体下部に泥がつかえて走行困難となる等といった最悪の事態を未然に防止することができる。ただし、右支持高さが上限高さの場合には(S34:Y)、左支持高さが下限高さにない限り(S35:N)、該左支持高さを下降させることにより(S36)、機体を水平に制御する。この場合は、右支持高さが上限高さにあることから考え、機体全体が地上から高い位置にあると判断されるため、たとえ左支持高さを下降させても、前述のような事態は発生しないのである。
【0053】前記左支持高さ上昇処理132は、図19、図21に示すように、機体は左に傾斜し(S32:N)、しかも右支持高さが前記基準高さよりも低い場合である(S33:N)。この場合には、左支持高さが上限高さでない限り(S38:N)、該左支持高さを上昇させることにより(S39)、機体を水平に保つように制御する。すなわち、前記右支持高さ上昇処理131と同様、傾斜した機体において低い側を上昇させることにより、機体の下部が圃場に突っ込んで機体下部が地面に接触して損傷したり、機体下部が地面に乗り上げて走行不能となるといった事態を防止することができる。
【0054】また、前記右支持高さ下降処理133については、図19、図22に示すように、機体は左に傾斜しており(S32:N)、しかも右支持高さが前記基準高さよりも高い場合である(S33:Y)。この場合には、右支持高さが下限高さでない限りは(S40:N)、右支持高さを下降させる(S43)。すなわち、右支持高さが基準高さ108よりも高いことから考え、機体全体が地上よりかなり高い位置にあると判断されるため、たとえ右支持高さを下降させても、前述のような事態は発生しないのである。一方、右支持高さが下限高さの場合には(S40:Y)、左支持高さが上限高さにない限り(S41:N)、該左支持高さを上昇させて水平制御を行うのである(S42)。
【0055】なお、これまで詳述した自動水平制御121・136、自動傾斜角制御122はもとより、前記自動車高制御123を含む自動制御すべてに、いわゆるファジー制御方式を適用することも可能である。ファジー制御とは、水平センサ16により検出された機体の左右傾斜角の検出値をもとに、コントローラ18に格納された特定のファジールールに従って駆動出力を求め、該駆動出力を特定の出力規則に基づいて所定の傾斜出力または車高出力とし、前記姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを左右互いに独立的に作動させる制御方式である。すなわち、たとえ姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを左右同時に作動させる場合であっても、最も低負荷かつ短時間に機体を水平または基準傾斜角に設定し保持できるようにするため、従来のコンバインのように、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを同時に単純に昇降させる場合とは異なり、迅速な姿勢制御であってもそれほど馬力を大きくする必要がない。
【0056】作業終了制御119については、図14、図23、図24に示すように、オーガ41が非作業位置にあり(S3:Y)、しかもコンバインの終了位置の状況、例えば前述のように湿田や畦際に機体の片側が沈み込んだり乗り上げることもなく、刈取作業を終了してもよいと判断した場合において(S19:Y)、前記水平センサ16で検出した左右の支持高さを比較し、右支持高さの方が左支持高さよりも高い時に(S20:Y)、右支持高さを機体が地面に平行になるまで下降させる(S26)。逆に、左支持高さの方が右支持高さよりも高い時には(S20:N)、左支持高さを機体が地面に平行になるまで下降させる(S27)。
【0057】このように、作業終了時に車高を低下させるにあたり、左右の低い方の支持高さまでにしか降下させないようにしたため、従来のように、最下限まで機体を降下させる場合とは異なり、機体下部が地面に衝突したり、あるいは埋まり込み走行できなくなるといったトラブルが回避できると共に、機体の重心高さを適度に低くし、路上走行や畦越え等の際の走行安定性の確保や転倒の防止を図ることができるのである。
【0058】
【発明の効果】本発明は以上如く構成したので、次のような効果を奏するのである。すなわち、請求項1においては、機体の左右支持高さを独立して変更可能な左右一対の昇降駆動手段と、前記左右支持高さを検出する車高センサと、水平面に対する機体の左右傾斜角を検出する水平センサとを備え、機体の車高を設定する車高設定手段と、機体を水平に保持する自動水平制御に移行するための水平セット手段と、左右傾斜角と車高を変更する前記昇降駆動手段を簡単な操作で別々に又は同時に駆動可能な手動操作手段と、前記検出値を記憶する記憶手段とを備えることにより、左右傾斜角と車高を手動制御し、該手動姿勢制御時以外にあっては、前記自動水平制御又は自動傾斜角制御を行い、該制御後に、前記車高設定手段による設定車高に自動車高制御するコンバインにおいて、前記手動操作手段を操作終了した時点の左右傾斜角を基準傾斜角として前記記憶手段に記憶し、手動操作手段を操作中には、前記基準傾斜角に従い手動操作手段の操作量に応じた手動傾斜角制御を行い、該手動傾斜角制御中であっても前記自動水平制御への移行が容易な水平制御復帰手段を設けたので、たとえ手動操作手段を操作中であっても迅速かつ確実に自動水平制御に移行することができ、刈取性能や選別性能の向上を図ることができる。
【0059】請求項2においては、請求項1記載の水平制御復帰手段として前記手動操作手段を兼用し、該手動操作手段を特定操作することにより自動水平制御への移行を可能としたので、特に新たな装置を増設することなく、手動操作手段操作中における自動水平制御への移行を迅速かつ確実に行うことができる。
【0060】請求項3においては、請求項1記載の手動傾斜角制御において、機体の左右いずれか一方を基準側とし、該基準側の特定の支持高さを基準高さとして前記記憶手段に記憶し、該基準高さに基準側を保持する一方、反対の反基準側を昇降することにより、左右傾斜角を手動操作手段の操作量に応じた傾斜角に変更したので、姿勢制御するためのアクチュエータの駆動に必要な所要馬力を小さくすることができ、機体の小型化および生産コストの低減を図ることができる。
【0061】請求項4においては、請求項1記載の自動水平制御において、機体の左右いずれか一方を基準側とし、該基準側の特定の支持高さを基準高さとして前記記憶手段に記憶し、該基準高さに基準側を保持する一方、反対の反基準側を昇降することにより、機体を水平に設定したので、姿勢制御に必要な所要馬力を小さくすることができ、機体の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0062】請求項5においては、請求項3又は請求項4記載の反基準側の支持高さが昇降限界高さに達した場合には、該反基準側は昇降限界高さにそのまま保持し、基準側を昇降するようにしたので、片側の昇降のみで所望の左右傾斜角又は水平状態に移行することができ、迅速な姿勢変更が可能となる。
【0063】請求項6においては、請求項1記載の自動水平制御において、機体の左右で低い側の支持高さを優先的に上昇させることにより、機体を水平に設定したので、畦際や湿田であっても安定した走行を行うことができる。
【0064】請求項7においては、請求項1記載の自動水平制御において、前記左右傾斜角の検出値をもとに制御手段に格納された特定のファジールールに従い駆動出力を求め、該駆動出力を出力規則に基づいて所定の信号を出して、前記昇降駆動手段を左右互いに独立的に作動させることにより、機体を水平に設定したので、たとえ昇降駆動手段を左右同時に作動させる場合であっても、最も低負荷かつ短時間に機体を水平または基準傾斜角に設定することができる。
【0065】請求項8においては、請求項1記載のコンバインにおいて、脱穀スイッチ「切」により作業終了制御に移行し、該作業終了制御においては、機体の左右で高い側の支持高さを低い側の支持高さに下降制御したので、従来のように機体を最下部まで下降させ機体下部の損傷や走行不能状態を引き起こすこともなく、機体の重心高さを適度に低くし、路上走行や畦越え等の際の走行安定性の確保や転倒の防止を確実に図ることができるのである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成11年4月14日(1999.4.14)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2000−295905(P2000−295905A)
【公開日】 平成12年10月24日(2000.10.24)
【出願番号】 特願平11−106062