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【発明の名称】 乗用型田植機
【発明者】 【氏名】谷 覚

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の進行に伴い田面(G)に指標を付ける作業姿勢及び上方に持ち上げられた格納姿勢に操作自在なマーカー(19)を、右側及び左側に備え、前記マーカー(19)を作業姿勢側に操作する操作手段(23)と、前記苗植付装置(3)の設定位置以上の上昇操作に伴い前記操作手段(23)に抗して前記マーカー(19)を格納姿勢に操作する格納手段(25)と、前記マーカー(19)を格納姿勢で保持可能なロック手段(27)とを備えると共に、前記苗植付装置(3)にエンジン(18)からの動力を伝動及び伝動遮断操作可能な植付クラッチ(11)と、人為的に操作される人為操作具(32)とを備えて、前記人為操作具(32)が中立位置から一方側に操作されると、前記右のマーカー(19)用のロック手段(27)が解除側に操作されて前記植付クラッチ(11)が伝動側に操作され、前記人為操作具(32)が中立位置から他方側に操作されると、前記左のマーカー(19)用のロック手段(27)が解除側に操作されて前記植付クラッチ(11)が伝動側に操作されるように、前記人為操作具(32)とロック手段(27)及び植付クラッチ(11)とを連係し、前記右及び左マーカー(19)用のロック手段(27)を解除側に操作せずに、前記植付クラッチ(11)を伝動側に操作可能な植付クラッチ操作手段(16)を備えてある乗用型田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は乗用型田植機において、一回の植付行程の走行に伴い次の植付行程の基準となる線を田面に引いていくマーカーの出退操作、及び苗植付装置にエンジンからの動力を伝動及び伝動遮断操作する植付クラッチの操作構造に関する。
【0002】
【従来の技術】乗用型田植機においては一回の植付行程が終了して機体が畦際に達すると、植付クラッチを伝動遮断側に操作し苗植付装置を設定位置以上に上昇操作して、畦際で旋回する。そして、旋回が終了すると苗植付装置を田面まで下降操作し植付クラッチを伝動側に操作して、未植付側のマーカーを作業姿勢(先端が田面内に突入する姿勢)に切換操作する。このような乗用型田植機において、苗植付装置の昇降及び植付クラッチの伝動遮断操作を行う昇降スイッチを装備して、一回の植付行程が終了して機体が畦際に達した際に昇降スイッチを操作すると、植付クラッチが自動的に伝動遮断側に操作され、苗植付装置が設定位置以上に上昇操作されるように構成することが考えられている。そして、畦際での旋回終了後に再び昇降スイッチを操作すると、苗植付装置が田面まで自動的に下降操作される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のような昇降スイッチを装備した乗用型田植機において、畦際での旋回終了後に昇降スイッチを操作すると、上昇操作されている苗植付装置が田面まで自動的に下降操作されるのであるが、これと同時に植付クラッチは伝動側には操作されない。従って、畦際での旋回終了後に昇降スイッチにより苗植付装置を田面まで下降操作した場合、作業者は操作スイッチや操作レバー等を操作して植付クラッチを伝動側に操作する必要があり、これと同時に未植付側のマーカーを作業姿勢に切換操作(格納姿勢に保持されているマーカーのロック手段を解除操作して、付勢力によりマーカーを作業姿勢に切換操作)する必要がある。このように、畦際での旋回終了後において植付クラッチの伝動側への操作と、未植付側のマーカーの作業姿勢への切換操作(ロック手段の解除操作)の2つの操作を行う必要があり、操作性の面で改善の余地ある。本発明は畦際での旋回終了後において、植付クラッチの伝動側への操作及び未植付側のマーカーの作業姿勢への切換操作の操作性を向上させることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は以上のような乗用型田植機において、次のように構成することにある。つまり、先端が田面に突入して機体の進行に伴い田面に線を引いていく作業姿勢と、上方に持ち上げられた格納姿勢とに切換自在なマーカーを苗植付装置の左右に備え、マーカーを作業姿勢側に付勢する付勢手段と、苗植付装置の設定位置以上の上昇操作に伴い付勢手段に抗してマーカーを格納姿勢に切換操作する格納手段と、マーカーを格納位置で保持可能なロック手段とを備えると共に、苗植付装置にエンジンからの動力を伝動及び伝動遮断操作可能な植付クラッチと、ロック手段及び植付クラッチ用で人為的に操作される人為操作具とを備えて、人為操作具が中立位置から一方側に操作されると、右のマーカー用のロック手段が解除側に操作されて植付クラッチが伝動側に操作され、人為操作具が中立位置から他方側に操作されると、左のマーカー用のロック手段が解除側に操作されて植付クラッチが伝動側に操作されるように、人為操作具とロック手段及び植付クラッチとを連係してある。
【0005】
【作用】本発明のように構成すると、一回の植付行程が終了して苗植付装置を設定位置以上に上昇操作した場合、作業姿勢にあるマーカーが格納姿勢に切換操作され、ロック手段によりこの格納姿勢に保持される。そして、植付クラッチの伝動遮断状態において畦際で旋回する。次に畦際での旋回が終了して、苗植付装置を田面にまで下降操作したとする。この状態において、手動操作具を所望の方向(未植付側のマーカーを作業姿勢に切換操作する方向)に操作すると、一方のマーカーのロック手段が解除操作されて、付勢手段によりこのマーカーが作業姿勢に切換操作されると同時に、植付クラッチが伝動側に操作される。これにより従来の構造では、畦際での旋回終了後において植付クラッチの伝動側への操作と、未植付側のマーカーの作業姿勢への切換操作の2つの操作を行う必要があったのに対して、本発明では手動操作具を所望の方向に操作する一つの操作で、植付クラッチの伝動側への操作と未植付側のマーカーの作業姿勢への切換操作が行われる。
【0006】
【発明の効果】以上のように、畦際での旋回終了後に一つの操作で、植付クラッチの伝動側への操作と未植付側のマーカーの作業姿勢への切換操作が行われように構成して、従来の構造よりも操作の数を少なくすることができ、畦際での旋回終了後での操作性を向上させることができた。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(1)図1に示すように、前輪1及び後輪2で支持された機体の後部に、苗植付装置3を、リンク機構4及び油圧シリンダ5により昇降操作自在に連結して乗用型田植機を構成している。苗植付装置3は図1に示すように、一対の植付アーム7を備えた植付ケース8が、苗植付装置3の植付ミッションケース6の後部に回転駆動自在に支持され、苗のせ台9が植付ミッションケース6に対して左右に往復横送り駆動自在に支持されており、植付ケース8の回転に伴い苗のせ台9から一対の植付アーム7が交互に苗を取り出して田面Gに植え付けて行くように構成されている。
【0008】図2に示すように、油圧シリンダ5にポンプ(図示せず)からの作動油を給排操作する電磁操作式の制御弁10、エンジン18(図1参照)からの動力を苗植付装置3に伝動及び伝動遮断自在な植付クラッチ11、この植付クラッチ11を伝動及び伝動遮断操作するモータ12、扇型ギヤ13及び連係ロッド14が備えられている。そして、図1及び図2に示すように機体の運転席15の右横に昇降レバー16が備えられており、この昇降レバー16の操作位置が制御装置17に入力されている。
【0009】以上の構造により、昇降レバー16を植付位置に操作すると、モータ12により植付クラッチ11が伝動側に操作されて苗植付装置3が植付作動し、制御弁10が自動的に切換操作されて苗植付装置3が田面Gから設定高さに維持される。昇降レバー16を下降位置に操作すると、モータ12により植付クラッチ11が伝動遮断側に操作されて制御弁10が苗植付装置3の下降位置に操作され、昇降レバー16を中立位置に操作すると、モータ12により植付クラッチ11が伝動遮断側に操作されて制御弁10が中立停止位置に操作される。そして、昇降レバー16を上昇位置に操作すると、モータ12により植付クラッチ11が伝動遮断側に操作されて制御弁10が苗植付装置3の上昇位置に操作される。
【0010】(2)次に、一回の植付行程の走行に伴い次の植付行程の基準となる線を田面Gに引いていくマーカー19について説明する。図3及び図1に示すように、苗植付装置3の支持フレーム20の左右における機体前後方向の軸芯P1周りに、上向きの格納姿勢(図3の左側参照)、及び先端を田面Gに突入させた下向きの作業姿勢(図3の右側参照)とに切換操作自在なマーカー19が左右一対支持されており、左右のマーカー19はバネ23(付勢手段に相当)により作業姿勢側に付勢されている。リンク機構4の後端にプーリー24が支持されており、融通用のバネ26を介して左右のマーカー19に亘って接続されるワイヤ25(格納手段に相当)の中央が、プーリー24に巻回されている。
【0011】以上の構造により、図3に示すように苗植付装置3を設定位置以上に上昇操作すると、プーリー24が持ち上げ操作されワイヤ25がプーリー24側に引き操作されて、作業姿勢のマーカー19が格納姿勢に切換操作される。図3に示すように左右のマーカー19の基部に、フック部材27(ロック手段に相当)が軸芯P3周りに揺動自在に支持され、バネ(図示せず)によりマーカー19との係合側(紙面下方側)に付勢されている。これによって前述のようにマーカー19が格納姿勢に切換操作されると、フック部材27がマーカー19に自動的に係合して、マーカー19を格納姿勢に保持するように構成している。
【0012】図4及び図5(イ)に示すように、前輪1用の操縦ハンドル29を支持するハンドルポスト30の右横側面に固定されたブラケット31に、縦軸芯P4周りに揺動自在に操作レバー32(人為操作具に相当)が支持されており、この操作レバー32が操縦ハンドル29の下側を通り運転席15から見て右側に延出されている。ブラケット31の横軸芯P5周りに操作板33が揺動自在に支持されて、操作レバー32に固定されたピン32aが操作板33の上部の凹部に挿入されている。図5(イ)に示すように操作板33の左右に融通用の一対の長孔33aが設けられており、図5(イ)及び図3に示すように長孔33aと左右のフック部材27とが、ワイヤ34により各々接続されている。
【0013】以上の構造により、操作レバー32を運転席15側(操縦ハンドル29における右旋回側)に揺動操作すると、図5(ロ)に示すように操作板33が反時計方向に揺動し一方のワイヤ34が引き操作されて、右のマーカー19のフック部材27が上方に解除操作される。これにより、バネ23の付勢力で右のマーカー19が作業姿勢に切換操作される。逆に、操作レバー32を機体前方側(操縦ハンドル29における左旋回側)に揺動操作すると、図5(イ)の状態から操作板33が時計方向に揺動し他方のワイヤ34が引き操作されて、左のマーカー19のフック部材27が上方に解除操作される。これにより、バネ23の付勢力で左のマーカー19が作業姿勢に切換操作される。
【0014】図4及び図6に示すようにブラケット31の下部にブラケット35が連結固定されて、このブラケット35に一対のリミットスイッチ36が固定されており、操作レバー32に固定されたアーム32bが一対のリミットスイッチ36の間に位置している。これにより、操作レバー32を前述のように運転席15側及び機体前方側に操作して右又は左のマーカー19を作業姿勢に切換操作すると、操作レバー32のアーム32bが一方のリミットスイッチ36に接触するように構成しており(図5(ロ)参照)、操作レバー32を中立位置に操作しているとアーム32bは両方のリミットスイッチ36には接触しない(図5(イ)参照)。そして、図6に示すように操作レバー32の運転席15側及び機体前方側への操作の限界を決める一対のストッパー35aを、ブラケット35に設けている。
【0015】(3)次に畦際での旋回終了後において、未植付側のマーカー19を作業姿勢に切換操作する構成、及び伝動遮断側に操作された植付クラッチ11を伝動側に操作する構成について説明する。この乗用型田植機においては図2に示すように、プッシュオンプッシュオフ型式の昇降スイッチ28を、昇降レバー16とは別に装備している。昇降レバー16を植付位置に操作した状態(モータ12により植付クラッチ11が伝動側に操作されて苗植付装置3が植付作動し、制御弁10が自動的に切換操作されて苗植付装置3が田面Gから設定高さに維持される状態)において、一回の植付行程が終了して機体が畦際に達すると、昇降スイッチ28を押し操作する。これにより昇降レバー16が植付位置に残された状態で、モータ12により植付クラッチ11が自動的に伝動遮断側に操作され、制御弁10が切換操作されて苗植付装置3が自動的に上昇操作される。このように苗植付装置3が上昇操作されると、前項(2)の説明及び図3に示すようにしてプーリー24及びワイヤ25により、作業姿勢のマーカー19が格納姿勢に切換操作される。
【0016】この状態で畦際で旋回を行い旋回の終了後に昇降スイッチ28を押し操作すると、苗植付装置3が自動的に田面Gにまで下降操作される。この後、未植付側に相当する方向に操作レバー32を揺動操作すると、前項(2)の説明のようにしてワイヤ34が引き操作されフック部材27が解除操作されて、未植付側のマーカー19が作業姿勢に切換操作される。そして、操作レバー32のアーム32bが一方のリミットスイッチ36に接触してリミットスイッチ36からの信号が制御装置17に入力されると、モータ12により植付クラッチ11が伝動側に操作されて苗植付装置3が植付作動を再開する。
【0017】(4)図7に示すように、エンジン18の右横側部にバッテリー37が配置されている。このバッテリー37は把手部38aを備えた上フレーム38と下フレーム39とで上下に挟まれて支持されており、上及び下フレーム38,39の一方の端部がボルト40により互いに連結され、他方においては上フレーム38の折れ曲がった先端部38bが、下フレーム39の孔に挿入されている。図7に示す状態は機体側の固定のフレーム41,42にバッテリー37を固定している状態であり、上フレーム38の先端部38bをフレーム41の長孔41aに挿入し、上及び下フレーム38,39の他端を蝶ナット43によりフレーム42に固定している状態である。この図7に示す状態からバッテリー37を取り外す場合には、蝶ナット43を取り外し把手部38aを手で持ちバッテリー37の全体を紙面左方にスライドさせ、バッテリー37を上方に持ち上げる。逆にバッテリー37を取り付ける場合には、蝶ナット43を取り外した状態で前述と逆の操作を行い、蝶ナット43を締め付けるのである。
【0018】図8及び図9に示すように、エンジン18から排気管44及びマフラー45が延出されており、エンジン18の前側のカバー46に開孔46aが設けられ、排気管44に円筒を半割り状にしたカバー47が設けられている。これにより、エンジン18の前側からカバー46の内面に沿って後方に流れる冷却風の一部が、カバー46の開孔46aからカバー47の内側に流れ込んで、排気管44及びマフラー45も冷却されるように構成している。
【0019】〔別実施例〕図4,5(イ)(ロ),6に示す構造では、一対のリミットスイッチ36を備えているが、これを図10に示すように構成してもよい。つまり、図10に示すように操作レバー32のアーム32bにおいて、その中央の下面に凹部を形成して、ブラケット35に1個のリミットスイッチ36を固定して、このリミットスイッチ36の接触部をアーム32bの凹部に入り込ませる。これによって、操作レバー32を縦軸芯P4回りにどちらに操作しても、操作レバー32のアーム32bによりリミットスイッチ36の接触部が押し込まれて、植付クラッチ11が伝動側に操作される。
【0020】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成4年10月29日(1992.10.29)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−92915(P2000−92915A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平11−306389