| 【発明の名称】 |
作業車両の作業機昇降制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小野 豊
|
| 【要約】 |
【課題】従来、作業部の高さを検出するセンサと、車体の上下加速度、または角速度を検出するセンサとの検出値により作業部を昇降する田植機等が知られているが、トラクタのように前後輪の径が大きく違う車両では、局部的な凹凸部により前輪がバウンドしても、それに続く後輪はこの凹凸に影響され難く、加速度、または角速度の検出値が顕著に現れにくい場合が有った。
【解決手段】左右一対の前輪1と、前記前輪1よりも径の大きい左右一対の後輪と、車体後部に昇降自在に連結した作業部とを備え、この作業部には作業高さを検出するリヤカバー角度センサ4を設け、一方車体側には車体の角速度センサ5を設け前記作業部を前記両センサ4,5の検出値に応じて昇降する作業機昇降制御装置とを備えたトラクタ等の作業車両においては、前記車体の上下加速度、または角速度センサ5を、前記前輪1の接地位置、例えばフロントアクスルケース6の上方のエンジン取付フレーム11に設けた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右一対の前輪1と、前記前輪1よりも径の大きい左右一対の後輪2と、車体後部に昇降自在に連結した作業部3とを備え、この作業部3には作業高さを検出するセンサ4を設け、一方車体側には車体の上下加速度、または角速度を検出するセンサ5を設け前記作業部3を前記両センサ4,5の検出値に応じて昇降する作業機昇降制御装置とを備えた作業車両において、前記車体の上下加速度、または角速度を検出するセンサ5を、前記前輪1の接地位置の上方、或いは前方に配置したことを特徴とする作業車両の作業機昇降制御装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、農業用トラクタ、田植機等の作業車両の作業機昇降制御装置の構成に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、特開平10−248325号公報に示されるように、左右一対の前輪と、左右一対の後輪と、車体後部に昇降自在に連結した作業部とを備え、この作業部には作業高さを検出するセンサを設け、一方車体側には車体の上下加速度、または角速度を検出するセンサを設け前記作業部を前記両センサの検出値に応じて昇降する作業機昇降制御装置とを備えた田植機等が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前記作業車両の作業機昇降制御装置は、特にリンク機構を用いたタイプのセンサや、振り子等を用いたタイプのセンサの欠点である検出速度の遅れを補う為に、車体の上下加速度、または角速度センサを備えるものである。しかしながら、従来、このセンサは、後輪の接地位置近傍へ配置する構成としている為、特にトラクタ等のように前後輪の径が大きく違うときには、走行面に局部的な凹部が有りこれに前輪が落ち込んでバウンドしても、それに続く後輪はこの凹凸に影響されにくく、加速度、または角速度の検出が顕著に現れにくいという課題が有った。 【0004】 【課題を解決するための手段】この発明は上記課題に鑑みて、作業車両の作業機昇降制御装置を以下のように構成した。即ち、左右一対の前輪1と、前記前輪1よりも径の大きい左右一対の後輪2と、車体後部に昇降自在に連結した作業部3とを備え、この作業部3には作業高さを検出するセンサ4を設け、一方車体側には車体の上下加速度、または角速度を検出するセンサ5を設け前記作業部3を前記両センサ4,5の検出値に応じて昇降する作業機昇降制御装置とを備えた作業車両において、前記車体の上下加速度、または角速度を検出するセンサ5を、前記前輪1の接地位置の上方、或いは前方に配置したことを特徴とする作業車両の作業機昇降制御装置。 【0005】 【発明の効果】以上のように構成した作業車両の作業機昇降制御装置は、加速度、または角速度を検出するセンサ5を径の小さい前輪1の接地位置上方、或いは前方に配置する構成としたので、後輪2近傍に配置する構成と比較して、局部的な凹凸による車両の上下バウンド、または急速な左右の傾きを正確に検出することができる。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を作業車両である農業用トラクタ(以下、トラクタ10)について説明する。トラクタ10は、図1乃至図2に示すように、車体前部に上面視「門」型形状のエンジン取付フレーム11を設け、同フレーム11の後部にエンジン12の左右両側部を取り付けている。また前記エンジン12の前方には、後輪2よりも径の小さい前輪1を支持するフロントアクスルケース6を左右ローリング自在に支持し、前記前輪1をステアリングハンドル14から連動される左右タイロッド7を介して左右操舵する構成となっている。 【0007】また、前記エンジン12の出力軸には、この回転数を検出するエンジン回転センサ15を設けている。操縦席13の前方には、前記前輪1を操舵するステアリングハンドル14を突出して設け、この下方にはアクセルレバー16を設け、同レバー16の前後回動操作によって前記エンジン12のアクセル位置を設定保持する構成となっている。 【0008】操縦席13側方には、後述する作業部であるロータリ作業機3の高さを変更する作業機昇降用レバー17を設け、この回動基部にレバー操作位置を検出するポテンショメータ17Aを設けている。また同レバー17のガイド近傍には、後述するローリング制御の作動を入切するローリング制御入切スイッチ18や耕深制御の作動を入切する耕深/負荷制御入切スイッチ19、耕深設定器29等の各種設定器を設けている。 【0009】また、操縦席13の下方で、側面視で後輪2を支持するリヤアクスルハウジング20の上方には、内部に電解液を充填し電極間の電圧により車体の左右前後の傾斜角度を検出するスロープセンサ21や、前記設定器やセンサを接続する制御手段となるコントローラ22を設けている。これにより、スロープセンサ21は、径の大きい後輪2近傍に配置され、後輪2は局部的な凹部では落ち込むことがない為に、上下加速度に影響されず正確な車両の傾斜状態を検出することができる。 【0010】また、前記エンジン取付フレーム11の左右間には、前記フロントアクスルケース6よりもやや前方に連結プレート23を架け渡し、同プレート23の左右中心位置よりも右側に左右前後方向の角速度を検出するジャイロ式の角速度センサ5を設けている。これにより、角速度センサ5は、径の小さい前輪1の接地位置の上方に配置され、前輪1は局部的な凹凸面でバウンドし易い為に、上下加速度、または左右のローリングが顕著に現われ正確な角速度を検出することができる。 【0011】尚、前記角速度センサ5の取付位置としては、フロントアクスルケース6に直接取り付ける構成としても良いし、また符号8に示すトラクタのバンパー部に取り付ける構成としても良い。また、角速度センサ5の形態としては、角速度これに替えて車体の上下ピッチングを検出する加速検出式のセンサでも良いし、前記スロープセンサ21と一体型の形態としても良い。 【0012】トラクタ1の車体後部には、作業機昇降用アクチュエータである油圧シリンダ30を内装するシリンダケース31を備え、前記シリンダ30のピストン伸縮によりケース31左右に支持するリフトアーム32を上下回動する構成となっている。また、車体後部には、トップリンク33と左右ロワーリンク34からなる三点リンク機構を設け、前記左側のリフトアーム32先端部とロワーリンク34をロッド35にて連結し、右側のリフトアーム32先端部とロアーリンク34とをローリング用油圧シリンダ5を介して連結し、ロータリ作業機2の左右傾斜姿勢を変更する構成となっている。また更に、前記左側のリフトアーム32には、リフトアーム角センサ32Aを設け、車体に対する作業機2の高さを間接的に検出すると共に、前記ローリング用油圧シリンダ36にはこのピストン伸縮量を検出するストロークセンサ37を併設して設けている。 【0013】これにより、前記コントローラ22は、作業機昇降用レバー17の操作角度とリフトアーム32の設定角度が一致するように、油圧回路内の作業機昇降用の比例圧力制御弁のソレノイド45,46のソレノイドへ通電し、作業機2の高さを変更する構成(ポジション制御)となっている。また、前記ローリング制御切替スイッチ18が「入」に切替えられ、後述する一定値以上の角速度を検出しない時には、前記スロープセンサ21の検出値に応じたストロークセンサ37の目標長さが検出されるまでローリング用油圧シリンダ36を駆動する切替制御弁のソレノイド47,48へ通電し、作業機2を水平状態に維持する構成(ローリング制御)を行う構成となっている。 【0014】次にロータリ作業機3について説明する。ロータリ作業機3は、図2に示すように、前記三点リンク機構を介してトラクタ10に牽引されながら圃場を耕耘、整地するものである。この作業機3は、耕耘部と、この耕耘部を取り囲むカバー部等から構成されている。耕耘部は、前記エンジン12の回転動力を車両後端から突出するPTO軸24から取り出し、伝動軸、及び作業機3の伝動機構を介して回転軸25へ伝導させ、回転軸25に取り付けられた複数の回転爪26…を回転する構成となっている。また、カバー部は、耕耘部の上方を覆うロータリーカバー27と、このロータリーカバー27後部に回動自在に枢着したリヤカバー28等から構成され、更にロータリカバー27の後端上面にはロータリカバー27に対するリヤカバー角をリンク機構を介して検出するリヤカバー角センサ4を設け、対地高さを検出する構成となってる。 【0015】次に前記トラクタ10の電気制御構成について説明する。前記コントローラ22は、図3に示すように、この内部に各種信号を処理するCPUと、これら信号情報を一時記憶するRAMと、後述する各種制御プログラムを格納するROM、そしてタイマーを備えた構成となっている。そして、この入力部には、作業機昇降用レバー17のポテンショメータ17Aと、リフトアーム角センサ32A、耕深設定器29、リヤカバー角センサ4、ローリング制御入切スイッチ18、スロープセンサ21、ストロークセンサ37、角速度センサ5、エンジン回転センサ15等を接続して設けている。 【0016】また、出力側には、作業機上昇用、及び下降用の比例制御弁のソレノイド38,39と、前記ローリング用油圧シリンダ5のピストンを伸長、伸縮する切替制御弁のソレノイド40,41とを接続して設けている。以上のように構成したトラクタ10では、図4乃至図11に示す制御プログラムの概要を示すフローチャートのように制御が実行される。 【0017】図4に示すフローチャートは、制御全体の流れを示すフローチャートであり、最初にトラクタ10の電気系統がONされると、STEP1で、前記コントローラ22は各種センサやスイッチの接続状態や検出値を読み込む。そして、STEP2で現在作業機3が一定値以下、即ち作業位置かどうかを判定し、これがYESであると耕深/負荷制御、及びローリング制御を実行する。また、前記判定がNOの場合、STEP5のポジション制御を実行し、その他各種制御が終了すると、リターンとなる。 【0018】前記耕深/負荷制御は、図5に示すフローチャートのように、最初にSTEP1で、前記角速度センサ5の検出値が一定値以上かどうかを判定し、これがYESの場合はSTEP2へ進み、一定時間だけこの角速度と同じ方向に作業機3を昇降すべく前記比例制御弁のソレノイド38,39へ通電を行う。また、前記判定がNOの場合は、STEP3へ進み、リヤカバー角センサ4の値による作業機3の昇降を行う(STEP4,5)。尚、前記リヤカバー角度の保持する角度は、前記耕深設定器29により変更する構成となっている。即ち、通常の耕深制御中に一定値以上の角速度が検出されると優先して作業機3を昇降する構成となっている。 【0019】これにより、局部的な凹凸によって前記リヤカバー角センサ4の検出が遅れても、角速度センサ5の検出値により即座に作業機3を一定時間だけ駆動し、続けてリヤカバー角センサ4の検出値による制御作動が行われるので、作業機3の応答性が良く整地性を損なうことがない。そして、前記作業機昇降作動が終了すると、続けてSTEP7でエンジン回転数が所定値以上かどうかを判定し、これがNOで有れば、作業機3に作業負荷が掛ってエンジン12の出力が落ちている状態と想定し、前記作業機3を一定時間だけ上昇する。これによりエンジンストップを回避することができる。 【0020】尚、前記STEP3からSTEP6までの耕深制御における作業機3の昇降についての別形態としては、角速度による作業機昇降の時間を、この大きさに応じて変更する構成としても良い。また、前記前輪1の上下の加速度、即ち上動後に下動、若しくは下動後に上動の検出を行ったときには、前輪1が局部的な凸部に乗り上げたか、或いは凹部に落ち込んだと判定し、同時に作業機3を上昇、或いは下降する。これと共に、車速によるトラクタ10の走行距離を演算して前記凸部、若しくは凹部に後輪2が差し掛かる前に作業機3を前記ポジション制御による作動よりも低速で昇降、即ち、作業機3は後輪2の接地点を軸に前記凸部では下方に傾くため先立ってこれを下降し、反対に凹部では作業機3を上昇する構成としても良い。これにより、追従性の良い制御作動が行われ整地性が向上する。 【0021】前記ローリング制御は、図6乃至図8に示すフローチャートのように、最初にSTEP1で、角速度センサ5の検出値が一定値以上かどうかを判定し、STEP2でこの向きを判定する。そこで、角速度の方向が下向きであれば、STEP3へ進みスロープセンサ21の検出値を判定する。ここでスロープセンサ21が車体左下傾斜の状態を検出しているときには、前記左側の前輪1が凹部に落ちていると想定し、ローリング用油圧シリンダ36のピストンを伸長すると同時に作業機3全体を上昇させる。 【0022】また反対にスロープセンサ21が車体右下傾斜の状態を検出しているときには、前記右側の前輪1が凹部に落ちていると想定し、ローリング用油圧シリンダ36のピストンを短縮すると同時に作業機3全体を下降させる。また、前記STEP3でスロープセンサ21が不感帯内、即ち車両の傾斜が検出されない場合は、左右の前後輪が共に落ち込んだ状態と判定し、傾斜変化は無い為エンドとなる。また、STEP1の判定がNOの場合は、STEP17に示す通常時の制御、即ち前記スロープセンサ21の検出値とこれに応じたストロークセンサ37の目標値による作業機3のローリング制御が行われてエンドとなる。 【0023】一方、STEP2の判定で前記角速度の方向が上向きであれば、STEP10へ進みスロープセンサ21の検出値を判定する。ここでスロープセンサ21が車体左下傾斜の状態を検出しているときには、前記左側の前輪1が凸部に乗り上げた状態と想定し、ローリング用油圧シリンダ36のピストンを伸長すると同時に作業機3全体を上昇させる。 【0024】また反対にスロープセンサ21が車体右下傾斜の状態を検出しているときには、前記左側の前輪1が凸部に乗り上げた状態と想定し、ローリング用油圧シリンダ36のピストンを短縮すると同時に作業機3全体を下降させる。また、前記STEP10でスロープセンサ21が不感帯内、即ち車両の傾斜が検出されない場合は、左右の前後輪が共に乗り上げた状態と判定し、傾斜変化は無い為エンドとなる。 【0025】以上のように、従来のスロープセンサ21とストロークセンサ37によるローリング制御に加えて、一定値以上の角速度を検出したときには、作業機3の左右傾斜姿勢と上下位置を同時に変更する構成としたので、作動遅れが無く整地性が向上する。前記ポジション制御は、図11に示すフローチャートのように、リフトアーム角度が一定以上のとき、即ち前記作業機3が非作業位置にあるときに実行可能な制御であり、前記ポジションレバーの操作とリフトアーム32の設定角度が一致するように前記制御弁のソレノイド38,39へ通電が行われる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年3月3日(1999.3.3) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2000−245203(P2000−245203A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月12日(2000.9.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−55808 |
|