| 【発明の名称】 |
移動農機の操舵装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】重松 文雄
【氏名】藤原 潤一
|
| 【要約】 |
【課題】移動農機のパワステユニットにおいて、自動方向制御に基づく自動操舵によって供給される作動油と操縦席からオペレ−タのハンドル操作によって供給される作動油との明確な優先順位がないために、操舵操作が混乱して適確な方向変換が行われない課題があった。
【解決手段】走行車体に、操舵車輪を油圧によって操舵するパワステユニット3の油圧式アクチュエ−タ4を設ける。該油圧式アクチュエ−タ4は、自動操舵に基づいて切換わる電磁切換弁5に連通する自動側油圧回路6を接続して設ける。前記油圧式アクチュエ−タ4は、ハンドルの操作角に基づいて操作するパワステバルブ8に連通した手動側油圧回路9にも接続して設ける。該手動側油圧回路9における油の最大流量を、前記自動側油圧回路6の最大流量より大とした構成の移動農機の操舵装置とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行車体1に、操舵車輪2を油圧によって操舵するパワステユニット3の油圧式アクチュエ−タ4を設け、該油圧式アクチュエ−タ4は、自動操舵に基づいて切換わる電磁切換弁5に連通する自動側油圧回路6を接続して設け、前記油圧式アクチュエ−タ4は、ハンドル7の操作角に基づいて操作するパワステバルブ8に連通した手動側油圧回路9にも接続して設け、該手動側油圧回路9における作動油の最大流量を、前記自動側油圧回路6の最大流量より大とした構成の移動農機の操舵装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、移動農機の操舵装置に関し、農業機械の技術分野に属する。 【0002】 【従来の技術】従来から移動農機は、ステアリングハンドルの操作角に基づいて前輪を操舵するパワステユニットが装備され、マニアル操作を楽にし、オペレ−タの疲労を極力軽減する技術が知られている。また、自動操舵装置は、圃場の植付け苗、圃場に植っている穀稈、或いは、人為的に設定した目標物を基準にして、センサで検出しながら走行する自動方向制御に関する技術も既に公知として広く知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来から移動農機のパワステユニットは、自動方向制御に基づく自動操舵によって供給される作動油と、操縦席からオペレ−タのハンドル操作によって供給される作動油とが送られていた。このように操舵車輪は、一つのパワステユニットに、両方から作動油が供給され、しかも、両作動油の間に明確な優先順位がないために操舵操作が混乱して適確な方向変換が行われず、安全性に欠ける課題があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題を解決するために、次の如き技術手段を講ずるものである。すなわち、走行車体1に、操舵車輪2を油圧によって操舵するパワステユニット3の油圧式アクチュエ−タ4を設け、該油圧式アクチュエ−タ4は、自動操舵に基づいて切換わる電磁切換弁5に連通する自動側油圧回路6を接続して設け、前記油圧式アクチュエ−タ4は、ハンドル7の操作角に基づいて操作するパワステバルブ8に連通した手動側油圧回路9にも接続して設け、該手動側油圧回路9における作動油の最大流量を、前記自動側油圧回路6の最大流量より大とした構成の移動農機の操舵装置としたものである。 【0005】 【発明の効果】本発明は、以上のように構成されているから、自動方向制御に基づく自動操舵による走行中に、オペレ−タがマニアル操舵を行なうと、自動操舵に優先して舵取りすることができる。したがって、移動農機は、走行、旋回の安全性が極めて高く、安心して作業ができるものとなった。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。まず、移動農機(実施例は「田植機」である。)10は、図2および図3に示すように、走行車体1の中間上部にエンジン11を搭載し、前側下部に左右一対の操舵車輪2を軸架し、後側下部に左右の後輪12を軸架して構成している。13は操縦座席を示す。 【0007】そして、ハンドル7は、操縦座席13の前側に設け、後述するパワステユニット3を介して操舵車輪2を操舵操作する構成としている。つぎに、パワステユニット3は、図1に示すように、左右から作動油が供給される複動型の操舵用油圧シリンダ4(油圧式アクチュエ−タ4に相当する。)を設け、これに、一方を電磁切換弁5側に連通した左右の自動側油圧回路6を接続して設け、供給される作動油によって左右に摺動しながら前記操舵車輪2の舵取りを行なう構成としている。 【0008】そして、電磁切換弁5は、自動方向制御機構によって操作されるもので、コントロ−ラ14から出力される制御信号に基づいて自動的に切り換え操作される構成としている。なお、自動方向制御機構については、後述する。つぎに、マニアル操作側は、図1に示すパワステバルブ8が、前述したハンドル7に接続して設けられ、ハンドル操作に関連して切換え可能に構成している。そして、手動側油圧回路9は、左右のものが始端部を前記パワステバルブ8にそれぞれ接続し、終端部分を前記自動側油圧回路6の中間部に接続して合流させた配管としている。したがって、前記操舵用油圧シリンダ4は、ハンドル7の操作に基づいて送られる作動油によっても操舵車輪2の舵取りを行なうことができる構成となっている。 【0009】そして、手動側油圧回路9は、途中部分にチェックバルブ15をそれぞれ設けて作動油の逆流を阻止する構成とし、自動操舵時において、ハンドル7の揺れがおきないように配慮した構成としている。そして、電磁切換弁5は、自動側ポンプ16に連通した油圧回路17に接続して作動油が供給される配管の構成としている。一方、パワステバルブ8は、手動側ポンプ18に接続した油圧回路19によって作動油が供給される配管としている。 【0010】つぎに、パワステユニット3は、図1に示し、更に、上述したように、一つの機構を、自動方向制御機構に基づく電磁切換弁5によって操作される自動操舵と、ハンドル7のマニアル操作による手動操舵との両方から作動油が供給される構成であるから、操舵操作が競合する場合がある。そのときの安全を確保するために、つぎのように構成している。 【0011】すなわち、手動側油圧回路9は、手動側ポンプ18、油圧回路19、パワステバルブ8を経由して作動油が送り込まれ、端部から自動側油圧回路6に接続して操舵用シリンダ4にその作動油を供給する構成としている。そして、自動側油圧回路6は、自動側ポンプ16、油圧回路17、電磁切換弁5を経由して作動油が操舵用シリンダ4に送り込まれる構成である。そこで、両者の作動油は、手動側油圧回路9側における最大流量を、自動側油圧回路6側の最大流量より大として、ハンドル7のマニアル操舵を優先する構成としている。 【0012】つぎに、ブレ−キ回路を説明する。まず、左右のブレ−キ用シリンダ20、20’は、走行車体1の走行ミッション装置21に装備している左右のサイドブレ−キ(図示は省略している)を制動操作可能に接続して構成している。そして、ブレ−キ用シリンダ20、20’は、図1に示すように、それぞれ電磁式の比例減圧弁22、22’を設けたブレ−キ油圧回路23、23’に連通しており、上記自動操舵に関連して出力される制御信号に基づいて制動操作が行われる構成としている。なお、制御作動に関しては、後述する。 【0013】そして、比例減圧弁22、22’は、図1に示すように、非作動時には、タンクポ−ト25に連通してブレ−キ用シリンダ20、20’からの作動油を排出できる構成としている。そして、ブレ−キ用シリンダ20、20’は、図1に示すように、エァ抜きポ−ト28を左右から連結してタンクポ−ト29に接続して構成している。この構成によって、ブレ−キ用シリンダ20、20’は、水、塵埃を排出して防錆効果を高め、ブレ−キ力の応答性、性能の安定を図ることができる。 【0014】そして、電磁切換弁5側の油圧回路17とブレ−キ油圧回路23、23’とは、自動側ポンプ16が駆動されると、絞り弁30の作用で切換弁24が開かれて、両方の回路に作動油が分流されて供給される構成としている。つぎに、コントロ−ラ14について説明する。まず、コントロ−ラ14は、図4に示すように、入力側に、自動スイッチ26と、方向センサ27とを接続している。そして、コントロ−ラ14は、出力側に、電磁切換弁5と、左の電磁式の比例減圧弁22と、右の電磁式の比例減圧22弁とをそれぞれ接続して構成している。 【0015】そして、自動スイッチ26は、コントロ−ラ14を制御可能な状態に立ち上げるON、OFFスイッチである。そして、方向センサ27は、図2および図3に示すように、発信器27aと受信器27bとから構成し、圃場の端に人為的に設定した目標物を、超音波の発信、受信で検出しながら検出情報をコントロ−ラ14に入力できる構成としている。 【0016】そして、コントロ−ラ14は、方向センサ27から入力される検出情報と、予め入力して記憶させている基準値とに基づいて比較演算しながら電磁切換弁5に左旋回、又は、右旋回の制御信号を出力して切換制御する自動方向制御機構を構成としている。更に、コントロ−ラ14は、上記操舵中に、旋回時間が基準時間(予め記憶させている所定時間内に旋回が完了しない場合)に比較して長すぎると判断すると、旋回内側のサイドブレ−キを働かせるように、電磁式の比例減圧22、又は、22’に制御信号を出力する構成としている。 【0017】このように、コントロ−ラ14は、マイクロコンピュ−タを利用した制御手段であって、予め設定した制御モ−ド及び基準とする各種のデ−タ−を入力して記憶させており、これらの予め設定している基準情報と入力側に接続している方向センサ27から入力される検出情報に基づいて制御信号を出力して各アクチュエ−タを介して自動操舵を行なう自動方向制御機構を構成している。 【0018】なお、図2および図3において、31は苗タンク、32はフロ−ト、33は植付装置、34は予備苗支持枠を示す。以上のように構成された田植機10の作用を説明する。まず、田植機10は、エンジン11を始動して回転各部を伝動し、自動側ポンプ16と手動側ポンプ18を駆動すると共に、自動スイッチ26をON操作してコントロ−ラ14を作動状態に立ちあげて、前進させながら自動方向制御によって田植作業を行なう。 【0019】この場合、方向センサ27は、発信器26aから超音波を発信し、圃場の端に予め設定している目標物に衝突して返ってくる音波を、受信器26bが受信して、その情報をコントロ−ラ14に入力している。そして、コントロ−ラ14は、方向センサ27から入力されてくる検出情報を基準値と比較演算しながら、田植機10が予定走行コ−ス(通常直進させる)に沿って走行しているか、どうかを判定する。そして、コントロ−ラ14は、田植機10が予定走行コ−スから離れると、電磁切換弁5に制御信号を出力して方向修正しながら、直進走行することができる。 【0020】このように、田植機10を自動方向制御によって直進しているときには、オペレ−タは、操縦座席13を離れて、予備苗支持枠34側に移動しながら苗補給等の操舵操作以外の作業を行なうことが可能である。そして、パワステユニット3は、上述のように、コントロ−ラ14から電磁切換弁5に制御信号が出力されると、電磁作用によって左、又は、右に切り換えられて左、又は、右の自動側油圧回路6から操舵用シリンダ4の左、又は、右に作動油が供給されて操舵車輪2を自動操舵するのである。 【0021】さて、このような自動方向制御中において、オペレ−タは、ハンドル7の操舵操作を行なうと、パワステバルブ8が切り換えられて、手動側ポンプ18に通じる油圧回路19から作動油が、手動側油圧回路9に供給される。そして、手動側油圧回路9は、その終端部から作動油を自動側油圧回路6に合流して送りこみ、操舵用シリンダ4に供給して操舵車輪2の舵取りを行なうのである。このとき、手動側油圧回路の最大流量は、自動側油圧回路の最大流量より大きくなる構成としているから、マニアル操舵が優先されて自動方向制御中にかかわらず、操縦座席13からオペレ−タのハンドル7によって操舵することができる。 【0022】以上、実施例で説明したように、ハンドル7の操舵操作が、自動方向制御に基づく自動操舵に優先して操舵車輪2を操舵操作できるから、安全に走行することができる優れた特徴を有する。 別実施例1つぎに、別実施例1を図5に基づいて説明する。 【0023】パワステユニット3を構成する操舵用シリンダ4は、自動側の油圧回路40、40’と、手動側の油圧回路41、41’とにそれぞれ接続して設け、いずれか一方側から供給される作動油によって左右に移動して操舵車輪の舵取りを行なう構成としている。そして、自動側の油圧回路40、40’は、制御手段から出力される制御信号に基づいて自動切換制御される電磁式比例切換弁42に連通して構成している。一方、手動側の油圧回路41、41’は、ステアリングハンドル43に接続して設け、人為的操作に基づいて作動油が流れる構成としている。なお、44は操舵油圧回路であって、ステアリングハンドル43の操作に基づいて送油される構成である。 【0024】そして、切換弁45は、タンク46から油圧ポンプ47によって送油される油圧回路48に設け、自動方向制御装置から出力される制御信号による電磁操作によって電磁式比例切換弁42側に自動切換えされる構成としている。したがって、切換弁45は、自動方向制御中は、自動側に連通し、マニアル運転に戻すと必ず、操舵油圧回路44側に作動油を送油する構成としている。 【0025】なお、49は油圧変速ユニット、50は油圧昇降ユニット、51はタンクポ−トを示す。以上のように、別実施例1は、一つのパワステユニット3を自動操舵と手動操舵との両方に使用することができる利点がある。したがって、別実施例1は、これを田植機に搭載装備すると、自動方向制御に基づく直進走行中に苗補給等の作業ができる便利な構成となる。 【0026】なお、図6に示す油圧回路は、電磁式比例切換弁42のタンクポ−ト51を送油回路52として操舵油圧回路44に接続した別構成のものである。このように構成すれば、切換弁45は不要となり油圧回路が簡略できる。 別実施例2つぎに、別実施例2を図7および図8に基づいて説明する。 【0027】図7および図8に示す構成例は、パワステユニット60を、田植機61のロ−リング機構に応用した実施例である。まず、田植機61は、図8に示すように、図外の走行車体後部から下方に延長した支持杆(ロアア−ム)62の下端に支持装置63を取り付けている。そして、苗タンク64は、回動中心にあるロ−リング軸65を前記支持装置63に挿入して左右方向にロ−リング自在に支持して構成している。そして、パワステユニット60は、図8に示すように、前記支持装置63の前側でロ−リング軸65に連結して構成している。 【0028】つぎに、パワステユニット60は、図7に示すように、ロ−リング軸7をパワステバルブ66に連結して、通常の操舵操作の逆にバルブ操作ができる構成として油圧回路67、67’を介してロ−リングシリンダ68(パワステアリングとして使用するときには操舵車輪を舵取りする「操舵用シリンダ」に相当する。)に接続して構成している。 【0029】なお、回路中、69は油圧ポンプ、70は昇降ユニットを示す。このように構成しているから、苗タンク64は、作業中に、図外の走行車体に対して傾斜すると、パワステバルブ66が通常の操舵操作の逆にバルブ操作が行われて逆に切換り、ロ−リングシリンダ68に作動油が供給されてロ−リング制御が行われ、水平状態に修正される。 【0030】このように、別実施例2は、ロ−リング機構にパワステユニット60を利用することによって、ロ−リング作動の切れ角に応じてパワステユニット60の特有な作動(操作角度が大になれば、作動油の供給が多くなって修正が速くなる)が取り入れられ適確にロ−リング制御ができる特徴がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年3月25日(1999.3.25) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2000−270608(P2000−270608A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月3日(2000.10.3) |
| 【出願番号】 |
特願平11−81952 |
|