トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 中耕除草機
【発明者】 【氏名】森友 重勝

【要約】 【課題】この発明は,操作桿の端部に設けたボックスに設けた安定部材を土壌に食い込ませることにより,中耕兼除草刃を有するロータによる中耕・除草時のロータの振れ回りを抑制する中耕除草機を提供する。

【解決手段】中耕除草機1のエンジン2を一端に備えた操作桿4の端部に取り付けたボックス5には,安定部材としての安定板20が取り付けられている。中耕除草機1の使用時には,安定板20は土壌に一部食い込んだ状態で用いられ,土壌から中耕・除草作業時の反作用としてロータ10に生じる振れ回りを抑制する。エンジン2で駆動される駆動軸に取り付けられ且つ中耕兼除草刃12を有するロータ10は,土壌の表面42に実質的に平行な面内で回転して中耕すると共に,畦40に生えている雑草44を切断又は掘り起こして除草する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端が駆動源に連結され且つ内部に前記駆動源からの回転を伝達する伝動軸が挿通された中空パイプ状の操作桿,前記操作桿の他端に取り付けられると共に前記伝動軸の回転が伝達される駆動軸を軸支するボックス,前記ボックスの外部において前記駆動軸に取り付けられ且つ中耕兼除草刃を有するロータ,及び前記ロータの振れ回りを防止するため前記操作桿又は前記ボックスに取り付けられ且つ中耕除草作業時に土壌に食い込む安定部材から成る中耕除草機。
【請求項2】 前記駆動源は,エンジン又はモータであることから成る請求項1に記載の中耕除草機。
【請求項3】 前記ボックス内には,前記伝動軸の回転を前記駆動軸の回転に変換する伝動機構が収容されていることから成る請求項1又は2に記載の中耕除草機。
【請求項4】 前記伝動機構は,前記伝動軸の端部に設けられた第1傘歯車及び前記駆動軸の端部に設けられて前記第1傘歯車と噛み合う第2傘歯車から構成される歯車伝動機構であることから成る請求項3に記載の中耕除草機。
【請求項5】 前記ロータは,前記ボックスの外部において前記駆動軸の端部に取り付けられた筒状回転体を有しており,前記中耕兼除草刃は前記筒状回転体の先端周部に沿って設けられていることからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の中耕除草機。
【請求項6】 前記筒状回転体は,前記駆動軸の回転軸線と一致した中心軸線を有する円筒状回転体又は多角形状回転体であることから成る請求項5に記載の中耕除草機。
【請求項7】 中耕除草作業時において前記ロータの前記中耕兼除草刃は前記土壌の表面に対して実質的に平行な面内で回転することから成る請求項5又は6に記載の中耕除草機。
【請求項8】 前記中耕兼除草刃は,前記筒状回転体の側面に周方向に隔置して設けられ且つ前記筒状回転体の前記先端部から前記駆動軸の軸方向に突出した複数の小刃体から構成されていることから成る請求項7に記載の中耕除草機。
【請求項9】 前記安定部材は,前記ロータの外側において前記ボックスに取り付けられ且つ前記土壌に食い込む互いに実質的に平行な一対の側板を有する安定板であることから成る請求項8に記載の中耕除草機。
【請求項10】 前記安定板の前記両側板は,前記中耕除草機の進行方向前方に向かって前記土壌に食い込む深さが浅くなる傾斜した底辺を有することから成る請求項9に記載の中耕除草機。
【請求項11】 前記安定板は,前記ボックスに対して,前記駆動軸の軸線回りにおける取付け姿勢を変更可能に取り付けられていることから成る請求項9又は10に記載の中耕除草機。
【請求項12】 前記安定板の前記両側板は,前記中耕除草機の進行方向後方端部において,前記土壌に深く食い込む補助安定部を備えていることから成る請求項9〜11のいずれか1項に記載の中耕除草機。
【請求項13】 前記安定部材は,前記操作桿に取り付けられ且つ中耕除草作業時に前記土壌に差し込まれる安定棒であることから成る請求項8に記載の中耕除草機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,野菜等の作物が植え付けられた畑地等の土壌の中耕作業と除草作業とを同時に行うことができる中耕除草機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,畑地等の土壌における野菜作物の植付け前後における除草等の管理のために使用される管理作業機については,多様な種類のものが開発されている。管理作業機を用いて土壌に生える雑草の除去及び整地を行う方法としては,耕耘機やトラクタ等の比較的大型の機械を用いて,土壌表層を攪拌して雑草を根こそぎ浮き上がらせる方法や,2サイクルエンジン等の排気量の少ない(例えば100cc以下)原動機を備え,原動機の出力によって地面に対して平行に回転するブレード刃ヤナイロンコードカッタ等の回転刃によって雑草の茎を切断する比較的小型の刈払機による方法が挙げられる。
【0003】前者の方法は,耕耘機やトラクタ等の大型機械は,平坦で大規模な農耕地の除草と整地に適しているが,畑地や傾斜地等の形態を有する農耕地や,家庭菜園等に見られるような小規模の農耕地には不向きである。また,後者の方法によれば,作業者が,刈払機の回転刃を支持する支持部に連結されたハンドルを操作して刈払機を左右に振ることにより,作業者の周りの比較的広い範囲を除草することができるが,除草すべき範囲の近くに野菜等の作物を植え付けている場合には,成育すべき作物までも切断してしまう危険性がある。刈払機の操作には相当の熟練を要し,野菜等の作物の切断を回避しようとしてハンドルを正確に操作しようとすると,作業者の肉体的負担が大きくなって大変な労力を必要とする。更に,刈払機は,その回転刃が地面に実質的に平行に回転する型式であるので,同時に中耕作業をも行わせることができる構造となっていない。
【0004】そこで,エンジンのクランク軸の延長線上に延設された動力伝達軸と,操作用のハンドルと,動力伝達軸の回転方向を90度方向変換する一対の歯車を備えたギヤボックスと,動力伝達軸に直交するように配置された除草用ロータ駆動軸と,除草用ロータ駆動軸の両端に除草用ロータとを備え,従来,人力に頼らざるを得なかったような傾斜地等の農耕地の作業環境でも,平坦地と同様の高い効率で,中耕除草作業を行う除草機が提案されている(特開平8−187006号公報参照)。
【0005】更に,原動機の下部に連接される伝動軸ケーシングと,伝動軸ケーシングに接続されて上方に延びるハンドル扞とを備え,伝動軸ケーシングから左右に突出する駆動軸にそれぞれ取り付けられていて,原動機からの駆動力により回転可能な転動輪と,転動輪の外表面に一体化され,該表面からの突出量が一様に設定されている螺旋刃や矢形状の突起部とを備え,雑草の根の一部や茎の切断に加えて肥料の攪拌や混合を行うことができる小型管理作業機が提案されている(特開平10−42615号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,中耕・除草を行う刃を備えた回転体を駆動軸で駆動して,土壌の表層を掘り起こしたり掻き回しすることにより,土壌の表層の中耕と除草とを行っているため,土壌からの回転する刃に対する反作用が必ずしも一定していないので,刃から回転体,駆動軸,伝動軸を介して作業機全体が振り回されるおそれがあり,作業機を安定して進行させることが困難である。かかる作業機全体の振れ回りを抑えようとすると,作業者に対する肉体的な負担が重くなるという問題点がある。作業機の原動機(エンジン)からの駆動力を伝達する伝動軸と直交する方向,即ち,土壌の表面と略平行に左右に延びるように配置されている場合には,中耕・除草を行う刃を備えた回転体が左右一対に配設されるので,左右の回転体に及ぼされる土壌からの反作用のバランスは一致しないのが普通である。
【0007】そこで,操作桿に左右に延びるハンドルを設けて,作業者が左右に広げた手でハンドルを操作することにより,振れ回りに対抗するモーメントを操作桿に与えて作業機の振れ回りを抑制することも考えられるが,このような作業機も,正確な操作が困難であって育てるべき作物を切断したり掘り起こす可能性があると共に,その振れ回りを作業者の肉体的負担に依存して抑制しているので長時間の中耕・除草作業には適していない。したがって,中耕・除草作業を行う刃に対する土壌からの反作用を土壌との間で相殺させてかかる反作用の力を駆動軸や伝動軸等を含む作業機の本体まで及ぼさないようにする,又は土壌との係合を利用して僅かな力で作業機の振れ回りの抑制をすることにより,作業者の肉体的負担を解消又は軽減することができないかという課題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,中耕・除草作業において,土壌からの反作用によって作業機の進行が不安定となることを回避し,作業機が振れ回されるのを抑制するのに要していた作業者の肉体的負担を解消又は軽減することができる中耕除草機を提供することである。また,中耕・除草作業に伴って掻き回したり掘り起こした土壌や除草した雑草を作業領域から外部の特に育成中の作物に当たるように飛び散らさせることがなく,更にコンパクトで簡単な構造を有する中耕除草作業機を提供することである。
【0009】この発明は,一端が駆動源に連結され且つ内部に前記駆動源からの回転を伝達する伝動軸が挿通された中空パイプ状の操作桿,前記操作桿の他端に取り付けられると共に前記伝動軸の回転が伝達される駆動軸を軸支するボックス,前記ボックスの外部において前記駆動軸に取り付けられ且つ中耕兼除草刃を有するロータ,及び前記ロータの振れ回りを防止するため前記操作桿又は前記ボックスに取り付けられ且つ中耕除草作業時に土壌に食い込む安定部材から成る中耕除草機に関する。
【0010】この中耕除草機によれば,作業者は,中空パイプ状の操作桿を手で操作して,ロータの位置を変えて土壌を中耕・除草する。駆動源の動力は,操作桿内を挿通された伝動軸を介して,ボックスに軸支された駆動軸に伝達される。駆動軸が回転すると,駆動軸に取り付けられたロータが回転し,ロータが有する中耕兼除草刃は表面から所定の深さまでの土壌を掻き回して雑草の除草を行うと共に,土壌の細土化,即ち,中耕を行う。中耕・除草作業時に,中耕兼除草刃は土壌との作用によって土壌からの反作用を受け,その反作用により中耕除草機は振り回されようとする。しかしながら,操作桿又はボックスに取り付けられた安定部材が土壌に食い込んでいるため,その反作用は土壌に吸収されて相殺されて作業者にまで影響が及ばないか,又は安定部材と土壌との係合によって,てこの原理により作業者が操作する手に及ぶ力の大きさが大きく減少される。したがって,中耕除草機は,土壌によって拘束される安定部材を介して,中耕除草作業時における振れ回りが抑制された状態となり,中耕除草機の進行経路も安定する。
【0011】この中耕除草機において,前記駆動源は,エンジン又はモータである。また,前記ボックス内には,前記伝動軸の回転を前記駆動軸の回転に変換する伝動機構が収容されている。前記伝動機構は,前記伝動軸の端部に設けられた第1傘歯車及び前記駆動軸の端部に設けられて前記第1傘歯車と噛み合う第2傘歯車から構成される歯車伝動機構とすることが可能である。操作桿がボックスに対して斜めに延びているために伝動軸の延びる方向と駆動軸の軸方向とが互いに傾斜していても,第1傘歯車と第2傘歯車とから成る傘歯車の噛合いにより,駆動軸の軸方向を任意の方向,例えば,土壌の表面に対して実質体に垂直に配置させることが可能となる。
【0012】この中耕除草機において,前記ロータは,前記ボックスの外部において前記駆動軸の端部に取り付けられた筒状回転体を有しており,前記中耕兼除草刃は前記筒状回転体の先端周部に沿って設けられている。前記筒状回転体は,前記駆動軸の回転軸線と一致した中心軸線を有する円筒状回転体又は多角形状回転体である。筒状回転体をこのような構造にすると,駆動軸が伝動軸によって駆動されると,筒状回転体は駆動軸の回転中心と一致した中心軸線の周りに振れ回ることなく,スムーズに回転する。
【0013】中耕除草作業時において前記ロータの前記中耕兼除草刃は前記土壌の表面に対して実質的に平行な面内で回転する。駆動軸を伝動軸の短部から左右横方向に延ばしてロータを土壌の表面に実質的に平行な軸の回りに回転させると,伝動軸の土壌表面と接近する軸端付近の土壌は,回転体による中耕・除草の作業域外となり,中耕・除草の仕残し部分となり易く,作業機を更に往復動させて,既に中耕・除草作業をした領域と仕残し部分とを含めて,再度,中耕・除草作業を行う必要があり,作業効率が悪い。駆動軸を,中耕・除草作業が行われる土壌の表面に対して実質的に直交した状態の姿勢に配置して,中耕・除草作業を行う中耕兼除草刃が土壌表面内において回転するようにすると,作業機を進行させても中間に中耕・除草の作業の仕残し領域を形成することなく,回転しながら中耕除草機が通過した土壌の領域全体にわたって中耕・除草作業を効率良く行うことが可能となる。
【0014】この中耕除草機において,前記中耕兼除草刃は,前記筒状回転体の側面に周方向に隔置して設けられ且つ前記筒状回転体の前記先端部から前記駆動軸の軸方向に突出した複数の小刃体から構成されている。中耕兼除草刃をこのように構成すると,複数の小刃体は略同一の経路に沿って回転し,中耕除草機の進行に従って,複数の小刃体は土壌を順次掻き回し始める。複数の小刃体は,筒状回転体に固着されるべきものとして個々に製作してもよく,或いは筒状回転体の一部を切り起こすことにより,筒状回転体と一体に形成してもよい。
【0015】この中耕除草機において,前記安定部材は,前記ロータの外側において前記ボックスに取り付けられ且つ前記土壌に食い込む互いに実質的に平行な一対の側板を有する安定板である。中耕除草機は一対の側板が延びる方向に進行されるので,中耕除草機の進行に対する側板の抵抗は少ない。しかしながら,一対の側板は,ロータが土壌から中耕兼除草刃に受ける反作用力によって意図しない方向に振れ回ろうとすると,土壌からの抵抗を受けてかかる振れ周りを防止しようとする働きをする。前記安定板の前記両側板は,前記中耕除草機の進行方向前方に向かって前記土壌に食い込む深さが浅くなる傾斜した底辺を有する。各側板をこのように構成すると,中耕除草機の進行にしたがって,側板の土壌に対する走行を一層滑らかにすることが可能となる。また,前記安定板は,前記ボックスに対して,前記駆動軸の軸線回りにおける取付け姿勢を変更可能に取り付けることができる。このような取付け構造によれば,土壌の表面に対して実質的に垂直に延びる駆動軸に対して操作桿の延びる方向を調節することが可能となる。前記安定板の前記両側板に,前記中耕除草機の進行方向後方端部において,前記土壌に深く食い込む補助安定部を備えると,安定板によるロータの振れ回り防止作用が一層大きくなる。
【0016】更に,前記安定部材は,前記操作桿に取り付けられ且つ中耕除草作業時に前記土壌に差し込まれる安定棒とすることも可能である。棒状の安定棒は土壌に差し込まれて一つの支点として機能する。したがって,中耕除草機は,作業者による操作桿の操作・支持に加えて,土壌に対してはロータと安定棒との少なくとも2点で支持されるので,中耕除草機の支持が安定する。また,土壌からロータに作用する反作用力に対抗するのに作業者が与えるべき抑制力は,安定棒が支点として機能するてこの原理により,小さな力で済ますことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明による中耕除草機の実施例を説明する。図1はこの発明による中耕除草機の一実施例の使用状態を示す側面図,図2は図1に示す中耕除草機の使用状態を示す平面図,図3は図1に示す中耕除草機の使用状態を示す正面図,図4は図1〜図3に示す中耕除草機の中耕除草作業部を示す平面図,図5は図4に示す中耕除草作業部の断面側面図,図6は図4に示す中耕除草作業部の断面正面図,図7は図4に示す中耕除草作業部に用いられている回転刃を示す平面図,図8はこの発明による中耕除草機の別の実施例の使用状態を示す側面図である。
【0018】図1〜図3に全体図を示す中耕除草機1は,駆動源としての小型のエンジン2を具備した草刈り機を利用したものである。なお,図3においては,操作桿4のエンジン2側が省略されている。エンジン2には,中空パイプ状の操作桿4の一端が連結されている。操作桿4の他端にはボックス5が取り付けられている。ボックス5に回転自在に軸支された駆動軸には後述する中耕除草作業用のロータ10が取り付けられており,ボックス5の外部で回転する。ボックス5には後述する安定板20が取り付けられている。中耕除草機1は,ロータ10と安定板20とからなる中耕除草作業部が畦40に植え付けられた作物43の間を通るように,畦溝41を進む作業者によって牽引される。
【0019】図4〜図7を参照すると,エンジン2のクランク軸に直結された自動遠心クラッチ(図示せず)を介して伝動軸3が,中空パイプ状の操作桿4の内部を通して,適宜の箇所で軸受で支持されて延びている。操作桿4の先端はボックス5に取り付けられており,ボックス5には,伝動軸3の先端に設けられた傘歯車6と,後述する駆動軸7の端部に設けられて傘歯車6とかみ合う傘歯車8とから成る歯車伝動機構が収容されている。駆動軸7は,操作桿4を通常の姿勢に保ったとき,土壌の表面42(図1,図3参照)に垂直に延びる方向に,ボックス5に対して軸受9を介して支持されている。ボックス5の外部に突出した駆動軸7には,ロータ10が取り付けられている。ロータ10は,多角形状(この実施例では六角形状)を有し且つ駆動軸7の軸心と同じ軸心を有する筒状回転体11と,筒状回転体11に取り付けられた中耕兼除草刃12とから構成されている。
【0020】この実施例では,筒状回転体11は下方が完全に開口した六角形状の筒体である。ボックス5に取り付けられる上端側のハブ部13には,後述する取付けボルト18が貫通する中央孔14が形成されている。筒状回転体11の一つ置きの側面15には,その先端周部に沿って,それぞれ一枚の中耕兼除草刃12が筒状回転体11の端部を超えて延びるように取り付けられているので,筒状回転体11には合計3枚の中耕兼除草刃12が設けられている。駆動軸7の下端部には,ねじ穴16が形成されている。駆動軸7の下端面にロータ10の筒状回転体11のハブ部13及びワッシャ17を沿わせた状態で,取付けボルト18を駆動軸7のねじ穴16にねじ込むことにより,ロータ10が駆動軸7に取り付けられる。各中耕兼除草刃12は,外側から挿通した2本の取付けねじ19のねじ部に筒状回転体11の内側からねじ込んだナット19aによって,筒状回転体11の側面15に取り付けられる。
【0021】ボックス5には,安定部材としての安定板20が複数本のビス26によって取り付けられている。安定板20は,図4〜図6に示すように,全体として門形又は枠形の形状を有しており,駆動軸7が挿通する貫通孔22が形成され且つボックス5に取り付けられる天板部21と,天板部21の側方から垂下して進行方向に沿って延びる一対の側板23,23とから構成されている。したがって,安定板20の中耕除草機1の進行方向前後は,開口部24,25となっている。天板部21と側板23,23とは,一枚の金属板材を折り曲げて一体に構成してもよく,また,別々に製作して固着具で固着してもよい。
【0022】安定板20の天板部21には,ビス26を挿通すべき孔27が,駆動軸7の軸線を中心として円弧状の長孔として形成されている。したがって,図4に示すように,安定板20は,ボックス5に対して,駆動軸7の軸線回りに長孔の角度範囲内において取付け姿勢を変更可能に取り付けることができる。安定板20をボックス5に対して傾斜した姿勢で取り付けた構造とすることにより,畑の畦溝41を歩行する作業者は,操作桿4を斜め後方に延ばす態勢で中耕除草機1を畦40上で牽引し,畦40を踏み付けることなく,畦40に生えた雑草44の除去と中耕とを行うことができる。
【0023】安定板20の側板23,23は,その底辺28が一方の開口24側から他方の開口25側に向かうに従って深くなるように傾斜して製作されている。中耕除草機1は,開口24側を進行方向前方になるように作業者によって牽引される。安定板20の側板23,23は,畦40の土壌に対して,開口24側で浅く,開口25側で深く食い込む。安定板20が設けられていないと,筒状回転体11と共に中耕兼除草刃12が回転して土壌を掻き回して除草と中耕とを行うときに,土壌からの反力によってロータ10のコントロールが困難となる。しかしながら,安定板20の側板23,23は土壌に食い込んでいるので,土壌からの反力によってロータ10が意図しない方向に動こうとしても,土壌によって拘束される安定板20の側板23,23がこの動きを規制し,中耕除草機1の進行を安定させる。しかも,上記のように側板23,23の底辺28が中耕除草機1の進行方向後ろ側に向かって深くなるように傾斜していることにより,中耕除草機1が移動しても,側板23,23は常に土壌に食い込む状態が維持される。また,図5の想像線で示すように,側板23,23の開口部25側(進行方向後ろ側)に,より深く土壌に食い込んで安定板20の安定作用を一層高める補助安定部32を,側板23の延長部として側板23と一体又は別体に設けることができる。
【0024】中耕・除草の深さ,即ち,土壌の耕耘深さと,中耕・除草の範囲は,筒状回転体11の交換によって容易に変更することができる。中耕深さは,中耕兼除草刃12の筒状回転体11の先端部から突出している突出量に実質的に相当する耕耘深さで行われる。中耕・除草の範囲は,筒状回転体11の径によって定められる。したがって,中耕兼除草刃12の筒状回転体11の先端部から突出している突出量と径の大きさとが異なる幾種類かのロータ10を予め用意しておき,その中から,適宜のロータが選択される。径が異なる筒状回転体11,特に大きな径の筒状回転体11に変更するときには,安定板20を取り替える必要がある。筒状回転体11の交換は,取付けボルト18を駆動軸7のねじ穴16から取り外すことによって容易に行うことができる。
【0025】この実施例によれば,図1〜図3に示すように,作業者は,中耕除草機1のロータ10を畦40の雑草44が生えている土壌に安定板20を土壌に僅かに食い込ませた状態に置き,小型エンジン2を作動させる。エンジン2を駆動すると,伝動軸3の回転が傘歯車6,8からなる歯車伝動機構を介して軸受9によってボックス5に回転自在に支持されている駆動軸7に伝達される。畑の畦溝41を歩行しながら中耕除草機1を牽引して進行させることによって,畦40の土壌の表面42の近傍部分が中耕兼除草刃12で自動的に掻き回されるので,雑草が取り除かれ,土壌の細土化,即ち,中耕が行われる。ロータ10の回転により中耕除草機1は左右に振り回されようとするが,ボックス5に,ロータ10の外側に配置された枠状の安定板が土壌に食い込んでいるので,中耕除草機1の進行方向が乱れることはない。また,ロータ10の回転によって中耕兼除草刃12が土壌を撥ね飛ばそうとしても,飛び散ろうとする土片は安定板20に衝突するので,安定板20よりも外部に飛散することがない。したがって,畦に植えられている作物が飛散してくる土片で傷付くこともなく,また,畦40の形状の崩れを防止することもできる。
【0026】図8は,この発明による中耕除草機の別の実施例の使用状態を示す側面図である。この例は,安定部材として,上記の実施例における中耕除草機30に用いられた案内板20の代わりに,土壌に差し込まれる安定棒31を操作桿4に取り付けたものである。安定棒31を土壌に差し込むと,中耕除草機30は,作業者による支持に加えて,土壌においてはロータ10と安定棒31との2箇所で支持されるので,中耕除草機30の操作が安定する。中耕・除草作業の反作用として土壌から作用するロータ10を左右に振ろうとする振れ回りは,安定棒31を支点として,作業者が与える対抗力で抑制されるが,作業者が与える対抗力は,安定棒31をロータ10に接近して配設することにより,てこの原理に基づいて,小さな力に軽減される。中耕除草機30が進行していても,操作桿4の一端を保持し且つ安定棒31の土壌への差込み状態を維持している限りは,中耕除草機30は,ロータ10に受ける土壌の抵抗で振り回されることがない。なお,安定棒31は,中耕除草機30の不使用状態では操作桿4に平行に折り畳むことができる構造とするのが好ましい。
【0027】以上のような基本的な構造に対して,必要に応じて,適宜の変更を施すことができる。例えば,この実施例では,駆動源としてエンジン2の例を挙げたが,電源の供給を受けて作動するモータとしてもよいことは,明らかである。伝動軸と駆動軸とを連結する伝動機構としては,傘歯車からなる歯車伝動機構の例を示したが,チェーン伝動,摩擦車伝動等の他の型式の伝動機構を用いてもよいことも明らかである。また,駆動軸が土壌の表面に対して実質的に垂直の方向に向き,中耕兼除草刃が土壌の表面に実質的に平行な平面内で回転する例を挙げたが,安定部材を有する中耕除草機としては,ロータの回転軸の方向を土壌の表面に実質的に平行な方向に配置したものに適用することができる。筒状回転体としては,六角形状の筒体の例を示したが,円筒形状を有するものであってもよい。更に,中耕兼除草刃は,筒状回転体とは別個に個々に製作され且つ筒状回転体に取り付けられる複数の小刃体として説明したが,筒状回転体の一部を切り起こす等によって筒状回転体と一体に製作してもよいことは明らかである。なお,複数枚の小刃体の取付け位置を全て変更する必要があるが,筒状回転体11に取り付けられる中耕兼除草刃12の高さを調節して,中耕深さを変更することも可能である。
【0028】図示しない肩掛けベルトを操作桿4に取り付けて,作業者は,肩から中耕除草機1を吊り下げた状態で,中耕除草機1を操作するのが好ましい。更に,操作桿4の上部には,作業者が握る防振ゴム製のグリップ部33が設けられているが,操作桿4の軸方向と直交する方向に延びるハンドルを取り付け,作業者が両手を横に広げた状態で中耕除草機1を操作することができるようにしてもよい。操作桿4は,作業者がグリップ部33を握った状態で,伝動軸3の先端に設けられたロータ10が地面に付く長さに設定されている。また,操作桿4のグリップ部33の近傍にはスロットルレバー(図示せず)が取り付けられている。手元でスロットルレバーを操作すると,操作ケーブルを介して小型エンジン2のスロットルが操作され,エンジン2の出力を調節することができる。この発明による中耕除草機1,30は,基本的に既存の草刈り機のロータの草刈り部を変更することによって製作することができ,構造を非常にコンパクトに構成することができる。
【0029】
【発明の効果】この発明による中耕除草機によれば,ロータが回転して中耕兼除草刃が土壌を掻き回して中耕除草作業をするとき,中耕兼除草刃と土壌との作用によって土壌からの反作用がロータに及び中耕除草機を振り回そうとしても,操作桿又はボックスに取り付けられた安定部材が土壌に食い込んでいるため,その反作用は土壌に吸収されて相殺されて作業者にまで影響が及ばないか,又は安定部材と土壌との係合によって,作業者が操作する手に及ぶ力の大きさが大きく減少される。したがって,中耕除草機は,土壌によって拘束される安定部材を介して振れ回りが抑制された状態となり,中耕除草機の進行経路が安定する。また,中耕・除草作業において,コンパクトで簡単な構造を有しており,製作が簡単であり,且つ中耕・除草作業に伴って掘り起こした土壌や除草した雑草を作業領域から外部の特に育成中の作物に当たるように飛び散らさせることがない。更に,駆動軸に取り付けられたロータに備わる中耕兼除草刃を土壌表面に対して実質的に平行な面内で回転させているので,中耕除草機を一度走行させた範囲では,中耕・除草の仕残し部分を作ることなく中耕除草作業を完了することが可能となり,中耕・除草作業の効率を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】592016980
【氏名又は名称】森友 重勝
【出願日】 平成10年12月7日(1998.12.7)
【代理人】 【識別番号】100092347
【弁理士】
【氏名又は名称】尾仲 一宗 (外1名)
【公開番号】 特開2000−166306(P2000−166306A)
【公開日】 平成12年6月20日(2000.6.20)
【出願番号】 特願平10−347439