トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 刈取収穫機
【発明者】 【氏名】高原 一浩

【氏名】花木 誠一

【氏名】富永 俊夫

【要約】 【課題】機体前方側の植立茎稈までの距離を、機体横幅方向に沿った複数位置において的確に検出する。

【解決手段】機体横幅方向に沿って互いに異なる複数の設定検出位置(複数のセンサS3a1,S3b2の位置)夫々において、機体前方に位置する植立茎稈Tに対する検出方向が機体前後方向に沿う状態で機体前部側に設置された距離検出手段S3aにて、植立茎稈Tまでの距離が検出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体前方に位置する植立茎稈までの距離を検出する距離検出手段が設けられた刈取収穫機であって、前記距離検出手段は、機体横幅方向に沿って互いに異なる複数の設定検出位置夫々において、前記植立茎稈に対する検出方向が機体前後方向に沿う状態に設定されて、前記植立茎稈までの距離を検出するように構成されている刈取収穫機。
【請求項2】 前記距離検出手段が、走行機体の既刈り側箇所に設けられ、前記距離検出手段の情報に基づいて、前記植立茎稈が植立する未刈茎稈群とこれに隣接する既刈り領域との境界を、前記複数の設定検出位置のうちで前記植立茎稈の存在が検出される位置と前記植立茎稈の不存在が検出される位置との中間の位置として判別する境界位置判別手段が設けられている請求項1記載の刈取収穫機。
【請求項3】 前記境界位置判別手段の情報に基づいて、前記走行機体の横幅方向の設定位置が前記境界に沿う状態で刈取走行するように操向制御する制御手段が設けられている請求項2記載の刈取収穫機。
【請求項4】 前記距離検出手段が、前記植立茎稈よりも上方に位置して前記植立茎稈の上部までの距離を検出するように構成され、前記距離検出手段の情報に基づいて、前記植立茎稈の倒伏状態を判別する倒伏状態判別手段が設けられている請求項1記載の刈取収穫機。
【請求項5】 前記距離検出手段が、前記複数の設定検出位置夫々に対応して機体横幅方向に間隔を置いて並置された複数の距離センサにて構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の刈取収穫機。
【請求項6】 前記距離検出手段が、前記複数の設定検出位置夫々に位置するように、機体横幅方向にスライド移動自在な1つの距離センサにて構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の刈取収穫機。
【請求項7】 前記距離検出手段が、前記検出方向を上下方向に設定周期で変更自在に構成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の刈取収穫機。
【請求項8】 前記距離検出手段は、前記植立茎稈に向けて超音波を発信してから、前記植立茎稈で反射された超音波が受信されるまでの時間に基づいて前記距離を検出する超音波式の距離検出手段にて構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の刈取収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機体前方に位置する植立茎稈までの距離を検出する距離検出手段が設けられた刈取収穫機に関する。
【0002】
【従来の技術】上記刈取収穫機の一例である例えばコンバインでは、従来、機体前方側に向く状態で設置した1つの距離センサを縦軸周りに左右に往復回動させて、複数の設定回動角の位置において機体前方の植立茎稈までの距離を検出するようにしていた(例えば、特開昭63‐267204号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術では、1つの距離センサを縦軸周りに回動させて機体前方の植立茎稈までの距離を検出していたので、機体前部から植立茎稈までの距離が変化しないときにも、回動範囲の左右両端部での距離検出値と中央部での距離検出値とが異なるものになり、機体横幅方向における複数位置から機体前方側の植立茎稈までの距離を的確に検出することができないという不都合があった。その結果、例えば、上記距離検出情報に基づいて、機体前方の未刈り茎稈群とこれに隣接する既刈り領域との境界を適切に判別するためには、上記距離検出値を回動に応じて補正してから、植立茎稈の存否判別用の基準値と比較して植立茎稈の存否を判別するか、あるいは、植立茎稈の存否判別用の基準値を回動に応じて補正してから、上記距離検出値と比較して植立茎稈の存否を判別する等の面倒な処理を行う必要があった。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、上記従来技術の不具合を解消させるべく、機体前方側の植立茎稈までの距離を、機体横幅方向に沿った複数位置において的確に検出することができる刈取収穫機を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1では、機体横幅方向に沿って互いに異なる複数の設定検出位置夫々において、機体前方に位置する植立茎稈に対する検出方向が機体前後方向に沿う状態に設定された距離検出手段にて、植立茎稈までの距離が検出される。従って、機体前部から植立茎稈までの距離が変化しないときには、上記複数の設定検出位置夫々における距離検出値が同じ値になるので、従来のように、1つの距離センサを縦軸周りに回動させて機体横幅方向の複数位置で機体前方の植立茎稈までの距離を検出するようにしたものでは、機体前部から植立茎稈までの距離が変化しないときにも、距離検出値が回動範囲の端部と中央部とで異なるものになるという不都合を解消させて、機体前方側の植立茎稈までの距離を、機体横幅方向に沿った複数位置において的確に検出することができる。
【0006】請求項2では、請求項1において、走行機体の既刈り側箇所に設けられた前記距離検出手段の情報に基づいて、機体前方に植立茎稈が植立する未刈茎稈群とこれに隣接する既刈り領域との境界が、前記複数の設定検出位置のうちで植立茎稈の存在が検出される位置と植立茎稈の不存在が検出される位置との中間の位置として判別される。従って、機体横幅方向に沿った複数位置において的確に検出される植立茎稈までの距離検出値を、植立茎稈の存否判別用の基準値と比較するだけで機体前方の植立茎稈の存否を判断して上記境界の位置を判別することができるので、従来のように、1つの距離センサを縦軸周りに回動させて得られる距離検出値を回動位置に応じて補正してから、植立茎稈の存否判別用の基準値と比較して植立茎稈の存否を判断する等の面倒な処理を行う必要もなく、極力簡素な制御構成にすることができ、もって、請求項1の好適な手段が得られる。
【0007】請求項3では、請求項2において、走行機体の横幅方向の設定位置が、未刈茎稈群とこれに隣接する既刈り領域との境界に沿う状態で刈取走行するように操向制御される。従って、自動操縦によって作業者の運転負担を軽減させながら、未刈茎稈群に対する刈取作業を適正に行うことができ、もって、請求項2の好適な手段が得られる。
【0008】請求項4では、請求項1において、機体前方の植立茎稈よりも上方に位置して植立茎稈の上部までの距離を検出するように構成された前記距離検出手段の情報に基づいて、前記植立茎稈の倒伏状態が判別される。従って、機体前方の植立茎稈が倒伏状態のときは、倒伏状態でないときに比べて茎稈上部の高さが低くなって、上方から検出される茎稈上部までの距離が倒伏状態でないときの距離よりも長くなるので、機体横幅方向に沿った複数位置において的確に検出される茎稈上部までの距離検出値を用いて、植立茎稈の倒伏状態を適切に判別することができ、もって、請求項1の好適な手段が得られる。
【0009】請求項5では、請求項1〜4のいずれか1項において、機体横幅方向に沿った複数の設定検出位置夫々に対応して機体横幅方向に間隔を置いて並置された複数の距離センサにて、検出方向が機体前後方向に沿う状態で植立茎稈までの距離が検出される。従って、例えば、検出方向が機体前後方向に沿う状態の1つの距離センサを機体横幅方向にスライド移動させるような距離検出手段では、使用に伴う可動部の摩耗等が問題となるのに比べて、かかる不利もなく、高信頼性の距離検出手段に構成することができ、もって、請求項1〜4のいずれか1項の好適な手段が得られる。
【0010】請求項6では、請求項1〜4のいずれか1項において、機体横幅方向に沿った複数の設定検出位置夫々に位置するように、機体横幅方向にスライド移動される1つの距離センサにて、検出方向が機体前後方向に沿う状態で植立茎稈までの距離が検出される。従って、例えば、機体横幅方向に沿って複数の距離センサを並置させるような距離検出手段では、上記複数の設定検出位置の数を多くして高分解能の距離検出情報を得ようとすると、多数の距離センサを設置することになって装置コストが高くなるのに比べて、かかる不利もなく、装置コストの上昇を抑制しながら高分解能の距離検出手段に構成することができ、もって、請求項1〜4のいずれか1項の好適な手段が得られる。
【0011】請求項7では、請求項1〜6のいずれか1項において、前記距離検出手段が、植立茎稈に対する検出方向を上下方向に設定周期で変更する。従って、検出方向を上下方向において固定角度に設定するものでは、例えば走行機体のピッチングにより機体前上がり状態になったような場合に、検出方向が上方に上がり過ぎて植立茎稈までの距離が検出できなくなるのに比べて、上記機体前上がり状態になったような場合にも、植立茎稈に対する検出方向が下方向に変更された状態で植立茎稈を確実に捉えて適正な距離検出を行うことができ、もって、請求項1〜6のいずれか1項の好適な手段が得られる。
【0012】請求項8では、請求項1〜7のいずれか1項において、前記距離検出手段が、植立茎稈に向けて超音波を発信してから、植立茎稈で反射された超音波が受信されるまでの時間に基づいて、植立茎稈までの距離を検出する超音波式の距離検出手段にて構成されている。従って、例えば光式の距離検出手段では、走行に伴って発生する塵埃が検出光の投受光部に付着して、適切に距離検出できなくなるおそれがあるのに比べて、かかる不具合を適切に回避させながら、超音波の発信部と受信部とを備えた極力安価な距離検出手段に構成することができ、もって、請求項1〜7のいずれか1項の好適な手段が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、刈取収穫機としてのコンバインに適用した場合について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、コンバインには、左右一対のクローラ走行装置1、脱穀装置2、操縦部4等を備えた走行機体9の前部側に、機体走行に伴って、圃場の植立茎稈としての植立穀稈Tを刈り取る刈取部3が、刈取昇降用の油圧シリンダ23によって昇降自在な状態で設けられている。
【0014】刈取部3は、植立穀稈Tの引き起こし装置5 、引き起こされた植立穀稈の株元を切断する刈刃6、刈取穀稈を横倒れ姿勢に変更しながら機体後部側の脱穀用のフィードチェーン8に向けて搬送する搬送装置7等を備えている。上記引き起こし装置5の下部後方側個所に、刈取部3の対地高さを検出する超音波式の刈高センサS5が設けられ、搬送装置7の搬送始端側箇所に、刈取穀稈の株元に接当してON作動する株元センサS0が設けられている。
【0015】次に、図3に基づいてコンバインの動力伝達系、及び、制御構成について説明する。エンジンEの動力が油圧式の無段変速装置10に伝動され、この変速装置10の変速後の出力が、ミッションケース11を介して左右一対のクローラ走行装置1に伝達されている。ミッションケース11には、上記変速装置10の変速後の出力を前進又は後進状態に切り換えるための前後進切換機構(図示しない)と、上記変速後の出力を左右の各クローラ走行装置に伝達するための左右一対の操向クラッチ17L,17Rとが設けられ、左側の操向クラッチ17Lを切り操作すると機体は左旋回し、右側の操向クラッチ17Rを切り操作すると機体は右旋回するように構成されている。
【0016】上記無段変速装置10は、変速操作用の電動モータ13によって変速操作されるとともに、操縦部4に設けた変速レバー12に連動連結され、且つ、この変速レバー12による人為的な変速操作を電動モータ13による変速操作に優先させるようにするために、変速レバー12と変速装置10との連係経路中に、電動モータ13が摩擦式の伝動機構14を介して連係されている。又、前記刈取昇降シリンダ23に対する圧油の供給を制御して刈取部3を昇降操作するための電磁弁25と、前記左右の各操向クラッチ17L,17Rに対する圧油の供給を制御して各クラッチを入り切り操作するための操向用の電磁弁19とが設けられている。
【0017】又、エンジンEと脱穀装置2及び刈取部3とがベルトテンション式の脱穀クラッチ33及び刈取クラッチ34を介して夫々連動連結されている。そして、脱穀クラッチ33及び刈取クラッチ34を夫々人為的に入り切り操作する脱穀クラッチレバー32及び刈取クラッチレバー31が操縦部4に設けられ、それらの入り操作に伴ってオン作動する脱穀スイッチSW2及び刈取スイッチSW1が設けられている。エンジンEの回転数を検出する回転数検出センサS1と、ミッションケース11の入力軸に伝動される変速装置10の出力回転数に比例するパルスを計数して、走行距離や車速を検出するためのロータリーエンコーダS2とが設けられている。
【0018】又、前記刈取部3の引き起こし装置5の下部側には、走行に伴って刈取部3に導入される左右の植立穀稈に接当して、機体後方側に揺動する左右一対の検出バーが備えられて、その検出バーの機体後方側への揺動角度に基づいて植立穀稈の機体横方向での位置を検出するための方向センサS4が設けられている。尚、この方向センサS4の検出情報は、前記未刈茎稈群Mの外周に沿って刈取走行するときに、走行機体9を操向制御する際の制御情報として使用される。
【0019】マイクロコンピュータ利用の制御装置16が設けられ、この制御装置16に、株元センサS0、回転数検出センサS1、ロータリーエンコーダS2、方向センサS4、刈高センサS5、脱穀スイッチSW2及び刈取スイッチSW1の各検出情報が入力されている。一方、制御装置16からは、変速操作用の電動モータ13、刈取昇降用の電磁弁25、及び操向用の電磁弁19に対する各駆動信号が出力されている。
【0020】又、操縦部4には、上限車速を設定するための上限車速設定手段21と、車速オートスイッチ22とが設けられ、この各入力情報も制御装置16に入力されている。ここで、上限車速設定手段21は、圃場の条件等に応じて上限車速を手動調節するための可変抵抗であり、つまみの回転角度に応じて上限車速が0.3〜2.0m/secの範囲で設定される。車速オートスイッチ22は、後述の自動車速制御を実行するか否かを切り換える照光式の押ボタンスイッチである。
【0021】エンジンEの出力は、エンジン始動後、図示しないアクセルレバー等によって上昇操作されて、作業用の高回転位置にセットされている。そして、エンジン回転数はエンジンEの負荷が増加すると低下し、エンジンEの負荷が減少すると高くなることから、前記制御装置16と回転数検出センサS1を利用して、エンジンEの負荷を検出する負荷検出手段101が構成されている。具体的には、株元センサS0及び脱穀スイッチSW2が共にオン状態で、車速が0.1m/sec以上であるときのエンジン回転数RX(rpm)を基準回転数RSとして記憶する。但し、上記条件が成立しているときに、記憶した基準回転数RSの値よりも高いエンジン回転数RXを検出したら、その値に基準回転数RSを更新する。そして、基準回転数RSからのエンジン回転数RXのダウン量(rpm)に応じて、エンジン負荷を例えばレベル1〜レベル5(数字が大きいほど負荷が大きい)の5段階の負荷として検出する。
【0022】又、制御装置16を利用して、前記負荷検出手段101の情報及び予め設定された制御情報に基づいて、エンジンEの負荷が適正負荷(例えば、前記5段階の負荷においてレベル3)に維持されるように、前記変速装置10を変速操作する車速制御手段100が構成されている。つまり、エンジン負荷が適正負荷内であれば変速操作を行わず、エンジン負荷が適正負荷よりも大のときは減速操作を行い、エンジン負荷が適正負荷よりも小のときは、検出車速が設定された上限車速より小のときだけ増速操作を行い、検出車速が設定された上限車速より大のときは増速操作を行わない。
【0023】そして、上記制御情報として、通常の刈取走行状態で走行させるための標準走行用の制御情報と、後述のように判別される倒伏用の刈取走行状態で走行させるための倒伏走行用の制御情報とが選択自在に備えられている。具体的に説明すると、標準走行用の制御情報では、上限車速が前記上限車速設定手段21により調整される前記範囲(0.3〜2.0m/sec)内で設定可能であるが、倒伏走行用の制御情報では、上限車速の調整可能範囲が、高速側で制限されて、0.3〜1.0m/secになる。又、倒伏走行用の制御情報では、エンジン負荷が適正負荷よりも大きい場合の減速操作速度が、標準走行用の制御情報に比べて速い値に設定されて、過負荷状態を迅速に解消するようにし、逆に、エンジン負荷が適正負荷よりも小さい場合の増速操作速度が、標準走行用の制御情報に比べて遅い値に設定されて、エンジン負荷に余裕を持たせるようにしている。
【0024】図1,図2及び図5に示すように、走行機体9の前部側の既刈り側(機体右側)箇所に、機体前方に位置する植立穀稈Tまでの距離Lを検出する一対の超音波センサS3a1,S3a2が、検出方向を機体前方に向ける状態で機体横幅方向に並置されて設けられ、又、走行機体9の未刈り側(機体左側)の横側部に、機体横側方に位置する植立穀稈Tまでの距離Lを検出する一対の超音波センサS3b,S3cが、検出方向を機体横側方に向ける状態で機体前後方向に設定間隔を隔てて設けられ、これらの各超音波センサS3a1,S3a2,S3b,S3cの検出情報が制御装置16に入力されている。
【0025】上記各超音波センサは、植立穀稈Tよりも上方に位置して植立穀稈Tの上部に向けて斜め下向きに超音波を発信する発信器と、植立穀稈Tの上部にて反射された超音波を受信する受信器とを備えて、超音波を発信してから受信するまでの時間に基づいて、植立穀稈Tまでの距離を検出するように構成されている。
【0026】以上より、機体横幅方向に沿って互いに異なる複数(図では、2つ)の設定検出位置夫々において、植立茎稈Tに対する検出方向が機体前後方向に沿う状態に設定されて、機体前方に位置する植立茎稈Tまでの距離を検出する距離検出手段S3aが、上記複数の設定検出位置夫々に対応して機体横幅方向に間隔を置いて並置された複数(図では、2個)の距離センサS3a1,S3a2、つまり、一対の超音波センサS3a1,S3a2にて構成されている。尚、上記複数の距離センサを3個以上設けて、3つ以上の設定検出位置夫々において植立茎稈Tまでの距離を検出するようにしてもよい。又、前記距離検出手段S3aは、植立穀稈Tよりも上方に位置して植立穀稈Tの上部までの距離を検出するとともに、植立穀稈Tに向けて超音波を発信してから、植立穀稈Tで反射された超音波が受信されるまでの時間に基づいて、上記距離を検出する超音波式の距離検出手段(超音波センサS3a1,S3a2)にて構成されている。
【0027】前記制御装置16を利用して、前記距離検出手段(超音波センサS3a1,S3a2)の情報に基づいて、植立茎稈Tが植立する未刈茎稈群Mとこれに隣接する既刈り領域Nとの境界を、前記複数の設定検出位置のうちで植立茎稈Tの存在が検出される位置と植立茎稈Tの不存在が検出される位置との中間の位置として判別する境界位置判別手段103が構成されている。具体的には、図1に示すように、植立茎稈Tが存在するときの茎稈上部までの距離Lと、植立茎稈Tが存在しないときの地面までの距離Lkとを各超音波センサS3a1,S3a2にて検出して、例えば、その植立茎稈Tが存在するときの距離Lと地面までの距離Lkとの平均距離Ls1((L+Lk)/2)を、茎稈存否判別用の設定距離として、刈取作業時に上記各超音波センサS3a1,S3a2にて検出される植立茎稈までの実測距離Lが上記設定距離Ls1より長いときは、植立茎稈Tが存在しない状態であり、実測距離Lが設定距離Ls1より短いときは植立茎稈Tが存在する状態であると判別する。
【0028】さらに、前記制御装置16を利用して、上記境界位置判別手段103の情報に基づいて、走行機体9の横幅方向の設定位置が前記境界に沿う状態で刈取走行するように操向制御する制御手段104が構成されている。つまり、機体既刈り側端部に設けた前記一対の超音波センサS3a1,S3a2の中間位置を上記設定位置としている。
【0029】図4では、走行機体9の横幅方向の設定位置が前記境界に適正に沿う状態で操向されている場合を示しており、左側のセンサS3a1にて植立茎稈Tの存在が検出され、右側のセンサS3a2にて植立茎稈Tの不存在が検出され、この両センサの中間の位置として上記境界が判別されている。従って、両センサS3a1,S3a2が共に植立茎稈Tの存在を検出するときには、走行機体9が上記適正操向状態よりも未刈茎稈群M側に位置ずれしているので、機体位置を既刈り側に修正し、両センサS3a1,S3a2が共に植立茎稈Tの不存在を検出しているときには、走行機体9が上記適正操向状態よりも既刈り側に位置ずれしているので、機体位置を未刈茎稈群M側に修正する。
【0030】又、図7に示すように、倒伏している植立穀稈T' では、その上部高さが正常な植立穀稈Tよりも低くなるので、植立穀稈T' までの距離L' が、正常な植立穀稈Tまでの距離L0よりも短くなる。そこで、前記制御装置16を利用して、前記距離検出手段(超音波センサS3a1,S3a2)の情報に基づいて、機体前方に位置する植立茎稈の倒伏状態を判別する倒伏状態判別手段102が構成されている。具体的には、図7に示すように、倒伏状態でないときの植立茎稈の上部までの距離L0を超音波センサS3a1,S3a2にて検出して、例えば、その倒伏状態でない植立茎稈までの距離L0に設定量ΔLを加えた距離Ls2を、倒伏状態判別用の設定距離Ls2とする。そして、超音波センサS3a1,S3a2にて検出される植立茎稈との間の実測距離Lが、前記地面検出距離Lkに近い距離範囲を除いて上記設定距離Ls2よりも長いときは倒伏状態であり、実測距離Lが設定距離Ls2よりも短いときは倒伏状態でないと判別する。そして、前記車速制御手段100は、植立茎稈が非倒伏状態である場合には、前記標準走行用の制御情報を選択し、植立茎稈が倒伏状態である場合には、前記倒伏走行用の制御情報を選択するように構成されている。
【0031】又、前記制御装置16は、機体左後側の超音波センサS3cの情報に基づいて、走行機体9が未刈茎稈群Mに対する旋回走行開始位置(走行している辺の終端位置)に達したか否かを判別するように構成されている。具体的には、図6に示すように、機体左前側の超音波センサS3bの距離検出信号bが先に距離小から距離大に変化した後、さらに機体が前進走行して、機体左後側の超音波センサS3cの距離検出信号cが距離小から距離大に変化したとききに、上記旋回走行開始位置(図5(イ))に達したと判別する。
【0032】コンバインは、図4に示すように、矩形状の未刈茎稈群Mに対して、いわゆる回り刈り(図では左回り)形式で、未刈茎稈群Mの外周の各辺M1〜M4(この各辺が各作業行程に相当する)に沿って順次刈取走行し、各辺の終端位置に達すると、左旋回しながら前後進走行して隣接する辺の始端位置に移動し、次の辺に沿って刈取走行するように自動走行制御される。
【0033】つまり、前記制御装置16は、走行機体9を未刈茎稈群Mの外周に沿って刈取走行するように操向制御するとともに、走行機体9が1つの作業行程の終端位置に達したことを判断すると、走行機体9を未刈茎稈群Mに対する次の作業行程の始端位置に向けて旋回走行させる旋回制御を実行するように構成されている。具体的には、上記操向制御において、未刈茎稈群Mの外周側の各辺M1〜M4に沿って刈取走行するために、条刈り状態では、前記方向センサS4の検出情報に基づいて走行機体9を操向作動させ、横刈り状態では、前記判別された境界の位置情報に基づいて走行機体9を操向作動させる。又、上記旋回制御において、図5(ロ)〜(ニ)に示すように、機体前部側が未刈茎稈群Mに接近するように走行機体9を旋回(図では左旋回)走行させるとともに、その旋回走行中において前記機体左側の一対の超音波センサS3b,S3cの距離情報に基づいて、走行機体9が未刈茎稈群Mに対して位置する角度(例えば次の辺に対してなす角度θ)を判断して、その角度が設定角度(例えば45度)になるに伴って前記旋回走行を停止させ、且つ、その旋回走行の停止位置から、走行機体9の向きが次の作業行程の始端位置(つまり、隣接する辺の始端部)に向かう刈取準備状態になるまで後進走行させる。
【0034】上記後進走行は、図6に示すように、機体左前側の超音波センサS3bの距離検出信号bが極小値を過ぎて増加に転じるまで直進状態で後進させ、この位置から走行機体9の向きが次の作業行程の始端位置に向かう刈取準備状態になるまで、左旋回しながら後進走行させる。そして、走行機体9が上記刈取準備状態になったことは、機体前部側の一対の超音波センサS3a1,S3a2で、左側のセンサS3a1の距離検出信号aだけが距離大から機体前方側の植立穀稈Tを検出する状態に変化したことによって判断される。又、上記走行機体9の未刈茎稈群Mに対する角度θは、機体横側部の一対の超音波センサS3b,S3cにて夫々検出される次の辺の外周端までの距離L1,L2の差と、両センサS3b,S3cの設置間隔sdとから、次式にて算出される。
【0035】
【数1】θ=tan-1((L1−L2)/sd)
【0036】尚、上記後進走行においてクローラ走行装置1と地面の間で発生するスリップ等の影響を排除するために、前半の直進状態での後進走行後に(図5(ハ)の位置)、前の辺に対する機体角度を算出して、その角度情報によって後半の左旋回状態での後進走行を修正して、走行機体9が次の辺の作業開始位置に極力適正な状態で位置するようにしてもよい。
【0037】次に、図8〜図11に示すフローチャートに基づいて、制御装置16による制御作動について説明する。未刈茎稈領域Mの1辺の始端部から走行を開始して、制御がスタートすると、先ず、倒伏状態の判別処理(図9)を行い、倒伏状態でない(正常な植立状態)と判別されると標準走行用の車速制御情報を選択し、一方、倒伏状態であると判別されると倒伏走行用の車速制御情報を選択する。そして、上記選択した制御情報に基づく車速制御と、未刈茎稈領域Mの外周に沿って走行させる操向制御と、刈取部3の対地高さを適正値に維持する前記刈高さ制御とを外周側の各辺の終端部に達するまで実行し、終端部に達すると、未刈茎稈群Mに対する刈取作業が終了したか否かを判断して、作業終了でなければ次の辺の始端位置に向けて移動させる前記旋回制御を実行し、以後、上記各制御を作業終了まで繰り返す。作業終了であれば、走行を停止して制御を終える。
【0038】倒伏状態判別処理(図9)では、株元センサS0がオン状態であることを確認してから、超音波センサS3a1,S3a2にて検出される茎稈までの距離Lのデータを入手し、所定個数の距離データから、例えば平均処理等にて茎稈までの距離Lを求める。そして、その距離Lが前記倒伏状態判別用の設定距離Ls2よりも短い場合は、倒伏状態でない(正常な植立状態)と判別し、上記距離Lが前記倒伏状態判別用の設定距離Ls2よりも長い場合は、倒伏状態であると判別する。一方、株元センサS0がオン状態でないときは、上記判別処理は行わない。
【0039】操向制御処理(図10)では、条刈り状態か否かを判断して、条刈り状態のときは、前記方向センサS4の検出情報に基づく走行機体9の操向操作を行い、横刈り状態のときは、前記境界判別処理を行って、その判別された境界に沿うように走行機体9を操向操作する。
【0040】境界判別処理(図11)では、株元センサS0がオン状態であることを確認してから、各超音波センサS3a1,S3a2による距離データを入手し、所定個数の距離データから、例えば平均処理等にて各センサの検出距離Lを求める。そして、その両センサのうちで、右側のセンサの検出距離Lが前記茎稈存否判別用の設定距離Ls1よりも長く、左側のセンサの検出距離Lが前記茎稈存否判別用の設定距離Ls1よりも短い(左側のセンサの前方にだけ植立茎稈Tが存在する)場合には、両センサの中間に境界位置を判別し、上記両センサの検出距離Lが共に前記茎稈存否判別用の設定距離Ls1よりも長い(両センサの前方に植立茎稈Tが存在しない)場合には、境界が両センサの位置よりも未刈り側に位置すると判別し、逆に、両センサの検出距離Lが共に前記茎稈存否判別用の設定距離Ls1よりも短い(両センサの前方に植立茎稈Tが存在する)場合には、境界が両センサの位置よりも既刈り側に位置すると判別する。一方、株元センサS0がオン状態でないときは、上記判別処理は行わない。
【0041】〔別実施形態〕上記実施形態では、距離検出手段S3aを機体横幅方向に間隔を置いて並置した複数の距離センサS3a1,S3a2にて構成したが、これ以外に、図12に示すように、距離検出手段S3aを、前記複数の設定検出位置夫々に位置するように、機体横幅方向にスライド移動自在で検出方向が機体前方に向いた状態の1つの距離センサS3a0にて構成してもよい。ここで、距離センサS3a0をスライド移動させるための電動モータや移動機構等にて構成される移動駆動装置30と、距離センサS3a0のスライド位置を検出する位置検出センサ30a等が設けられている。そして、位置検出センサ30aにて検出される複数の設定スライド位置において、距離センサS3a0によって植立穀稈Tまでの距離が検出され、その距離情報によって前方側の植立穀稈Tの存否が判断される。図13に、上記スライド式の距離センサによる距離検出及び境界判別処理を示す。先ず、植立穀稈Tが検出されていれば、距離センサS3a0を右側にスライド移動させて、植立穀稈Tが検出されなくなると移動を停止させ、逆に、植立穀稈Tが検出されていなければ、距離センサS3a0を左側にスライド移動させて、植立穀稈Tが検出されると移動を停止させ、各移動停止させたスライド位置を記憶する。そして、この記憶させた位置データが所定個数になると、例えば、それらのデータを平均処理して得られるスライド位置を、未刈茎稈群Mと既刈り領域との境界位置と判別する。そして、図12(イ)〜(ニ)に示すように、未刈茎稈群Mの境界位置に沿うように、機体を操向操作するように制御される。
【0042】上記実施形態では、距離検出手段S3aは、植立穀稈Tに対する検出方向を上下方向で固定したが、これ以外に、図14に示すように、植立茎稈Tに対する検出方向を上下方向に設定周期で変更自在に構成してもよい。図では、距離検出手段S3aの検出方向を上下に揺動させる構成を示す。この場合、機体9が大きくピッチング動作して、機体前上がり状態になったようなときに、検出方向が固定されていると、点線で示すように、植立茎稈Tまでの距離が長くなり過ぎて適正な距離検出ができなくなるのに対して、検出方向を上下方向で変更するものでは、実線で示すように、検出方向が下方向に変更された位置で植立茎稈Tを確実に捉えて適正な距離検出を行うことができる。
【0043】上記実施形態では、距離検出手段を、超音波式の距離検出手段S3aにて構成したが、これ以外に、例えば、検出光を植立茎稈Tに対して投受光する光式の距離検出手段にて構成してもよい。
【0044】上記実施形態では、矩形状の未刈茎稈群Mの各辺に沿って刈取走行するとともに、各辺の終端位置に達すると90度旋回しながら前後進走行して隣接する辺の始端位置に移動するようにしたが、これ以外の走行形態で刈取作業を行うようにしてもよい。具体的には、例えば、矩形状の未刈茎稈群Mの1辺に沿っての刈取走行が終わると、180度向きを変更しながら枕地部分を旋回走行して、未刈茎稈群Mに対して逆向きに走行する往復走行形態で刈取作業を実施できる。なお、上記刈取作業において、未刈茎稈群Mの1辺に対する刈取走行を終了するに伴って刈取部3を上昇させて旋回走行させ、次の作業開始位置で、距離検出手段S3aにて検出される未刈茎稈群Mまでの距離が設定距離内になるに伴って、刈取部3を下降させるようにすることができる。
【0045】上記実施形態では、刈取収穫機をコンバインにて構成したが、コンバイン以外に、例えば、イグサ用の刈取収穫機等でもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年12月10日(1998.12.10)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−166314(P2000−166314A)
【公開日】 平成12年6月20日(2000.6.20)
【出願番号】 特願平10−351300