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【発明の名称】 歩行型作業機における走行伝動装置
【発明者】 【氏名】新 裕樹

【要約】 【課題】従来の歩行型作業機における歯車機構から成る走行伝動装置においては、高速段での走行発進時に起こりやすい急発進現象を潜在させ、発進時に不安感を伴うので、該急発進現象を防止し、低速段同様に高速段での走行発進時も緩発進を可能にした走行伝動装置を歩行型作業機において提供する事である。

【解決手段】歩行型作業機における歯車機構から成る走行伝動装置の入力軸から最終軸に至る伝動経路内に差動装置を内蔵し、該差動装置の出力側の一方を走行出力軸とし他方を制御軸として、該制御軸に負荷装置を装着して差動装置との協働において、瞬間的な走行出力軸の駆動を緩和して急発進の防止を図った。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 歯車機構から成る走行伝動装置(2)を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置(2)の入力軸(2a)から最終軸部(2f)に至る伝動経路内に差動装置(2b)を内蔵したことを特徴とする歩行型作業機における走行伝動装置。
【請求項2】 歯車機構から成る走行伝動装置(2)を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置(2)の入力軸(2a)から最終軸部(2f)に至る伝動経路内に差動装置(2b)を内蔵し、該差動装置(2b)が有する2方向の出力側の一方を走行出力軸(2c)とし、他方を制御軸(2d)とした事を特徴とする歩行型作業機における走行伝動装置。
【請求項3】 歯車機構から成る走行伝動装置(2)を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置(2)の入力軸(2a)から最終軸部(2f)に至る伝動経路内に差動装置(2b)を内蔵し、該差動装置(2b)が有する2方向の出力側の一方を走行出力軸(2c)とし、他方を制御軸(2d)として、該制御軸(2d)には回転速度に伴い負荷を発生する負荷装置(2e)を装着した事を特徴とする歩行型作業機における走行伝動装置。
【請求項4】 歯車機構から成る走行伝動装置(2)を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置(2)に差動装置(2b)を内蔵して、この差動装置(2b)に装着された制御軸(2d)に回転速度に伴い負荷を発生する負荷装置(2e)を装着し、該負荷装置(2e)を所定の回転速度までは負荷を次第に増大し、所定の回転速度以上になると最大負荷を発生して、制御軸(2d)の制動による差動作用によって、走行出力軸(2c)の回転速度を制御する様に構成した事を特徴とする請求項3記載の歩行型作業機における走行伝動装置。
【請求項5】 歯車機構から成る走行伝動装置(2)を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置(2)に差動装置(2b)を内蔵して、この差動装置(2b)に装設された制御軸(2d)に負荷装置(2e)として遠心力ブレ−キ(3)を装着して、差動装置(2b)と遠心力ブレ−キ(3)を組合わせて出力制御をする事を特徴とする請求項4記載の歩行型作業機における走行伝動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯車機構から成る走行伝動装置を有する歩行型作業機において、差動装置を内蔵した走行伝動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の歩行型作業機で、原動機から走行装置に歯車機構から成る走行伝動装置を介して動力伝達するものが多々知られているが、この様な従来のものにおいては、時として高速走行発進時に起こりやすい急発進現象を潜在させ、該急発進現象は運転者に危険と不安感を与え、操縦上の不便さや煩わしさを伴っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】歯車機構から成る走行伝動装置を有する歩行型作業機において、高速走行発進時と言えども、急発進現象を防止した構成からなる装置を歩行型作業機における走行伝動装置において提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】歯車機構から成る走行伝動装置を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置の入力軸から最終軸部に至る伝動経路内に差動装置を内蔵して、差動作用によって入力された駆動力が歯車列を介しながらも瞬間的に一括して走行出力軸に掛からない様にして、急発進現象を抑制する構成にした。
【0005】歯車機構から成る走行伝動装置を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置の入力軸から最終軸部に至る伝動経路内に差動装置を内蔵し、該差動装置が有する2方向の出力側の一方を走行出力軸とし他方を制御軸として、該制御軸の回転速度を制動する事によって差動効果を拡大して、入力された駆動力を制御軸の回転速度に係わり合わせて走行出力軸に伝動させる事によって、高速段においても緩発進から徐々に高速化するように構成した。
【0006】歯車機構から成る走行伝動装置を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置の入力軸から最終軸部に至る伝動経路内に差動装置を内蔵し、該差動装置が有する2方向の出力側の一方を走行出力軸とし他方を制御軸として、該制御軸に回転速度に伴い負荷を発生する負荷装置を装着して、入力された駆動力を差動作用によって、入力初期は瞬間的に負荷が小さい制御軸に掛け、制御軸の負荷に伴い走行出力軸に駆動力を伝達させる様に構成して急発進の緩和をする様にした。
【0007】歯車機構から成る走行伝動装置を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置に差動装置を内蔵して、この差動装置に装着された制御軸に回転速度に伴い負荷を発生する負荷装置を装着し、該負荷装置を所定の回転速度までは負荷を次第に増大し、所定の回転速度以上になると最大負荷を発生して、制御軸の制動による差動作用によって、走行出力軸の回転速度を制御する様に構成して、入力された駆動力が走行出力軸に瞬間的に一括して掛からない様に工夫した。
【0008】歯車機構から成る走行伝動装置を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置に差動装置を内蔵して、この差動装置に装設された制御軸に負荷装置として遠心力ブレ−キを装着して、差動装置と遠心力ブレ−キを組合わせて出力制御をする様に構成し、所定の回転速度以上で最大負荷を発生させ、逆に入力回転速度の低下に伴い負荷を低減して制動力を解除する事で、軸支した制御軸の回転速度に係わって走行出力軸の回転速度を制御する様に構成した。
【0009】
【実施例】本発明の実施例について図面を参照して説明すると、図1は本発明の要部に係わる走行伝動装置の伝動機構図である。図2は同じく本発明の要部に係わる負荷装置としての実施例の正面図であり、図3は本発明の要部に係わる負荷装置としての実施例の側面断面図である。図4は本発明の実施例である刈取結束機の全体側面図である。図5は本発明の実施例である刈取結束機の全体背面図である。図6は本発明の実施例である刈取結束機の全体平面図である。図7は本発明の実施例である刈取結束機の走行クラッチ操作部の側面図であり、図8は本発明の実施例である刈取結束機の走行クラッチ操作部の断面図である。
【0010】まず、本発明に係わる実施例としての刈取結束機の全体構成について図4〜図6により説明する。走行車輪(1a)を装着した走行装置(1)の前部に刈取部(9)を連設し、該刈取部(9)は前面に左右対象に並設された一対の引起装置(4)(4)と、該引起装置(4)(4)の後部下方にて刈取フレ−ム(11)の左右両パイプに架設された刈刃装置(5)と、該刈刃装置(5)に切断された穀稈を後方に搬送し結束装置(10)に送り込む一対の下部搬送体(7)(7)と、該下部搬送体(7)(7)から受け継いだ穀稈を結束し後方に放出する結束装置(10)と、該結束装置(10)から放出された結束穀稈を挟持して後方に搬送する一対の上部搬送体(6)(6)及び該上部搬送体(6)(6)によって搬送されてきた結束穀稈を機体側方に搬送放出する横搬送体(8)を主なる構成装置として、該各部構成装置は刈取フレ−ム(11)を介して一体的に連結されている。
【0011】刈取部(9)前面に位置し、左右に並設された一対の引起装置(4)(4)は立植した穀稈を倒伏の有無にかかわらず、付設した引起タイン付チェンの斜上方への周回作用によって引起しながら穀稈姿勢を整え、刈刃装置(5)の切断作用を補佐するように後傾し装着されている。
【0012】前記上部搬送体(6)(6)は、一対の弾性搬送無端帯を左右対象に配設してあり、平面視で各々略三角形状に掛回し、互いに対峙する一辺は略八の字状に後端部より前端部を大きく広げて、結束装置(10)により放出された結束穀稈を取込みやすくし、同時に穀稈の乱れを防止し結束穀稈の姿勢を整えて、横搬送体(8)への受継ぎを円滑にする様に構成され、又下部搬送体(7)(7)も同じく左右一対に配設されたタイン付きチェンで構成され、略八の字状に後端部より前端部を大きく広げて、刈刃装置(5)により切断された穀稈の下部を整え強制的に結束装置(10)に送り込み、結束装置(10)の円滑な作動を補佐している。送り込まれた穀稈は結束装置(10)で結束され放出ア−ム(14)を介して後方へ放出され、上部搬送体(6)(6)で移送され後方に搬送されていき、横搬送体(8)に受け継がれる。
【0013】一方、略三角形に張設された上部搬送体(6)の一辺を横側方への搬送部とし、該搬送部に対応し略同高なる相対位置に横搬送体(8)を対峙並設して、上部搬送体(6)から搬送された結束穀稈を横搬送体(8)と上部搬送体(6)の協働により挟持して機体横側方に搬送して放出する。
【0014】また、図4〜図6に示すように、機体の本体部はエンジン(18)と走行伝動装置(2)を直結し、該走行伝動装置(2)の走行出力軸(2c)に車軸ケ−ス(1b)を添設し、更に、該車軸ケ−ス(1b)をエンジン(18)の下方位置即ち機体の中心線上に配設構成させることにより左右バランスを調和させ、車軸ケ−ス(1b)から左右均等に延出した走行車軸を介して走行車輪(1a)が駆動される。
【0015】ここで、本発明の要部について図1〜図3を参照して詳述する。走行伝動装置(2)の最終軸部(2f)に差動装置(2b)を装設し、該差動装置(2b)が有する2方向の出力側の一方を走行出力軸(2c)とし他方を制御軸(2d)として、該制御軸(2d)に負荷装置(2e)として遠心力ブレ−キ(3)を軸着して、制御軸(2d)の回転速度に伴って負荷が発生し、所定の回転速度以上になると最大負荷となり、制御軸(2d)を制動する様に構成されている。
【0016】エンジン(18)から走行伝動装置(2)に入力された駆動力は、初期段階では瞬間的に負荷の小さい制御軸(2d)に伝動され、制御軸(2d)の回転速度に伴って負荷が発生すると、走行出力軸(2c)側への駆動力の伝達が加速されて、制御軸(2d)が所定の回転速度以上になり軸着した遠心力ブレ−キ(3)によって制動されると、差動装置(2b)によって駆動力は全面的に走行出力軸(2c)に伝達される。
【0017】上記の様に負荷装置(2e)である遠心力ブレ−キ(3)と差動装置(2b)の協働によって差動効果を拡大し、入力された駆動力を制御軸(2d)の回転数に係合させて走行出力軸(2c)に伝動して、高速段においても緩発進から徐々に高速化するように構成し、入力初期は瞬間的に負荷が小さい制御軸(2d)に駆動力を掛けて、回転速度に伴い制御軸(2d)の負荷が増大すると、走行出力軸(2c)に駆動力を伝達させる様に構成して急発進の防止をする様にした。
【0018】すなわち、遠心力ブレ−キ(3)を負荷装置(2e)にすることで、所定の回転速度までは負荷が増大するが、所定の回転速度を超え最大負荷になると制御軸(2d)の回転を制動し、差動作用の働きで走行出力軸(2c)の回転速度を増大させる様に構成して、入力される駆動力が走行車軸に瞬間的に一括して掛からない様に工夫した。
【0019】本発明で負荷装置(2e)の実施例とした遠心力ブレ−キ(3)に関し記述する。図2と図3に示す様に遠心力ブレ−キ(3)は外ブレ−キフランジ(3a)と内ブレ−キフランジ(3b)及び揺動テコ(3d)を基盤として、遠心力によって揺れ動く揺動ア−ム(3c)を内ブレ−キフランジ(3b)の外周部に3ヵ所等分して枢着し、この揺動ア−ム(3c)を介して揺動テコ(3d)が枢着され、制御軸(2d)の回転に伴い該揺動テコ(3d)は揺動支点(3e)を基点として揺動ア−ム(3c)に突き上げられ外周方向にその先端を張り出し拡張するように構成されている。
【0020】更に、外ブレ−キフランジ(3a)と内ブレ−キフランジ(3b)のボス部は嵌合し、該ボス部に巻着された渦巻ばね(3f)によって係合されている。又内ブレ−キフランジ(3b)の外周側に同心状にして外ブレ−キフランジ(3a)のボス部に嵌着されたロックリング(3h)があり、該ロックリング(3h)はロック渦巻ばね(3k)を介して外ブレ−キフランジ(3a)と内ブレ−キフランジ(3b)に同調して回転する。該ロックリング(3h)は底部を有する円筒形状をし、底部に取付ボスを設け円筒周縁上に3等分した位置でロック爪部を突出させ、該ロック爪部は内ブレ−キフランジ(3b)の外周部に3ヵ所突設した揺動ア−ム(3c)の枢着部と相対的な位置で揺動ア−ム(3c)に追従し回転する様に組み付けてある。
【0021】従って、制御軸(2d)の回転に伴って揺動ア−ム(3c)が張り出し制動状態になると、該揺動ア−ム(3c)に同調追従し回転するロックリング(3h)はそのロック爪部を揺動ア−ム(3c)に当接させ、その回転力により揺動ア−ム(3c)を押圧ロックして制動状態を保持する様になっている。一方、制御軸(2d)の駆動力が切断され回転力を失うと渦巻きばね(3e)及びロック渦巻ばね(3k)のばね力で内ブレ−キフランジ(3b)とロックリング(3h)は各々戻し方向に滑動して揺動ア−ム(3c)は元の位置に戻され、制動状態は解除される。尚、外ブレ−キフランジ(3a)は制御軸(2d)にキ−を介して軸着され、ボス部に嵌着した内ブレ−キフランジ(3b)及びロックリング(3h)と共に制御軸(2d)と一体的に回転する様に構成されている。
【0022】即ち、制御軸(2d)の回転と共に外ブレ−キフランジ(3a)を介して内ブレ−キフランジ(3b)が回転し、回転速度の上昇に伴って遠心力が増大していくと、遠心力によって揺動ア−ム(3c)が起立し、揺動テコ(3d)は揺動支点(3e)を基点として突き上げられ外周方向に張り出し拡張して、揺動テコ(3d)の先端部にある摩擦面(イ)(ロ)(ハ)を制動体(3g)に押圧し制動力を発生する。この時摩擦面(イ)(ロ)(ハ)はそれぞれの揺動支点(3e)からの位置を異にし、回転速度の上昇に伴って摩擦面は(イ)から(ハ)へと順次加増し、所定の回転速度以上で制動状態になり、ロックリング(3h)が起立した揺動ア−ム(3c)を押圧ロックして該制動状態を保持する。又、駆動力が切断され回転力を失うと摩擦面(イ)(ロ)(ハ)は制動体(3g)から離反して制動力を消滅する。
【0023】一方、走行クラッチ操作部(30)は図7〜図8に示す如く、走行クラッチレバ−(31)と一体構成を成すクラッチカム(32)及び案内金具(33)を主なる構成部材として、該クラッチカム(32)は断面がコの字形のクラッチカム体(32a)に各左右一対の上支点(A)と下支点(B)を固着し、ばね掛け棒(32b)をコの字形の内側に橋架固着した構成になっている。
【0024】前記走行クラッチレバ−(31)を前後進クラッチ操作すると、一体構成を成すクラッチカム(32)は案内金具(33)に穿孔した円弧状のリ−ド穴に挿入した左右一対の上支点(A)又は下支点(B)を回動支点として、クラッチレバ−(31)と一体的に回動する。この時、クラッチレバ−(31)を前に押すと上支点(A)が回動支点となり後方向に引くと下支点(B)が回動支点となる。クラッチレバ−(31)の前後操作方向によって回動支点が上支点(A)と下支点(B)で相互に移行するようになっている。尚、前記ばね掛け棒(32b)を介してクラッチカム(32)にはコイルばね(32c)が装着され、該コイルばね(32c)は走行クラッチレバ−(31)の操作で前進時は上支点(A)又後進時は下支点(B)を支点越えして、走行クラッチレバ−(31)の操作位置を安定させている。
【0025】走行クラッチレバ−(31)に併設されたブレ−キレバ−(34)はクラッチカム体(32a)の外側壁に固着してあるブレ−キレバ−支点(C)に枢着されて回動するが、該ブレ−キレバ−(34)の先端は別に先レバ−支点(D)で回動するように配設したブレ−キ先レバ−(35)の一端に、該ブレ−キ先レバ−(35)に装着したブレ−キ戻しばね(36)によって当接されている。更に、該ブレ−キ先レバ−(35)の他端はクラッチカム体(32a)の下端に突着したブレ−キ戻しピン(37)と走行クラッチレバ−(31)の後進操作時に当接し、ブレ−キを解除する様に構成されている。
【0026】更にブレ−キレバ−(34)にはブレ−キレバ−突起(38)が固設してあり、走行クラッチレバ−(31)が前進操作時、該ブレ−キレバ−突起(38)は走行クラッチレバ−(31)に当接し、ブレ−キレバ−(34)を引くとブレ−キレバ−突起(38)によって走行クラッチレバ−(31)は自動的に中立位置に戻されると同時にブレ−キが効くようになっている。逆に走行クラッチレバ−(31)を前進操作するとブレ−キレバ−突起(38)を押して、ブレ−キを解除する様になる。従って、前後進いずれのクラッチ接続操作においてもブレ−キを自動解除する。又ブレ−キを効き状態にすると走行クラッチレバ−(31)は前後進いずれの状態でも自動的に中立位置に戻るように構成され、クラッチ操作とブレ−キ操作が連動して容易になっている。
【0027】この様に構成された走行クラッチ操作部(30)の作用は以下の様になる。走行クラッチレバ−(31)を前側に倒すと上支点(A)が支点となり、クラッチカム(32)が回動しコイルばね(32c)は支点越えして、クラッチワイヤ−が緩み前進へクラッチが接続する。走行クラッチレバ−(31)を後側に引くと下支点(B)が支点となり、クラッチカム(32)は前進時とは逆方向に回動し、コイルばね(32c)は支点越えしてクラッチワイヤ−を引っ張り後進へクラッチが接続する。いずれの場合でも併設されたブレ−キレバ−(34)を効かすと、該ブレ−キレバ−(34)に固設したブレ−キレバ−突起(38)又はブレ−キ戻しピン(37)を介して、走行クラッチレバ−(31)を連動的に中立位置に戻す様になっている。
【0028】従来の技術でもクラッチワイヤ−を押し引きして、前後進の走行クラッチを断続する構成は公知のものとして開示されているが、クラッチワイヤ−の一端側を戻しばねを介して走行クラッチと接続しているのが一般的である。この場合断続操作の過程で戻しばねに抗してクラッチワイヤ−を押すか又は引く位置では、操作荷重が高くなりクラッチ操作が重くなるが、前記の構成によって実施例のような走行クラッチ機構においては、前後進のクラッチ操作を一本のクラッチワイヤ−で可能とし、しかも引張コイルばねから成る戻しばねに抗する位置で操作荷重が高くなっても、クラッチ操作力を軽減する事が出来る。
【0029】即ち、前記の構成において走行クラッチレバ−(31)を前側に倒し前進へクラッチを接続すると、上支点(A)を支点としてコイルばね(32c)は支点越えし、クラッチワイヤ−を押すので走行クラッチと接続している引張コイルばねから成る戻しばねに対しても押す戻す方向となり、戻しばねのばね力も加わり、クラッチ操作力は軽くてすむ。逆に走行クラッチレバ−(31)を後側に引き後進へクラッチを接続すると、下支点(B)を支点としてコイルばね(32c)は支点越えするので、クラッチワイヤ−を引き、戻しばねに抗しても支点が下支点(B)に移るので、走行クラッチレバ−(31)に掛かる力点と支点との長さが長くなり、クラッチ操作力は軽減される。この様に走行クラッチレバ−(31)の前後進操作方向に対して、走行クラッチレバ−(31)の支点を上支点(A)と下支点(B)とで相互に移行させる事で、前後進操作力をいずれも軽減するように構成されている事を特徴とした走行クラッチ操作部(30)である。
【0030】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0031】歯車機構から成る走行伝動装置(2)を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置(2)の入力軸(2a)から最終軸部(2f)に至る伝動経路内に差動装置(2b)を内蔵して、差動作用によって入力された駆動力が歯車列を介し瞬間的に一括して走行車軸に掛からない様にして、急発進現象を抑制する構成にしたので、高低段いずれの変速位置においても走行クラッチ接続操作時に瞬間的に急発進するのを防止する事ができて、安全で操作性を容易にする事ができる。
【0032】歯車機構から成る走行伝動装置(2)を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置(2)の入力軸(2a)から最終軸部(2f)に至る伝動経路内に差動装置(2b)を内蔵し、該差動装置(2b)が有する2方向の出力側の一方を走行出力軸(2c)とし他方を制御軸(2d)として、該制御軸(2d)の回転速度を制動する事によって差動効果を拡大し、入力された駆動力を制御軸(2d)の回転速度に係わり合わせて走行車軸に伝動させて、高速段においても緩発進から徐々に高速化するように構成したので、低速段時同様に高速段からのクラッチ接続操作時においても、急発進を回避して安全な操作性と容易な操作性を可能とする事が出来る。
【0033】歯車機構から成る走行伝動装置(2)を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置(2)の入力軸(2a)から最終軸部(2f)に至る伝動経路内に差動装置(2b)を内蔵し、該差動装置(2b)が有する2方向の出力側の一方を走行出力軸(2c)とし他方を制御軸(2d)として、該制御軸(2d)には回転速度に伴い負荷を発生する負荷装置(2e)を装着して、入力された駆動力を差動作用によって入力初期は瞬間的に負荷が小さい制御軸(2d)に掛け、回転速度に伴い制御軸(2d)の負荷が増大すると、走行出力軸(2c)を介して走行車軸に駆動力を伝達させる様に構成したので、制御軸(2d)の回転速度により差動効果を拡大して、急発進の防止をより確実にする事ができる。
【0034】歯車機構から成る走行伝動装置(2)を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置(2)に差動装置(2b)を内蔵して、この差動装置(2b)に装着された制御軸(2d)に回転速度に伴い負荷を発生する負荷装置(2e)を装着し、該負荷装置(2e)は所定の回転速度までは負荷を次第に増大し、所定の回転速度以上になると最大負荷を発生して、軸支する制御軸(2d)の回転を制動して、差動装置(2b)と協働して走行出力軸(2c)の回転速度を徐々に増大させる様に構成され、走行車軸に入力される駆動力が瞬間的に一括して掛からない様にしたので、駆動力の急速な伝達を緩和し急発進を防止する事ができ、運転操作性を容易にし且つ安全なるものにする事ができる。
【0035】歯車機構から成る走行伝動装置(2)を有する歩行型作業機において、該走行伝動装置(2)に差動装置(2b)を内蔵して、この差動装置(2b)に装設された制御軸(2d)に負荷装置(2e)として遠心力ブレ−キ(3)を装着し、差動装置(2b)と遠心力ブレ−キ(3)を組み合わて出力制御をするようにして、制御軸(2d)の回転速度に係わって負荷を発生する様に構成したので、差動作用により入力される駆動力は初期的には制御軸(2d)側に流れ、この制御軸(2d)に軸着した遠心力ブレ−キ(3)によって制動力が発生すると走行出力軸(2c)側に駆動力が伝達され、差動装置(2b)と遠心力ブレ−キ(3)の相乗効果により、走行装置の急発進作動を回避する事ができる。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成10年12月7日(1998.12.7)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−166301(P2000−166301A)
【公開日】 平成12年6月20日(2000.6.20)
【出願番号】 特願平10−346307